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特開2024-76604ウェブ搬送装置及びウェブ搬送システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076604
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】ウェブ搬送装置及びウェブ搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/038 20060101AFI20240530BHJP
【FI】
B65H23/038 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188231
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】石原 育
(72)【発明者】
【氏名】竹中 恒詞
【テーマコード(参考)】
3F104
【Fターム(参考)】
3F104AA01
3F104AA03
3F104AA05
3F104CA05
3F104GA02
(57)【要約】
【課題】搬送ローラの軸偏心を小さくする。
【解決手段】本ウェブ搬送装置は、ウェブを搬送する搬送ローラと、搬送ローラの表面に、周方向に設けられた環状のひずみセンサと、ひずみセンサの出力値に基づいて搬送ローラの軸角度を制御する軸角度制御部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブを搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラの表面に、周方向に設けられた環状のひずみセンサと、
前記ひずみセンサの出力値に基づいて前記搬送ローラの軸角度を制御する軸角度制御部と、を備えたウェブ搬送装置。
【請求項2】
前記環状のひずみセンサは、前記搬送ローラの表面に周方向に配置された複数のひずみゲージから成る、請求項1に記載のウェブ搬送装置。
【請求項3】
前記環状のひずみセンサは、前記搬送ローラの表面に配置された環状のひずみゲージである、請求項1に記載のウェブ搬送装置。
【請求項4】
前記搬送ローラには、軸方向に、前記環状のひずみセンサが複数個設けられている、請求項1~3のいずれか1項に記載のウェブ搬送装置。
【請求項5】
前記軸角度制御部は、前記搬送ローラの軸角度をリアルタイムまたは所定の時間間隔で継続的に制御する、請求項1~4のいずれか1項に記載のウェブ搬送装置。
【請求項6】
前記軸角度制御部は、前記環状のひずみセンサの出力値が予め定められた基準値に一致または近づくように、前記搬送ローラの軸角度を制御する、請求項1~5のいずれか1項に記載のウェブ搬送装置。
【請求項7】
前記基準値は、前記搬送ローラに軸偏心が生じていないときの前記環状のひずみセンサの出力値を示す、請求項6に記載のウェブ搬送装置。
【請求項8】
入力装置からの所定の指示入力を受け付ける入力受付部と、
前記環状のひずみセンサの出力値を取得する取得部と、を備え、
前記軸角度制御部は、前記入力受付部が前記所定の指示入力を受け付けた場合に、前記取得部が取得した前記ひずみセンサの出力値を、前記基準値として記憶部に記憶させる、請求項6または7に記載のウェブ搬送装置。
【請求項9】
表面に、周方向に環状のひずみセンサが設けられた複数の搬送ローラと、
前記ひずみセンサの出力値に基づいて、前記複数の搬送ローラの軸角度を個別に制御する制御装置と、を含む、ウェブ搬送システム。
【請求項10】
前記環状のひずみセンサは、前記搬送ローラの表面に配置されたひずみゲージを含み、
前記ひずみゲージの検出素子は磁性体を含み、
前記検出素子は、前記搬送ローラの変形によって前記磁性体に応力が加わったときの前記磁性体の磁化の強さの変化を検出する検出素子である、請求項1~8のいずれか一項に記載のウェブ搬送装置。
【請求項11】
前記環状のひずみセンサは、前記搬送ローラの表面に配置されたひずみゲージを含み、
前記ひずみゲージの検出素子は、磁性膜で絶縁膜を挟んだ磁気トンネル接合の構造を含んでおり、
前記検出素子は、前記搬送ローラの変形によって前記構造で発生する磁気変化を検出する検出素子である、請求項1~8のいずれか一項に記載のウェブ搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブ搬送装置及びウェブ搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
長尺帯状のウェブをロールトゥロール方式により連続搬送するウェブ搬送装置が、例えば、特許文献1,2に開示されている。特許文献1に開示のウェブ搬送装置は、ウェブを搬送するロールと、ウェブに接触するようロール表面に螺旋状に埋め込まれる感圧ひずみゲージセンサとを有し、ウェブの横方向の張力プロフィールを測定する。また、特許文献2に開示のウェブ搬送装置は、ウェブに塗布膜を形成するためのロッドバーと、ひずみゲージを取り付けたパネルとを有し、ひずみゲージが、ウェブからの圧力を検出し、ウェブに対するロッドバーの押しつけ量を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008-527361号公報
【特許文献2】特開平8-294665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウェブ搬送装置において、搬送ローラが軸方向に偏心した状態で回転すると、搬送ローラの軸振れが起こり、それに応じてウェブに皺やクラックが生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、搬送ローラの軸偏心を小さくすることが可能なウェブ搬送装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るウェブ搬送装置は、ウェブを搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラの表面に、周方向に設けられた環状のひずみセンサと、前記ひずみセンサの出力値に基づいて前記搬送ローラの軸角度を制御する軸角度制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、搬送ローラの軸偏心を小さくすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るウェブ搬送装置の概観を示す模式図である。
図2】搬送ローラの構成を示す模式図である。
図3】ローラ調整機構と連結された状態の搬送ローラの模式図である。
図4】制御装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図5】制御装置のソフトウェア構成例を示すブロック図である。
図6】軸偏心特定部の演算処理の一例を模式的に示した図である。
図7】ひずみゲージを例示する平面図である。
図8】ひずみゲージを例示する断面図(その1)である。
図9】ひずみゲージを例示する断面図(その2)である。
図10】第3実施形態に係るウェブ搬送装置に含まれる検出素子の一例を示す平面図および断面図である。
図11】第4実施形態に係るウェブ搬送装置に含まれる検出素子の一例を示す斜視図、平面図、および断面図である。
図12】第4実施形態に係るウェブ搬送装置に含まれる検出素子の他の一例を示す斜視図、平面図、および断面図である。
