(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076582
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】飛しょう体の集団行動を判定するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
F41H 11/02 20060101AFI20240530BHJP
B64U 20/80 20230101ALI20240530BHJP
【FI】
F41H11/02
B64U20/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188190
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】安達 一斗
(57)【要約】
【課題】 複数の飛しょう体の集団を発見した場合、この集団が、共通の目的のために動作する複数の飛しょう体からなる集団であるか否かを判定すること。
【解決手段】 実施形態によれば、飛しょう体集団行動判定システムは、飛行中の飛しょう体に関するセンシング情報を取得するセンシング部によるセンシング結果に基づいて、複数の飛しょう体からなる集団を発見する集団発見部と、集団発見部によって発見された集団が、共通の目的のために動作する複数の飛しょう体からなる集団であるか否かを、センシング結果に基づいて判定する集団判定部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行中の飛しょう体に関するセンシング情報を取得するセンシング部によるセンシング結果に基づいて、複数の飛しょう体からなる集団を発見する集団発見部と、
前記集団発見部によって発見された集団が、共通の目的のために動作する複数の飛しょう体からなる集団であるか否かを、前記センシング結果に基づいて判定する集団判定部と
を備えた、飛しょう体集団行動判定システム。
【請求項2】
前記センシング部は、
前記飛行中の飛しょう体にレーダを送信し、前記飛しょう体からの反射波を受信するレーダ送受信機と、
前記飛行中の飛しょう体から発信された電波を受信する電波センサと、
前記飛行中の飛しょう体を撮像する撮像手段と
のうちの少なくとも何れかを含む、請求項1に記載の飛しょう体集団行動判定システム。
【請求項3】
前記センシング部が、前記レーダ送受信機を含む場合、
前記集団発見部は、前記レーダ送受信機によって受信された反射波が、2つ以上の飛しょう体からのものである場合、前記集団の発見とみなす、請求項2に記載の飛しょう体集団行動判定システム。
【請求項4】
前記センシング部が、前記電波センサを含む場合、
前記集団発見部は、前記電波センサによって受信された電波の集中度が、所定値よりも高い場合、前記集団の発見とみなす、請求項2に記載の飛しょう体集団行動判定システム。
【請求項5】
前記センシング部が、前記電波センサを含む場合、
前記集団発見部は、前記電波センサによって受信された電波から取得される信号諸元の時系列的な観察結果に基づいて、前記集団を発見する、請求項2に記載の飛しょう体集団行動判定システム。
【請求項6】
前記センシング部が、前記撮像手段を含む場合、
前記集団発見部は、前記撮像手段によって撮像された画像に、2つ以上の飛しょう体が撮像されている場合、前記集団の発見とみなす、請求項2に記載の飛しょう体集団行動判定システム。
【請求項7】
前記集団判定部は、
前記集団における少なくとも2つの飛しょう体が、連動して動作している第1の場合、
前記集団から、集中している同一の信号が検知された第2の場合、
前記集団における少なくとも2つの飛しょう体が、隊列をなして飛行している第3の場合
のうちの少なくとも何れかの場合であれば、前記集団発見部によって発見された集団が、共通の目的のために動作する複数の飛しょう体からなる集団であると判定する、請求項1に記載の飛しょう体集団行動判定システム。
【請求項8】
前記集団判定部は、前記第1の場合であるか否かを、前記センシング部によって取得されたセンシング情報から得られる、前記飛しょう体の経時的な航跡に基づいて判定する、請求項7に記載の飛しょう体集団行動判定システム。
【請求項9】
前記センシング部は、前記飛行中の飛しょう体から発信された電波を受信する電波センサを含み、
前記集団判定部は、前記第2の場合であるか否かを、前記電波センサによって受信された電波に基づいて判定する、請求項7に記載の飛しょう体集団行動判定システム。
【請求項10】
前記集団判定部によって、共通の目的のために動作する複数の飛しょう体からなる集団であると判定された場合、前記センシング部からのセンシング情報に基づいて、この集団の目的を特定する目的特定部をさらに備えた、請求項1に記載の飛しょう体集団行動判定システム。
【請求項11】
前記目的特定部によって特定される目的は、情報収集、攻撃、および物資輸送のうちの少なくとも何れかである、請求項10に記載の飛しょう体集団行動判定システム。
【請求項12】
前記目的に応じて予め決定されている複数の対応策から、前記目的特定部によって特定された目的に対する対応策を選択する対応策選択部をさらに備えた、請求項10または11に記載の飛しょう体集団行動判定システム。
【請求項13】
共通の目的のために動作する複数の飛しょう体による集団行動を判定するために、プロセッサによって実施される方法であって、
