(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076571
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】電気経路切替えユニット及び蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 9/06 20060101AFI20240530BHJP
H02H 5/00 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
H02J9/06
H02H5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188177
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 悟
(72)【発明者】
【氏名】加藤 修一
【テーマコード(参考)】
5G015
【Fターム(参考)】
5G015GB05
5G015HA15
5G015JA05
5G015JA11
5G015JA31
5G015JA54
(57)【要約】
【課題】衝撃に起因して主回路の瞬停状態が発生しても、瞬停時間を短く抑えることが可能な電気経路切替えユニットを提供すること。
【解決手段】実施形態の電気経路切替えユニットは、第1のコンタクタ、第2のコンタクタ、衝撃センサ及び電池管理部を備える。第1コンタクタ及び第2のコンタクタは、電池モジュールを通して電流が流れる主回路に、互いに対して電気的に並列に配置される。衝撃センサは、衝撃に関するパラメータを検知する。電池管理部は、第1のコンタクタの通電状態、かつ、第2のコンタクタの非通電状態において、衝撃センサでの検知結果がパラメータの許容限界値に対応した所定の条件を満たしたことに基づいて、第2のコンタクタを通電状態に切替える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池モジュールを通して電流が流れる主回路に配置され、非通電状態と通電状態との間で切替わり可能な第1のコンタクタと、
前記主回路において前記第1のコンタクタに対して電気的に並列に配置され、非通電状態と通電状態との間で切替わり可能な第2のコンタクタと、
衝撃に関するパラメータを検知する衝撃センサと、
前記第1のコンタクタの前記通電状態、かつ、前記第2のコンタクタの前記非通電状態において、前記衝撃センサでの検知結果が前記パラメータの許容限界値に対応した所定の条件を満たしたことに基づいて、前記第2のコンタクタを前記通電状態に切替える電池管理部と、
を具備する、電気経路切替えユニット。
【請求項2】
前記電池管理部は、前記第1のコンタクタの前記通電状態、かつ、前記第2のコンタクタの前記非通電状態において、前記衝撃センサが検知した前記パラメータが前記許容限界値を超えたこと、及び、前記衝撃センサでの前記パラメータの前記検知結果から前記パラメータが前記許容限界値を超える予測をしたことのいずれかに基づいて、前記第2のコンタクタを前記通電状態に切替える、請求項1の電気経路切替えユニット。
【請求項3】
前記電池管理部は、前記第1のコンタクタの前記通電状態、かつ、前記第2のコンタクタの前記非通電状態において、前記パラメータの前記検知結果が前記所定の条件を満たしたことに基づいて、前記第1のコンタクタを前記非通電状態に切替え、
前記第1のコンタクタの前記通電状態、かつ、前記第2のコンタクタの前記非通電状態において、前記衝撃センサでの前記パラメータの前記検知結果が前記所定の条件を満たした場合、前記第1のコンタクタが前記非通電状態に切替わった時点から規定時間経過するまでの間に、前記第2のコンタクタが通電状態に切替わる、
請求項1の電気経路切替えユニット。
【請求項4】
前記第1のコンタクタ及び前記第2のコンタクタのそれぞれは、前記電池管理部からの電力の供給によって励磁されることにより、前記非通電状態から前記通電状態となり、
前記電池管理部から前記第2のコンタクタへの前記電力の供給経路に配置され、前記電池管理部からの前記電力が前記第1のコンタクタに入力されるタイミングに対して、前記電池管理部からの前記電力が前記第2のコンタクタに入力されるタイミングを遅延させる遅延回路をさらに具備する、
請求項1の電気経路切替えユニット。
【請求項5】
