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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076597
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】プレス装置及びプレス方法
(51)【国際特許分類】
   B30B 15/14 20060101AFI20240530BHJP
   B21J 13/02 20060101ALI20240530BHJP
   C22F 1/04 20060101ALN20240530BHJP
   C22F 1/18 20060101ALN20240530BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20240530BHJP
【FI】
B30B15/14 B
B21J13/02 Z
C22F1/04 A
C22F1/18 H
C22F1/00 630A
C22F1/00 694Z
C22F1/00 694B
C22F1/00 604
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188218
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】大西 城輝
(72)【発明者】
【氏名】川上 雅史
(72)【発明者】
【氏名】田幡 諭史
(72)【発明者】
【氏名】仁木 健人
【テーマコード(参考)】
4E087
4E089
【Fターム(参考)】
4E087BA04
4E087CA11
4E087CB01
4E087DB15
4E087DB22
4E087DB23
4E087EA15
4E087EB07
4E087GA09
4E089EA01
4E089EB02
4E089EC01
4E089ED02
4E089EE10
4E089EF08
4E089FB03
4E089FB05
4E089FC05
(57)【要約】
【課題】高強度な合金の成形を行う鍛造プレスにおいて歩留まりを向上できるプレス装置及びプレス方法を提供する。
【解決手段】プレス装置は、被成形物が変形する成形動作中に、温度計測器の計測結果に基づいて被成形物の温度を推定し、成形動作中の被成形物のZパラメータが予め定められた範囲内に維持されるようにスライドの速度を制御する(ステップS9~S11)。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被成形物が変形する成形動作中に、温度計測器の計測結果に基づいて被成形物の温度を推定し、
前記成形動作中の前記被成形物のZパラメータが予め定められた範囲内に維持されるようにスライドの速度を制御するプレス装置。
【請求項2】
前記温度計測器は、前記被成形物の温度を計測する第1温度計測器、並びに、金型温度に関係する温度を計測する第2温度計測器の少なくとも一方を含む、
請求項1記載のプレス装置。
【請求項3】
前記スライドの速度が少なくとも2段階に変化する請求項1記載のプレス装置。
【請求項4】
入力された成形パラメータに基づいて、被成形物が変形する成形動作中における前記被成形物のZパラメータが、予め定められた範囲内に維持されるスライド動作を計算し、
前記スライド動作の計算結果に基づいて前記成形動作中のスライドの速度を制御するプレス装置。
【請求項5】
前記成形パラメータは、前記被成形物の加熱温度、金型の加熱温度、並びに、キャビティ形状を含んだ金型情報を、少なくとも含む請求項4記載のプレス装置。
【請求項6】
前記スライドの速度が少なくとも2段階に変化するスライド動作を計算する、
請求項4記載のプレス装置。
【請求項7】
前記成形パラメータにはスライド動作案が含まれ、
前記成形動作中のスライドの動作が前記スライド動作案と異なる、
請求項4記載のプレス装置。
【請求項8】
被成形物が変形する成形動作中に、温度計測器の計測結果に基づいて被成形物の温度を推定し、
前記成形動作中の前記被成形物のZパラメータが予め定められた範囲内に維持されるようにスライドの速度を制御するプレス方法。
【請求項9】
入力された成形パラメータに基づいて、被成形物が変形する成形動作中における前記被成形物のZパラメータが、予め定められた範囲内に維持されるスライド動作を計算し、
前記スライド動作の計算結果に基づいて前記成形動作中のスライドの速度を制御するプレス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス装置及びプレス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、Zパラメータを考慮した熱間加工条件で構造部材用アルミニウム合金材を製造する方法について記載されている。特許文献1には、当該製造方法によって、高強度の構造部材用アルミニウム合金材を製造できると示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6521722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、Zパラメータを制御しようとした従来の加工装置では、歩留まりが低下することがあった。これは、加工装置が、成形動作前の被成形物の温度しか考慮していないことに起因すると考えられた。