前記プロセッサが、飛行中の飛しょう体に関するセンシング情報を取得するセンシング部によるセンシング結果に基づいて、複数の飛しょう体からなる集団を発見する集団発見ステップと、
前記プロセッサが、前記集団発見ステップにおいて発見された集団が、共通の目的のために動作する複数の飛しょう体からなる集団であるか否かを、前記センシング結果に基づいて判定する集団判定ステップとを含む、飛しょう体集団行動判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ドローンのような飛しょう体の集団行動を判定するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
個人用、商用、軍事用を問わず、ドローンの使用が増えている。
【0003】
ドローンの使用は、当初は、単独でのものが主であったが、近年、複数のドローンによって、共通の目的を達成させるような運用も増えている。例えば、2021年夏の東京オリンピックの開会式で行われた多数のドローンによる演出は記憶に新しい。
【0004】
このように共通の目的を達成するために動作する多数の飛しょう体の集団行動は、スウォームとも称されている。なお、複数の飛しょう体が飛行していても、共通の目的を持っている訳ではなく、互いに関連することなく、独立して動作している場合は、スウォームとは見なされない。
【0005】
ところで、ドローンは、例えば、政府機関、私有地、軍事施設、空港等、立ち入りが制限、あるいは禁止されている区域へも、上空から容易に接近および侵入できる。このため、スウォームは、前述したような平和的な利用のみならず、無断撮影、爆発物の運搬、航空機の離着陸阻止など、悪用される恐れもある。以下、本明細書では、これらスウォームによる悪用行為を、スウォーム攻撃と称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スウォーム攻撃から守るためには、スウォームの早期検知が必須である。しかしながら、前述したように、単に複数のドローンが飛行していても、スウォームであるか否かが不明であるために、早期検知が困難である。また、スウォームだと認識できても、例えば、平和的利用なのか、悪用なのかによって、対処方法が異なるように、飛行目的がわからなければ、スウォームに対して適切に対処することができない。
【0008】
したがって、複数のドローンが飛来してきた場合、飛行目的を特定し、まずこれがスウォームであるか否かを判定する必要がある。
【0009】
例えば特許文献1には、多数の無人航空機(UAV)を監視するに際に、監視すべき1つまたは複数のUAVを選択する技術が開示されている。しかしながら、スウォームの飛行目的の特定に関する技術は開示されていない。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、複数の飛しょう体の集団を発見した場合、この集団がスウォームであるか否かを判定するシステムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の飛しょう体集団行動判定システムは、集団発見部と、集団判定部とを備え、集団発見部は、飛行中の飛しょう体に関するセンシング情報を取得するセンシング部によるセンシング結果に基づいて、複数の飛しょう体からなる集団を発見し、集団判定部は、集団発見部によって発見された集団が、共通の目的のために動作する複数の飛しょう体からなる集団であるか否かを、センシング結果に基づいて判定する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態の飛しょう体集団行動判定方法が適用された飛しょう体集団行動判定システムの一例を示す機能関連図である。
【
図2】
図2は、飛しょう体集団行動判定システムの電子回路構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、電波センサによって受信される電波の典型的な波形図である。
【
図4】
図4は、時間経過とともに移動する複数のドローンが撮像された画像データの例を示す図である。
【
図5】
図5は、時間経過とともに移動する複数のドローンが撮像された画像データの別の例を示す図である。
【
図6】
図6は、対応策データベースに格納されている対応策データテーブルの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、飛しょう体集団行動判定システムによる判定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、集団発見の処理の一例を示すフロー図である。
【
図9】
図9は、飛しょう体集団行動判定処理の一例を示すフロー図である。
【
図10】
図10は、飛しょう体集団行動の制御方法の判定処理の一例を示すフロー図である。
【
図11】
図11は、対応策の選択処理の一例を示すフロー図である。
【
図12】
図12は、対応策の実施の効果を確認する処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0014】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態の飛しょう体集団行動判定方法が適用された飛しょう体集団行動判定システムの一例を示す機能関連図である。
【0016】
