(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076566
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】縦形製袋充填包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 51/26 20060101AFI20240530BHJP
B65B 51/10 20060101ALI20240530BHJP
B65B 9/20 20120101ALI20240530BHJP
【FI】
B65B51/26
B65B51/10 A
B65B9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188171
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000151461
【氏名又は名称】株式会社東京自働機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗林 慎
(72)【発明者】
【氏名】江川 正和
【テーマコード(参考)】
3E050
3E094
【Fターム(参考)】
3E050AA01
3E050AA02
3E050AA08
3E050AB02
3E050AB08
3E050BA03
3E050CA02
3E050CA08
3E050CA09
3E050DC02
3E050DD03
3E050DF01
3E050DF09
3E050DH10
3E050FA01
3E050FB01
3E050FB07
3E050GB06
3E094AA13
3E094CA02
3E094CA07
3E094DA08
3E094EA03
3E094FA02
3E094FA14
3E094GA30
3E094HA20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】紙包材などの難延伸性包材にシール部を適正に且つ円滑に形成することができる縦形製袋充填包装機を提供する。
【解決手段】縦形製袋充填包装機は、繰り出される包材を一対のヒータブロック18a,18bで挟んでシールしてシール部を有する袋を形成する縦形製袋充填包装機であって、一対のヒータブロックは、複数の凸条28と複数の凹条30とが交互に配列された波形のシール面32a,32bをそれぞれ有し、シール面の凸条が対向するシール面の凹条に噛み合うことにより噛合部34を形成し、複数の噛合部により筒状包材Wcにシール部を形成し、各シール面の凸条及び凹条の配列方向における一端から噛合部を順次形成するべく一対のヒータブロックを移動させる移動機構20を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰り出される包材を一対のヒータブロックで挟んでシールしてシール部を有する袋を形成する縦形製袋充填包装機であって、
前記一対のヒータブロックは、複数の凸条と複数の凹条とが交互に配列された波形のシール面をそれぞれ有し、前記シール面の凸条が対向する前記シール面の凹条に噛み合うことにより噛合部を形成し、複数の前記噛合部により前記包材に前記シール部を形成し、
前記各シール面の前記凸条及び前記凹条の配列方向における一端から前記噛合部を順次形成するべく前記一対のヒータブロックを移動させる移動機構を備える、縦形製袋充填包装機。
【請求項2】
前記移動機構は、前記噛合部を順次形成するべく前記各ヒータブロックを移動させるタイミングを制御する制御部を有する、請求項1に記載の縦形製袋充填包装機。
【請求項3】
前記移動機構は、
前記制御部の指令に応じて前記各ヒータブロックを互いに接離する開閉方向に開閉させる開閉装置と、
前記制御部の指令に応じて前記各ヒータブロックを前記開閉方向と交差する揺動方向に揺動させる揺動装置と
を備える、請求項2に記載の縦形製袋充填包装機。
【請求項4】
前記各ヒータブロックは、前記各シール面の上端を含むそれぞれの角に面取り部を有する、請求項1に記載の縦形製袋充填包装機。
【請求項5】
フォーマに沿って導かれた包材を製袋チューブの外周面にて筒状包材に成形し、前記筒状包材を前記製袋チューブの長手方向に繰り出しながら前記筒状包材の長手方向に沿って縦シール部を形成し、前記製袋チューブの下方にて、前記筒状包材の長手方向に所定の間隔を存して前記シール部である横シール部を形成する一方、前記横シール部の形成と前記筒状包材の内部への充填物の充填を交互に行い、前記充填物が充填された前記袋を形成し、
前記製袋チューブは、前記各ヒータブロックの上側に位置する筒状壁の下端を上方に切り欠いた一対の切欠部を有し、
