(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076626
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】設定方法、自動走行方法、設定システム、及び設定プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20240101AFI20240530BHJP
A01B 69/00 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
G06Q50/02
A01B69/00 303Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188283
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(72)【発明者】
【氏名】西井 康人
(72)【発明者】
【氏名】村山 昌章
(72)【発明者】
【氏名】石川 彬
【テーマコード(参考)】
2B043
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043BA02
2B043BA09
2B043BB01
2B043DA20
2B043DC03
2B043EA11
2B043EA18
2B043ED01
2B043ED16
5L049CC01
5L050CC01
(57)【要約】
【課題】作業領域における複数の作業車両による作業の作業効率を向上させることが可能な設定方法、自動走行方法、設定システム、及び設定プログラムを提供すること。
【解決手段】設定処理部211は、圃場Fのうち作業範囲A1を自動走行する作業車両10aに対応する第1作業を登録し、圃場Fのうち作業範囲A2を自動走行する作業車両10bに対応する第2作業を登録する。生成処理部212は、前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれが登録された場合に、前記第1作業の作業情報に基づいて、作業車両10aを自動走行させる目標経路R1を作業範囲A1に生成し、前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれの作業情報に基づいて、作業車両10bを自動走行させる目標経路R2を作業範囲A2に生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業領域のうち第1作業範囲を自動走行する第1作業車両に対応する第1作業を登録することと、
前記作業領域のうち第2作業範囲を自動走行する第2作業車両に対応する第2作業を登録することと、
前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれが登録された場合に、前記第1作業の作業情報に基づいて、前記第1作業車両を自動走行させる第1目標経路を前記第1作業範囲に生成し、前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれの作業情報に基づいて、前記第2作業車両を自動走行させる第2目標経路を前記第2作業範囲に生成することと、
を実行する設定方法。
【請求項2】
前記第1作業に利用される前記第1作業車両及び第1作業機の情報と、前記第2作業に利用される前記第2作業車両及び第2作業機の情報とを含む作業計画を登録し、
前記作業計画が登録された場合に、前記第1目標経路及び前記第2目標経路を生成する、
請求項1に記載の設定方法。
【請求項3】
前記作業計画を登録する登録画面において、作業ごとに、作業内容、作業車両の識別情報、作業機の識別情報、及び作業範囲を一覧表示させる、
請求項2に記載の設定方法。
【請求項4】
前記第1目標経路は、前記作業領域全体に設定される経路であり、前記第2目標経路は、前記作業領域の一部の領域に設定される経路である、
請求項1に記載の設定方法。
【請求項5】
前記作業領域のうちユーザーにより設定された設定範囲に前記第2目標経路を生成する、
請求項4に記載の設定方法。
【請求項6】
前記設定範囲の設定操作をユーザーから受け付ける受付画面において、前記作業領域のうち作業済の領域と、前記作業領域のうち未作業の領域とを識別可能に表示させる、
請求項5に記載の設定方法。
【請求項7】
前記受付画面において、前記作業領域のうち作業済の領域を選択できないように表示させるとともに、前記作業領域のうち未作業の領域を選択できるように表示させる、
請求項6に記載の設定方法。
【請求項8】
前記作業領域には複数の作業ブロックが含まれており、
前記作業領域のうちユーザーにより選択された前記第1作業範囲に対して前記第1目標経路を生成し、
前記第1作業範囲において隣り合う2つの前記作業ブロックの間の領域を含む前記第2作業範囲に対して前記第2目標経路を生成する、
請求項1に記載の設定方法。
【請求項9】
前記第1目標経路及び前記第2目標経路を生成する処理において、前記第1目標経路及び前記第2目標経路の少なくともいずれか一方が、作業車両が自動走行した場合に車体の一部が前記作業領域外に飛び出すと判定された場合に、経路生成画面に警告情報を表示させる、
請求項1~8のいずれかに記載の設定方法。
【請求項10】
前記作業領域において、請求項1~8のいずれかに記載の設定方法により設定される前記第1目標経路に従って前記第1作業車両を自動走行させることと、
前記第1作業車両の自動走行を開始させた後に、前記作業領域において、請求項1~8のいずれかに記載の設定方法により設定される前記第2目標経路に従って前記第2作業車両を自動走行させることと、
を実行する自動走行方法。
【請求項11】
作業領域のうち第1作業範囲を自動走行する第1作業車両に対応する第1作業を登録し、前記作業領域のうち第2作業範囲を自動走行する第2作業車両に対応する第2作業を登録する設定処理部と、
前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれが登録された場合に、前記第1作業の作業情報に基づいて、前記第1作業車両を自動走行させる第1目標経路を前記第1作業範囲に生成し、前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれの作業情報に基づいて、前記第2作業車両を自動走行させる第2目標経路を前記第2作業範囲に生成する生成処理部と、
を備える設定システム。
【請求項12】
作業領域のうち第1作業範囲を自動走行する第1作業車両に対応する第1作業を登録することと、
前記作業領域のうち第2作業範囲を自動走行する第2作業車両に対応する第2作業を登録することと、
前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれが登録された場合に、前記第1作業の作業情報に基づいて、前記第1作業車両を自動走行させる第1目標経路を前記第1作業範囲に生成し、前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれの作業情報に基づいて、前記第2作業車両を自動走行させる第2目標経路を前記第2作業範囲に生成することと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるための設定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両を自動走行させる目標経路を設定する設定方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
圃場の作業効率を高めるために、一の圃場において複数の作業車両のそれぞれに自動走行させながら作業を行わせるシステムが知られている。例えば、親作業車両の情報と子作業車両の情報とに基づいて子作業車両の走行を制御するシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、従来の技術では、例えば2台の作業車両が同じ圃場において異なる作業を行う場合には、作業車両ごとに自動走行用の目標経路を生成している。例えば、第1作業車両が圃場において第1作業を行い、その後に第2作業車両が当該圃場において第2作業を行う場合、それぞれの作業車両について個別に目標経路を生成している。このため、例えば各目標経路の位置関係が適切でない場合、第1作業及び第2作業の連携が適切に行われず作業効率が低下する問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、作業領域における複数の作業車両による作業の作業効率を向上させることが可能な設定方法、自動走行方法、設定システム、及び設定プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る設定方法は、作業領域のうち第1作業範囲を自動走行する第1作業車両に対応する第1作業を登録することと、前記作業領域のうち第2作業範囲を自動走行する第2作業車両に対応する第2作業を登録することと、前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれが登録された場合に、前記第1作業の作業情報に基づいて、前記第1作業車両を自動走行させる第1目標経路を前記第1作業範囲に生成し、前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれの作業情報に基づいて、前記第2作業車両を自動走行させる第2目標経路を前記第2作業範囲に生成することと、を実行する。
