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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076591
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】管理システム及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240530BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240530BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240530BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20240530BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
G06F3/12 339
B41J29/38 201
B41J29/00 E
B41J29/42 F
H04N1/00 127B
G06F3/12 303
G06F3/12 318
G06F3/12 331
G06F3/12 336
G06F3/12 392
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188206
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】丸山 和樹
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061CG02
2C061CG15
2C061CQ04
2C061CQ34
2C061HK19
2C061HK23
2C061HN05
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA29
5C062AB17
5C062AB22
5C062AB38
5C062AB40
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC34
5C062AF06
(57)【要約】
【課題】利便性を確保しつつコストを抑える。
【解決手段】第1端末は、画像形成装置に対して動作を制限する為の制限情報を前記画像形成装置に送信する送信部を有し、前記制限情報は、第1の時間内に第1の動作の実行を第1の回数だけ実行可能に制限する為の情報であり、第2端末は、前記画像形成装置に対して動作の指示を送信する送信部を有し、前記画像形成装置は、前記第1端末から前記制限情報を受信し、また前記第2端末から前記画像形成装置に対する動作の指示を受信する受信部と、前記第2端末から第1の動作の指示を受信すると、前記制限情報に基づいて前記第1の動作を実行し、また前記第1の動作の実行回数に応じて、前記第1の時間外での前記第1の動作の実行を許可する、または前記第1の時間内での第2の動作の実行を許可する制御部を有する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端末と第2端末と画像形成装置とを備える管理システムであり、
前記第1端末は、
前記画像形成装置に対して動作を制限する為の制限情報を前記画像形成装置に送信する送信部を有し、
前記制限情報は、
第1の時間内に第1の動作の実行を第1の回数だけ実行可能に制限する為の情報であり、
前記第2端末は、
前記画像形成装置に対して動作の指示を送信する送信部を有し、
前記画像形成装置は、
前記第1端末から前記制限情報を受信し、また前記第2端末から前記画像形成装置に対する動作の指示を受信する受信部と、
前記第2端末から前記第1の動作の指示を受信すると、前記制限情報に基づいて前記第1の動作を実行し、また前記第1の動作の実行回数に応じて、前記第1の時間外での前記第1の動作の実行を許可する、または前記第1の時間内での第2の動作の実行を許可する制御部を有する
管理システム。
【請求項2】
前記制限情報は、
前記第1の時間内に前記第1の動作の実行を前記第1の回数まで実行可能とし、前記第1の時間につづく第2の時間内に前記第2の動作の実行を第2の回数まで実行可能とするように制限する為の情報であり、
前記画像形成装置の制御部は、
前記第1の時間内に前記第1の動作の実行回数が前記第1の回数に達すると、前記第1の時間内に前記第2の動作の実行を前記第2の回数まで許可する
請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記画像形成装置の制御部は、
前記第2の時間になっても前記第1の動作の実行回数が前記第1の回数に達していない場合、前記第2の時間内に前記第1の動作を前記第1の回数まで許可する
請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記画像形成装置の制御部は、
前記第1の時間内に前記第1の動作の実行回数が前記第1の回数に達すると、前記第1の時間内に前記第1の動作を所定回数まで許可するとともに前記第2の動作の実行を前記第2の回数まで許可する
請求項2に記載の管理システム。
【請求項5】
前記第1端末は、
前記第1端末の送信部により前記制限情報に前記第1端末の端末情報を付加して前記画像形成装置に送信し、
前記第2端末は、
前記第2端末の送信部により前記動作の指示に前記第2端末の端末情報を付加して前記画像形成装置に送信する
請求項1に記載の管理システム。
【請求項6】
前記画像形成装置の制御部は、
前記第2端末から前記動作の指示を受信すると、当該動作の指示に付加されている端末情報と、前記第1端末から受信した前記制限情報に付加されている端末情報とを比較することで、前記動作の指示を送信してきた前記第2端末が、前記制限情報を送信してきた前記第1端末と同一端末であるか否かを判定し、同一端末であると判定した場合、前記制限情報による動作の制限を解除して、前記第2端末から受信した前記動作の指示に従って当該動作を実行する
請求項5に記載の管理システム。
【請求項7】
前記第1端末は、
前記第1端末の送信部により前記制限情報に時刻情報を付加して前記画像形成装置に送信し、
前記画像形成装置の制御部は、
前記第1端末から受信した前記制限情報に付加されている前記時刻情報を用いて、前記画像形成装置が保持している時刻情報を補正する
請求項1に記載の管理システム。
【請求項8】
前記第2端末は、
前記画像形成装置と近距離無線通信する為の近距離無線通信部を有し、
前記画像形成装置は、
前記第2端末と近距離無線通信する為の近距離無線通信部を有し、
前記画像形成装置の制御部は、
前記第2端末と近距離無線通信による通信状態にある場合に、前記制限情報による動作の制限を有効にし、前記第2端末との近距離無線通信による通信が切れた場合に、前記制限情報による動作の制限を解除する
請求項1に記載の管理システム。
【請求項9】
前記画像形成装置の制御部は、
前記第1の時間内に、前記第2端末から前記動作の指示を受信すると、当該動作の指示を、前記第1の時間内に許可されている前記第1の動作を指示する内容に変更する
請求項1に記載の管理システム。
【請求項10】
第1端末及び第2端末と通信可能な受信部と、動作を制御する制御部とを備える画像形成装置において、
前記受信部は、
第1の時間内に第1の動作の実行を第1の回数だけ実行可能に前記画像形成装置の動作を制限する為の制限情報を前記第1端末から受信し、
前記制御部は、
前記受信部により前記第1端末から前記制限情報を受信した後、前記第2端末から前記第1の動作の指示を受信すると前記制限情報に基づいて前記第1の動作を実行し、また前記第1の動作の実行回数に応じて、前記第1の時間外での前記第1の動作の実行を許可する、または前記第1の時間内での第2の動作の実行を許可するように、前記画像形成装置の動作を制御する
画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理システム及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンターなどの画像形成装置は、小中学校などの教育期間でも広く利用されている。小中学校などで利用する場合、生徒に無条件で印刷を許可すると、トナーや用紙などのコスト(すなわち印刷コスト)が高くなってしまう。一方で、例えば生徒ごとに印刷可能枚数に上限を設定することもできるが、この場合、利便性が損なわれてしまう。そこで従来、授業外では生徒による印刷可能枚数に上限を設定し、授業中では生徒による印刷可能枚数の上限を撤廃することで、利便性を確保しつつコストを抑えるようにした印刷管理システムが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-276496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の印刷管理システムでは、例えば、生徒が授業中に不要な印刷を大量に実行してしまうとコストが高くなってしまう。このように、従来の印刷管理システムではコストが高くなってしまう場合があるという問題を有していた。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、利便性を確保しつつコストを抑えることができる管理システム及び画像形成装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の管理システムは、第1端末と第2端末と画像形成装置とを備える管理システムであり、前記第1端末は、前記画像形成装置に対して動作を制限する為の制限情報を前記画像形成装置に送信する送信部を有し、前記制限情報は、第1の時間内に第1の動作の実行を第1の回数だけ実行可能に制限する為の情報であり、前記第2端末は、前記画像形成装置に対して動作の指示を送信する送信部を有し、前記画像形成装置は、前記第1端末から前記制限情報を受信し、また前記第2端末から前記画像形成装置に対する動作の指示を受信する受信部と、前記第2端末から第1の動作の指示を受信すると、前記制限情報に基づいて前記第1の動作を実行し、また前記第1の動作の実行回数に応じて、前記第1の時間外での前記第1の動作の実行を許可する、または前記第1の時間内での第2の動作の実行を許可する制御部を有する。
