IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジャパンディスプレイの特許一覧

<>
  • 特開-表示装置の製造方法 図1
  • 特開-表示装置の製造方法 図2
  • 特開-表示装置の製造方法 図3
  • 特開-表示装置の製造方法 図4
  • 特開-表示装置の製造方法 図5
  • 特開-表示装置の製造方法 図6
  • 特開-表示装置の製造方法 図7
  • 特開-表示装置の製造方法 図8
  • 特開-表示装置の製造方法 図9
  • 特開-表示装置の製造方法 図10
  • 特開-表示装置の製造方法 図11
  • 特開-表示装置の製造方法 図12
  • 特開-表示装置の製造方法 図13
  • 特開-表示装置の製造方法 図14
  • 特開-表示装置の製造方法 図15
  • 特開-表示装置の製造方法 図16
  • 特開-表示装置の製造方法 図17
  • 特開-表示装置の製造方法 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076590
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10K 71/16 20230101AFI20240530BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240530BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240530BHJP
   H10K 59/122 20230101ALI20240530BHJP
   H10K 59/173 20230101ALI20240530BHJP
   H10K 50/844 20230101ALI20240530BHJP
   H10K 50/85 20230101ALI20240530BHJP
【FI】
H10K71/16
G09F9/00 338
G09F9/30 365
G09F9/30 338
G09F9/30 349Z
G09F9/30 309
H10K59/122
H10K59/173
H10K50/844
H10K50/85
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188205
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高山 健
(72)【発明者】
【氏名】竹中 貴史
(72)【発明者】
【氏名】水越 寛文
(72)【発明者】
【氏名】濱田 夕慎
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC23
3K107DD11
3K107DD89
3K107EE21
3K107EE46
3K107EE48
3K107FF15
3K107GG04
3K107GG12
3K107GG37
5C094AA31
5C094BA27
5C094DA07
5C094EA04
5C094FB02
5C094HA05
5C094HA08
5G435AA14
5G435BB05
5G435KK05
5G435LL07
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】 信頼性の低下を抑制することが可能な表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 一実施形態に係る表示装置の製造方法は、複数の表示素子が形成される第1主面と、前記第1主面と接続された側面とを有する基材の前記第1主面と重なる下電極を形成し、前記下電極と重なる画素開口を有するリブを形成し、前記リブの上に隔壁を形成し、前記画素開口を通じて前記下電極を覆う第1有機層と、前記第1有機層を覆う第1上電極とを含む第1蒸着膜を形成し、前記第1蒸着膜を覆う第1封止層を形成する、ことを含む。前記第1封止層は、前記第1蒸着膜を覆う第1上端部と、前記第1上端部と接続され、前記側面を覆う第1側端部と、を有する。
【選択図】 図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示素子が形成される第1主面と、前記第1主面と接続された側面とを有する基材の前記第1主面と重なる下電極を形成し、
前記下電極と重なる画素開口を有するリブを形成し、
前記リブの上に隔壁を形成し、
前記画素開口を通じて前記下電極を覆う第1有機層と、前記第1有機層を覆う第1上電極とを含む第1蒸着膜を形成し、
前記第1蒸着膜を覆う第1封止層を形成する、ことを含み、
前記第1封止層は、前記第1蒸着膜を覆う第1上端部と、前記第1上端部と接続され、前記側面を覆う第1側端部と、を有する、
表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記基材は、前記第1主面と反対側の第2主面をさらに有し、
前記第1封止層は、前記第1側端部と接続され、前記第2主面の少なくとも一部を覆う下端部をさらに有する、
請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1封止層を形成した後、前記第1封止層の上に第1レジストを形成し、
前記第1封止層および前記第1蒸着膜のうち前記第1レジストから露出した部分をエッチングによって除去し、
前記第1レジストを除去する、ことをさらに含む、
請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1封止層および前記第1蒸着膜のうち前記第1レジストから露出した部分を除去することは、前記第1上端部と前記第1側端部とを除去することを含む、
請求項3に記載の表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1蒸着膜は、前記第1上電極を覆うキャップ層をさらに含む、
請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1封止層は、無機絶縁材料によって形成される、
請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1レジストを除去した後、前記画素開口を通じて前記下電極を覆う第2有機層と、前記第2有機層を覆う第2上電極と、を含む第2蒸着膜を形成し、
前記第2蒸着膜を覆う第2封止層を形成する、ことをさらに含み、
前記第2封止層は、前記第2蒸着膜を覆う第2上端部と、前記第2上端部と接続され、前記側面を覆う第2側端部と、を有する、