スウォームとは、前述したように、共通の目的を達成するために連動して動作する多数の飛しょう体の集団行動である。共通の目的を達成するために集団行動を行う飛しょう体は、例えば、以下のように制御されることが知られている。
【0017】
第1の制御方法は、集団中の1つの飛しょう体を、親機として定めるというものである。この場合、他の飛しょう体は、親機の動きに連動して、互いの距離を維持しながら行動する。ただし、親機が機能不全に陥った場合は、別の飛しょう体が親機となる。このように、第1の制御方法では、親機のみが制御され、その周囲の僚機は親機に追随する。第1の制御方法では、スウォームの操作者が、各飛しょう体の振る舞いを臨機に変更することが可能で、行動に自由度がある反面、同時多面からの襲撃のような弾着タイミングを同期させるような行動は困難である。このような第1の制御方法を、本明細書では、「僚機間通信型」制御方法とも称する。
【0018】
第2の制御方法は、集団中の各飛しょう体に、事前に飛行経路をプログラムするというものである。この場合、各飛しょう体は、相互に通信をせず、設定されたプログラムに従って自律して飛行する。したがって、被発見性を低減することが可能であるが、各飛しょう体が自己位置情報を常時把握する必要があり、精度を犠牲にすると飛しょう体同士を密集させることが困難となる。このような第2の制御方法を、本明細書では、「自律飛行型」制御方法とも称する。
【0019】
なお、ある飛しょう体が、1つの集団内を飛行しているようであっても、別の目的を達成するために動作する場合もある。このような場合、1つの集団内を飛行しているように見えても、この飛しょう体は、単独で飛行している、あるいは、別のスウォームに属しているとみなされる。
【0020】
飛しょう体の一例としては、ドローンがある。したがって、本実施形態では、飛しょう体がドローンであるとして説明する。飛しょう体がドローンである場合、スウォームは、一般的に、10機以上のドローンによって実施される場合が多いが、2機以上であっても、スウォームを実施することができる。
【0021】
飛しょう体集団行動判定システム10は、レーダによる監視領域上のドローンの集団の検出、電波センサによる信号発信体の検知及び発信タイミング、頻度、周波数帯等の信号諸元の抽出、カメラの取得した画像情報によるドローンの種類の絞り込み、さらに電子地図上で表現された複数のターゲットの航跡や振る舞いから特徴量を抽出し、ドローンが集団の一部であることを認識する。
【0022】
これを実現するため、飛しょう体集団行動判定システム10は、限定される訳ではないが、レーダ送受信機41、電波センサ42、カメラ43等の画像センサ、およびマイク等の他の検知手段44を含むセンシング部40によって取得されるインプットINに基づいて、ドローンの集団を発見し、この集団が、共通の目的のために動作する複数の飛しょう体からなる集団であるか否かを判定し、そうであればその目的を特定し、特定した目的に応じた対応策を選択し、選択された対応策を、アウトプットOUTとして出力する。
【0023】
対応策は、例えば、攻撃的対応策Taと運用的対応策Tbとに大分類され、さらに、攻撃的対応策Taとしては、限定される訳ではないが、例えば、物理的対応Ta1および運用的対応Ta2を含み、運用的対応策Tbとしては、限定される訳ではないが、例えば、対象の秘匿、隠蔽等Tb1、人的リソースの避難等Tb2、および先回り回収Tb3を含む。
【0024】
図2は、飛しょう体集団行動判定システムの電子回路構成例を示すブロック図である。
【0025】
図1を用いて説明したような機能を実現するために、飛しょう体集団行動判定システム10の電子回路は、
図2に例示するように、バス11によって互いに接続されたCPU12、記録媒体読取部14、通信部15、メモリ20、および記憶装置30を備えている。
【0026】
メモリ20は、集団発見プログラム21と、集団判定プログラム22と、目的特定プログラム23と、対応策選択プログラム24とを記憶している。
【0027】
これらプログラム21~24は、メモリ20に予め記憶されていてもよいし、あるいはメモリカード等の外部記録媒体13から記録媒体読取部14を介してメモリ20に読み込まれて記憶されたものであってもよい。これらプログラム21~24は、書き換えできないようになっている。
【0028】
メモリ20には、このようなユーザ書き換え不可能なエリアの他に、書き換え可能なデータを記憶するエリアとして、書込可能データエリア29が確保されている。
【0029】
CPU12は、コンピュータであって、メモリ20に記憶されている各プログラム21~24に従い回路各部の動作を制御する。
【0030】
記憶装置30は、例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等からなり、対応策データベース31を格納している。
【0031】
飛しょう体集団行動判定システム10の外部には、レーダ送受信機41、電波センサ42、カメラ43等の画像センサ、および他の検知手段44を含むセンシング部40が設けられている。なお、飛しょう体集団行動判定システム10が、これらセンシング部40の一部または全部を備えていてもよい。
【0032】