【0007】
また本発明の画像形成装置は、第1端末及び第2端末と通信可能な受信部と、動作を制御する制御部とを備える画像形成装置において、前記受信部は、第1の時間内に第1の動作の実行を第1の回数だけ実行可能に前記画像形成装置の動作を制限する為の制限情報を前記第1端末から受信し、前記制御部は、前記受信部により前記第1端末から前記制限情報を受信した後、前記第2端末から前記第1の動作の指示を受信すると前記制限情報に基づいて前記第1の動作を実行し、また前記第1の動作の実行回数に応じて、前記第1の時間外での前記第1の動作の実行を許可する、または前記第1の時間内での第2の動作の実行を許可するように、前記画像形成装置の動作を制御する。
【0008】
このように、画像形成装置により実行される第1の動作を所定回数に限定しつつ、第1の動作の実行回数に応じて、第1の動作または第2の動作の実行を限定的に許可するようにしたことにより、例えば生徒による第1の動作(例えば印刷)を限定しつつ、第1の動作を第1の回数分実行し終えた生徒は、無駄に待つことなく次の第2の動作(例えばスキャン)に移行することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、利便性を確保しつつコストを抑えることができる管理システム及び画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】印刷管理システムの一構成例を示す図である。
図2】Android端末の構成を示すブロック図である。
図3】携帯端末にインストールされているアプリケーションの構成を示すブロック図である。
図4】アプリケーション画面(メイン画面)の構成を示す図である。
図5】アプリケーション画面(プリンター登録画面)の構成及びデータテーブルの構成を示す図である。
図6】アプリケーション画面(アクセス制御画面)の構成を示す図である。
図7】アプリケーション画面(NFCメッセージ画面)の構成を示す図である。
図8】アプリケーション画面(NFCメッセージ2画面)の構成を示す図である。
図9】画像形成装置に利用制限を設定する際の動作の概要を示すシーケンスチャートである。
図10】画像形成装置に利用制限を設定した後の動作の概要を示すシーケンスチャートである。
図11】画像形成装置が利用制限状態に移行する際の動作を示すフローチャートである。
図12】制限情報管理テーブルの構成を示す図である。
図13】画像形成装置が利用制限状態にある場合の動作を示すフローチャートである。
図14】操作回数管理テーブルの構成を示す図である。
図15】画像形成装置が利用制限状態にある場合の動作の一例を示す模式図である。
図16】アクセス管理テーブルの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
[1.印刷管理システムの全体構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る印刷管理システム10の一構成例を示す図である。まずこの印刷管理システム10の構成の概要について説明する。この図1に示すように、印刷管理システム10は、複数の携帯端末100と、画像形成装置200と、これらを繋ぐネットワーク300とで構成されている。
【0013】
携帯端末100は、例えばスマートフォンである。複数の携帯端末100には、印刷管理システム10の管理者が使用する携帯端末100と、印刷管理システム10の管理者以外の利用者が使用する携帯端末100とが含まれる。
【0014】
尚、本実施の形態では、一例として、印刷管理システム10が小中学校などの教育機関に導入された場合を想定していて、この場合、例えば、管理者は教師、利用者は生徒となる。
【0015】
画像形成装置200は、例えば印刷機能に加えて画像読取機能(スキャン機能)などを備えた複合機である。この画像形成装置200は、例えば無線LANであるネットワーク300に接続されていて、ネットワーク300を介して、複数の携帯端末100と通信可能となっている。また複数の携帯端末100と画像形成装置200は、NFCによる近距離無線通信が可能となっている。印刷管理システム10の構成の概要は、以上のようになっている。
【0016】
この印刷管理システム10では、携帯端末100からの指示に従って、画像形成装置200が携帯端末100から受信した印刷データに基づいて印刷を実行するようになっている。またこの印刷管理システム10では、携帯端末100からの指示に従って、画像形成装置200が原稿の読み取り(スキャン)を実行することで画像データを得、当該画像データを携帯端末100に送信するようになっている。
【0017】
また詳しくは後述するが、この印刷管理システム10では、管理者(教師)の携帯端末100から画像形成装置200に対して、利用者(生徒)の携帯端末100から画像形成装置200を利用する際の利用制限を設定できるようになっている。
【0018】
[2.携帯端末及び画像形成装置の構成]
つづけて携帯端末100の基本構成について説明する。複数の携帯端末100は、それぞれ基本構成として、制御部110と、記憶部120と、操作入力部130と、表示出力部140と、ネットワークインタフェース(以下、ネットワークI/Fと略称)150と、近距離無線通信部としてのNFCモジュール160とを有している。
【0019】
記憶部120は、例えばROMやRAMで構成され、制御プログラム121、アプリケーション122、各種データ(図示せず)などを記憶する。
【0020】
制御部110は、携帯端末100全体を制御する部分であり、入力制御部111と、表示制御部112と、実行部113と、通信制御部114とを含んでいる。
【0021】
入力制御部111は、操作入力部130を介してユーザ(管理者及び利用者)により入力されたアプリケーション122の設定などを認識する。表示制御部112は、アプリケーション122の画面などを表示出力部140に表示させる。実行部113は、アプリケーション122などを実行する。通信制御部114は、ネットワークI/F150を介して外部(例えば画像形成装置200)との通信を制御する。
【0022】
記憶部120に記憶されている制御プログラム121は、制御部110を、入力制御部111と、表示制御部112と、実行部113と、通信制御部114として機能させる為のプログラムである。またアプリケーション122は、文書などのデータを作成したり、画像形成装置200に対して印刷指示やスキャン指示を行ったりするプログラムである。
【0023】
操作入力部130は、例えばタッチパネルとボタンで構成され、表示出力部140は、例えばタッチパネルで構成される。操作入力部130は、ユーザによる操作を入力として受け付け、入力情報として入力制御部111や表示制御部112に渡す。表示出力部140は、表示制御部112から受け取った画面データに基づいて各種画面を表示する。ネットワークI/F150は、ネットワーク300を介して画像形成装置200と通信する為のインタフェースである。NFCモジュール160は、NFCを利用して画像形成装置200と近距離無線通信する為のモジュールである。
【0024】
また図1では省略しているが、携帯端末100は、一般的なスマートフォンが有するGPSなどの位置情報取得部やカメラなども有している。携帯端末100の基本構成は、以上のようになっている。
【0025】
つづけて画像形成装置200の基本構成について説明する。画像形成装置200は、基本構成として、制御部210と、記憶部220と、操作入力部230と、印刷部240と、画像読取部250と、ネットワークI/F260と、近距離無線通信部としてのNFCモジュール270とを有している。
【0026】
制御部210は、画像形成装置200全体を制御する部分であり、印刷制御部211と、画像読取制御部212と、通信制御部213とを含んでいる。印刷制御部211は、携帯端末100から送信されてくる印刷データに基づいて、印刷部240による印刷の実行を制御する。画像読取制御部212は、画像読取部250による画像の読み取り(スキャン)を制御する。通信制御部213は、ネットワークI/F260を介して外部(例えば携帯端末100)との通信を制御する。
