(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076575
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】遊技球揚送装置
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240530BHJP
【FI】
A63F7/02 301C
A63F7/02 307B
A63F7/02 346A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188181
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】320002913
【氏名又は名称】株式会社イチネン製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 和三
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BA56
2C088BA61
(57)【要約】
【課題】遊技球を滞りなく発射装置に供給可能な遊技球揚送装置を提供する。
【解決手段】 遊技球揚送装置1は、第一通路P1の端部とスパイラルシャフト40の下端へ向かう第二通路P2の端部との間に設けられ、第一通路P1へ導かれた遊技球PBを一つずつ前記スパイラルシャフト40の下端へ送る規制装置50を備える。規制装置50は、所定の方向へ回転可能に支持された回転体52であって、その外周部に1つの遊技球PBを受容可能な受容部を有し、前記受容部が第一通路P1側へ向けられた状態で当該受容部内に1つの遊技球PBが導入され、前記所定の方向へ回転して、前記受容部が第二通路P2側へ向けられた状態で前記受容部内の遊技球PBが第二通路P2へ送り出されるように構成された回転体52と、前記受容部が前記第一通路側へ向けられている期間に比べて、前記受容部が前記第一通路側へ向けられていない期間に比べて長くなるように、前記回転体を間欠的に回転させる間欠回転装置と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の発射装置から発射された後に回収されて前記発射装置の下方に設けられた第一通路に導かれた遊技球を再び前記発射装置へ送る遊技球揚送装置であって、
上下方向に延設された軸状部材であって、その外周面に螺旋状の溝部を有し、当該溝部内に螺旋状に収容可能であるスパイラルシャフトと、
前記スパイラルシャフトを回転駆動する駆動装置と、
前記第一通路の端部と前記スパイラルシャフトの下端へ向かう第二通路の端部との間に設けられ、前記第一通路へ導かれた遊技球を一つずつ前記スパイラルシャフトの下端へ送る規制装置と、
を備え、
前記規制装置は、
所定の方向へ回転可能に支持された回転体であって、その外周部に1つの遊技球を受容可能な受容部を有し、前記受容部が前記第一通路側へ向けられた状態で当該受容部内に1つの前記遊技球が導入され、前記所定の方向へ回転して、前記受容部が前記第二通路側へ向けられた状態で前記受容部内の遊技球が前記第二通路へ送り出されるように構成された回転体と、
前記受容部が前記第一通路側へ向けられている期間に比べて、前記受容部が前記第一通路側へ向けられていない期間に比べて長くなるように、前記回転体を間欠的に回転させる間欠回転装置と、
を備える、遊技球揚送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技球揚送装置において、
前記間欠回転装置は、前記スパイラルシャフトが一回転するごとに、所定角度だけ前記回転体を回転させるように構成されている、遊技球揚送装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の遊技球揚送装置において、
前記間欠回転装置は、ゼネバ機構を含む、遊技球揚送装置。
【請求項4】
請求項3に記載の遊技球揚送装置において、