レーダ送受信機41は、飛行中の1つまたは複数のドローンにレーダを送信し、ドローンからの反射波を受信し、受信信号を、通信部15へ出力する。この受信信号は、例えば、ドローンの座標情報a1、標高a2、ベクトル情報(方位、速度)a3、航跡情報a4、方向a5、加速度a6、飛行距離a7、時刻情報a8等を含むことができる、ドローンの飛行に関する情報である情報(飛行情報)aである。なお、集団行動を行う各ドローン相互の距離は、場合によっては、レーダの分解能を下回ることもある。そのため、レーダですべてのドローンを発見することは困難である。また、複数のドローンが1つのドローンと誤認識されることも考慮する必要がある。
【0033】
電波センサ42は、自ら電波を出すのではなく、飛行中の1つまたは複数のドローンから発信された電波をアンテナで受信し、信号諸元b(周波数、中心周波数、帯域幅、信号強度、到来方位等)を時系列で取得し、通信部15へ出力する。
【0034】
図3は、電波センサ42によって受信される電波の典型的な波形図である。
【0035】
図3に例示される波形図には、信号諸元bである周波数、中心周波数、帯域幅、信号強度が示されている。
【0036】
電波センサ42は、また、ドローン間で行っている通信もしくは親機ドローンと、地上の操作者との間の通信の周波数も発見する。
【0037】
また、スウォームの規模が大きくなると、空間で発生する信号発信源も多くなるので、親機ドローンと、地上の操作者との間の通信の周波数の把握は困難になる。同時に、スウォームの規模が大きくなると、ドローン間通信の空間中の密度も大きくなるので、これをスウォーム検知の指標とすることができる。
【0038】
信号諸元bは、
図3に例示されているような信号波波形で表現されるので、電波を送信するドローンの特徴に基づく識別のために使用することが利用可能である。信号諸元bを使用することで、定量的な数値の特徴に加え、波形の時系列変化から形状の特徴を抽出し、既知の信号であるか否かを判定することが可能となる。
【0039】
電波センサ42は、比較的近くのドローンの信号諸元bしか取得できないが、レーダ送受信機41は、電波センサ42よりも遠くのドローンの飛行情報aを取得することができる。したがって、遠くのドローンの飛行情報aを取得する際には、レーダ送受信機41を用い、近くのドローンの信号諸元bを取得する際には、電波センサ42を用いるなどの使い分けをすることが望ましい。また、前述した第2の制御方法が採用されている場合、各ドローンは、プログラム飛行を行い、完全自律で動作し、信号を送信しないため、電波センサ42による検知はできない。
【0040】
カメラ43は、飛行中のドローンを撮像し、撮像結果である画像データcを、通信部15へ出力する。画像データcには、撮像された時刻を示す時刻情報が付加される。画像データcによれば、遠く離れたスウォームであっても、制御されたドローンが、大規模に密集した陣形で飛行していることを発見することができる。
【0041】
他の検知手段44は、限定される訳ではないが、例えばマイクとすることができる。マイクは、飛行中のドローンのプロペラ音やエンジン音を含む音を録音し、録音された時刻を示す時刻情報が付された録音データdを通信部15へ出力する。
【0042】
これら様々な検知手段41~44によって、例えば、前述した第1の制御方法で制御されているドローンであれば、各ドローンの飛行情報aをレーダ送受信機41が取得し、各ドローン間で送信される電波の信号諸元bを電波センサ42が取得し、ドローンの動作や、クローズアップした画像を、カメラ43で確認できる。
【0043】
また、前述した第2の制御方法にしたがって制御されているドローンに対しては、ターゲットであるドローンの飛行情報aをレーダ送受信機41が取得し、ターゲットであるドローンの動作や、クローズアップした画像を、カメラ43で確認できる。
【0044】
飛行情報a、信号諸元b、画像データc、および録音データrは、前述したインプットINに相当する。
【0045】
通信部15は、これらインプットIN(飛行情報e、信号諸元b、画像データc、および録音データr)を受信し、メモリ20へ出力する。
【0046】
集団発見プログラム21は、このようなセンシング部40からのインプットINに基づいて、複数のドローンからなる集団を発見する。
【0047】
具体的には、集団発見プログラム21は、レーダ送受信機41によって受信された反射波が、2つ以上のドローンからのものである場合、すなわち、飛行情報aが、2つ以上のドローンからのものである場合、集団とみなすことができる。
【0048】
また、集団発見プログラム21は、信号諸元bから、電波センサ42によって受信された電波の集中度が、所定値よりも高いことが判明した場合も、集団と見なすことができる。
【0049】
さらに、集団発見プログラム21は、信号諸元bの時系列的な観察結果に基づいて、集団と判定することもできる。
【0050】
さらにまた、集団発見プログラム21は、画像データcに、2つ以上のドローンが撮像されている場合も、集団と見なすことができる。
【0051】
このように、ケース(場面)によって、センシング部40の検知手段41~44のうち、どれが最初に集団を発見するか、また、どの検知手段41~44のデータを使って対処するかが変わってくる。
【0052】
次に、集団判定プログラム22による集団判定について説明する。
【0053】
集団が、共通の目的のために動作しているか否かは、必ずしも集団に含まれるドローンの数で判定されるものではない。また、密集したドローンから信号が発せられていても、共通の目的のために動作していると断定できない。また、カメラ43でドローンの種類が明らかになっても、共通の目的のために動作しているとの判定とは別である。
【0054】