【0027】
記憶部220は、印刷やスキャンの際に使用されるプログラムやデータなどを記憶する。操作入力部230は、例えばタッチパネルとボタンで構成され、ユーザによる操作を入力として受け付ける。印刷部240は、実際に印刷を実行するプリンターエンジンである。画像読取部250は、画像形成装置200にセットされた原稿を読み取るスキャナである。ネットワークI/F260は、ネットワーク300を介して携帯端末100と通信する為のインタフェースである。NFCモジュール270は、NFCを利用して携帯端末100と近距離無線通信する為のモジュールである。画像形成装置200の基本構成は、以上のようになっている。
【0028】
次に、携帯端末100のシステム構成について説明する。本実施の形態では、携帯端末100として、図2に示すAndroid(登録商標)端末400を採用している。図2は、Android端末400のシステム構成を示し、アプリケーション401と、アプリケーションフレームワーク402と、ライブラリ403と、Androidランタイム404と、Linux(登録商標)カーネル405とで構成されている。
【0029】
アプリケーション401は、AndroidOS環境下で動作するプログラムであり、上述したアプリケーション122に相当する。このアプリケーション401は、Java(登録商標)言語などで記述されたソースコードによって作成されている。
【0030】
アプリケーションフレームワーク402は、アプリケーション401の開発に必要な機能(ライブラリ403にアクセスする為のAPI)を提供する。このアプリケーションフレームワーク402には、Activity(アプリケーションの画面)を管理するActivityManegerと、ウインドウを管理するWindowManagerと、データ共有を管理するContentProvidersと、ユーザインタフェースを管理するViewSystemと、インストールを管理するPackageManagerと、電話機能を管理するTelephonyManagerと、リソースを管理するResourceManagerと、位置情報を管理するLocationManagerと、アラート機能を管理するNotificationManagerが含まれる。
【0031】
ライブラリ403は、汎用性の高い機能を提供する。このライブラリ403には、例えば、オーディオやビデオの操作をサポートするMediaFrameworkや、複数アプリケーションのグラフィックスの統合をサポートするSurfaceManagerなどが含まれる。Androidランタイム404は、Dalvik仮想マシンとJava(登録商標)コアパッケージとで構成されている。Linuxカーネル405は、OSの根幹となるものであり、プロセス管理やメモリ管理などの機能を提供する。Android端末400のシステム構成(つまりの携帯端末100のシステム構成)は、以上のようになっている。
【0032】
次に、携帯端末100にインストールされているアプリケーション122の機能構成について説明する。図3に、アプリケーション122の一例であるアプリケーション500の構成を示す。このアプリケーション500は、管理者及び利用者の携帯端末100から画像形成装置200を利用する為のアプリケーションであり、制御部510と、記憶部520とを有している。制御部510は、アプリケーション500全体を制御する部分であり、入力制御部511と、表示制御部512と、実行部513と、通信制御部514とを含んでいる。
【0033】
入力制御部511は、ユーザ(管理者及び利用者)により入力されたアプリケーション500の設定などを認識する。表示制御部512は、アプリケーション500の画面表示を制御する。実行部513は、アプリケーション500に搭載された機能を実行する。通信制御部514は、画像形成装置200との通信を制御する。
【0034】
記憶部520は、アプリケーション500に登録した画像形成装置200の情報である画像形成装置情報521と、登録した画像形成装置200の利用制限を示す制限情報522などを記憶する。アプリケーション500の機能構成(つまりアプリケーション122の機能構成)は、以上のようになっている。
【0035】
[3.アプリケーション画面の構成]
次に、アプリケーション122によって携帯端末100に表示されるアプリケーション画面の構成について説明する。まず図4に、アプリケーション122によって表示されるアプリケーション画面の一つであるアプリケーション画面600を示す。このアプリケーション画面600は、携帯端末100の表示出力部140に表示されるアプリケーション122のメイン画面である。このアプリケーション画面600には、プリンター登録ボタン610と、カメラ撮影ボタン620と、ファイル選択ボタン630と、スキャンボタン640と、FAQボタン650と、アクセス制御ボタン660とが配置されている。
【0036】
プリンター登録ボタン610は、アプリケーション122で利用する画像形成装置200を登録する為のボタンである。カメラ撮影ボタン620は、携帯端末100が備えるカメラ機能を用いて撮影を行うことで画像データを得、当該画像データを保存したり、当該画像データの印刷を指示したりする為のボタンである。ファイル選択ボタン630は、携帯端末100に保存されている画像データなどのファイルを表示して、選択されたファイルの印刷を指示する為のボタンである。スキャンボタン640は、画像形成装置200に対してスキャンを指示する為のボタンである。FAQボタン650は、アプリケーション122に関するFAQサイトを表示する為のボタンである。アクセス制御ボタン660は、アプリケーション122に登録した画像形成装置200に対して利用制限を設定する為のボタンである。
【0037】
アプリケーション122では、このアプリケーション画面600に表示されている各種ボタンをユーザ(管理者及び利用者)が押下操作することで、カメラによる撮影、画像形成装置200に対する画像データの印刷指示、スキャン指示、利用制限の設定などを行うことができるようになっている。尚、アプリケーション122では、アプリケーション画面600に表示される各種ボタンのうち、例えば、プリンター登録ボタン610と、カメラ撮影ボタン620と、ファイル選択ボタン630と、スキャンボタン640と、FAQボタン650については、管理者と利用者のどちらも押下操作可能であり、アクセス制御ボタン660については、管理者のみ押下操作可能となっている。つまり、アプリケーション122により提供される機能のうち、画像形成装置200に対する利用制限の設定は、管理者のみ実行できるようになっている。
【0038】
ここで図5(A)に、アプリケーション画面600のプリンター登録ボタン610が押下操作された場合に表示されるアプリケーション画面700を示す。このアプリケーション画面700には、検索開始ボタン710と、詳細条件ボタン720と、登録済みリスト730とが配置されている。
【0039】
検索開始ボタン710は、携帯端末100とネットワーク300を介して接続された画像形成装置200を検索する為のボタンである。詳細条件ボタン720は、検索開始ボタン710を押下操作して検索を行う際の詳細条件(例えばプリンター名、IPアドレス、タイムアウト時間など)を設定する為のボタンである。登録済みリスト730は、既にアプリケーション122に登録されている画像形成装置200のリストである。この登録済みリスト730は、登録されている画像形成装置200ごとの情報をリスト化したものであり、当該情報としてプリンター名と、IPアドレスと、装置状態(接続中、未接続など)を含んでいる。
【0040】
このアプリケーション画面700では、検索開始ボタン710を押下操作することで、検索された画像形成装置200の中から所望の画像形成装置200を選択して登録することができるようになっている。またアプリケーション画面700では、登録済みの画像形成装置200の情報を登録済みリスト730として表示することで、ユーザが確認できるようになっている。尚、図5に示す登録済みリスト730は、プリンターAとプリンターBの2台の画像形成装置200が既に登録されている場合の例である。
【0041】
ここで図5(B)に、登録済みリスト730の元となるデータテーブル1400を示す。このデータテーブル1400は、例えば携帯端末100の記憶部120に作成されていて、アプリケーション122に登録されている画像形成装置200ごとの情報が記録されている。具体的には、登録されている画像形成装置200ごとの情報として、プリンター名と、IPアドレスと、MACアドレスと、グループと、装置状態が記録されている。このデータテーブル1400に記録されているプリンター名と、IPアドレスと、装置状態とが、登録済みリスト730としてアプリケーション画面700に表示されるようになっている。またグループは、管理者が画像形成装置200をアプリケーション122に登録する際に指定できるものであり、例えば、画像形成装置200をグループ分けして、管理し易くする為に用いられる。このグループについても、登録済みリスト730に含ませるようにしてもよい。
【0042】
