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特開2024-76612背面パネル、その背面パネルを備える空調装置、およびその空調装置の据付方法
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  • 特開-背面パネル、その背面パネルを備える空調装置、およびその空調装置の据付方法 図1
  • 特開-背面パネル、その背面パネルを備える空調装置、およびその空調装置の据付方法 図2
  • 特開-背面パネル、その背面パネルを備える空調装置、およびその空調装置の据付方法 図3
  • 特開-背面パネル、その背面パネルを備える空調装置、およびその空調装置の据付方法 図4
  • 特開-背面パネル、その背面パネルを備える空調装置、およびその空調装置の据付方法 図5
  • 特開-背面パネル、その背面パネルを備える空調装置、およびその空調装置の据付方法 図6A
  • 特開-背面パネル、その背面パネルを備える空調装置、およびその空調装置の据付方法 図6B
  • 特開-背面パネル、その背面パネルを備える空調装置、およびその空調装置の据付方法 図6C
  • 特開-背面パネル、その背面パネルを備える空調装置、およびその空調装置の据付方法 図6D
  • 特開-背面パネル、その背面パネルを備える空調装置、およびその空調装置の据付方法 図7
  • 特開-背面パネル、その背面パネルを備える空調装置、およびその空調装置の据付方法 図8
  • 特開-背面パネル、その背面パネルを備える空調装置、およびその空調装置の据付方法 図9A
  • 特開-背面パネル、その背面パネルを備える空調装置、およびその空調装置の据付方法 図9B
  • 特開-背面パネル、その背面パネルを備える空調装置、およびその空調装置の据付方法 図10
  • 特開-背面パネル、その背面パネルを備える空調装置、およびその空調装置の据付方法 図11
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076612
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】背面パネル、その背面パネルを備える空調装置、およびその空調装置の据付方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0057 20190101AFI20240530BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
F24F1/0057
F24F1/0007 401A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188245
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】松島 潤治
(72)【発明者】
【氏名】大塚 啓右
(72)【発明者】
【氏名】ミシ,アブダラー
(72)【発明者】
【氏名】前田 敏行
(72)【発明者】
【氏名】葛西 勝哉
(72)【発明者】
【氏名】津田 哲志
【テーマコード(参考)】
3L051
【Fターム(参考)】
3L051BG05
3L051BG06
3L051BH02
(57)【要約】
【課題】壁面に装着される2つのユニットの配置のずれを抑制することができる背面パネルを提供する。
【解決手段】背面パネル40は、第1部材50と、第2部材70とを備えている。第1部材50は、壁面に固定され、第1ユニット10が取り付けられる。第2部材70は、壁面に固定され、第2ユニット20が取り付けられる。第2部材70の位置決め部80が、第1部材50に接触して第1部材50に対する第2部材70の位置決めを行う。位置決め部80の存在によって第1部材50と第2部材70との相対位置が安定するので、2つのユニットの配置がずれることがなくなる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユニットを壁面に沿って互いに隣接するように装着させる背面パネルであって、
前記壁面に固定され、一つの前記ユニットが取り付けられる第1部材(50)と、
前記壁面に固定され、他の一つの前記ユニットが取り付けられる第2部材(70)と、
を備え、
前記第2部材(70)は、前記第1部材(50)に接触して前記第1部材(50)に対する前記第2部材(70)の位置決めを行う位置決め部(80)を有する、
背面パネル(40)。
【請求項2】
前記位置決め部(80)は、前記第2部材(70)に着脱可能である、
請求項1に記載の背面パネル(40)。
【請求項3】
前記位置決め部(80)は、前記第2部材(70)と前記壁面との固定位置において前記第2部材(70)から前記第1部材(50)に向かって延びる、
請求項1に記載の背面パネル(40)。
【請求項4】