前記第1のコンタクタ及び前記第2のコンタクタのそれぞれは、固定接点及び可動接点を備え、
前記第1のコンタクタ及び前記第2のコンタクタのそれぞれでは、前記非通電状態において前記可動接点が前記固定接点から離れるとともに、前記可動接点の移動によって前記固定接点に前記可動接点が接触することにより、前記非通電状態から前記通電状態に切替わり、
前記第1のコンタクタ及び前記第2のコンタクタでは、前記可動接点の移動方向が、互いに対して異なる、
請求項1の電気経路切替えユニット。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項の電気経路切替えユニットと、
前記主回路に配置され、前記第1のコンタクタ及び前記第2のコンタクタの少なくとも一方が前記通電状態になることにより、前記主回路を通して前記電流が流れる電池モジュールと、
を具備する、蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電気経路切替えユニット及び蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
1つ以上の電池モジュールから蓄電部が形成され、蓄電部を通して主回路に電流を流すことが可能な蓄電装置が、用いられている。このような蓄電装置では、主回路にコンタクタが配置され、コンタクタは、非通電状態と通電状態との間で切替わり可能である。蓄電装置では、コンタクタが通電状態になることにより、主回路を通して蓄電部の電池モジュールに電流が流れる。これにより、電池モジュールから主回路を通して電流を出力可能になるとともに、電池モジュールへ主回路を通して電流を入力可能となる。
【0003】
前述のような蓄電装置では、強い衝撃を受けた場合において、コンタクタが非通電状態で維持され、主回路に電流が流れない瞬停状態が発生することがある。蓄電装置では、衝撃に起因して主回路の瞬停状態が発生しても、瞬停状態が継続される時間である瞬停時間を短く抑えることが、求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、衝撃に起因して主回路の瞬停状態が発生しても、瞬停時間を短く抑えることが可能な電気経路切替えユニット及び蓄電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、電気経路切替えユニットは、第1のコンタクタ、第2のコンタクタ、衝撃センサ及び電池管理部を備える。第1コンタクタは、電池モジュールを通して電流が流れる主回路に配置され、第2のコンタクタは、主回路において第1のコンタクタに対して電気的に並列に配置される。第1のコンタクタ及び第2のコンタクタのそれぞれは、通電状態と非通電状態との間で切替わり可能である。衝撃センサは、衝撃に関するパラメータを検知する。電池管理部は、第1のコンタクタの通電状態、かつ、第2のコンタクタの非通電状態において、衝撃センサでの検知結果がパラメータの許容限界値に対応した所定の条件を満たしたことに基づいて、第2のコンタクタを通電状態に切替える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る蓄電装置を示す概略図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る蓄電装置において、2つのコンタクタの一方の構成の一例を示す概略図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る蓄電装置において、コンタクタのそれぞれが設置される姿勢の一例を示す概略図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る蓄電装置に設けられる遅延回路の一例を示す概略図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る蓄電装置の電池管理部によって行われるコンタクタのそれぞれの動作制御の一例を概略的に示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る蓄電装置の衝撃センサによって検知される、衝撃に関するパラメータの時間変化の一例を示す概略図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る蓄電装置において、衝撃が発生した場合のコンタクタのそれぞれの動作の時間変化の一例を示す概略図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る蓄電装置において、2つのコンタクタの両方を非通電状態から通電状態に切替える場合の、コンタクタのそれぞれの動作の時間変化の一例を示す概略図である。