つづけて図6に、アプリケーション画面600のアクセス制御ボタン660が押下操作された場合に表示されるアプリケーション画面800を示す。このアプリケーション画面800は、アプリケーション122に登録された画像形成装置200に対する利用制限の設定を行う為の画面である。このアプリケーション画面800には、プリンター選択コンボボックス810と、制限設定テーブル820と、キャンセルボタン830と、OKボタン840が配置されている。
【0043】
プリンター選択コンボボックス810は、アプリケーション122に登録された画像形成装置200の中から利用制限の対象となる画像形成装置200を選択する部分である。図6に示すプリンター選択コンボボックス810は、プリンター名が「プリンターA」でIPアドレスが「1.2.3.4」の画像形成装置200が選択された場合の例である。
【0044】
制限設定テーブル820は、プリンター選択コンボボックス810により選択された画像形成装置200に対する利用制限の設定内容を指定する為のテーブルであり、設定時間と当該設定時間内での利用制限を指定することができるようになっている。本実施の形態では、利用制限として、画像形成装置200に対する操作(つまり利用者の携帯端末100からの操作であり、画像形成装置200の動作でもある)と、当該操作の詳細と、時間内に当該操作を実行可能な回数(以下、操作可能回数とも呼ぶ)を指定できるようになっている。画像形成装置200に対する操作(画像形成装置200の動作)としては、例えば、「印刷」及び「スキャン」を指定できるようになっている。また操作の詳細としては、カラー指定(例えば「モノクロ」、「カラー」など)と、用紙サイズ(例えば「A4」、「B5」など)と、条件(例えばネットワーク経由で操作することが条件の場合は「ネットワーク」、NFCを用いて操作することが条件の場合は「NFC」など)を指定できるようになっている。
【0045】
図6に示す制限設定テーブル820は、利用制限の設定内容として、設定時間10:00~10:40までの間は、モノクロ、A4の印刷が2回までというように利用が制限され、設定時間10:40~10:50までの間は、カラー、A4、NFCのスキャンが1回までというように利用が制限されていることを示している。また設定時間10:50~11:00までの間は、操作、詳細、回数がそれぞれ「-」となっているが、これは、設定時間10:50~11:00までの間は、画像形成装置200を利用できないこと(つまり印刷もスキャンも許可しないこと)を示している。
【0046】
このアプリケーション画面800では、プリンター選択コンボボックス810により利用制限の対象となる画像形成装置200を選択して、制限設定テーブル820により利用制限の設定内容を指定したうえで、OKボタン840を押下操作することで、選択した画像形成装置200に対する利用制限を設定することができるようになっている。
【0047】
このようにして設定された利用制限は、制限情報として、設定を行った管理者の携帯端末100から画像形成装置200に送信される。画像形成装置200は、管理者の携帯端末100から制限情報を受信すると、これに基づいて利用制限を設定するようになっている。これにより、利用者の携帯端末100からの画像形成装置200の利用が制限される。
【0048】
ところで、図6に示す設定内容で利用制限が設定された場合、10:00~10:40までの間は、操作可能回数が2回に制限されている為、利用者(つまり生徒)の携帯端末100から画像形成装置200を操作して印刷を2回実行すると、それ以降、3回目の印刷を実行することはできない。
【0049】
ここで、例えば、10:00~10:50までの授業が印刷を2回実行した後、スキャンを1回実行するような授業内容であるとすると、利用者である生徒のうち、作業が早い生徒は、スキャンの利用が許可される10:40分よりもだいぶ前に2回の印刷を実行し終えてしまう場合があり、この場合、10:40分まで待たなくてはならない。
【0050】
そこで、本実施の形態の印刷管理システム10では、例えば、最初の設定時間(例えば10:00~10:40までの間)に、第1の操作(例えば印刷)を実行した回数(例えば2回)が操作可能回数に達した利用者(生徒)については、次の設定時間(10:40~10:50までの間)で許可されている第2の操作(例えばスキャン)を、当該設定時間の終わりまで(つまり10:50まで)、当該設定時間の操作可能回数(例えば1回)だけ操作できるようになっている。
【0051】
こうすることで、例えば、作業が早く、10:40分よりも前に2回の印刷を実行し終えた生徒が、10:40分まで待つことなくスキャンを実行できるようになる。このように、印刷管理システム10では、利用者(生徒)による画像形成装置200の利用を制限しつつ、第1の操作(例えば印刷)を所定回数実行し終えた利用者は、次の第2の操作(例えばスキャン)に移行することができるようになっている。
【0052】
つづけて図7に、アプリケーション画面800のOKボタン840が押下操作された場合に表示されるアプリケーション画面900を示す。このアプリケーション画面900は、アプリケーション画面800で設定された利用制限を示す制限情報を、携帯端末100から画像形成装置200に送信する際の画面である。このアプリケーション画面900には、携帯端末100を、利用制限の設定対象となる画像形成装置200にかざすよう促すメッセージ910が表示されている。
【0053】
つづけて図8に、アプリケーション画面600で画像形成装置200に対する操作(印刷やスキャン)を指示した場合に表示されるアプリケーション画面1000を示す。このアプリケーション画面1000には、画像形成装置200に利用制限がかかっている旨と、携帯端末100をかざすことで、指示した操作が実行される旨とを示すメッセージ1010が表示されている。アプリケーション122によって携帯端末100に表示されるアプリケーション画面の構成は、以上のようになっている。
【0054】
尚、本実施の形態の印刷管理システム10では、携帯端末100を画像形成装置200にかざすと、携帯端末100の制御部110が、NFCモジュール160を介してこれを認識し、ネットワーク300を介して画像形成装置200と通信することで、制限情報を画像形成装置200に送信したり、印刷指示やスキャン指示を画像形成装置200に送信したりするようになっている。
【0055】
また本実施の形態の印刷管理システム10では、携帯端末100のアプリケーション122を用いて管理者が画像形成装置200の利用制限を行う為の制限情報を作成するようにしたが、これに限らず、例えば携帯端末100とは別の端末で作成された制限情報を、例えばネットワーク300などを介して、携帯端末100のアプリケーション122にインポートするようにしてもよい。
【0056】
[4.印刷管理システムの動作]
次に、印刷管理システム10の動作について説明する。ここではまず管理者の携帯端末100から画像形成装置200に利用制限を設定する際の動作の概要について、図9に示すシーケンスチャートを用いて説明する。
【0057】
[4-1.利用制限を設定する際の動作の概要]
最初のステップSP1101において、管理者は、携帯端末100のアプリケーションを起動し、携帯端末100に表示させたアプリケーション画面800上で、画像形成装置200に対する利用制限の設定内容(つまり制限情報)を指定する。利用制限の設定内容を指定し終えると、ステップSP1102において、アプリケーション画面800のOKボタン840を押下操作し、さらに携帯端末100を画像形成装置200にかざすことで、画像形成装置200に対する利用制限の設定を指示する。
【0058】
ステップSP1103において、携帯端末100の制御部110(つまりアプリケーション122を実行している制御部110)は、画像形成装置200にかざされたことを認識すると、アプリケーション画面800上で指定された利用制限を示す制限情報に、当該携帯端末100の端末情報を付加する。ここで付加する端末情報は、例えば、携帯端末100固有の情報と、現在時刻を示す時刻情報である。携帯端末100固有の情報としては、例えば、MACアドレスやNFCのIDなどを用いればよい。つづくステップSP1104において、携帯端末100の制御部110は、ネットワークI/F150を介して画像形成装置200に制限情報を送信する。尚、このとき、制限情報を、NFCモジュール160を介して画像形成装置200に送信してもよい。
【0059】
画像形成装置200の制御部210は、ネットワークI/F260を介して、携帯端末100から制限情報を受信すると、ステップSP1105において、受信した制限情報を記憶部220に記憶して解析し、画像形成装置200の時刻情報の補正(SP1105)、処理フローの作成(SP1106)、時刻チェックの開始(SP1107)を行う。
【0060】
ここで作成する処理フローとは、画像形成装置200が、受信した制限情報に基づいて携帯端末100からの利用を制限するように動作する為のワークフローである。印刷管理システム10における、利用制限を設定する際の動作の概要は、以上のようになっている。このようにして利用制限を設定した後、画像形成装置200は、作成した処理フローに沿って動作することにより、携帯端末100からの利用を制限する。
【0061】
[4-2.利用制限を設定した後の動作の概要]