前記位置決め部(80)と前記第1部材(50)の少なくとも一方に、互いに引っ掛かる連結機構(53a~53d,83a,83b)が設けられている、
請求項1または請求項2に記載の背面パネル(40)。
【請求項5】
前記位置決め部(80)は、締結部品(90)によって前記第1部材(50)に固定される、
請求項1または請求項2に記載の背面パネル(40)。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の背面パネルを用いて前記壁面に装着される空調装置であって、
前記第1部材(50)に取付けられ、対象空間の空気調和を行う第1ユニット(10)と、
前記第2部材(70)に取付けられ、前記対象空間の換気を行う第2ユニット(20)と、
を備える空調装置(1)。
【請求項7】
前記第2ユニット(20)の正面と側面とで構成されるコーナーに、前記第1ユニット(10)と前記第2ユニット(20)との隙間を形成する面取り(C)が設けられている、
請求項6に記載の空調装置(1)。
【請求項8】
対象空間の空気調和を行う第1ユニット(10)と、
前記第1ユニット(10)に隣接し、前記対象空間の換気を行う第2ユニット(20)と、
前記対象空間の壁面に固定され、前記第1ユニット(10)が取り付けられる第1部材(50)と、
前記壁面に固定され、前記第2ユニット(20)が取り付けられる第2部材(70)と、
を備えた空調装置の据付方法であって、
前記第1ユニット(10)および前記第2ユニット(20)の互いに対向する側面(201,202)のいずれか一方の側面である第1側面(201)に、他方の側面である第2側面(202)に向かって所定寸法だけ突出する突出部(210,220)が設けられており、
前記第1ユニット(10)および前記第2ユニット(20)が前記壁面に装着された後、前記突出部(210,220)が前記第2側面(202)に当たるまで前記第2ユニット(20)が前記第1ユニット(10)に近づけられることによって、前記第1ユニット(10)と前記第2ユニット(20)との隙間が前記所定寸法に設定される、
空調装置の据付方法。
【請求項9】
対象空間の空気調和を行う第1ユニット(10)と、
前記第1ユニット(10)に隣接し、前記対象空間の換気を行う第2ユニット(20)と、
前記対象空間の壁面に固定され、前記第1ユニット(10)が取り付けられる第1部材(50)と、
前記壁面に固定され、前記第2ユニット(20)が取り付けられる第2部材(70)と、
を備えた空調装置の据付方法であって、
前記第1ユニット(10)および前記第2ユニット(20)の互いに隣接する側面(201,202)の間に所定寸法のスペーサ(230)が挟み込まれることによって、前記第1ユニット(10)と前記第2ユニット(20)との隙間が前記所定寸法に設定される、
空調装置の据付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
複数のユニットを壁面に装着させるための背面パネル、その背面パネルを備える空調装置、およびその空調装置の据付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、換気機能を有する空調装置が広く普及するようになった。例えば、特許文献1(特許第7135241号)に記載の空気調和機は、空調室内ユニットに隣接するように別体の換気ユニットを配置させている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記空気調和機では、両ユニットそれぞれに対応する据付板を相対的に正確な位置で壁面に装着しなければ、両ユニットの配置がずれてしまう虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の背面パネルは、複数のユニットを壁面に沿って互いに隣接するように装着させる背面パネルであって、第1部材と、第2部材とを備えている。第1部材は、壁面に固定され、一つのユニットが取り付けられる。第2部材は、壁面に固定され、他の一つのユニットが取り付けられる。第2部材は、位置決め部を有する。位置決め部は、第1部材に接触して第1部材に対する第2部材の位置決めを行う。
【0005】
この背面パネルでは、位置決め部の存在によって第1部材と第2部材との相対位置が安定するので、2つのユニットの配置がずれることがなくなる。
【0006】
第2観点の背面パネルは、第1観点の背面パネルであって、位置決め部が、第2部材に着脱可能である。
【0007】
一般に、第1部材とその第1部材に取り付けられるユニットとが一組の梱包となり、第2部材とその第2部材に取り付けられるユニットとが別の一組の梱包となる。例えば、位置決め部と第2部材とが分離不可能な場合、第2部材の最大寸法が当該ユニットの最大寸法よりも大きくなり、当該ユニットおよび第2部材を含む出荷時の梱包寸法が第2部材によって大型化する。
【0008】