【
図9】
図9は、
図8の一例のようにコンタクタのそれぞれの動作が経時的に変化した場合の、コンタクタのそれぞれでの消費電流の時間変化を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態等について、図面を参照して説明する。
【0009】
まず、実施形態の一例として、第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る蓄電装置1を示す。
図1に示すように、蓄電装置1は、蓄電部2を備え、蓄電部2は、1つ以上の電池モジュール3を備える。電池モジュール3のそれぞれは、図示しない複数の電池セル(単セル)を備え、電池モジュール3のそれぞれでは、複数の電池セルが電気的に接続される。また、
図1の一例では、蓄電部2に2つの電池モジュール3が設けられ、2つの電池モジュール3は、電気的に直列に接続される。なお、蓄電部2は、1つの電池モジュール3から形成されてもよく、3つ以上の電池モジュール3から形成されてもよい。また、蓄電部2が複数の電池モジュール3から形成される場合、蓄電部2において、複数の電池モジュール3が電気的に並列に接続されてもよい。また、蓄電部2において、複数の電池モジュール3が電気的に直列に接続される直列接続構造、及び、複数の電池モジュール3が電気的に並列に接続される並列接続構造の両方が、形成されてもよい。
【0010】
蓄電装置1には、主回路5が形成され、蓄電装置1では、蓄電部2を形成する1つ以上の電池モジュール3を通して、主回路5に電流を流すことが可能である。また、蓄電装置1では、外部端子6を備え、主回路5は、外部端子6を介して、外部の負荷及び電源等に電気的に接続可能である。主回路5が外部端子6を介して負荷に接続されることにより、電池モジュール3から外部の負荷に主回路5を通して電流を出力可能となる。また、主回路5が外部端子6を介して外部の電源に接続されることにより、電源から電池モジュール3へ主回路5を通して電流を入力可能となる。
【0011】
電池モジュール3のそれぞれは、CMU(Cell Monitoring Unit)等の電池監視部(図示しない)を備える。電池モジュール3のそれぞれの電池監視部は、プロセッサ又は集積回路、及び、メモリ等の記憶媒体を備える。電池モジュール3のそれぞれの電池監視部では、プロセッサ又は集積回路は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイコン、FPGA(Field Programmable Gate Array)、及び、DSP(Digital Signal processor)等のいずれかを含む。電池モジュール3のそれぞれの電池監視部は、プロセッサ等を1つのみ備えてもよく、プロセッサ等を複数備えてもよい。
【0012】
ある一例では、電池モジュール3のそれぞれでは、電池監視部によって、その電池モジュール3を形成する電池セルのそれぞれの電圧、電流及び温度等のいずれかが監視される。また、電池モジュール3のそれぞれでは、電池監視部によって、その電池モジュール3全体での電圧及びその電池3モジュール温度等が監視されてもよい。電池モジュール3のそれぞれの電池監視部は、他の電池モジュール3の電池監視部と通信可能であり、情報交換可能である。
【0013】
また、蓄電装置1には、BMU(Battery Management Unit)である電池管理部7が設けられる。電池管理部7は、プロセッサ又は集積回路、及び、メモリ等の記憶媒体を備える。電池管理部7では、プロセッサ又は集積回路は、CPU、ASIC、マイコン、FPGA、及び、DSP等のいずれかを含む。電池管理部7は、プロセッサ等を1つのみ備えてもよく、プロセッサ等を複数備えてもよい。電池管理部7は、蓄電装置1全体を制御及び管理する。電池管理部7は、電池モジュール3の電池監視部と通信可能であり、情報交換可能である。電池管理部7は、電池モジュール3のそれぞれの電池監視部で監視されている電圧、電流及び温度等に関する情報を、取得する。