請求項3に記載の表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記第2封止層を形成した後、前記第2封止層の上に第2レジストを形成し、
前記第2封止層および前記第2蒸着膜のうち前記第2レジストから露出した部分をエッチングによって除去し、
前記第2レジストを除去する、ことをさらに含む、
請求項7に記載の表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記第2レジストを除去した後、前記画素開口を通じて前記下電極を覆う第3有機層と、前記第3有機層を覆う第3上電極と、を含む第3蒸着膜を形成し、
前記第3蒸着膜を覆う第3封止層を形成する、ことをさらに含み、
前記第3封止層は、前記第3蒸着膜を覆う第3上端部と、前記第3上端部と接続され、前記側面を覆う第3側端部と、を有する、
請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記隔壁は、前記リブの上に配置された下部と、前記下部の上に配置され、前記下部よりも大きな幅を有する上部と、を有する、
請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記隔壁は、平面視において前記画素開口を囲っている、
請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。この表示素子は、下電極と、下電極を覆う有機層と、有機層を覆う上電極とを備えている。
【0003】
ところで、上述の表示装置は、複数のパネル部を有するマザー基板を用意し、マザー基板からカットされたパネル部の各々を用いて製造される。このような表示装置を製造する過程において、表示装置の信頼性の低下を抑制する技術が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-195677号公報
【特許文献2】特開2004-207217号公報
【特許文献3】特開2008-135325号公報
【特許文献4】特開2009-32673号公報
【特許文献5】特開2010-118191号公報
【特許文献6】国際公開第2018/179308号
【特許文献7】米国特許出願公開第2022/0077251号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、信頼性の低下を抑制することが可能な表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る表示装置の製造方法は、複数の表示素子が形成される第1主面と、前記第1主面と接続された側面とを有する基材の前記第1主面と重なる下電極を形成し、前記下電極と重なる画素開口を有するリブを形成し、前記リブの上に隔壁を形成し、前記画素開口を通じて前記下電極を覆う第1有機層と、前記第1有機層を覆う第1上電極とを含む第1蒸着膜を形成し、前記第1蒸着膜を覆う第1封止層を形成する、ことを含む。前記第1封止層は、前記第1蒸着膜を覆う第1上端部と、前記第1上端部と接続され、前記側面を覆う第1側端部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係る表示装置の構成例を示す図である。
図2図2は、副画素のレイアウトの一例を示す図である。
図3図3は、図2中のIII-III線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
図4図4は、表示装置用マザー基板の概略的な平面図である。
図5図5は、表示装置の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、表示装置の製造工程の一部を示す概略的な断面図である。
図7図7は、図6に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図8図8は、図7に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図9図9は、図8に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図10図10は、図9に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図11図11は、図10に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図12図12は、図11に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図13図13は、表示装置の製造工程の一部を示す概略的な断面図である。
図14図14は、図13に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図15図15は、図14に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図16図16は、図15に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図17図17は、表示装置の製造工程の他の例を示す概略的な断面図である。
図18図18は、比較例に係る表示装置の製造工程の一部を示す概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施形態について図面を参照しながら説明する。
開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向Xと称し、Y軸に沿った方向を第2方向Yと称し、Z軸に沿った方向を第3方向Zと称する。第3方向Zは、第1方向Xと第2方向Yを含む平面に対して法線方向である。また、第3方向Zと平行に各種要素を見ることを平面視という。
【0010】
一実施形態に係る表示装置は、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パーソナルコンピュータ、車載機器、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話端末等に搭載され得る。
【0011】
図1は、本実施形態に係る表示装置DSPの構成例を示す図である。表示装置DSPは、絶縁性の基材10の上に、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの周辺の周辺領域SAと、を有する表示パネルPNLを備えている。基材10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0012】