【0005】
本発明は、高強度な合金の成形を行う鍛造プレスにおいて歩留まりを向上できるプレス装置及びプレス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様であるプレス装置は、
被成形物が変形する成形動作中に、温度計測器の計測結果に基づいて被成形物の温度を推定し、
前記成形動作中の前記被成形物のZパラメータが予め定められた範囲内に維持されるようにスライドの速度を制御する。
【0007】
本発明のもう一つの態様であるプレス装置は、
入力された成形パラメータに基づいて、被成形物が変形する成形動作中における前記被成形物のZパラメータが、予め定められた範囲内に維持されるスライド動作を計算し、
前記スライド動作の計算結果に基づいて前記成形動作中のスライドの速度を制御する。
【0008】
本発明の一つの態様のプレス方法は、
被成形物が変形する成形動作中に、温度計測器の計測結果に基づいて被成形物の温度を推定し、
前記成形動作中の前記被成形物のZパラメータが予め定められた範囲内に維持されるようにスライドの速度を制御する。
【0009】
本発明の一つの態様のプレス方法は、
入力された成形パラメータに基づいて、被成形物が変形する成形動作中における前記被成形物のZパラメータが、予め定められた範囲内に維持されるスライド動作を計算し、
前記スライド動作の計算結果に基づいて前記成形動作中のスライドの速度を制御する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、歩留まりを向上できるプレス装置及びプレス方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態1のプレス装置を示す構成図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。
図2】実施形態1のプレス装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図3】亜結晶粒組織の生成領域を示すグラフである。
図4】実施形態1のプレス制御処理のフローチャートである。
図5図4のステップS9~S12の作用を説明するグラフである。
図6】実施形態2のプレス装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図7】実施形態2のプレス制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下、「材料」とは被成形物を意味するものとし、「成形動作中」とは、材料が金型20から荷重を受けて変形している期間を意味するものとする。
【0013】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1のプレス装置を示す構成図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。図2は、実施形態1のプレス装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【0014】
実施形態1に係るプレス装置1は、鍛造プレスであり、ベッド23、4つのアップライト22、クラウン21、ボルスタ24、スライド18、駆動部10、及び制御部(コンピュータ)100を備える。
【0015】
ベッド23、4つのアップライト22及びクラウン21は、プレス装置1のフレームを構成する。4つのアップライト22は、ベッド23とクラウン21の前後左右の四隅に立設されている。ベッド23、4つのアップライト22及びクラウン21は、その内部にタイロッド25aが挿入され、タイロッドナット25bにより締め付けられることで、互いに締結される。ボルスタ24は、ベッド23上に固定され、その上部に下金型20Dが固定される。
【0016】
スライド18は、4つのアップライト22の各々に設けられたガイド19により、上下方向に進退可能に支持される。スライド18の下部には上金型20Uが固定される。スライド18が下降することで、上金型20Uと下金型20Dとが近接し、これらの間で材料が荷重を受けて鍛造成形される。以下では、上金型20Uと下金型20Dとを合わせて金型20とも言う。
【0017】
駆動部10は、モータ11、伝動軸12、減速機13、エキセン軸14及びコネクティングロッド15を備える。駆動部10は、クラウン21に支持される。モータ11が駆動されると、モータ11の回転運動が伝動軸12、減速機13、エキセン軸14の順に伝達され、エキセン軸14の回転運動がコネクティングロッド15を介してスライド18の並進運動に変換される。これにより、スライド18が上下方向に進退する。モータ11は、サーボモータであり、回転量が制御されることで、スライド18の進退速度を制御することができる。