前記駆動装置は、前記スパイラルシャフトを回転させるとともに、減速機構を介して、前記ゼネバ機構の初段の回転体を回転させる、遊技球揚送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の発射装置から発射された後に前記発射装置の下方に導かれた遊技球を前記発射装置へ送る遊技球揚送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機の発射装置から発射された後に前記発射装置の下方に位置する第一通路へ導かれた遊技球を前記発射装置へ送る遊技球揚送装置が提案されている(下記特許文献1を参照。)。特許文献1の遊技球揚送装置(以下、「従来装置」と称呼する。)は、上下方向に延びるスパイラルシャフトを備える。スパイラルシャフトは、その外周面に螺旋状の鍔部を有する。言い換えれば、スパイラルシャフトは、螺旋状の溝部を有する。また、この従来装置は、スパイラルシャフトに対し平行に延びるガイドレールを備える。スパイラルシャフトは、電動モーターにより所定方向へ一定速度で回転駆動される。発射装置の下方に導かれた遊技球が、スパイラルシャフトの下端に供給される。そして、この遊技球がスパイラルシャフトの溝部に入り込む。、スパイラルシャフトの回転に伴い、遊技球がガイドレールに沿って上昇し、発射装置へ導かれる。
【0003】
上記の従来装置において、スパイラルシャフトの下端へ向かって延びる通路の途中(第一通路の端部と、スパイラルシャフトの下端へ向かう第二通路の端部との間)に、遊技球を1つずつスパイラルシャフトの下端へ送るために、遊技球の進行を規制する規制装置(ゲート装置)が設けられている。この規制装置は、上下方向に延びる軸の周りに回転可能に支持された回転体を有する。この回転体の外周面には、複数の受容部が設けられている。これらの受容部は、回転体の周方向に等間隔に設けられている。1つの受容部に1つの遊技球を収容可能である。1つの受容部が第一通路の端部側へ向けられた状態で、当該受容部に遊技球が導入される。そして、回転体が回転し、当該受容部が第二通路の端部側へ向けられた状態で、当該受容部から遊技球が第二通路へ送り出される。すなわち、遊技球が、自重及び/又は遠心力により、受容部から転がり出て、第二通路に沿って進行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
上記従来装置の規制装置の回転体は、一定の回転速度で回転している。そのため、遊技球が第一通路側へ向けられていて確実に遊技球を受容できる期間が極めて短い。言い換えれば、回転体の側面部(隣接する2つの受容部の間の仕切り壁)に遊技球が跳ね返されてしまい、遊技球が適切に受容されない場合がある。よって、発射装置への送球が停滞する虞がある。
【0006】
本発明の目的は、遊技球を滞りなく発射装置に供給可能な遊技球揚送装置を提供することにある。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の各構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る遊技球揚送装置(1)は、遊技機(PM)の発射装置(BS)から発射された後に回収されて前記発射装置の下方に設けられた第一通路(P1)に導かれた遊技球(PB)を再び前記発射装置へ送る。
この遊技球揚送装置は、上下方向に延設された軸状部材であって、その外周面に螺旋状の溝部(43)を有し、当該溝部内に螺旋状に収容可能であるスパイラルシャフト(40)と、前記スパイラルシャフトを回転駆動する駆動装置(20)と、前記第一通路の端部と前記スパイラルシャフトの下端へ向かう第二通路(P2)の端部との間に設けられ、前記第一通路へ導かれた遊技球を一つずつ前記スパイラルシャフトの下端へ送る規制装置(50)と、を備える。
前記規制装置は、所定の方向へ回転可能に支持された回転体(522)であって、その外周部に1つの遊技球を受容可能な受容部(Ra)を有し、前記受容部が前記第一通路側へ向けられた状態で当該受容部内に1つの前記遊技球が導入され、前記所定の方向へ回転して、前記受容部が前記第二通路側へ向けられた状態で前記受容部内の遊技球が前記第二通路へ送り出されるように構成された回転体と、前記受容部が前記第一通路側へ向けられている期間に比べて、前記受容部が前記第一通路側へ向けられていない期間に比べて長くなるように、前記回転体を間欠的に回転させる間欠回転装置(51,523)と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る遊技球揚送装置において、前記間欠回転装置は、前記スパイラルシャフトが一回転するごとに、所定角度だけ前記回転体を回転させるように構成されている。
【0009】
本発明の他の態様に係る遊技球揚送装置において、前記間欠回転装置は、ゼネバ機構を含む。
【0010】
本発明の他の態様に係る遊技球揚送装置において、前記駆動装置は、前記スパイラルシャフトを回転させるとともに、減速機構を介して、前記ゼネバ機構の初段の回転体を回転させる。
【0011】