これに対して、位置決め部と第2部材との分離が可能であれば、第2部材の最大寸法を使用時より小さくすることができるので、梱包後の最大寸法を小さくすることができる。
【0009】
第3観点の背面パネルは、第1観点の背面パネルであって、位置決め部が、第2部材と壁面との固定位置において第2部材から第1部材に向かって延びる。
【0010】
この背面パネルでは、第1部材の位置を基準として、第1部材と第2部材との距離を位置決め部によって安定して設定することができる。
【0011】
第4観点の背面パネルは、第1観点から第3観点のいずれか1つの背面パネルであって、位置決め部と第1部材の少なくとも一方に、互いに引っ掛かる連結機構が設けられている。
【0012】
この背面パネルでは、位置決め部が連結機構を介して第1部材に掛かるので、位置決め部の仮止めが可能となり、作業性がよい。
【0013】
第5観点の背面パネルは、第1観点から第4観点のいずれか1つの背面パネルであって、位置決め部が、締結部品によって第1部材に固定される。
【0014】
第6観点の空調装置は、第1観点から第5観点のいずれか1つに記載の背面パネルを用いて壁面に装着される空調装置であって、第1ユニットと第2ユニットとを備えている。
【0015】
第1ユニットは、第1部材に取付けられ、対象空間の空気調和を行う。第2ユニットは、第2部材に取付けられ、対象空間の換気を行う。
【0016】
第7観点の空調装置は、第6観点の空調装置であって、第2ユニットの正面と側面とで構成されるコーナーに、第1ユニットと第2ユニットとの隙間を形成する面取りが設けられている。
【0017】
この空調装置では、作業者が第1ユニットの前面パネルを開放するとき、第1ユニットとその第1ユニットに隣接する第2ユニットとの隙間に指を挿入して前面パネルの端部を持つ。そのため、第2ユニットのコーナーの面取りによって形成される空間が、隙間空間を拡大させて、作業を容易にする。
【0018】
また、面取りが両コーナーに設けられている場合は、第2ユニットを第1ユニットの左右どちらにも配置することができ、片側に面取りが設けられている場合は、面取りがある側の側面が第1ユニットに隣接させる側面であることを示す目印となる。
【0019】
第8観点の空調装置の据付方法は、第1ユニットと、第2ユニットと、第1部材と、第2部材とを備えた空調装置の据付方法である。第1ユニットは、対象空間の空気調和を行う。第2ユニットは、第1ユニットに隣接し、対象空間の換気を行う。第1部材は、対象空間の壁面に固定され、第1ユニットが取り付けられる。第2部材は、壁面に固定され、第2ユニットが取り付けられる。第1ユニットおよび第2ユニットの互いに対向する側面のいずれか一方の側面である第1側面に、他方の側面である第2側面に向かって所定寸法だけ突出する突出部が設けられている。第1ユニットおよび第2ユニットが壁面に装着された後、突出部が第2側面に当たるまで第2ユニットが第1ユニットに近づけられることによって、第1ユニットと第2ユニットとの隙間が所定寸法に設定される。
【0020】
この空調装置の据付方法では、突起部の存在によって第1部材と第2部材との相対位置が安定するので、2つのユニットの配置がずれることがなくなる。
【0021】
第9観点の空調装置の据付方法は、第1ユニットと、第2ユニットと、第1部材と、第2部材とを備えた空調装置の据付方法である。第1ユニットは、対象空間の空気調和を行う。第2ユニットは、第1ユニットに隣接し、対象空間の換気を行う。第1部材は、対象空間の壁面に固定され、第1ユニットが取り付けられる。第2部材は、壁面に固定され、第2ユニットが取り付けられる。第1ユニットおよび第2ユニットの互いに隣接する側面の間に所定寸法のスペーサが挟み込まれることによって、第1ユニットと第2ユニットとの隙間が所定寸法に設定される。
【0022】
この空調装置の据付方法では、スペーサの存在によって第1部材と第2部材との相対位置が安定するので、2つのユニットの配置がずれることがなくなる。
【0023】
スペーサは、第1ユニットおよび第2ユニットの壁面への装着が完了した後に取り外される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本開示の一実施形態に係る空調装置の構成図である。
図2】室内の壁面に装着された第1ユニットおよび第2ユニットの外観図である。
図3】第1ユニットおよび第2ユニットを壁面に装着させるための背面パネルの正面図である。
図4】第1部材の正面図である。
図5】第2部材の正面図である。
図6A】第2ユニットを第1ユニットの右隣に配置する場合における、第1部材、第2部材の基部および位置決め部の組合せ位置を示す説明図である。
図6B】壁面に固定された第1部材の正面図である。
図6C】第2部材の位置決め部が固定された第1部材の正面図である。
図6D】第2部材の位置決め部に基部が連結される状態を示す第1部材および第2部材の正面図である。
図7】第1変形例に係る背面パネルの正面図である。
図8】第2変形例に係る第1ユニットおよび第2ユニットの外観図である。