【0018】
制御部100は、制御プログラムを実行するコンピュータであり、後述する各種検出部及び各種計測器から検出結果及び計測結果を受けて演算処理を行い、モータ11の駆動制御を含んだ各種制御処理を行う。
【0019】
<ひずみ速度推定構成>
プレス装置1は、図1及び図2に示すように、スライド18の速度を検出する速度検出部31と、材料の高さを検出する材料高さ検出部32と、材料のひずみ速度を推定するひずみ速度推定部33とを備える。ひずみ速度推定部33は、制御部100が制御プログラムを実行することで実現される機能モジュール(ソフトウェア)である。
【0020】
速度検出部31は、例えばガイド19に設けられたリニアエンコーダである。リニアエンコーダはスライド18の所定部位の位置を検出し、当該位置の時間微分によりスライド18の速度が計算される。なお、速度検出部31は、上記の例に限定されず、スライド18の速度を検出できればどのような構成が採用されてもよい。例えば、エキセン軸14、又は、モータ11の回転速度を検出し、当該回転速度からスライド18の速度が検出されてもよい。
【0021】
材料高さ検出部32は、成形動作中における材料の高さ(高さ方向における材料の厚み)を検出する。材料高さ検出部32は、具体的には、スライド18の位置を検出するリニアエンコーダの出力と、金型20の寸法データとに基づいて、材料高さを検出する。すなわち、スライド18の位置が決まれば、金型20の寸法データから、上金型20Uのキャビティ内天面と、下金型20Dのキャビティ内底面との間隔を計算できる。材料高さ検出部32は、当該計算を行うことで、上記の間隔を材料高さとして検出する。
【0022】
本実施形態では、材料高さが、金型20のキャビティ内で一定であるものとして、材料高さを1つの値として検出する。しかし、金型20のキャビティ内の場所ごとに、材料高さに差異がある場合、材料高さ検出部32は、場所ごとの材料高さをそれぞれ検出してもよい。
【0023】
なお、材料高さ検出部32は、上記の具体例に限定されず、成形動作中の材料高さを検出できれば、例えば撮影器と撮影器が取得した映像を解析する画像解析装置とにより材料高さを検出する構成など、様々な構成が採用されてもよい。
【0024】
ひずみ速度推定部33は、成形動作中における材料のひずみ速度を推定する。ひずみ速度推定部33は、次式(1)に示すように、ひずみ速度を公称ひずみの速度として計算する。
ひずみ速度[1/sec]=スライド速度[mm/sec]/材料高さ[mm]
・・・(1)
【0025】
なお、ひずみ速度推定部33は、成形動作中における材料のひずみ速度を、スライド速度と材料高さとから真ひずみの速度として計算してもよい。さらに、場所ごとに材料高さが異なる場合には、ひずみ速度推定部33は、場所ごとのひずみ速度を推定してもよい。
【0026】
<温度推定構成>
プレス装置1は、図1及び図2に示すように、材料の絶対温度Tに関係する温度の計測を行う第1温度計測器34及び第2温度計測器35と、材料の絶対温度Tを推定する絶対温度推定部36とを備える。絶対温度推定部36は、制御部100が制御プログラムを実行することで実現される機能モジュール(ソフトウェア)である。材料の絶対温度Tとは、材料の主要部の温度(その絶対温度)を意味する。
【0027】
第1温度計測器34は、材料の所定箇所の温度を計測する。以下、材料の所定箇所の温度を、単に「材料温度」と呼ぶ。第1温度計測器34が温度を計測する箇所は、材料の主要部から外れた箇所であってもよく、例えば材料縁部の表面などを採用できる。より具体的には、上記の箇所は、金型20の間から覗く材料の露出面、あるいは、金型20のキャビティ内面に接触する材料表面などを採用できる。露出面の温度は放射温度計などの非接触型温度計により計測でき、キャビティ内面に接触する材料表面の温度は、熱電対式温度計などの接触型温度計により計測できる。第1温度計測器34は、成形処理中の期間を通してリアルタイムで材料温度を計測する。
【0028】
材料の絶対温度Tは、第1温度計測器34が計測する材料温度とほぼ一致することが多いが、計測箇所によっては差異が生じる。特に、材料温度が材料の表面温度である場合には、金型温度の影響を受けやすい分、差異が比較的に大きくなる場合がある。
【0029】
第2温度計測器35は、金型20又は金型20の近傍の温度を計測する。金型20には、ヒータが設けられ、金型20は成形処理前と成形処理中の両方又は一方に加熱される場合がある。第2温度計測器35の計測結果に基づいて、加熱により変化する金型20の温度を検出又は推定できる。第2温度計測器35は、成形処理中の期間を通してリアルタイムで温度を計測する。第2温度計測器35は、放射温度計などの非接触型温度計であってもよいし、熱電対式温度計などの接触型温度計であってもよい。
【0030】