本発明に係る遊技球揚送装置において、受容部が第一通路の端部へ向けられている期間がその他の期間に比べて長くなるように、回転体が間欠的に回転する。したがって、発射装置から発射された遊技球が第一通路に戻ってきたタイミングにおいて、受容部が第一通路側へ向けられている可能性が、従来装置に比べて高い。したがって、遊技球が滞りなく受容部に受容され、その後、第二通路へ送り出される。よって、本発明によれば、遊技球を滞りなく発射装置に供給可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る遊技球揚送装置が適用されたパチンコ機の斜視図である。
【
図7】遊技球が第一通路から第二通路へ送られる様子を示す平面図である。
【
図8】回転体が間欠的に回転する様子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態に係る遊技球揚送装置1について説明する。まず、遊技球揚送装置1が適用された遊技機としてのパチンコ機PMの概略について説明しておく。パチンコ機PMは、
図1に示したように、鉛直方向に延びる略直方体状の装置である。以下の説明において、パチンコ機PMの高さ方向(鉛直方向)を上下方向と呼ぶ。また、パチンコ機PMの幅方向を左右方向と呼び、パチンコ機PMの奥行き方向を前後方向と呼ぶ。
【0014】
パチンコ機PMは、同図に示すように、遊技盤BD、発射装置BSなどを備える。遊技盤BDは、上下方向に延びる略長方形の板状部材である。遊技盤BDは、遊技者に対向するように配置されている。すなわち、遊技盤BDの板厚方向が前後方向に一致している。
【0015】
発射装置BSは、遊技盤BDの下方に配置されている。発射装置BSは、遊技球PBを1球ずつ遊技盤BDへ向けて発射する。この発射装置BSの近傍に、本実施形態の遊技球揚送装置1(
図2参照)が配置される。
【0016】
つぎに、遊技球揚送装置1の構成について説明する。遊技球揚送装置1は、
図2に示したように、フレーム10、電動モーター20、減速装置30、スパイラルシャフト40及び規制装置50を備える。
【0017】
フレーム10は、後述する電動モーター20、減速装置30、スパイラルシャフト40及び規制装置50を支持する支持部材である。フレーム10は、上下方向に延設されている。フレーム10は、合成樹脂製である。フレーム10の各部が別部品として製造され、それらが組み合わせられて、フレーム10が形成されている。
【0018】
電動モーター20は、フレーム10の底板部11の上面に固定されている。電動モーター20の駆動軸21が、底板部11に設けられた貫通孔に挿入され、底板部11の下面側へ突出している。電動モーター20に、一定の電力が供給される。これにより、電動モーター20の駆動軸21が一定速度で回転する。
【0019】
減速装置30は、底板部11の下面側に設けられている。減速装置30は、
図3に示したように、複数の平歯車(第一歯車31、第二歯車32、第三歯車33及び第四歯車34)から構成される。これらの歯車は、上下方向に延びる軸(フレーム10の構成部品)の周りに回転可能に支持されている。第一歯車31は、駆動軸21の先端に組付けられている。また、第四歯車34が、後述するスパイラルシャフト40の下端に組付けられている。電動モーター20の回転駆動力が、第一歯車31、第二歯車32、第三歯車33及び第四歯車34を介して、スパイラルシャフト40に伝達される。
【0020】
スパイラルシャフト40は、
図4に示したように、上下方向に延びる軸部41と、軸部41の外周面に沿って設けられた螺旋状の鍔部42を備える。言い換えれば、スパイラルシャフト40の外周面には、上下方向に延びる螺旋状の溝部43が形成されている。溝部43の溝幅は、遊技球PBの直径より少し大きい。溝部43の溝深さは、遊技球PBの直径より小さい。
【0021】
規制装置50は、周知のゼネバ機構を含む。すなわち、規制装置50は、
図5に示したように、ゼネバ歯車51及び回転体52から構成されている。ゼネバ歯車51は、平歯車であり、上下方向に延びる軸の周りに回転可能に支持されている。ゼネバ歯車51の歯数は、第四歯車34の歯数と同一である。つまり、両歯車のギア比は1:1である。
【0022】
ゼネバ歯車51の上面の中心部を通る直線を境界とする2つの略半円状の領域のうちの第一領域には、平面視において半円状を呈する凸部51aが形成されている(
図8を参照)。凸部51aの中心軸と、ゼネバ歯車51の中心軸とが同軸配置されている。
【0023】
また、ゼネバ歯車51の上面の領域のうち凸部51aが設けられた第一領域とは反対側の第二領域には、円柱状の凸部51bが設けられている。凸部51bは、平面視において凸部51aの周方向における中央部とゼネバ歯車51の中心を結ぶ直線上に配置されている。凸部51bは、ゼネバ歯車51の外周縁部に配置されている。