図9A】第2変形例に係る第2部材において、位置決め部に基部を装着する直前の位置決め部および基部の正面図である。
図9B】第2変形例に係る第2部材において、位置決め部に基部を装着した後の位置決め部および基部の正面図である。
図10】第3変形例に係る第1ユニットおよび第2ユニットの外観図である。
図11】第4変形例に係る第1ユニットおよび第2ユニットの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(1)空調装置1の構成
図1は、本開示一の実施形態に係る空調装置1の構成図である。図1において、空調装置1は、室内の壁面に据え付けられる第1ユニット10および第2ユニット20と、室外に据え付けられる第3ユニット30とを備えている。
【0026】
(1-1)第1ユニット10
第1ユニット10は、室内の空気調和を行う。第1ユニット10は、室内熱交換器11と、室内ファン13を有している。室内熱交換器11は、冷房運転時には蒸発器として機能し、暖房運転時には凝縮器として機能する。
【0027】
室内ファン13は、室内熱交換器11の付近に設置されている。室内ファン13は、ファンモータ13aによって駆動され、室内熱交換器11に室内空気を送る。室内熱交換器11の内部を通流する冷媒は、室内ファン13から送られてくる室内空気との間で熱交換を行う。
【0028】
(1-2)第2ユニット20
第2ユニット20は、室内の換気を行う。第2ユニット20は、図1に示すように、換気ファン21を有している。換気ファン21は、ファンモータ21aによって駆動され、少なくとも室内の空気を室外へ排出する機能を有している。
【0029】
図2は、室内の壁面に装着された第1ユニット10および第2ユニット20の外観図である。図2において、第2ユニット20は、第1ユニット10と隣接するように、第1ユニット10の側面に対して所定の隙間をあけて壁面に装着される。
【0030】
第2ユニット20には、給排気ホース(図示せず)が接続されている。給排気ホースは、第1ユニット10に接続される冷媒配管と共に、室内の壁に設けられた孔を介して室外に延びている。
【0031】
第2ユニット20は、換気ファン21の他に、図示しないフィルタを有している。
【0032】
(1-3)第3ユニット30
第3ユニットは、図1に示すように、冷媒配管を介して第1ユニット10に接続される。第3ユニットは、圧縮機31と、四路切換弁32と、室外熱交換器33と、室外膨張弁34と、室外ファン36とを備えている。圧縮機31は、低温低圧のガス冷媒を圧縮し、高温高圧のガス冷媒として吐出する。
【0033】
四路切換弁32は、空調装置1の運転モードに応じて、冷媒の流路を切り換える弁である。四路切換弁32の切り換えにより、冷房運転時には、実線矢印で示すように、圧縮機31、四路切換弁32、室外熱交換器33、室外膨張弁34、及び室内熱交換器11の順に冷媒が循環する冷凍サイクルとなる。
【0034】
また、四路切換弁32の切り換えにより、暖房運転時には、破線矢印で示すように、圧縮機31、四路切換弁32、室内熱交換器11、室外膨張弁34、及び室外熱交換器33の順に冷媒が循環する冷凍サイクルとなる。
【0035】
室外熱交換器33は、四路切換弁32の切り替えにより冷房運転時には凝縮器として機能し、暖房運転時には蒸発器として機能する。
【0036】
室外ファン36は、室外熱交換器33の付近に設置されている。室外ファン36は、室外ファンモータ36aの駆動によって、室外熱交換器33に外気を送る。室外熱交換器33を通流する冷媒は、室外ファン36から送られてくる外気との間で熱交換を行う。
【0037】
室外膨張弁34は、冷房運転時に室外熱交換器33で凝縮した冷媒を減圧する機能を有している。また、室外膨張弁34は、暖房運転時に室内熱交換器11で凝縮した冷媒を減圧する機能を有している。
【0038】
(2)第1ユニット10および第2ユニット20の据付
図3は、第1ユニット10および第2ユニット20を壁面に装着させるための背面パネル40の正面図である。図3において、背面パネル40は、第1部材50と第2部材70とを備えている。第1部材50に第1ユニット10が取付けられ、第2部材70には第2ユニット20が取り付けられる。
【0039】
図3には、第1ユニット10および第2ユニット20に対する第1部材50および第2部材70の位置が把握できるように、第1ユニット10および第2ユニット20の輪郭を2点鎖線で表示している。
【0040】
図4は、第1部材50の正面図である。図3および図4において、第1部材50は、第1ユニット10を壁面に装着させるための板部材である。
【0041】
また、図5は、第2部材70の正面図である。図3および図5において、第2部材70は、第2ユニット20を壁面に装着させるための板部材である。
【0042】
本実施形態では、第1部材50および第2部材70ともに金属製であるが、樹脂製であってもよい。