集団が共通の目的のために動作しているか否かの判定には、各ドローンが単体で独立して飛行しているのではなく、他のドローンと連動して飛行していることを突き止める必要があり、この判定には、インプットINの集約および分析を伴う。
【0055】
集団判定プログラム22は、このようなインプットINの集約および分析を行い、集団発見プログラム21によって判定された集団が、共通の目的のために動作しているか否かを判定する。
【0056】
この分析には、例えば、ターゲットであるドローンの動態情報の時系列的な分析を含むことが好適である。
【0057】
図4は、時間経過とともに移動する複数のドローンが撮像された画像データの例を示す図である。
【0058】
図4(a)は、ある時間に撮像された複数のドローンdの画像データc1であり、
図4(b)は、
図4(a)の状態から一定時間経過後に撮像された複数のドローンdの画像データc2であり、
図4(c)は、
図4(b)の状態からさらに一定時間経過後に撮像された複数のドローンdの画像データc3である。
【0059】
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)に示すように、時間経過とともに移動するドローンdの一瞬の状態を捉えるだけでは、他のドローンdとの連動した動きを判別できない。
【0060】
図4(d)は、ドローンdの位置が、
図4(a)の状態から、
図4(b)の状態を経由して、
図4(c)の状態に移行する航跡を示す画像データc4である。
図4(d)では、丸印は大小に関わらずすべてドローンdを示しており、小さな丸印で示すドローンdは、
図4(a)に示すドローンdに相当し、大きな丸印で示すドローンdは、
図4(c)に示すドローンdに相当し、中間の大きさの丸印で示すドローンdは、
図4(b)に示すドローンdに相当する。
【0061】
小さな丸印、中間の大きさの丸印、大きな丸印をこの順に線で結ぶことによって、
図4(d)に例示されるように、各ドローンdの航跡が示される。この航跡を参照することによって、複数のドローンdが、互いに連動して移動しているか否かを把握できるようになる。
図4(d)に示す画像データc4によれば、複数のドローンdが編隊を組んで飛行していることが分かる。
【0062】
また、
図5は、時間経過とともに移動する複数のドローンが撮像された画像データの別の例を示す図である。
【0063】
図5(a)は、ある時間に撮像された複数のドローンdの画像データc5であり、
図5(b)は、
図5(a)の状態から一定時間経過後に撮像された複数のドローンdの画像データc6であり、
図5(c)は、
図5(b)の状態からさらに一定時間経過後に撮像された複数のドローンdの画像データc7である。そして、
図5(d)は、
図4(d)と同様に、ドローンdの位置が、
図5(a)の状態から、
図5(b)の状態を経由して、
図5(c)の状態に移行する航跡を示す画像データc8である。
【0064】
図5(d)に示される航跡を参照することによって、複数のドローンdが、タイミングを同期して、複数のドローンdがタイミングを同期して、ある対象に接近していることが分かる。
【0065】
集団判定プログラム22は、このような動態情報の時系列的な分析から、ターゲットとする各ドローンの航跡の連動性、同期性や、複数のドローンによって形成される幾何学的形状の構成などの特徴を抽出し、集団が共通の目的のために動作しているか否かの判定材料とすることができる。また、集団判定プログラム22は、このような動態情報の時系列的な分析を行う際に、ターゲットとするドローンの目標とする地点や建造物などを考慮したり、地図、地形、建造物、あるいはイベント情報などと連携させて行うこともできる。集団判定プログラム22は、このような動態情報の時系列的な分析や、あるいは、特徴の抽出に、人工知能等を活用してもよい。
【0066】
集団判定プログラム22は、このようなインプットINの集約および分析に基づいて、例えば、集団における少なくとも2つのドローンが、連動して動作している場合(第1の場合)、集団から、集中している同一の信号が検知された場合(第2の場合)、集団における少なくとも2つのドローンが、隊列をなして飛行している場合(第3の場合)のどれかに該当すれば、集団が、共通の目的のために動作する複数のドローンからなると判定する。
【0067】
第1の場合であるか否かの判定には、インプットINのうち、主に、ドローンの経時的な航跡が役立つ。第2の場合であるか否かの判定には、インプットINのうち、主に、電波センサ42によって受信された電波が役立つ。第3の場合であるか否かの判定には、インプットINのうち、主に、カメラ43からの画像データcが役立つ。
【0068】
集団判定プログラム22はさらに、インプットINの集約および分析に基づいて、飛しょう体集団行動、すなわちスウォームの制御方法が、前述した第1の制御方法であるか、あるいは第2の制御方法であるかも判定する。
【0069】
目的特定プログラム23は、集団判定プログラム22によって、共通の目的のために動作する複数のドローンからなる集団であると判定された場合、インプットINに基づいて、あるいは、インプットINに加えて、以下に例示されるスウォームの飛行特性にも基づいて、スウォームの目的を特定する。
【0070】
スウォームの飛行特性としては、一般に、以下に示す継続性と残存性とが知られている。
【0071】
継続性とは、スウォームに属する一部のドローンに欠落があっても、最後まで行動方針を変えずに、残りのドローンが飛行を継続することである。