【0007】
本発明に係る自動走行方法は、前記作業領域において、前記設定方法により設定される前記第1目標経路に従って前記第1作業車両を自動走行させることと、前記第1作業車両の自動走行を開始させた後に、前記作業領域において、前記設定方法により設定される前記第2目標経路に従って前記第2作業車両を自動走行させることと、を実行する方法である。
【0008】
本発明に係る設定システムは、設定処理部と生成処理部とを備える。前記設定処理部は、作業領域のうち第1作業範囲を自動走行する第1作業車両に対応する第1作業を登録し、前記作業領域のうち第2作業範囲を自動走行する第2作業車両に対応する第2作業を登録する。前記生成処理部は、前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれが登録された場合に、前記第1作業の作業情報に基づいて、前記第1作業車両を自動走行させる第1目標経路を前記第1作業範囲に生成し、前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれの作業情報に基づいて、前記第2作業車両を自動走行させる第2目標経路を前記第2作業範囲に生成する。
【0009】
本発明に係る設定プログラムは、作業領域のうち第1作業範囲を自動走行する第1作業車両に対応する第1作業を登録することと、前記作業領域のうち第2作業範囲を自動走行する第2作業車両に対応する第2作業を登録することと、前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれが登録された場合に、前記第1作業の作業情報に基づいて、前記第1作業車両を自動走行させる第1目標経路を前記第1作業範囲に生成し、前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれの作業情報に基づいて、前記第2作業車両を自動走行させる第2目標経路を前記第2作業範囲に生成することと、を一又は複数のプロセッサーに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業領域における複数の作業車両による作業の作業効率を向上させることが可能な設定方法、自動走行方法、設定システム、及び設定プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る自動走行システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る作業車両の一例を示す外観図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る一の作業車両の目標経路の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る他の作業車両の目標経路の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る操作端末に表示されるメニュー画面の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る操作端末に表示される登録画面の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る操作端末に表示される作業計画一覧の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る操作端末に表示される経路作成画面を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る操作端末に表示される登録確認画面を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係る一の作業車両の目標経路の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態に係る他の作業車両の目標経路の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態に係る他の作業車両の目標経路の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態に係る操作端末に表示される作業ブロック設定画面を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施形態に係る操作端末に表示される作型選択画面を示す図である。
【
図15A】
図15Aは、本発明の実施形態に係る操作端末に表示される経路作成結果画面を示す図である。
【
図15B】
図15Bは、本発明の実施形態に係る操作端末に表示される経路作成結果画面を示す図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施形態に係る自動走行システムによって実行される設定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図17A】
図17Aは、本発明の実施形態に係る操作端末に表示される経路作成結果画面を示す図である。
【
図17B】
図17Bは、本発明の実施形態に係る操作端末に表示される経路作成結果画面を示す図である。
【
図18】
図18は、本発明の他の実施形態に係る操作端末に表示される走行画面を示す図である。
【
図19】
図19は、本発明の他の実施形態に係る操作端末に表示される登録確認画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る自動走行システム1は、作業車両10と操作端末20とを含んでいる。また、自動走行システム1には、複数の作業車両10が含まれる。各作業車両10と操作端末20とは、通信網N1を介して通信可能である。例えば、各作業車両10と操作端末20とは、携帯電話回線網、パケット回線網、又は無線LANを介して通信可能である。なお、本実施形態では、操作端末20は、複数の作業車両10に関する作業情報を設定及び管理する機器であり、例えば管理装置、サーバー装置、クラウドサーバーなどで構成されてもよい。また、他の実施形態として、操作端末20は、作業車両10ごとに配置され、1台の操作端末20が1台の作業車両10を操作可能に構成されてもよい。
【0014】
本実施形態では、作業車両10がトラクターである場合を例に挙げて説明する。なお、他の実施形態として、作業車両10は、田植機、コンバイン、建設機械、又は除雪車などであってもよい。作業車両10は、作業領域である圃場内を予め設定された目標経路に従って自動走行(自律走行)可能な構成を備えている。また、作業車両10は、圃場内において自動走行しながら所定の作業を行うことが可能である。例えば、各作業車両10は、測位装置16により算出される作業車両10の現在位置の位置情報に基づいて、圃場内において予め設定された目標経路に従って自動走行しながら所定の作業を行う。
【0015】
例えば、作業車両10aは、
図3に示す圃場Fにおいて、予め設定された目標経路R1に従って自動走行しながら作業を行う。作業車両10aには作業機14(例えば耕起機)が装着されている。目標経路R1には、複数列に配列された直線状の作業経路と、作業経路を接続する旋回経路(不図示)とが含まれる。なお、複数の作業経路は、少なくとも一部が曲線状の経路であってもよい。作業車両10aは、目標経路R1に従って、圃場Fにおいて一方側(
図3では左側)から他方側(
図3では右側)へ向かって往復走行しながら耕起作業を行う。
図3において、符号A1は、作業車両10aの作業範囲(耕起範囲)を示している。
【0016】
また例えば、作業車両10bは、
図4に示す圃場Fにおいて、予め設定された目標経路R2に従って自動走行しながら作業を行う。例えば、作業車両10bには作業機14(耕耘機)が装着されている。作業車両10bは、作業車両10aが耕起した領域(作業範囲A1)を耕耘する。なお、
