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特開2024-76629設定方法、自動走行方法、設定システム、及び設定プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076629
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】設定方法、自動走行方法、設定システム、及び設定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20240530BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188286
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(72)【発明者】
【氏名】黒田 晃史
(72)【発明者】
【氏名】西井 康人
(72)【発明者】
【氏名】村山 昌章
(72)【発明者】
【氏名】西別府 慎也
(72)【発明者】
【氏名】安達 雅人
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC01
5L050CC01
(57)【要約】
【課題】作業領域における複数の作業車両による作業の作業効率を向上させることが可能な設定方法、自動走行方法、設定システム、及び設定プログラムを提供すること。
【解決手段】設定処理部211は、圃場Fを自動走行する作業車両10aに対して第1作業を設定し、圃場Fを自動走行する作業車両10bに対して第2作業を設定する。生成処理部212は、前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれの作業情報に基づいて、作業車両10aを自動走行させる目標経路R1と作業車両10bを自動走行させる目標経路R2とを生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業領域を自動走行する第1作業車両に対して第1作業を設定することと、
前記作業領域を自動走行する第2作業車両に対して第2作業を設定することと、
前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれの作業情報に基づいて、前記第1作業車両を自動走行させる第1目標経路と前記第2作業車両を自動走行させる第2目標経路とを生成することと、
を実行する設定方法。
【請求項2】
前記作業領域のうち前記第1作業の範囲である第1作業範囲と、前記作業領域のうち前記第2作業の範囲である第2作業範囲とに基づいて、前記第1目標経路と前記第2目標経路とを生成する、
請求項1に記載の設定方法。
【請求項3】
前記第2作業範囲の大きさが前記第1作業範囲の大きさよりも小さく、かつ前記作業領域における前記第2作業範囲の位置が前記第1作業範囲内に位置する場合に、前記第1作業範囲の位置が前記第2作業範囲の位置に合うように前記第1目標経路と前記第2目標経路とを生成する、
請求項2に記載の設定方法。
【請求項4】
前記第1作業範囲及び前記第2作業範囲のそれぞれにおける、複数の作業列が並ぶ方向の少なくともいずれかの端辺が互いに一致するように、前記第1目標経路と前記第2目標経路とを生成する、
請求項2に記載の設定方法。
【請求項5】
前記第1作業範囲における複数の作業列が並ぶ方向の端辺が、前記第2作業範囲における複数の作業列が並ぶ方向の端辺に一致するように、前記第1作業範囲を設定する、
請求項2に記載の設定方法。
【請求項6】
前記第1作業範囲及び前記第2作業範囲のそれぞれにおける第1端辺同士を互いに一致させるか、前記第1作業範囲及び前記第2作業範囲のそれぞれにおける第2端辺同士を互いに一致させるか、又は、前記第1作業範囲及び前記第2作業範囲のそれぞれにおける前記第1端辺同士及び前記第2端辺同士を互いに一致させるか、を選択するユーザー操作を受け付け、
前記ユーザー操作に基づいて、前記第1目標経路と前記第2目標経路とを生成する、
請求項4に記載の設定方法。
【請求項7】
前記第1作業の各作業列の第1作業幅と前記第2作業の各作業列の第2作業幅とが互いに異なる場合に、前記第1作業幅及び前記第2作業幅に基づいて、前記第1目標経路に含まれる作業経路の間隔と、前記第2目標経路に含まれる作業経路の間隔とを設定する、
請求項1に記載の設定方法。
【請求項8】
前記作業領域において、請求項1~7のいずれかに記載の設定方法により設定される前記第1目標経路に従って前記第1作業車両を自動走行させることと、
前記第1作業車両の自動走行を開始させた後に、前記作業領域において、請求項1~7のいずれかに記載の設定方法により設定される前記第2目標経路に従って前記第2作業車両を自動走行させることと、
を実行する自動走行方法。
【請求項9】
前記作業領域において、前記第1作業車両の自動走行を開始させた後に、前記第1作業車両の作業位置に基づいて前記第2作業車両の自動走行を開始させる、
請求項8に記載の自動走行方法。
【請求項10】
前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれの作業情報に基づいて、前記第2作業車両の自動走行を開始させるタイミングを設定する、
請求項8に記載の自動走行方法。
【請求項11】
前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれの前記作業情報は、作業列の合計数、各作業列の作業幅、走行方法、及び車速の少なくともいずれかを含む、
請求項10に記載の自動走行方法。
【請求項12】
作業領域を自動走行する第1作業車両に対して第1作業を設定し、前記作業領域を自動走行する第2作業車両に対して第2作業を設定する設定処理部と、
前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれの作業情報に基づいて、前記第1作業車両を自動走行させる第1目標経路と前記第2作業車両を自動走行させる第2目標経路とを生成する生成処理部と、
を備える設定システム。
【請求項13】
作業領域を自動走行する第1作業車両に対して第1作業を設定することと、
前記作業領域を自動走行する第2作業車両に対して第2作業を設定することと、
前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれの作業情報に基づいて、前記第1作業車両を自動走行させる第1目標経路と前記第2作業車両を自動走行させる第2目標経路とを生成することと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるための設定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両を自動走行させる目標経路を設定する設定方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
圃場の作業効率を高めるために、一の圃場において複数の作業車両のそれぞれに自動走行させながら作業を行わせるシステムが知られている。例えば、親作業車両の情報と子作業車両の情報とに基づいて子作業車両の走行を制御するシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-188351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば2台の作業車両のうち第1作業車両が第1作業を行い、その後に第2作業車両が第2作業を行う場合、第1作業車両及び第2作業車両のそれぞれに異なる作業機が装着される場合がある。各作業車両に異なる作業機が装着される場合、作業開始位置、作業終了位置、作業幅などが異なるため、各作業車両が作業を行う作業範囲に違いが生じることがある。この場合、例えば、圃場のうち第1作業を行った領域のうち第2作業が行われない領域が生じたり、圃場のうち第1作業を行っていない領域において第2作業を行ってしまったりするなど第1作業及び第2作業の連携が適切に行われず作業効率が低下する問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、作業領域における複数の作業車両による作業の作業効率を向上させることが可能な設定方法、自動走行方法、設定システム、及び設定プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る設定方法は、作業領域を自動走行する第1作業車両に対して第1作業を設定することと、前記作業領域を自動走行する第2作業車両に対して第2作業を設定することと、前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれの作業情報に基づいて、前記第1作業車両を自動走行させる第1目標経路と前記第2作業車両を自動走行させる第2目標経路とを生成することと、を実行する方法である。