本実施形態においては、平面視における基材10の形状が長方形である。ただし、基材10の平面視における形状は長方形に限らず、正方形、円形、あるいは楕円形などの他の形状であってもよい。
【0013】
表示領域DAは、第1方向Xおよび第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SP1,SP2,SP3を含んでいる。一例では、副画素SP1は青色であり、副画素SP2は緑色であり、副画素SP3は赤色である。なお、画素PXは、副画素SP1,SP2,SP3とともに、あるいは副画素SP1,SP2,SP3のいずれかに代えて、白色などの他の色の副画素を含んでもよい。
【0014】
副画素SP1,SP2,SP3は、画素回路1と、画素回路1によって駆動される表示素子DE1,DE2,DE3と、を備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4と、を備えている。画素スイッチ2および駆動トランジスタ3は、例えば、薄膜トランジスタにより構成されたスイッチング素子である。
【0015】
画素スイッチ2のゲート電極は、走査線GLに接続されている。画素スイッチ2のソース電極およびドレイン電極の一方は信号線SLに接続され、他方は駆動トランジスタ3のゲート電極およびキャパシタ4に接続されている。駆動トランジスタ3において、ソース電極およびドレイン電極の一方は電源線PLおよびキャパシタ4に接続され、他方は表示素子DE1,DE2,DE3に接続されている。
【0016】
表示素子DE1,DE2,DE3は、発光素子としての有機発光ダイオード(OLED)である。例えば、副画素SP1は青色の波長域の光を放つ表示素子DE1を備え、副画素SP2は緑色の波長域の光を放つ表示素子DE2を備え、副画素SP3は赤色の波長域の光を放つ表示素子DE3を備えている。
【0017】
なお、画素回路1の構成は図示した例に限られない。画素回路1は、例えば、より多くの薄膜トランジスタおよびキャパシタを備えてもよい。
【0018】
図2は、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトの一例を示す図である。図2に示す例においては、副画素SP1と副画素SP2とが第1方向Xに並んでいる。副画素SP1と副画素SP3も第1方向Xに並んでいる。さらに、副画素SP2と副画素SP3とが第2方向Yに並んでいる。
【0019】
副画素SP1,SP2,SP3がこのようなレイアウトである場合、表示領域DAには、副画素SP2,SP3が第2方向Yに交互に配置された列と、複数の副画素SP1が第2方向Yに繰り返し配置された列とが形成される。これらの列は、第1方向Xに交互に並ぶ。なお、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトは、図2に示す例に限られない。他の一例として、各画素PXにおける副画素SP1,SP2,SP3が第1方向Xに順に並んでいてもよい。
【0020】
表示領域DAには、リブ5および隔壁6が配置されている。リブ5は、副画素SP1において画素開口AP1を有し、副画素SP2において画素開口AP2を有し、副画素SP3において画素開口AP3を有している。
【0021】
図2に示す例においては、画素開口AP1の面積が画素開口AP2の面積よりも大きい。画素開口AP1の面積は、画素開口AP3の面積よりも大きい。さらに、画素開口AP3の面積は、画素開口AP2の面積よりも小さい。
【0022】
隔壁6は、隣り合う副画素SP1,SP2,SP3の境界に配置されている。隔壁6は、平面視において、リブ5と重なっている。隔壁6は、第1方向Xに延びる複数の第1隔壁6xと、第2方向Yに延びる複数の第2隔壁6yと、を有している。
【0023】
複数の第1隔壁6xは、第2方向Yに隣り合う画素開口AP2と画素開口AP3との間、および第2方向Yに隣り合う2つの画素開口AP1の間にそれぞれ配置されている。第2隔壁6yは、第1方向Xに隣り合う画素開口AP1と画素開口AP2との間、および第1方向Xに隣り合う画素開口AP1と画素開口AP3との間にそれぞれ配置されている。
【0024】
図2に示す例においては、第1隔壁6xおよび第2隔壁6yが互いに接続されている。これにより、隔壁6は、平面視において、全体として画素開口AP1,AP2,AP3を囲う格子状である。隔壁6は、リブ5と同様に副画素SP1,SP2,SP3において、開口を有するということもできる。
【0025】
副画素SP1は、画素開口AP1とそれぞれ重なる下電極LE1、上電極UE1、および有機層OR1を備えている。副画素SP2は、画素開口AP2とそれぞれ重なる下電極LE2、上電極UE2、および有機層OR2を備えている。副画素SP3は、画素開口AP3とそれぞれ重なる下電極LE3、上電極UE3、および有機層OR3を備えている。
【0026】
下電極LE1、上電極UE1、および有機層OR1は、副画素SP1の表示素子DE1を構成する。下電極LE2、上電極UE2、および有機層OR2は、副画素SP2の表示素子DE2を構成する。下電極LE3、上電極UE3、および有機層OR3は、副画素SP3の表示素子DE3を構成する。表示素子DE1,DE2,DE3は、後述するキャップ層をさらに含んでもよい。
【0027】
下電極LE1は、コンタクトホールCH1を通じて、副画素SP1の画素回路1(図1参照)に接続されている。下電極LE2は、コンタクトホールCH2を通じて、副画素SP2の画素回路1に接続されている。下電極LE3は、コンタクトホールCH3を通じて、副画素SP3の画素回路1に接続されている。
【0028】
図2に示す例において、コンタクトホールCH2,CH3は、第2方向Yに隣り合う画素開口AP2と画素開口AP3との間の第1隔壁6xと全体的に重なっている。コンタクトホールCH1は、第2方向Yに隣り合う2つの画素開口AP1の間の第1隔壁6xと全体的に重なっている。他の例として、コンタクトホールCH1,CH2,CH3の少なくとも一部が第1隔壁6xと重なっていなくてもよい。
【0029】
図3は、図2中のIII-III線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。基材10は、主面10Aと、主面10Aと反対側に位置する主面10Bと、を有している。主面10Aおよび主面10Bは、第1方向Xと第2方向Yで規定されるX-Y平面と平行である。
【0030】
回路層11は、基材10の主面10Aの上に配置されている。回路層11は、図1に示した画素回路1、走査線GL、信号線SL、および電源線PLなどの各種回路および配線を含む。
【0031】
