(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076649
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】位置検出装置、描画装置、位置検出方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G03F 9/00 20060101AFI20240530BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
G03F9/00
G01B11/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188314
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】中井 浩平
(72)【発明者】
【氏名】坂本 道昭
(72)【発明者】
【氏名】田中 尚武
【テーマコード(参考)】
2F065
2H197
【Fターム(参考)】
2F065AA03
2F065AA12
2F065AA21
2F065BB02
2F065BB17
2F065CC01
2F065DD03
2F065DD06
2F065FF04
2F065JJ19
2F065JJ26
2F065PP12
2F065PP24
2F065QQ23
2F065QQ24
2F065QQ31
2F065QQ38
2F065RR08
2F065SS01
2H197AA28
2H197AA29
2H197CD02
2H197CD12
2H197DA03
2H197EA01
2H197EA11
2H197EA19
2H197EB16
2H197HA02
(57)【要約】
【課題】基板の位置を精度良く検出する。
【解決手段】位置検出装置の記憶部111は、テンプレート群を記憶する。当該テンプレート群は、上記パターンのCADデータである基準CADデータから生成されたテンプレートである基準テンプレート、および、基準テンプレートに含まれるパターン要素の線幅をそれぞれ変更したテンプレートである複数のオフセットテンプレートのうち、2つ以上のテンプレートを含む。テンプレート選択部114は、撮像部3により取得された撮像画像に対して上記テンプレート群に含まれる各テンプレートを用いたパターンマッチングを行い、マッチングスコアに基づいてテンプレート群から適用テンプレートを選択する。位置検出部115は、撮像画像に対する適用テンプレートを用いたパターンマッチングの結果に基づいて基板の位置を検出する。これにより、基板の位置を精度良く検出することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の位置を検出する位置検出装置であって、
基板の上面上に予め設けられているパターンの一部を撮像する撮像部と、
前記パターンのCADデータである基準CADデータから生成されたテンプレートである基準テンプレート、および、前記基準テンプレートに含まれるパターン要素の線幅をそれぞれ変更したテンプレートである複数のオフセットテンプレートのうち、2つ以上のテンプレートを含むテンプレート群を記憶する記憶部と、
前記撮像部により取得された撮像画像に対して前記テンプレート群に含まれる各テンプレートを用いたパターンマッチングを行い、マッチングスコアに基づいて前記テンプレート群から適用テンプレートを選択するテンプレート選択部と、
前記撮像画像に対する前記適用テンプレートを用いたパターンマッチングの結果に基づいて前記基板の位置を検出する位置検出部と、
を備えることを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の位置検出装置であって、
前記テンプレート選択部によるパターンマッチングは、前記適用テンプレートおよび前記撮像画像にそれぞれ含まれるパターン要素のエッジを用いて行われることを特徴とする位置検出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の位置検出装置であって、
前記基準CADデータから所定の大きさのテンプレート領域を選択してラスタライズすることにより前記基準テンプレートを生成するテンプレート生成部をさらに備えることを特徴とする位置検出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の位置検出装置であって、
前記テンプレート生成部は、前記基準CADデータの前記パターンの線幅がそれぞれ変更された複数のオフセットCADデータから前記テンプレート領域をそれぞれ選択してラスタライズすることにより前記複数のオフセットテンプレートを生成することを特徴とする位置検出装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の位置検出装置であって、
所定枚数の基板のそれぞれについて前記テンプレート選択部により選択された前記適用テンプレートの種類を表示する表示部をさらに備えることを特徴とする位置検出装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の位置検出装置であって、
前記テンプレート選択部による前記テンプレート群に含まれる各テンプレートを用いたパターンマッチングの結果に基づいて、新たなオフセットテンプレートを生成して前記テンプレート群に追加するテンプレート群変更部をさらに備えることを特徴とする位置検出装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載の位置検出装置であって、
前記基板上には、前記位置検出部によるパターンマッチングがそれぞれ行われる複数のマッチング領域が設定されており、
前記複数のマッチング領域のうち一のマッチング領域におけるパターンマッチングに用いられるテンプレートは、前記複数のマッチング領域のうち前記一のマッチング領域以外の2つ以上のマッチング領域について前記テンプレート選択部によりそれぞれ選択された2つ以上の前記適用テンプレートに基づいて、前記一のマッチング領域に対応する前記テンプレート群から選択されることを特徴とする位置検出装置。
【請求項8】
請求項1または2に記載の位置検出装置であって、
前記基板の前記上面には、前記パターンの下側に位置する下層パターンが予め設けられており、
前記撮像部の焦点深度の範囲に、前記パターンは含まれ、前記下層パターンは含まれないことを特徴とする位置検出装置。
【請求項9】
基板に光を照射してパターンの描画を行う描画装置であって、
請求項1または2に記載の位置検出装置と、
前記基板を保持するステージと、
前記基板の前記上面に変調された光を照射する描画ヘッドと、
前記基板の前記上面に平行な走査方向に、前記ステージを前記描画ヘッドに対して相対的に移動する走査機構と、
前記位置検出装置により検出された前記基板の位置に基づいて前記描画ヘッドおよび前記走査機構を制御することにより、前記描画ヘッドに対して前記走査方向に相対移動する前記基板への描画を実行させる描画制御部と、
を備えることを特徴とする描画装置。
【請求項10】
基板の位置を検出する位置検出方法であって、
a)基板の上面上に予め設けられているパターンの一部を撮像する工程と、
b)前記パターンのCADデータである基準CADデータから生成されたテンプレートである基準テンプレート、および、前記基準テンプレートに含まれるパターン要素の線幅をそれぞれ変更したテンプレートである複数のオフセットテンプレートのうち、2つ以上のテンプレートを含むテンプレート群を準備する工程と、
c)前記a)工程にて取得された撮像画像に対して前記テンプレート群に含まれる各テンプレートを用いたパターンマッチングを行い、マッチングスコアに基づいて前記テンプレート群から適用テンプレートを選択する工程と、
d)前記撮像画像に対する前記適用テンプレートを用いたパターンマッチングの結果に基づいて前記基板の位置を検出する工程と、
を備えることを特徴とする位置検出方法。
【請求項11】
基板の位置を検出するプログラムであって、