絶対温度推定部36は、主に、第1温度計測器34の計測結果、並びに、第2温度計測器35の計測結果に基づいて、成形動作中における材料の絶対温度Tを推定する。第1温度計測器34が計測する材料温度は、材料の絶対温度Tと金型温度の影響を受けて定まるため、材料の絶対温度Tは、材料温度と金型温度とから次式(2)のように計算することができる。
材料の絶対温度T = 材料温度 - 補正係数K/金型温度 ・・・(2)
ここで、補正係数Kは定数である。補正係数Kは、試験又はシミュレーションにより求めることができる。
【0031】
なお、絶対温度推定部36による材料の絶対温度Tの推定方法は、上記の例に限られない。例えば、第1温度計測器34は、成形処理中の材料温度をリアルタイムで計測する構成に限定されず、成形処理前の材料温度、例えば材料加熱装置から出てきた材料の表面温度を計測する構成であってもよい。材料加熱装置とは、金型20にセットされる前に材料を加熱する装置である。この場合、絶対温度推定部36は、計測された材料温度と、加熱終了からの経過時間とに基づいて、成形処理中の材料温度を、次式(3)のように推定してもよい。
材料温度 =
加熱装置出口での計測温度 - 補正係数C×経過時間 ・・・(3)
ここで、補正係数Cは定数である。補正係数Cは、試験又はシミュレーションにより求めることができる。
【0032】
そして、絶対温度推定部36は、式(3)で推定された材料温度に対して、式(2)の補正を行って、材料の絶対温度Tを計算してもよい。
【0033】
<Zパラメータの制御構成>
実施形態1に係るプレス装置1は、図2に示すように、Zパラメータ算出部37と、Zパラメータ制御部38と、スライド速度制御部39と、スライド動作計画部40とを更に備える。これらの各構成は、制御部100が制御プログラムを実行することで実現される機能モジュール(ソフトウェア)である。
【0034】
合金(アルミニウム合金、チタン合金等)の塑性加工における亜結晶粒組織の生成に関係するパラメータとして、以前より、Zパラメータ(Zenner-Hollomon因子)が知られている。亜結晶粒組織が生成されるということは、塑性加工中の転位の密度が低下し、熱処理過程の再結晶化が抑制され、よって成形品の強度が向上することを意味する。
【0035】
Zパラメータは、次式(4)のように、材料のひずみ速度εと、材料の絶対温度Tと、定数とから計算される。
Z = ε×exp(Q/RT) ・・・(4)
ここで、εはひずみ速度[1/sec]、Tは絶対温度[K]、Qは材料の活性化エネルギー[J/mol]、Rは気体定数[J/mos・K]である。活性化エネルギーQは、材料の組成により決定される定数であり、材料がアルミニウム合金であればAlの活性化エネルギーを意味する。
【0036】
Zパラメータが取りえる値の範囲には、亜結晶粒組織が生成される範囲と、亜結晶粒組織が生成されない範囲とが含まれる。ここで、「亜結晶粒組織が生成されない」とは、完全に亜結晶粒組織が生成されないことを意味するのではなく、成形品に要求される強度が得られる程度の亜結晶粒組織が生成されないことを意味する。以下では、亜結晶粒組織が生成される範囲と生成されない範囲との境界を閾値THzと記す。この場合、Z ≦ THzの範囲において成形品に要求される強度が得られる程度に亜結晶粒組織が生成されることを意味する。
【0037】
実施形態1のプレス装置1は、亜結晶粒組織が生成された高強度の成形品を安定的に製造する装置である。そのため、成形動作中における材料のZパラメータが予め定められた範囲内に維持されるようにスライド18の速度が制御される。実施形態1において、上記の予め定められた範囲は、亜結晶粒組織が生成される閾値THz以下の範囲に相当する。
【0038】
図3は、亜結晶粒組織の生成領域を示すグラフである。当該グラフにおいてZパラメータの閾値THzを曲線で示している。
【0039】
Zパラメータは、材料の絶対温度Tが高いほど小さな値となる。一方で、材料の絶対温度Tは、材料の溶融温度TZ0、並びに、材料の割れを誘発する割れ誘発温度TZ1よりも低くする必要がある。したがって、成形動作中において材料のZパラメータを閾値THz以下に維持するということは、成形動作中における材料の絶対温度Tとひずみ速度εとを領域A1(図3のグラフ中に斜線の領域)に維持することを意味する。領域A1は、絶対温度Tが割れ誘発温度TZ1未満であり、かつ、Zパラメータが閾値THz以下となる領域である。以下、材料の絶対温度Tとひずみ速度εとを「パラメータ(T、ε)」とも記す。
【0040】
スライド動作計画部40は、スライド動作(スライド18のモーションパターン及び初期速度)の当初計画を作成する。スライド動作計画部40は、成形動作前の加熱処理で材料が規定温度まで加熱されていると仮定し、少なくとも成形開始時に、パラメータ(T、ε)が領域A1内に位置するように、スライド動作の当初計画を作成する。上記のモーションパターン及び規定温度は、オペレータが入力したものであってもよい。
【0041】
Zパラメータ算出部37は、成形動作中にわたって、ひずみ速度推定部33の推定結果と絶対温度推定部36の推定結果とを入力し、これらから材料のZパラメータを計算する。
【0042】