【0072】
残存性とは、スウォームに属する一部のドローンが欠落すると、目的の達成が困難になることから、各ドローンの残存性を優先した行動をとることである。
【0073】
これら飛行特性は、いずれも目的に連動しているため、目的特定プログラム23は、スウォームの飛行特性が、上記何れかであると判明した場合には、インプットINに加えて、このような飛行特性にも基づいて、スウォームの目的を特定することができる。
【0074】
目的特定プログラム23によって特定される目的は、限定される訳ではないが、例えば、(1)情報収集(搾取)、(2)攻撃(破壊や、人への危害も含む)、および(3)物資輸送(例えば、武器や違法物の運搬)を含む。
【0075】
なお、集団判定プログラム22によって判定された飛しょう体の集団が、異なる目的を有する複数の集団からなる場合もある。このような場合、目的特定プログラム23は、複数の集団のおのおのについて、目的を特定する。
【0076】
集団判定プログラム22によって判定された飛しょう体の集団から、電波センサ42によって通信が検出されない場合、目的特定プログラム23は、この集団によるスウォームは、プログラム飛行によるドローンによって制御されていると判定することができる。
【0077】
対応策データベース31は、集団判定プログラム22によって判定された制御方法(第1の判定方法である僚機間通信#1、または第2の判定方法である自律飛行#2)と、目的特定プログラム23によって特定されたスウォームの目的(1)~(3)とに応じて予め決定されている複数の対応策を、例えば、
図6に例示するようなテーブル形式で格納している。
【0078】
図6は、対応策データベースに格納されている対応策データテーブルの一例を示す図である。
【0079】
図6に示すように、目的が(1)情報収集である場合、求める結果は、すべて撃破または追い返すことであり、制御方法が僚機間通信#1である場合、対応策としては、攻撃的対応策Taと、運用的対応策Tbとがあり、攻撃的対応策Taとしては、親機の乗っ取り、親機と操作者との通信を妨害し無効化する物理的対応策Ta1があり、運用的対応策Tbとしては、撮影対象を隠蔽する運用的対応策Tb1がある。一方、制御方法が自律飛行#2である場合、対応策としては、攻撃的対応策Taと、運用的対応策Tbとがあり、攻撃的対応策Taとしては、GPS妨害による追い返す電子的対応策Ta2があり、運用的対応策Tbとしては、撮影対象を隠蔽する運用的対応策Tb1がある。
【0080】
このように、対応策データテーブルには、目的、求める結果、制御方法に応じて、予め決定されている対応策が指定されている。
【0081】
対応策選択プログラム24は、
図6に例示するように、対応策データベース31に格納された対応策データテーブルから、目的特定プログラム23によって特定された目的および制御方法から決定される対応策を選択する。そして、選択された対応策を、アウトプットOUTとして出力する。
【0082】
通信部15は、対応策選択プログラム24によって出力されたアウトプットOUTを受信し、受信したアウトプットOUTを、適切な対応設備50へ通知する。対応設備50は、限定される訳ではないが、妨害電波装置51、ネット捕獲銃52、捕獲用ドローン出撃装置53、警備員KB等を含んでいる。
【0083】
通信部15は、対応策選択プログラム24によって出力されたアウトプットOUTが、攻撃的対応策Taのうちの物理的対応策Ta1であれば、ネット捕獲銃52、捕獲用ドローン出撃装置53、警備員KBに通知し、電子的対応策Ta2であれば、妨害電波装置51へ通知する。また、運用的対応策Tbであれば、警備員KBへ通知する。
【0084】
妨害電波装置51、ネット捕獲銃52、捕獲用ドローン出撃装置53、警備員KB等の対応設備50は、通信部15から通知されたアウトプットOUTに応じて対応策を実施する。
【0085】
これら対応設備50による対応策の実施の効果は次のように確認できる。
【0086】
対応策の実施の効果の確認は、集団発見の場合と同様に、センシング部40のレーダ送受信機41、電波センサ42、カメラ43等を駆使して行う。
【0087】
例えば、集団が消滅した場合には、レーダ送受信機41によって、反射波の不在を確認することによって、あるいは電波センサ42によって、空間中の信号発生頻度の低下を確認することによって、あるいはカメラ43による機影の確認によって、集団の消滅を認識することができる。
【0088】
次に、以上のように構成した本発明の実施形態の飛しょう体集団行動判定方法が適用された飛しょう体集団行動判定システムの動作例について説明する。
【0089】
図7は、飛しょう体集団行動判定システム10による判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0090】
レーダ送受信機41は、飛行中の1つまたは複数のドローンにレーダを送信し、ドローンからの反射波を受信し、受信した信号に含まれる飛行情報aを、通信部15へ出力する。
【0091】
電波センサ42は、飛行中の1つまたは複数のドローンから発信された電波をアンテナで受信し、信号諸元b(例えば、周波数、帯域幅、信号強度、到来方位等)を時系列で取得し、通信部15へ出力する。
【0092】
カメラ43は、飛行中のドローンを撮像し、撮像結果である画像データcを、通信部15へ出力する。
【0093】