前記プログラムがコンピュータによって実行されることにより、
a)基板の上面上に予め設けられているパターンの一部を撮像する工程と、
b)前記パターンのCADデータである基準CADデータから生成されたテンプレートである基準テンプレート、および、前記基準テンプレートに含まれるパターン要素の線幅をそれぞれ変更したテンプレートである複数のオフセットテンプレートのうち、2つ以上のテンプレートを含むテンプレート群を準備する工程と、
c)前記a)工程にて取得された撮像画像に対して前記テンプレート群に含まれる各テンプレートを用いたパターンマッチングを行い、マッチングスコアに基づいて前記テンプレート群から適用テンプレートを選択する工程と、
d)前記撮像画像に対する前記適用テンプレートを用いたパターンマッチングの結果に基づいて前記基板の位置を検出する工程と、
が行われることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の位置を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体基板、プリント基板、または、有機EL表示装置もしくは液晶表示装置用のガラス基板等(以下、「基板」という。)に形成された感光材料に光を照射することにより、パターンの描画が行われている。このような描画を行う描画装置では、基板上に設けられたアライメントマークの位置を検出してパターンの描画位置を自動的に調節するアライメント処理が行われている。
【0003】
近年、プリント基板に対する描画では、1枚の基板から採取できるピース数を増加させるために、アライメントマークを配置するためのスペースの削減が求められている。そこで、基板にアライメント専用のマークを設けることなく、基板上のパターンの一部をアライメントマークとして利用することが行われている。
【0004】
例えば、特許文献1の露光装置では、基板上のパターンを撮像して得られた画像内において、当該パターンの一部が、アライメント処理に利用される基準マークモデル(すなわち、テンプレート)として設定されて予め登録される。そして、露光すべき基板が露光装置に搬入されると、当該基板上のパターンの一部がカメラにより撮像され、得られた画像と上記基準マークモデルとのパターンマッチングが行われて当該基板のアライメント処理が行われる。
【0005】
一方、特許文献2では、走査電子顕微鏡におけるパターンの自動測長において、CADデータから任意の領域のパターンデータを取り込み、当該パターンデータからパターン輪郭エッジデータを抽出してテンプレートエッジデータを生成する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-171988号公報
【特許文献2】特開2000-236007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、基板上に実際に形成されているパターンの線幅は、当該パターンを形成する装置の特性等により、CADデータにて指定されている線幅よりも太くなったり細くなったりすることがある。したがって、特許文献2のようにCADデータ通りのテンプレートを使用してテンプレートマッチングを行うと、テンプレートにおけるパターンの線幅と、基板上に予め設けられているパターンの線幅とが異なり、マッチングスコアが低くなって基板の位置検出精度が低くなるおそれがある。なお、マッチングスコアが低い場合、オペレータが、テンプレートにおけるパターンの線幅を少しずつ変更し、マッチングスコアがある程度高くなるまで試行錯誤を繰り返すことも考えられるが、当該作業には多大な時間が必要になる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、基板の位置を精度良く検出することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様1は、基板の位置を検出する位置検出装置であって、前記位置検出装置は、基板の上面上に予め設けられているパターンの一部を撮像する撮像部と、前記パターンのCADデータである基準CADデータから生成されたテンプレートである基準テンプレート、および、前記基準テンプレートに含まれるパターン要素の線幅をそれぞれ変更したテンプレートである複数のオフセットテンプレートのうち、2つ以上のテンプレートを含むテンプレート群を記憶する記憶部と、前記撮像部により取得された撮像画像に対して前記テンプレート群に含まれる各テンプレートを用いたパターンマッチングを行い、マッチングスコアに基づいて前記テンプレート群から適用テンプレートを選択するテンプレート選択部と、前記撮像画像に対する前記適用テンプレートを用いたパターンマッチングの結果に基づいて前記基板の位置を検出する位置検出部と、を備える。
【0010】
本発明の態様2は、態様1の位置検出装置であって、前記テンプレート選択部によるパターンマッチングは、前記適用テンプレートおよび前記撮像画像にそれぞれ含まれるパターン要素のエッジを用いて行われる。
【0011】
本発明の態様3は、態様1または2の位置検出装置であって、前記位置検出装置は、前記基準CADデータから所定の大きさのテンプレート領域を選択してラスタライズすることにより前記基準テンプレートを生成するテンプレート生成部をさらに備える。
【0012】
本発明の態様4は、態様3の位置検出装置であって、前記テンプレート生成部は、前記基準CADデータの前記パターンの線幅がそれぞれ変更された複数のオフセットCADデータから前記テンプレート領域をそれぞれ選択してラスタライズすることにより前記複数のオフセットテンプレートを生成する。
【0013】
本発明の態様5は、態様1または2(態様1ないし4のいずれか1つ、であってもよい。)の位置検出装置であって、前記位置検出装置は、所定枚数の基板のそれぞれについて前記テンプレート選択部により選択された前記適用テンプレートの種類を表示する表示部をさらに備える。
【0014】
本発明の態様6は、態様1または2(態様1ないし5のいずれか1つ、であってもよい。)の位置検出装置であって、前記位置検出装置は、前記テンプレート選択部による前記テンプレート群に含まれる各テンプレートを用いたパターンマッチングの結果に基づいて、新たなオフセットテンプレートを生成して前記テンプレート群に追加するテンプレート群変更部をさらに備える。
【0015】
本発明の態様7は、態様1または2(態様1ないし6のいずれか1つ、であってもよい。)の位置検出装置であって、前記基板上には、前記位置検出部によるパターンマッチングがそれぞれ行われる複数のマッチング領域が設定されており、前記複数のマッチング領域のうち一のマッチング領域におけるパターンマッチングに用いられるテンプレートは、前記複数のマッチング領域のうち前記一のマッチング領域以外の2つ以上のマッチング領域について前記テンプレート選択部によりそれぞれ選択された2つ以上の前記適用テンプレートに基づいて、前記一のマッチング領域に対応する前記テンプレート群から選択される。
【0016】
本発明の態様8は、態様1または2(態様1ないし7のいずれか1つ、であってもよい。)の位置検出装置であって、前記基板の前記上面には、前記パターンの下側に位置する下層パターンが予め設けられており、前記撮像部の焦点深度の範囲に、前記パターンは含まれ、前記下層パターンは含まれない。
【0017】
本発明の態様9は、基板に光を照射してパターンの描画を行う描画装置であって、前記描画装置は、態様1または2(態様1ないし8のいずれか1つ、であってもよい。)の位置検出装置と、前記基板を保持するステージと、前記基板の前記上面に変調された光を照射する描画ヘッドと、前記基板の前記上面に平行な走査方向に、前記ステージを前記描画ヘッドに対して相対的に移動する走査機構と、前記位置検出装置により検出された前記基板の位置に基づいて前記描画ヘッドおよび前記走査機構を制御することにより、前記描画ヘッドに対して前記走査方向に相対移動する前記基板への描画を実行させる描画制御部と、を備える。
【0018】