回路層11は、有機絶縁層12により覆われている。有機絶縁層12は、回路層11により生じる凹凸を平坦化する平坦化膜として機能する。図3に示す断面には表れていないが、上述のコンタクトホールCH1,CH2,CH3はいずれも有機絶縁層12に設けられている。
【0032】
下電極LE1,LE2,LE3は、有機絶縁層12の上に配置されている。リブ5は、図3に示す例において、有機絶縁層12および下電極LE1,LE2,LE3の上に配置されている。下電極LE1,LE2,LE3の端部は、リブ5により覆われている。リブ5は、上述の画素開口AP1,AP2,AP3を有している。
【0033】
隔壁6は、リブ5の上に配置された導電性を有する下部61と、下部61の上に配置された上部62と、を有する。上部62も下部61と同様に、導電性を有してもよい。上部62は、下部61よりも大きい幅を有している。これにより、図3に示す例においては、上部62の両端部が下部61の側面よりも突出している。このような隔壁6の形状は、オーバーハング状と呼ばれる。
【0034】
有機層OR1は、画素開口AP1を通じて、下電極LE1を覆っている。上電極UE1は、有機層OR1を覆い、下電極LE1と向かいあっている。有機層OR2は、画素開口AP2を通じて、下電極LE2を覆っている。上電極UE2は、有機層OR2を覆い、下電極LE2と向かいあっている。有機層OR3は、画素開口AP3を通じて、下電極LE3を覆っている。上電極UE3は、有機層OR3を覆い、下電極LE3と向かいあっている。
【0035】
図3に示す例においては、上電極UE1の上にキャップ層CP1が配置され、上電極UE2の上にキャップ層CP2が配置され、上電極UE3の上にキャップ層CP3が配置されている。キャップ層CP1,CP2,CP3は、それぞれ有機層OR1,OR2,OR3が発する光の光学特性を調整する。
【0036】
有機層OR1、上電極UE1、およびキャップ層CP1の一部は、上部62の上に位置している。この一部は、有機層OR1、上電極UE1、およびキャップ層CP1の他の部分と離間している。
【0037】
同様に、有機層OR2、上電極UE2、およびキャップ層CP2の一部は上部62の上に位置し、この一部は有機層OR2、上電極UE2、およびキャップ層CP2の他の部分と離間している。
【0038】
さらに、有機層OR3、上電極UE3、およびキャップ層CP3の一部は上部62の上に位置し、この一部は有機層OR3、上電極UE3、およびキャップ層CP3の他の部分と離間している。副画素SP1には封止層SE1が配置され、副画素SP2には封止層SE2が配置され、副画素SP3には封止層SE3が配置されている。
【0039】
封止層SE1は、副画素SP1を囲う隔壁6のうち副画素SP1寄りの部分やキャップ層CP1を連続的に覆っている。封止層SE2は、副画素SP2を囲う隔壁6のうち副画素SP2寄りの部分やキャップ層CP2を連続的に覆っている。封止層SE3は、副画素SP3を囲う隔壁6のうち副画素SP3寄りの部分やキャップ層CP3を連続的に覆っている。
【0040】
封止層SE1,SE2,SE3の一部(周縁部)は、上部62の上に位置している。図3に示す例において、左方の隔壁6の上部62の上に位置する有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、および封止層SE1は、この上部62の上に位置する有機層OR3、上電極UE3、キャップ層CP3、および封止層SE3と離間している。
【0041】
また、右方の隔壁6の上部62の上に位置する有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、および封止層SE1は、この上部62の上に位置する有機層OR2、上電極UE2、キャップ層CP2、および封止層SE2と離間している。
【0042】
隔壁6は、隣り合う副画素SP1,SP2,SP3の境界に配置されている。より具体的には、第2隔壁6y(図中左方)の下部61は、有機層OR1と有機層OR3との間、上電極UE1と上電極UE3との間、キャップ層CP1とキャップ層CP3との間に位置している。
【0043】
同様に、第2隔壁6y(図中右方)の下部61は、有機層OR1と有機層OR2との間、上電極UE1と上電極UE2との間、キャップ層CP1とキャップ層CP2との間に位置している。封止層SE1,SE2,SE3は、複数の表示素子DE1,DE2,DE3を個別に封止している。
【0044】
封止層SE1,SE2,SE3は、樹脂層13によって覆われている。樹脂層13は、封止層14によって覆われている。さらに、封止層14は、樹脂層15によって覆われている。
【0045】
有機絶縁層12および樹脂層13,15は、有機絶縁材料で形成されている。リブ5、封止層SE1,SE2,SE3、および封止層14は、例えば、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸化物(SiOx)またはシリコン酸窒化物(SiON)などの無機絶縁材料で形成されている。
【0046】
下電極LE1,LE2,LE3は、例えば、銀(Ag)で形成された中間層と、この中間層の上面および下面をそれぞれ覆う一対の導電性酸化物層と、を有している。各導電性酸化物層は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、またはIGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)などの透明な導電性酸化物で形成することができる。
【0047】
上電極UE1,UE2,UE3は、例えば、マグネシウムと銀の合金(MgAg)などの金属材料で形成されている。例えば、下電極LE1,LE2,LE3はアノードに相当し、上電極UE1,UE2,UE3はカソードに相当する。
【0048】
有機層OR1,OR2,OR3は、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、および電子注入層の積層構造を有している。有機層OR1,OR2,OR3は、それぞれ複数の発光層を含んでもよい。
【0049】
キャップ層CP1,CP2,CP3は、例えば、透明な複数の薄膜の多層体によって形成されている。多層体は、複数の薄膜として、無機材料によって形成された薄膜および有機材料によって形成された薄膜を含んでもよい。
【0050】
また、これらの複数の薄膜は、互いに異なる屈折率を有している。多層体を構成する薄膜の材料は、上電極UE1,UE2,UE3の材料とは異なり、また、封止層SE1,SE2,SE3の材料とも異なる。なお、キャップ層CP1,CP2,CP3は、省略されてもよい。
【0051】