【0043】
(2-1)第1部材50
図4に示すように、第1部材50は、複数の第1貫通孔51a~51fと、第2貫通孔52と、4つの爪53a~53dを有している。第1貫通孔51a~51fは、締結部品であるビス90のネジ部が貫通する孔である。第2貫通孔52は、ビス90のネジ部が貫通する孔とビス90の頭部が通過可能な孔とが上下に結合した形状の孔である。
【0044】
締結部品はビス90に限定されるものではなく、ボルト&ナット、または止め輪であってもよい。
【0045】
4つの爪53a~53dは、位置決め部80の切り欠き83a,83bが掛けられるように、切り起しによって成形されている。第1部材50の鉛直姿勢において、爪53aおよび爪53cは、第1貫通孔51a,51bと概ね同じ高さ位置で、且つ、爪53aと爪53cとは第2貫通孔52の中心を通る鉛直線L1に対して線対称となる位置に設けられている。
【0046】
また、第1部材50の鉛直姿勢において、爪53bおよび爪53dとは、第1貫通孔51c,51fと概ね同じ高さ位置で、且つ、爪53bと爪53dとは鉛直線L1に対して線対称となる位置に設けられている。
【0047】
(2-2)第2部材70
図5に示すように、第2部材70は、基部71と、少なくとも1つの位置決め部80とを有している。本実施形態では、2つの位置決め部80を有している。基部71と位置決め部80とは、出荷時は分離された状態で梱包されている。位置決め部80は、空調装置1の据付の際、基部71に連結される。但し、基部71と位置決め部80とは、予め、基部71に位置決め部80が連結された状態で梱包されていてもよい。
【0048】
(2-2-1)基部71
基部71は、2つの貫通孔71a,71bと、4つの爪73a~73dを有している。2つの貫通孔71a,71bは、第2部材70の長手方向に所定の間隔をあけて設けられている。第2部材70の長手方向が鉛直方向となる鉛直姿勢において、2つの貫通孔71a,71bの中心を通る直線L2は、第2部材70の幅方向の寸法を2等分する。
【0049】
基部71の4つの爪73a~73dは、位置決め部80の切り欠き83b,83aが掛けられるように、切り起しによって成形されている。第2部材70の鉛直姿勢において、爪73aと爪73cとは、貫通孔71aと概ね同じ高さ位置で、且つ、爪73aと爪73cとは直線L2に対して線対称となる位置に設けられている。
【0050】
また、第2部材70の鉛直姿勢において、爪73bと爪73dとは、貫通孔71bと概ね同じ高さ位置で、且つ、爪73bと爪73dとは直線L2に対して線対称となる位置に設けられている。
【0051】
(2-2-2)位置決め部80
位置決め部80は、第1部材50に対する基部71の位置を決めるための部材である。図5に示すように、位置決め部80は、短冊状の板である。本実施形態では、2つの位置決め部80によって、第1部材50に対する基部71の位置が設定される。
【0052】
位置決め部80は、2つの貫通孔81a,81bと、2つの切り欠き83a,83bを有している。2つの貫通孔81a,81bは、位置決め部80の長手方向に所定間隔をあけて配置されている。
【0053】
位置決め部80の長手方向が水平方向となる姿勢において、2つの貫通孔81a,81bの中心を通る直線L3は、位置決め部80の幅方向の寸法を2等分する。また、2つの貫通孔81a,81bは、位置決め部80の長手方向の寸法を2等分する直線L4に対して、線対称である。2つの切り欠き83a,83bは、直線L3と直線4との交点Gに対して、点対称となる位置に設けられている。したがって、位置決め部80は、裏表を気にすることなく使用することができる。
【0054】
(3)第1部材50および第2部材70の壁面への固定方法
作業者は、先行作業として、第1ユニット10の梱包を解いて第1部材50を取出し、第2ユニット20の梱包を解いて第2部材70の基部71と位置決め部80を取り出す。
【0055】
図6Aは、第2ユニット20を第1ユニット10の右隣に配置する場合における、第1部材50、第2部材70の基部71および位置決め部80の組合せ位置を示す説明図である。図6Aにおいて、大まかには、最初に第1部材50を壁面に取り付け、次に第2部材70の位置決め部80を第1部材50に取り付け、最後に第2部材70の基部71を位置決め部80に取り付ける、という流れである。以下、詳細を述べる。
【0056】
(手順S1)
図6Bは、壁面に固定された第1部材50の正面図である。図6Bにおいて、作業者は、第1部材50を壁面の適切な位置に固定するために、第2貫通孔52と対応させるべき位置に予めビス90のみを壁に仮固定する。
【0057】
作業者は、仮固定したビス90に第1部材50を、第2貫通孔52を介して引っ掛ける。第2貫通孔52には、ビス90の頭部が貫通する孔があるので、そこに仮固定したビス90の頭部を通した後、第1部材50を下方へ下げると、仮固定したビス90のネジ部によって第1部材50が壁に掛かる。
【0058】