【0014】
図1の一例では、蓄電装置1の主回路5において、2つの電池モジュール3の間に、ヒューズ8が配置される。ヒューズ8は、2つの電池モジュール3に対して、電気的に直列に接続される。主回路5に過度の大電流が流れると、ヒューズ8が溶断される。ヒューズ8が溶断されることにより、主回路5は電流が流れない開状態になる。ヒューズ8は、前述のように溶断されると、溶断されたことを示す接点信号を電池管理部7に出力する。
【0015】
また、
図1の一例では、蓄電装置1に通信線等を介して上位の処理装置11が接続可能である。処理装置11は、例えば、蓄電装置1の外部のサーバ等である。処理装置11は、蓄電装置1に接続された状態において、電池管理部7と通信可能であり、情報交換可能である。処理装置11には、例えば、電池モジュール3のいずれかにおいて電圧の異常が発生していること、及び、ヒューズ8が溶断していること等が、電池管理部7から通知される。
【0016】
また、蓄電装置1には、主回路5を流れる電流を検知する電流センサ12が設けられる。これにより、主回路5が外部端子6を介して外部の負荷に接続される状態では、電池モジュール3から負荷に出力される電流を、電流センサ12によって検知可能となる。そして、主回路5が外部端子6を介して外部の電源に接続される状態では、電源から電池モジュール3に入力される電流を、電流センサ12によって検知可能となる。電池管理部7は、電流センサ12での検知結果を取得する。
【0017】
蓄電装置1では、2つのコンタクタ15,16が、主回路5に配置される。主回路5では、コンタクタ(第2のコンタクタ)16は、コンタクタ(第1のコンタクタ)15に対して電気的に並列に配置される。コンタクタ15,16のそれぞれは、電流を通す通電状態(オン状態)と電流を遮断する非通電状態(オフ状態)との間で切替わり可能である。
【0018】
図2は、2つのコンタクタ15,16の一方の構成の一例を概略的に示す。なお、本一例では、2つのコンタクタ15,16の他方の構成も、
図2の一例の構成と同様になるものとする。
図2の一例では、コンタクタ15,16のそれぞれは、固定部21、及び、固定部21に対して移動可能な可動部22を備える。そして、固定部21は、固定接点23を備え、可動部22は、可動接点25を備え、コンタクタ15,16のそれぞれでは、可動接点25の移動方向(矢印Mで示す方向)が規定される。コンタクタ15,16のそれぞれは、可動接点25が固定接点23に接触することにより、非通電状態から通電状態に切替わる。
【0019】
また、コンタクタ15,16のそれぞれは、バネ部材26及びコイル27を備え、コンタクタ15,16のそれぞれでは、バネ部材26によって、可動接点25が固定接点23に接触しない状態に付勢される。このため、コンタクタ15,16のそれぞれは、バネ部材26によって、非通電状態に付勢される。また、コンタクタ15,16のそれぞれは、コイル27に電力が供給されることにより、励磁される。コイル27への電力の供給によって励磁されることにより、コンタクタ15,16のそれぞれでは、バネ部材26による付勢に反して可動部22が移動し、可動接点25が固定接点23に接触する。これにより、コンタクタ15,16のそれぞれは、バネ部材26による付勢に反して、非通電状態から通電状態に切替わる。
【0020】
なお、コンタクタ15,16のそれぞれは、
図2の一例の構成に限るものではない。すなわち、コンタクタ15,16のそれぞれは、可動接点25が固定接点23に接触しない非通電状態に付勢される。そして、電力の供給によって励磁されることにより、コンタクタ15,16のそれぞれでは、付勢に反して可動接点25が固定接点23に接触する。これにより、コンタクタ15,16のそれぞれは、通電状態に切替わる。
【0021】
また、蓄電装置1では、コンタクタ(第1のコンタクタ)15の可動接点25の移動方向は、コンタクタ(第2のコンタクタ)16の可動接点25の移動方向とは異なることが、好ましい。
図3は、蓄電装置1において2つのコンタクタ15,16のそれぞれが設置される姿勢の一例を示す。
図3の一例では、コンタクタ15の可動接点25の移動方向(矢印M1で示す方向)は、コンタクタ16の可動接点25の移動方向(矢印M2で示す方向)に対して交差し、コンタクタ16の可動接点25の移動方向に対して直交又は略直交する。別のある一例では、コンタクタ16の可動接点25の移動方向がコンタクタ15の可動接点25の移動方向に対して傾斜する状態で、コンタクタ15,16が蓄電装置1に設置される。この場合、コンタクタ16の可動接点25の移動方向は、コンタクタ15の可動接点25の移動方向に対して、例えば、45°又は略45°の角度を成す。