本発明の態様10は、基板の位置を検出する位置検出方法であって、前記位置検出方法は、a)基板の上面上に予め設けられているパターンの一部を撮像する工程と、b)前記パターンのCADデータである基準CADデータから生成されたテンプレートである基準テンプレート、および、前記基準テンプレートに含まれるパターン要素の線幅をそれぞれ変更したテンプレートである複数のオフセットテンプレートのうち、2つ以上のテンプレートを含むテンプレート群を準備する工程と、c)前記a)工程にて取得された撮像画像に対して前記テンプレート群に含まれる各テンプレートを用いたパターンマッチングを行い、マッチングスコアに基づいて前記テンプレート群から適用テンプレートを選択する工程と、d)前記撮像画像に対する前記適用テンプレートを用いたパターンマッチングの結果に基づいて前記基板の位置を検出する工程と、を備える。
【0019】
本発明の態様11は、基板の位置を検出するプログラムであって、前記プログラムがコンピュータによって実行されることにより、a)基板の上面上に予め設けられているパターンの一部を撮像する工程と、b)前記パターンのCADデータである基準CADデータから生成されたテンプレートである基準テンプレート、および、前記基準テンプレートに含まれるパターン要素の線幅をそれぞれ変更したテンプレートである複数のオフセットテンプレートのうち、2つ以上のテンプレートを含むテンプレート群を準備する工程と、c)前記a)工程にて取得された撮像画像に対して前記テンプレート群に含まれる各テンプレートを用いたパターンマッチングを行い、マッチングスコアに基づいて前記テンプレート群から適用テンプレートを選択する工程と、d)前記撮像画像に対する前記適用テンプレートを用いたパターンマッチングの結果に基づいて前記基板の位置を検出する工程と、が行われる。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、基板の位置を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一の実施の形態に係る描画装置を示す斜視図である。
【
図5】オフセットテンプレートの一例を示す図である。
【
図6】オフセットテンプレートの一例を示す図である。
【
図7】基板へのパターン描画の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る描画装置1を示す斜視図である。描画装置1は、空間変調された略ビーム状の光を基板9上の感光材料に照射し、当該光の照射領域を基板9上にて走査することによりパターンの描画を行う直接描画装置である。
図1では、互いに直交する3つの方向をX方向、Y方向およびZ方向として矢印にて示している。
図1に示す例では、X方向およびY方向は互いに垂直な水平方向であり、Z方向は鉛直方向である。他の図においても同様である。
【0023】
基板9は、例えば、平面視において略矩形状の板状部材である。基板9は、例えば、多層プリント配線基板(以下、単に「プリント基板」と呼ぶ。)である。本実施の形態では、基板9の上面91には、銅(Cu)等により形成された回路パターンが予め形成されており、当該回路パターン上に感光材料により形成されたレジスト膜が設けられている。そして、描画装置1において、基板9の当該レジスト膜にソルダパターンが描画(すなわち、形成)される。当該ソルダパターンは、上述の回路パターン上に、当該回路パターンに合わせて描画される。なお、基板9には、後述する位置検出処理(すなわち、アライメント処理)専用のアライメントマークは設けられていない。
【0024】
以下の説明では、基板9の上面91上に予め形成されているパターン(すなわち、回路パターン)を「第1パターン」とも呼ぶ。また、描画装置1において基板9の上面91上に描画される予定のパターン(すなわち、ソルダパターン)を「第2パターン」とも呼ぶ。なお、基板9の種類および形状等は様々に変更されてよい。また、描画装置1により基板9に描画されるパターンもソルダパターンには限定されず、様々に変更されてよい。
【0025】
図1に示すように、描画装置1は、ステージ21と、ステージ移動機構22と、撮像部3と、描画部4と、コンピュータ100とを備える。ステージ21は、撮像部3および描画部4の下方(すなわち、(-Z)側)において、水平状態の基板9を下側から保持する略平板状の基板保持部である。ステージ21は、例えば、基板9の下面を吸着して保持するバキュームチャックである。ステージ21は、バキュームチャック以外の構造を有していてもよく、例えば、メカニカルチャックであってもよい。ステージ21上に載置された基板9の上面91は、Z方向に対して略垂直であり、X方向およびY方向に略平行である。
【0026】
ステージ移動機構22は、ステージ21を撮像部3および描画部4に対して水平方向(すなわち、基板9の上面91に略平行な方向)に相対的に移動する移動機構である。ステージ移動機構22は、第1移動機構23と、第2移動機構24とを備える。第2移動機構24は、ステージ21をガイドレールに沿ってX方向に直線移動する。第1移動機構23は、ステージ21を第2移動機構24と共にガイドレールに沿ってY方向に直線移動する。第1移動機構23および第2移動機構24の駆動源は、例えば、リニアサーボモータ、または、ボールネジにモータが取り付けられたものである。第1移動機構23および第2移動機構24の構造は、様々に変更されてよい。
【0027】
描画装置1では、Z方向に延びる回転軸を中心としてステージ21を回転するステージ回転機構が設けられてもよい。また、ステージ21をZ方向に移動するステージ昇降機構が描画装置1に設けられてもよい。ステージ回転機構として、例えば、サーボモータが利用可能である。ステージ昇降機構として、例えば、リニアサーボモータが利用可能である。ステージ回転機構およびステージ昇降機構の構造は、様々に変更されてよい。
【0028】
撮像部3は、X方向に配列される複数(
図1に示す例では、2つ)の撮像ヘッド31を備える。各撮像ヘッド31は、ステージ21およびステージ移動機構22を跨いで設けられる門形のヘッド支持部30により、ステージ21およびステージ移動機構22の上方にて支持される。2つの撮像ヘッド31のうち、一方の撮像ヘッド31はヘッド支持部30に固定されており、他方の撮像ヘッド31はヘッド支持部30上においてX方向に移動可能である。これにより、2つの撮像ヘッド31間のX方向の距離を変更することができる。なお、撮像部3の撮像ヘッド31の数は、1であってもよく、3以上であってもよい。
【0029】
各撮像ヘッド31は、図示省略の撮像センサおよび光学系を備えるカメラである。各撮像ヘッド31は、例えば、2次元の画像を取得するエリアカメラである。撮像センサは、例えば、マトリクス状に配列された複数のCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子を備える。各撮像ヘッド31では、図示省略の光源から基板9の上面91へと導かれた照明光(例えば、赤外線)の反射光が、光学系を介して撮像センサへと導かれる。撮像センサは、基板9の上面91からの反射光を受光し、略矩形状の撮像領域の画像を取得する。上記光源としては、LED(Light Emitting Diode)等の様々な光源が利用可能である。なお、各撮像ヘッド31は、ラインカメラ等、他の種類のカメラであってもよい。
【0030】
描画部4は、X方向および/またはY方向に配列される複数の描画ヘッド41を備える。
図1に示す例では、6つの描画ヘッド41がX方向に略直線状に配列される。各描画ヘッド41は、ステージ21およびステージ移動機構22を跨いで設けられる門形のヘッド支持部40により、ステージ21およびステージ移動機構22の上方にて支持される。ヘッド支持部40は、撮像部3のヘッド支持部30よりも(+Y)側に配置されている。なお、描画部4の描画ヘッド41の数は適宜変更されてよい。例えば、描画ヘッド41の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
【0031】