図13】第4実施形態に係るウェブ搬送装置に含まれる検出素子の、更に他の一例を示す斜視図、平面図、および断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明の実施形態について説明する。各図面において、同一の部材には同一の符号を付す場合がある。また、各図面の説明において、既に説明した部材と同一の構成部についての説明は省略する場合がある。
【0010】
<第1実施形態>
[ウェブ搬送装置の構成例]
図1は、第1実施形態に係るウェブ搬送装置100の概観を示す模式図である。ウェブ搬送装置100は、搬送ローラ120によって長尺帯状のウェブ110を搬送する装置である。ウェブ110は、ウェブ搬送装置100によって搬送可能なものであれば、その種類は特に限定されない。ウェブ110の一例としては、合成樹脂フィルム、金属箔、紙等が挙げられる。
【0011】
ウェブの搬送または加工ラインにおける搬送ローラ120の配置位置は特に限定されない。例えば、搬送または加工ラインにおいて、搬送ローラ120は巻出ローラの直後および/または巻取ローラの直前に配置されてもよいし、加工処理を行う複数のエリアの間に配置されてもよい。また、搬送ローラ120は、ウェブ110をロールから巻き出す巻出ローラ、または、ウェブ110を巻き取る巻取ローラであってもよい。また、複数のウェブ搬送装置100が同一の搬送または加工ラインに配置されていてもよい。
【0012】
本実施形態に係るウェブ搬送装置100は、搬送ローラ120と、ひずみセンサ120A~120Cと、ローラ調整機構160と、制御装置170と、を備える。詳細は後述するが、ウェブ搬送装置100は、搬送ローラ120の軸角度を制御することにより、搬送ローラ120の軸偏心を無くすまたは小さくすることができる。なお、本明細書において、「軸偏心」とは、軸の中心と、軸の中心が回転した軌跡の中心とのずれを意味する。
【0013】
[搬送ローラ]
次に、図2及び図3を参照して、本実施形態の搬送ローラ120およびローラ調整機構160の物理的構成を説明する。図2は、搬送ローラ120の各部の構成を示す模式図である。図3は、搬送ローラ120とローラ調整機構160との連結部分を示す模式図である。
【0014】
図2に示されるように、本実施形態の搬送ローラ120は、円筒形のローラ本体121を有する。ローラ本体121の外周面と接触したウェブ110は、ローラ本体121の回転に伴いテンションをかけられつつ搬送される。搬送の際に、ウェブ110によってローラ本体121の表面に圧力がかかり、ローラ本体121がひずむ。
【0015】
このひずみを検出するために、ローラ本体121の表面には、周方向に、環状のひずみセンサが1つ以上設けられている。本実施形態では、3つの環状のひずみセンサ120A~120Cが、図示のようにローラ本体121に周方向に設けられている。環状のひずみセンサ120A~120Cにはそれぞれ、1つ以上のひずみゲージ1が含まれる。本実施形態に係るひずみゲージ1は、ひずみを受けて抵抗変化を生じる抵抗体を検出素子としている。なお、ひずみゲージ1については後で詳述する。
【0016】
ローラ本体121に設けるひずみセンサの数は特に限定されない。また、ローラ本体121におけるひずみセンサの配置位置も特に限定されない。例えば、搬送ローラ120においてローラ本体121の軸方向(幅手方向)に3つ以上のひずみセンサを配置してよい。本実施形態では一例として、ローラ本体121の軸方向の中央に1つ、ローラ本体121の両端面121a,121bの近傍にそれぞれ1つずつひずみセンサ120A~120Cが配置されている。図示のように複数のひずみセンサを軸方向に左右対称に配置することで、搬送ローラ120全体のひずみ具合を精度良く検出することができる。
【0017】
各ひずみセンサ120A~120Cに含まれるひずみゲージ1の数も特に限定されない。例えば、環状のひずみセンサ120A~120Cはそれぞれ、ローラ本体121の表面に、グリッド方向がローラ本体121の周方向に並ぶように配置された複数のひずみゲージ1から構成されていてもよい。また例えば、環状のひずみセンサ120A~120Cはそれぞれ、ローラ本体121の表面に配置された、1つの細長い環状のひずみゲージ1であってもよい。なお、この場合、ひずみゲージ1はグリッド方向がローラ本体121の周方向に沿うように配置される。
【0018】
本実施形態では、薄膜状のひずみゲージ1の受感部が設けられていない側の面を、ローラ本体121の外周面に貼り付けている。これにより、ひずみゲージ1の受感部は、ローラ本体121の表面の周方向に沿って湾曲した状態となる。なお、ひずみゲージ1を貼り付けるとき、ひずみゲージ1のグリッド方向は、ローラ本体121の周方向に沿うよう貼り付けられる。このように、ひずみゲージ1をローラ本体121の周方向に略一周にわたって貼り付けることで、ローラ本体121が回転してローラ本体121に対するウェブ110の接触位置が変わっても、同じひずみセンサに含まれるひずみゲージ1の、いずれかの受感部が常にウェブ110と接している状態にすることができる。これにより、ひずみゲージ1は、搬送ローラ120がウェブ110からうける圧力を連続的に検出可能となる。これにより、搬送ローラ120にかかる圧力をリアルタイムに検出することが可能となる。
【0019】
搬送ローラ120の具体的な支持方法は特に限定されない。例えば、本実施形態では、搬送ローラ120は、ローラ本体121の一方側の端面121aに、搬送ローラ120の軸123に沿って突出する第1ジョイント部124を備える。また、搬送ローラ120は、ローラ本体121の他方側の端面121bに、第1ジョイント部124に対して逆方向に突出する第2ジョイント部125を備える。第1ジョイント部124は先端にボール部1241を備える。第2ジョイント部125は先端にボール部1251を備える。搬送ローラ120の第1ジョイント部124及び第2ジョイント部125はローラ調整機構160によって支持される。また、搬送ローラ120は、第1ジョイント部124及び/または第2ジョイント部125を介して軸角度が調整される。
【0020】
図3に示すように、ボール部1241はローラ調整機構160であるボール受部161と連結している。また、図示していないが、ボール部1251もまた、搬送ローラ120を挟んでボール受部161と逆側にあるボール受部(不図示)と連結している。このように、搬送ローラ120の軸は、両端のボール受部により回動可能に支持されている。このような両端のローラ調整機構160(ボール受部)のうち少なくとも一方は、後述する制御装置170と電気的に接続している。本実施形態では、ボール受部161が制御装置170と接続していることとする。なお、図3における制御装置170の配置は一例であり、制御装置170の位置はこれに限定されない。
【0021】
ローラ調整機構160は、搬送ローラ120を支持するとともに、搬送ローラ120の軸角度を物理的に調整する機構である。ローラ調整機構160の一部の構成は、搬送ローラ120の近傍の側壁101に取り付けられていてよい。ローラ調整機構160は、例えば、搬送ローラ120の両端にあるボール受部161と、当該ボール受部161の少なくとも一方を回動させる駆動部162と、を含む。本実施形態では、駆動部162はボール受部161を回動させることとする。駆動部162の一例としては、モータ等のアクチュエータが挙げられる。駆動部162は、制御装置170と電気的に接続しており、制御装置170からの制御信号に応じて動作する。
【0022】
制御装置170は、駆動部162に対し制御指示を送信することで、搬送ローラ120の軸角度を制御する。より具体的には、制御装置170からの制御信号により駆動部162が稼働することで、ボール受部161が回動する。これにより、搬送ローラ120の軸角度が調整される。