Zパラメータ制御部38は、成形動作中にわたって、パラメータ(T、ε)が領域A1から逸脱しないか監視し、逸脱が予測された場合には、逸脱する前に、成形パラメータを修正する。より具体的には、Zパラメータ制御部38は、パラメータ(T、ε)のプロット位置が領域A1の中央寄りから境界近傍に変位した場合に、領域A1の境界からプロット位置が離れるように、成形パラメータを修正する。修正する成形パラメータは、主に、ひずみ速度εを決定するスライド速度である。なお、修正する成形パラメータは、スライド速度に限定されず、材料の絶対温度Tであってもよい。成形動作中に金型20又は材料を加熱する加熱器が有れば、加熱器からの熱量を増すことで、材料の絶対温度Tを上昇させて、パラメータ(T、ε)のプロット位置を領域A1の中央寄りに戻すことができる。
【0043】
スライド速度制御部39は、スライド動作計画部40が作成したモーションパターン及び初期速度に応じて、モータ11を制御することで、スライド18の速度を制御する。一方、成形動作中に、Zパラメータ制御部38からスライド速度の修正指令があった場合には、修正指令に応じてモータ11を制御することでスライド18の速度を修正する。
【0044】
なお、スライド速度制御部39は、少なくとも二段階にスライド18の速度を制御可能な構成であってもよい。そして、Zパラメータ制御部38がスライド速度の修正指令を出力した場合に、スライド速度制御部39は、修正指令に基づいてスライド速度を一段階低下させる制御を行ってもよい。
【0045】
スライド18の速度が低下することで、成形動作中にパラメータ(T、ε)が領域A1の境界に近づいた場合に、パラメータ(T、ε)を領域A1の境界から離して、パラメータ(T、ε)が、領域A1から逸脱することを抑制することができる。
【0046】
<プレス制御処理>
続いて、制御部100が実行するプレス制御処理について説明する。図4は、プレス制御処理のフローチャートである。
【0047】
鍛造処理が開始されると、制御部100は、スライド動作計画部40が作成したスライド動作の当初計画に従ってスライド18が駆動するようにモータ11を制御する(ステップS1)。
【0048】
そして、制御部100は、速度検出部31によるスライド速度の検出結果を入力し(ステップS2)、材料高さ検出部32による材料高さの検出結果を入力し(ステップS3)、ひずみ速度推定部33の処理によって材料のひずみ速度εをリアルタイムに推定する(ステップS4)。
【0049】
さらに、制御部100は、ステップS2~S4の処理と並行して、第1温度計測器34による材料温度の計測結果を入力し(ステップS5)、第2温度計測器35による金型20の温度の計測結果を入力し(ステップS6)、絶対温度推定部36の処理によって材料の絶対温度Tをリアルタイムに推定する(ステップS7)。
【0050】
なお、ステップS5の処理は、材料温度の計測結果を入力する処理ではなく、リアルタイムで推定された材料温度のデータを入力する処理に代替されてもよい。材料温度は、前述した推定方法によって加熱後の経過時間から推定することができる。同様に、ステップS6の処理は、金型温度の計測結果を入力する処理ではなく、リアルタイムで推定された金型20の温度データを入力する処理に代替されてもよい。金型20の温度は、例えば、金型20の近傍の温度と相関するので、金型20の近傍の温度から推定することができる。あるいは、金型20が金型加熱装置に加熱される構成であれば、金型加熱装置の出力、並びに、加熱後の経過時間等に基づいて金型20の温度が推定されてもよい。
【0051】
次いで、制御部100は、Zパラメータ算出部37の処理によって材料のZパラメータをリアルタイムに計算し(ステップS8)、続いて、Zパラメータ制御部38の処理によって、材料のZパラメータが閾値THzの近傍にあり、閾値THzよりも大きくなることが予想されるか判別する(ステップS9)。そして、ステップS9の判別結果がNOであれば、スライド18の動作を当初計画のままとし(ステップS10)、ステップS9の判別結果がYESであれば、Zパラメータ制御部38が速度の修正指令を出力し、制御部100は、修正指令に基づいて、スライド18の速度を当初計画のものから低下させる(ステップS11)。
【0052】
その後、制御部100は、1サイクルのプレス動作が終了となったか判別し(ステップS12)、終了でなければ、ステップS2~S12のループ処理を繰り返す。一方、ステップS12の判別で終了と判別したら、制御部100は、1サイクルのプレス制御処理を終了する。
【0053】
図5は、図4のステップS9~S12の作用を説明するグラフである。図4のプレス制御処理では、ステップS2~S12のループ処理が繰り返されることで、ブレス処理中にリアルタイムで材料のパラメータ(T、ε)が領域A1から逸脱しないか監視される。そして、逸脱しそうな場合に、ステップS9の判別結果がYESとなって、スライド18の速度が低下される。このような処理により、材料のパラメータ(T、ε)が領域A1内に維持される。
【0054】