図4に示す例では、作業車両10bの作業範囲A2は、防除作業において作業車両10が走行する位置(防除路(ブロック間経路))により複数の作業ブロックB1~B5に区画されている。すなわち、作業ブロックB1~B5は、防除路により区画された領域である。
【0017】
目標経路R2には、複数列に配列された直線状の作業経路と、作業経路を接続する旋回経路(不図示)とが含まれる。なお、複数の作業経路は、少なくとも一部が曲線状の経路であってもよい。作業車両10bは、目標経路R2に従って、圃場Fにおいて一方側(
図4では左側)から他方側(
図4では右側)へ向かって往復走行しながら耕耘作業を行う。
図4において、符号A2は、作業車両10bの作業範囲(耕耘範囲)を示している。
【0018】
このように、作業車両10a及び作業車両10bのそれぞれは同一の圃場Fにおいて連携して作業を行う。例えば、作業車両10aは先行して作業(耕起作業)を行い、作業車両10bは作業車両10aの作業後に作業(耕耘作業)を行う。各作業車両10の作業内容は限定されない。例えば、作業車両10aが先行して耕耘作業を行い、作業車両10bが作業車両10aの作業後に畝立て作業を行ってもよい。また例えば、作業車両10aが先行して畝立て作業及び定植作業を行い、作業車両10bが作業車両10aの作業後に除草作業及び防除作業を行ってもよい。
【0019】
ここで、従来の技術では、例えば2台の作業車両が同じ圃場において異なる作業を行う場合に、作業車両ごとに自動走行用の目標経路を生成している。例えば、作業車両10aが圃場Fにおいて第1作業を行い、その後に作業車両10bが圃場Fにおいて第2作業を行う場合に、それぞれの作業車両について目標経路R1、R2を生成している。このため、例えば、目標経路R1、R2の位置関係が適切でない場合、第1作業及び第2作業の連携が適切に行われず作業効率が低下する問題が生じる。例えば、畝立て作業の目標経路R1に対応する畝立て位置と、畝立て作業後の定植作業の目標経路R2に対応する定植位置とが一致しない場合、畝立て作業及び定植作業を連携して適切に行うことが困難になり作業効率が低下する。これに対して、本実施形態に係る自動走行システム1では、以下に示すように、圃場Fにおける複数の作業車両10による作業の作業効率を向上させることが可能である。
【0020】
なお、自動走行システム1は、3台以上の作業車両10が含まれてもよい。例えば、作業車両10cは、畝立て機を備え、作業車両10bが耕耘した領域に畝を形成する作業(畝立て作業)を行う。また例えば、作業車両10dは、定植機を備え、作業車両10cが畝立てした領域に植物を定植する作業(定植作業)を行う。また例えば、作業車両10eは、防除機を備え、作業車両10dが定植した植物に農薬を散布するなどの防除作業を行う。その他、自動走行システム1には、反転、除草、収穫の各作業を行う複数の作業車両10が含まれてもよい。
【0021】
[作業車両10]
図1及び
図2に示すように、作業車両10は、車両制御装置11、記憶部12、走行装置13、作業機14、通信部15、測位装置16などを備える。車両制御装置11は、記憶部12、走行装置13、作業機14、測位装置16などに電気的に接続されている。なお、車両制御装置11及び測位装置16は、無線通信可能であってもよい。なお、作業車両10a及び作業車両10bにおいて共通する構成を説明する際は「作業車両10」と称す。
【0022】
通信部15は、作業車両10を有線又は無線で通信網N1に接続し、通信網N1を介して操作端末20などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。作業車両10は、通信部15を介して操作端末20のそれぞれと無線通信を行うことが可能である。
【0023】
記憶部12は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。記憶部12には、車両制御装置11に自動走行処理を実行させるための自動走行プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記自動走行プログラムは、フラッシュROM、EEPROM、CD、又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、所定の読取装置(不図示)で読み取られて記憶部12に記憶される。なお、前記自動走行プログラムは、サーバー(不図示)から通信網N1を介して作業車両10にダウンロードされて記憶部12に記憶されてもよい。また、記憶部12には、操作端末20において生成される目標経路の経路データが記憶されてもよい。
【0024】
走行装置13は、作業車両10を走行させる駆動部である。
図2に示すように、走行装置13は、エンジン131(駆動源)、前輪132、後輪133、トランスミッション134、フロントアクスル135、リアアクスル136、ハンドル137などを備える。なお、前輪132及び後輪133は、作業車両10の左右にそれぞれ設けられている。また、走行装置13は、前輪132及び後輪133を備えるホイールタイプに限らず、作業車両10の左右に設けられるクローラを備えるクローラタイプであってもよい。
【0025】
エンジン131は、不図示の燃料タンクに補給される燃料を用いて駆動するディーゼルエンジン又はガソリンエンジンなどの駆動源である。走行装置13は、エンジン131とともに、又はエンジン131に代えて、電気モーターを駆動源として備えてもよい。なお、エンジン131には、不図示の発電機が接続されており、当該発電機から作業車両10に設けられた車両制御装置11等の電気部品及びバッテリー等に電力が供給される。なお、前記バッテリーは、前記発電機から供給される電力によって充電される。そして、作業車両10に設けられている車両制御装置11及び測位装置16等の電気部品は、エンジン131の停止後も前記バッテリーから供給される電力により駆動可能である。
【0026】
エンジン131の駆動力は、トランスミッション134及びフロントアクスル135を介して前輪132に伝達され、トランスミッション134及びリアアクスル136を介して後輪133に伝達される。また、エンジン131の駆動力は、PTO軸(不図示)を介して作業機14にも伝達される。作業車両10が自動走行を行う場合、走行装置13は、車両制御装置11の命令に従って走行動作を行う。
【0027】
作業機14は、例えば耕起機、反転機、耕耘機、畝立て機、除草機、防除機などであって、作業車両10に着脱可能である。これにより、作業車両10は、作業機14各々を用いて各種の作業を行うことが可能である。
図2には、作業機14が耕耘機である場合を示している。
【0028】
ハンドル137は、オペレータ又は車両制御装置11によって操作される操作部である。例えば走行装置13では、車両制御装置11によるハンドル137の操作に応じて、不図示の油圧式パワーステアリング機構などによって前輪132の角度が変更され、作業車両10の進行方向が変更される。オペレータが例えばティーチング操作を行う場合、オペレータはハンドル137を操作して作業車両10を手動走行させる。
【0029】
また、走行装置13は、ハンドル137の他に、車両制御装置11によって操作される不図示のシフトレバー、アクセル、ブレーキ等を備える。そして、走行装置13では、車両制御装置11による前記シフトレバーの操作に応じて、トランスミッション134のギアが前進ギア又はバックギアなどに切り替えられ、作業車両10の走行態様が前進又は後進などに切り替えられる。また、車両制御装置11は、前記アクセルを操作してエンジン131の回転数を制御する。また、車両制御装置11は、前記ブレーキを操作して電磁ブレーキを用いて前輪132及び後輪133の回転を制動する。
【0030】
測位装置16は、測位制御部161、記憶部162、通信部163、及び測位用アンテナ164などを備える通信機器である。例えば、測位装置16は、
図2に示すように、オペレータが搭乗するキャビン18の上部に設けられている。また、測位装置16の設置場所はキャビン18に限らない。さらに、測位装置16の測位制御部161、記憶部162、通信部163、及び測位用アンテナ164は、作業車両10において異なる位置に分散して配置されていてもよい。なお、前述したように測位装置16には前記バッテリーが接続されており、測位装置16は、エンジン131の停止中も稼働可能である。また、測位装置16として、例えば携帯電話端末、スマートフォン、又はタブレット端末などが代用されてもよい。
【0031】
測位制御部161は、一又は複数のプロセッサーと、不揮発性メモリ及びRAMなどの記憶メモリとを備えるコンピュータシステムである。記憶部162は、測位制御部161に測位処理を実行させるためのプログラム、及び測位情報、移動情報などのデータを記憶する不揮発性メモリなどである。例えば、前記プログラムは、フラッシュROM、EEPROM、CD、又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、所定の読取装置(不図示)で読み取られて記憶部162に記憶される。なお、前記プログラムは、サーバー(不図示)から通信網N1を介して測位装置16にダウンロードされて記憶部162に記憶されてもよい。