各描画ヘッド41は、図示省略の光源、光学系および空間光変調素子を備える。空間光変調素子としては、DMD(Digital Micro Mirror Device)やGLV(Grating Light Valve:グレーチング・ライト・バルブ)(シリコン・ライト・マシーンズ(サニーベール、カリフォルニア)の登録商標)等の様々な素子が利用可能である。光源としては、LD(Laser Diode)等の様々な光源が利用可能である。複数の描画ヘッド41は、略同じ構造を有する。
【0032】
描画装置1では、描画部4の複数の描画ヘッド41から変調された(すなわち、空間光変調された)光を基板9の上面91上に照射しつつ、ステージ移動機構22により基板9をY方向に移動する。これにより、複数の描画ヘッド41からの光の照射領域が基板9上にてY方向に走査され、基板9に対するパターンの描画が行われる。以下の説明では、Y方向を「走査方向」とも呼び、X方向を「幅方向」とも呼ぶ。ステージ移動機構22は、各描画ヘッド41からの光の照射領域を基板9上にて走査方向に移動する走査機構である。
【0033】
描画装置1では、基板9に対する描画は、いわゆるシングルパス(ワンパス)方式で行われる。具体的には、ステージ移動機構22により、ステージ21が複数の描画ヘッド41に対してY方向に相対移動され、複数の描画ヘッド41からの光の照射領域が、基板9の上面91上にてY方向(すなわち、走査方向)に1回のみ走査される。これにより、基板9に対する描画が完了する。なお、描画装置1では、ステージ21のY方向への移動とX方向へのステップ移動とが繰り返されるマルチパス方式により、基板9に対する描画が行われてもよい。描画装置1においてマルチパス方式の描画が行われる場合、Y方向は主走査方向であり、X方向は副走査方向である。また、ステージ移動機構22の第1移動機構23は、ステージ21を主走査方向に移動させる主走査機構であり、第2移動機構24は、ステージ21を副走査方向に移動させる副走査機構である。
【0034】
図2は、コンピュータ100の構成を示す図である。コンピュータ100は、プロセッサ101と、メモリ102と、入出力部103と、バス104とを備える通常のコンピュータである。バス104は、プロセッサ101、メモリ102および入出力部103を接続する信号回路である。メモリ102は、各種情報を記憶する。メモリ102は、例えば、記憶媒体71に予め記憶されているプログラム109を読み出して記憶する。記憶媒体71は、例えば、USBメモリやCD-ROMである。
【0035】
プロセッサ101は、メモリ102に記憶されるプログラム109等に従って、メモリ102等を利用しつつ様々な処理(例えば、数値計算や画像処理)を実行する。入出力部103は、操作者からの入力を受け付けるキーボード105およびマウス106、並びに、プロセッサ101からの出力等を表示するディスプレイ107を備える。
【0036】
描画装置1では、コンピュータ100によってプログラム109が実行されることにより、
図3に示す制御部10の各機能が実現される。制御部10は、描画装置1の一部である。
図3は、制御部10の機能を示すブロック図である。
図3では、制御部10以外の構成も併せて示す。
【0037】
図3に示す制御部10は、ステージ移動機構22、撮像部3および描画部4等を制御する。制御部10は、記憶部111と、撮像制御部112と、テンプレート生成部113と、テンプレート選択部114と、位置検出部115と、データ生成部116と、描画制御部117とを備える。記憶部111は、主にメモリ102により実現され、描画装置1におけるパターンの描画に関する各種情報を予め記憶する。記憶部111に記憶されている情報には、例えば、基板9に描画される予定の第2パターンのCADデータであるパターンCADデータ(以下、「第2CADデータ」とも呼ぶ。)、および、後述する基板9のアライメント処理に使用されるテンプレート等が含まれる。
【0038】
撮像制御部112、テンプレート生成部113、テンプレート選択部114、位置検出部115、データ生成部116および描画制御部117は、主にプロセッサ101により実現される。撮像制御部112は、ステージ移動機構22を制御することによりステージ21を移動させ、撮像部3を制御することにより基板9の上面91の一部を撮像させて、上記第1パターンの一部の画像(以下、「撮像画像」とも呼ぶ。)を取得させる。当該撮像画像は、例えばグレースケールの画像であり、後述するように、基板9のアライメント処理の際に利用される。当該撮像画像は、撮像部3から記憶部111へと送られて、記憶部111に格納される。
【0039】
テンプレート生成部113は、第1パターンのCADデータであるパターンCADデータ(以下、「第1CADデータ」とも呼ぶ。)等に基づいて、基板9のアライメント処理の際に用いられる複数のテンプレートを生成する。記憶部111では、当該複数のテンプレートから選択された2つ以上のテンプレートが、パターンマッチングに利用されるテンプレート群として記憶される。テンプレート選択部114は、当該テンプレート群から、上記撮像画像に対するパターンマッチングに適した一のテンプレートである適用テンプレートを選択する。位置検出部115は、上記撮像画像に対して当該適用テンプレートを用いたパターンマッチングを行うことにより、ステージ21上における基板9の位置(すなわち、描画部4に対する基板9の相対位置)を検出する。
【0040】
描画装置1では、位置検出部115、テンプレート選択部114、テンプレート生成部113、記憶部111および撮像部3等により、基板9の位置を検出する位置検出装置6が構成される。
図3では、位置検出装置6に含まれる構成を二点鎖線にて囲む。位置検出装置6は、描画装置1の一部であり、上記構成以外の構成を含んでいてもよい。例えば、ステージ21、ステージ移動機構22および撮像制御部112等が位置検出装置6に含まれてもよい。また、テンプレート選択部114により選択された適用テンプレートの種類等が、
図2に示すディスプレイ107に表示される場合、表示部であるディスプレイ107も位置検出装置6に含まれてもよい。
【0041】
データ生成部116は、上述の第2CADデータをラスタライズして、ラスタデータである描画データ(以下、「第2描画データ」とも呼ぶ。)を生成する。第2描画データは、例えば、ランレングスデータである。描画制御部117は、データ生成部116により生成された第2描画データ、および、位置検出部115により検出された基板9の位置等に基づいて、描画部4およびステージ移動機構22等を制御することにより、基板9上の描画位置を調節しつつ、描画部4に基板9に対する第2パターンの描画を実行させる。
【0042】
なお、制御部10は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC:Programmable Logic Controller)や回路基板等でにより実現されてもよく、これらと1つ以上のコンピュータとの組み合わせにより実現されてもよい。
【0043】
図4は、テンプレートの一例を示す図である。
図4に示すテンプレート81は、テンプレート生成部113によって第1CADデータから生成されたものである。具体的には、テンプレート生成部113は、第1CADデータから所定の大きさのテンプレート領域を選択し、当該テンプレート領域をラスタライズすることにより、テンプレート81を生成する。上記テンプレート領域は、第1CADデータが示す第1パターンの一部である比較的小さい略矩形状の領域である。第1パターンは、複数のパターン要素を含み、テンプレート領域には、当該複数のパターン要素のうち、1つ以上のパターン要素の少なくとも一部が含まれる。なお、テンプレート領域は、撮像部3の各撮像ヘッド31(
図1参照)の視野よりも小さい領域である。
【0044】
図4に示す例では、テンプレート81は、第1パターンに含まれる一のパターン要素93の一部である略直線状の部位を含む。
図4に例示するパターン要素93は、図中の上下方向に略平行に延びており、パターン要素93の長手方向に垂直な左右方向の幅(すなわち、線幅)B1は、当該長手方向の全長に亘って略一定である。