作業者は、第1貫通孔51b,51fを除く第1貫通孔を介してビス90で第1部材50を壁面に仮固定する。この段階で、ビス90は仮固定である。
【0059】
(手順S2)
図6Cは、第2部材70の位置決め部80が固定された第1部材50の正面図である。図6Aおよび図6Cにおいて、作業者は、第1部材50の爪53aに1つの位置決め部80の切り欠き83aを引っ掛け、さらに第1部材50の第1貫通孔51bと位置決め部80の貫通孔81aとが重なるように位置を合わせて、ビス90によって第1部材50と位置決め部80とを締結する。
【0060】
続いて、作業者は、第1部材50の爪53bにもう1つの位置決め部80の切り欠き83aを引っ掛け、さらに第1部材50の第1貫通孔51fと位置決め部80の貫通孔81aとが重なるように位置を合わせて、ビス90によって第1部材50と位置決め部80とを締結する。この段階で、ビス90は仮固定である。
【0061】
(手順S3)
図6Dは、第2部材70の位置決め部80に基部71が連結される状態を示す第1部材50および第2部材70の正面図である。図6Aおよび図6Dにおいて、作業者は、基部71の爪73aが1つの位置決め部80の切り欠き83bに嵌まるように、且つ爪73bがもう1つの位置決め部80の切り欠き83bに嵌まるように基部71を位置決め部80に装着する。
【0062】
上記のように装着することによって、基部71の貫通孔71aと1つの位置決め部80の貫通孔81bとが重なり、基部71の貫通孔71bともう1つの位置決め部80の貫通孔81bとが重なるので、基部71と位置決め部80とをビス90によって締結することが容易になる。この段階で、ビス90は仮固定である。
【0063】
(手順S4)
作業者は、第1ユニット10を第1部材50に取り付け、第2ユニット20を第2部材70に取り付ける。図4に示すように、第1部材50の上端には複数の突起54a~54cが設けられている。第1ユニット10の背面には、突起54a~54cが嵌まる複数の溝(図示せず)が設けられているので、当該溝に突起54a~54cが嵌まるように第1ユニット10が取り付けられる。
【0064】
また、図5に示すように、第2部材70の基部71の上端には突起74が設けられている。第2ユニット20の背面には、突起74が嵌まる溝(図示せず)が設けられているので、当該溝に突起74が嵌まるように第2ユニット20が取り付けられる。
【0065】
作業者は、両ユニット間の隙間に問題がないことを確認した後、仮固定のビス90を完全に締結するために、一旦、第1ユニット10および第2ユニット20を第1部材50および第2部材70から取り外す。
【0066】
作業者は、微調整が必要と判断した場合は、このときに調整する。作業者は、仮固定のビス90を完全に締結した後、再び、第1ユニット10および第2ユニット20を第1部材50および第2部材70に取り付ける。
【0067】
上記のように、第2部材70は、位置決め部80によって第1部材50に対する位置が決まるので、隙間などを測定しながら位置決めする必要がなく、作業性がよい。
【0068】
(4)特徴
(4-1)
背面パネル40は、第1部材50と、第2部材70とを備えている。第1部材50は、壁面に固定され、第1ユニット10が取り付けられる。第2部材70は、壁面に固定され、第2ユニット20が取り付けられる。第2部材70の位置決め部80が、第1部材50に接触して第1部材50に対する第2部材70の位置決めを行う。位置決め部80の存在によって第1部材50と第2部材70との相対位置が安定するので、2つのユニットの配置がずれることがなくなる。
【0069】
(4-2)
第2部材70は、基部71と位置決め部80とを有している。位置決め部80は、基部71に対して着脱可能である。第2部材70の基部71と位置決め部80との分離が可能であれば、第2部材の最大寸法を使用時より小さくすることができるので、出荷時の梱包の最大寸法を小さくすることができる。
【0070】
(4-3)
第2部材70の位置決め部80は、第2部材70の基部71と壁面との固定位置において基部71から第1部材50に向かって延びる。第1部材50の位置を基準として、第1部材50と第2部材70の基部71との距離を、第2部材70の位置決め部80によって安定して設定することができる。
【0071】
(4-4)
第2部材70の位置決め部80と第1部材50の少なくとも一方に、互いに引っ掛かる連結機構が設けられている。本実施形態では、連結機構は、位置決め部80の切り欠き83a,83bと、第1部材50の爪53a~53dであり、位置決め部80が切り欠き83a,83bを介して第1部材50の爪53a~53dに掛かるので、位置決め部80の仮止めが可能となり、作業性がよい。
【0072】
連結機構の形態としては、上記の構成に限定されるものではなく、第1部材50に「切り欠き」が設けられ、位置決め部80に「爪」が設けられた形態でもよい。
【0073】
(4-5)