隔壁6には、共通電圧が供給される。この共通電圧は、下部61の側面に接触した上電極UE1,UE2,UE3にそれぞれ供給される。下電極LE1,LE2,LE3には、副画素SP1,SP2,SP3がそれぞれ有する画素回路1を通じて、画素電圧が供給される。
【0052】
有機層OR1,OR2,OR3は、電圧の印加に応じて発光する。より具体的には、下電極LE1と上電極UE1との間に電位差が形成されると、有機層OR1の発光層が青色の波長域の光を放つ。下電極LE2と上電極UE2との間に電位差が形成されると、有機層OR2の発光層が緑色の波長域の光を放つ。下電極LE3と上電極UE3との間に電位差が形成されると、有機層OR3の発光層が赤色の波長域の光を放つ。
【0053】
図4は、表示装置用マザー基板M10の概略的な平面図である。複数の表示パネルPNLは、表示装置用マザー基板M10(以下、マザー基板M10と呼ぶ)によって一括して製造される。マザー基板M10は、本実施形態において、平面視における形状が長方形である。ただし、マザー基板M10の平面視における形状は長方形に限られない。
【0054】
マザー基板M10は、複数のパネル部PPを有している。複数のパネル部PPは、図示しないカットラインに沿ってマザー基板M10をカットすることで取り出される。取り出されたパネル部PPの各々は、図1に示した表示パネルPNLに相当する。
【0055】
マザー基板M10は、基材100を有している。基材100は、第1主面100Aと、第1主面100Aと反対側の第2主面100Bと、第1主面100Aと第2主面100Bとに接続された側面100C,100D,100E,100Fと、を有している。
【0056】
基材10は、マザー基板M10をカットした後の基材100に相当する。主面10Aはマザー基板M10をカットした後の第1主面100Aに相当し、主面10Bはマザー基板M10をカットした後の第2主面100Bに相当する。第1主面100Aおよび第2主面100Bは、X-Y平面と平行である。第1主面100Aには、複数の表示素子DE1,DE2,DE3が形成される。
【0057】
側面100C,100Dは、第2方向Yに延びるとともに、第1方向Xに並んでいる。側面100C,100Dは、例えば、第2方向Yおよび第3方向Zで規定されるY-Z平面と平行である。側面100E,100Fは、第1方向Xに延びるとともに、第2方向Yに並んでいる。側面100E,100Fは、第1方向Xおよび第3方向Zで規定されるX-Z平面と平行である。
【0058】
続いて、表示装置DSPの製造方法について説明する。
【0059】
図5は、表示装置DSPの製造方法の一例を示すフローチャートである。図6乃至図12は、それぞれ表示装置DSPの製造工程の一部を示す概略的な断面図である。図6乃至図12において示す断面は、マザー基板M10のパネル部PPの断面に相当する。
【0060】
表示装置DSPの製造においては、まず、基材100の上に回路層11および有機絶縁層12が形成される(工程PR1)。回路層11は、パネル部PPにおいて、少なくとも表示領域DAの全体に形成される。有機絶縁層12は、回路層11を覆うように形成される。
【0061】
工程PR1の後、図6に示すように、有機絶縁層12の上に下電極LE1,LE2,LE3が形成され(工程PR2)、下電極LE1,LE2,LE3を覆うリブ5が形成され(工程PR3)、リブ5の上に隔壁6が形成される(工程PR4)。
【0062】
下電極LE1,LE2,LE3は、回路層11および有機絶縁層12を挟んで、第1主面100Aと重なっている。画素開口AP1,AP2,AP3は、工程PR4の前に形成されてもよいし、工程PR4の後に形成されてもよい。
【0063】
続いて、複数の表示素子DE1,DE2,DE3を形成するための工程が実施される。本実施形態においては、表示素子DE1が最初に形成され、表示素子DE2が次に形成され、表示素子DE3が最後に形成される場合を想定する。ただし、表示素子DE1,DE2,DE3が形成される順序は、この例に限られない。
【0064】
表示素子DE1の形成にあたっては、図7に示すように、画素開口AP1を通じて下電極LE1を覆う有機層OR1、有機層OR1を覆う上電極UE1、上電極UE1を覆うキャップ層CP1が蒸着によって順に形成されるとともに、キャップ層CP1および隔壁6を連続的に覆う封止層SE1がCVD(Chemical Vapor Deposition)によって、形成される(工程PR5)。
【0065】
本実施形態において、有機層OR1は第1有機層に相当し、上電極UE1は第1上電極に相当し、封止層SE1は第1封止層に相当する。以下、有機層OR1、上電極UE1、およびキャップ層CP1をまとめて、第1蒸着膜F1(図13に示す)と呼ぶ場合がある。封止層SE1は、第1蒸着膜F1を覆っているといえる。
【0066】
これら有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1および封止層SE1は、パネル部PPにおいて、少なくとも表示領域DAの全体に対して形成され、副画素SP1だけでなく、副画素SP2,SP3にも配置されている。
【0067】
有機層OR1、上電極UE1、およびキャップ層CP1は、オーバーハング状の隔壁6によって分断される。マザー基板M10の観点からは、有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1および封止層SE1は、基材100の全体に形成される。
【0068】
図5に示すフローチャートにおいて、工程PR5の後、有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、および封止層SE1がパターニングされる(工程PR6)。このパターニングにおいては、図8に示すように、封止層SE1の上にレジストRが形成される。本実施形態において、工程PR6において配置されるレジストRは、第1レジストに相当する。レジストRは、副画素SP1とその周囲の隔壁6の一部とを覆っている。
【0069】
その後、レジストRをマスクとしたエッチングにより、図9に示すように、有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、および封止層SE1のうちレジストRから露出した部分が除去される。このエッチングは、例えば、封止層SE1、キャップ層CP1、上電極UE1、および有機層OR1に対して順に実施されるウェットエッチングおよびドライエッチングを含む。
【0070】
図9に示した工程の後、レジストRが除去される。これにより、図10に示すように、副画素SP1に表示素子DE1および封止層SE1が形成され、副画素SP2,SP3に表示素子および封止層が形成されていないマザー基板M10を得ることができる。