【0032】
通信部163は、測位装置16を有線又は無線で通信網N1に接続し、通信網N1を介して基地局(不図示)などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0033】
測位用アンテナ164は、衛星から発信される電波(GNSS信号)を受信するアンテナである。
【0034】
測位制御部161は、測位用アンテナ164が衛星から受信するGNSS信号に基づいて作業車両10の現在位置を算出する。例えば、作業車両10が圃場Fを自動走行する場合に、測位用アンテナ164が複数の衛星のそれぞれから発信される電波(発信時刻、軌道情報など)を受信すると、測位制御部161は、測位用アンテナ164と各衛星との距離を算出し、算出した距離に基づいて作業車両10の現在位置(緯度及び経度)を算出する。また、測位制御部161は、作業車両10に近い基地局(基準局)に対応する補正情報を利用して作業車両10の現在位置を算出する、リアルタイムキネマティック方式(RTK-GNSS測位方式(RTK方式))による測位を行ってもよい。このように、作業車両10は、RTK方式による測位情報を利用して自動走行を行う。なお、作業車両10の現在位置は、測位位置(例えば測位用アンテナ164の位置)と同一位置であってもよいし、測位位置からずれた位置であってもよい。
【0035】
車両制御装置11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、車両制御装置11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより作業車両10を制御する。
【0036】
車両制御装置11は、作業車両10に対する各種のユーザー操作に応じて当該作業車両10の動作を制御する。また、車両制御装置11は、測位装置16により算出される作業車両10の現在位置と、予め設定される目標経路とに基づいて、作業車両10の自動走行処理を実行する。
【0037】
車両制御装置11は、前記CPUで前記自動走行プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記自動走行プログラムは、複数のプロセッサーを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0038】
具体的には、車両制御装置11は、操作端末20から走行開始指示を取得すると作業車両10の自動走行を開始させる。例えば、操作端末20の操作画面においてオペレータがスタートボタンを押下すると、操作端末20は走行開始指示を作業車両10に出力する。車両制御装置11は、操作端末20から走行開始指示を取得すると、目標経路に応じた作業車両10の自動走行を開始させる。これにより、例えば、作業車両10aは、圃場F内において目標経路R1(
図3参照)に従って自動走行を開始し、作業機14による作業(例えば耕起作業)を行う。また、作業車両10bは、圃場F内において目標経路R2(
図4参照)に従って自動走行を開始し、作業機14による作業(例えば耕耘作業)を行う。なお、作業車両10bは、オペレータによる走行開始指示により作業車両10aが自動走行を開始した後、所定のタイミングで自動走行を開始してもよい。すなわち、自動走行システム1において、一の作業車両10が第1作業を開始してから終了するまでの間に、他の作業車両10が第1作業の作業済領域に対して第2作業を開始してもよい。作業計画に含まれる複数の作業のそれぞれについて、作業開始タイミングが予め設定されてもよい。
【0039】
なお、作業車両10aが自動走行する目標経路R1と、作業車両10bが自動走行する目標経路R2とは、例えば操作端末20において生成される。作業車両10aは、操作端末20から目標経路R1に対応する経路データを取得して目標経路R1に従って自動走行し、作業車両10bは、操作端末20から目標経路R2に対応する経路データを取得して目標経路R2に従って自動走行する。
【0040】
また、車両制御装置11は、操作端末20から走行停止指示を取得すると作業車両10の自動走行を停止させる。例えば、操作端末20の操作画面においてオペレータがストップボタンを押下すると、操作端末20は走行停止指示を作業車両10に出力する。
【0041】
[操作端末20]
図1に示すように、操作端末20は、制御部21、記憶部22、操作表示部23、及び通信部24などを備える情報処理装置である。操作端末20は、タブレット端末、スマートフォンなどの携帯端末で構成されてもよい。
【0042】
通信部24は、操作端末20を有線又は無線で通信網N1に接続し、通信網N1を介して複数の作業車両10などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0043】
操作表示部23は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、操作を受け付けるタッチパネル、マウス、又はキーボードのような操作部とを備えるユーザーインターフェースである。オペレータ(ユーザー)は、表示部に表示される操作画面において、前記操作部を操作して各種情報(後述の作業車両情報、圃場情報、作業情報など)を登録する操作を行うことが可能である。また、オペレータは、前記操作部を操作して作業車両10に対する走行開始指示、走行停止指示などを行うことが可能である。さらに、オペレータは、作業車両10から離れた場所において、操作端末20に表示される走行軌跡により、圃場Fにおいて目標経路に従って自動走行する作業車両10の走行状態を把握することが可能である。
【0044】
記憶部22は、各種の情報を記憶するHDD又はSSDなどの不揮発性の記憶部である。記憶部22には、制御部21に後述の設定処理(
図16参照)を実行させるための設定プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記設定プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、操作端末20が備えるCDドライブ又はDVDドライブなどの読取装置(不図示)で読み取られて記憶部22に記憶される。なお、前記設定プログラムは、サーバー(不図示)から通信網N1を介して操作端末20にダウンロードされて記憶部22に記憶されてもよい。
【0045】
また、記憶部22には、作業車両10の自動走行させるための専用アプリケーションがインストールされている。制御部21は、前記専用アプリケーションを起動させて、作業車両10に関する各種情報の設定処理、作業車両10の目標経路の生成処理、作業車両10に対する自動走行指示などを行う。
【0046】
図1に示すように、制御部21は、設定処理部211、生成処理部212、及び出力処理部213などの各種の処理部を含む。なお、制御部21は、前記CPUで前記設定プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記設定プログラムは、複数のプロセッサーを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0047】
設定処理部211は、作業車両10に関する情報(以下、作業車両情報という。)を設定する。具体的には、設定処理部211は、作業車両10の機種、作業車両10において測位用アンテナ164が取り付けられている位置、作業機14の種類、作業機14のサイズ及び形状、作業機14の作業車両10に対する位置、作業車両10の作業中の車速及びエンジン回転数、作業車両10の旋回中の車速及びエンジン回転数等の情報について、オペレータが操作端末20において登録する操作を行うことにより当該情報を設定する。
【0048】
例えば
図5に示すメニュー画面D1においてオペレータは「作業機登録」を選択して、登録画面(不図示)において、作業機の種類(耕耘機、畝立て機、防除機など)、作業機の情報(作業幅、オーバーラップ幅など)を登録する。ここでは、オペレータは、作業計画に従って、作業機登録の登録操作を複数回繰り返す。例えば、野菜(キャベツなど)の栽培計画に従って、耕起、反転、耕耘、畝立て、定植、除草、防除、収穫の作業ごとに、作業機登録の登録操作を行う。
【0049】
続いて、オペレータは、
図5に示すメニュー画面D1の「作業登録」を選択して、登録画面D2(
図6参照)において、作業計画に含まれる複数の作業を登録する。例えば