位置決め部80は、ビス90によって第1部材50に固定される。
【0074】
(4-6)
空調装置1は、第1ユニット10と、第2ユニット20と、背面パネル40とを備えている。第1ユニット10は、第1部材50に取付けられ、対象空間の空気調和を行う。第2ユニット20は、第2部材70に取付けられ、対象空間の換気を行う。
【0075】
(5)変形例
(5-1)第1変形例
上記実施形態では、第2部材70において、基部71と位置決め部80とが壁面に固定されるまでは分離されていることを前提に説明しているが、これに限定されるものではない。
【0076】
図7は、第1変形例に係る背面パネル40の正面図である。図7において、第2部材70は、基部71と位置決め部80とが一体成形されている部材である。それゆえ、第1部材50に位置決め部80を固定した時点で、第1部材50に対する基部71の位置が決まるので、第1変形例の方が上記実施形態よりも作業性がよい。
【0077】
但し、基部71と位置決め部80とが一体成形されており、第2部材70が第2ユニット20の最大寸法よりも大型化すると、第2ユニット20の出荷時の梱包寸法も大型化する。それゆえ、第2ユニット20の最大寸法が第2部材70よりも大きい場合に、第1変形例が有効である。
【0078】
(5-2)第2変形例
上記実施形態では、第2部材70が位置決め部80によって第1部材50に対する位置が決まり、その結果、第1部材50および第2部材70に取り付けられた第1ユニット10および第2ユニット20間の隙間が設定されることを説明した。ここでは、第2変形例として、両ユニット間の隙間精度をさらに向上させる方法について説明する。
【0079】
図8は、第2変形例に係る第1ユニット10および第2ユニット20の外観図である。図8において、図2に記載の第1ユニット10および第2ユニット20との違いは、第2ユニット20のうちの第1ユニット10の側面202と対向する側面201に、側面202に向かって突出する突出部210が設けられている点である。
【0080】
また、図8では、突出部210が見えるように、第1ユニット10と第2ユニット20との隙間を故意に広く記載しているが、第1部材50および第2部材70に取り付けられた第1ユニット10および第2ユニット20間の実際の隙間は、突出部210が第1ユニット10の側面202に当たるまで近接している。
【0081】
それゆえ、作業者は、第2ユニット20を壁面に仮固定された第2部材70に取付けた後、突出部210が第1ユニット10の側面202に当たるまで第2ユニット20を第1ユニット10側へスライドさせる。
【0082】
スライドさせる距離は1mm程度である。そのため、図3図6Dにおける基部71の貫通孔71a,71bおよび位置決め部80の貫通孔81bは長穴が望ましい。さらに、基部71の爪73a,73bと位置決め部80の切り欠き83bとの隙間は広く設定されるのが望ましい。
【0083】
(5-2-1)第2変形例における基部71および位置決め部80
図9Aは、第2変形例に係る第2部材70において、位置決め部80に基部71を装着する直前の位置決め部80および基部71の正面図である。また、図9Bは、第2変形例に係る第2部材70において、位置決め部80に基部71を装着した後の位置決め部80および基部71の正面図である。
【0084】
図9Aおよび図9Bにおいて、基部71の貫通孔71x,71yおよび位置決め部80の貫通孔81x,81yは、丸穴から長穴へ変更されている。さらに、基部71の爪73x,73yと位置決め部80の切り欠き83x,83yとの隙間が広くなるように、切り欠き83x,83yの幅は図3図6Dにおけるそれらよりも大きくなるように変更されている。
【0085】
(5-2-2)据付作業手順
位置決め部80に基部71を取り付けてから、基部71に第2ユニット20を取り付けるまでの手順は以下の通りである。
【0086】
(手順S11)
作業者は、第2部材70を壁面に仮固定する際、ビス90による締め付けは、基部71がスライドできる程度にとどめておき、第2ユニット20の背面の溝に基部71の突起74が嵌まるように第2ユニット20を仮付けする。
【0087】
(手順S12)
作業者は、第2ユニット20の側面201の突出部210が第1ユニット10の側面202に当たるまで、第2ユニット20を押して移動させる。このとき、基部71も第2ユニット20と共に移動する。
【0088】
(手順S13)
作業者は、仮固定のビス90を完全に締結するために、一旦、第2ユニット20を第2部材70から取り外す。
【0089】
(手順S14)
作業者は、仮固定のビス90を完全に締結した後、再び、第2ユニット20を第2部材70に取り付ける。
【0090】
上記のように、第1ユニット10と第2ユニット20との隙間は、突出部210の突出量で確定される。したがって、作業者によるバラツキがなく、2つのユニットの配置がずれることがなくなる。
【0091】
(5-3)第3変形例
