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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076640
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】歩行型管理機
(51)【国際特許分類】
   A01B 33/08 20060101AFI20240530BHJP
【FI】
A01B33/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188301
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】原 竜太郎
(72)【発明者】
【氏名】富久 聡
(72)【発明者】
【氏名】宮内 正男
(72)【発明者】
【氏名】黒田 恭正
【テーマコード(参考)】
2B033
【Fターム(参考)】
2B033AA06
2B033AB01
2B033AC04
2B033CA07
2B033CA22
2B033CA32
2B033DB22
2B033DB24
2B033ED04
2B033ED13
(57)【要約】
【課題】
メンテナンス性と汎用性を確保する伝動機構を備える歩行型管理機を提供する。
【解決手段】
機体(1)に動力部(E)を備え、前記動力部(E)の下方には前記動力部(E)の動力を伝達する駆動部(K)を備え、機体を操作する操作ハンドル(5)と、駆動部の駆動を停止する停止装置(50)を備え、前記停止装置(50)は取付部材(9)を介して前記操作ハンドル(5)に備えられることを特徴とする歩行型管理機。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体(1)に動力部(E)を備え、前記動力部(E)の下方には前記動力部(E)の動力を伝達する駆動部(K)を備え、機体を操作する操作ハンドル(5)と、駆動部の駆動を停止する停止装置(50)を備え、前記停止装置(50)は取付部材(9)を介して前記操作ハンドル(5)に備えられることを特徴とする歩行型管理機。
【請求項2】
前記操作ハンドル(5)には、取付部材(8)を介してクラッチレバー(6)を備え、前記取付部材(9)は、前記操作ハンドル(5)と前記取付部材(8)の間に配置され、
前記取付部材(9)は、前記操作ハンドル(5)の上部を覆う上面(9a)と、前記取付部材(8)の上面と略平行である斜面(9b)と、前記停止装置(50)を取り付ける取付面(9c)と、前記取付部材(8)に接続する接続面(9d)を備えることを特徴とする請求項1に記載の歩行型管理機。
【請求項3】
前記駆動部(K)には動力伝達を入り切りするテンションアーム(T)を備え、前記駆動部(K)の機体外側には前記駆動部(K)を保護するカバー(C)を備え、前記カバー(C)の下方には開放部(C1)を備え、前記テンションアーム(T)には前記テンションアーム(T)の動きに追従して前記開放部(C1)を開閉するカバープレート(C2)を備え、前記カバープレート(C2)には緩衝材(Cd)を備えることを特徴とする請求項2に記載の歩行型管理機。
【請求項4】
前記駆動部(K)には、前記開放部(C1)の上方かつ、前記テンションアーム(T)より前方に保護部材(La)を備えることを特徴とする請求項3に記載の歩行型管理機。
【請求項5】
前記機体(1)を操作する操作ハンドル(5)を備え、前記操作ハンドル(5)はハンドルブラケット(H)を介して前記機体(1)に接続されており、前記ハンドルブラケット(H)には取付部材(Ha)を備え、前記取付部材(Ha)には、スペーサー(Hb)を介して変速表示部(Hc)を接続することを特徴とする請求項4に記載の歩行型管理機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行型管理機の停止装置の取り付け構成に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される技術のように、従来、圃場を耕耘し、畝立作業等を行う歩行型管理機が知られている。
【0003】
従来の歩行型管理機においては、機体の駆動を停止する停止スイッチは、クラッチレバー等の別の部品と共に操作ハンドルに取り付けられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-94027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の歩行型管理機の構成によれば、停止スイッチやクラッチレバーの着脱やメンテナンス時には取付部材ごと取り外す必要があり、手間がかかっていた。