他の検知手段44は、例えばマイクであれば、飛行中のドローンのプロペラ音やエンジン音を含む音を録音し、録音された時刻を示す時刻情報が付された録音データrを通信部15へ出力する。
【0094】
通信部15は、これらインプットIN(飛行情報a、信号諸元b、画像データc、および録音データr等)を受信し、メモリ20へ出力する。
【0095】
集団発見プログラム21では、このようなセンシング部40からのインプットINに基づいて、複数のドローンからなる集団が発見される(S1)。
【0096】
図8は、集団発見プログラム21による集団発見の処理の一例を示すフロー図である。
【0097】
具体的には、集団発見プログラム21には、センシング部40からインプットINが入力される(S11)。インプットINが、レーダ送受信機41によって受信された例えば反射波のような情報であり(S12)、それが複数のドローンからのものである場合(S13:Yes)、すなわち、飛行情報aが、2つ以上のドローンからのものである場合、集団とみなされる(S18)。
【0098】
また、集団発見プログラム21では、インプットINが、電波センサ42からの情報であり(S14)、その情報から、電波の集中度が、所定値よりも高い場合(S15:Yes)も、集団と見なされる(S18)。
【0099】
さらに、集団発見プログラム21では、インプットINが、カメラ43からの画像データcであり(S16)、画像データcに、2つ以上のドローンが撮像されている場合(S17:Yes)も、集団と見なされる(S18)。
【0100】
一方、ステップS13、S15、S17において、否定的な場合(S13:No)、(S15:No)、(S17:No)、時系列でデータを見るために、処理は、ステップS11へ戻ることによって、繰り返し観測が行なわれる。
【0101】
ステップS18の後は、集団判定プログラム22でなされる集団の判定処理へ移行する(S2)。
【0102】
ステップS2では、集団発見プログラム21によって判定された集団が、集団判定プログラム22によって、共通の目的のために動作する複数の飛しょう体からなる集団であるか否かが判定される。
【0103】
図9は、集団判定プログラム22による集団判定処理の一例を示すフロー図である。
【0104】
集団判定プログラム22では、インプットINの集約および分析が行われ、
図4および
図5を用いて説明したように、前述した第1の場合、第2の場合、第3の場合のどれかに該当すれば、共通の目的のために動作する複数の飛しょう体からなる集団であると判定される。
【0105】
第1の場合では、ターゲットであるドローンの動態情報の時系列的な分析が行われ(S21)、例えば、集団における少なくとも2つのドローンが、連動して動作している(S22:Yes)のであれば、共通の目的のために動作する複数のドローンからなる集団であると判定される(S27)。
【0106】
第2の場合では、同一方向から複数の信号を検出したとき(S23)、それが集中している同一の信号として検知された(S24:Yes)のであれば、共通の目的のために動作する複数のドローンからなる集団であると判定される(S27)。
【0107】
第3の場合では、複数のドローンが同期しているとき(S25)、集団における少なくとも2つのドローンが、隊列をなして飛行している(S26:Yes)のであれば、共通の目的のために動作する複数のドローンからなる集団であると判定される(S27)。
【0108】
ステップS27の後、集団判定プログラム22ではさらに、インプットINの集約および分析に基づいて、この集団による集団行動、すなわちスウォームの制御方法が判定される(S3)。
【0109】
図10は、集団判定プログラム22によるスウォームの制御方法の判定処理の一例を示すフロー図である。
【0110】
ドローン同士が連動いて移動しており(S31)、同一の信号が集中している場合(S32:Yes)、第1の制御方法(僚機間通信型制御)であると判定され(S33)、同一の信号が集中していない場合(S32:No)、第2の制御方法(自律飛行型制御)であると判定される(S34)。
【0111】
ステップS33およびS34の後、目的特定プログラム23では、インプットINに基づいて、あるいは、インプットINに加えて、集団の飛行特性にも基づいて、この集団による集団行動、すなわちスウォームの目的が特定される(S4)。
【0112】
目的特定プログラム23によって特定される目的は、限定される訳ではないが、(1)スポーツ等の大規模イベント会場でのイベント(選手、観客)の撮影のような情報収集(搾取)、(2)発電所等の重要施設の破壊といった攻撃(破壊や、VIPへの危害も含む)、および(3)密輸や、武器や違法物の運搬等といった物資輸送等を含む。
【0113】
(1)のような情報収集を目的とする、イベント会場周辺の飛行を許可されていないブラックドローンは、イベント(選手、観客)を撮影するために、地上の操作者との間で、アングルの確認のために、映像信号の送受信が発生するという特徴がある。また、スウォームに属するドローンの生存率を上げるために、親機が制御される場合が多いという特徴もある。
【0114】
(2)のような攻撃を目的とする、重要施設周辺の飛行を許可されていないブラックドローンは、破壊力を増幅するために、同期して攻撃を行うという特徴がある。また、各ブラックドローンは、攻撃の時刻と到着地点とを合わせるのみで、飛行時はそれぞれが周囲から到着地点に接近するように、各自自律して飛行する場合が多いという特徴もある。
【0115】