【0023】
なお、搬送ローラ120とローラ調整機構160との物理的および電気的な接続方法は、図2~3に示した構成に限定されない。また、本実施形態では、駆動部162の近傍に制御装置170を設けることとしているが、制御装置170は駆動部162と電気的に接続されているならば、その配置位置は問われない。
【0024】
また、1つの制御装置170は複数の駆動部162を制御してもよいし、1つの制御装置170が1つの駆動部162を制御してもよい。例えば、前述の装置構成の他に、搬送ローラ120の両端に駆動部162が存在しており、これらの駆動部162を1つの制御装置170が制御する構成であってもよい。もしくは、搬送ローラ120の両端に駆動部162が存在しており、これらの駆動部162をそれぞれ別個の制御装置170が制御する構成であってもよい。
【0025】
[制御装置]
次に、図4及び図5を参照して、制御装置170について説明する。図4は、制御装置170のハードウェア構成例を示すブロック図である。図5は、制御装置170のソフトウェア構成例を示すブロック図である。なお、制御装置170に対する入力および制御装置170からの出力を示すため、図4および図5には制御装置170以外の構成も掲載している。
【0026】
図4に示すように、制御装置170は、CPU(Central Processing Unit)171と、ROM(Read Only Memory)172と、RAM(Random Access Memory)173と、HDD(Hard Disk Drive)174と、入出力I/F(Interface)175,176とを備える。
【0027】
入出力I/F175は、ひずみセンサ120A~120Cそれぞれに含まれるひずみゲージと、CPU171とを接続する入出力インタフェースである。ひずみゲージの電極は、それぞれ入出力I/F175に接続される。なお、ひずみゲージ(またはひずみセンサ全体)と他の部材との接続のための配線および電極は、ローラ本体121の内部に収容されていてもよい。これにより、ローラ本体121の表面に、電気接続のために凸凹が生じウェブ110に当該凸凹による皺等が生じることを防止できる。入出力I/F175は、これらの電極と接続するためのアナログフロントエンドを備えていてよい。アナログフロントエンドは、例えば、ひずみゲージの個数分のブリッジ回路、増幅器、アナログ/デジタル変換回路(A/D変換回路)等を備えており、個々のひずみゲージの電極から得られたアナログ電圧を増幅し、デジタル変換して、CPU171に出力する。
【0028】
CPU171は、ROM172やHDD174等に格納されたプログラム、および、プログラムの実行に必要なデータを適宜RAM173上に読み出す。CPU171は、読みだしたプログラムを実行することで、制御装置170としての種々の機能(少なくとも、後述する軸偏心特定部178および軸角度調整部179としての機能)を実現する。当該機能については後述する。CPU171は、入出力I/Fを介して駆動部162に接続している。
【0029】
入出力I/F176は、CPU171と駆動部162とを接続する入出力インタフェースである。例えば、入出力I/F176は、CPU171から出力された制御信号を駆動部162に出力する。駆動部162は、CPU171から出力された制御信号に従って駆動(回動)する。なお、制御装置170が複数の駆動部162を制御する場合、CPU171は、複数の駆動部162それぞれに対し、別の動き(回動の角度および量)を指示する制御信号を送信してもよい。
【0030】
次に、制御装置170の機能ブロックについて、図5を用いて説明する。制御装置170は、図5に示すように、軸偏心特定部178と、軸角度制御部179とを備える。制御装置170は、ひずみセンサ120A~120Cから、ひずみ量に応じた抵抗値を出力値として取得する。ここで、ひずみセンサ120A~120Cそれぞれの出力値は、各ひずみセンサの設置位置において、搬送ローラ120がウェブ110から受けている圧力を示しているといえる。
【0031】
軸偏心特定部178は、制御装置170が取得した抵抗値(すなわち、ひずみセンサの出力値)に基づいて、搬送ローラ120の軸偏心の向きおよび偏心量を特定する。軸偏心特定部178による軸偏心の向きおよび偏心量の特定方法については、後で詳述する。軸偏心特定部178はさらに、搬送ローラ120の軸偏心の向きおよび偏心量をより小さくするために必要な駆動部162の動作を演算する。
【0032】
軸角度制御部179は、軸偏心特定部178が演算した駆動部162の動作を実現するための制御指示を作成する。軸角度制御部179は、作成した制御指示を電気信号(すなわち、制御信号)として、入出力I/Fを介して駆動部162へと出力する。すなわち、軸角度制御部179は、駆動部162を介して搬送ローラ120の軸角度を制御する。
【0033】
駆動部162は、制御信号の示す制御指示の通り回動する。これにより、ボール受部161が回動する、および/またはボール受部161の角度が変更される。したがって、ボール受部161と連結している搬送ローラ120の軸角度が、当該搬送ローラ120の軸偏心がより小さくなるように調整される。なお、ボール受部161の回動および/または角度変更可能な最大量および最大角度は適宜定められてよい。また、駆動部162が駆動することで、ボール受部161の位置自体を上下および/または左右に移動させることが可能であってもよい。このように、ボール受部161の位置も調整することで、搬送ローラ120の軸角度をより正確に制御することができる。
【0034】
[軸偏心の特定方法]
続いて、軸偏心特定部178による演算処理の一例について説明する。軸偏心特定部178は、例えば、ひずみセンサの配置位置と、出力値と、予め定められた基準値とに基づいて、搬送ローラ120の軸偏心の向きおよび偏心量を特定してもよい。ここで「基準値」とは、搬送ローラ120が正規状態のとき(すなわち、搬送ローラ120に軸偏心が生じていないとき)の、ひずみセンサの出力値である。なお、本実施形態のようにひずみセンサが複数存在する場合、基準値はひずみセンサ毎に設定されていてもよい。基準値は、制御装置170のROM172またはHDD174に予め記憶されていてもよい。
【0035】
軸偏心特定部178は、ひずみセンサ120A~120Cの出力値と、それぞれの基準値とを比較する。あるひずみセンサの出力値が当該センサの基準値よりも大きい場合、当該ひずみセンサの配置位置において、搬送ローラ120にかかる圧力が正規状態に比べて過大であるといえる。一方、あるひずみセンサの出力値が当該センサの基準値よりも小さい場合、当該ひずみセンサの配置位置において、搬送ローラ120にかかる圧力が正規状態に比べて過小であるといえる。このように、搬送ローラ120にかかる圧力が過大または過小である場合、軸偏心が生じているといえる。軸偏心特定部178は、このように各ひずみセンサの配置位置と、出力値と、基準値とに基づいて、搬送ローラ120全体がいずれの方向にどの程度傾いているか(すなわち、軸偏心の向きと、偏心量)を特定することができる。そして、軸偏心特定部178は、各ひずみセンサの出力値が基準値に一致または近づくように駆動部162の動作を演算する。
【0036】