【0007】
本発明に係る自動走行方法は、前記作業領域において、前記設定方法により設定される前記第1目標経路に従って前記第1作業車両を自動走行させることと、前記第1作業車両の自動走行を開始させた後に、前記作業領域において、前記設定方法により設定される前記第2目標経路に従って前記第2作業車両を自動走行させることと、を実行する方法である。
【0008】
本発明に係る設定システムは、設定処理部と生成処理部とを備える。前記設定処理部は、作業領域を自動走行する第1作業車両に対して第1作業を設定し、前記作業領域を自動走行する第2作業車両に対して第2作業を設定する。前記生成処理部は、前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれの作業情報に基づいて、前記第1作業車両を自動走行させる第1目標経路と前記第2作業車両を自動走行させる第2目標経路とを生成する。
【0009】
本発明に係る設定プログラムは、作業領域を自動走行する第1作業車両に対して第1作業を設定することと、前記作業領域を自動走行する第2作業車両に対して第2作業を設定することと、前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれの作業情報に基づいて、前記第1作業車両を自動走行させる第1目標経路と前記第2作業車両を自動走行させる第2目標経路とを生成することと、を一又は複数のプロセッサーに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業領域における複数の作業車両による作業の作業効率を向上させることが可能な設定方法、自動走行方法、設定システム、及び設定プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係る自動走行システムの構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る作業車両の一例を示す外観図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る一の作業車両の目標経路の一例を示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る他の作業車両の目標経路の一例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る各作業車両に対応する各作業範囲の一例を示す図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る操作端末に表示される設定画面の一例を示す図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る作業車両の目標経路の一例を示す図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る作業車両の目標経路の一例を示す図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係る作業車両の目標経路の一例を示す図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係る自動走行システムによって実行される設定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図11A図11Aは、本発明の実施形態に係る作業車両の目標経路の一例を示す図である。
図11B図11Bは、本発明の実施形態に係る作業車両の目標経路の一例を示す図である。
図12A図12Aは、本発明の実施形態に係る排出位置の一例を示す図である。
図12B図12Bは、本発明の実施形態に係る排出領域の一例を示す図である。
図13図13は、本発明の実施形態に係る一の作業車両の作業順序(作業時刻)の一例を示す図である。
図14図14は、本発明の実施形態に係る他の作業車両の作業順序(作業時刻)の一例を示す図である。
図15A図15Aは、本発明の実施形態に係る外周作業範囲及び内周作業範囲の一例を示す図である。
図15B図15Bは、本発明の実施形態に係る外周作業範囲及び内周作業範囲の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る自動走行システム1は、作業車両10と操作端末20とを含んでいる。また、自動走行システム1には、複数の作業車両10が含まれる。各作業車両10と操作端末20とは、通信網N1を介して通信可能である。例えば、各作業車両10と操作端末20とは、携帯電話回線網、パケット回線網、又は無線LANを介して通信可能である。なお、本実施形態では、操作端末20は、複数の作業車両10に関する作業情報を設定及び管理する機器であり、例えば管理装置、サーバー装置、クラウドサーバーなどで構成されてもよい。また、他の実施形態として、操作端末20は、作業車両10ごとに配置され、1台の操作端末20が1台の作業車両10を操作可能に構成されてもよい。
【0014】
本実施形態では、作業車両10がトラクターである場合を例に挙げて説明する。なお、他の実施形態として、作業車両10は、田植機、コンバイン、建設機械、又は除雪車などであってもよい。作業車両10は、作業領域である圃場内を予め設定された目標経路に従って自動走行(自律走行)可能な構成を備えている。また、作業車両10は、圃場内において自動走行しながら所定の作業を行うことが可能である。例えば、各作業車両10は、測位装置16により算出される作業車両10の現在位置の位置情報に基づいて、圃場内において予め設定された目標経路に従って自動走行しながら所定の作業を行う。
【0015】
例えば、作業車両10aは、図3に示す圃場Fにおいて、予め設定された目標経路R1に従って自動走行しながら草刈作業を行う。作業車両10aには、左右方向の中心に対して一方側(図3では右側)にオフセットした位置に作業機14(草刈機)が装着されている。目標経路R1には、複数列に配列された直線状の作業経路R11~R16と、作業経路R11~R16を接続する旋回経路R1a、R1bとが含まれる。作業車両10aは、目標経路R1に従って、圃場Fにおいて外周側から内周側へ向かって渦巻状に走行しながら草刈作業を行う。例えば図3に示すように、作業車両10aは、作業経路R11、R12、R13、R14、R15、R16を順に走行する。図3において、符号A1は、作業車両10aの作業範囲(草刈範囲)を示している。符号A11は、作業車両10aが作業経路R11を走行したときに作業が行われる作業済領域を示し、符号A12は、作業車両10aが作業経路R12を走行したときに作業が行われる作業済領域を示している。同様に、符号A13~A16は作業経路R13~R16に対応する作業済領域を示している。
【0016】
また例えば、作業車両10bは、図4に示す圃場Fにおいて、予め設定された目標経路R2に従って自動走行しながら集草作業を行う。作業車両10bは、作業車両10aが刈り取った草を中心位置に掻き集める。作業車両10bには、刈り取られた草を集草する作業機14(レーキ)が装着されている。目標経路R2には、複数列に配列された直線状の作業経路R21~R24と、作業経路R21~R24を接続する旋回経路R2a、R2bとが含まれる。作業車両10bは、目標経路R2に従って、圃場Fにおいて外周側から内周側へ向かって渦巻状に走行しながら集草作業を行う。例えば図4に示すように、作業車両10bは、作業経路R21、R22、R23、R24を順に走行する。図4において、符号A2は、作業車両10bの作業範囲(集草範囲)を示している。符号A21は、作業車両10bが作業経路R21を走行したときに作業が行われる作業済領域を示し、符号A22は、作業車両10bが作業経路R22を走行したときに作業が行われる作業済領域を示している。同様に、符号A23、A24は作業経路R23、R24に対応する作業済領域を示している。
【0017】
このように、作業車両10a及び作業車両10bのそれぞれは同一の圃場Fにおいて連携して作業を行う。例えば、作業車両10aは先行して作業(草刈作業)を開始し、作業車両10bは作業車両10aの作業開始後に作業(集草作業)を開始する。
【0018】