上記第2変形例における突出部210は、第1ユニット10と第2ユニット20との隙間を確保するための突起物である。また、第1ユニット10と第2ユニット20との隙間は、ユーザーが第1ユニット10の前面パネル151を開放する際に、前面パネル151の両端下方に位置する指掛け部151aに指を掛けるための空間を提供している。
【0092】
一方、隙間は小さい方が見栄えが良いので、指掛け部151aに指を掛けるための空間が確保され、且つ可能な限り第1ユニット10と第2ユニット20とを近接させる、という課題がある。第3変形例は、上記課題を解決するものである。
【0093】
図10は、第3変形例に係る第1ユニット10および第2ユニット20の外観図である。図10において、第2ユニット20のうちの第1ユニット10の側面202と対向する側面201に、側面202に向かって突出する「突出部」が設けられている点では、第2変形例と同じであり、第2ユニット20の取り付けに使用される第2部材70も第2変形例と同じものを使用し、第2変形例と同じ手順で第2ユニット20が壁面に取付けられる。
【0094】
しかしながら、第3変形例における突出部220は、第2変形例における突出部210よりも、突出量および体積において小型化している点で相違している。
【0095】
さらに、第3変形例における第2ユニット20は、側面201と前面パネル251とで構成される角に所定角度の面取りCが設けられている。
【0096】
第3変形例では、突出部220の突出量が第2変形例における突出部210の突出量よりも小さくなったことにより、第1ユニット10と第2ユニット20との隙間は小さくなっている。
【0097】
但し、第2ユニット20に面取りCが設けられたことによって、指掛け部151aに指を掛けるための空間が確保されている。
【0098】
したがって、指掛け部151aに指を掛けるための空間は確保され、且つ可能な限り第1ユニット10と第2ユニット20とを近接させる、という課題が解決される。
【0099】
また、面取りCが両コーナーに設けられることも可能であり、かかる場合、第2ユニット20を第1ユニット10の左右どちらにも配置することができる。また、片側だけに面取りCが設けられている場合は、面取りCがある側の側面が第1ユニット10に隣接させる側面であることを示す目印となる。
【0100】
(5-4)第4変形例
図11は、第4変形例に係る第1ユニット10および第2ユニット20の外観図である。図11において、図8に記載の第2変形例および図10に記載の第3変形例とは、第2ユニット20の側面201の「突出部」を取り除いた点で相違している。
【0101】
但し、第2ユニット20の取り付けに使用される第2部材70は、第2変形例と同じものが使用される。
【0102】
第4変形例では、取り除いた「突出部」に替えて、スペーサ230を介して、第1ユニット10および第2ユニット20間の隙間を設定する。
【0103】
位置決め部80に基部71を取り付けてから、基部71に第2ユニット20を据え付けるまでの手順は以下の通りである。
【0104】
(手順S21)
作業者は、第2部材70を壁面に仮固定する際、ビス90による締め付けは、基部71がスライドできる程度にとどめておき、第2ユニット20の背面の溝に基部71の突起74が嵌まるように第2ユニット20を仮付けする。
【0105】
(手順S22)
作業者は、第2ユニット20の側面201にスペーサ230を接触させ、スペーサ230が第1ユニット10の側面202と第2ユニットの側面201に挟まれて保持されるまで、第2ユニット20を押して移動させる。このとき、基部71も第2ユニット20と共に移動する。
【0106】
(手順S23)
作業者は、仮固定のビス90を完全に締結するために、一旦、第2ユニット20を第2部材70から取り外す。このとき、スペーサ230も取り外す。
【0107】
(手順S24)
作業者は、仮固定のビス90を完全に締結した後、再び、第2ユニット20を第2部材70に取り付ける。
【0108】
上記のように、第1ユニット10と第2ユニット20との隙間は、スペーサ230で確定される。したがって、作業者によるバラツキがなく、2つのユニットの配置がずれることがなくなる。
【0109】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0110】
1 空調装置
10 第1ユニット
20 第2ユニット
40 背面パネル
50 第1部材
53a~53d 爪(連結機構)
70 第2部材
80 位置決め部
83a,83b 切り欠き(連結機構)
90 ビス(締結部品)
C 面取り
201 第1側面
202 第2側面
210 突出部
220 突出部
230 スペーサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0111】
【特許文献1】特許第7135241号
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11