図6の登録画面D2において、オペレータは、作業追加ボタンK21を押下して、予め登録された複数の作業機から作業計画に応じた作業機を選択して、作業エリア、枕地の作業方法、無人走行/有人走行、旋回方法、車速、エンジン回転速度などの作業情報を登録する。なお、前記作業エリアは、圃場Fで作業する領域に関する設定項目であり、オペレータは「作型・防除路を選択して作業する」、「作型を選択して作業する」、「圃場全体を作業する」のいずれかを選択する。なお、例えば耕耘作業においては、オペレータが「作型・防除路を選択して作業する」、「防除路を選択して作業する」のいずれかを選択可能であってもよい。オペレータは、例えば畝立て又は定植を行う直前に耕したい場合に「作型・防除路を選択して作業する」を選択して作型及び防除路を作業エリアに設定する。またオペレータは、例えば防除路を耕したい場合に「防除路を選択して作業する」を選択して防除路を作業エリアに設定する。設定処理部211は、オペレータが登録した作業情報を作業計画一覧D21に表示させる。具体的には、設定処理部211は、作業計画を設定する設定画面において、作業ごとに、作業内容、作業車両10(本機)及び作業機14の識別情報(名称、型番など)、及び作業エリアを一覧表示させる。
【0050】
図6には、「耕起」の作業に関する作業情報が登録された状態を示している。オペレータは、作業計画(例えばキャベツ栽培計画)を作成する場合、登録画面D2の作業追加ボタンK21を押下して、耕起、反転、耕耘、畝立て、定植、除草、防除、収穫の各作業の作業情報を登録する。
図7には、前記各作業の作業情報が登録された作業計画一覧D21を示している。このように、設定処理部211は、圃場Fのうち第1作業範囲を自動走行する第1作業車両10に対応する第1作業を登録し、圃場Fのうち第2作業範囲を自動走行する第2作業車両10に対応する第2作業を登録する。
【0051】
続いて、オペレータは、
図5に示すメニュー画面D1の「経路作成」を選択して、経路作成画面D3等(
図8等参照)において、作業計画に含まれる複数の作業のそれぞれに対応する目標経路を設定する。例えば
図8の経路作成画面D3において、オペレータは、作業計画選択画面K31から作業対象の作業計画(ここでは「キャベツ栽培計画」)を選択する。その後、オペレータは、登録画面(不図示)において、作業対象の圃場の選択、作業領域の指定、作業方向の設定、作業開始位置及び作業終了位置の設定、枕地幅の設定などを行う。設定処理部211は、各設定情報について登録すると登録確認画面D4(
図9参照)を表示させる。
【0052】
生成処理部212は、前記作業情報及び前記設定情報に基づいて、圃場Fにおいて作業車両10を自動走行させる目標経路を生成する。例えば
図9の登録確認画面D4においてオペレータが経路作成ボタンK41を押下すると、生成処理部212は、作業計画に含まれる複数の作業のそれぞれに対応する目標経路を生成する。ここでは、生成処理部212は、キャベツ栽培計画に含まれる、耕起、反転、耕耘、畝立て、定植、除草、防除、収穫の作業のそれぞれに対応する複数の目標経路をまとめて(一括して)生成する。なお、前記複数の作業のうち作業機14及び作業経路(作業範囲、作業位置)が共通する作業については、生成処理部212は、同一の目標経路を生成する。
【0053】
例えば
図10に示すように、生成処理部212は、耕起作業を行う作業車両10aに対して目標経路R1を生成する。具体的には、生成処理部212は、圃場F全体の作業範囲A1に目標経路R1生成する。また、生成処理部212は、耕起作業については、他の作業(耕耘作業、畝立て作業など)による影響(作業ブロックの幅、数など)を受けない目標経路R1(制約を受けない目標経路)を生成する。
【0054】
また例えば
図11に示すように、生成処理部212は、耕耘作業を行う作業車両10bに対して目標経路R2を生成する。具体的には、生成処理部212は、圃場Fのうち作業ブロックB1~B5を含む作業範囲A2に目標経路R2を生成する。例えば、生成処理部212は、作業ブロックB1~B5を設定し、設定した作業ブロックB1~B5のそれぞれの領域内に複数の平行な直進経路を生成する。生成処理部212は、耕耘作業については、他の作業(例えば耕起作業、畝立て作業、防除作業)による影響(耕起範囲、作業ブロックの幅及び数、防除路の幅及び数など)を受ける目標経路R2(制約を受ける目標経路)を生成する。
【0055】
ここで、作業ブロックの設定方法の一例を説明する。
図13は、作業ブロック設定画面D5の一例である。例えば、オペレータは、作業ブロック設定画面D5において、圃場際の防除路の有無、畝間、畝本数、枕地幅、防除路幅などの情報を入力する。例えば、オペレータは、所持している畝立て機の畝間を入力する。また例えば、オペレータ、畝立てをせずに定植のみ行う場合は、移植機の条間を入力する。また例えば、オペレータは、所持している防除機(スプレーヤ)の作業範囲を把握している場合に、畝本数に畝間を乗じた値が防除機の作業範囲になるように畝本数を入力する。また例えば、オペレータは、所持している作業車両10(トラクター)のトレッド幅又は作業機(例えば耕耘機)の幅が何本の畝本数に相当するのかを把握している場合には、畝本数又は幅を入力する。生成処理部212は、これらの入力情報に基づいて、圃場に対して作業ブロックを設定する。なお、生成処理部212は、作業ブロック設定画面D5において、前記入力情報に応じた幅及び数(ブロック数)で作業ブロックを表示させてもよい。これにより、オペレータは、前記入力情報を変更しながら作業ブロックの幅及び数を確認することができる。
【0056】
他の実施形態として、生成処理部212は、作業車両10の幅、防除機(スプレーヤ)の幅などの情報を取得して、取得した情報に基づいて、作業ブロックの幅及び位置、防除路の幅及び位置を自動的に設定してもよい。生成処理部212は、上述の設定方法により作業ブロックを設定すると、当該作業ブロックを含む作業範囲A2に目標経路R2を生成する(
図11参照)。
【0057】
また例えば
図12に示すように、生成処理部212は、防除作業を行う作業車両10cに対して目標経路R3を生成する。具体的には、生成処理部212は、防除路Br1~Br6を含む作業範囲A3に目標経路R3を生成する。例えば、生成処理部212は、防除路Br1~Br6のそれぞれの領域内に一又は複数の直進経路を生成する。生成処理部212は、防除作業については、他の作業(例えば耕起作業、畝立て作業)による影響(耕起範囲、作業ブロックの幅、数など)を受ける目標経路R3(制約を受ける目標経路)を生成する。
【0058】
このように、生成処理部212は、第1作業及び第2作業のそれぞれが登録された場合に、第1作業範囲及び第2作業範囲に基づいて、第1作業車両10を自動走行させる第1目標経路と第2作業車両10を自動走行させる第2目標経路とを生成する。また、生成処理部212は、第1作業の作業情報に基づいて第1作業範囲に第1目標経路を生成し、第1作業及び第2作業のそれぞれの作業情報に基づいて第2作業範囲に第2目標経路を生成する。例えば、第1目標経路は、圃場F全体に設定される経路であり、第2目標経路は、圃場Fの一部の領域(作業ブロック)に設定される経路である。また例えば、第1目標経路は、作業ブロックに設定される経路であり、第2目標経路は、隣り合う作業ブロック間に設定される経路である。
【0059】
生成処理部212は、作業計画(キャベツ栽培計画)に含まれる、耕起、反転、耕耘、畝立て、定植、除草、防除、収穫の作業のそれぞれに対応する複数の目標経路を生成すると、当該作業計画に関連付けて登録する。このようにして、生成処理部212は、作業計画に応じて、複数の作業のそれぞれに対応する複数の目標経路を一括して生成する。オペレータは、作業計画一覧D21により作業計画を容易に確認することができ、また各作業に対応する目標経路を容易に確認することができる。例えば、制御部21は、作業計画一覧D21(
図7参照)においてオペレータが所定の作業を選択した場合に、当該作業に対応する目標経路を表示させてもよい。これにより、オペレータは、各作業の目標経路を容易に確認することができる。
【0060】
ここで、オペレータは、作業を開始する際に、圃場の選択、作業(作業計画)の選択、目標経路の確認を行って、作業開始指示を行う。オペレータが作業開始指示を行うと、出力処理部213は、生成処理部212が生成した目標経路の経路データを作業車両10に出力する。具体的には、出力処理部213は、目標経路R1の経路データを作業車両10aに出力し、目標経路R2の経路データを作業車両10bに出力する。
【0061】
各作業車両10は、操作端末20において生成された経路データが作業車両10に転送されると、経路データを記憶部12に記憶する。各作業車両10は、測位用アンテナ164により作業車両10の現在位置を検出しつつ前記経路データに基づいて自動走行処理を実行する。
【0062】
ここで、作業登録において作業エリア(
図6参照)に「作型」が設定されている場合に(