ここで、作業車両10a、10bが異なる作業機14を装着すると作業開始位置、作業終了位置、作業幅などが異なり、各作業車両が作業を行う作業範囲に違いが生じる場合がある。例えば図5に示すように、作業車両10aに草刈機が装着され、作業車両10bに集草機(レーキ)が装着される場合、レーキのサイズ(横幅)と草刈機のサイズ(横幅)とが異なるため、作業車両10bに設定される作業範囲(作業面積)A2と作業車両10aに設定される作業範囲A1とに違いが生じる場合がある。このため、従来の技術では、作業車両10aが作業した領域のうち作業車両10bの作業が行われない領域(未作業領域B1)が生じたり、作業車両10aが作業していない領域を作業車両10bが作業することで無駄な作業領域が生じたりするなど、作業効率が低下する問題が生じる。これに対して、本実施形態に係る自動走行システム1では、以下に示すように、圃場Fにおける複数の作業車両10による作業の作業効率を向上させることが可能である。
【0019】
なお、自動走行システム1は、3台以上の作業車両10が含まれてもよい。例えば、作業車両10cが、同一の圃場Fにおいて所定の作業を行ってもよい。例えば、作業車両10cは、作業機14(ロールベーラ)を備え、作業車両10bが集草した草を機体内に取り込んでロール状に成型して排出する作業(成型作業)を行う。作業車両10cを含む自動走行システム1については後述する(図11A等参照)。
【0020】
[作業車両10]
図1及び図2に示すように、作業車両10は、車両制御装置11、記憶部12、走行装置13、作業機14、通信部15、測位装置16などを備える。車両制御装置11は、記憶部12、走行装置13、作業機14、測位装置16などに電気的に接続されている。なお、車両制御装置11及び測位装置16は、無線通信可能であってもよい。なお、作業車両10a及び作業車両10bにおいて共通する構成を説明する際は「作業車両10」と称す。
【0021】
通信部15は、作業車両10を有線又は無線で通信網N1に接続し、通信網N1を介して操作端末20などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。作業車両10は、通信部15を介して操作端末20のそれぞれと無線通信を行うことが可能である。
【0022】
記憶部12は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。記憶部12には、車両制御装置11に自動走行処理を実行させるための自動走行プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記自動走行プログラムは、フラッシュROM、EEPROM、CD、又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、所定の読取装置(不図示)で読み取られて記憶部12に記憶される。なお、前記自動走行プログラムは、サーバー(不図示)から通信網N1を介して作業車両10にダウンロードされて記憶部12に記憶されてもよい。また、記憶部12には、操作端末20において生成される目標経路の経路データが記憶されてもよい。
【0023】
走行装置13は、作業車両10を走行させる駆動部である。図2に示すように、走行装置13は、エンジン131(駆動源)、前輪132、後輪133、トランスミッション134、フロントアクスル135、リアアクスル136、ハンドル137などを備える。なお、前輪132及び後輪133は、作業車両10の左右にそれぞれ設けられている。また、走行装置13は、前輪132及び後輪133を備えるホイールタイプに限らず、作業車両10の左右に設けられるクローラを備えるクローラタイプであってもよい。
【0024】
エンジン131は、不図示の燃料タンクに補給される燃料を用いて駆動するディーゼルエンジン又はガソリンエンジンなどの駆動源である。走行装置13は、エンジン131とともに、又はエンジン131に代えて、電気モーターを駆動源として備えてもよい。なお、エンジン131には、不図示の発電機が接続されており、当該発電機から作業車両10に設けられた車両制御装置11等の電気部品及びバッテリー等に電力が供給される。なお、前記バッテリーは、前記発電機から供給される電力によって充電される。そして、作業車両10に設けられている車両制御装置11及び測位装置16等の電気部品は、エンジン131の停止後も前記バッテリーから供給される電力により駆動可能である。
【0025】
エンジン131の駆動力は、トランスミッション134及びフロントアクスル135を介して前輪132に伝達され、トランスミッション134及びリアアクスル136を介して後輪133に伝達される。また、エンジン131の駆動力は、PTO軸(不図示)を介して作業機14にも伝達される。作業車両10が自動走行を行う場合、走行装置13は、車両制御装置11の命令に従って走行動作を行う。
【0026】
作業機14は、例えば草刈機、耕耘機、播種機、プラウ、施肥機、散布機などであって、作業車両10に着脱可能である。これにより、作業車両10は、作業機14各々を用いて各種の作業を行うことが可能である。図2には、作業機14が草刈機である場合を示している。
【0027】
ハンドル137は、オペレータ又は車両制御装置11によって操作される操作部である。例えば走行装置13では、車両制御装置11によるハンドル137の操作に応じて、不図示の油圧式パワーステアリング機構などによって前輪132の角度が変更され、作業車両10の進行方向が変更される。オペレータが例えばティーチング操作を行う場合、オペレータはハンドル137を操作して作業車両10を手動走行させる。
【0028】
また、走行装置13は、ハンドル137の他に、車両制御装置11によって操作される不図示のシフトレバー、アクセル、ブレーキ等を備える。そして、走行装置13では、車両制御装置11による前記シフトレバーの操作に応じて、トランスミッション134のギアが前進ギア又はバックギアなどに切り替えられ、作業車両10の走行態様が前進又は後進などに切り替えられる。また、車両制御装置11は、前記アクセルを操作してエンジン131の回転数を制御する。また、車両制御装置11は、前記ブレーキを操作して電磁ブレーキを用いて前輪132及び後輪133の回転を制動する。なお、車両制御装置11は、電磁ブレーキに代えて、他の周知のブレーキシステムを用いて前輪132及び後輪133の回転を制動してもよい。
【0029】
測位装置16は、測位制御部161、記憶部162、通信部163、及び測位用アンテナ164などを備える機器である。例えば、測位装置16は、図2に示すように、オペレータが搭乗するキャビン138の上部に設けられている。また、測位装置16の設置場所はキャビン138に限らない。さらに、測位装置16の測位制御部161、記憶部162、通信部163、及び測位用アンテナ164は、作業車両10において異なる位置に分散して配置されていてもよい。なお、前述したように測位装置16には前記バッテリーが接続されており、測位装置16は、エンジン131の停止中も稼働可能である。また、測位装置16として、例えば携帯電話端末、スマートフォン、又はタブレット端末などが代用されてもよい。
【0030】
測位制御部161は、一又は複数のプロセッサーと、不揮発性メモリ及びRAMなどの記憶メモリとを備えるコンピュータシステムである。記憶部162は、測位制御部161に測位処理を実行させるためのプログラム、及び測位情報、移動情報などのデータを記憶する不揮発性メモリなどである。例えば、前記プログラムは、フラッシュROM、EEPROM、CD、又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、所定の読取装置(不図示)で読み取られて記憶部162に記憶される。なお、前記プログラムは、サーバー(不図示)から通信網N1を介して測位装置16にダウンロードされて記憶部162に記憶されてもよい。
【0031】
通信部163は、測位装置16を有線又は無線で通信網N1に接続し、通信網N1を介して基地局(不図示)などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0032】
測位用アンテナ164は、衛星から発信される電波(GNSS信号)を受信するアンテナである。
【0033】
測位制御部161は、測位用アンテナ164が衛星から受信するGNSS信号に基づいて作業車両10の現在位置を算出する。例えば、作業車両10が圃場Fを自動走行する場合に、測位用アンテナ164が複数の衛星のそれぞれから発信される電波(発信時刻、軌道情報など)を受信すると、測位制御部161は、測位用アンテナ164と各衛星との距離を算出し、算出した距離に基づいて作業車両10の現在位置(緯度及び経度)を算出する。また、測位制御部161は、作業車両10に近い基地局(基準局)に対応する補正情報を利用して作業車両10の現在位置を算出する、リアルタイムキネマティック方式(RTK-GNSS測位方式(RTK方式))による測位を行ってもよい。このように、作業車両10は、RTK方式による測位情報を利用して自動走行を行う。なお、作業車両10の現在位置は、測位位置(例えば測位用アンテナ164の位置)と同一位置であってもよいし、測位位置からずれた位置であってもよい。