【0071】
表示素子DE2は、表示素子DE1と同様の手順で形成される。すなわち、工程PR6の後、画素開口AP2を通じて下電極LE2を覆う有機層OR2、有機層OR2を覆う上電極UE2、上電極UE2を覆うキャップ層CP2が蒸着によって順に形成されるとともに、キャップ層CP2および隔壁6を連続的に覆う封止層SE2がCVDによって形成される(工程PR7)。
【0072】
本実施形態において、有機層OR2は第2有機層に相当し、上電極UE2は第2上電極に相当し、封止層SE2は第2封止層に相当する。以下、有機層OR2、上電極UE2、およびキャップ層CP2をまとめて、第2蒸着膜F2(図15に示す)と呼ぶ場合がある。封止層SE2は、第2蒸着膜F2を覆っているといえる。
【0073】
これら有機層OR2、上電極UE2、キャップ層CP2、および封止層SE2は、パネル部PPにおいて、少なくとも表示領域DAの全体に対して形成され、副画素SP2だけでなく、副画素SP1,SP3にも配置される。マザー基板M10の観点からは、有機層OR2、上電極UE2、キャップ層CP2および封止層SE2は、基材100の全体に形成される。
【0074】
工程PR7の後、有機層OR2、上電極UE2、キャップ層CP2、および封止層SE2がウェットエッチングおよびドライエッチングによりパターニングされる(工程PR8)。このパターニングの流れは、工程PR6と同様である。
【0075】
すなわち、封止層SE2の上にレジストRが形成される。本実施形態において、工程PR8において配置されるレジストRは、第2レジストに相当する。レジストRは、副画素SP2とその周囲の隔壁6の一部とを覆う。
【0076】
その後、レジストRをマスクとしたエッチングにより、有機層OR2、上電極UE2、キャップ層CP2、および封止層SE2のうちレジストRから露出した部分が除去される。その後、レジストRが除去される。
【0077】
工程PR8を経ると、図11に示すように、副画素SP1に表示素子DE1および封止層SE1が形成され、副画素SP2に表示素子DE2および封止層SE2が形成され、副画素SP3に表示素子および封止層が形成されていないマザー基板M10を得ることができる。
【0078】
表示素子DE3は、表示素子DE1,DE2と同様の手順で形成される。すなわち、工程PR8の後、画素開口AP3を通じて下電極LE3を覆う有機層OR3、有機層OR3を覆う上電極UE3、上電極UE3を覆うキャップ層CP3が蒸着によって順に形成されるとともに、キャップ層CP3および隔壁6を連続的に覆う封止層SE3がCVDによって形成される(工程PR9)。
【0079】
本実施形態において、有機層OR3は第3有機層に相当し、上電極UE3は第3上電極に相当し、封止層SE3は第3封止層に相当する。以下、有機層OR3、上電極UE3、およびキャップ層CP3をまとめて、第3蒸着膜F3(図16に示す)と呼ぶ場合がある。封止層SE3は、第3蒸着膜F3を覆っているといえる。
【0080】
これら有機層OR3、上電極UE3、キャップ層CP3、および封止層SE3は、パネル部PPにおいて、少なくとも表示領域DAの全体に対して形成され、副画素SP3だけでなく、副画素SP1,SP2にも配置される。マザー基板M10の観点からは、有機層OR3、上電極UE3、キャップ層CP3および封止層SE3は、基材100の全体に形成される。
【0081】
工程PR9の後、有機層OR3、上電極UE3、キャップ層CP3、および封止層SE3がウェットエッチングおよびドライエッチングによりパターニングされる(工程PR10)。このパターニングの流れは、工程PR6,PR8と同様である。
【0082】
すなわち、封止層SE3の上にレジストRが形成される。レジストRは、副画素SP3とその周囲の隔壁6の一部とを覆う。その後、レジストRをマスクとしたエッチングにより、有機層OR3、上電極UE3、キャップ層CP3、および封止層SE3のうちレジストRから露出した部分が除去される。その後、レジストRが除去される。
【0083】
工程PR10を経ると、図12に示すように、副画素SP1に表示素子DE1および封止層SE1が形成され、副画素SP2に表示素子DE2および封止層SE2が形成され、副画素SP3に表示素子DE3および封止層SE3が形成されたマザー基板M10を得ることができる。
【0084】
表示素子DE1,DE2,DE3および封止層SE1,SE2,SE3が形成された後、図3に示した樹脂層13、封止層14および樹脂層15が順に形成される(工程PR11)。その後、パネル部PPがマザー基板M10から取り出される工程等を経て、表示装置DSPが完成する。
【0085】
続いて、表示装置DSPの製造工程における基材100の端部E10について説明する。図13乃至図16は、それぞれ表示装置DSPの製造工程の一部を示す概略的な断面図である。図13乃至図16は、各製造工程における基材100の側面100Cの近傍を示している。
【0086】
図13乃至図16においては、第2方向Yと反対の方向にマザー基板M10を見ている。基材100は、端部E10を有している。端部E10は、基材100の外周に位置している。端部E10は、側面100C,100D,100E,100Fを含む。
【0087】
上述の工程PR5において、第1蒸着膜F1(有機層OR1、上電極UE1、およびキャップ層CP1)は、端部E10に位置する第1主面100Aにも形成されている。基材100の端部E10にはパネル部PPが含まれないため、回路層11および有機絶縁層12は、基材100の端部E10には形成されない。図13に示すように、有機層OR1は、端部E10において、第1主面100Aと接している。
【0088】
有機層OR1は、図13に示す例において、第1主面100Aの縁まで形成されている。有機層OR1の上には上電極UE1が配置され、上電極UE1の上にはキャップ層CP1が配置されている。
【0089】
封止層SE1は、第1蒸着膜F1および基材100の端部E10を覆うように形成される。封止層SE1は、第1上端部21と、第1側端部31と、第1下端部41と、を有している。
【0090】
第1上端部21、第1側端部31、および第1下端部41は、CVDによって一体的に形成される。第1上端部21、第1側端部31、および第1下端部41の厚さは、それぞれ等しくてもよいし、それぞれ異なっていてもよい。
【0091】
第1上端部21は、例えば、第1主面100Aよりも上方に位置し、第3方向Zにおいて第1主面100Aと重なっている。第1上端部21は、第1蒸着膜F1を覆っている。言い換えると、第1上端部21は、第1蒸着膜F1(キャップ層CP1)と接している。第1側端部31は、第1上端部21と接続されている。
【0092】