図7参照)、生成処理部212は、オペレータから作業車両10が実際に作業を行う作型を選択する操作を受け付け、オペレータにより選択された作型に対して目標経路を生成(設定)する。
【0063】
例えば
図14に示す作型選択画面D6において、オペレータは、作業面積、作業本数、移植する苗量、作業ブロック数のいずれかの設定情報を入力することにより作型を設定することができる。例えば、生成処理部212は、入力された作業本数と、作業ブロックを設定する際に取得された畝間とに基づいて、作型範囲C11(作型範囲=作業本数×畝間の長さ)を設定する。また、生成処理部212は、前記設定情報の入力値に応じた大きさで作型範囲C11を作型選択画面D6に表示させる。
図14には、オペレータが任意の面積を入力した場合の作型範囲C11を示している。なお、
図14において、作業面積、作業本数、移植する苗量、作業ブロック数のいずれか1つの設定項目が入力可能であってもよい。なお、制御部21は、前記各設定項目のうちいずれか一つが入力されると、入力された設定項目がリセットされるまで、他の設定項目の入力を受け付けない構成としてもよい。また、制御部21は、前記各設定項目のうち、作型選択画面D6に表示させる設定項目をユーザーが選択可能な構成としてもよい。これにより、ユーザーは、作型選択画面D6において入力可能な設定項目を任意に設定することができる。オペレータが作業対象の作型を設定して経路作成ボタンK51を押下すると、生成処理部212は、作型範囲C11に、耕耘作業、畝立て作業、定植作業、除草作業、収穫作業のそれぞれに対応する目標経路(
図15A参照)を生成し、作型範囲C11に対応する防除路Br1、Br2、Br3の作業範囲に、防除作業に対応する目標経路(
図15B参照)を生成する。生成処理部212は、生成した目標経路を経路作成結果画面D7に表示させる。なお、生成処理部212は、
図15A及び
図15Bの各目標経路を経路作成結果画面D7にまとめて表示させてもよい。
【0064】
このように、生成処理部212は、作業登録において圃場Fの一部に作業エリアを予め設定されていた作業については、作業計画に対応する一連の作業を開始する時点で、今から実際に作業するエリア(作型)を選択する操作を受け付けて、受け付けた作型に対して目標経路を再設定する処理を実行する。すなわち、圃場Fの作業領域のうち一部の領域(作型)について作業を行う場合には、生成処理部212は、予め圃場F全体に対して生成した目標経路(
図10及び
図11参照)に基づいて、実際に今から作業を行う作型(オペレータにより設定された作型範囲C11)に対応する目標経路を生成する。例えば、オペレータは、野菜(キャベツ)の栽培時期(収穫時期)に応じて、作型を選択し、生成処理部212は選択された当該作型に対応する目標経路を設定する。
【0065】
なお、生成処理部212は、作型の選択操作をオペレータから受け付ける作型選択画面D6(
図14参照)において、作業済の領域(作型)を選択できないように表示させるとともに、未作業の領域(作型)を選択できるように表示させてもよい。例えば、生成処理部212は、作型選択画面D6において、作業済(例えば収穫済)の作型をグレーアウト表示させてもよい。また、生成処理部212は、作型選択画面D6において、作業済の領域と未作業の領域とを識別可能に表示させてもよい。
【0066】
また、生成処理部212は、一度選択された作型の情報を記憶しておき、次回の作型の選択操作において、記憶済みの作型の情報を利用してもよい。例えば、オペレータが作業ブロックB1、B2の範囲を作型に設定して定植作業、防除作業などを行った場合において、次回の作業においてオペレータが作型を選択する場合に、生成処理部212は、前回選択された作業ブロックB1、B2の範囲を今回の作型範囲として予め設定しておく。例えば、生成処理部212は、作型選択画面D6において、前回の作型範囲を識別可能に予め表示させる。これにより、例えば、同じ範囲を繰り返し作業(例えば防除作業)する必要がある場合に、オペレータはその都度同じ作型を選択する必要がないため、作型の選択操作の手間を省くことができ、また作型の選択ミスを防ぐことができる。
【0067】
また、生成処理部212は、作型選択画面D6において、記憶済みの一又は複数の作型を選択可能に表示させてもよい。例えば、オペレータは、収穫作業を開始する際に複数の作型を選択する。この場合、生成処理部212は、選択された複数の作型の範囲に収穫作業の目標経路を生成する。
【0068】
なお、生成処理部212は、作型選択画面D6(
図14参照)において、オペレータから防除路の選択操作を受け付けてもよい。オペレータが圃場Fの端部側の防除路(防除路Br1)を選択しない場合、生成処理部212は、防除路Br2、Br3の作業範囲のみに、防除作業に対応する目標経路を生成する。
【0069】
オペレータは、経路作成結果画面D7(
図15A及び
図15B参照)において、生成された目標経路を確認して問題ないと判断すると作業開始ボタンK61を押下する。オペレータが作業開始指示を行うと、出力処理部213は、目標経路の経路データを作業車両10に出力する。例えば、出力処理部213は、設定された作型(作型範囲C11)に対して生成された目標経路の経路データを耕耘作業、畝立て作業、定植作業、除草作業、収穫作業のそれぞれを行う各作業車両10に出力し、防除路Br1、Br2、Br3に対して生成された目標経路の経路データを、防除作業を行う作業車両10に出力する。
【0070】
各作業車両10は、作型に対応する目標経路の経路データを取得すると目標経路に従って自動走行を開始する。なお、ここでは、耕起、反転、耕耘、畝立て、定植、除草、防除、収穫の作業ごとに設定されたタイミングで、各作業車両10が自動走行を実行する。
【0071】
また、各作業車両10は、測位用アンテナ164により作業車両10の現在位置を検出しつつ前記経路データに基づいて自動走行処理を実行する。例えば、各作業車両10は、現在位置が圃場Fの走行開始位置と一致している場合に、オペレータにより操作画面においてスタートボタンが押下されて走行開始指示が与えられると、作業車両10の車両制御装置11によって、目標経路に従って自動走行を開始する。
【0072】
本実施形態では、自動走行システム1は、圃場Fにおいて、目標経路R1に従って作業車両10aを自動走行させ、作業車両10aの自動走行を開始させた後に、目標経路R2に従って作業車両10bを自動走行させる。また、自動走行システム1は、圃場Fにおいて、作業車両10aの自動走行を開始させた後に、作業車両10aの作業位置に基づいて作業車両10bの自動走行を開始させてもよい。
【0073】
オペレータは、作業車両10a、10bが自動走行している間、操作端末20において、圃場F内における走行状態、作業状況などを把握することが可能である。
【0074】
なお、操作端末20は、サーバーが提供する農業支援サービスのウェブサイト(農業支援サイト)に通信網N1を介してアクセス可能であってもよい。この場合、操作端末20は、操作制御部によってブラウザプログラムが実行されることにより、前記サーバーの操作用端末として機能することが可能である。そして、前記サーバーは、上述の各処理部を備え、各処理を実行する。
【0075】
[設定処理]
以下、
図16を参照しつつ、操作端末20の制御部21によって実行される前記設定処理の一例について説明する。例えば、前記設定処理は、制御部21がオペレータから作業車両10の目標経路を生成するための設定操作を受け付けた場合に制御部21によって開始される。
【0076】
なお、本願発明は、制御部21により前記設定処理の一部又は全部を実行する設定方法(本発明の設定方法の一例)の発明、又は、当該設定方法の一部又は全部を制御部21に実行させるための設定プログラム(本発明の設定プログラムの一例)の発明として捉えてもよい。また、前記設定処理は、一又は複数のプロセッサーが実行してもよい。
【0077】
ステップS1において、制御部21は、作業登録を行う。例えば
図6の登録画面D2において、オペレータが、作業追加ボタンK21を押下して、予め登録された複数の作業機から作業計画に応じた作業機を選択して、作業エリア、枕地の作業方法、無人走行/有人走行、旋回方法、車速、エンジン回転速度などの作業情報を登録する操作を行うと、制御部21は、作業に関連付けて作業情報を登録する。制御部21は、オペレータの前記登録操作に基づいて、作業計画に含まれる複数の作業のそれぞれの作業情報を登録する。例えば、オペレータがキャベツ栽培計画を作成するために、耕起、反転、耕耘、畝立て、定植、除草、防除、収穫の各作業の作業情報を登録する操作を行うと、制御部21は、キャベツ栽培計画に関連付けて前記各作業の作業情報を登録する。
【0078】
次にステップS2において、制御部21は、登録した複数の作業の作業情報を含む作業計画(作業計画一覧D21)を表示させる。例えば