図4では、パターン要素93に平行斜線を付し、パターン要素93のエッジ(すなわち、パターン要素93と背景領域96との境界)を太線にて示す。
図5および
図6においても同様である。実際のテンプレート81では、
図4に例示するパターン要素93よりも複雑な形状を有する1つ以上のパターン要素の少なくとも一部が含まれる。
【0045】
第1CADデータでは、第1パターンに含まれる各パターン要素が、設計図面等にて指定されている形状と同じ形状にて定義されている。したがって、第1CADデータでは、各パターン要素の線幅は、設計通りの線幅(すなわち、設計図面等にて指定されている線幅)である。また、第1CADデータから生成されたテンプレート81においても、テンプレート81に含まれるパターン要素93の線幅は、設計図面等にて指定されている線幅と同じである。以下の説明では、テンプレート81を「基準テンプレート81」とも呼ぶ。また、第1CADデータを「基準CADデータ」とも呼ぶ。
【0046】
図5および
図6はそれぞれ、
図4に示す基準テンプレート81に含まれるパターン要素93の線幅を変更したテンプレート82a,82bを示す図である。以下の説明では、テンプレート82a,82bをそれぞれ、「オフセットテンプレート82a」および「オフセットテンプレート82b」とも呼ぶ。
図5に例示するオフセットテンプレート82aでは、パターン要素93aの線幅が、基準テンプレート81のパターン要素93の線幅よりも小さくなっている。また、
図6に例示するオフセットテンプレート82bでは、パターン要素93bの線幅が、基準テンプレート81のパターン要素93の線幅よりも大きくなっている。パターン要素93とパターン要素93aとの線幅の差は、パターン要素93とパターン要素93bとの線幅の差と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0047】
オフセットテンプレート82a,82bは、
図3に示すテンプレート生成部113により生成される。具体的には、テンプレート生成部113は、第1CADデータ(すなわち、基準CADデータ)の第1パターンの線幅を所定の規則に従って小さくしたオフセットCADデータを生成する。当該オフセットCADデータでは、たとえば、第1パターンに含まれる各パターン要素の線幅が、基準CADデータよりも所定値(例えば、5μm)だけ小さくされている。そして、当該オフセットCADデータにおいて、上述のテンプレート領域に対応する領域(すなわち、上述のテンプレート領域と同じ位置に位置する同じ大きさの領域であり、以下、単に「テンプレート領域」とも呼ぶ。)が、テンプレート生成部113によって選択されてラスタライズされることにより、オフセットテンプレート82aが生成される。
【0048】
また、テンプレート生成部113は、第1CADデータ(すなわち、基準CADデータ)の第1パターンの線幅を所定の規則に従って大きくしたオフセットCADデータを生成する。当該オフセットCADデータでは、たとえば、第1パターンに含まれる各パターン要素の線幅が、基準CADデータよりも所定値(例えば、5μm)だけ大きくされている。そして、当該オフセットCADデータにおいて、上述のテンプレート領域に対応する領域が、テンプレート生成部113によって選択されてラスタライズされることにより、オフセットテンプレート82bが生成される。
【0049】
テンプレート生成部113では、3つ以上のオフセットテンプレートが生成されてもよい。例えば、上述のオフセットテンプレート82a,82bに加えて、オフセットテンプレート82aよりもパターン要素の線幅が小さいオフセットテンプレート、および、オフセットテンプレート82bよりパターン要素の線幅が大きいオフセットテンプレートが、テンプレート生成部113にて生成されてもよい。
【0050】
また、テンプレート生成部113で生成される複数のオフセットテンプレートは、オフセットテンプレート82aのように、基準テンプレート81よりもパターン要素の線幅が小さいもののみであってもよい。あるいは、テンプレート生成部113で生成される複数のオフセットテンプレートは、オフセットテンプレート82bのように、基準テンプレート81よりもパターン要素の線幅が大きいもののみであってもよい。なお、テンプレート生成部113で生成される各オフセットテンプレートは、基準テンプレート81から線幅のみが変更されたものであり、基準テンプレート81を回転させたり歪ませたりするような線幅変更以外の変形は含んでいない。
【0051】
テンプレート生成部113にて生成された基準テンプレート81、および、複数のオフセットテンプレート(本実施の形態では、オフセットテンプレート82a,82b)は、記憶部111に格納される。また、記憶部111では、基準テンプレート81および複数のオフセットテンプレートのうち、2つ以上のテンプレートを含むテンプレートの集合が選択され、パターンマッチングに利用されるテンプレート群として記憶される。
【0052】
当該テンプレート群は、テンプレート生成部113にて生成された全てのテンプレート(すなわち、基準テンプレート81および複数のオフセットテンプレート)を含んでいてもよく、テンプレート生成部113にて生成された全テンプレートのうち一部のみを含んでいてもよい。当該テンプレート群は、基準テンプレート81を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。すなわち、テンプレート群は、基準テンプレート81と、複数のオフセットテンプレートのうち1つ以上のオフセットテンプレートと、を含んでいてもよい。あるいは、テンプレート群は、基準テンプレート81を含まず、複数のオフセットテンプレートのうち2つ以上のオフセットテンプレートを含んでいてもよい。
【0053】
次に、描画装置1による基板9へのパターン描画の流れの一例について、
図7を参照しつつ説明する。基板9に対する描画の際には、まず、テンプレート生成部113において、上述のテンプレート領域に対応する基準テンプレート81およびオフセットテンプレート82a,82b(
図4-6参照)が生成され、記憶部111に記憶される(ステップS11)。
【0054】
記憶部111では、基準テンプレート81およびオフセットテンプレート82a,82bのうち、2つ以上のテンプレートが選択され、当該2つ以上のテンプレートを含む上記テンプレート群が記憶されることにより準備される(ステップS12)。本実施の形態では、当該テンプレート群は、基準テンプレート81、および、オフセットテンプレート82a,82bの3つのテンプレートにより構成される。換言すれば、テンプレート群は、テンプレート生成部113にて生成された全てのテンプレートを含む。ステップS11~S12では、第1パターン上において互いに位置が異なる複数のテンプレート領域のそれぞれについて、基準テンプレート81およびオフセットテンプレート82a,82bが生成され、複数のテンプレート領域にそれぞれ対応する複数のテンプレート群が記憶部111に記憶される。
【0055】
続いて、基板9が
図1に示す描画装置1に搬入され、ステージ21により保持される。ステージ21は、撮像部3および描画部4よりも(-Y)側の搬出入位置に位置している。ステージ21上に保持された基板9の上面91上には、上述の第1パターンが予め設けられている。
【0056】
次に、ステージ移動機構22により、基板9がステージ21と共に(+Y)方向へと移動され、撮像部3の下方に位置する。そして、撮像制御部112(
図3参照)により撮像部3およびステージ移動機構22が制御されることにより、基板9上において複数のテンプレート領域にそれぞれ対応する複数の撮像領域が撮像され、それぞれが第1パターンの一部を含む複数の撮像画像が取得される(ステップS13)。上述の撮像領域は、後述するように、位置検出部115によるパターンマッチングが行われる領域であり、以下、「マッチング領域」とも呼ぶ。
【0057】