さらに、本実施形態のように搬送ローラ120に複数のひずみセンサを設けていた場合、各ひずみセンサについての前記差分を比較することで、搬送ローラ120の軸偏心の向きと、偏心量を、より正確に特定することができる。図6は、軸偏心特定部178の演算処理の一例を模式的に示した図である。搬送ローラ120のひずみセンサ120A~120Cについて、図6の(a)に示すように、ひずみセンサ120AはX(Ω)、ひずみセンサ120BはY(Ω)、ひずみセンサ120CはZ(Ω)と基準値が定められていたとする。そして、ひずみセンサ120A~120Cについて、図6の(b)に示すような出力値(および差分)がそれぞれ得られたとする。例えば、ひずみセンサ120AからX+20(Ω)、ひずみセンサ120BからY+10(Ω)、ひずみセンサ120CからZ-15(Ω)の出力値が得られたとする。この場合、各ひずみセンサの出力値と基準値との比較から、ひずみセンサ120Aの位置で搬送ローラ120にかかる圧力が過大になっていること、および、ひずみセンサ120Cの位置で搬送ローラ120にかかる圧力が過小になっていることがわかる。
【0037】
このように、軸偏心特定部178は、軸偏心の向きおよび大きさを特定すると、当該角度および大きさをより小さくするための駆動部162の動作を演算する。図6の例では、軸偏心特定部178は、ひずみセンサ120Aの配置されている側を、ウェブ110から離すための駆動部162の動作を演算する。例えば、図6の各図の搬送ローラ120が、図中の上方向でウェブ110と接している場合、軸偏心特定部178は、ひずみセンサ120A側を下げるような駆動部162の動作を演算する。そして軸角度制御部179は、軸偏心特定部178の演算結果を受けて、それを実現するための制御指示を作成する。駆動部162は当該制御指示に従って動作することでボール受部161の回転および/または角度を変更する。これにより、図6の(c)の矢印の方向に搬送ローラ120の軸角度が調整される。結果、軸偏心が小さくなり、ひずみセンサ120A~120Cの出力値は、図6の(d)に示すように基準値に近づく。ウェブ搬送装置100は、このように、軸偏心の向きおよび大きさの特定と、特定結果に応じた駆動部162の制御(ひいては、軸角度の制御)を繰り返すことで、搬送ローラ120を正規状態に近づける。
【0038】
以上、本実施形態によれば、搬送ローラ120に設けたひずみセンサの出力値に基づいて搬送ローラ120の軸角度を制御することで、搬送ローラ120の軸偏心を小さくすることができる。これにより、搬送するウェブ110に皺やクラックが生じることを防止することができる。
【0039】
[ひずみゲージ]
次に、図7図9を参照して、本実施形態のひずみセンサ120A~120Cに含まれるひずみゲージ1について、詳細に説明する。図7は、本実施形態のひずみゲージ1を例示する平面図である。図8は、本実施形態に係るひずみゲージ1を例示する断面図(その1)であり、図7のA-A線に沿う断面を示している。図9は、機能層20を含むひずみゲージ1を例示する断面図(その2)であり、図7のA-A線に沿う断面図である。なお、図7図9に示したひずみゲージ1の各部の形状はあくまで一例であり、本実施形態に係るひずみゲージ1の外観はこれに限定されない。例えば、ひずみセンサ120A~120Cの各々が1つのひずみゲージから成る場合、ひずみゲージ1のグリッド部分は搬送ローラ120のローラ本体を略1周する程度の大きさであってもよい。また、ひずみセンサ120A~120Cの各々は、搬送ローラ120の表面に周方向に配置された複数のひずみゲージ1から成ってもよい。
【0040】
図7図9を参照すると、ひずみゲージ1は、基材10と、抵抗体30と、配線40と、電極50と、カバー層60とを有している。なお、便宜上、カバー層60の外縁のみを破線で示している。なお、カバー層60は必須構成ではなく、必要に応じて適宜設ければよい。
【0041】
なお、本実施形態では、便宜上、ひずみゲージ1において、基材10の抵抗体30が設けられている側を「上側」と称し、抵抗体30が設けられていない側を「下側」と称する。また、各部位の上側に位置する面を「上面」と称し、各部位の下側に位置する面を「下面」と称する。ただし、ひずみゲージ1は天地逆の状態で用いることもできる。また、ひずみゲージ1は任意の角度で配置することもできる。また、平面視とは、基材10の上面10aに対する上側から下側への法線方向で対象物を視ることを指すものとする。そして、平面形状とは、前記法線方向で対象物を視たときの、対象物の形状を指すものとする。
【0042】
基材10は、抵抗体30等を形成するためのベース層となる部材である。基材10は可撓性を有する。基材10の厚さは特に限定されず、ひずみゲージ1の使用目的等に応じて適宜決定されてよい。例えば、基材10の厚さは5μm~500μm程度であってよい。本実施形態では、搬送ローラ120のローラ本体121の表面に、ひずみゲージ1の下面側が接着剤等を用いて接合される。なお、搬送ローラ120から受感部へのひずみの伝達性、及び、環境変化に対する寸法安定性の観点から考えると、基材10の厚さは5μm~200μmの範囲内であることが好ましい。また、絶縁性の観点から考えると、基材10の厚さは10μm以上であることが好ましい。
【0043】
基材10は、例えば、PI(ポリイミド)樹脂、エポキシ樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、PEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、LCP(液晶ポリマー)樹脂、ポリオレフィン樹脂等の絶縁樹脂フィルムから形成できる。なお、フィルムとは、厚さが500μm以下程度であり、可撓性を有する部材を指す。
【0044】
基材10が絶縁樹脂フィルムから形成される場合、当該絶縁樹脂フィルムには、フィラーや不純物等が含まれていてもよい。例えば、基材10は、シリカやアルミナ等のフィラーを含有する絶縁樹脂フィルムから形成されてもよい。
【0045】
基材10の樹脂以外の材料としては、例えば、SiO、ZrO(YSZも含む)、Si、Si、Al(サファイヤも含む)、ZnO、ペロブスカイト系セラミックス(CaTiO、BaTiO)等の結晶性材料が挙げられる。また、前述の結晶性材料以外に非晶質のガラス等を基材10の材料としてもよい。また、基材10の材料として、アルミニウム、アルミニウム合金(ジュラルミン)、チタン等の金属を用いてもよい。金属を用いる場合、金属製の基材10上に絶縁膜が設けられる。
【0046】
抵抗体30は、基材10の上側に所定のパターンで形成された薄膜である。ひずみゲージ1において、抵抗体30は、ひずみを受けて抵抗変化を生じる受感部である。すなわち、抵抗体30はひずみゲージ1の検出素子であるといえる。抵抗体30は、基材10の上面10aに直接形成されてもよいし、基材10の上面10aに他の層を介して形成されてもよい。
【0047】
抵抗体30は、複数の細長状部31が長手方向を同一方向(図7のA-A線の方向)に向けて所定間隔で配置され、隣接する細長状部31の端部が互い違いに連結されて、全体としてジグザグに折り返す構造である。すなわち、抵抗体30は、並置された複数の細長状部31と、隣接する細長状部31の端部同士を接続する折り返し部分32とを含む。複数の細長状部31の長手方向がグリッド方向となり、グリッド方向と垂直な方向がグリッド幅方向(図7のA-A線と垂直な方向)となる。
【0048】
グリッド幅方向の最も外側に位置する2つの細長状部31の長手方向の一端部は、グリッド幅方向に屈曲し、抵抗体30のグリッド幅方向の各々の終端30e及び30eを形成する。抵抗体30のグリッド幅方向の各々の終端30e及び30eは、配線40を介して、電極50と電気的に接続されている。言い換えれば、配線40は、抵抗体30のグリッド幅方向の各々の終端30e及び30eと各々の電極50とを電気的に接続している。
【0049】