図7に示すように、制御部21は、キャベツ栽培計画の作業計画一覧D21を操作表示部23に表示させる。
【0079】
次にステップS3において、制御部21は、各作業の目標経路を生成する。具体的には、オペレータがメニュー画面D1(
図5参照)の「経路作成」を選択し、経路作成画面D3(
図8参照)の作業計画(ここでは「キャベツ栽培計画」)を選択し、登録画面(不図示)において、圃場の選択、作業領域の指定、作業方向の設定、作業開始位置及び作業終了位置の設定、枕地幅の設定などを行う。制御部21は、各設定情報について登録すると登録確認画面D4(
図9参照)を表示させる。
【0080】
登録確認画面D4においてオペレータが経路作成ボタンK41を押下すると、制御部21は、作業計画に含まれる複数の作業のそれぞれに対応する目標経路を生成する。ここでは、制御部21は、キャベツ栽培計画に含まれる、耕起、反転、耕耘、畝立て、定植、除草、防除、収穫の作業のそれぞれに対応する複数の目標経路を一括して生成する。例えば、制御部21は、耕起作業及び反転作業に対応する目標経路として、圃場F全体を作業範囲A1とする目標経路R1を生成する(
図10参照)。また例えば、制御部21は、作業ブロック設定画面D5(
図13参照)においてオペレータにより入力される情報(圃場際の防除路の有無、畝間、畝本数、枕地幅、防除路幅など)に基づいて、圃場に対して作業ブロックB1~B5を設定する。また、制御部21は、作業ブロックB1~B5を設定すると、耕耘作業、畝立て作業、定植作業、除草作業、収穫作業に対応する目標経路として、作業ブロックB1~B5を作業範囲A2とする目標経路R2を生成する(
図11参照)。また例えば、制御部21は、防除作業に対応する目標経路として、防除路Br1~Br6を作業範囲A3とする目標経路R3を生成する(
図12参照)。
【0081】
次にステップS4において、制御部21は、生成した各作業の目標経路を登録する。ここでは、制御部21は、前記各作業に対応する複数の目標経路をキャベツ栽培計画に関連付けて登録する。なお、上述のステップS1~S4の処理は、作業計画及び目標経路の登録及び作成時に実行され、以降のステップS5~S9の処理は、実際に作業を開始する作業時(作業開始前)に実行される。すなわち、自動走行システム1において、ステップS1~S4の処理と、ステップS5~S9の処理とは、個別に実行されてもよい。
【0082】
ステップS5において、制御部21は、オペレータから作型の選択操作を受け付けたか否かを判定する。例えば、作業登録(ステップS1)の際に作業エリアに「作型」が設定されている場合に(
図7参照)、制御部21は、作型選択画面D6(
図14参照)を表示させて、オペレータから実際に作業を行う作型を選択する操作を受け付ける。オペレータは、作業車両10に今から実際に作業させる作型を選択する。
図14には、オペレータが作業面積を入力して設定した作型の範囲(作型範囲C11)を示している。
【0083】
制御部21は、オペレータから作型の選択操作を受け付けた場合に(S5:Yes)、処理をステップS6に移行させる。一方、制御部21は、オペレータから作型の選択操作を受け付けない場合(S5:No)、処理をステップS8に移行させる。なお、制御部21は、作業登録(ステップS1)の際に作業エリアに「作型」が設定されていない場合に(
図7参照)、ステップS5を省略して、処理をステップS4からステップS8に移行させてもよい。
【0084】
ステップS6において、制御部21は、オペレータにより選択された作型の目標経路を生成(設定)する。オペレータが作型範囲C11の作型を選択した場合(
図14参照)、制御部21は、ステップS3において生成した目標経路に基づいて、耕耘作業、畝立て作業、定植作業、除草作業、収穫作業のそれぞれに対応する目標経路(
図15A参照)と、防除作業に対応する目標経路(
図15B参照)とを生成する。
【0085】
次にステップS7において、制御部21は、生成した目標経路を経路作成結果画面D7に表示させる(
図15A及び
図15B参照)。
【0086】
ステップS8において、制御部21は、オペレータから作業開始指示を受け付けたか否かを判定する。例えば
図15A又は
図15Bの経路作成結果画面D7においてオペレータが作業開始ボタンK61を押下すると、制御部21は、前記作業開始指示を受け付けたと判定する。制御部21は、前記作業開始指示を受け付けると(S8:Yes)、処理をステップS9に移行させる。制御部21は、前記作業開始指示を受け付けるまで待機する(S8:No)。
【0087】
ステップS9において、制御部21は、生成した目標経路の経路データを作業車両10に出力する。ここでは、制御部21は、圃場F全体に対して生成された目標経路の経路データを耕起作業及び反転作業のそれぞれを行う各作業車両10に出力し、作業ブロックB1、B2に対して生成された目標経路の経路データを耕耘作業、畝立て作業、定植作業、除草作業、収穫作業のそれぞれを行う各作業車両10に出力し、防除路Br1、Br2、Br3に対して生成された目標経路の経路データを、防除作業を行う作業車両10に出力する。各作業車両10は、耕起、反転、耕耘、畝立て、定植、除草、防除、収穫の作業ごとに予め設定されたタイミングで、目標経路に従って自動走行を実行する。
【0088】
以上説明したように、本実施形態に係る自動走行システム1は、圃場Fのうち第1作業範囲を自動走行する第1作業車両10に対応する第1作業を登録し、圃場Fのうち第2作業範囲を自動走行する第2作業車両10に対応する第2作業を登録する。また、自動走行システム1は、第1作業及び第2作業のそれぞれが登録された場合に、第1作業範囲及び第2作業範囲に基づいて、第1作業車両を自動走行させる第1目標経路と第2作業車両を自動走行させる第2目標経路とを生成する。
【0089】
例えば、自動走行システム1は、第1作業の作業情報に基づいて第1作業範囲に、後の作業(例えば第2作業)による影響(制約)を受けない第1目標経路(
図10に示す目標経路R1)を生成し、第1作業及び第2作業のそれぞれの作業情報に基づいて第2作業範囲に、後の作業による影響(制約)を受ける第2目標経路(
図11に示す目標経路R2)を生成する。具体的には、自動走行システム1は、第1作業が畝立て作業であり、第2作業が定植作業である場合に、後作業である定植作業の目標経路(第2目標経路)を先作業である畝立て作業の作業位置に合わせて生成する。また、自動走行システム1は、第1作業が畝立て作業であり、第2作業が防除作業である場合に、先作業である畝立て作業の目標経路(第2目標経路)を後作業である防除作業の作業位置に合わせて生成する。
【0090】
また例えば、自動走行システム1は、第1作業に利用される第1作業車両10及び第1作業機14の情報と、第2作業に利用される第2作業車両10及び第2作業機14の情報とを含む作業計画を登録し、作業計画が登録された場合に、第1目標経路及び第2目標経路を生成する。
【0091】
上記構成によれば、例えば作業計画を登録する際に作業計画に含まれる複数の作業のそれぞれに対応する複数の目標経路をまとめて(一括して)生成することができる。また、各作業の作業情報(作業範囲など)を考慮して各目標経路を生成することできる。例えば、圃場Fのうち畝立て作業を行う領域(作型)に対して定植作業を行い、圃場Fのうち畝立て作業を行わない領域については定植作業を省略することができる。また、例えば、耕起作業については、後の耕耘作業及び畝立て作業などの範囲(作型)を考慮することなく圃場F全体に対して耕起作業を行うことができる。よって、各作業に応じた適切な作業範囲を設定して目標経路を生成することができるため、圃場Fにおける複数の作業車両10による作業の作業効率を向上させることが可能となる。
【0092】
[他の実施形態]
本発明は上述の実施形態に限定されず、以下の実施形態であってもよい。
【0093】
例えば、作業計画に含まれる複数の作業のそれぞれに対応する複数の目標経路をまとめて生成した場合に、ある作業に対応する目標経路が、圃場F外に飛び出してしまうことが考えられる。例えば、第1作業の目標経路を生成する場合において、後の作業である第2作業の作業範囲を考慮して第1作業の目標経路を生成した場合に、当該目標経路の一部が圃場F外に飛び出してしまう場合がある。
【0094】
図17Aには、耕起作業の目標経路の一部が圃場F外に飛び出してしまう例を示している。この場合、制御部21は、
図17Aに示すように、経路作成結果画面D7において、目標経路の一部が圃場F外に飛び出してしまう旨の警告情報(経路生成エラー)を表示させてもよい。また、制御部21は、圃場F外に飛び出す部分を識別可能に表示させるとともに、飛び出し距離E1を表示させてもよい。なお、制御部21は、経路作成結果画面D7において、前記警告情報(経路生成エラー)を地図(圃場)に重ならない位置(