前記各切欠部は、前記製袋チューブにおいてその径方向に対向する前記筒状壁の下端をそれぞれ前記シール部のシール方向と平行となる位置において上方に切り欠くことにより形成される、請求項1に記載の縦形製袋充填包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦形製袋充填包装機に関し、特に難延伸性の包材を用いた袋を製造する縦形製袋充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、筒状の包材をその搬送方向に略直交する方向に挟むように開閉移動して横シールして横シール部を形成する一対のヒータブロックと、一対のヒータブロックを開閉移動させる移動機構とを備えた縦形製袋充填包装機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、SDGs(持続可能な開発目標)など、世界規模で環境配慮や省資源化推進の機運が高まり、また世界的な社会課題となっている「廃棄プラスチックによる海洋汚染問題」を受け、環境負荷を低減するパッケージに注目が集まっている。従来の包材の多くはシート状のフィルムであり、主として石油由来のプラスチック材から形成されるため、主体が紙材の紙包材に変更することにより、プラスチック材の使用量を削減する試みがなされている。
【0005】
プラスチック材から形成されるフィルム包材は、薄く且つ柔軟であるため、フィルム包材は適度に延伸しながら一対のヒータブロックでシールされる。一方、紙包材は、木材パルプなどの繊維が絡み合ったシートであり、フィルム包材に比して厚く延伸し難いため、シール時に紙包材が引っ張られたり、紙包材にヒータブロックが噛み込んだりし、袋に形成される横シール部及び縦シール部(総じてシール部)に皴や切れが発生するおそれがある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、紙包材などの難延伸性包材にシール部を適正に且つ円滑に形成することができる縦形製袋充填包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するべく、本発明の縦形製袋充填包装機は、繰り出される包材を一対のヒータブロックで挟んでシールしてシール部を有する袋を形成する縦形製袋充填包装機であって、一対のヒータブロックは、複数の凸条と複数の凹条とが交互に配列された波形のシール面をそれぞれ有し、シール面の凸条が対向するシール面の凹条に噛み合うことにより噛合部を形成し、複数の噛合部により包材にシール部を形成し、各シール面の凸条及び凹条の配列方向における一端から噛合部を順次形成するべく一対のヒータブロックを移動させる移動機構を備える。
【発明の効果】
【0008】
従って、本発明の縦形製袋充填包装機によれば、紙包材などの難延伸性包材にシール部を適正に且つ円滑に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る縦形製袋充填包装機の斜視図である。
【
図2】
図1のA方向から見た横シーラの構成図である。
【
図3】
図2とは異なる形態の横シーラの構成図である。
【
図4】(a)~(i):一対のヒータブロックにおいて噛合部が下方から順次形成される過程を段階的に示した図である。
【
図5】(a)~(j):一対のヒータブロックにおいて噛合部が
図4とは逆の上方から順次形成される過程を段階的に示した図である。
【
図6】
図1の製袋チューブから横シーラに向けた筒状包材の繰り出し態様を側方から見た図である。
【
図7】
図1の製袋チューブから
図6とは異なる形態の横シーラに向けた筒状包材の繰り出し態様を側方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る縦形製袋充填包装機1の斜視図を示す。この縦形製袋充填包装機(以下、単に包装機ともいう)1は製袋チューブ2を備え、製袋チューブ2は上下方向に延びている。製袋チューブ2は、その上端にホッパ4が接続され、ホッパ4を通じて粉粒体などの充填物の供給を受ける。また、包装機1の上方には充填供給装置(図示しない)が配置され、充填供給装置は、ホッパ4を介して製袋チューブ2内に所定量の充填物を供給する。
【0011】
製袋チューブ2の上方で且つホッパ4の下側にはフォーマ6が取り付けられ、フォーマ6から包材リール8まで包材繰り出し経路が延びている。包材リール8からは、複数のローラ10を介して包材Wが繰り出される。包材Wは、難延伸性包材であって、例えば、袋Pの外装に使用されるシート状の紙材と、袋の内装に使用されるシート状のヒートシール材とを積層及び接着した紙包材である。包材リール8から繰り出された包材Wは、包材繰り出し経路に沿って案内され、フォーマ6に沿って製袋チューブ2の外周面2aに導かれる。