【0006】
また、停止スイッチを後付けで搭載することができなかった。
【0007】
本発明の目的は、上記従来の歩行型管理機のこの様な課題に鑑みて、メンテナンス性と汎用性を確保する伝動機構を備える歩行型管理機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
【0009】
請求項1に係る発明は、機体(1)に動力部(E)を備え、前記動力部(E)の下方には前記動力部(E)の動力を伝達する駆動部(K)を備え、機体を操作する操作ハンドル(5)と、駆動部の駆動を停止する停止装置(50)を備え、前記停止装置(50)は取付部材(9)を介して前記操作ハンドル(5)に備えられることを特徴とする歩行型管理機である。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記操作ハンドル(5)には、取付部材(8)を介してクラッチレバー(6)を備え、前記取付部材(9)は、前記操作ハンドル(5)と前記取付部材(8)の間に配置され、
前記取付部材(9)は、前記操作ハンドル(5)の上部を覆う上面(9a)と、前記取付部材(8)の上面と略平行である斜面(9b)と、前記停止装置(50)を取り付ける取付面(9c)と、前記取付部材(8)に接続する接続面(9d)を備えることを特徴とする請求項1に記載の歩行型管理機である。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記駆動部(K)には動力伝達を入り切りするテンションアーム(T)を備え、前記駆動部(K)の機体外側には前記駆動部(K)を保護するカバー(C)を備え、前記カバー(C)の下方には開放部(C1)を備え、前記テンションアーム(T)には前記テンションアーム(T)の動きに追従して前記開放部(C1)を開閉するカバープレート(C2)を備え、前記カバープレート(C2)には緩衝材(Cd)を備えることを特徴とする請求項2に記載の歩行型管理機である。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記駆動部(K)には、前記開放部(C1)の上方かつ、前記テンションアーム(T)より前方に保護部材(La)を備えることを特徴とする請求項3に記載の歩行型管理機である。
【0013】
請求項5に係る発明は、前記機体(1)を操作する操作ハンドル(5)を備え、前記操作ハンドル(5)はハンドルブラケット(H)を介して前記機体(1)に接続されており、前記ハンドルブラケット(H)には取付部材(Ha)を備え、前記取付部材(Ha)には、スペーサー(Hb)を介して変速表示部(Hc)を接続することを特徴とする請求項4に記載の歩行型管理機である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の本発明によれば、操作ハンドル(5)に駆動部の駆動を停止する停止装置(50)を備え、停止装置(50)は取付部材(9)を介して操作ハンドル(5)に備えることで、操作ハンドル(5)や機体(1)側の構成を変更しなくても停止装置(50)を取り付けることが可能である。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、取付部材(9)が操作ハンドル(5)と取付部材(8)の間に配置されており、取付部材(9)が操作ハンドル(5)の上部を覆う上面(9a)と、取付部材(8)の上面と略平行である斜面(9b)と停止装置(50)を取り付ける取付面(9c)と、取付部材(8)に接続する接続面(9d)を備えることによって、操作ハンドル(50)やクラッチレバー(6)の構成を変更せずに取り付け可能であり、メンテナンス性が向上する。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加えて、開放部(C1)によってカバー(C)を取り外すことなく駆動部(K)のメンテナンスが可能であることに加え、クラッチが「入」状態の時、即ち駆動部(K)が動いているときは開放部(C1)をカバープレート(C2)で塞ぐため作業者が駆動部(K)に触れることを防止し、また、緩衝材(Cd)によって開放部(C1)への侵入をより防止できるため、メンテナンス性と安全性が向上し、テンションアーム(T)とカバープレート(C2)および緩衝材(C)が一体化しているため、機体(1)側の構成を変更することなく取り付けることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明の効果に加えて、保護部材(