第1側端部31は、側面100Cを覆っている。言い換えると、第1側端部31は、側面100Cと接している。第1側端部31は、第1蒸着膜F1の端部F1Eも覆っている。
【0093】
第1下端部41は、例えば、第2主面100Bよりも下方に位置し、第3方向Zにおいて第2主面100Bと重なっている。第1下端部41は、第1側端部31と接続されている。第1下端部41は、第1側端部31から第1方向Xと反対の方向に延びている。第1下端部41は、第2主面100Bの少なくとも一部を覆っている。言い換えると、第1下端部41は、第2主面100Bの少なくとも一部と接している。
【0094】
このように、封止層SE1は、第1蒸着膜F1および基材100の端部E10を第1上端部21、第1側端部31、および第1下端部41によって覆っている。その結果、第1蒸着膜F1の端部F1Eは、露出していない。
【0095】
上述の工程PR6において、端部E10の近傍は、レジストRから露出している。より具体的には、端部E10に位置する第1蒸着膜F1、第1上端部21、第1側端部31、および第1下端部41は、レジストRから露出した部分に相当する。
【0096】
工程PR6におけるレジストRをマスクとしたエッチングにより、図14に示すように、基材100の端部E10からは、第1上端部21、第1側端部31、第1下端部41、および第1蒸着膜F1が除去される。工程PR6を経た後には、基材100の端部E10において、第1主面100A、側面100C、および第2主面100Bが露出する。
【0097】
工程PR7においても基材100の端部E10には、第2蒸着膜F2および封止層SE2が工程PR5と同様に形成される。
【0098】
すなわち、第2蒸着膜F2(有機層OR2、上電極UE2、およびキャップ層CP2)は、端部E10に位置する第1主面100Aにも形成されている。図15に示すように、有機層OR2は、端部E10において、第1主面100Aと接している。
【0099】
有機層OR2は、図15に示す例において、第1主面100Aの縁まで形成されている。有機層OR2の上には上電極UE2が配置され、上電極UE2の上にはキャップ層CP2が配置されている。
【0100】
封止層SE2は、第2蒸着膜F2および基材100の端部E10を覆うように形成される。封止層SE2は、第2上端部22と、第2側端部32と、第2下端部42と、を有している。
【0101】
第2上端部22、第2側端部32、および第2下端部42は、CVDによって一体的に形成されている。第2上端部22、第2側端部32、および第2下端部42の厚さは、それぞれ等しくてもよいし、それぞれ異なっていてもよい。
【0102】
第2上端部22は、第2蒸着膜F2を覆っている。第2側端部32は、第2上端部22と接続されている。第2側端部32は、側面100Cを覆っている。第2側端部32は、第2蒸着膜F2の端部F2Eも覆っている。第2下端部42は、第2側端部32と接続されている。第2下端部42は、第2主面100Bの少なくとも一部を覆っている。
【0103】
このように、封止層SE2は、第2蒸着膜F2および基材100の端部E10を第2上端部22、第2側端部32、および第2下端部42によって覆っている。その結果、第2蒸着膜F2の端部F2Eは、露出していない。
【0104】
上述の工程PR8において、端部E10に位置する第2蒸着膜F2、第2上端部22、第2側端部32、および第2下端部42は、レジストRから露出した部分に相当する。工程PR8におけるレジストRをマスクとしたエッチングにより、基材100の端部E10からは、第2上端部22、第2側端部32、第2下端部42、および第2蒸着膜F2が除去される。工程PR8を経た後には、基材100の端部E10において、工程PR6と同様に、第1主面100A、側面100C、および第2主面100Bが露出する。
【0105】
工程PR9においても基材100の端部E10には、第3蒸着膜F3および封止層SE3が工程PR5,PR7と同様に形成される。
【0106】
すなわち、第3蒸着膜F3(有機層OR3、上電極UE3、およびキャップ層CP3)は、端部E10に位置する第1主面100Aにも形成されている。図16に示すように、有機層OR3は、端部E10において、第1主面100Aと接している。
【0107】
有機層OR3は、図16に示す例において、第1主面100Aの縁まで形成されている。有機層OR3の上には上電極UE3が配置され、上電極UE3の上にはキャップ層CP3が配置されている。
【0108】
封止層SE3は、第3蒸着膜F3および基材100の端部E10を覆うように形成される。封止層SE3は、第3上端部23と、第3側端部33と、第3下端部43と、を有している。
【0109】
第3上端部23、第3側端部33、および第3下端部43は、CVDによって一体的に形成されている。第3上端部23、第3側端部33、および第3下端部43の厚さは、それぞれ等しくてもよいし、それぞれ異なっていてもよい。
【0110】
第3上端部23は、第3蒸着膜F3を覆っている。第3側端部33は、第3上端部23と接続されている。第3側端部33は、側面100Cを覆っている。第3側端部33は、第3蒸着膜F3の端部F3Eも覆っている。第3下端部43は、第3側端部33と接続されている。第3下端部43は、第2主面100Bの少なくとも一部を覆っている。
【0111】
このように、封止層SE3は、第3蒸着膜F3および基材100の端部E10を第3上端部23、第3側端部33、および第3下端部43によって覆っている。その結果、第3蒸着膜F3の端部F3Eは、露出していない。
【0112】
上述の工程PR10において、端部E10に位置する第3蒸着膜F3、第3上端部23、第3側端部33、および第3下端部43は、レジストRから露出した部分に相当する。工程PR10におけるレジストRをマスクとしたエッチングにより、基材100の端部E10からは、第3上端部23、第3側端部33、第3下端部43、および第3蒸着膜F3が除去される。工程PR10を経た後には、基材100の端部E10において、工程PR6と同様に、第1主面100A、側面100C、および第2主面100Bが露出する。
【0113】
図13乃至図16においては、端部E10のうち、基材100の側面100Cの近傍について説明した。基材100の側面100D,100E,100Fの近傍においても、上述の製造工程において、封止層SE1,SE2,SE3は同様の構造を有している。
【0114】
すなわち、工程PR5において、封止層SE1は、基材100の側面100D,100E,100Fの近傍において、第1蒸着膜F1および基材100の端部E10を覆うように形成される。
【0115】