図5(A)は、スライド動作計画部40が計画した当初計画のままスライド18を下降させた場合の成形動作中におけるパラメータ(T、ε)の遷移曲線H1を示す。遷移曲線H1の一端e1が成形動作の開始時を示し、他端e2が成形動作の終了時を示す。図5(A)の例は、時間の経過に伴って、材料の成形が進んで材料高さが小さくなることでスライド18の速度が一定であってもひずみ速度εが大きくなり、さらに、材料から金型20等へ吸収される熱量により、材料の絶対温度Tが徐々に低下した例を示している。この例では、成形動作の当初においては、パラメータ(T、ε)が領域A1内にあり、Zパラメータが閾値THz以下である。しかし、成形動作の中盤以降において、遷移曲線H1が領域A1から逸脱することで、Zパラメータが閾値THzより大きくなり、亜結晶組織の生成度の低い成形品が成形されることとなる。
【0055】
すなわち、高強度な成形品を製造するために、成形動作の初期のパラメータ(スライド速度及び材料温度)のみを亜結晶組織の生成が生じる所望な値に制御したとしても、図5(A)に示した遷移曲線H1のようにパラメータ(T、ε)が遷移することで、歩留まりの低いプレス成形となることがある。
【0056】
図5(B)は、実施形態1のプレス制御処理の成形動作中におけるパラメータ(T、ε)の遷移曲線H2の一例を示す。遷移曲線H1の一端f1が成形動作の開始時を示し、他端f2が成形動作の終了時を示す。図5(B)の例は、時間の経過に伴って、材料の絶対温度Tが徐々に低下しているものの、スライド18の速度を低い方に修正する制御がところどころで加わっている例である。このようなスライド18の速度の修正制御により、成形動作中を通して、パラメータ(T、ε)が領域A1内に維持されることになり、亜結晶組織が生成され高い強度の成形品を安定的に得ることができる。したがって、成形品の歩留まりを向上できる。
【0057】
以上のように、実施形態1のプレス装置1によれば、絶対温度推定部36が、材料が変形する成形動作中に、第1温度計測器34及び第2温度計測器35の計測結果に基づいて材料の絶対温度Tを推定する。そして、Zパラメータ制御部38及びスライド速度制御部39が、成形動作中の材料のZパラメータが閾値THz以下となるようにスライド18の速度を制御する。したがって、成形動作初期にZパラメータが所望の値であったのに、成形動作の中盤以降又は終盤にてZパラメータが所望の値から外れてしまうといった問題を解決し、成形動作中においてZパラメータが所望の値に制御されることで亜結晶組織が生成された高強度の成形品を安定的に製造することができる。したがって、成形品の歩留まりを向上できる。
【0058】
さらに、実施形態1のプレス装置1によれば、第1温度計測器34が、材料温度を計測する。したがって、第1温度計測器34の計測結果を用いることで、絶対温度推定部36は、材料の絶対温度Tを高い精度で推定でき、延いては、Zパラメータ算出部37がZパラメータを精度よく計算できる。
【0059】
さらに、実施形態1のプレス装置1によれば、第2温度計測器35が、金型20の温度に関係する温度(金型20自体の温度又は金型20の近傍の温度)を計測する。金型20の温度は、材料の絶対温度Tに影響を及ぼす一方、金型加熱装置の加熱によって様々な温度をとりえる。したがって、絶対温度推定部36は、第2温度計測器35の計測結果を用いることで、Zパラメータを決定する材料の絶対温度Tを高い精度で推定でき、延いては、Zパラメータ算出部37がZパラメータを精度よく計算できる。
【0060】
さらに、実施形態1のプレス装置1によれば、Zパラメータ制御部38は、パラメータ(T、ε)が領域A1から逸脱しそうな場合に、スライド18の速度を修正する。すなわち、スライド18の速度が少なくとも2段階に変化することで、パラメータ(T、ε)が領域A1内に維持される。スライド18の速度を低減させることは比較的に容易であり、さらに、成形動作の中盤以降又は終盤において材料の高さが低くなると、スライド18の速度が、材料のZパラメータに影響を及ぼす度合が大きくなる。したがって、スライド18の速度を変化させる方式により、効率的に成形動作中のZパラメータを閾値THz以下に制御することができる。
【0061】
(実施形態2)
図6は、実施形態2のプレス装置の制御系の構成を示すブロック図である。前述した実施形態1の制御部100は、成形動作中にリアルタイムでZパラメータを計算し、Zパラメータが閾値THz以下に維持されるようにスライド18の速度を制御した。一方、実施形態2の制御部100Aは、成形動作前の段階で、成形動作中の材料の状態をシミュレーションし、成形動作中にZパラメータが閾値THz以下に維持されるスライド18の動作(モーションパターン及び初期速度)を作成する。そして、当該動作でスライド18を動かすことで、成形動作中に材料のZパラメータが閾値THzより大きくならない成形動作を実現する。実施形態2のプレス装置の機構は、図1に示した実施形態1の機構と同様である。
【0062】