上記複数の撮像領域はそれぞれ、基板9がステージ21上の設計位置に正確に保持された状態において、対応するテンプレート領域を略中心とする略矩形状の領域である。上記複数の撮像領域の形状および大きさは、互いに同じである。当該撮像領域は、X方向およびY方向にそれぞれ平行な一対の辺を有し、X方向およびY方向の双方において、対応するテンプレート領域よりも大きい。したがって、ステージ21上における基板9の位置が設計位置から多少ずれていたとしても、テンプレート領域に含まれるパターン要素93は撮像画像内に含まれる。ステップS13にて取得された撮像画像は、記憶部111に格納される。なお、ステップS13は、ステップS11~S12よりも前に行われてもよく、ステップS11~S12と並行して行われてもよい。
【0058】
ステップS13にて撮像が行われる基板9の上面91には、第1パターンの下側(すなわち、第1パターンが設けられている層の(-Z)側の層)に、他のパターンが予め設けられている場合がある。仮に、第1パターンの下側に位置する当該他のパターン(以下、「下層パターン」とも呼ぶ。)が上述の撮像画像に含まれると、後述するパターンマッチングにおいて、下層パターンが第1パターンと誤認される可能性がある。そこで、描画装置1では、撮像部3の各撮像ヘッド31の焦点深度の範囲に、第1パターンは含まれ、下層パターンは含まれないように、各撮像ヘッド31の上下方向の位置が調節される。これにより、ステップS13にて取得された撮像画像に下層パターンが含まれることを抑制または防止することができる。
【0059】
ステップS13が終了すると、テンプレート選択部114(
図3参照)により、各撮像画像に対して、各撮像画像に対応する上述のテンプレート群を用いたパターンマッチングが行われて適用テンプレートが選択される(ステップS14)。具体的には、まず、一の撮像画像が選択され、当該一の撮像画像に対応するテンプレート群が記憶部111から読み出される。続いて、当該テンプレート群に含まれる複数のテンプレートのそれぞれについて、当該一の撮像画像に対するパターンマッチングが行われ、各テンプレートを用いた際のマッチングスコアが取得される。そして、各テンプレートに対応するマッチングスコアに基づいて、テンプレート群からパターンマッチングに適した一のテンプレートが選択され、当該一のテンプレートが基板9の位置検出に適用される「適用テンプレート」として設定される。ステップS14では、複数の撮像領域のそれぞれについて、上記と同様に、対応するテンプレート群から適用テンプレートが選択される。
【0060】
ステップS14におけるパターンマッチングは、公知の様々なパターンマッチング法(例えば、幾何学形状パターンマッチングや正規化相関サーチ等)により行われてよい。本実施の形態では、ステップS14におけるパターンマッチングは、各テンプレートおよび撮像画像にそれぞれ含まれるパターン要素のエッジを用いて行われる。また、適用テンプレートの選択では、テンプレート群に含まれる各テンプレートのマッチングスコアを比較し、マッチングスコアが最大のもの(すなわち、撮像画像とのマッチングの程度がもっと高いもの)が適用テンプレートとされる。
【0061】
なお、ステップS14では、必ずしもマッチングスコアが最大のテンプレートが適用テンプレートとされる必要はなく、他のテンプレートが適用テンプレートとされてもよい。例えば、オフセットテンプレート82aを用いた際のマッチングスコアが最大であり、基準テンプレート81を用いた際のマッチングスコアが、オフセットテンプレート82aのマッチングスコアよりも少しだけ小さい場合、基準テンプレート81が適用テンプレートとして選択されてもよい。あるいは、マッチングスコアが所定の閾値よりも大きい複数のテンプレートから、任意の一のテンプレートが選択されてもよい。
【0062】
ステップS14が終了すると、位置検出部115(
図3参照)により、各撮像画像に対する適用テンプレートを用いたパターンマッチングの結果に基づいて、基板9の位置が検出される(ステップS15)。具体的には、各撮像画像におけるテンプレートと同じパターン要素の位置、および、各撮像画像を取得した際の基板9と撮像部3との相対位置等に基づいて、ステージ21上における基板9の位置が検出される。ステップS15では、適用テンプレートを用いたパターンマッチングの結果として、例えば、ステップS14にて行われた各テンプレートによるパターンマッチングのうち、最終的に適用テンプレートとなったテンプレートによるパターンマッチングの結果が流用される。あるいは、各撮像画像に対して、各撮像画像に対応する適用テンプレートを用いたパターンマッチングが改めて行われ、当該パターンマッチングの結果が使用されてもよい。
【0063】
ステップS15においてパターンマッチングが行われる場合、当該パターンマッチングは公知の様々なパターンマッチング法(例えば、幾何学形状パターンマッチングや正規化相関サーチ等)により行われてよい。例えば、ステップS15におけるパターンマッチングは、ステップS14と同様に、各テンプレートおよび撮像画像にそれぞれ含まれるパターン要素のエッジを用いて行われる。また、ステップS15における複数の撮像画像に対するパターンマッチングは、ステップS14における複数の撮像画像に対する適用テンプレートの選択と並行して行われてもよい。例えば、一の撮像画像に対応する適用テンプレートの選択は、適用テンプレートが選択済みである他の撮像画像に対するパターンマッチングと並行して行われてもよい。
【0064】
ステップS15において位置検出部115により検出される基板9の位置とは、ステージ21上における基板9のX方向およびY方向における座標、基板9の向き、並びに、基板9の歪み等による変形を示す情報を含む。また、基板9の変形を示す情報とは、変形している基板9の形状等の情報である。上述のように、描画装置1では、パターンマッチングに適した適用テンプレートがテンプレート群から選択され、当該適用テンプレートを用いて基板9のアライメント処理が行われる。したがって、ステージ21上における基板9の位置を精度良く検出することができる。
【0065】
ステップS15が終了すると、データ生成部116(
図3参照)により、記憶部111から第2CADデータが読み出され、第2CADデータのラスタライズが行われて第2描画データが生成される(ステップS16)。なお、ステップS16は、ステップS15と並行して行われてもよく、ステップS15よりも前に行われてもよい。ステップS16がステップS15よりも前に行われる場合、例えば、ステップS16は、ステップS11~S14のいずれかと並行して行われてもよく、ステップS11~S14のいずれか2つのステップの間に行われてもよく、ステップS11よりも前に行われてもよい。
【0066】
第2描画データが生成されると、第2描画データおよびステップS15にて検出された基板9の位置に基づいて、描画部4およびステージ移動機構22が描画制御部117(
図3参照)によって制御される。これにより、描画部4の描画ヘッド41に対してY方向に相対移動される基板9に向けて、上述の変調された光が照射され、基板9の上面91上に第2パターンが描画される(ステップS17)。ステップS17では、ステップS15にて検出された基板9の位置に基づいて、描画部4から基板9へと照射される光ビームの変調間隔および変調タイミング、並びに、基板9上における光ビームの走査位置等が、描画部4およびステージ移動機構22において既知の補正方法にて機械的に自動補正される。これにより、第1パターン上に第2パターンを位置精度良く描画することができる。
【0067】
第2パターンの描画が終了した基板9は、描画装置1から搬出される。そして、第1パターンが予め設けられている新たな基板9が描画装置1に搬入され、上述のステップS11~S17が行われることにより、当該第1パターン上に第2パターンが描画される。
【0068】
描画装置1では、所定枚数(例えば、1ロット)の複数の基板9に対して第2パターンの描画が行われた後、各基板9の複数の撮像画像に対してそれぞれ選択された適用テンプレートの種類が、ディスプレイ107に表示される。具体的には、基板9上に設定された複数の撮像領域(すなわち、複数のマッチング領域)のそれぞれについて、各基板9への第2パターンの描画の際にステップS14にて選択された適用テンプレートの種類(例えば、基準テンプレート81およびオフセットテンプレート82a,82bのうち選択された1つのテンプレートを示す名称や記号)が、撮像領域毎および基板9毎にディスプレイ107上に一覧表示される。オペレータは、ディスプレイ107の上記表示を様々な用途に活用することができる。