La)がテンションアーム(T)より上方かつ前方に位置することにより、テンションアーム(T)の回動に伴ってカバープレート(C2)が回動した際にカバープレート(C2)と緩衝材(Cd)と保護部材(La)によって開放部(C1)が塞がれ、駆動部(K)への侵入を防止できる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明の効果に加えて、操作ハンドル(5)のハンドルブラケット(H)に変速表示部(Hc)を取り付けるにあたって、取付部材(Ha)とスペーサー(Hb)を介していることで、位置調整ができ、変速表示部(Hc)の表示を視認しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の歩行型管理機の側面図。
図2】本発明の歩行型管理機の要部の側面図。
図3】本発明の歩行型管理機の駆動部の側面図。
図4】本発明の歩行型管理機の駆動部の側面図。
図5】(a)本発明の歩行型管理機のテンションアームの平面図、(b)本発明の歩行型管理機のテンションアームの側面図。
図6】本発明の歩行型管理機の駆動部の側面図。
図7】実施例の歩行型管理機の要部の側面図。
図8】(a)本発明の操作ハンドルの平面図、(b)本発明の操作ハンドルの側面図。
図9】本発明の要部の斜視図。
図10】本発明の要部の側面図。
図11】(a)本発明のスイッチ取付ステーの平面図、(b)本発明のスイッチ取付ステーの側面図、(c)本発明のスイッチステーの斜視図、(d)スイッチ取付ステーの背面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を、1実施の形態である歩行型管理作業機の機体1の基本構成について、その構成と動作を具体的に説明する。
【0021】
なお、実施例の説明においては、機体1の前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向を前、後進方向を後というが、本発明の構成を限定するものではない。
【0022】
機体1の構成について、図1に基づいて説明する。
【0023】
歩行型管理機の機体1は機体フレーム3を備え、機体フレーム3上にエンジンE等を備え、エンジンEより下方側にはエンジンEの駆動を各部に伝える伝動ケースDを備え、伝動ケースDの下方側には耕耘装置2を備える。エンジンE付近には、エンジンEに燃料を供給する燃料タンクNを備え、エンジンE等を上部から覆うフード4を備える。
【0024】
伝動ケースDの上部には、作業者が機体1の操作をする操作ハンドル5を備える。より詳細には、伝動ケースDの上部に、操作ハンドル5を機体1に取り付けるハンドルフレームHを取り付け、ハンドルフレームHの上部に操作ハンドル5を取り付ける。操作ハンドル5には、機体1の操作に関するクラッチレバー6等の操作装置を備える。
【0025】
エンジンEの駆動は、駆動部Kから各部に伝わる。エンジンEの出力軸K1に備えられる出力プーリP1が回転する。出力プーリP1と、伝動ケースDへの入力軸K2に備えられる入力プーリP2にベルトVが巻きかけられており、ベルトVを介して動力が入力軸K2に伝わり、入力軸K2から、伝動ケースD内で変速されて耕耘装置2に動力を伝える。駆動部Kは伝動部の一部であり、駆動部Kの下方に伝動ケースDを備える。
【0026】
前述した、操作ハンドル5の詳細について説明する。
【0027】
操作ハンドル5には、機体の始動・停止を切り替える停止スイッチ50を備える。図8から図10に示すように、停止スイッチ50は、スイッチ取付ステー9(請求の範囲における取付部材9)を介して操作ハンドル5に備えられる。
【0028】
操作ハンドル5には、レバー取付部材8(請求の範囲における取付部材8)を介してクラッチレバー6が備えられる。
【0029】
また、スイッチ取付ステー9は、操作ハンドル5とレバー取付部材8の間に位置し、レバー取付部材8とスイッチ取付ステー9は接続されている。
【0030】
レバー取付部材8は、図9に示すように、クラッチレバー6が移動するレバー溝を備え、レバー下部のリンク機構や電線等を上部から覆うカバー状の部材である。
【0031】
図8から図11に示すように、スイッチ取付ステー9は、1枚の板状部材を屈曲させて形成した構成である。ハンドル5の上部を覆う上面9aと、レバー取付部材8の上面と略平行である斜面9bと、停止スイッチ50を取り付ける取付面9cと、レバー取付部材8に接続する接続面9dの4面を持つ。
【0032】
取付面9cには、停止スイッチ50を取り付ける取付穴9nを備える。斜面9bには、取付面9cにあるスイッチが停止スイッチ50であることを表示するラベル等を貼付けて置くに適している。