実施形態2の制御部100Aは、成形動作中の材料の状態を正確にシミュレーションするために、所定の成形パラメータを入力する成形パラメータ入力部41と、材料の状態をシミュレーションすることでスライド18の動作を作成するスライド動作計画部42と、スライド18の速度を制御するスライド速度制御部39とを備える。スライド速度制御部39、成形パラメータ入力部41及びスライド動作計画部42は、制御部100が制御プログラムを実行することで実現される機能モジュール(ソフトウェア)である。
【0063】
成形パラメータ入力部41は、材料加熱装置による材料の加熱温度、金型加熱装置による金型20の加熱温度、金型情報、及び、材料情報を入力する。材料加熱装置は、金型20に材料が投入される前に材料を加熱する装置である。金型加熱装置は、成形動作前において金型20を加熱する装置である。金型情報には、金型20のキャビティ形状、金型20全体の寸法、形状及び材質の情報が含まれる。材料情報には、材料の組成、重量及び体積の情報が含まれる。これらの情報は、例えばオペレータが実際に即して入力する。
【0064】
スライド動作計画部42は、材料の加熱温度、材料情報、金型20の加熱温度、及び、金型情報から、成形動作中に材料から金型20へ伝導される熱量をシミュレーションすることで、成形動作中における材料の温度変化を計算する。さらに、スライド動作計画部42は、成形動作中における金型20の加圧力及び材料の変形に伴う材料の発熱量をシミュレーションに加えて、材料の温度変化をより精密に計算してもよい。
【0065】
さらに、スライド動作計画部42は、金型情報と、スライドのモーションデータとに基づいて、材料の変形をシミュレーションすることで、成形動作中における材料のひずみ速度を計算する。
【0066】
そして、スライド動作計画部42は、材料の温度変化とひずみ速度とから、成形動作中におけるZパラメータを計算し、Zパラメータが閾値THz以下になるように、スライド18のモーションパターンと初期速度とを決定する。スライド18のモーションパターンは、少なくともスライド18の速度が2段階に変化するモーションパターンとなる。
【0067】
なお、オペレータは、成形パラメータ入力部41を介してスライド18の動作案を入力してもよい。そして、スライド動作計画部42は、シミュレーションにおいて、オペレータが入力した動作案に従ったスライド18の動作を採用しつつ、Zパラメータが閾値THzより大きくならないように、動作案のスライド18の速度を修正することで、動作案から修正されたスライド18の動作(モーションパターン及び初期速度)を決定してもよい。
【0068】
<プレス制御処理>
図7は、実施形態2の制御部が実行するプレス制御処理を示すフローチャートである。
【0069】
プレス制御処理において、制御部100Aは、まず、成形パラメータ入力部41を介して、金型情報、材料情報、材料の加熱温度、金型の加熱温度の情報を、初期データとして入力する。当該データは、オペレータが予め入力する(ステップS21)。ステップS21で入力される初期データには、スライド18の動作案(モーションパターン及び初期速度の案)が含まれてもよい。
【0070】
次に、制御部100Aは、スライド動作計画部42により、成形動作中における材料のシミュレーションを行いつつ、スライド18の動作計画(モーションパターンと初期速度)を作成する(ステップS22)。シミュレーションにおいては、成形動作中の材料の温度とひずみ速度とが計算され、成形動作中においてパラメータ(T、ε)が領域A1(図3)に維持されるようにスライド18の動作計画が計算される。
【0071】
ステップS21、S22の処理が完了したら、実際の成形処理が可能となり、制御部100Aは、プレス開始指令の入力を待機する(ステップS23)。そして、金型20に材料が投入され、プレス開始指令が入力されると、制御部100Aは、ステップS22で作成された動作計画(モーションパターン及び初期速度)に沿ってスライド18を駆動する(ステップS24)。ステップS24の処理により、1つの材料の成形が完了する。
【0072】
ステップS24を完了したら、制御部100Aは、処理をステップS23に戻す。複数の材料について複数回の成形を行う場合には、新たな材料を金型20に投入し、プレス開始指令を再度入力することで、ステップS24の成形処理を新たな材料に対して行うことができる。
【0073】
なお、プレス成形においては、材料と金型20とがそれぞれ指定温度に加熱されてから、成形動作が開始されるまでの時間間隔にバラツキが生じやすい。そして、当該時間間隔が長くなると、その間に材料及び金型20が冷えて、材料と金型20の温度が、シミュレーションの初期温度から逸脱してしまう。この場合、スライド動作計画部42が計算したシミュレーションの精度が低下する。
【0074】
したがって、実施形態2のプレス装置においては、材料と金型20の加熱終了から成形動作が開始するまでの時間が、規定時間以内になるように制御されてもよい。例えば、制御部100Aは、当該時間を計測し、規定時間を上回った場合に、加熱処理から再度行うように報知する報知部を備えてもよい。あるいは、制御部100Aは、成形動作が開始する際の材料の温度と金型20の温度とを計測し、当該計測温度が成形パラメータ入力部41から入力された加熱温度から逸脱している場合に、加熱処理から再度行うように報知する報知部を備えてもよい。