【0024】
回転体52は、支持板部521、上半部522及び下半部523を有し、これらが一体的に形成されている。支持板部521は、平面視において円形を呈する板状部である。
【0025】
上半部522は、
図6A及び
図6Bに示したように、支持板部521の上面に形成されている。上半部522は、平面視において、略十字形を呈する。上半部522は、支持板部521に対して同軸配置されている。上半部522の外周面部に4個の凹部Raが形成されている。凹部Raの壁面は、支持板部521の上面に対して垂直であり、且つ平面視において、上半部522の中心部側へ凹んでいる。凹部Raの曲率半径(湾曲の度合)は、遊技球PBの半径と略同一である。凹部Raに1つの遊技球PBの一部を収容可能である。凹部Raは、本発明の受容部に相当する。
【0026】
下半部523は、支持板部521の下面に形成されている。下半部523は、支持板部521の径方向にそれぞれ延びる4個の溝部GPを有する。これらの溝部GPは、支持板部521の周方向に等間隔に配置されている。溝部GPの溝幅は、凸部51bの直径よりと略同一である。下半部523の外周面であって、下半部523の周方向に隣り合う2つの溝部GPの間に位置する部分に、凹部Rbがそれぞれ形成されている。凹部Rbの壁面は、支持板部521の下面に対して垂直であり、且つ平面視において、下半部523の中心部側へ凹んでいる。凹部Rbの曲率半径(湾曲の度合)は、ゼネバ歯車51の凸部51aの外周面の半径と略同一である。凹部Rbと凸部51aとが嵌合可能なように、ゼネバ歯車51と回転体52とが配置されている。
【0027】
図7に示したように、フレーム10の底板部11の上面には、遊技球PBをスパイラルシャフト40の下端へ導くための第一通路P1及び第二通路P2が形成されている。第一通路P1及び第二通路P2の通路幅及び高さは、遊技球PBの直径より少し大きい。第一通路P1は、略前後方向に延設され、第二通路P2は略左右方向に延設されている。上記構成の規制装置50の上半部522が、第一通路P1と第二通路P2との間に位置するように、規制装置50が配置されている。すなわち、ゼネバ歯車51及び下半部523は、底板部11の下面側に位置している。そして、ゼネバ歯車51が、第四歯車34に噛み合っている。すなわち、ゼネバ歯車51は、スパイラルシャフト40と同様に、電動モーター20によって回転駆動される。
【0028】
つぎに、
図8を参照して、回転体52の回転の態様について説明する。なお、
図8は、規制装置50の平面図であるが、この図において、回転体52の支持板部521及び上半部522を省略して、ゼネバ歯車51と回転体52の下半部523との嵌合部位に注目している。
【0029】
図8(A)に示したように、ゼネバ歯車51の凸部51bが溝部GPに入り込んだとき、凹部Rbと凸部51aとが嵌合していない。よって、回転体52の回転が許容されている。
図8(B)に示したように、凸部51bが溝部GPに嵌合した状態でゼネバ歯車51が平面視において反時計回りに回転することにより、凸部51bが溝部GPの側壁部を回転体52の周方向へ押圧する。したがって、回転体52が平面視において時計回りに回転する。ゼネバ歯車51及び回転体52が90°回転すると、
図8(C)に示したように、凸部51bが溝部GPから離脱する。その時点で、凸部51aが凹部Rbに嵌合し始める、これにより、回転体52の回転が規制される。そして、ゼネバ歯車51が、さらに270°回転すると、
図8(A)の状態に戻る。
【0030】
このように、スパイラルシャフト40及びゼネバ歯車51が一回転する期間Tの1/4の期間に回転体52が90°だけ回転し、期間Tの残りの3/4の期間において、回転体52は静止している。つまり、回転体52は間欠的に回転する。なお、ゼネバ機構を構成するゼネバ歯車51は、一定速度で常に回転しているが、回転体52の回転速度は一定ではなく、回転角度位置に応じて変化する。具体的には、
図8(A)の状態から回転体52(下半部523)の回転速度が増大し、
図8(B)において最大になる。そして、
図8(B)の状態から回転体52(下半部523)の回転速度が減少し始め、
図8(C)において「0」になる。
【0031】