【0069】
以上に説明したように、基板9の位置を検出する位置検出装置6は、撮像部3と、記憶部111と、テンプレート選択部114と、位置検出部115とを備える。撮像部3は、基板9の上面91上に予め設けられているパターン(上記例では、第1パターン)の一部を撮像する。記憶部111は、テンプレート群を記憶する。当該テンプレート群は、上記パターンのCADデータである基準CADデータ(上記例では、第1CADデータ)から生成されたテンプレートである基準テンプレート81、および、基準テンプレート81に含まれるパターン要素93の線幅をそれぞれ変更したテンプレートである複数のオフセットテンプレート82a,82bのうち、2つ以上のテンプレートを含む。テンプレート選択部114は、撮像部3により取得された撮像画像に対して上記テンプレート群に含まれる各テンプレートを用いたパターンマッチングを行い、マッチングスコアに基づいてテンプレート群から適用テンプレートを選択する。位置検出部115は、撮像画像に対する適用テンプレートを用いたパターンマッチングの結果に基づいて基板9の位置を検出する。
【0070】
位置検出装置6では、上述のように、パターンの線幅を異ならせた複数のテンプレートから、パターンマッチングに適した適用テンプレートを選択することにより、基板9上に設けられたパターンの線幅の設計値からのずれや、撮像画像から取得されるパターンの線幅の設計値からのずれ等が存在する場合であっても、基板9の位置を精度良く検出することができる。
【0071】
上述のように、テンプレート選択部114によるパターンマッチングは、適用テンプレートおよび撮像画像にそれぞれ含まれるパターン要素のエッジを用いて行われることが好ましい。これにより、ステップS14におけるパターンマッチングを容易に行うことができ、基板9の位置を容易に検出することができる。また、パターン要素のエッジを用いたパターンマッチングでは、テンプレートの線幅が基板上の実際の線幅と異なると、マッチングスコアが比較的大きく低下し、基板9の位置検出精度も低下する。これに対し、上述の位置検出装置6では、パターンマッチングに適した線幅の適用テンプレートを使用してパターンマッチングを行うため、パターン要素のエッジを用いたパターンマッチングにおいても、基板9の位置を精度良く検出することができる。ステップS15においてパターンマッチングを行う場合についても同様である。
【0072】
上述のように、位置検出装置6は、上記基準CADデータから所定の大きさのテンプレート領域を選択してラスタライズすることにより基準テンプレート81を生成するテンプレート生成部113をさらに備えることが好ましい。これにより、位置検出装置6において基準テンプレート81の生成も行うことができるため、基板9の位置検出に係る作業を位置検出装置6にてまとめて行うことができる。その結果、基板9の位置検出に係る作業を簡素化することができる。
【0073】
上述のように、テンプレート生成部113は、基準CADデータのパターンの線幅がそれぞれ変更された複数のオフセットCADデータから、上記テンプレート領域をそれぞれ選択してラスタライズすることにより、複数のオフセットテンプレート82a,82bを生成することが好ましい。このように、位置検出装置6においてオフセットテンプレート82a,82bの生成も行うことにより、基板9の位置検出に係る作業をさらに簡素化することができる。
【0074】
上述のように、基板9の上面91には、パターン(上記例では、第1パターン)の下側に位置する下層パターンが予め設けられる場合がある。この場合、撮像部3の焦点深度の範囲に、当該パターンは含まれ、下層パターンは含まれないことが好ましい。これにより、ステップS14およびステップS15におけるパターンマッチングの際に、下層パターンのエッジ等が、第1パターンのエッジ等として誤検出されることを抑制することができる。その結果、基板9の位置検出精度を向上することができる。特に、ストライプ状やボーダー状に配置された複数のパターン要素が、上記パターンおよび下層パターンに含まれて上下方向に重なっている場合等、上述のように下層パターンを焦点深度の範囲から外すことにより、基板9の位置検出精度を好適に向上することができる。
【0075】
上述のように、位置検出装置6は、所定枚数の基板9のそれぞれについてテンプレート選択部114により選択された適用テンプレートの種類を表示する表示部(上記例では、ディスプレイ107)をさらに備えることが好ましい。これにより、当該表示部における表示を見たオペレータが、基板9上の複数の撮像領域(すなわち、マッチング領域)のそれぞれにおいて、選択される適用テンプレートの傾向を容易に把握することができる。また、オペレータは、処理曜日や処理時刻毎に選択される適用テンプレートの傾向を容易に把握することもできる。当該オペレータは、把握した上述の傾向を様々な目的(例えば、基板9に対するエッチング処理の偏り是正等)に利用することができる。なお、当該表示部はディスプレイ107には限定されず、他の様々な構成(例えば、適用テンプレートの種類を印刷用紙に印刷して表示するプリンタ)であってもよい。
【0076】
上述のように、基板9に光を照射してパターンの描画を行う描画装置1は、上記位置検出装置6と、ステージ21と、描画ヘッド41と、走査機構(上記例では、ステージ移動機構22)と、描画制御部117とを備える。ステージ21は、基板9を保持する。描画ヘッド41は、基板9の上面91に変調された光を照射する。走査機構は、基板9の上面91に平行な走査方向(上記例では、Y方向)に、ステージ21を描画ヘッド41に対して相対的に移動する。描画制御部117は、位置検出装置6により検出された基板9の位置に基づいて描画ヘッド41および走査機構を制御することにより、描画ヘッド41に対して走査方向に相対移動する基板9への描画を実行させる。位置検出装置6では、上述のように、基板9の位置を精度良く検出することができる。このため、描画装置1において、基板9へのパターン(上記例では、第2パターン)の描画を位置精度良く行うことができる。
【0077】
基板9の位置を検出する上述の位置検出方法は、基板9の上面91上に予め設けられているパターン(上記例では、第1パターン)の一部を撮像する工程(ステップS13)と、当該パターンのCADデータである基準CADデータ(上記例では、第1CADデータ)から生成されたテンプレートである基準テンプレート81、および、基準テンプレート81に含まれるパターン要素93の線幅をそれぞれ変更したテンプレートである複数のオフセットテンプレート82a,82bのうち、2つ以上のテンプレートを含むテンプレート群を準備する工程と(ステップS11~S12)、ステップS13にて取得された撮像画像に対して当該テンプレート群に含まれる各テンプレートを用いたパターンマッチングを行い、マッチングスコアに基づいてテンプレート群から適用テンプレートを選択する工程と(ステップS14)、上記撮像画像に対する適用テンプレートを用いたパターンマッチングの結果に基づいて基板9の位置を検出する工程(ステップS15)と、を備える。これにより、上述のように、基板9の位置を精度良く検出することができる。
【0078】
上述のように、プログラム109がコンピュータ100によって実行されることにより、基板9の上面91上に予め設けられているパターン(上記例では、第1パターン)の一部を撮像する工程(ステップS13)と、当該パターンのCADデータである基準CADデータ(上記例では、第1CADデータ)から生成されたテンプレートである基準テンプレート81、および、基準テンプレート81に含まれるパターン要素93の線幅をそれぞれ変更したテンプレートである複数のオフセットテンプレート82a,82bのうち、2つ以上のテンプレートを含むテンプレート群を準備する工程と(ステップS11~S12)、ステップS13にて取得された撮像画像に対して当該テンプレート群に含まれる各テンプレートを用いたパターンマッチングを行い、マッチングスコアに基づいてテンプレート群から適用テンプレートを選択する工程と(ステップS14)、上記撮像画像に対する適用テンプレートを用いたパターンマッチングの結果に基づいて基板9の位置を検出する工程(ステップS15)と、が行われる。これにより、上述のように、基板9の位置を精度良く検出することができる。