【0034】
車両制御装置11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、車両制御装置11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより作業車両10を制御する。
【0035】
車両制御装置11は、作業車両10に対する各種のユーザー操作に応じて当該作業車両10の動作を制御する。また、車両制御装置11は、測位装置16により算出される作業車両10の現在位置と、予め設定される目標経路とに基づいて、作業車両10の自動走行処理を実行する。
【0036】
車両制御装置11は、前記CPUで前記自動走行プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記自動走行プログラムは、複数のプロセッサーを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0037】
具体的には、車両制御装置11は、操作端末20から走行開始指示を取得すると作業車両10の自動走行を開始させる。例えば、操作端末20の操作画面においてオペレータがスタートボタンを押下すると、操作端末20は走行開始指示を作業車両10に出力する。車両制御装置11は、操作端末20から走行開始指示を取得すると、作業車両10の自動走行を開始させる。これにより、例えば、作業車両10aは、圃場F内において目標経路R1(図3参照)に従って自動走行を開始し、作業機14による作業(例えば草刈作業)を開始する。また、作業車両10bは、圃場F内において目標経路R2(図4参照)に従って自動走行を開始し、作業機14による作業(例えば集草作業)を開始する。なお、作業車両10bは、オペレータによる走行開始指示により作業車両10aが自動走行を開始した後、所定のタイミングで自動走行を開始してもよい。
【0038】
なお、作業車両10aが自動走行する目標経路R1と、作業車両10bが自動走行する目標経路R2とは、例えば操作端末20において生成される。作業車両10aは、操作端末20から目標経路R1に対応する経路データを取得して目標経路R1に従って自動走行し、作業車両10bは、操作端末20から目標経路R2に対応する経路データを取得して目標経路R2に従って自動走行する。
【0039】
また、車両制御装置11は、操作端末20から走行停止指示を取得すると作業車両10の自動走行を停止させる。例えば、操作端末20の操作画面においてオペレータがストップボタンを押下すると、操作端末20は走行停止指示を作業車両10に出力する。
【0040】
[操作端末20]
図1に示すように、操作端末20は、制御部21、記憶部22、操作表示部23、及び通信部24などを備える情報処理装置である。操作端末20は、圃場Fを管理する事務所に配置される管理装置であってもよいし、遠隔地に配置されるサーバー(例えばクラウドサーバー)であってもよい。また、操作端末20は、タブレット端末、スマートフォンなどの携帯端末で構成されてもよい。
【0041】
通信部24は、操作端末20を有線又は無線で通信網N1に接続し、通信網N1を介して複数の作業車両10などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0042】
操作表示部23は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、操作を受け付けるタッチパネル、マウス、又はキーボードのような操作部とを備えるユーザーインターフェースである。オペレータ(ユーザー)は、表示部に表示される操作画面において、前記操作部を操作して各種情報(後述の作業車両情報、圃場情報、作業情報など)を登録する操作を行うことが可能である。また、オペレータは、前記操作部を操作して作業車両10に対する走行開始指示、走行停止指示などを行うことが可能である。さらに、オペレータは、作業車両10から離れた場所において、操作端末20に表示される走行軌跡により、圃場Fにおいて目標経路に従って自動走行する作業車両10の走行状態を把握することが可能である。
【0043】
記憶部22は、各種の情報を記憶するHDD又はSSDなどの不揮発性の記憶部である。記憶部22には、制御部21に後述の設定処理(図10参照)を実行させるための設定プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記設定プログラムは、サーバー(不図示)から通信網N1(例えばインターネット)を介して操作端末20にダウンロードされて記憶部22に記憶される。なお、前記設定プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、操作端末20が備えるCDドライブ又はDVDドライブなどの読取装置(不図示)で読み取られて記憶部22に記憶されてもよい。
【0044】
また、記憶部22には、作業車両10の自動走行させるための専用アプリケーションがインストールされている。制御部21は、前記専用アプリケーションを起動させて、作業車両10に関する各種情報の設定処理、作業車両10の目標経路の生成処理、作業車両10に対する自動走行指示などを行う。
【0045】
図1に示すように、制御部21は、設定処理部211、生成処理部212、及び出力処理部213などの各種の処理部を含む。なお、制御部21は、前記CPUで前記設定プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記設定プログラムは、複数のプロセッサーを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0046】
設定処理部211は、作業車両10(トラクター)に関する情報(以下、作業車両情報という。)を設定する。具体的には、設定処理部211は、作業車両10の機種、作業車両10において測位用アンテナ164が取り付けられている位置、作業機14の種類、作業機14のサイズ及び形状、作業機14の作業車両10に対する位置、作業車両10の作業中の車速及びエンジン回転数、作業車両10の旋回中の車速及びエンジン回転数等の情報について、オペレータが操作端末20において登録する操作を行うことにより当該情報を設定する。
【0047】
例えば、設定処理部211は、オペレータが設定画面において、作業車両10a、作業車両10aによる作業内容、作業車両10aに装着する作業機14の種類、作業機14の情報(作業幅、オーバーラップ幅など)を入力する操作を行うと、当該操作に応じて作業車両10aの情報を設定する。
【0048】
同様に、例えば、設定処理部211は、オペレータが設定画面において、作業車両10b、作業車両10bによる作業内容、作業車両10bに装着する作業機14の種類、作業機14の情報(作業幅、オーバーラップ幅など)を入力する操作を行うと、当該操作に応じて作業車両10bの情報を設定する。ここでは、設定処理部211は、作業車両10aに対して草刈機による草刈作業を設定し、作業車両10bに対してレーキによる集草作業を設定する。
【0049】
また、設定処理部211は、圃場F及び作業領域(作業範囲)に関する情報(以下、圃場情報という。)を設定する。設定処理部211は、圃場Fの位置及び形状、作業範囲の位置及び形状、自動走行させたい走行開始位置及び走行終了位置等の情報について、オペレータが操作端末20において登録する操作を行うことにより当該情報を設定する。
【0050】
圃場Fの位置及び形状の情報は、例えばオペレータが作業車両10に搭乗して圃場Fの外周に沿って一回り周回するように運転し、そのときの測位用アンテナ164の位置情報の推移を記録することで、自動的に取得することができる。また、圃場Fの位置及び形状は、操作端末20に地図を表示させた状態でオペレータが操作端末20を操作して当該地図上の複数の点を指定することで得られた多角形に基づいて取得することもできる。
【0051】
また、設定処理部211は、作業機14の情報に基づいて作業範囲を設定する。例えば、設定処理部211は、作業車両10aに装着される作業機14(草刈機)の作業幅及びオーバーラップ幅(隣り合う作業幅同士の重なり幅)、枕地領域(外周作業範囲)における旋回半径などの情報に基づいて、圃場Fに対する作業範囲A1(内周作業範囲)を設定する(図3参照)。同様に、設定処理部211は、作業車両10bに装着される作業機14(レーキ)の作業幅及びオーバーラップ幅、枕地領域における旋回半径などの情報に基づいて、圃場Fに対する作業範囲A2(内周作業範囲)を設定する(図4参照)。