また、抵抗体30は、例えば、Cr(クロム)を含む材料、Ni(ニッケル)を含む材料、又はCrとNiの両方を含む材料から形成できる。すなわち、抵抗体30は、CrとNiの少なくとも一方を含む材料から形成できる。Crを含む材料としては、例えば、Cr混相膜が挙げられる。Niを含む材料としては、例えば、Cu-Ni(銅ニッケル)が挙げられる。CrとNiの両方を含む材料としては、例えば、Ni-Cr(ニッケルクロム)が挙げられる。
【0050】
ここで、Cr混相膜とは、Cr、CrN、CrN等が混相した膜である。Cr混相膜は、酸化クロム等の不可避不純物を含んでもよい。
【0051】
例えば、抵抗体30がCr混相膜である場合、安定な結晶相であるα-Cr(アルファクロム)を主成分とすることで、ゲージ特性の安定性を向上させることができる。また例えば、抵抗体30がCr混相膜である場合、抵抗体30がα-Crを主成分とすることで、ひずみゲージ1のゲージ率を10以上、かつゲージ率温度係数TCS及び抵抗温度係数TCRを-1000ppm/℃~+1000ppm/℃の範囲内とすることができる。ここで、「主成分」とは、抵抗体30を構成する全物質の50重量%以上を占める成分のことを意味する。ゲージ特性を向上させるという観点から考えると、抵抗体30はα-Crを80重量%以上含むことが好ましい。更に言えば、同観点から考えると、抵抗体30はα-Crを90重量%以上含むことがより好ましい。なお、α-Crは、bcc構造(体心立方格子構造)のCrである。
【0052】
また、抵抗体30がCr混相膜である場合、Cr混相膜に含まれるCrN及びCrNは20重量%以下であることが好ましい。Cr混相膜に含まれるCrN及びCrNが20重量%以下であることで、ゲージ率の低下を抑制できる。
【0053】
また、Cr混相膜におけるCrNとCrNとの比率は、CrNとCrNの重量の合計に対し、CrNの割合が80重量%以上90重量%未満となるようにすることが好ましい。更に言えば、同比率は、CrNとCrNの重量の合計に対し、CrNの割合が90重量%以上95重量%未満となるようにすることがより好ましい。CrNは半導体的な性質を有する。そのため、前述のCrNの割合を90重量%以上95重量%未満とすることで、TCRの低下(負のTCR)が一層顕著となる。更に、前述のCrNの割合を90重量%以上95重量%未満とすることで抵抗体30のセラミックス化を低減し、抵抗体30の脆性破壊が起こりにくくすることができる。
【0054】
一方で、CrNは化学的に安定であるという利点を有する。Cr混相膜にCrNをより多く含むことで、不安定なNが発生する可能性を低減することができるため、安定なひずみゲージを得ることができる。ここで「不安定なN」とは、Cr混相膜の膜中に存在し得る、微量のNもしくは原子状のNのことを意味する。これらの不安定なNは、外的環境(例えば高温環境)によっては膜外へ抜け出ることがある。不安定なNが膜外へ抜け出るときに、Cr混相膜の膜応力が変化し得る。
【0055】
抵抗体30の厚さは、特に限定されず、ひずみゲージ1の使用目的等に応じて適宜決定されてよい。例えば、抵抗体30の厚さは0.05μm~2μm程度であってよい。特に、抵抗体30の厚さが0.1μm以上であると、抵抗体30を構成する結晶の結晶性(例えば、α-Crの結晶性)が向上する。また、抵抗体30の厚さが1μm以下である場合、抵抗体30を構成する膜の内部応力に起因する、(i)膜のクラック及び(ii)膜の基材10からの反りが、低減される。細長状部31の幅は適宜決定してよい。例えば、細長状部31の幅を、破断対策も考慮しつつ抵抗値や横感度等の要求仕様に対して最適化する場合、細長状部31の幅は、10μm~100μm程度とすることができる。
【0056】
ひずみゲージ1において、抵抗体30の材料としてCr混相膜を用いた場合、高感度化かつ、小型化を実現することができる。例えば、従来のひずみゲージの出力が0.04mV/2V程度であったのに対して、抵抗体30の材料としてCr混相膜を用いた場合は0.3mV/2V以上の出力を得ることができる。また、従来のひずみゲージの大きさ(ゲージ長×ゲージ幅)が3mm×3mm程度であったのに対して、抵抗体30の材料としてCr混相膜を用いた場合のひずみゲージの大きさ(ゲージ長×ゲージ幅)は0.3mm×0.3mm程度に小型化することができる。
【0057】
配線40は、基材10上に設けられている。配線40は、一端側が抵抗体30の両端に電気的に接続されており、他端側が電極50と電気的に接続されている。配線40は、直線状には限定されず、任意のパターンとすることができる。また、配線40は、任意の幅及び任意の長さとすることができる。
【0058】
電極50は、基材10上に設けられている。電極50は、配線40を介して抵抗体30と電気的に接続されている。電極50は、例えば平面視において、配線40よりも拡幅して略矩形状に形成されていてよい。電極50は、ひずみにより生じる抵抗体30の抵抗値の変化を外部に出力するための一対の電極である。電極50には、例えば外部接続用のリード線等が接合される。
【0059】
カバー層60は、基材10の上面10aに形成され、抵抗体30及び配線40を被覆し電極50を露出する。配線40の一部は、カバー層60から露出してもよい。カバー層60は、電極50を除く部分の全体を覆うように設けてもよい。
【0060】
カバー層60の材料としては、例えば、PI樹脂、エポキシ樹脂、PEEK樹脂、PEN樹脂、PET樹脂、PPS樹脂、複合樹脂(例えば、シリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂)等の絶縁樹脂が挙げられる。なお、カバー層60は、フィラーや顔料を含有しても構わない。カバー層60の厚さは、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、カバー層60の厚さは2μm~30μm程度とすることができる。カバー層60を設けることで、抵抗体30(及び配線40)に機械的な損傷等が生じることを抑制することができる。また、カバー層60を設けることで、抵抗体30(及び配線40)を湿気等から保護することができる。
【0061】
また、ひずみゲージ1は、ゲージ特性を安定化する観点から、下地層として、基材10の上面10aに、例えば、コンベンショナルスパッタ法により所定の膜厚で成膜された機能層20を含んでもよい。
【0062】
本願において、機能層20とは、少なくとも上層である抵抗体30の結晶成長を促進する機能を有する層を指す。機能層20は、更に、基材10に含まれる酸素や水分による抵抗体30の酸化を防止する機能、および/または、基材10と抵抗体30との密着性を向上する機能を備えていることが好ましい。機能層20は、更に、他の機能を備えていてもよい。
【0063】
基材10を構成する絶縁樹脂フィルムは酸素や水分を含むことがあり、また、Crは自己酸化膜を形成することがある。そのため、特に金属層AがCrを含む場合、金属層Aの酸化を防止する機能を有する機能層を成膜することが有効である。
【0064】
機能層20の材料は、少なくとも上層である抵抗体30の結晶成長を促進する機能を有する材料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、Cr(クロム)、Ti(チタン)、V(バナジウム)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、Ni(ニッケル)、Y(イットリウム)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)、Si(シリコン)、C(炭素)、Zn(亜鉛)、Cu(銅)、Bi(ビスマス)、Fe(鉄)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Re(レニウム)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Au(金)、Co(コバルト)、Mn(マンガン)、Al(アルミニウム)からなる群から選択される1種又は複数種の金属、この群の何れかの金属の合金、又は、この群の何れかの金属の化合物が挙げられる。