【0022】
また、電池管理部7は、コンタクタ15,16のそれぞれへの電力の供給を制御し、コンタクタ15,16のそれぞれの動作を制御する。コンタクタ15,16のそれぞれは、電池管理部7から電力が供給されることにより、前述のように励磁され、非通電状態から通電状態に切替わる。
【0023】
ここで、蓄電部2を形成する1つ以上の電池モジュール3には、コンタクタ15,16の少なくとも一方が通電状態になることにより、主回路5を通して電流が流れる。このため、コンタクタ15,16の少なくとも一方が通電状態になることにより、電池モジュール3から主回路5を通して電流を出力可能になるとともに、電池モジュール3へ主回路5を通して電流を入力可能となる。主回路5では、コンタクタ15のみが通電状態の場合、コンタクタ16のみが通電状態の場合、及び、コンタクタ15,16の両方が通電状態の場合で、電流が流れる電気経路が、互いに対して異なる。蓄電装置1では、コンタクタ15,16及びコンタクタ15,16の動作を制御する電池管理部7等によって、主回路5において電流が流れる電気経路を切替える電気経路切替えユニット10が、形成される。
【0024】
また、
図1の一例の蓄電装置1では、電池管理部7からコンタクタ16への電力の供給経路に、電気経路切替えユニット10の一部として、遅延回路17が配置される。遅延回路17が設けられることにより、電池管理部7からコンタクタ15,16へ同時に電力が出力されても、電力がコンタクタ(第1のコンタクタ)15に入力されるタイミングに対して、電力がコンタクタ(第2のコンタクタ)16に入力されるタイミングが、遅延する。
【0025】
図4は、遅延回路17の一例を示す。
図4の一例では、遅延回路17は、抵抗31、コンデンサ32及び還流ダイオード33から形成される。そして、還流ダイオード33は、抵抗31に電気に並列に接続され、抵抗31のコンタクタ16側(出力側)の接続端とグランドとの間に、コンデンサ32が配置される。なお、電池管理部7からコンタクタ16への電力の供給経路に設けられる遅延回路17の構成は、
図4の一例の構成に限るものではない。
【0026】
また、蓄電装置1には、電気経路切替えユニット10の一部として、衝撃センサ18が設けられる。衝撃センサ18は、蓄電装置1が受ける衝撃に関するパラメータを検知する。ある一例では、コンタクタ15の可動接点25の移動方向に作用する衝撃に関するパラメータとして、衝撃センサ18は、コンタクタ15の可動接点25の移動方向についての加速度を検知する。電池管理部7は、衝撃センサ18での検知結果に基づいて、コンタクタ15,16のそれぞれの動作を制御する。
【0027】
図5は、電池管理部7によって行われるコンタクタ15,16のそれぞれの動作制御の一例を示す。
図5の一例に示す処理は、コンタクタ(第1のコンタクタ)15の通電状態、かつ、コンタクタ(第2のコンタクタ)16の非通電状態において、定期的に行われる。
図5の一例の処理を開始すると、電池管理部7は、衝撃に関するパラメータの衝撃センサ18での検知結果を取得する(S101)。そして、電池管理部7は、衝撃センサ18で検知したパラメータが許容限界値を超えたか否かを判定する(S102)。
【0028】
検知されたパラメータが許容限界値以下の場合は(S102-No)、電池管理部7は、コンタクタ15を通電状態で維持し(S103)、コンタクタ16を非通電状態で維持する(S104)。一方、検知されたパラメータが許容限界値を超えた場合は(S102-Yes)、電池管理部7は、コンタクタ15への電力の供給を停止し、コンタクタ15を非通電状態に切替える(S105)。そして、電池管理部7は、コンタクタ16へ電力を供給し、コンタクタ16を通電状態へ切替える(S106)。
【0029】