つづけて、画像形成装置200に利用制限を設定した後の動作の概要について、図10に示すシーケンスチャートを用いて説明する。最初のステップSP1201において、利用者(管理者も含まれる)が、携帯端末100のアプリケーション122上で印刷またはスキャンを実行する操作を行い、さらに携帯端末100を画像形成装置200にかざす。
【0062】
ステップSP1202において、携帯端末100の制御部110(つまりアプリケーション122を実行している制御部110)は、画像形成装置200にかざされたことを認識すると、印刷指示またはスキャン指示を示す処理データ(印刷データまたはスキャンデータ)に、当該携帯端末100の端末情報を付加する。ここで付加する情報は、例えば、携帯端末100固有の情報である。つづくステップSP1203において、携帯端末100の制御部110は、ネットワークI/F150を介して、画像形成装置200に処理データを送信することで印刷またはスキャンを指示する。
【0063】
画像形成装置200の制御部210は、ネットワークI/F260を介して、携帯端末100から処理データを受信すると、ステップSP1204において、受信した処理データから端末情報を取得する。つづくステップSP1205において、画像形成装置200の制御部210は、画像形成装置200で保持している時刻情報と制限情報を取得する。つづくステップSP1206において、画像形成装置200の制御部210は、処理データから取得した端末情報と、制限情報に付加されている端末情報とを比較することで、処理データを送信してきた携帯端末100(つまり印刷またはスキャンを指示してきた携帯端末100)が、画像形成装置200に利用制限を設定した管理者の携帯端末100であるか否かを判定する。
【0064】
ここで、処理データを送信してきた携帯端末100が、管理者の携帯端末100であると判定した場合、画像形成装置200の制御部210は、ステップSP1207において、現在設定されている利用制限を解除する。そして画像形成装置200の制御部210は、つづくステップSP1208において、受信した処理データに基づいて印刷またはスキャンを実行する。その後、画像形成装置200の制御部210は、つづくステップSP1209において、制限情報に基づいて利用制限を再設定する。
【0065】
一方で、処理データを送信してきた携帯端末100が、管理者の携帯端末100でない(つまり管理者以外の利用者の携帯端末100である)と判定した場合、画像形成装置200の制御部210は、ステップSP1210において、処理データに含まれている印刷またはスキャンの指示と制限情報とを比較する。ここで、処理データに含まれている印刷またはスキャンの指示と、制限情報により現在許可されている操作とが異なっている場合、画像形成装置200の制御部210は、処理データに含まれている印刷またはスキャンの指示を、制限情報により現在許可されている操作に対応する指示に変更する。
【0066】
具体的には、例えば、処理データに含まれている指示がカラーの印刷指示であり、制御情報により現在許可されている操作がモノクロの印刷であった場合、画像形成装置200の制御部210は、処理データに含まれている指示を、カラーの印刷指示からモノクロの印刷指示に変更する。
【0067】
また例えば、処理データに含まれている指示がカラーのスキャン指示であり、制御情報により現在許可されている操作がモノクロの印刷であった場合、画像形成装置200の制御部210は、処理データに含まれている指示を、指示無しに変更する。
【0068】
さらに例えば、処理データに含まれている指示がモノクロの印刷指示であり、制御情報により現在許可されている操作もモノクロの印刷であるが、今回処理データを送信してきた携帯端末100からの操作回数が操作可能回数に達している場合も、画像形成装置200の制御部210は、所定データに含まれている指示を、指示無しに変更する。
【0069】
一方で、処理データに含まれている印刷またはスキャンの指示と、制限情報により現在許可されている操作とが一致していて、今回処理データを送信してきた携帯端末100からの操作回数が操作可能回数に達していない場合、画像形成装置200の制御部210は、処理データに含まれている印刷またはスキャンの指示を変更しない。
【0070】
つづくステップSP1213において、画像形成装置200の制御部210は、変更もしくは未変更の印刷またはスキャンの指示に従って印刷またはスキャンを実行する。またこのとき、処理データに含まれている指示を指示無しに変更していた場合、画像形成装置200の制御部210は、印刷もスキャンも実行しない。
【0071】
その後、ステップSP1214において、画像形成装置200の制御部210は、必要に応じて、指示とは異なった出力(操作)を実行した旨、または指示を受け付けなかった旨を、携帯端末100に通知することで、指示とは異なった出力(操作)を実行した旨、または指示を受け付けなかった旨を示す警告を、携帯端末100の表示出力部140に表示させる。印刷管理システム10における、利用制限を設定した後の動作の概要は、以上のようになっている。
【0072】
[4-3.画像形成装置が制限情報を受信して利用制限状態に移行する際の動作]
次に、画像形成装置200が携帯端末100から制限情報を受信して、利用を制限する状態(利用制限状態と呼ぶ)に移行する際の動作の具体的な手順について、図11に示すフローチャートを用いて説明する。尚、図11に示すフローチャートは、図9に示したシーケンスチャートにおける画像形成装置200の動作の手順を、より具体的に示すものである。
【0073】
画像形成装置200の制御部210は、ネットワークI/F260を介して、携帯端末100から制限情報を受信すると、ステップSP1501において、受信した制限情報を解析する。つづくステップSP1502において、制御部210は、制限情報の解析結果をもとに、図12に示す制限情報管理テーブル1600を作成する。制限情報管理テーブル1600は、制限情報を管理する為のテーブルであり詳しくは後述する。
【0074】
つづくステップSP1503において、制御部210は、受信した制限情報から時刻情報を取得する。つづくステップSP1504において、制御部210は、取得した時刻情報を用いて画像形成装置200の時刻情報を補正する。つづくステップSP1505において、制御部210は、作成した制限情報管理テーブル1600に基づく処理フローを作成する。この処理フローは、制限情報管理テーブル1600に記録されている設定時間(開始時刻と終了時刻で指定される時間)ごとの制御情報に基づく処理をワークフロー化したものであり、処理に必要な識別子及びコマンドなどが定義される。
【0075】
つづくステップSP1506において、制御部210は、画像形成装置200の時刻チェックを開始する。この時刻チェックは、例えば、アプリケーション122側もしくは画像形成装置200側の設定で指定された間隔で行うようになっている。画像形成装置200が携帯端末100から制限情報を受信して、利用制限状態に移行する際の動作は、以上のようになっている。尚、後述するが、利用制限状態移行後、画像形成装置200の制御部210は、時刻チェックを行いつつ、処理フローに沿って動作することにより、設定時間ごとに利用制限を変更していくようになっている。
【0076】
ここで図12に、制限情報管理テーブル1600を示す。この制限情報管理テーブル1600には、携帯端末100から受信した制限情報が開始時間と終了時間で指定される設定時間ごとに記録されている。具体的には、Noと、設定時間(開始時間と終了時間)と、操作(印刷またはスキャン)と、操作の詳細設定であるカラー指定、用紙サイズ、及び条件(ネットワークまたはNFC)と、操作可能回数とで構成されるデータとして制限情報が記録されている。このうち、設定時間と、操作と、カラー指定と、用紙サイズと、条件と、操作可能回数は、受信した制限情報に含まれている情報であり、Noは、設定時間ごとの制限情報に対して、開始時刻の早い順に付与した通し番号である。つまり、制限情報管理テーブル1600には、設定時間ごとの制限情報に通し番号を付与したものが記録されている。
【0077】
図12に示す制限情報管理テーブル1600は、10時~10時39分59秒までの制限情報に対してNo.1が付与され、つづく10時40分~10時49分59秒までの制限情報に対してNo.2が付与され、つづく10:50分~10時59分59秒までの制限情報に対してNo.3が付与されている例である。
【0078】
[4-4.画像形成装置が利用制限状態にある場合の動作]
次に、画像形成装置200が利用制限状態にある場合の動作の具体的な手順について、図13に示すフローチャートを用いて説明する。尚、図13に示すフローチャートは、図10に示したシーケンスチャートにおける画像形成装置200の動作の手順を、より具体的に示すものである。
【0079】
画像形成装置200の制御部210は、ネットワークI/F260を介して、携帯端末100から処理データを受信すると、ステップSP1801において、受信した処理データを解析し、つづくステップSP1802において、解析した当該処理データから端末情報を取得する。つづくステップSP1803において、制御部210は、画像形成装置200で保持している時刻情報を取得し、つづくステップSP1804において、画像形成装置200に保持している制限情報を取得する。
【0080】