【0065】
機能層20は、例えば、機能層20を形成可能な原料をターゲットとし、チャンバ内にAr(アルゴン)ガスを導入したコンベンショナルスパッタ法により真空成膜できる。コンベンショナルスパッタ法を用いることにより、基材10の上面10aをArでエッチングしながら機能層20が成膜されるため、機能層20の成膜量を最小限にして密着性改善効果を得ることができる。
【0066】
ただし、これは、機能層20の成膜方法の一例であり、他の方法により機能層20を成膜してもよい。例えば、機能層20の成膜の前にAr等を用いたプラズマ処理等により基材10の上面10aを活性化することで密着性改善効果を獲得し、その後マグネトロンスパッタ法により機能層20を真空成膜する方法を用いてもよい。
【0067】
なお、抵抗体30、配線40、及び電極50の下地層として基材10の上面10aに機能層20を設けた場合には、ひずみゲージ1は図9に示す断面形状となる。機能層20を設けた場合のひずみゲージ1の平面形状は、例えば、図7の抵抗体30、配線40、及び電極50と同様となる。ただし、前述のように、機能層20は、基材10の上面10aの一部又は全部にベタ状に形成される場合もある。
【0068】
<第2実施形態>
第1実施形態では、1つの搬送ローラ120を1つの制御装置170が制御する例について説明した。しかしながら、本発明は、複数の搬送ローラ120を1つの制御装置170で制御する態様であってもよい。以下、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の部材については同じ部材番号を付し、その説明を繰り返さない。
【0069】
本実施形態に係るウェブ搬送システム100aは、ウェブ110を搬送する複数の搬送ローラ120と、各搬送ローラ120に設けられたローラ調整機構160と、前記ローラ調整機構160を介して各搬送ローラ120の軸角度を制御する制御装置200と、を含む。各搬送ローラ120には、第1実施形態と同様に、周方向に1つ以上の環状のひずみセンサ(例えば、ひずみセンサ120A~120Cと同様のひずみセンサ)が設けられており、各ひずみセンサは1つ以上のひずみゲージ1を含む。
【0070】
制御装置200は、各搬送ローラ120のひずみセンサ、および、ローラ調整機構160の駆動部162と、有線または無線で接続される。特に限定されないが、制御装置200の例としては、パーソナルコンピュータやサーバ等の情報処理装置が挙げられる。制御装置200は、第1実施形態における制御装置170と同様のソフトウェア構成を備えている。すなわち、制御装置200は、少なくとも、軸偏心特定部178と、軸角度制御部179とを含む。なお、制御装置200のハードウェア構成は、制御装置170と同じであっても異なっていてもよい。
【0071】
制御装置200は、各搬送ローラ120に備わるひずみゲージ1のそれぞれから出力値を取得する。このとき、制御装置200は、各出力値が、いずれの搬送ローラの、いずれのひずみセンサの出力値であるか区別して値を取得する。制御装置200は、第1実施形態に係る制御装置170と同様に、搬送ローラ120の軸角度を制御する。このとき、制御装置200は、複数の搬送ローラ120の軸角度を個別に調整する。これにより、ウェブ搬送システム100aは、複数の搬送ローラ120の軸偏心がより小さくなるように制御することができる。したがって、例えばウェブ110の搬送ラインの複数の搬送ローラ120に軸偏心が極力生じないように、一括制御することができる。
【0072】
このように、第1実施形態および第2実施形態では、ひずみゲージの検出素子として、抵抗体を用いる例について説明した。すなわち、第1実施形態および第2実施形態では、ひずみゲージ1が所謂「抵抗体ひずみゲージ」である場合について説明した。しかしながら、本開示に係るひずみゲージは抵抗体ひずみゲージに限定されない。例えば、本開示に係るひずみゲージは、搬送ローラ120に生じるひずみ(すなわち、搬送ローラ120に圧力がかかることによって生じる変形)に伴う磁気変化を検出するひずみゲージであってもよい。そして、当該磁気変化を検出するひずみゲージを、第1実施形態または第2実施形態において説明したひずみセンサに搭載してもよい。
【0073】
具体的には、本開示に係るひずみゲージは、ビラリ現象(後述)を利用した検出素子を含んだひずみゲージであってもよい。また、本開示に係るひずみゲージは、磁気トンネル接合(後述)の構造を有する検出素子を含んだひずみゲージであってもよい。以下、第3実施形態では、ビラリ現象を利用した検出素子を含むひずみゲージについて説明する。また、第4実施形態では、磁気トンネル接合の構造を有する検出素子を含んだひずみゲージについて説明する。
【0074】
なお、これ以降の各実施形態および変形例において説明する「ひずみセンサ」は、第1実施形態および第2実施形態において説明した環状のひずみセンサ(例えば、ひずみセンサ120A~120Cと同様のひずみセンサ)と同様のものである。
【0075】
<第3実施形態>
図10は、第3実施形態に係るひずみゲージに含まれる検出素子300の一例を示す図である。なお、第3実施形態および第4実施形態では、各部材においてローラ本体121が在る側を「下側」、下側と反対側を「上側」と称する。図10の(a)は、ひずみゲージの検出素子300を上側から下側に見た場合の平面図である。一方、図10の(b)は、図10の(a)に示す検出素子300の、α―α'面における断面図を示している。なお、図10のいずれの図も、検出素子300の配線は図示していない。しかしながら、検出素子300は、後述する駆動コイル320と電源とを接続する配線と、感知コイル380によって検出された電流を伝達するための配線も有していてよい。
【0076】
図10の(a)に示す通り、検出素子300は、駆動コイル320と、感知コイル380と、ベース層310とを含む。感知コイル380は、ベース層310を芯材とするコイルである。また、駆動コイル320は、ベース層310を芯材としたコイルであって、感知コイルの外側に巻かれたコイルである。このように、駆動コイル320および感知コイル380は、駆動コイル320が外側、感知コイル380が内側に配置された2重構造を形成している。このように、感知コイル380を駆動コイル320の内側に巻くことで、感知コイル380全体に均一に交番磁界(後述)を加えることができる。これにより、検出素子300の性能が向上する。
【0077】
駆動コイル320は、磁界を発生させるためのコイルである。電源から駆動コイル320に交流電流が供給されると、駆動コイル320はその周囲に交番磁界を生じさせる。ベース層310は、略平板状の金属板(後述するベース金属370)を絶縁層(後述する絶縁層360)で覆ったものである。ベース層310の金属板は、検出素子300における磁性体である。ベース層310の金属板は駆動コイル320が発生させた交番磁界によって磁化される。感知コイル380は、ベース金属370の磁化の強さを検出するためのコイルである。駆動コイル320および感知コイル380の材料は、Cu、Ag、Al、およびAu等の導電性金属、ならびに、これらの金属の合金であることが望ましい。なお、駆動コイル320および感知コイル380の巻き数および断面積の大きさは、検出素子300に要求されるひずみの検知感度に応じて適宜設計されてよい。