(3)のような物資輸送を目的とする、国境付近や、刑務所等の所定施設周辺の飛行を許可されていないブラックドローンは、本当に運搬したいものを隠すため、カモフラージュで、集団の形態で飛行する場合が多い。この場合、到着地点を分散させるために、自律して飛行するという特徴がある。
【0116】
対応策選択プログラム24では、目的特定プログラム23によって特定されたこれら目的と、集団判定プログラム22によって判定された制御方法とに応じて、
図6に例示するような対応策データベース31から、対応策が選択される(S5)。
【0117】
図11は、対応策選択プログラム24による対応策の選択処理の一例を示すフロー図である。
【0118】
目的特定プログラム23によって特定された目的が、(1)スポーツ等の大規模イベント会場でのイベント(選手、観客)の撮影のような情報収集(搾取)であった場合(S51:Yes)、警備側の目的を達成するには、
図6に示すように、すべてを撃破または追い返すなどブラックドローンを全機遠ざけるような対応策が、制御方法に応じて選択される(S52)。
【0119】
目的特定プログラム23によって特定された目的が、(1)情報収集ではなく(S51:No)、(2)発電所等の重要施設の破壊といった攻撃であった場合(S53:Yes)、警備側の目的を達成するには、
図6に示すように、破壊力を半減させる、または、追い返すなどブラックドローンの機数を低減させるような対応策が、制御方法に応じて選択される(S54)。
【0120】
目的特定プログラム23によって特定された目的が、(2)攻撃ではなく(S53:No)、(3)密輸や、武器や違法物の運搬等といった物資輸送であった場合(S55)、警備側の目的を達するには、
図6に示すように、物資を持ったドローンを撃墜、捕獲するなどして犯人につながる情報を得ることができるような対応策が、制御方法に応じて選択される(S56)。
【0121】
ステップS52、S54、S56においてそれぞれ選択された対応策は、アウトプットOUTとして、対応策選択プログラム24から通信部15へ出力される。通信部15では、対応策選択プログラム24から出力されたアウトプットOUTが、適切な対応設備50へと通知される(S57)。例えば、アウトプットOUTが、攻撃的対応策Taのうちの物理的対応策Ta1であれば、通信部15から、ネット捕獲銃52、捕獲用ドローン出撃装置53、警備員KBに通知され、電子的対応策Ta2であれば、妨害電波装置51へ通知され、運用的対応策Tbであれば、警備員KBへ通知されるという具合である。
【0122】
通信部15から通知されたアウトプットOUTに応じて、妨害電波装置51、ネット捕獲銃52、捕獲用ドローン出撃装置53、警備員KBによって、対応策が実施される。その後、これら対応設備による対応策の実施の効果が、レーダ送受信機41、電波センサ42、カメラ43等のセンシング部40を駆使して確認される(S6)。
【0123】
図12は、対応策の実施の効果を確認する処理の一例を示すフロー図である。
【0124】
対応策が実施された後も、センシング部40によってドローンの監視が継続して行われる。そして、この監視の結果、ドローンが発見された場合(S61)、もはや近傍に存在しないことが確認された場合(S62:Yes)、効果の有効性を確認することができる(S65)。
【0125】
ドローンが未だに近傍に存在する場合(S62:No)であっても、スウォームに属するドローンの機数が半減したことが確認された場合(S63:Yes)、効果の有効性を確認することができる(S65)。
【0126】
スウォームに属するドローンの機数が半減したことが確認されなかった場合(S63:No)であっても、重要(人)物を隠蔽、退避させた後であれば(S54)、効果の有効性を確認することができる(S65)。
【0127】
上述したように、本発明の実施形態の飛しょう体集団行動判定方法が適用された飛しょう体集団行動判定システムによれば、複数のドローンからなる集団を発見し、さらに、この集団が、共通の目的のために動作する複数のドローンからなる集団であるか否かを判定し、そうである場合、その目的を判定し、判定された目的に応じて適切な対応策を選択し、通知することができるので、悪意のある操作者によって操作されたスウォームによる被害を未然に防止することが可能となる。
【0128】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0129】
10・・集団行動判定システム、11・・バス、12・・CPU、13・・外部記録媒体、14・・記録媒体読取部、15・・通信部、20・・メモリ、21・・集団発見プログラム、22・・集団判定プログラム、23・・目的特定プログラム、24・・対応策選択プログラム、29・・書込可能データエリア、30・・記憶装置、31・・対応策データベース、40・・センシング部、41・・レーダ送受信機、42・・電波センサ、43・・カメラ、44・・他の検知手段、50・・対応設備、51・・妨害電波装置、52・・ネット捕獲銃、53・・捕獲用ドローン出撃装置、a・・飛行情報、a1・・座標情報、a2・・標高、a3・・ベクトル情報(方位、速度)、a4・・航跡情報、a5・・方向、a6・・加速度、a7・・飛行距離、a8・・時刻情報、b・・信号諸元、c、c1~c8・・画像データ、d・・ドローン、e・・飛行情報、r・・録音データ、IN・・インプット、KB・・警備員、OUT・・アウトプット、Ta・・攻撃的対応策、Tb・・運用的対応策