【0033】
接続面9dに備える、レバー取付部材8と接続するための取付穴9mは長穴とし、レバー取付部材8に調整可能に取り付けることができる。接続面9dとレバー取付部材8を接続すると、上面9aを操作ハンドル5の上部に重ねて組み付けることができる構成とする。
【0034】
停止スイッチ50をハンドル上部に重ねて組み付けた際、レバー取付部材8の後部の面と、取付面9cが略平行になっていることで、美観と操作性が向上する。
【0035】
図11に示すように、辺9eは取付面9cの左側上部の辺であり、左前方から右後方に向かうように斜めになっている。辺9eは、操作ハンドル5と干渉しないように斜めになっている。
【0036】
また、操作ハンドル5の上部に接触する上面9aの下面には、ゴムシート等の緩衝材を張り付けることで、振動軽減や操作ハンドル5の劣化を予防できる。
【0037】
前述した、駆動部K(以下、ベルト伝動機構Kという)の詳細について説明する。図3から図6に示すように、エンジンEの動力を走行車輪2等に伝動するベルト伝動機構Kには、エンジンEの駆動によって回転する出力軸K1と、伝動ケースDに駆動を伝える入力軸K2を備える。出力軸K1には出力プーリP1を備え、入力軸K2には入力プーリP2を備える。出力プーリP1と入力プーリP2には、ベルトVが巻きかけられる。ベルトVによって、入力プーリP2は出力プーリP1と共に回転する。
【0038】
ベルトVの張り具合によって、入力プーリP2が共に回転するかどうかを入り切りすることができ、この入り切りの操作は、操作ハンドル5に備えられるクラッチレバー6によって行う。ベルト伝動機構KにはテンションアームTを備える。
【0039】
テンションアームTは、図3から図6に示すようにクランク状の部材である。
【0040】
テンションアームTは、機体1側に取り付けられる内側面Taと、内側面Taより機体1外側かつ前方に位置する外側面Tbと、内側面Taの前方と外側面Tbの後方から屈曲した中間部である中間面Tcの3つの面を持つ。
【0041】
テンションアームTには、クラッチレバー6の操作によって伸縮するクラッチケーブル部60と接続される。詳細には、図6のようにクラッチケーブル部60は、クラッチレバー6から機体1下方に向かうケーブル61、ベルト伝動機構K付近から下方に向かうワイヤー62、クラッチレバー6の操作で伸縮するスプリング63、テンションアームTに引っ掛けられるフック64から構成される。
【0042】
テンションアームTの中間面Tcには、フック64が入る第3穴Tiを備える。これにより、クラッチレバー6が操作されるとテンションアームTが回動する。
【0043】
ベルト伝動機構K付近には、機体1のスタートスイッチ50の通電状態を切り替えるリミットスイッチ55を備える。
【0044】
リミットスイッチ55はクラッチの「入」状態と「切」状態を検出して通電状態を切り替えるものであり、クラッチレバー6の操作によってテンションアームTが回動した際に、リミットスイッチ55の入り切りが行われる。
【0045】
詳細には、テンションアームTと連動するリミットワイヤー部51を備え、リミットワイヤー部51はテンションアームTの回動で伸縮するスプリング52,テンションアームTに引っ掛けられるフック53、リミットスイッチ55の通電非通電を切り替えるリミットプレート54から成る。
【0046】
テンションアームTの内側面Taには、フック53が入る第4穴Tjを備える。これにより、テンションアームTが回動すると、リミットワイヤー部51が伸縮し、リミットプレート54がリミットスイッチ55に接触しているか否かでスタートスイッチ50の通電状態を切り替えることができる。
【0047】
電気式のスタートスイッチでは、非通電状態では始動できないため、クラッチが「入」状態になったまま始動することによる急発進を防止することができる。
【0048】
テンションアームTには、回動支点となる支点TSを挿入する第2穴Thを備え、テンションプーリTPを取り付けるテンションピンTNを挿入する第1穴Tgを備える。
【0049】
第1穴Tgは外側面Tbに、第2穴Thと第4穴Tjは内側面Taに、第3穴Tiは中間面Tcに備えられる。
【0050】
テンションアームTは、クラッチレバー6を操作することによって支点TSを支点に上下方向に回動し、上方に回動した際にはテンションプーリTPがベルトVを押し上げ、入力軸K2に動力が伝わるようにする。
【0051】