【0078】
図10の(b)の断面図を参照して、検出素子300について更に詳述する。なお、以下説明する層340~360は、芯材であるベース金属370に巻き付けられた構造である。したがって、図10の(b)において、同じ部材番号を付した層はベース金属370を取り囲んで繋がっているといえる。
【0079】
検出素子300は、前述の通り、ベース層310に感知コイル380および駆動コイル320が巻き付けられた構造をしている。ベース層310はベース金属370を絶縁層360が覆った構造をしている。絶縁層360を取り囲むように、絶縁層350が形成されている。絶縁層350は、感知コイル380を含む層であり、感知コイル380の間隙を絶縁材料で充填した層である。更に絶縁層350を取り囲むように、絶縁層340が形成される。絶縁層340は、駆動コイル320を含む層であり、駆動コイル320の間隙を絶縁材料で充填した層である。
【0080】
なお、ベース金属370は、例えば、センダスト等のFe-Si-Al系合金、および、パーマロイ等のNi-Fe系合金等の軟磁性体材料で構成されることが望ましい。また、絶縁層340、350,および360は、磁界に影響しないドライフィルムまたは感光性ポリイミド等のレジスト硬化物であることが望ましい。
【0081】
図10の(b)の断面図が示す通り、検出素子300の下側は、基材110に貼り付けられる。なお、検出素子300は、全体として平板または薄膜状の検出素子であってもよい。検出素子300が平板または薄膜状である場合、基材110へより容易に貼り付けることができる。そして基材110は、搬送ローラ120のローラ本体121へと貼り付けられる。なお、本実施形態に係る搬送ローラ120は、基本的には第1実施形態および第2実施形態に係る搬送ローラ120と同様の構成および材料であってよい。しかしながら、搬送ローラ120は、非磁性体から成ることがより望ましい。本実施形態に係る搬送ローラ120は、例えば、非磁性ステンレスを材料として作製することができる。
【0082】
以上、本実施形態に係る検出素子300は、磁性体であるベース金属370を含んでいる。駆動コイル320に電流が流れると磁界が発生し、ベース金属370は磁化される。この状態でローラ本体121が変形すると、それに伴ってひずみが生じる。ひずみは基材110を伝わり、ベース金属370に応力が加わる。ベース金属370に応力が加わると、その応力に応じて、ベース金属370の透磁率が変化し、磁化の強さが変化する。このように、磁性体に応力がかかることによって、磁性体の透磁率および磁化の強さが変化する現象のことを「ビラリ現象」という。検出素子300の構成によれば、ピックアップコイルである感知コイル380には、ベース金属370の磁化の強さに応じた交流電圧が誘起される。したがって、ビラリ現象の原理に基づけば、この交流電圧の値から、ベース金属370にかかる応力(すなわち、基材110のひずみ度合)を算出することができる。なお、図10の(a)に示した例の場合、検出素子300のグリッド方向は、同図におけるα-α'方向である。
【0083】
このような原理によって、検出素子300は、ローラ本体121に貼り付けられた基材110が受けたひずみを検出することができる。すなわち、検出素子300は、ひずみゲージの検出素子として機能する。
【0084】
本実施形態に係るウェブ搬送装置100およびウェブ搬送システム100aにおいて、搬送ローラ120には、ウェブ110を搬送する際にウェブ110のテンションにより圧力がかかる。この圧力により、搬送ローラ120のローラ本体121がひずむ。搬送ローラ120には、ひずみゲージを備えたひずみセンサが搭載されており、ひずみゲージの検出素子300は、ローラ本体121のひずみによって生じる磁性変化を、前述のビラリ現象の原理に基づき検出することができる。
【0085】
また、本実施形態に係る検出素子300を含んだひずみゲージは、第1実施形態および第2実施形態に示したあらゆる配置位置で配置可能である。したがって、ビラリ現象を利用した検出素子300を用いて、抵抗体ひずみゲージを用いたときと同様にローラ本体121のひずみを検出することができる。したがって、本実施形態に係るひずみゲージは、第1実施形態および第2実施形態に係るひずみゲージ1と同様の効果を奏する。
【0086】
<第4実施形態>
図11は、第4実施形態に係るひずみゲージに含まれる検出素子の一例を示す図である。図12は、第4実施形態に係る検出素子の他の一例を示す図である。また、図13は、第3実施形態に係る検出素子の更に他の一例を示す図である。図11~13の(a)はそれぞれ、検出素子500、600、および700の斜視図である。図11~13の(b)はそれぞれ、検出素子500、600、および700を上側から下側に見おろしたときの平面図である。図11~13の(c)は、検出素子500、600、および700の、zy平面に平行な面での断面図である。なお、検出素子500、600、および700の、基材110への貼り付け面はxy平面に平行な面である。なお、図11~13のいずれの図も、検出素子の配線は図示していない。しかしながら、これらの検出素子500、600、および700は、後述する上流電極510と電源とを接続する配線と、下流電極520と電源とを接続する配線を有していてよい。
【0087】
図11の(a)に示す通り、検出素子500、600、および700は、上流電極510と、下流電極520と、磁性膜530と、絶縁膜540と、を含む。絶縁膜540は、図示のように磁性膜530で挟まれている。この磁性膜530と絶縁膜540によって、磁気トンネル接合が形成される。すなわち、検出素子500は、磁気トンネル接合の構造に電極を接続した構造である。
【0088】
なお、上流電極510および/または下流電極520の更に下側には、プラスチックフィルム等で構成されるフレキシブル基板が設けられていてもよい。なお、当該基板は基材110を兼ねていてもよい。
【0089】
磁性膜530は磁性ナノ薄膜である。絶縁膜540は絶縁体のナノ薄膜である。磁気トンネル接合の構造が形成可能であれば、磁性膜530と、絶縁膜540の材料は特に限定されない。例えば、磁性膜530としてコバルト鉄ボロン、または、Fe、Co、Niなどの3d遷移金属強磁性体及びそれらを含む合金等を用いることができる。また、絶縁膜540として、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムや酸化マグネシウム等を用いることができる。
【0090】
上流電極510および下流電極520は、磁気トンネル接合の構造に対し電圧を印加するための電極である。図11~13の例では、電流は上流電極510から下流電極520へと流れる。例えば図11の(c)の場合、上流電極510と下流電極520の間に電圧を印加すると、電子は上側の磁性膜530から、絶縁膜540を超えて下側の磁性膜530に流れ込む。これは「トンネル効果」と呼ばれている現象であり、電子が絶縁膜540を通過するときの電気抵抗は、「トンネル抵抗」と呼ばれている。なお、図11~13の例では、電極の各部の接合部は、磁気トンネル接合の構造をショートパスする電流が流れない様に端部が処理された構造となっている。
【0091】