【0012】
フォーマ6に沿って導かれた包材Wは、製袋チューブ2の外周面2aを囲む筒状に成形され、この筒状包材Wcは製袋チューブ2に沿い下方に導かれる。また、筒状包材Wcがフォーマ6を通過する際、筒状包材Wcの両側縁は所定の形態、例えば合掌貼りの形態にて互いに重ね合わされたラップ部Lを形成する。また、包装機1は、包材繰り出し装置を備え、包材繰り出し装置は一対の包材フィーダ12を有する。
【0013】
包材フィーダ12は、フォーマ6の下方にて製袋チューブ2の外周面2aの両側にそれぞれ配置されている。各包材フィーダ12は、それぞれ無端状のサクションベルト14を有し、サクションベルト14に筒状包材Wcを吸着させる。この吸着状態にて、サクションベルト14が一方向に走行することにより、筒状包材Wcは製袋チューブ2に沿って下方に向けて繰り出される。
【0014】
製袋チューブ2の外周面2aの近傍には、開閉可能な縦シーラ16が配置されている。縦シーラ16は、製袋チューブ2の周方向における一対の包材フィーダ12間に配置され、一対のヒータブロック16a,16bと図示しない移動機構とを備える。各ヒータブロック16a,16bは、直方体のブロック形状をなし、図示しないヒータが内蔵されている。各ヒータブロック16a,16bは、鉛直方向に延び、製袋チューブ2の外周面2a近傍の鉛直面内にて移動機構の作動により互いに接離する。
【0015】
これにより、縦シーラ16の開閉動作がなされる。各ヒータブロック16a,16bは、筒状包材Wcのラップ部Lを縦シーラ16の閉動作により挟み付けることで、ラップ部Lをヒートシールし、筒状包材Wcの両側縁を互いに接着させた縦シール部Svを形成する。これにより、縦シーラ16を通過した後、筒状包材Wcは完全に両側縁が閉じた状態となる。また、製袋チューブ2の下方には、一対のヒータブロック18a,18bを備えた横シーラ18が配置されている。
【0016】
図2は、
図1のA方向から見た横シーラ18の構成図を示す。横シーラ18は、一対のヒータブロック18a,18bと移動機構20とを備えている。各ヒータブロック18a,18bは、直方体のブロック形状をなし、ヒータ22が内蔵されている。各ヒータブロック18a,18bは、筒状包材Wcを横断する方向である水平方向に延び、製袋チューブ2の下方の水平面内にて移動機構20の作動により互いに接離する。これにより、横シーラ18の開閉動作がなされる。
【0017】
各ヒータブロック18a,18bは、筒状包材Wcを横シーラ18の閉動作により挟み付けることで、筒状包材Wcを横断する方向にヒートシールし、
図1に示す横シール部Shを形成する。また、各ヒータブロック18a,18bの一方であるヒータブロック18aには、包材切断用のナイフ24が保持されている。各ヒータブロック18a,18bの他方であるヒータブロック18bには、ナイフ24を受け入れる刃受溝26が形成されている。
【0018】
このように構成される包装機1の一連の動作を以下に説明する。包装機1は、フォーマ6に沿って導かれた難延伸性の包材Wを製袋チューブ2の外周面2aにて筒状包材Wcに成形し、筒状包材Wcを製袋チューブ2の長手方向、すなわち下方向に繰り出しながら、縦シーラ16により筒状包材Wcの長手方向に沿って縦シール部Svを形成する。次に、製袋チューブ2の下方にて、横シーラ18により筒状包材Wcの長手方向に所定の間隔を存して横シール部Shを形成する。
【0019】
また、横シール部Shの形成と筒状包材Wcの内部への充填物の充填を交互に行う。そして、各ヒータブロック18a,18bが水平姿勢となったタイミング(後述の
図4(f)又は
図5(f)の状態)で、ナイフ24が刃受溝26に向かって水平方向にスライドし、横シール部Shにて筒状包材Wcを突き押して切断する。これにより、充填物が充填された袋Pが形成される。
【0020】
ここで、
図2に示すように、一対のヒータブロック18a,18bは、複数の凸条28と複数の凹条30とが交互に配列された波形のシール面32a,32bをそれぞれ有する。シール面32aの凸条28が対向するシール面32bの凹条30に噛み合うことにより噛合部34が形成され、複数の噛合部34により筒状包材(包材)Wcに横シール部(シール部)Shが形成される。
【0021】
移動機構20は、シール面32a、32bの凸条28及び凹条30の配列方向における下端(一端)から、噛合部34を順次形成するべく各ヒータブロック18a,18bを移動させる。これにより、凸条28と凹条30とを噛み合わせた噛合部34が1つずつ順次形成され、各噛合部34によって筒状包材Wcが徐々に波形に折り込まれて横シール部Shが段階的に形成される。