【0052】
生成処理部212は、前記各設定情報に基づいて、圃場Fにおいて作業車両10を自動走行させる目標経路を生成する。具体的には、生成処理部212は、作業車両10aに対応する圃場F内の作業範囲A1、作業幅、走行開始位置及び走行終了位置などの作業情報に基づいて、目標経路R1(図3参照)を生成する。また、生成処理部212は、作業車両10bに対応する圃場F内の作業範囲A2、作業幅、走行開始位置及び走行終了位置などの作業情報に基づいて、目標経路R2(図4参照)を生成する。
【0053】
ここで、作業範囲A1、A2の大きさ(面積)が互いに異なる場合(図5参照)、未作業領域B1が生じる可能性がある。そこで、設定処理部211は、複数の作業範囲の大きさが互いに異なる場合に、複数の作業範囲を調整(再設定)する処理を実行する。
【0054】
具体的には、設定処理部211は、作業範囲A1、A2のうち大きさ(面積)が大きい方の作業範囲A1を、大きさが小さい方の作業範囲A2に合わせる。すなわち、設定処理部211は、作業車両10aに対して、作業車両10bの作業範囲A2を設定する。この場合、生成処理部212は、作業範囲A2を基準にして目標経路R1を生成する。
【0055】
このように、作業範囲A2の大きさが作業範囲A1の大きさよりも小さく、かつ作業範囲A2の位置が作業範囲A1内に位置する場合に、作業範囲A1の位置が作業範囲A2の位置に合うように、各作業範囲を設定して目標経路R1、R2を生成する。
【0056】
また、例えば、作業車両10aに対して作業範囲A2を設定した場合、作業範囲A2の左右方向の幅(横幅)が作業機14(草刈機)の作業幅で割り切れなくなる場合がある。この場合、設定処理部211は、作業範囲A2に対応する目標経路R1(作業経路)の基準を、作業範囲A2の両端辺(複数の作業列が並ぶ方向の両端辺)のいずれかに設定する。若しくは、設定処理部211は、作業範囲A2の左右方向の幅(横幅)が作業機14(草刈機)の作業幅で割り切れるように、作業車両10の車体に対する作業機14の左右方向のオフセット量を調整する。
【0057】
例えば、設定処理部211は、作業車両10aの目標経路R1の経路生成の基準について、作業範囲A2の辺A(左辺:第1端辺)を基準とするか、作業範囲A2の辺B(右辺:第2端辺)を基準とするか、又は、作業機14のオフセット量を調整するかを選択する操作をオペレータから受け付け、当該操作に基づいて、作業車両10aの作業範囲A1を設定し、生成処理部212は、設定された作業範囲A1の目標経路R1を生成する。例えば、オペレータは、図6に示す設定画面D1において、第1設定方法(辺Aを基準に作業範囲A1、A2を合わせる方法)を選択する選択ボタンK1、第2設定方法(辺Bを基準に作業範囲A1、A2を合わせる方法)を選択する選択ボタンK2、第3設定方法(オフセット量を調整して作業範囲A1、A2を合わせる方法)を選択する選択ボタンK3のいずれかを選択する。
【0058】
オペレータが設定画面D1において選択ボタンK1を選択すると、生成処理部212は、図7に示すように、作業範囲A2の辺A(左辺)を基準として、作業経路R11、R12、R13、R14、R15、R16、…を含む目標経路R1を生成する。
【0059】
またオペレータが設定画面D1において選択ボタンK2を選択すると、生成処理部212は、図8に示すように、作業範囲A2の辺B(右辺)を基準として、作業経路R11、R12、R13、R14、R15、R16、…を含む目標経路R1を生成する。
【0060】
またオペレータが設定画面D1において選択ボタンK3を選択すると、生成処理部212は、図9に示すように、作業車両10aによる作業範囲が作業範囲A2に一致するようにオフセット量を調整して、作業経路R11、R12、R13、R14、R15、R16、…を含む目標経路R1を生成する。なお、設定処理部211は、オフセット量に代えて、オーバーラップ幅を調整してもよい。
【0061】
このように、制御部21は、第1作業及び第2作業のそれぞれの作業情報に基づいて、作業車両10aの目標経路R1と作業車両10bの目標経路R2とを生成する。具体的には、制御部21は、第1作業の作業範囲A1と、第2作業の作業範囲A2とに基づいて、目標経路R1と目標経路R2とを生成する。例えば、制御部21は、作業車両10aの作業範囲A1と、作業車両10bの作業範囲A2とが異なる場合に、作業範囲A1、A2の少なくともいずれかの端辺(複数の作業列が並ぶ方向の端辺)が一致するように、作業範囲を設定するとともに目標経路R1、R2を生成する。また、制御部21は、作業範囲A1における複数の作業列が並ぶ方向の端辺が、作業範囲A2における複数の作業列が並ぶ方向の端辺(辺A又は辺B)に一致するように、作業範囲A1を設定する。
【0062】
また、設定処理部211は、作業範囲A1及び作業範囲A2のそれぞれにおける辺A同士を互いに一致させるか、作業範囲A1及び作業範囲A2のそれぞれにおける辺B同士を互いに一致させるか、又は、作業範囲A1及び作業範囲A2のそれぞれにおける辺A同士及び辺B同士を互いに一致させるか、を選択する操作を受け付け、生成処理部212は、当該操作に基づいて、目標経路R1、R2を生成する。
【0063】
また、設定処理部211は、作業車両10aの各作業列の第1作業幅と作業車両10bの各作業列の第2作業幅とが互いに異なる場合に、前記第1作業幅及び前記第2作業幅に基づいて、目標経路R1に含まれる作業経路の間隔と、目標経路R2に含まれる作業経路の間隔とを設定してもよい。例えば、設定処理部211は、オフセット量、オーバーラップ幅などを調整して前記各間隔を設定することにより、各作業範囲の大きさを一致させる。
【0064】
他の実施形態として、設定処理部211は、作業範囲A1、A2の設定方法の選択操作を受け付けてもよい。例えば、設定処理部211は、作業範囲A1、A2のそれぞれにおける辺A(左辺:第1端辺)同士を互いに一致させるか(第1設定方法)、作業範囲A1、A2のそれぞれにおける辺B(右辺:第2端辺)同士を互いに一致させるか(第2設定方法)、又は、作業範囲A1、A2のそれぞれにおける辺A同士及び辺B同士のそれぞれを互いに一致させるか(第3設定方法)、を選択する操作をオペレータから受け付け、当該操作に基づいて、作業範囲A1、A2を設定する。この場合、生成処理部212は、設定された作業範囲A1に対して目標経路R1を生成し、設定された作業範囲A2に対して目標経路R2を生成する。
【0065】
出力処理部213は、生成処理部212が生成した目標経路の経路データを作業車両10に出力する。具体的には、出力処理部213は、目標経路R1の経路データを作業車両10aに出力し、目標経路R2の経路データを作業車両10bに出力する。
【0066】
各作業車両10は、操作端末20において生成された経路データが作業車両10に転送されると、経路データを記憶部12に記憶する。作業車両10は、測位用アンテナ164により作業車両10の現在位置を検出しつつ前記経路データに基づいて自動走行処理を実行する。
【0067】
例えば、作業車両10aは、現在位置が圃場Fの走行開始位置と一致している場合に、オペレータにより操作画面においてスタートボタンが押下されて走行開始指示が与えられると、作業車両10aの車両制御装置11によって、目標経路R1に従って自動走行を開始する。また例えば、作業車両10bは、現在位置が圃場Fの走行開始位置と一致している場合に、オペレータにより操作画面においてスタートボタンが押下されて走行開始指示が与えられると、作業車両10bの車両制御装置11によって、目標経路R2に従って自動走行を開始する。なお、オペレータによる一度の走行開始指示に基づいて、作業車両10a及び作業車両10bのそれぞれが所定のタイミングで自動走行を開始してもよい。
【0068】
本実施形態では、自動走行システム1は、圃場Fにおいて、目標経路R1に従って作業車両10aを自動走行させ、作業車両10aの自動走行を開始させた後に、目標経路R2に従って作業車両10bを自動走行させる。また、自動走行システム1は、圃場Fにおいて、作業車両10aの自動走行を開始させた後に、作業車両10aの作業位置に基づいて作業車両10bの自動走行を開始させる。
【0069】
オペレータは、作業車両10a、10bが自動走行している間、操作端末20において、圃場F内における走行状態、作業状況などを把握することが可能である。
【0070】