【0075】
以上のように、実施形態2のプレス装置によれば、成形パラメータ入力部41を介して入力された成形パラメータに基づいて、スライド動作計画部42が、シミュレーションを行って、成形動作中における材料のZパラメータが閾値THz以下となるように、スライド18の動作計画(モーションパターン及び初期速度)を作成する。そして、スライド18が当該動作計画に沿って駆動されることで材料の成形が行われる。したがって、成形動作初期にZパラメータが所望の値であったのに、成形動作の中盤以降又は終盤にてZパラメータが所望の値から外れてしまうといった問題を解決し、成形動作中におけるZパラメータが所望の値に制御されることで亜結晶組織が生成された高強度の成形品を安定的に製造することができる。したがって、成形品の歩留まりを向上できる。
【0076】
さらに、実施形態2のプレス装置によれば、成形パラメータ入力部41を介して入力される成形パラメータには、材料の加熱温度、金型20の加熱温度、キャビティ形状を含んだ金型情報が含まれる。当該成形パラメータにより、スライド動作計画部42は、成形動作中における材料の絶対温度T、並びに、成形動作中における材料のひずみ速度のシミュレーションが可能となる。したがって、スライド動作計画部42は、シミュレーションにより、成形動作中に材料のZパラメータが閾値THz以下となるスライド18の動作計画(モーションパターン及び初期速度)を作成する処理を正常に遂行できる。
【0077】
さらに、実施形態2のプレス装置によれば、スライド動作計画部42が作成したモーションパターンにおいてスライド18の速度が少なくとも2段階に変化する。スライド18の速度を低減させることは比較的に容易であり、さらに、成形動作の中盤以降又は終盤において材料の高さが低くなると、スライド18の速度が、材料のZパラメータに影響を及ぼす度合が大きくなる。したがって、スライド18の速度が変化するモーションパターンを生成することで、効率的に成形動作中のZパラメータを閾値THz以下にするスライド18の動作を実現できる。
【0078】
さらに、実施形態2のプレス装置によれば、成形パラメータ入力部41を介して入力される成形パラメータには、スライド18の動作案が含まれる。一方で、スライド動作計画部42が作成し、その後のプレス処理で実行されるスライド18の動作は、上記の動作案と異なる。すなわち、オペレータは、Zパラメータについて詳細に考慮することなくスライド18の動作案を作成し、当該動作案を入力することで、Zパラメータの要件を満たすように動作案が修正されたスライド18の動作計画が作成される。そして、当該動作計画に沿ってプレス処理を行うことができる。したがって、Zパラメータが閾値THz以下に維持されている間は、オペレータが指定した動作案でスライド18を動かすことができ、動作案ではZパラメータが閾値THzを超えてしまう期間において、修正されたスライド18の動作により、Zパラメータを閾値THz以下に維持することができる。
【0079】
以上、本発明の各実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られない。例えば、上記実施形態では、スライドの速度を制御するためにサーボモータでスライドが駆動されるプレス装置を示したが、スライドの速度が制御できればサーボポンプによる流体圧によってスライドを進退させる流体圧プレス(例えば油圧プレス)が適用されてもよい。また、スライドの速度を少なくとも二段階に制御できれば、材料のZパラメータを制御できるので、駆動源としてサーボモータを用いないプレス装置であってもよい。
【0080】
また、上記実施形態1では、材料温度をリアルタイムで計測する第1温度計測器34と、金型温度に関係する温度をリアルタイムで計測する第2温度計測器35との両方を備えた例を示した。しかしながら、いずれか一方が省略されてもよい。一方が省略されても、材料温度及び金型温度の一方の実測値と、成形動作の初期における材料の加熱温度、成形動作の初期における金型の加熱温度、並びに、加熱からの経過時間などの情報から、成形動作中における材料の絶対温度Tを推定することも可能である。その他、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 プレス装置
10 駆動部
11 モータ
18 スライド
20 金型
20U 上金型
20D 下金型
31 速度検出部
32 材料高さ検出部
33 ひずみ速度推定部
34 第1温度計測器
35 第2温度計測器
36 絶対温度推定部
37 Zパラメータ算出部
38 Zパラメータ制御部
39 スライド速度制御部
40 スライド動作計画部
41 成形パラメータ入力部
42 スライド動作計画部
100、100A 制御部
THz 閾値
A1 領域
T 絶対温度(被成形物の温度)
ε ひずみ速度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7