【0022】
詳しくは、移動機構20は制御部36を有し、制御部36は、噛合部34を順次形成するべく各ヒータブロック18a,18bを移動させるタイミングを制御する。より具体的には、移動機構20は開閉装置38と揺動装置40とを備えている。開閉装置38は、特許文献1に示されるような公知の機構を有し、制御部36の指令に応じて各ヒータブロック18a,18bを互いに接離する開閉方向、換言すると水平方向(
図2における左右方向)に移動させる。
【0023】
一方、揺動装置40は、制御部36の指令に応じて各ヒータブロック18a,18bを開閉方向と交差する揺動方向、換言すると後述のモータ軸44aの周方向に揺動させる。
図2に示す揺動装置40は、一対のギア42及び一対のモータ44を備えている。各ギア42は、各ヒータブロック18a,18bのシール面32a,32bと反対側にそれぞれ形成される支持端部46a,46bに固定される。
【0024】
各モータ44は、開閉装置38に固定され、制御部36の指令に応じてモータ軸44aの回転数が制御される。モータ軸44aにはギア部44bが固定され、このギア部44bにギア42の歯が噛み合わされる。各モータ44のモータ軸44aの回転は、モータ軸44aのギア部44bに噛み合わされたギア42を介して各ヒータブロック18a,18bの揺動に変換されて伝達される。本形態の場合には、ギア42の歯数はギア部44bの歯数よりも多い。これにより、ギア42とギア部42bとの歯数比に応じてモータ44のトルクを大きくすることができるという利点がある。
【0025】
図3は、
図2とは異なる形態の横シーラ18の構成図を示す。
図3に示す揺動装置40は、
図2の場合とは異なり、各ギア42を備えておらず、各モータ44のモータ軸44aが各ヒータブロック18a,18bの支持端部46a,46bに直接固定される。本形態の場合には、ギア42及びギア部44bを必要としない分、横シーラ18の構造を簡素化することができ、横シーラ18の製造コストを低減することができる。
【0026】
図4(a)~(i)は、一対のヒータブロック18a,18bにおいて噛合部34が下方から順次形成される過程を段階的に示す。
図4(a)は、各ヒータブロック18a,18bが水平方向に対して上方に20°の傾斜角度で傾斜し、各シール面32a,32bがこれらの下端において最初に接触した状態を示す。以降、各ヒータブロック18a,18bは、
図4(b)から
図4(d)に亘って順に5°ずつ水平方向に近づく方向に傾斜していき、下方から1つずつ噛合部34が形成される。
【0027】
これにより、筒状包材Wcが下方から段階的にヒートシールされる。そして、
図4(e)において各ヒータブロック18a,18bの傾斜角度が0°となり、各ヒータブロック18a,18bが水平姿勢となったとき、シール面32aの各凸条28が対向するシール面32bの各凹条30に全て噛み合う。これにより、各シール面32a,32bにおいて全ての噛合部34の形成が完了し、筒状包材Wcが完全にヒートシールされて横シール部Shが形成される。
【0028】
次に、
図4(f)に示すように、横シール部Shの形成後には、各ヒータブロック18a,18bが水平姿勢となる状態で、ナイフ24が刃受溝26に向かって水平方向にスライドし、横シール部Shを突き押して切断する。以降、各ヒータブロック18a,18bは、
図4(g)から
図4(i)に亘って順に5°ずつ水平方向に対して下方に傾斜し、下方から噛合部34の形成が順次解除されていき、最終的には各ヒータブロック18a,18bが離間する。本形態の場合には、筒状包材Wcを下方から段階的にヒートシールすることにより横シール部Shを形成することができる。
【0029】
図5(a)~(j)は、一対のヒータブロック18a、18bにおいて噛合部34が
図4とは逆の上方から順次形成される過程を段階的に示す。
図5(a)は、各ヒータブロック18a,18bが水平方向に対して下方に20°の傾斜角度で傾斜し、各シール面32a,32bがこれらの上端において最初に接触した状態を示す。以降、各ヒータブロック18a,18bは、
図5(b)から
図5(d)に亘って順に5°ずつ水平方向に近づく方向に傾斜していき、本形態の場合、上方から1つずつ噛合部34が形成される。
【0030】
これにより、筒状包材Wcが上方から段階的にヒートシールされる。そして、