ところで、基材110等を介して検出素子500にひずみがかかると、トンネル接合の構造において、磁気変化が起こる。より具体的には、上側と下側の磁性膜530の磁化方向がずれる。このように、上下の磁性膜530の磁化方向がずれると、磁化方向が平行な場合に比べて、トンネル抵抗が大きくなる(トンネル磁気抵抗効果)。したがって、前述の構成を備えた検出素子500では、検出素子500(より厳密には、磁気トンネル接合の部分)のひずみの大きさに応じて、電極間を流れる電流が小さくなる。すなわち、ひずみが大きくなるにつれ、電気抵抗が大きくなる。検出素子500は、このように、印加した電圧に対する電流値に基づきひずみを検出することができる。したがって、検出素子500を基材110に貼り付けることによって、搬送ローラ120にかかる圧力を測定することができる。
【0092】
磁気トンネル接合の構造を有する検出素子は、図11に示した例に限定されない。例えば、図12および図13に示すような検出素子600および700を採用することも可能である。図12に示す検出素子600も、図13に示す検出素子700も、上流電極510、下流電極520、磁性膜530、および絶縁膜540で構成されること、および、これらの構成によってひずみを検出する原理については、検出素子500と同様である。また、検出素子600および700の基本的な動作についても、検出素子500と同様である。なお、検出素子500、600、および700のグリッド方向は、それぞれ図11図13におけるy軸方向(y軸の正方向およびy軸の負方向)に相当する。図12に示す検出素子600は図示の通り、上側の磁性膜530と上側の磁性膜530が、一部繋がった構造をしている。すなわち、磁性膜530の一部の領域においてのみ、磁気トンネル接合の構造が形成されており、当該構造においてトンネル磁気抵抗効果が生じる。一方、図13に示す検出素子700は、基板710を介して基材110に貼り付けられる。図11図13に示すように、検出素子は前述の原理を超えない範囲であれば、要求されるサイズ、耐久性、および検出すべき応力の大きさ等に応じて、適宜その設計が変更されてよい。
【0093】
なお、本実施形態に係るローラ本体121は、基本的には第1実施形態および第2実施形態に係るローラ本体121と同様の構成および材料であってよい。しかしながら、搬送ローラ120は、非磁性体から成ることがより望ましい。本実施形態に係る搬送ローラ120は、例えば、非磁性ステンレスを材料として作製することができる。また、検出素子500、600、および700は素子全体として、フィルム型などの略平板状の形状であってよい。これにより、基材110に、検出素子500を容易に貼り付けることができる。また、検出素子500、600、および700は、駆動コイル等、磁気トンネル接合の構造部分に対して、微弱な磁界を印加するための構造を有していてもよい。磁気トンネル接合の構造部分に対して磁界を印加することにより、前述のトンネル磁気抵抗効果をより安定して測定することができるため、安定してひずみを検出することができる。
【0094】
また、検出素子500、600、および700における「上流電極」および「下流電極」は便宜上の名称であり、電流の流れる方向は逆であってもよい。つまり、図11図13で示した検出素子500、600、および700において、下流電極520の方から、上流電極510の方へと電流が流れる設計であってもよい。
【0095】
本実施形態に係るウェブ搬送装置100およびウェブ搬送システム100aにおいて、搬送ローラ120には、ウェブ110を搬送する際にウェブ110のテンションにより圧力がかかる。この圧力により、搬送ローラ120のローラ本体121がひずむ。搬送ローラ120には、ひずみゲージを備えたひずみセンサが搭載されており、ひずみゲージの検出素子500、600、または700は、ローラ本体121のひずみによって磁気トンネル接合の構造で発生する磁気変化を検出することができる。
【0096】
また、本実施形態に係る検出素子500、600、および700を含んだひずみゲージは、第1実施形態および第2実施形態に示したあらゆる配置位置で配置可能である。したがって、磁気トンネル効果を利用した検出素子500、600、および700を用いて、抵抗体ひずみゲージを用いたときと同様にローラ本体121のひずみを検出することができる。したがって、本実施形態に係るひずみゲージは、第1実施形態および第2実施形態に係るひずみゲージ1と同様の効果を奏する。
【0097】
<変形例>
上記各実施形態において、軸偏心特定部178は、(i)搬送ローラ120の軸偏心の向きおよび大きさの特定、および、(ii)特定した軸偏心の向きおよび大きさを小さくするための駆動部162の動作の演算を、搬送ローラ120の稼働時にリアルタイムまたは所定の時間間隔で継続的に実行してもよい。そして、軸角度制御部179は、軸偏心特定部178の演算結果に応じて、駆動部162をリアルタイムまたは所定の時間間隔で継続的に制御してもよい。すなわち、軸角度制御部179は、搬送ローラ120の軸角度を、搬送ローラ120の稼働時にリアルタイムまたは所定の時間間隔で継続的に制御してもよい。これにより、搬送ローラ120の稼働中、軸偏心をより小さく保つことができる。
【0098】
また、上記各実施形態における基準値は、望ましい条件下で搬送ローラ120を稼働させたときの実データを、ウェブ搬送装置100に記憶させたものであってもよい。この場合、ウェブ搬送装置100の制御装置170は、パーソナルコンピュータ等の他の入力装置と有線または無線で接続されている。そして、制御装置170は、当該入力装置からのユーザの所定の指示入力を受け付ける入力受付部を備えている。そして、制御装置170は、入力受付部が所定の指示入力を受け付けた場合に、自身が取得したひずみセンサの出力値を、当該ひずみセンサについての基準値として記憶部(例えば、HDD174)に記憶させる。これにより、理想的な状態で実際に稼働させたときの出力値を基準値に設定することができる。
【0099】
また、上記各実施形態において、ローラ本体121にひずみセンサの形状および厚みと略同一の凹部を設けておき、そこにひずみセンサをはめ込むように設置してもよい。なお、この場合、ひずみセンサから出る配線も凹部に埋め込み可能であることが望ましい。このように凹部にひずみセンサを埋め込むことにより、ローラ本体121にひずみセンサを貼り付けたときの凹凸を軽減することができる。なお、ひずみセンサの設置部分とローラ本体121の部分との凹凸を無くすように、凹部に設置したひずみセンサの上に、適宜カバーやオーバーコートを施してもよい。
【0100】
以上、好ましい実施形態等について詳説した。しかしながら、本開示に係るウェブ搬送装置および搬送システムは、上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した実施形態について、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0101】
1 ひずみゲージ、10、110 基材、10a 上面、20 機能層、30 抵抗体、30e、30e 終端、31 細長状部、32 折り返し部分、40 配線、50 電極、60 カバー層、100 ウェブ搬送装置、100a ウェブ搬送システム、110 ウェブ、120 搬送ローラ、120A~120C ひずみセンサ、121 ローラ本体、123 軸、124 第1ジョイント部、1241 ボール部、125 第2ジョイント部、1251 ボール部、160 ローラ調整機構、161 ボール受部、162 駆動部、170、200 制御装置(入力受付部、取得部)、171 CPU、172 ROM、173 RAM、174 HDD、175、176 入出力I/F、177 入力部、178 軸偏心特定部、179 軸角度制御部、300、500、600、700 検出素子
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