図17Aに示す経路作成結果画面D7の余白部分)に表示させてもよい。
【0095】
また、
図17Aに示す警告情報に対してオペレータが「登録」ボタンを押下した場合に、制御部21は、
図17Bに示すように、再確認のメッセージを表示させてもよい。
図17Bに示す確認メッセージに対してオペレータが「OK」ボタンを押下した場合に、制御部21は、一部が圃場F外に飛び出る目標経路を生成する。また
図17Bに示す確認メッセージに対してオペレータが「キャンセル」ボタンを押下した場合には、制御部21は、飛び出した部分が圃場F内に収まるように目標経路を再生成してもよい。
【0096】
また、制御部21は、耕起作業に対応する目標経路を生成した後、さらに他の作業に対応する目標経路についても、その一部が圃場F外に飛び出す場合には、当該他の作業に対応する目標経路について、
図17A及び
図17Bと同様の処理を実行する。制御部21は、全ての作業の目標経路について、経路生成エラーが解消されるまで、前記処理を繰り返し実行して、作業計画の各目標経路を生成する。
【0097】
このように、制御部21は、第1目標経路及び第2目標経路を生成する処理において、前記第1目標経路及び前記第2目標経路の少なくともいずれか一方が、作業車両10が自動走行した場合に車体の一部が圃場F外に飛び出すと判定された場合に、経路生成画面(経路作成結果画面D7)に警告情報を表示させてもよい。
【0098】
本発明の他の実施形態として、操作端末20の制御部21は、作業車両10の作業結果に基づいて作型を設定してもよい。例えば、作業車両10が畝立て作業を行っているときにオペレータが走行画面D8(
図18参照)において、「作型設定」ボタンK71を押下すると、制御部21は、作業車両10が畝立て作業を行った作業済の領域を作型(作型範囲C11)に設定する。制御部21は、作業結果から作型を設定すると、例えば次作業(定植、除草、防除、収穫など)の目標経路を生成する際に、当該作型に対して目標経路を生成する。このように、制御部21は、作業履歴に基づいて作型を設定し、当該作型に基づいて次作業の目標経路を生成してもよい。また、制御部21は、作業ごとに作型を更新してもよい。上記構成によれば、実際に作業を行っているときに、オペレータの意図した範囲を作型として設定することができる。
【0099】
また、制御部21は、
図18に示す走行画面D8において、作型の設定操作を促すメッセージを表示(ポップアップ表示)させてもよい。例えば、作型範囲C11の目安となる目標値(作業面積、作業本数、移植する苗量、作業ブロック数などの設定情報)が予め登録されている場合に、制御部21は、作業結果が前記目標値に近付いた時点で前記メッセージをポップアップ表示させてもよい。
【0100】
また、制御部21は、作業開始前に作型を設定するか(
図14参照)、又は、作業結果に基づいて作型を設定するか、をオペレータが選択可能であってもよい。例えば、制御部21は、
図19に示す登録確認画面D4において、作型の設定方法について、オペレータから「作業開始前に設定」又は「作業結果から設定」のいずれかを選択する操作を受け付ける。制御部21は、オペレータが「作業開始前に設定」を選択した場合に、目標経路を生成するとともに(
図10~
図12)、
図14に示す作型選択画面D6を表示させてオペレータから作型の設定操作を受け付ける。一方、制御部21は、オペレータが「作業結果から設定」を選択した場合には、目標経路を生成(
図10~
図12)して各種登録操作を終了し、作業開始後の作業中にオペレータから作型の設定操作を受け付ける(
図18参照)。
【0101】
なお、制御部21は、作業開始前に作型を設定するとともに、作業結果に基づいて作型を更新してもよい。この場合、例えば作業車両10aが、予め設定された第1作型について第1作業を行い、作業車両10bが作業結果に基づいて設定された第2作型について第2作業を行ってもよい。以上のように、制御部21は、圃場Fのうちオペレータにより設定された作型(作業開始前に設定された作型、作業結果に基づいて設定された作型など)に目標経路を生成する。
【0102】
本発明の設定システムは、操作端末20単体で構成されてもよいし、作業車両10及び操作端末20で構成されてもよいし、作業車両10単体で構成されてもよい。また設定システムは、操作端末20に含まれる各処理部を備えたサーバーで構成されてもよい。
【0103】
[発明の付記]
以下、実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0104】
<付記1>
作業領域のうち第1作業範囲を自動走行する第1作業車両に対応する第1作業を登録することと、
前記作業領域のうち第2作業範囲を自動走行する第2作業車両に対応する第2作業を登録することと、
前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれが登録された場合に、前記第1作業の作業情報に基づいて前記第1作業範囲に前記第1作業車両を自動走行させる第1目標経路を生成し、前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれの作業情報に基づいて前記第2作業範囲に前記第2作業車両を自動走行させる第2目標経路を生成することと、
を実行する設定方法。
【0105】
<付記2>
前記第1作業に利用される前記第1作業車両及び第1作業機の情報と、前記第2作業に利用される前記第2作業車両及び第2作業機の情報とを含む作業計画を登録し、
前記作業計画が登録された場合に、前記第1目標経路及び前記第2目標経路を生成する、
付記1に記載の設定方法。
【0106】
<付記3>
前記作業計画を登録する登録画面において、作業ごとに、作業内容、作業車両の識別情報、作業機の識別情報、及び作業範囲を一覧表示させる、
付記2に記載の設定方法。
【0107】
<付記4>
前記第1目標経路は、前記作業領域全体に設定される経路であり、前記第2目標経路は、前記作業領域の一部の領域に設定される経路である、
付記1~4のいずれかに記載の設定方法。
【0108】
<付記5>
前記作業領域のうちユーザーにより選択された設定範囲に前記第2目標経路を生成する、
付記4に記載の設定方法。
【0109】
<付記6>
前記設定範囲の選択操作をユーザーから受け付ける選択画面において、前記作業領域のうち作業済の領域と、前記作業領域のうち未作業の領域とを識別可能に表示させる、
付記5に記載の設定方法。
【0110】
<付記7>
前記受付画面において、前記作業領域のうち作業済の領域を選択できないように表示させるとともに、前記作業領域のうち未作業の領域を選択できるように表示させる、
付記6に記載の設定方法。
【0111】
<付記8>
前記作業領域には複数の作業ブロックが含まれており、
前記作業領域のうちユーザーにより選択された前記第1作業範囲に対して前記第1目標経路を生成し、
前記第1作業範囲において隣り合う2つの前記作業ブロックの間の領域を含む前記第2作業範囲に対して前記第2目標経路を生成する、
付記1~7のいずれかに記載の設定方法。
【0112】
<付記9>
前記第1目標経路及び前記第2目標経路を生成する処理において、前記第1目標経路及び前記第2目標経路の少なくともいずれか一方が、作業車両が自動走行した場合に車体の一部が前記作業領域外に飛び出すと判定された場合に、経路生成画面に警告情報を表示させる、
付記1~8のいずれかに記載の設定方法。
【0113】
<付記10>
前記作業領域において、付記1~9のいずれかに記載の設定方法により設定される前記第1目標経路に従って前記第1作業車両を自動走行させることと、
前記第1作業車両の自動走行を開始させた後に、前記作業領域において、付記1~9のいずれかに記載の設定方法により設定される前記第2目標経路に従って前記第2作業車両を自動走行させることと、
を実行する自動走行方法。
【符号の説明】
【0114】
1 :自動走行システム
10 :作業車両
10a :作業車両(第1作業車両)
10b :作業車両(第2作業車両)
11 :車両制御装置
12 :記憶部
14 :作業機
20 :操作端末
21 :制御部
22 :記憶部
23 :操作表示部
24 :通信部
211 :設定処理部
212 :生成処理部
213 :出力処理部
A1 :作業範囲(第1作業範囲)
A2 :作業範囲(第2作業範囲)
A3 :作業範囲
B1~B5:作業ブロック
Br1~Br6:防除路
C11 :作型範囲(設定範囲)
D1 :メニュー画面
D2 :登録画面
D21 :作業計画一覧
D3 :経路作成画面
D4 :登録確認画面
D6 :作型選択画面(受付画面)
D7 :経路作成結果画面
D8 :走行画面(受付画面)
F :圃場
K31 :作業計画選択画面
R1 :目標経路(第1目標経路)
R2 :目標経路(第2目標経路)
R3 :目標経路