つづくステップSP1805において、制御部210は、処理データから取得した端末情報と、制限情報に付加されている端末情報とを比較することで、処理データを送信してきた携帯端末100(つまり印刷またはスキャンを指示してきた携帯端末100)が、画像形成装置200に利用制限を設定した管理者の携帯端末100であるか否かを判定する。
【0081】
ここで、処理データを送信してきた携帯端末100が、管理者の携帯端末100であると判定した場合、制御部210は、ステップSP1805で肯定結果を得て、ステップSP1806に移る。ステップSP1806において、制御部210は、現在設定されている利用制限を解除する。つづくステップSP1807において、制御部210は、受信した処理データに基づいて印刷またはスキャンを実行する。その後、制御部210は、つづくステップSP1808において、制限情報に基づいて(具体的には制限情報管理テーブル1600に基づいて)利用制限を再設定する(つまり元に戻す)。
【0082】
一方で、処理データを送信してきた携帯端末100が、管理者の携帯端末100でない(つまり管理者以外の利用者の携帯端末100である)と判定した場合、制御部210は、ステップSP1805で否定結果を得て、ステップSP1809に移る。ステップSP1809において、制御部210は、まず画像形成装置200で保持している(つまり記憶部220に記憶している)、図14に示す操作回数管理テーブル2000を参照する。
【0083】
この操作回数管理テーブル2000には、制限情報管理テーブル1600に記録されている制限情報ごと(つまり設定時間ごと)に、許可されている操作を何回実行したのかを示す操作回数情報が、携帯端末100ごとに記録されている。具体的には、制限情報ごとの操作可能回数と、各携帯端末100における制限情報ごとの操作回数とで構成される操作回数情報が、操作回数管理テーブル2000に記録されている。
【0084】
図14に示す操作回数管理テーブル2000には、制限1での操作可能回数が2回、制限2での操作可能回数が1回、制限1での端末Aによる操作回数が2回、制限2での端末Aによる操作回数が0回と記録されているが、この制限1、制限2というのは、制限情報管理テーブル1600のNoに対応している。つまり制限1での操作可能回数が2回というのは、No.1の制限情報(10時~10時39分59秒までの制限情報)により利用制限されている間の操作可能回数が2回であることを示している。
【0085】
制御部210は、このような操作回数管理テーブル2000を参照することで、制限情報ごと(つまり設定時間ごと)の操作可能回数と、処理データを送信してきた携帯端末100(例えば端末A)における、制限情報ごと(つまり設定時間ごと)の操作回数とを取得する。
【0086】
図13に戻り、制御部210は、つづくステップSP1810において、現在設定されている制限情報の操作可能回数と、携帯端末100における、当該制限情報の設定時間内での操作回数とを比較し、当該比較結果に基づいて、現在設定されている制限情報を適切な設定に変更する。
【0087】
具体的には、制御部210は、携帯端末100における、現在設定されている制限情報(例えばNo.1の制限情報)の設定時間内での操作回数が、当該制限情報の操作可能回数に達している場合、現在設定されている制限情報を、次の制限情報(例えばNo.2の制限情報)に基づいて適切な設定に変更する。すなわち、制御部210は、現在設定されている制限情報の終了時刻(例えば10時39分59秒)を、次の制限情報の終了時刻(例えば10時49分59秒)に変更するとともに、現在設定されている制限情報の操作(例えば印刷)、カラー指定(例えばモノクロ)、用紙サイズ(例えばA3)、条件(例えば無し)、操作可能回数(例えば2回)を、それぞれ次の制限情報の操作(例えばスキャン)、カラー指定(例えばカラー)、用紙サイズ(例えばA4)、条件(例えばNFC)、操作可能回数(例えば1回)に変更する。
【0088】
このように現在設定されている制限情報を変更することで、現在設定されている制限情報の設定時間内に、第1の操作(例えば印刷)を実行した回数(例えば2回)が操作可能回数に達した利用者(生徒)については、現在設定されている制限情報の終了時刻まで待つことなく、次の制限情報で許可されている第2の操作(例えばスキャン)を、当該次の制限情報の終了時刻まで、当該次の制限情報の操作可能回数(例えば1回)だけ実行できるようになる。
【0089】
尚、制御部210は、現在設定されている制限情報を適切な設定に変更した後、再び元の設定に戻すことができるように、現在設定されている制限情報を変更する際に、元の設定を別途保持するようになっている。
【0090】
一方で、制御部210は、携帯端末100における、現在設定されている制限情報(例えばNo.1の制限情報)の設定時間内での操作回数が、当該制限情報の操作可能回数に達していない場合、現在設定されている制限情報を変更せずにそのまま保持するようになっている。
【0091】
つづくステップSP1811において、制御部210は、受信した処理データに含まれている印刷またはスキャンの指示と現在設定されている制限情報とを比較し、つづくステップSP1812において、処理データに含まれている印刷またはスキャンの指示と、現在設定されている制限情報により許可されている操作とが異なっているか否かを判定する。
【0092】
ここで、処理データに含まれている印刷またはスキャンの指示と、現在設定されている制限情報により許可されている操作とが異なっている場合、制御部210は、ステップSP1812で肯定結果を得て、ステップSP1813に移る。ステップSP1813において、制御部210は、処理データに含まれている印刷またはスキャンの指示を、現在設定されている制限情報で許可されている操作に対応する指示に変更する。
【0093】
尚、ここでは、例えば、処理データに含まれている指示が第1の操作(例えば印刷)の指示であり、現在設定されている制限情報により許可されている操作も第1の操作(例えば印刷)であるが、第1の操作の詳細設定(カラー指定、用紙サイズ、条件など)が、処理データに含まれている指示と制限情報とで異なる場合に、処理データに含まれている指示を、制限情報で許可している操作の詳細設定に対応する指示に変更するようになっている。
【0094】
つづくステップSP1814において、制御部210は、変更した指示に従って印刷またはスキャンを実行する。つづくステップSP1815において、制御部210は、今回印刷またはスキャンを実行したことにともなって、操作回数管理テーブル2000に記録されている、処理データを送信してきた携帯端末100の操作回数情報を更新する。具体的には、処理データを送信してきた携帯端末100における、現在設定されている制限情報に対応付けられている操作回数をインクリメント(+1)する。
【0095】
その後、制御部210は、つづくステップSP1816において、現在設定されている制限情報を、元の制限情報に基づいて再設定し(つまり元に戻し)、つづくステップSP1817において、指示とは異なった出力(操作)を実行した旨を示す警告を、表示出力部140に表示させ、一連の動作を終了する。
【0096】
一方で、処理データに含まれている印刷またはスキャンの指示と、現在設定されている制限情報により許可されている操作とが詳細設定も含めて一致している場合、制御部210は、ステップSP1812で否定結果を得て、ステップSP1818に移る。
【0097】
ステップSP1818において、制御部210は、処理データに含まれている指示に従って印刷またはスキャンを実行する。つづくステップSP1819において、制御部210は、今回印刷またはスキャンを実行したことにともなって、操作回数管理テーブル2000に記録されている、処理データを送信してきた携帯端末100の操作回数情報を更新する。つづくステップSP1820において、制御部210は、現在設定されている制限情報を、元の制限情報に基づいて再設定し(つまり元に戻し)、一連の動作を終了する。
【0098】
尚、フローチャートが複雑になる為、図13では省略しているが、制御部210は、ステップSP1812で肯定結果または否定結果を得た場合、処理データに含まれている指示により実行しようとしている操作(印刷またはスキャン)の実行回数(つまり操作回数)が、現在設定されている制限情報の操作可能回数に達しているか否かを判定するようになっていて、まだ達していない場合に限り、処理データに含まれている印刷またはスキャンの指示を、必要に応じて、現在設定されている制限情報で許可されている操作に対応する指示に変更し、印刷またはスキャンを実行するようになっている。
【0099】
別の言い方をすると、制御部210は、処理データに含まれている指示により実行しようとしている操作(印刷またはスキャン)の実行回数が、現在設定されている制限情報の操作可能回数に達している場合には、処理データに含まれている印刷またはスキャンの指示を受け付けないようになっていて、この場合、ステップSP1813~SP1815、ステップSP1817~SP1818を省略し、印刷またはスキャンを実行することなく、現在設定されている制限情報を、元の制限情報に基づいて再設定し(つまり元に戻し)、指示を受け付けなかった旨を示す警告を、表示出力部140に表示させ、一連の動作を終了するようになっている。画像形成装置200が利用制限状態にある場合の動作は、以上のようになっている。