図5(e)において各ヒータブロック18a,18bの傾斜角度が0°となり、各ヒータブロック18a,18bが水平姿勢となったとき、シール面32aの各凸条28が対向するシール面32bの各凹条30に全て噛み合う。これにより、各シール面32a,32bにおいて全ての噛合部34の形成が完了し、筒状包材Wcが完全にヒートシールされて横シール部Shが形成される。
【0031】
次に、
図5(f)に示すように、横シール部Shの形成後には、各ヒータブロック18a,18bが水平姿勢となる状態で、ナイフ24が刃受溝26に向かって水平方向にスライドし、横シール部Shを突き押して切断する。以降、各ヒータブロック18a,18bは、
図5(g)から
図5(j)に亘って順に5°ずつ水平方向に対して上方に傾斜し、上方から噛合部34の形成が順次解除されていき、最終的には各ヒータブロック18a,18bが離間する。
【0032】
ここで、製袋チューブ2から繰り出された筒状包材Wcは、各ヒータブロック18a,18bに挟み付けられて扁平状に変形する。この際、本形態の場合、横シール部Shの下側に位置する袋P(充填物が充填済み)が若干持ち上がる。しかし、筒状包材Wcを上方から段階的にヒートシールすることにより、袋Pの持ち上がりも徐々に行われるため、筒状包材Wcを引っ張った状態で横シール部Shを形成することができる。従って、袋Pに皴等が生じ難いという利点がある。
【0033】
一方、横シール部Shの下側に位置する袋Pの重量が比較的重い場合には、袋Pの持ち上がりが徐々に行われたとしても、袋Pが持ち上げ難くなることは否めず、横シール部Shの形成に悪影響を及ぼすおそれがある。なお、
図4(a)~(i)に示したように筒状包材Wcを下方から段階的にヒートシールする場合、横シール部Shの下側に位置する袋Pの持ち上がりは生じないため、袋Pの重量について配慮しなくて良いという利点がある。
【0034】
以上説明した
図4(a)~(i)及び
図5(a)~(j)の各ヒータブロック18a,18bの一連の移動は、制御部36の指令に基づいて開閉装置38と揺動装置40とが協働することにより行われる。なお、
図4(f)及び
図5(f)において横シール部Shが切断された後には、開閉装置38及び揺動装置40による各ヒータブロック18a,18bの移動を制御部36において制御することにより、噛合部34が形成された方向とは逆方向から噛合部34を順次解除しても良い。
【0035】
また、横シール部Shの切断後に、開閉装置38のみを作動させて各ヒータブロック18a,18bを離間させ、各噛合部34の形成を一挙に解除しても良い。この場合には、次の横シール部Shの形成に迅速に移行可能となるため、袋Pの製造速度のさらなる高速化を実現可能である。
【0036】
図6は、製袋チューブ2から横シーラ18に向けた筒状包材Wcの繰り出し態様を側方から見た図を示す。
図1にも示すように、製袋チューブ2には、各ヒータブロック18a,18bの上側に位置する筒状壁2bの下端を上方に切り欠いた一対の切欠部48が形成される。詳しくは、各切欠部48は、製袋チューブにおいてその径方向に対向する筒状壁2bの下端をそれぞれ横シール部Shのシール方向と平行となる位置において上方に切り欠くことにより形成される。
【0037】
製袋チューブ2から繰り出された筒状包材Wcは、各ヒータブロック18a,18bに挟み付けられて扁平状に変形する。この際、筒状包材Wcには、鉛直方向に対して傾斜角度αを有する稜線50が形成される。各切欠部48を形成することにより、各切欠部48を形成しない場合に比して、稜線50の傾斜角度αが小さくなる。
【0038】
図7は、
図1の製袋チューブ2から
図6とは異なる形態の横シーラ18に向けた筒状包材Wcの繰り出し態様を側方から見た図を示す。本形態の場合、各ヒータブロック18a,18bには、各シール面32a,32bの上端を含むそれぞれの角に面取り部52が形成されている。各面取り部52は、例えば
図7に示すようにC面取り形状をなす。なお、各面取り部52は、C面取り形状に限らず、R面取り形状であっても良い。また、
図7の製袋チューブ2には、
図6に示した各切欠部48が示されているが、各切欠部48を形成しないで各面取り部52のみを形成しても良い。
【0039】
以上のように、本実施形態の縦形製袋充填包装機1は、移動機構20を備え、移動機構20は、各シール面32a,32bの凸条28及び凹条30の配列方向における一端から、噛合部34を順次形成するべく一対のヒータブロック18a,18bを移動させる。これにより、一方のヒータブロック18aの凸条28が対向する他方のヒータブロック18bの凹条30に噛み合うことにより1つずつ噛合部34が形成され、筒状包材Wcは、各噛合部34で徐々に波形に折り込まれてシールされる。
【0040】