なお、ある一例では、S102の処理の代わりに、電池管理部7は、衝撃センサ18でのパラメータの検知結果から、リアルタイムより後におけるパラメータの時間変化を予測する。そして、電池管理部7は、リアルタイムより後においてパラメータが許容値を超えるか否かを予測する。この際、電池管理部7は、例えば、衝撃センサ18で検知されたパラメータの時間変化から、パラメータの時間増加率等を算出する。そして、電池管理部7は、算出した時間増加率等に基づいて、リアルタイムより後においてパラメータが許容値を超えるか否かを予測する。パラメータが許容限界値を超えない予測をした場合は、電池管理部7は、コンタクタ15を通電状態で維持し、コンタクタ16を非通電状態で維持する。一方、パラメータが許容限界値を超える予測をした場合は、電池管理部7は、コンタクタ15を非通電状態に切替え、コンタクタ16を通電状態へ切替える。
【0030】
また、別のある一例では、電池管理部7は、衝撃センサ18で検知したパラメータが許容限界値を超えたか否かを判定するとともに、衝撃センサ18でのパラメータの検知結果から、リアルタイムより後におけるパラメータの時間変化を予測する。この場合、電池管理部7は、パラメータが許容限界値を超えたこと、及び、パラメータが許容限界値を超える予測をしたことのいずれかに基づいて、コンタクタ15を非通電状態に切替え、コンタクタ16を通電状態へ切替える。
【0031】
図6は、衝撃センサ18で検知されるパラメータの時間変化の一例を示す。
図6の一例では、衝撃に関するパラメータとして、コンタクタ15の可動接点25の移動方向についての加速度αが、衝撃センサ18によって検知される。
図6では、横軸に時間を示し、縦軸に加速度αを示す。また、加速度αは、コンタクタ15の可動接点25の移動方向の一方側を正側とし、かつ、正側とは反対側を負側として示される。
図6の一例では、時間t1において、蓄電装置1に衝撃が発生する。そして、時間t1以後において、加速度αは、正側及び負側へ振動する状態で経時的に変化し、加速度αの振動の大きさ|α|は、経時的に増加する。そして、時間t1より後の時間t2において、加速度αの大きさ|α|が許容限界値αlimまで増加する。
【0032】
ここで、コンタクタ15の通電状態、かつ、コンタクタ16の非通電状態において、時間t1で蓄電装置1に衝撃が発生したとする。ある一例では、時間t2又はその直後において、電池管理部7は、衝撃に関するパラメータである加速度αが許容限界値αlimを超えたと判定する。そして、時間t2又はその直後において、電池管理部7は、コンタクタ15への電力の出力を停止し、コンタクタ16への電力の出力を開始する。別のある一例では、時間t1と時間t2との間の時間t3において、電池管理部7は、時間t3より後に加速度αが許容限界値αlimを超えることを予測する。そして、時間t3又はその直後において、電池管理部7は、コンタクタ15への電力の出力を停止し、コンタクタ16への電力の出力を開始する。
【0033】
前述のように、本実施形態では、コンタクタ15の通電状態、かつ、コンタクタ16の非通電状態において、電池管理部7は、衝撃に関するパラメータの衝撃センサ18での検知結果がパラメータの許容限界値に対応した所定の条件を満たしたか否かを、判定する。そして、電池管理部7は、パラメータの検知結果が許容限界値に対応した所定の条件を満たしたことに基づいて、コンタクタ15を非通電状態に切替え、コンタクタ16を通電状態へ切替える。
【0034】
図7は、衝撃が発生した場合のコンタクタ15,16のそれぞれの動作の時間変化の一例を示す。
図7では、横軸が時間を示す。そして、
図7では、縦軸が、コンタクタ15,16のそれぞれのオンオフを、すなわち、コンタクタ15,16のそれぞれが通電状態(オン状態)及び非通電状態(オフ状態)のいずれであるかを示す。
図7の一例では、コンタクタ15の通電状態、かつ、コンタクタ16の非通電状態において、時間t4で蓄電装置1に衝撃が発生する。そして、時間t4より後の時間t5において、電池管理部7は、衝撃に関するパラメータが許容限界値に対応した所定の条件を満たしたことに基づいて、コンタクタ15への電力の出力を停止し、コンタクタ16への電力の出力を開始する。ここで、時間t4から時間t5までの間の時間は、衝撃が発生してから発生した衝撃に対応する指令が電池管理部7から出力されるまでの時間に相当する。
【0035】
図7の一例では、時間t5より後の時間t6において、コンタクタ15は、電池管理部7からの電力の入力が停止されたことに対応して、非通電状態になる。時間t5から時間t6までの間の時間は、コンタクタ15の反応時間に相当する。
【0036】
また、