【0100】
ここで、画像形成装置200が利用制限状態にある場合の動作の一例を、図15(A)、(B)を用いて簡単に説明する。図15(A)は、管理者(例えば教師)の携帯端末100により設定された制限情報の一例を示している。この例では、制限情報によって、10:00~10:40までは、画像形成装置200への操作としてモノクロ印刷が許可され、10:40~10:50までは、スキャンが許可され、10:50~11:00までは印刷もスキャンも許可されていないことを示している。尚、図中白抜きの枠が操作を許可している時間を示し、グレーで塗りつぶされた枠が操作を許可していない時間を示している。
【0101】
ここで、図15(B)に示すように、例えば、作業が早い利用者(例えば生徒)が、10:10の時点で、モノクロ印刷を、10:00~10:40までの操作可能回数として設定されている2回実行し終えたとする。すると、画像形成装置200側では、この時点で、本来10:40にならないと当該生徒に対して許可されないスキャンが限定的に許可される。これにより、この生徒は、10:40よりも前の時点で、スキャンを実行することができる。一方で、モノクロ印刷を、10:10の時点で操作可能回数として設定されている2回実行し終えた為、これ以降の印刷指示は画像形成装置200により拒否される。
【0102】
このように、印刷管理システム10では、利用者(生徒)による画像形成装置200の利用制限を行いつつ、利用者の作業進捗に合わせて、画像形成装置200の利用制限を変更することができるようになっている。
【0103】
[5.まとめと効果]
ここまで説明したように、本実施の形態の管理システムとしての印刷管理システム10は、第1端末としての管理者(例えば教師)の携帯端末100と、第2端末としての利用者(管理者を除く利用者であり例えば生徒)の携帯端末100と、画像形成装置200とを備える。
【0104】
管理者の携帯端末100は、画像形成装置200に対して動作(印刷やスキャンなどの操作)を制限する為の制限情報を生成する生成部としての制御部110と、当該制限情報を画像形成装置200に送信する送信部としてのネットワークI/F150とを有する。ここで、管理者の携帯端末100から画像形成装置200に送信される制限情報は、第1の動作(例えば印刷)の実行を第1の時間内に第1の回数(操作可能回数)だけ実行可能と制限する情報となっている。
【0105】
利用者の携帯端末100は、画像形成装置200に対して動作(印刷やスキャン)の指示を送信する送信部としてのネットワークI/F150を有する。
【0106】
画像形成装置200は、管理者の携帯端末100及び利用者の携帯端末100と通信可能な受信部としてのネットワークI/F150と、画像形成装置200の動作を制御する制御部210とを有し、ネットワークI/F150により管理者の携帯端末100から制限情報を受信した後、利用者の携帯端末100から第1の動作(例えば印刷)の指示を受信すると、制限情報に基づいて第1の動作を実行し、また第1の動作の実行回数が第1の回数に達している場合、第1の時間につづく第2の時間内に実行可能と制限されている第2の動作の実行を許可するように、制御部210が動作を制御するようにした。
【0107】
すなわち、印刷管理システム10では、管理者の携帯端末100から画像形成装置200に送信される制限情報は、第1の時間内に第1の動作(例えば印刷)の実行を第1の回数(例えば2回)に制限し、第1の時間につづく第2の時間内に第2の動作(例えばスキャン)の実行を第2の回数(例えば1回)に制限する情報となっている。
【0108】
そして画像形成装置200の制御部210は、第1の時間内に、利用者の携帯端末100から第1の動作(例えば印刷)の指示を受信すると、制限情報により第1の時間内で許可されている第1の動作を実行し、第1の時間内に、第1の動作を制限情報により指定されている第1の回数だけ実行すると、第2の時間になる前に、制限情報により第2の時間内で許可されている第2の動作の実行を、第2の時間の終了時刻まで第2の回数だけ許可するようにした。
【0109】
このように、印刷管理システム10では、画像形成装置200により実行される第1の動作を所定回数(第1の回数)に限定しつつ、第1の動作を第1の回数実行した後は、第2の動作の実行を限定的に許可するようにしたことにより、例えば生徒による第1の動作(例えば印刷)を限定しつつ、第1の動作を所定回数実行し終えた生徒は、無駄に待つことなく次の第2の動作(例えばスキャン)に移行することができる。
【0110】
つまり印刷管理システム10では、利用者(生徒)による画像形成装置200の利用制限を行いつつ、利用者の作業進捗に合わせて、画像形成装置200の利用制限を変更することができる。かくして、本実施の形態の印刷管理システム10によれば、利便性を確保しつつコストを抑えることができる。
【0111】
また印刷管理システム10では、管理者の携帯端末100の制御部110が、当該携帯端末100の端末情報を、制限情報に付加して画像形成装置200に送信し、また管理者の携帯端末100の制御部110が、画像形成装置200に対する動作の指示に当該携帯端末100の端末情報を付加して画像形成装置200に送信するようにした。
【0112】
そして画像形成装置200の制御部210は、管理者の携帯端末100から画像形成装置200に対する動作の指示を受信すると、この指示に付加されている端末情報と、管理者の携帯端末100から受信した制限情報に付加されている端末情報とを比較することで、画像形成装置200に対する動作の指示が、管理者の携帯端末100からの指示であること(つまり動作の指示を送信してきた携帯端末100が、制限情報を送信してきた携帯端末100と同一端末であること)を認識し、このとき制限情報による利用制限を解除するようにした。
【0113】
こうすることで、管理者(教師)は、画像形成装置200の利用制限を解除するような操作をすることなく、画像形成装置200を制限なく利用することができる。
【0114】
[6.他の実施の形態]
[6-1.他の実施の形態1]
尚、上述した実施の形態では、制限情報により、例えば第1の操作(例えば印刷)の実行を第1の時間(例えば10時~10時39分59秒)内に第1の回数だけ実行可能と制限するようにした。ここで、例えば、作業が遅い利用者(生徒)は、第1の時間内に第1の動作を第1の回数分実行し終えることができない場合がある。
【0115】
そこで、例えば、第2の時間になっても、まだ第1の時間内で許可されていた第1の動作を第1の回数分実行し終えていない利用者については、第1の動作を許可し続けるようにしてもよい。
【0116】
この場合、画像形成装置200の制御部210は、携帯端末100から処理データを受信した際に、携帯端末100における、現在設定されている制限情報(例えばNo.2の制限情報)の1つ前の制限情報(例えばNo.1の制限情報)の設定時間内での操作回数が、当該制限情報の操作可能回数に達していない場合、現在設定されている制限情報を、1つ前の制限情報に基づいて適切な設定に変更する。すなわち、制御部210は、現在設定されている制限情報により許可されている操作(例えばスキャン)、当該操作の詳細設定(カラー指定、用紙サイズ、条件)、及び操作可能回数を、それぞれ1つ前の制限情報により許可されている操作(例えば印刷)、当該操作の詳細設定(カラー指定、用紙サイズ、条件)、及び操作可能回数に変更する。
【0117】
このように現在設定されている制限情報を変更することで、現在設定されている制限情報の1つ前の制限情報の設定時間内に、第1の操作(例えば印刷)を実行した回数(例えば2回)が操作可能回数に達していない利用者(生徒)については、現在設定されている制限情報の終了時刻まで、1つ前の制限情報により許可されていた第1の操作が、当該1つ前の制限情報により許可されていた操作可能回数まで実行できるようになる。
【0118】
ここで、この場合の動作の一例を、図15(A)、(C)を用いて簡単に説明する。図15(A)は、管理者(例えば教師)の携帯端末100により設定された制限情報の一例であり、制限情報によって、10:00~10:40までは、画像形成装置200への操作としてモノクロ印刷が許可され、10:40~10:50までは、スキャンが許可され、10:50~11:00までは印刷もスキャンも許可されていないことを示している。
【0119】
ここで、図15(C)に示すように、例えば、作業が遅い利用者(例えば生徒)が、10:00~10:40までの間に、モノクロ印刷を操作可能回数として設定されている2回実行し終えなかった為、10:40~10;50に、モノクロ印刷を画像形成装置200に対して指示したとする。
【0120】
この場合、画像形成装置200側では、当該利用者が10:00~10:40までの間にモノクロ印刷を操作可能回数分実行し終えていない為、本来10:40~10:50の間では許可されていないモノクロ印刷が限定的に許可される。これにより、この生徒は、10:40よりも後の時点でもモノクロ印刷を実行することができる。一方で、スキャンについては、10:40~10:50の間でも、モノクロ印刷を操作可能回数分実行するまで実行できないようになっている。