なお、操作端末20は、作業車両10ごとに1台ずつ配置されてもよい。この場合、各操作端末20は、サーバーが提供する農業支援サービスのウェブサイト(農業支援サイト)に通信網N1を介してアクセス可能であってもよい。また、操作端末20は、制御部21によってブラウザプログラムが実行されることにより、前記サーバーの操作用端末として機能することが可能である。また、前記サーバーは、上述の各処理部を備え、各処理を実行する。例えば、前記サーバーは、作業車両10ごとに作業情報を設定し、各作業車両10に対応するそれぞれの操作端末20に作業情報(経路データなど)をダウンロードする。
【0071】
[設定処理]
以下、図10を参照しつつ、操作端末20の制御部21によって実行される前記設定処理の一例について説明する。例えば、前記設定処理は、制御部21がオペレータから作業車両10の目標経路を生成する指示を受け付けた場合に制御部21によって開始される。
【0072】
なお、本願発明は、制御部21により前記設定処理の一部又は全部を実行する設定方法(本発明の設定方法の一例)の発明、又は、当該設定方法の一部又は全部を制御部21に実行させるための設定プログラム(本発明の設定プログラムの一例)の発明として捉えてもよい。また、前記設定処理は、一又は複数のプロセッサーが実行してもよい。
【0073】
ステップS1において、制御部21は、目標経路を生成するための各種の設定情報を取得する。具体的には、制御部21は、オペレータにより登録される前記作業車両情報、前記圃場情報、及び前記作業情報を取得する。ここでは、制御部21は、圃場Fにおいて草刈作業を行う作業車両10aに対応する作業情報と、作業車両10aが刈り取った草を集草する作業車両10bに対応する設定情報とを取得する。
【0074】
次に、ステップS2において、制御部21は、作業範囲を設定する。具体的には、制御部21は、前記各設定情報に基づいて、圃場Fにおける作業車両10aの作業範囲A1(図3参照)と、圃場Fにおける作業車両10bの作業範囲A2(図4参照)とを設定する。
【0075】
次に、ステップS3において、制御部21は、作業範囲A1、A2の位置及び大きさが異なるか否かを判定する。制御部21は、作業範囲A1、A2の位置及び大きさが異なる場合(S3:Yes)、処理をステップS4に移行させる。一方、制御部21は、作業範囲A1、A2の位置及び大きさが同一である場合(S3:No)、処理をステップS5に移行させる。
【0076】
ステップS4では、制御部21は、オペレータから目標経路の経路生成の基準の選択操作(又は作業範囲の設定方法の選択操作)を受け付ける。具体的には、制御部21は、面積が大きい方の作業範囲A1を作業する作業車両10aの目標経路R1の経路生成の基準について、図6に示す設定画面D1において、作業範囲A2の辺A(左辺)を基準とするか、作業範囲A2の辺B(右辺)を基準とするか、又は、作業機14のオフセット量を調整するかを選択する操作をオペレータから受け付ける。
【0077】
ステップS5では、制御部21は、目標経路を生成する。ここでは、制御部21は、作業車両10aの目標経路R1と、作業車両10bの目標経路R2とを生成する。
【0078】
例えば、作業範囲A1、A2の位置及び大きさが同一である場合(S3:No)、制御部21は、作業範囲A1に対して目標経路R1を生成し、作業範囲A2に対して目標経路R2を生成する。
【0079】
一方、例えば、作業範囲A1、A2の位置及び大きさが異なる場合(S3:Yes)、制御部21は、作業範囲A2に対して目標経路R2を生成するとともに、ステップS4において選択された経路生成の基準に基づいて作業車両10aの目標経路R1を生成する。
【0080】
例えば、オペレータが設定画面D1において選択ボタンK1を選択すると、制御部21は、図7に示すように、作業範囲A2の辺A(左辺)を基準として、作業車両10aの目標経路R1を生成する。ここで、制御部21は、作業範囲A1の左辺が作業範囲A2の辺Aに一致するように作業範囲A1及び目標経路R1を設定した場合に作業車両10aが圃場Fからはみ出してしまう場合には、作業範囲A1の大きさを調整してもよい。例えば、制御部21は、目標経路R1の作業経路の本数を減らしてもよいし、作業機14のオフセット量を調整してもよい。なお、作業範囲A1の左辺が作業範囲A2の辺Aに一致するように作業範囲A1及び目標経路R1を設定した場合に作業車両10aが圃場Fからはみ出さない場合には、制御部21は、作業範囲A1のうち作業範囲A2外の部分を、外周作業範囲の作業経路として生成してもよい。これにより、例えば、作業車両10bは、作業範囲A2外の草(作業車両10aが作業経路R12の作業において刈り取った草(図7参照))を、外周作業時に集草することができる。また、作業車両10bは、オペレータによる手動操舵によって、外周作業時に作業範囲A2外の草を集草してもよい。
【0081】
また例えば、オペレータが設定画面D1において選択ボタンK2を選択すると、制御部21は、図8に示すように、作業範囲A2の辺B(右辺)を基準として、作業車両10bの目標経路R1を生成する。なお、制御部21は、上記構成と同様に、作業範囲A1の右辺が作業範囲A2の辺Bに一致するように作業範囲A1及び目標経路R1を設定した場合に作業車両10aが圃場Fからはみ出してしまう場合には、目標経路R1の作業経路の本数を減らしたり、作業機14のオフセット量を調整したりすることによって、作業範囲A1の大きさを調整してもよい。これにより、例えば、作業車両10bは、作業範囲A2外の草(作業車両10aが作業経路R11の作業において刈り取った草(図8参照))を、外周作業時に集草することができる。また、作業車両10bは、オペレータによる手動操舵によって、外周作業時に作業範囲A2外の草を集草してもよい。
【0082】
また例えば、オペレータが設定画面D1において選択ボタンK3を選択すると、制御部21は、図9に示すように、作業車両10aによる作業範囲が作業範囲A2に一致するようにオフセット量(又はオーバーラップ幅)を調整して、作業車両10aの目標経路R1を生成する。
【0083】
なお、上述した例では、作業範囲A2の大きさが作業範囲A1の大きさよりも小さい場合を示している。他の例として、制御部21は、作業範囲A1の大きさが作業範囲A2の大きさよりも小さい場合も同様の処理を実行する。
【0084】
例えば、制御部21は、作業範囲A1の左辺を基準として、作業車両10bの目標経路R2を生成する。ここで、制御部21は、作業範囲A2の左辺が作業範囲A1の左辺に一致するように作業範囲A2及び目標経路R2を設定した場合に作業車両10bが圃場Fからはみ出してしまう場合には、作業範囲A2の大きさを調整してもよい。例えば、制御部21は、目標経路R2の作業経路の本数を減らしてもよいし、作業機14のオフセット量を調整してもよい。また、制御部21は、作業範囲A2が作業範囲A1よりも小さくなるように作業範囲及び目標経路R2を設定してもよい。なお、作業範囲A2の左辺が作業範囲A1の左辺に一致するように作業範囲A2及び目標経路R2を設定した場合に作業車両10bが圃場Fからはみ出さない場合には、作業範囲A2の大きさの調整は不要である。
【0085】
また例えば、制御部21は、作業範囲A1の右辺を基準として、作業車両10bの目標経路R1を生成する。なお、制御部21は、上記構成と同様に、作業範囲A2の右辺が作業範囲A1の右辺に一致するように作業範囲A2及び目標経路R2を設定した場合に作業車両10bが圃場Fからはみ出してしまう場合には、目標経路R2の作業経路の本数を減らしたり、作業機14のオフセット量を調整したりすることによって、作業範囲A2の大きさを調整してもよい。
【0086】
また例えば、制御部21は、作業車両10bによる作業範囲が作業範囲A1に一致するようにオフセット量(又はオーバーラップ幅)を調整して、作業車両10bの目標経路R2を生成してもよい。
【0087】
ここで、作業機14のオフセット量を調整する構成の場合、例えば作業経路の間隔が狭くなるようにオフセット量を調整すると、作業経路の本数が増加し、作業効率が低下することが考えられる。そこで、制御部21は、オフセット量の閾値(上限値又は下限値)又は作業経路の上限本数を設定可能であってもよい。制御部21は、オフセット量の閾値又は作業経路の上限本数に基づいて、作業範囲及び目標経路を設定する。この場合、第1作業範囲の一方側の辺と第2作業範囲の一方側の辺とが一致し、第1作業範囲の他方側の辺と第2作業範囲の他方側の辺とが一致しない構成であってもよい。
【0088】
また、他の実施形態として、制御部21は、作業範囲A1及び作業範囲A2の両方の大きさを調整してもよい。例えば制御部21は、作業範囲A1及び作業範囲A2のそれぞれの大きさ及び位置が一致又は近付くように、各作業のオフセット量の閾値又は作業経路の上限本数に基づいて、作業範囲及び目標経路を設定してもよい。
【0089】