図7の一例では、時間t6より後の時間t7において、電池管理部7からの電力のコンタクタ16への入力が、開始される。ここで、本実施形態では、電池管理部7からコンタクタ16への電力の供給経路に、前述のように遅延回路17が配置される。このため、電池管理部7からコンタクタ16への電力の出力開始のタイミングが、電池管理部7からコンタクタ16への電力の出力停止のタイミングと同時又はほぼ同時でも、コンタクタ16への電力の入力が開始されるタイミングは、コンタクタ15への電力の入力が停止されるタイミングに比べて、遅延する。このため、
図7の一例では、コンタクタ15が非通電状態に切替わった時間t6より後の時間t7で、コンタクタ16への電力の入力が開始される。
【0037】
また、
図7の一例では、時間t7より後の時間t8において、コンタクタ16は、電池管理部7からの電力の入力が開始されたことに対応して、通電状態になる。時間t7から時間t8までの間の時間は、コンタクタ16の起動時間に相当する。
【0038】
前述のようにコンタクタ15,16のそれぞれが動作することにより、
図7の一例では、時間t6から時間t8までの間において、主回路5に電流が流れない瞬停状態が発生する。すなわち、
図7の一例では、時間t6から時間t8までの間が、瞬停状態が継続される時間である瞬停時間に相当する。また、
図7の一例では、コンタクタ15が非通電状態に切替わった時点である時間t6から規定時間Tref経過するまでの間に、コンタクタ16が通電状態に切替わる。すなわち、時間t6から時間t6+Trefまでの間の時間t8において、コンタクタ16が通電状態に切替わる。
【0039】
また、本実施形態の蓄電装置1は、コンタクタ15,16の両方を通電状態にして、使用可能である。この場合、コンタクタ15,16を非通電状態から通電状態へ切替える必要がある。
図8は、2つのコンタクタ15,16の両方を非通電状態から通電状態に切替える場合の、コンタクタ15,16のそれぞれの動作の時間変化の一例を示す。
図8では、横軸が時間を示し、縦軸がコンタクタ15,16のそれぞれのオンオフを示す。また、
図9は、
図8の一例のようにコンタクタ15,16のそれぞれの動作が経時的に変化した場合の、コンタクタ15,16のそれぞれでの消費電流の時間変化を示す。
図9では、横軸が時間を、縦軸が消費電流を示す。また、
図8及び
図9のそれぞれでは、コンタクタ15についての時間変化を実線で、コンタクタ16についての時間変化を破線で示す。
【0040】
図8及び
図9の一例では、コンタクタ15,16の非通電状態において、時間t9で、電池管理部7からコンタクタ15,16へ電力が同時に出力される。そして、時間t9より後の時間t10において、コンタクタ16は、電池管理部7からの電力の入力が開始されたことに対応して、通電状態になる。本実施形態では、コンタクタ15,16へ電池管理部7から同時に出力されても、遅延回路17によって、コンタクタ16への電力の入力が開始されるタイミングは、コンタクタ15への電力の入力が開始されるタイミングに比べて、遅延する。
図8及び
図9の一例では、時間t10より後の時間t11において、コンタクタ15は、電池管理部7からの電力の入力が開始されたことに対応して、通電状態になる。
【0041】
また、
図9等に示すように、コンタクタ15,16のそれぞれでは、非通電状態において、消費電流は0又は略0となる。そして、コンタクタ15,16のそれぞれでは、非通電状態から通電状態への切替わりにおいて、付勢に反して可動部22を移動させるため、消費電流が極大となる。また、コンタクタ15,16のそれぞれでは、通電状態に切替わった後に通電状態で維持されている間は、移動させた位置で可動部22を維持するため、電流が消費される。ただし、コンタクタ15,16のそれぞれでは、通電状態で維持される間の消費電流は、非通電状態から通電状態への切替わりにおける消費電流に比べて、小さい。
【0042】
本実施形態では、コンタクタ15,16の非通電状態において、電池管理部7からコンタクタ15,16へ電力が同時に出力されても、遅延回路17によって、コンタクタ16が通電状態に切替わるタイミングは、コンタクタ15が通電状態に切替わるタイミングに比べて、遅延する。このため、コンタクタ16での消費電流が極大(ピーク)となるタイミングは、コンタクタ15での消費電流が極大となるタイミングに対して、遅延する。したがって、コンタクタ15での消費電流のピークが、コンタクタ16での消費電流のピークと、時間的に重ならない。