【0121】
このように、画像形成装置200により実行される第1の動作を所定回数(第1の回数)に限定しつつ、第1の動作を第1の回数分実行し終えるまでは、第1の動作を許可し続けることにより、例えば生徒による第1の動作(例えば印刷)を限定しつつ、第1の動作を所定回数実行し終えた生徒から、次の第2の動作(例えばスキャン)に移行することができる。
【0122】
[6-2.他の実施の形態2]
また上述した実施の形態では、画像形成装置200の制御部210が、操作回数管理テーブル2000に記録されている操作回数情報に基づいて、現在設定されている制限情報の操作可能回数と、処理データを送信してきた携帯端末100における、当該制限情報の設定時間内での操作回数とを比較し、当該操作回数が操作可能回数に達している場合には、現在設定されている制限情報を、次の制限情報で許可されている操作を前もって許可する内容に変更するようにした。
【0123】
これに限らず、例えば、各制限情報の設定時間内での操作可能回数を一定回数(例えば1回)とし、各制限情報の設定時間内で操作が一定回数実行されたら、現在の制限情報を、操作をまだ実行していない制限情報のうち、最も直近の制限情報で許可される操作を実行可能とする内容に変更するようにしてもよい。
【0124】
この場合、画像形成装置200の制御部210は、例えば図16に示すアクセス管理テーブル2200を参照する。このアクセス管理テーブル2200には、制限情報管理テーブル1600に記録されている制限情報ごと(つまり設定時間ごと)に、許可されている操作を実行したか否かを示す端末アクセス情報が、携帯端末100ごとに記録されている。具体的には、許可されている操作を実行した制限情報に対しては「TRUE」と実行時刻が記録され、まだ操作を実行していない制限情報に対しては「FALSE」が記録されるようになっている。
【0125】
図16に示すアクセス管理テーブル2200は、制限1での端末Aによる操作がTRUE(つまり実行済み)、制限2での端末Aによる操作がFALSE(未実行)と記録されている例である。
【0126】
制御部210は、このようなアクセス管理テーブル2200を参照することで、現時点でまだ実行されていない操作のうち、最上位の操作(つまり操作をまだ実行していない制限情報のうち、最も直近の制限情報により許可されている操作)を判定し、当該操作を許可するように、現在の制限情報を更新する。このようにすれば、利用者による画像形成装置200の利用を制限しつつ、作業が早い利用者(生徒)は、どんどん次の操作を実行していくことができ、作業が遅い利用者は、ゆっくりと操作を実行していくことができる。
【0127】
[6-3.他の実施の形態3]
さらに上述した実施の形態では、画像形成装置200の制御部210が、現在設定されている制限情報の設定時間内での操作回数(例えば印刷実行回数)が、当該制限情報の操作可能回数に達した場合に、現在設定されている制限情報を、次の制限情報で許可されている操作(例えばスキャン)を次の制限情報の終了時刻まで実行可能な設定に変更するようにした。
【0128】
これに限らず、画像形成装置200の制御部210が、現在設定されている制限情報の設定時間内での操作回数が、当該制限情報の操作可能回数に達した場合に、現在設定されている制限情報を、現在設定されている制限情報で許可されている第1の操作(例えば印刷)と、次の制限情報で許可されている第2の操作の両方を、次の制限情報の終了時刻まで実行可能な設定に変更するようにしてもよい。
【0129】
この場合、制限情報の変更後に許可される第1の操作については、操作可能回数を所定回数(例えば1回)に設定し、第2の操作については、操作可能回数を、次の制限情報で指定されている操作可能回数に設定すればよい。
【0130】
こうすることで、例えば、現在設定されている制限情報の設定時間内に、第1の操作(例えば印刷)を操作可能回数分実行し終えた利用者(生徒)については、現在設定されている制限情報の終了時刻まで待つことなく、次の制限情報で許可されている第2の操作(例えばスキャン)を実行できるようになるとともに、例えば、第1の操作(例えば印刷)が正しく実行できなかった場合などに、第1の操作を実行し直すこともできる。
【0131】
[6-4.他の実施の形態4]
さらに上述した実施の形態では、携帯端末100を画像形成装置200にかざすと、携帯端末100がNFCモジュール160によりこれを認識し、ネットワーク300を介して画像形成装置200に印刷指示またはスキャン指示を示す処理データを送信し、画像形成装置200がこの処理データを受信すると、設定されている利用制限に基づいて当該処理データを処理するようにした。
【0132】
ここで、例えば、携帯端末100が画像形成装置200にかざされて、携帯端末100と画像形成装置200とがNFCなどの近距離無線通信による通信状態にあるときには、画像形成装置200に設定されている利用制限を有効にし、携帯端末100が画像形成装置200から離されて近距離無線通信が切断されると、当該利用制限を解除するようにしてもよい。尚、この制御は、例えば、画像形成装置200の制御部210が行う。
【0133】
こうすることで、例えば、NFCなどの近距離無線通信を用いて画像形成装置200に対する操作を実行する利用者(例えば生徒)に対しては、画像形成装置200の利用制限を行い、NFCなどの近距離無線通信は用いず、ネットワーク300を介して画像形成装置200に対する操作を実行する利用者(例えば教師)に対しては、画像形成装置200の利用制限を行わないといった運用が可能となる。
【0134】
[6-5.他の実施の形態5]
さらに上述した実施の形態では、処理データに含まれている指示と、制御情報に含まれている現在許可されている操作とを比較して、処理データに含まれている指示と、現在許可されている操作とで、操作(例えば印刷)は同じであるが、操作の詳細設定(例えばカラー指定など)が異なっている場合には、画像形成装置200の制御部210が、処理データに含まれている指示を、制限情報に設定されている操作の詳細設定に変更し、変更した指示に従って操作を実行するようにした。
【0135】
これに限らず、例えば、処理データに含まれている指示と、現在許可されている操作とで、操作(例えば印刷)は同じであるが、操作の詳細設定(例えばカラー指定など)が異なっている場合には、処理データに含まれている指示を受け付けないようにしてもよい。
【0136】
またこれに限らず、処理データに含まれている指示と、現在許可されている操作とで、操作自体が異なっている場合、強制的に、処理データに含まれている指示を、制限情報に設定されている操作に変更し、変更した指示に従って操作を実行するようにしてもよい。
【0137】
[6-6.他の実施の形態6]
さらに上述した実施の形態では、画像形成装置200の制御部210が、現在設定されている制限情報の設定時間内での操作回数(例えば印刷実行回数)に応じて、現在設定されている制限情報を変更するようにした。これに限らず、操作回数に応じて制限情報を変更する処理を省略するようにしてもよい。
【0138】
この場合、現在設定されている制限情報の設定時間内での操作回数が操作可能回数に達すると、以降、次の制限情報の開始時刻まで画像形成装置200の操作を実行できなくなるが、設定時間内で、利用者により画像形成装置200の操作が制限なく実行されてしまうことを十分防ぐことができる。
【0139】
[6-7.他の実施の形態7]
さらに上述した実施の形態では、画像形成装置200として複合機を用いたが、これに限らず、例えば印刷機能を有する複合機以外の画像形成装置(例えばプリンター)を用いてもよい。さらに上述した実施の形態では、携帯端末100としてスマートフォンを用いたが、これに限らず、画像形成装置200と通信可能な端末であれば、スマートフォン以外の端末(例えばタブレットやノートパソコンなど)を用いてもよい。
【0140】
[6-8.他の実施の形態8]
さらに本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部が異なる実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明は、例えばプリンターや複合機などの画像形成装置を共用するシステムなどで広く利用できる。
【符号の説明】
【0142】
10……印刷管理システム、100……携帯端末、110……制御部、120……記憶部、121……制御プログラム、122……アプリケーション、130……操作入力部、140……表示出力部、150……ネットワークI/F、160……NFCモジュール、200……画像形成装置、210……制御部、220……記憶部、230……操作入力部、240……印刷部、250……画像読取部、260……ネットワークI/F、270……NFCモジュール、300……ネットワーク、600、700、800、900、1000……アプリケーション画面、1400……データテーブル、1600……制限情報管理テーブル、2000……操作回数管理テーブル、2200……アクセス管理テーブル。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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図16