また、他の実施形態として、制御部21は、オペレータから作業範囲を調整するか否かを選択する操作を受付可能な構成であってもよい。この構成では、制御部21は、オペレータが作業範囲を調整することを選択した場合に、設定画面D1を表示させて設定方法の選択操作を受け付ける。また、制御部21は、オペレータが作業範囲を調整しないことを選択した場合には、作業範囲を調整することなく各作業範囲に対応する目標経路を生成する。
【0090】
ステップS5の後、制御部21は、ステップS6において、生成した目標経路の経路データを作業車両10に出力する。ここでは、制御部21は、目標経路R1の経路データを作業車両10aに出力し、目標経路R2の経路データを作業車両10bに出力する。作業車両10aは、圃場Fにおいて目標経路R1に従って自動走行しながら草刈作業を行い、その後、作業車両10bは、圃場Fにおいて目標経路R2に従って自動走行しながら集草作業を行う。
【0091】
以上説明したように、本実施形態に係る自動走行システム1は、圃場Fを自動走行する作業車両10aに対して第1作業(例えば草刈作業)を設定し、圃場Fを自動走行する作業車両10bに対して第2作業(例えば集草作業)を設定する。また、自動走行システム1は、前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれの作業情報に基づいて、作業車両10aを自動走行させる目標経路R1と作業車両10bを自動走行させる目標経路R2とを生成する。具体的には、自動走行システム1は、圃場Fのうち第1作業の範囲である作業範囲A1と、圃場Fのうち前記第2作業の範囲である作業範囲A2とに基づいて、目標経路R1と目標経路R1とを生成する。例えば、自動走行システム1は、作業範囲A2の大きさ(面積)が作業範囲A1の大きさよりも小さく、かつ圃場Fにおける作業範囲A2の位置が作業範囲A1内に位置する場合に、作業範囲A1の位置(例えば端辺)が作業範囲A2の位置に合うように、作業範囲A1及び作業範囲A2を設定し、設定した作業範囲A1に対して目標経路R1を生成するとともに、設定した作業範囲A2に対して目標経路R2を生成する。また例えば、自動走行システム1は、作業範囲A1の大きさ(面積)が作業範囲A2の大きさよりも小さく、かつ圃場Fにおける作業範囲A1の位置が作業範囲A2内に位置する場合に、作業範囲A2の位置(例えば端辺)が作業範囲A1の位置に合うように、作業範囲A1及び作業範囲A2を設定し、設定した作業範囲A1に対して目標経路R1を生成するとともに、設定した作業範囲A2に対して目標経路R2を生成する。
【0092】
また、例えば、自動走行システム1は、前記第1作業の各作業列の第1作業幅と前記第2作業の各作業列の第2作業幅とが互いに異なる場合に、前記第1作業幅及び前記第2作業幅に基づいて、目標経路R1に含まれる作業経路の間隔と、目標経路R2に含まれる作業経路の間隔とを設定する。
【0093】
上記構成によれば、前記第1作業の位置と前記第2作業の位置とを合わせることができるため、図5に示す未作業領域B1の発生を抑えることができる、又は、未作業領域B1の大きさを小さくすることができる。例えば、作業車両10aが草を刈った領域に合わせて作業車両10bが集草作業することができるため、集草できない領域(未作業領域B1)を減らすことができる。また、作業車両10aが作業していない領域を作業車両10bが作業することによる無駄な作業領域の発生を防ぐことができる。
【0094】
[他の実施形態]
本発明は上述の実施形態に限定されず、以下の実施形態であってもよい。例えば、自動走行システム1にさらに作業車両10cが含まれる場合に、作業車両10cは、図11Aに示すように、作業車両10bが集草した草を機体内に取り込んでロール状に成型して排出する作業(成型作業)を行う。図11Aにおいて、制御部21は、作業車両10cが作業を行う作業範囲A3を、作業車両10bが作業を行う作業範囲A2と同一の範囲に設定する。また、制御部21は、作業範囲A3に対して作業車両10cの目標経路R3を生成する。例えば、制御部21は、作業車両10bの目標経路R2の作業経路R21~R24(図4参照)と同一位置の作業経路R31~R34(直進経路)を生成する。作業車両10cは、作業経路R31~R34を自動走行しながら、作業車両10bにより各作業列の中心位置に掻き集められた草を機体内に回収する。
【0095】
また他の実施形態として、例えば図11Bに示すように、制御部21は、作業車両10bの目標経路R2の作業経路R21~R24に対して、左右方向にずらしながら走行する作業経路R31~R34(ジグザグ経路)を生成してもよい。これにより、作業車両10cは、成型作業において、より均一なロールを成型することが可能になる。なお、前記ジグザグ経路を予め生成する構成に限定されず、作業車両10cが直進経路を自動走行する際に左右方向にオフセットしながらジグザグ走行する構成としてもよい。また、前記ジグザグ走行させる構成において、各作業列の走行の安定性を高めるために、旋回走行の前後の数メートルの区間についてはジグザグ走行させずに直進走行させてもよい。
【0096】
なお、制御部21は、作業範囲A1、A2、A3について、それぞれの作業情報に基づいて各作業範囲を設定してもよい。例えば、制御部21は、作業範囲A2、A3の位置及び大きさが同一であって、作業範囲A2、A3の大きさが作業範囲A1の大きさよりも小さく、かつ圃場Fにおける作業範囲A2、A3の位置が作業範囲A1内に位置する場合に、作業範囲A1の位置が作業範囲A2、A3の位置に合うように、作業範囲A1を設定し、作業範囲A1に対して目標経路R1を生成する。また例えば、制御部21は、作業範囲A2、A3の位置及び大きさが同一であって、作業範囲A1の大きさが作業範囲A2、A3の大きさよりも小さく、かつ圃場Fにおける作業範囲A1の位置が作業範囲A2、A3内に位置する場合に、作業範囲A2、A3の位置が作業範囲A1の位置に合うように、作業範囲A2、A3を設定し、作業範囲A2、A3に対して目標経路R2、R3を生成する。このように、自動走行システム1は、複数の作業を連携して行う場合に、各作業の情報を考慮して各作業の作業範囲及び目標経路を設定する。
【0097】
ここで、作業車両10cは、成型した成型物(ロール状の草)を予め設定された所定の排出位置で排出してもよい(図12A参照)。前記排出位置は、作業の邪魔にならない位置に設定される。例えば、前記排出位置は、農道に近い位置、成型物を回収及び運搬する運搬車が通る道路に近い位置、空港滑走路から遠い位置などに設定される。この場合、作業車両10cは、成型物を排出する場合に、走行中の作業経路(図12Aでは作業経路R32)から離脱して、移動経路R30に従って前記排出位置まで移動(自動走行)する。移動経路R30は、作業状況に応じて設定されてもよいし、排出位置までの最短距離に基づいて設定されてもよい。
【0098】
また、他の実施形態として、図12Bに示すように、所定の範囲を有する排出領域が設定されてもよい。例えば、作業車両10cは、一又は複数の作業経路ごとに、排出領域内の所定位置に成型物r1を排出する。前記排出領域は、例えば圃場Fの出入口に近い位置、圃場Fに隣接する道路に近い位置などに設定される。
【0099】
運搬車は、前記排出位置(図12A参照)、前記排出領域(図12B参照)で成型物を回収する。また、運搬車は、作業車両10cが成型物を排出したタイミングで成型物の回収作業を開始してもよい。
【0100】
他の実施形態として、自動走行システム1は、作業車両10aの自動走行を開始させた後、所定のタイミングで作業車両10bの自動走行を開始させる。例えば図13に示すように、自動走行システム1は、作業車両10aを時刻t1で作業列「1」の作業を開始させる。作業車両10aは、時刻t2で作業列「1」の作業を終了すると時刻t3で作業列「2」の作業を開始し、時刻t4で作業列「2」の作業を終了すると時刻t5で作業列「3」の作業を開始する。その後、作業車両10aは、作業列「3」~「8」の作業を順に行い、時刻t16で作業列「8」の作業を終了する。
【0101】
一方、図14に示すように、自動走行システム1は、作業車両10bを時刻T1で作業列「11」の作業を開始させる。作業車両10bは、時刻T2で作業列「11」の作業を終了すると時刻T3で作業列「12」の作業を開始し、時刻T4で作業列「12」の作業を終了すると時刻T5で作業列「13」の作業を開始する。その後、作業車両10bは、時刻T6で作業列「13」の作業を終了すると時刻T7で作業列「14」の作業を開始し、時刻T8で作業列「14」の作業を終了する。なお、ここでは、作業車両10bの1つの作業列(作業幅)は、作業車両10aの2つの作業列(作業幅)に相当する。
【0102】