【0043】
前述のように本実施形態では、コンタクタ15,16が、主回路5において互いに対して電気的に並列に配置され、衝撃に関するパラメータを検知する衝撃センサ18が、蓄電装置1に設けられる。そして、コンタクタ15の通電状態、かつ、コンタクタ16の非通電状態では、電池管理部7は、衝撃センサ18での検知結果がパラメータの許容限界値に対応した所定の条件を満たしたことに基づいて、コンタクタ16を通電状態に切替える。このため、強い衝撃を受けた場合等は、電池管理部7は、衝撃センサ18での検知結果に対応させて、コンタクタ16を適切に通電状態に切替える。これにより、衝撃によってコンタクタ15が非通電状態で維持されても、電池管理部7によってコンタクタ16が通電状態に切替わることにより、主回路5に電流が流れ、主回路5に電流が流れない瞬停状態が終了する。すなわち、本実施形態では、衝撃に起因して主回路5の瞬停状態が発生しても、瞬停時間が短く抑えられる。
【0044】
また、本実施形態では、電池管理部7は、コンタクタ15の通電状態、かつ、コンタクタ16の非通電状態において、衝撃センサ18が検知したパラメータが許容限界値を超えたこと、及び、衝撃センサ18でのパラメータの検知結果からパラメータが許容限界値を超える予測をしたことのいずれかに基づいて、コンタクタ16を通電状態に切替える。したがって、蓄電装置1が強い衝撃を受けた場合に、適切にコンタクタ16が非通電状態から通電状態に切替えられる。これにより、衝撃に起因して主回路5の瞬停状態が発生しても、瞬停時間が適切に短く抑えられる。例えば、衝撃に起因してコンタクタ15が非通電状態に切替わった時点から規定時間Tref経過するまでの間に、コンタクタ16が通電状態に切替えられる。これにより、衝撃に起因して発生した瞬停状態の瞬停時間が、適切に規定時間Trefより短く抑えられる。
【0045】
また、本実施形態では、遅延回路17が設けられるため、コンタクタ15,16の非通電状態において、電池管理部7からコンタクタ15,16へ電力が同時に出力されても、前述のように、コンタクタ16での消費電流が極大となるタイミングが、コンタクタ15での消費電流が極大となるタイミングに対して、遅延する。これにより、コンタクタ15,16の両方を通電状態に切替える場合でも、電池管理部7からコンタクタ15,16への電力について、容量が不足することが有効に防止される。
【0046】
また、実施形態のある一例では、コンタクタ15,16において、可動接点25の移動方向が、互いに対して異なる。このため、コンタクタ15への衝撃の影響が大きい場合でも、コンタクタ16への衝撃の影響は、低減される。したがって、衝撃によってコンタクタ15が非通電状態で維持されても、コンタクタ16は、電池管理部7による制御によって、適切に動作する。
【0047】
なお、蓄電装置1及び電気経路切替えユニット10において、コンタクタ15,16の両方を通電状態にして使用することがない場合は、遅延回路17は、必ずしも設ける必要はない。また、コンタクタ15の可動接点25の移動方向は、コンタクタ16の可動接点25の移動方向に対して、必ずしも異なる必要はない。すなわち、実施形態及びその変形例では、衝撃センサ18での検知結果に対応させて、前述のようにコンタクタ15,16のそれぞれの動作が制御されればよい。
【0048】
これらの少なくとも一つの実施形態又は実施例によれば、第2のコンタクタは、主回路において第1のコンタクタに対して電気的に並列に配置され、衝撃センサは、衝撃に関するパラメータを検知する。電池管理部は、第1のコンタクタの通電状態、かつ、第2のコンタクタの非通電状態において、衝撃センサでの検知結果がパラメータの許容限界値に対応した所定の条件を満たしたことに基づいて、第2のコンタクタを通電状態に切替える。これにより、衝撃に起因して主回路の瞬停状態が発生しても、瞬停時間を短く抑えることが可能な電気経路切替えユニット及び蓄電装置を提供することができる。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1…蓄電装置、2…蓄電部、3…電池モジュール、5…主回路、7…電池管理部、10…電気経路切替えユニット、15…コンタクタ(第1のコンタクタ)、16…コンタクタ(第2のコンタクタ)、17…遅延回路、18…衝撃センサ、23…固定接点、25…可動接点。