なお、本実施形態では、凸部51aが平面視において半円形を呈するように設定したが、凸部51aを周方向に少し延長し、平面視においてC字形を呈するように設定してもよい。これにより、凸部51bが溝部GPに嵌合した時点では凸部51aの端部が未だ凹部Rbに嵌合している。そして、この状態からゼネバ歯車51が少し回転した時点で、凸部51aが凹部Rbから離脱する。また、凸部51bが溝部GPから離脱する少し前の時点から凸部51aが凹部Rbに嵌合し始める。これにより、回転体52が回転し始める時点及び停止する時点の回転体52の回転方向のずれ(振れ)を抑制できる。なお、この場合、凸部51bの直径を、溝部GPの溝幅より少し小さく設定するとよい。
【0032】
発射装置BSから発射された遊技球PBが回収されて、遊技球揚送装置1の第一通路P1へ導かれる。規制装置50の上半部522が静止している期間において、
図7(A)に示したように、凹部Rbが第一通路P1の端部へ向けられている。そして、この状態では、上半部522の隣接する凹部Rbの間の壁部が、第一通路P1と第二通路P2との接続部(角部)内に進入している。そのため、当該接続部の幅が第一通路P1及び第二通路P2の他の部位の幅よりも狭くなっており、遊技球PBが当該部位を通過できない。
【0033】
凹部Rbに受容されるとともに第二通路P2へ進入が規制されていた遊技球PBは、
図7(A)の状態から回転体52が回転し始めることにより、上半部522によって第二通路P2側へ押される。そして、
図7(B)に示したように、凹部Rbが第二通路P2へ向けられた状態で、遊技球PBが自重及び遠心力により凹部Rbから転がり出て、第二通路P2に沿って進行する。すなわち、遊技球PBが凹部Rbから第二通路P2へ送り出される。なお、このタイミングにて回転体52の回転速度が最大になる。また、スパイラルシャフト40の鍔部42の上面と第二通路P2の上面とが略一致したタイミング(又は当該タイミングより少し前のタイミング(
図4を参照))にて、凹部Rbが第二通路P2に向けられるように、スパイラルシャフト40及び回転体52の回転方向の初期位置が設定されている。
【0034】
図7(A)の状態から回転体52が90°だけ回転すると、回転体52が停止し、
図7(A)に示した状態と同一の状態になる。そして、回転体52は、所定時間(=T×3/4)だけ静止する。このように、受容部Raが第一通路P1へ向けられている期間は、その他の期間(回転体52が90°回転する期間)に比べて長い。なお、回転体52が静止している期間内に第一通路P1に進入してきた遊技球PBは、第一通路P1内にて一列に並べられた状態で静止している。
【0035】
スパイラルシャフト40の下端へ向かって送り出された遊技球PBが、溝部43内へ入り込む。ここで、上記のように、溝部43の溝深さが、遊技球PBの直径より小さく設定されている。したがって、遊技球PBがスパイラルシャフト40の溝部43内に進入した状態において、遊技球PBの一部が露出(溝部43の外側へ突出)している(
図4を参照)。フレーム10には、スパイラルシャフト40に対して平行に延びる直線状のガイドレールGRが設けられている。遊技球PBの露出部が、ガイドレールGRに嵌合した状態で、スパイラルシャフト40が回転することにより、遊技球PBがガイドレールGRに沿って上方へ搬送(揚送)される。すなわち、ガイドレールGRにより、遊技球PBがスパイラルシャフト40の周方向へ移動する(滑り落ちる)ことが防止される。
【0036】
本実施形態に係る遊技球揚送装置1において、凹部Ra(受容部)が第一通路P1の端部へ向けられている期間がその他の期間に比べて長くなるように、回転体52が間欠的に回転する。したがって、発射装置BSから発射された遊技球PBが第一通路P1に戻ってきたタイミングにおいて、受容部Raが第一通路P1側へ向けられている可能性が、従来装置に比べて高い。言い換えれば、遊技球揚送装置1において、第一通路P1に戻ってきた遊技球PBを受容するために、受容部Raを第一通路P1側へ向けて待機している。したがって、遊技球PBが滞りなく受容部Raに受容され、その後、第二通路P2へ送り出される。よって、本実施形態によれば、遊技球PBを滞りなく発射装置BSに供給可能である。
【0037】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0038】
上記実施形態では、回転体52を間欠的に回転させるための機構としてゼネバ機構を採用しているが、これに代えて、その他の周知の機構を採用してもよい。例えば、ゼネバ機構に代えて、間欠歯車機構を採用してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…遊技球揚送装置、PB…遊技球、40…スパイラルシャフト、51…ゼネバ歯車、52…回転体、Ra…凹部、PM…パチンコ機