ベルト伝動機構Kは、カバーCによって機体外側から覆われ、作業者が間違ってベルト伝動機構Kに触れることがないようにする。図3から図6に示すように、カバーCの下方には、メンテナンス作業用の開放部C1を備える。図3はクラッチが「切」状態になっている時で、図4はクラッチが「入」状態になっている時を示すものである。図5のように、テンションアームTにはL字型のプレートであるカバープレートC2を備え、テンションアームTの動きに追従するようにする。
【0052】
より詳細には、図5のようにカバープレートC2は、3つの面を持つ部材である。カバープレートC2の説明において、以下のような表現を使用する。
【0053】
機体前後方向をX方向とし、機体上下方向をY方向とし、機体左右方向をZ方向とする。
【0054】
カバープレートC2は、X方向とY方向に辺を持つ面である側面Caと、Y方向とZ方向に辺を持つ面である前面Cbと、X方向とZ方向の辺を持つ面である上面Ccから成る。
【0055】
側面Caは、上面Ccの左辺から上方に向かう面であり、テンションアームTに溶接される。
【0056】
前面Cbは、上面Ccの前辺から下方に向かう面であり、クラッチ「切」状態の際は、耕耘装置2を覆う外装部品であるフェンダFより前方に位置する。即ち、カバープレートC2はテンションアームTに追従して回動した際も、フェンダFに干渉しない。詳細には、前面Cbはクラッチ「切」状態の時にはフェンダFの前方かつ下方に位置し、クラッチ「入」状態の時にはフェンダFの前方かつ上方に位置する。
【0057】
また、側面Caは、切欠部CTを備える形状とする。
【0058】
切欠部CTは、テンションアームTを機体1側に一体化させるため溶接されるテンションピンTNおよび溶接ビード等に接触しないように備えられる。なお、切欠部CTを備えない場合は、側面Caに穴を開け、第1穴Tgと同様にテンションピンTNが挿入される構成として、テンションアームTに接続する。
【0059】
テンションアームTが上方向に動き、クラッチが「入」状態になった際にはカバープレートC2によって開放部C1を覆う。この構成によって、クラッチが「入」状態の際には開放部C1を覆うことができ、安全性を向上させることができると共に、クラッチが「切」状態の際にはメンテナンス作業も可能となる。なお、カバープレートC2はテンションアームTの機体内側に溶接する構成が望ましいが、着脱可能な構成であっても良い。
【0060】
カバープレートC2は、図3から図6では3つの面を持つ部材であるが、別の形状であっても良い。例示するなら、側面Caの後部の辺と上面Ccの後部の辺と共通の辺を持ち、Y方向とZ方向に辺を持つ面である後面Cbといった面を備えても良い。
【0061】
図6は、ベルト伝動機構Kとその周辺部分をより詳細に示す図である。
【0062】
カバープレートC2の前面Cbに、緩衝材Cdを追加する。緩衝材Cdを追加することによって、振動や部材の劣化があっても前面CbにカバーCが接触することを予防でき、開放部C1からの侵入をより規制できる。また、カバーCや開放部C1の形状が異なる別機種においても、緩衝材Cdの大きさや形状を変更することで対応できる。
【0063】
ベルト伝動機構Kには、ベルトストッパーV1,V2を備え、ベルトVの弛みを防止する。また、ベルト伝動機構Kには機体内側に裏カバーを備え、裏カバーには、L字状の部材La,Lb,Lcを備える。部材La,Lb,Lcは同一形状である。部材Lb,Lcはベルト伝動機構Kの支持と振動防止のために備えられ、部材LaはカバープレートC2とともに開放部C1からの侵入を防止するために備えられるため、ベルト伝動機構Kの安定性と安全性を向上させることができる。
【0064】
図7は、機体1の要部の側面図である。
【0065】
ハンドルブラケットHには、変速レバー7の位置を示す変速ラベルが貼り付けられた変速パネルHc(請求項における変速表示部Hc)を備える。詳細には、ハンドルブラケットHには変速パネルHcを取り付けるための取付ステーHa(請求項における取付部材Ha)を備え、取付ステーHaにスペーサーHbを取り付け、スペーサーHbに変速パネルHcを取り付ける。
【0066】
従来の構成では、変速パネルを直接ハンドルブラケットHの後部に取り付けており、ハンドルの向きを変更すると、変速パネルがフード後部に遮られて視認性が悪かった。
【0067】
本発明の構成では、変速パネルの位置が従来より上方かつ後方に位置しており、ハンドル5の向きを変更して機体前方側から変速パネルHcを確認する場合においても、容易に視認できる。また、スペーサーHbには複数の取付穴を備え、取付位置を調整できるものとしても良く、他機種と互換性を持たせるものであっても良い。
【0068】
以下、エンジンEやエンジンEからの排気管の構成に係る発明について説明する。
【0069】