工程PR7において、封止層SE2は、基材100の側面100D,100E,100Fの近傍において、第2蒸着膜F2および基材100の端部E10を覆うように形成される。工程PR9において、封止層SE3は、基材100の側面100D,100E,100Fの近傍において、第3蒸着膜F3および基材100の端部E10を覆うように形成される。
【0116】
図17は、表示装置DSPの製造工程の他の例を示す概略的な断面図である。図17に示す例は、封止層SE1が第1下端部41を有していない点で図13に示した例と異なる。
【0117】
封止層SE1は、第1蒸着膜F1および基材100の端部E10を覆うように形成される。封止層SE1は、第1上端部21と、第1側端部31と、を有している。第1上端部21および第1側端部31は、一体的に形成されている。
【0118】
図17に示す例においては、第1側端部31は、第1主面100Aよりも下方に向けて延びている。第1側端部31は、側面100Cの全体を覆うように形成されるほうが好ましい。
【0119】
図17を用いて説明した形状であっても、封止層SE1が第1上端部21および第1側端部31によって第1蒸着膜F1を覆っているため、第1蒸着膜F1の端部F1Eは露出していない。
【0120】
図17においては封止層SE1について説明したが、図17に示した封止層SE1の構造は、工程PR7における封止層SE2および工程PR9における封止層SE3にも適用することができる。
【0121】
図18は、比較例に係る表示装置DSPの製造工程の一部を示す概略的な断面図である。図18に示す例において、封止層SE1Eは、第1蒸着膜F1および基材100の端部E10の一部を覆っていない。
【0122】
第1蒸着膜F1は、例えば、封止層SE1Eに覆われていない部分NPを有している。言い換えると、第1蒸着膜F1の一部が露出している。覆われていない部分NPの幅は、一例では、約10mmである。さらに、基材100の側面100Cも露出している。
【0123】
このような場合、図18の矢印で示すように、覆われていない部分NPの上方および第1蒸着膜F1の端部F1Eの側方から、第1主面100Aと第1蒸着膜F1との間、第1蒸着膜F1を構成する各層の間、および第1蒸着膜F1と封止層SE1との間に水分が侵入し得る。
【0124】
水分は、例えば、製造工程において基材100が大気にさらされる際や、エッチングを行う際の洗浄等で侵入する可能性がある。このような水分の侵入によって、例えば、第1蒸着膜F1を構成する有機層OR1が剥がれるおそれがある。覆われていない部分NPは、層が剥がれる際の起点となり得る。さらに、有機層OR1が剥がれ、その剥がれた部分が異物となると、その後に成膜される層のカバレッジ性の低下や、表示品位の低下等の不具合を生じさせる。そのため、有機層OR1の剥がれは、表示装置の信頼性を低下させる原因となり得る。
【0125】
本実施形態に係る表示装置DSPの製造方法において、第1蒸着膜F1を覆う封止層SE1は、第1上端部21と、第1側端部31と、を有している。これにより、封止層SE1は、第1蒸着膜F1および基材100の端部E10を覆っている。言い換えると、第1蒸着膜F1の端部F1Eは、露出していない。
【0126】
その結果、第1蒸着膜F1に対して、図13に示す矢印で示す各位置において、第1主面100Aと第1蒸着膜F1との間、第1蒸着膜F1を構成する各層の間、および第1蒸着膜F1と封止層SE1との間への水分の侵入が抑制される。
【0127】
そのため、水分の侵入によって、第1蒸着膜F1を構成する各層が剥がれるおそれが低減される。その結果、表示装置DSPの信頼性の低下を抑制することが可能である。
【0128】
本実施形態において、封止層SE1は、第1下端部41をさらに有している。これにより、側面100Cと封止層SE1の第1側端部31との間に水分がより侵入しにくくなる。その結果、表示装置DSPの信頼性の低下をより抑制することが可能である。
【0129】
本実施形態においては、表示素子DE2,DE3を形成する各製造工程において、封止層SE1と同様に、封止層SE2,SE2は、第2蒸着膜F2、第3蒸着膜F3および基材100の端部E10を覆っている。そのため、表示素子DE1,DE2,DE3を形成する各工程において、水分の侵入が防止されている。
【0130】
以上のように、本実施形態の構成によれば、表示装置DSPの信頼性の低下を抑制することが可能な表示装置DSPの製造方法を提供することができる。その他にも、本実施形態からは種々の好適な効果を得ることができる。
【0131】
なお、工程PR6において、第1側端部31および第1下端部41はエッチングによって除去されているが、第1側端部31および第1下端部41の少なくとも一部はエッチングによって除去されなくてもよい。この場合、残った封止層SE1を覆うように封止層SE2が形成されてもよい。さらに、残った封止層SE2を覆うように封止層SE3が形成されてもよい。
【0132】
本実施形態において、第1蒸着膜F1はキャップ層CP1を含んでいるが、第1蒸着膜F1はキャップ層CP1を含まなくてもよい。同様に、第2蒸着膜F2はキャップ層CP2を含まなくてもよいし、第3蒸着膜F3はキャップ層CP3を含まなくてもよい。
【0133】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置の製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置の製造方法も、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に属する。
【0134】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0135】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0136】
100…基材、100A…第1主面、100B…第2主面、100C,100D,100E,100F…側面、5…リブ、6…隔壁、10…基材、21…第1上端部、22…第2上端部、23…第3上端部、31…第1側端部、32…第2側端部、33…第3側端部、41…第1下端部、42…第2下端部、43…第3下端部、61…下部、62…上部、AP1,AP2,AP3…画素開口、CP1,CP2,CP3…キャップ層、DE1,DE2,DE3…表示素子、DSP…表示装置、F1…第1蒸着膜、F2…第2蒸着膜、F3…第3蒸着膜、LE1,LE2,LE3…下電極、OR1,OR2,OR3…有機層、R…レジスト、SE1,SE2,SE3…封止層、UE1,UE2,UE3…上電極。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18