この場合、自動走行システム1は、作業車両10aの自動走行を開始させた後に、作業車両10aの作業位置に基づいて作業車両10bの自動走行を開始させる。具体的には、自動走行システム1は、第1作業(草刈作業)及び第2作業(集草作業)のそれぞれの作業情報に基づいて、作業車両10bの自動走行を開始させるタイミングを設定する。前記各作業情報には、作業列の合計数、各作業列の作業幅、走行方法(周回走行、往復走行など)、及び車速の少なくともいずれかが含まれる。
【0103】
図13及び図14に示す例では、自動走行システム1は、作業車両10aの最終作業列「8」と、作業車両10bの作業列「13」とが隣接し、作業機14同士が接触する可能性がある場合、作業車両10aが最終作業列「8」の作業を終えてから(時刻t16後に)作業車両10bが作業列「13」の作業を開始(時刻T5)するように、作業車両10bの作業開始タイミング(時刻T1)を設定してもよい。
【0104】
他の実施形態として、作業車両10aの作業列数と作業車両10bの作業列数とが同じ場合であって、同じ作業時間(車速)の場合は、作業車両10aが自動走行を開始した後、安全な距離が確保された後に作業車両10bの自動走行を開始させてもよい。また、最終作業列と最終作業列の直前の作業列とが隣接する場合には、作業車両10a及び作業車両10bが干渉するか否かを計算し、干渉する場合に互いに干渉しないように作業車両10bの作業開始タイミングを調整してもよい。また、作業車両10aが最終作業列の作業開始時に、作業車両10bが最終作業列の直前の作業列を作業している場合は、作業車両10aは最終作業列の開始位置の直前で待機してもよい。この場合、作業車両10aは作業車両10bが直前の作業列の作業を終了すると、最終作業列の作業を開始する。そして、作業車両10bは、作業車両10aから安全距離を確保してから最終作業列の作業を開始する。
【0105】
他の実施形態として、自動走行システム1は、第1作業及び第2作業の作業情報に基づいて、外周作業範囲(枕地領域)及び内周作業範囲を設定してもよい。例えば図15Aには、作業車両10aが外周作業範囲を作業(草刈作業)した場合の作業済領域Aa1~Aa3と、作業車両10bが外周作業範囲を作業(集草作業)した場合の作業済領域Ab1、Ab2とを示している。ここで、作業車両10aの作業幅W1と作業車両10bの作業幅W2とが互いに異なる場合、図15Aに示すように、外周作業範囲に基づいて内周作業範囲を設定すると、作業車両10aの内周作業範囲A1と作業車両10bの内周作業範囲A2とが互いに異なる。
【0106】
この場合、作業車両10aが内周作業範囲A1を草刈作業した後に、作業車両10bが内周作業範囲A2を集草作業すると、集草し切れない未作業領域B1(図15A参照)が生じてしまう。そこで、自動走行システム1は、図15Bに示すように、作業車両10aの外周作業範囲が作業車両10bの外周作業範囲よりも広くなるように、外周作業範囲及び内周作業範囲を設定する。図15Bでは、図15Aに一列分の作業列(作業済領域Aa4に相当)が追加されている。すなわち、作業車両10aは、外周作業において内周作業範囲の一部を先行して作業する。この場合、図15Bに示すように、作業車両10aは内周作業範囲A1のうち幅W11の範囲を草刈作業し、その後に、作業車両10bが幅W21の内周作業範囲A2を集草作業する。これにより、作業車両10bは、作業車両10aが外周作業において刈り取った草のうち、外周作業で集草し切れなかった残りの草を内周作業で集草することができる。
【0107】
このように、自動走行システム1は、第1作業及び第2作業のそれぞれの外周作業範囲に基づいて、作業車両10a及び作業車両10bのそれぞれの内周作業範囲及び目標経路R1、R2を設定してもよい。
【0108】
本発明の設定システムは、操作端末20単体で構成されてもよいし、作業車両10及び操作端末20で構成されてもよいし、作業車両10単体で構成されてもよい。また設定システムは、操作端末20に含まれる各処理部を備えたサーバーで構成されてもよい。
【0109】
[発明の付記]
以下、実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0110】
<付記1>
作業領域を自動走行する第1作業車両に対して第1作業を設定することと、
前記作業領域を自動走行する第2作業車両に対して第2作業を設定することと、
前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれの作業情報に基づいて、前記第1作業車両を自動走行させる第1目標経路と前記第2作業車両を自動走行させる第2目標経路とを生成することと、
を実行する設定方法。
【0111】
<付記2>
前記作業領域のうち前記第1作業の範囲である第1作業範囲と、前記作業領域のうち前記第2作業の範囲である第2作業範囲とに基づいて、前記第1目標経路と前記第2目標経路とを生成する、
付記1に記載の設定方法。
【0112】
<付記3>
前記第2作業範囲の大きさが前記第1作業範囲の大きさよりも小さく、かつ前記作業領域における前記第2作業範囲の位置が前記第1作業範囲内に位置する場合に、前記第1作業範囲の位置が前記第2作業範囲の位置に合うように前記第1目標経路と前記第2目標経路とを生成する、
付記2に記載の設定方法。
【0113】
<付記4>
前記第1作業範囲及び前記第2作業範囲のそれぞれにおける、複数の作業列が並ぶ方向の少なくともいずれかの端辺が互いに一致するように、前記第1目標経路と前記第2目標経路とを生成する、
付記2又は3に記載の設定方法。
【0114】
<付記5>
前記第1作業範囲における複数の作業列が並ぶ方向の端辺が、前記第2作業範囲における複数の作業列が並ぶ方向の端辺に一致するように、前記第1作業範囲を設定する、
付記2~4のいずれかに記載の設定方法。
【0115】
<付記6>
前記第1作業範囲及び前記第2作業範囲のそれぞれにおける第1端辺同士を互いに一致させるか、前記第1作業範囲及び前記第2作業範囲のそれぞれにおける第2端辺同士を互いに一致させるか、又は、前記第1作業範囲及び前記第2作業範囲のそれぞれにおける前記第1端辺同士及び前記第2端辺同士を互いに一致させるか、を選択するユーザー操作を受け付け、
前記ユーザー操作に基づいて、前記第1目標経路と前記第2目標経路とを生成する、
付記4又は5に記載の設定方法。
【0116】
<付記7>
前記第1作業の各作業列の第1作業幅と前記第2作業の各作業列の第2作業幅とが互いに異なる場合に、前記第1作業幅及び前記第2作業幅に基づいて、前記第1目標経路に含まれる作業経路の間隔と、前記第2目標経路に含まれる作業経路の間隔とを設定する、
付記1~6のいずれかに記載の設定方法。
【0117】
<付記8>
前記作業領域において、付記1~7のいずれかに記載の設定方法により設定される前記第1目標経路に従って前記第1作業車両を自動走行させることと、
前記第1作業車両の自動走行を開始させた後に、前記作業領域において、付記1~7のいずれかに記載の設定方法により設定される前記第2目標経路に従って前記第2作業車両を自動走行させることと、
を実行する自動走行方法。
【0118】
<付記9>
前記作業領域において、前記第1作業車両の自動走行を開始させた後に、前記第1作業車両の作業位置に基づいて前記第2作業車両の自動走行を開始させる、
付記8に記載の自動走行方法。
【0119】
<付記10>
前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれの作業情報に基づいて、前記第2作業車両の自動走行を開始させるタイミングを設定する、
付記8又は9に記載の自動走行方法。
【0120】
<付記11>
前記第1作業及び前記第2作業のそれぞれの前記作業情報は、作業列の合計数、各作業列の作業幅、走行方法、及び車速の少なくともいずれかを含む、
付記10に記載の自動走行方法。
【符号の説明】
【0121】
1 :自動走行システム
10 :作業車両
10a :作業車両(第1作業車両)
10b :作業車両(第2作業車両)
10c :作業車両
11 :車両制御装置
12 :記憶部
13 :走行装置
14 :作業機
20 :操作端末
21 :制御部
22 :記憶部
23 :操作表示部
24 :通信部
211 :設定処理部
212 :生成処理部
213 :出力処理部
D1 :設定画面
F :圃場(作業領域)
A1 :作業範囲(第1作業範囲)
A2 :作業範囲(第2作業範囲)
A3 :作業範囲
A :(作業範囲の)辺(第1端辺)
A :辺(第2端辺)
B1 :未作業領域
R1 :目標経路(第1目標経路)
R2 :目標経路(第2目標経路)
R3 :目標経路
R11~R16 :作業経路
R21~R24 :作業経路
R31~R34 :作業経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14
図15A
図15B