これにより、一方のヒータブロック18aの隣接する凸条28の間で引っ張られた状態の筒状包材Wcに他方のヒータブロック18bの凹条30が入り込むような形で、横シール部Shを段階的に形成することができる。従って、紙包材などの難延伸性の包材Wであっても、横シール部Shにおける皴や切れの発生を抑制することができ、横シール部Shを適正に且つ円滑に形成することができる。
【0041】
また、移動機構20は制御部36を有し、制御部36は、噛合部34を順次形成するべく各ヒータブロック18a,18bを移動させるタイミングを制御する。これにより、包材Wの物性(延伸性、硬度、表面の滑り性など)に応じて、筒状包材Wcを各噛合部34で徐々に波形に折り込んでシールするタイミングを調整可能である。従って、多様な包材Wに横シール部Shを適正に且つ円滑に形成することができる。
【0042】
具体的には、移動機構20は、開閉装置38と揺動装置40とを備え、開閉装置38は、制御部36の指令に応じて各ヒータブロック18a,18bを互いに接離する開閉方向に開閉させる。一方、揺動装置40は、制御部36の指令に応じて各ヒータブロック18a,18bを開閉方向と交差する揺動方向に揺動させる。これにより、包材Wの物性に応じて、筒状包材Wcを各噛合部34で徐々に波形に折り込んでシールするタイミングを開閉装置38及び揺動装置40の制御により容易に調整可能である。
【0043】
また、各ヒータブロック18a,18bは、各シール面32a,32bの上端を含むそれぞれの角に面取り部52を有しても良い。これにより、各面取り部52を形成しない場合に比して、各シール面32a,32bの上端に位置する噛合部34において筒状包材Wcが噛み込むことにより生じ得る筒状包材Wcの急激な折り曲げによる損傷を効果的に抑制することができる。また、この噛み込みに起因して筒状包材Wcが各ヒータブロック18a,18bに向けて過度に引っ張られることによる筒状包材Wcの引き延ばしが抑制される。従って、製袋チューブ2から各ヒータブロック18a,18bに向けて筒状包材Wcを円滑に繰り出すことができ、このことは適正且つ円滑な横シール部Shの形成に貢献する。
【0044】
また、製袋チューブ2は、各ヒータブロック18a,18bの上側に位置する筒状壁2bの下端を上方に切り欠いた一対の切欠部48を有する。各切欠部48は、製袋チューブ2においてその径方向に対向する筒状壁2bの下端をそれぞれ横シール部Shのシール方向と平行となる位置において上方に切り欠くことにより形成される。これにより、筒状包材Wcに形成される稜線50の傾斜角度αを小さくすることができるため、製袋チューブ2の下端における筒状包材Wcの係合度合いが小さくなり、筒状包材Wcが各ヒータブロック18a,18bに向けて過度に引っ張られることが抑制される。
【0045】
また、各切欠部48は、筒状包材Wcを各ヒータブロック18a,18bに向けて誘導するガイドとしても機能する。従って、製袋チューブ2から各ヒータブロック18a,18bに向けて筒状包材Wcを円滑に繰り出すことができ、このことは適正且つ円滑な横シール部Shの形成に貢献する。
【0046】
以上で本発明の一実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。例えば、移動機構20は、各シール面32a,32bの凸条28及び凹条30の配列方向における一端から噛合部34を順次形成するべく一対のヒータブロック18a,18bを移動させることができるのであれば、前述した構成に厳密に限定されるものではない。
【0047】
また、上記実施形態においては、横シーラ18に設けられた各ヒータブロック18a,18bを移動させる移動機構20について説明したが、縦シーラ16に設けられた各ヒータブロック16a,16bの移動機構にも同様の機構を適用可能である。これにより、縦シール部Svにおける皴や切れの発生を抑制することができるため、縦シール部Svを適正に且つ円滑に形成することができる。
【0048】
また、上記実施形態において、各ヒータブロック18a,18bの凸条28の先端は鋸歯状をなしているが、噛合部34を1つずつ順次形成可能であれば、凸条28の先端は円弧状に突出して形成しても良い。
【符号の説明】
【0049】
1 縦形製袋充填包装機
2 製袋チューブ
2a 外周面
2b 筒状壁
6 フォーマ
16a,16b (縦シーラの)一対のヒータブロック
18a,18b (横シーラの)一対のヒータブロック
20 移動機構
28 凸条
30 凹条
32a,32b シール面
34 噛合部
36 制御部
38 開閉装置
40 揺動装置
48 切欠部
52 面取り部
W 包材
Wc 筒状包材(包材)
P 袋
Sh 横シール部(シール部)
Sv 縦シール部(シール部)