【0079】
上述のように、基板9上には、位置検出部115によりパターンマッチングがそれぞれ行われる複数のマッチング領域(すなわち、撮像領域)が設定されている。そして、テンプレート選択部114では、複数のマッチング領域のそれぞれについて、対応するテンプレート群の各テンプレートを用いたパターンマッチングが行われ、各テンプレートのマッチングスコアに基づいて当該テンプレート群から適用テンプレートが選択される。ただし、テンプレート選択部114による適用テンプレートの選択は、他の方法により行われてもよい。
【0080】
例えば、複数のマッチング領域のうち、一のマッチング領域におけるパターンマッチングに用いられるテンプレートは、複数のマッチング領域のうち、当該一のマッチング領域以外の2つ以上のマッチング領域についてテンプレート選択部114によりそれぞれ選択された2つ以上の適用テンプレートに基づいて、当該一のマッチング領域に対応するテンプレート群から選択される。これにより、多数のマッチング領域が設定される基板9の位置検出に要する時間を短くすることができる。
【0081】
具体的には、例えば、基板9上の正方形領域の各頂点に位置する4つのマッチング領域について、上述のステップS14にて説明した方法(すなわち、テンプレート群からマッチングスコアが最も高いテンプレートを選択する方法)により、テンプレート群から適用テンプレートがそれぞれ選択される。そして、4つの適用テンプレートが同じ種類のテンプレート(例えば、基準テンプレート81)であった場合、上記正方形領域の内側に位置する他のマッチング領域では、テンプレート群の各テンプレートを用いたパターンマッチングを行うことなく、上記4つのマッチング領域で選択された適用テンプレートと同じテンプレート(例えば、基準テンプレート81)が適用テンプレートとして選択される。
【0082】
あるいは、上述の正方形領域の各頂点に位置する4つのマッチング領域のうち3つのマッチング領域に対してステップS14にて説明した方法にて選択された適用テンプレートがオフセットテンプレート82aであり、1つのマッチング領域に対して当該方法にて選択された適用テンプレートが基準テンプレート81であったとする。この場合、当該正方形領域の内側に位置する複数のマッチング領域のうち、当該3つのマッチング領域と位置的に近いマッチング領域では、テンプレート群の各テンプレートを用いたパターンマッチングを行うことなく、オフセットテンプレート82aが適用テンプレートとして選択される。また、当該正方形領域の内側に位置する複数のマッチング領域のうち、上記1つのマッチング領域と位置的に近いマッチング領域では、テンプレート群の各テンプレートを用いたパターンマッチングを行うことなく、基準テンプレート81が適用テンプレートとして選択される。
【0083】
なお、一のマッチング領域に対して、テンプレート群の各テンプレートを用いたパターンマッチングを行うことなく、他の2つ以上のマッチング領域の適用テンプレートに基づいて適用テンプレートを選択する具体的な方法は、上述の例には限定されず、様々に変更されてよい。
【0084】
上述の位置検出装置6は、
図8に示すように、テンプレート群変更部118をさらに備えていてもよい。テンプレート群変更部118は、テンプレート選択部114によるテンプレート群に含まれる各テンプレートを用いたパターンマッチングの結果に基づいて、新たなオフセットテンプレートを生成して当該テンプレート群に追加する。これにより、当該オフセットテンプレートの追加以降に行われる基板9の位置検出において、撮像画像に対するパターンマッチングにさらに適した適用テンプレートを選択することができる。その結果、基板9の位置検出精度をさらに向上することができる。
【0085】
具体的には、例えば、一のマッチング領域について、テンプレート群の各テンプレートのマッチングスコアが、テンプレート選択部114により得られる。続いて、各テンプレートのマッチングスコアが、当該各テンプレートにおけるパターン要素の線幅と基準テンプレート81におけるパターン要素93の線幅との差(以下、「基準線幅差」とも呼ぶ。)を横軸としてグラフ化される。次に、当該グラフ(すなわち、散布図)にて、テンプレート群に含まれる複数のテンプレートのマッチングスコアを多項式近似し、近似線のピーク(すなわち、マッチングスコアの最大値)における基準線幅差を求める。そして、求められた基準線幅差だけ基準テンプレート81から線幅が異なる新たなオフセットテンプレートが、テンプレート群変更部118により生成されてテンプレート群に追加される。当該新たなオフセットテンプレートの生成は、例えば、上述のオフセットテンプレート82a,82bと同じ方法にて行われる。
【0086】
なお、テンプレート群変更部118が新たなオフセットテンプレートをテンプレート群に追加する際には、例えば、テンプレート群に含まれる複数のテンプレートのうち、当該新たなオフセットテンプレートとの線幅の差が最も大きいテンプレートがテンプレート群から除外されてもよい。これにより、ステップS14において適用テンプレートを選択する際の処理量増大を抑制することができる。
【0087】
上述の位置検出装置6、位置検出方法、プログラム109および描画装置1では、様々な変更が可能である。
【0088】
例えば、テンプレート生成部113によるオフセットテンプレート82a,82bの生成は、必ずしも、上述のオフセットCADデータから選択されたテンプレート領域がラスタライズされることによって行われる必要はなく、様々に変更されてよい。例えば、ビットマップデータである基準テンプレート81において、パターン要素93の線幅が変更されることにより、オフセットテンプレート82a,82bが生成されてもよい。
【0089】
また、基準テンプレート81およびオフセットテンプレート82a,82bは、必ずしも位置検出装置6にて生成される必要はなく、他の装置にて生成されて位置検出装置6へと送られ、記憶部111に格納されてもよい。この場合、位置検出装置6からテンプレート生成部113が省略されてもよい。
【0090】
位置検出装置6では、所定枚数(例えば、1ロット)の基板9のそれぞれについて選択された適用テンプレートの種類は、必ずしも表示される必要はない。この場合、位置検出部115から上述の表示部が省略されてもよい。
【0091】
位置検出装置6では、一の基板9について上述のように選択された適用テンプレートを、当該一の基板9に関連する他の基板9(例えば、当該一の基板9と同じロットの他の基板9)に適用してもよい。この場合、当該他の基板9では、ステップS14における各テンプレートのマッチングスコアの算出、および、適用テンプレートの選択が省略されるため、当該他の基板9のアライメント処理に要する時間を短縮することができる。
【0092】
撮像部3の焦点深度の範囲は、上記例には限定されず、様々に変更されてよい。
【0093】
位置検出装置6は、必ずしも描画装置1の一部である必要はなく、描画装置1から独立した装置として使用されてもよい。
【0094】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0095】
1 描画装置
3 撮像部
6 位置検出装置
9 基板
21 ステージ
22 ステージ移動機構
41 描画ヘッド
81 基準テンプレート
82a,82b オフセットテンプレート
91 (基板の)上面
93,93a,93b パターン要素
107 ディスプレイ
109 プログラム
111 記憶部
113 テンプレート生成部
114 テンプレート選択部
115 位置検出部
117 描画制御部
118 テンプレート群変更部
S11~S17 ステップ