排気管の排気口を2重管構成とし、排気口を覆う外側管に切れ込みを入れておく。外側管は、バンドで結束しておくものであっても、1本または複数のボルトで固定するものであっても良い。また、外側管は機体左側方向に向かって傾斜するように取り付けられる構成とすることで、排気方向を変更でき、作業者に排気がかかることを防止できる。
【0070】
走行装置と耕耘装置の駆動部を備えるミッションケースを持つ歩行型管理機において、以下のように構成しても良い。
【0071】
従来、走行装置の駆動部と耕耘装置の駆動部が一体になったミッションケースでは、ロータリケースだけロータリクラッチ有・無仕様に組替えることができなかった。ミッションケース内の部品にそれぞれ有・無専用の部品が必要であった。間違ってミッションを搭載した際や、使用を変更したい際には、ミッション自体を組替えるか、分解して内部の部品を組替える必要があり、作業に時間が必要だった。
【0072】
そこで、ロータリクラッチ有・無仕様を有する歩行型管理機において、ミッション内にロータリクラッチ機構を設けたミッションケースを、ロータリクラッチ有・無仕様両方に併用する構成とすることで問題の解決を図る。
【0073】
ミッションケース内に、ロータリクラッチが有る機種であっても、無い機種であっても対応できるように、ロータリクラッチ機構を備える。この構成によって、ロータリクラッチ機構が有・無仕様に関わらず組替える必要が無くなり、組み換えの手間が省ける。また、ミッションケース内の部品にそれぞれ有・無専用の個別の部品を必要としないため、部品点数が減る。
【0074】
従来のロータリクラッチ無仕様に対し、ロータリクラッチ有仕様のミッション外でのロータリクラッチ「入」固定の機構を使用することで本発明の構成としても良い。これにより、既存の機構でロータリクラッチを「入」状態にすることができる。
【0075】
従来のロータリクラッチ無仕様に対し、ロータリクラッチ有仕様のミッション外での「デフ・デフロック」連動のデフロックでロータリクラッチ「入」固定の機構を使用する。これにより、既存の機構でロータリクラッチを「入」状態にすることができる。
【0076】
上記の構成において、ロータリクラッチ駆動側と従動側を繋ぐ爪クラッチに、負荷がかかった際にクラッチが抜けにくくする様、逆テーパ爪を使用する構成としても良い。
【0077】
従来のロータリクラッチ無仕様に対し、ミッションケースから突出したロータリクラッチシフタステーを、ロータリクラッチ「入」状態に固定するように押え部材を備える。
【0078】
上記の押さえ部材は、板状とする。
【0079】
押さえ部材は、Z字状に形成された板状部材でも良い。ロータリクラッチシフタステーの押さえ位置と押さえ部材の取付け面がオフセットしていても、簡素な部品の追加のみで構成可能である。
【0080】
押さえ部材は、駐車ブレーキを構成する部材と共にミッションケースに取り付ける。この構成によって、ミッションケースに新たな部品取り付け箇所を用意する必要が無い。
【0081】
押さえ部材は、アルミ鋳物成形であっても、アルミダイカスト製を使用する、モノであっても良い。
【0082】
駆動部の保護に関して、以下のように構成しても良い。
【0083】
駆動軸の正転逆転が可能な機体において、軸受け部分にガード部材を備える。
【0084】
従来、耕耘爪の爪先端部分にはガードがあったが、耕耘爪ホルダにはガードが無かった。そこで、耕耘装置のケースと耕耘爪ホルダの近辺にガード部材を設けることで、ケースの破損を予防できる。
【0085】
ガードを屈曲させ、台形状にしても良い。
【0086】
耕耘装置のカバーにガードを組み付けるにあたって、カラーも組付け式に構成する。また、ガードを左右非対称な形状にしておくことで、誤組を防止できる。
【符号の説明】
【0087】
1 機体
2 耕耘装置
3 機体フレーム
4 フード
5 操作ハンドル
6 クラッチレバー
7 変速レバー
8 レバー取付部材(取付部材)
9 スイッチ取付ステー(取付部材)
9a 上面
9b 斜面
9c 取付面
9d 接続面
50 停止スイッチ(停止装置)
C カバー
C1 開放部
C2 カバープレート
Ca 側面
Cb 前面
Cc 上面
Cd 緩衝材
CT 切欠部
D 伝動ケース
E エンジン
F フェンダ
H ハンドルフレーム
Ha 取付部材
Hb スペーサー
Hc 変速表示部
K 駆動部(ベルト伝動機構)
K1 出力軸
K2 入力軸
La 保護部材
N 燃料タンク
P1 出力プーリ
P2 入力プーリ
T テンションアーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11