(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076660
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/26 20060101AFI20240530BHJP
B65D 85/72 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
B65D1/26 110
B65D85/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188334
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】長島 弘彦
【テーマコード(参考)】
3E033
3E035
【Fターム(参考)】
3E033AA08
3E033BA16
3E033CA20
3E033DD05
3E033DD20
3E033DE05
3E035AA15
3E035BA05
3E035BB02
3E035BC02
3E035CA07
(57)【要約】
【課題】内容物を取り出すための空気取込口を容易に形成可能であり、且つ、生産効率の向上を図ることができる容器を提供する。
【解決手段】内容物を収容する収容空間を区画する底壁体11と側壁体12とを有する容器本体10と、底壁体11の外面の外縁部分において周壁状に突設された脚壁体14と、底壁体11に空気取込口30を開設するための空気取込口開設機能部20とを有する容器100であって、脚壁体14の周壁面は、底壁体11に連設される基端部から先端部に向けて周方向に断続されており、空気取込口開設機能部20は、脚壁体14の断続部分14bに設けられ、脚壁体14の周壁面と断続する押倒面を有する押倒部22と、押倒部22の基部22aの周囲に設けられ、基部22aを底壁体11に連結する破断予定部21aとを有し、押倒部22を底壁体11側に押し倒すことで破断予定部21aが破断して空気取込口30が開設されるようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する収容空間を区画する底壁体と側壁体とを有する容器本体と、前記底壁体の外面の外縁部分において周壁状に突設された脚壁体と、前記底壁体に空気取込口を開設するための空気取込口開設機能部と、を有する容器であって、
前記脚壁体の周壁面は、前記底壁体に連設される基端部から先端部に向けて周方向に断続されており、
前記空気取込口開設機能部は、前記脚壁体の断続部分に設けられ、前記脚壁体の周壁面と断続する押倒面を有する押倒部と、前記押倒部の基部の周囲に設けられ、前記基部を前記底壁体に連結する破断予定部とを有し、
前記押倒部を前記底壁体側に押し倒すことで前記破断予定部が破断して前記空気取込口が開設される、容器。
【請求項2】
前記脚壁体の前記周壁面は、前記底壁体の前記外面の中心側に凹む凹部を有し、当該凹部において断続し、
前記空気取込口開設機能部は前記凹部において前記脚壁体の断続する部分に設けられる、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記空気取込口開設機能部は2n個(但し、nは自然数とする)設けられ、一の押倒部に対して、他の押倒部が対向配置される、請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記押倒部の前記基部は、前記底壁体のその他の部分よりも薄肉に形成された薄肉領域に取り囲まれており、
前記薄肉領域は、前記破断予定部と、前記破断予定部よりも肉厚が厚く、且つ、前記破断予定部が破断した後に前記押倒部と前記底壁体との連結状態を維持するための連結維持部とを有する、請求項1に記載の容器。
【請求項5】
前記押倒部の前記底壁体の前記外面からの突出長さは、前記脚壁体の他部における前記底壁体の前記外面からの突出長さよりも短い、請求項1に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に関し、特に容器本体の底壁体に内容物を取り出すための空気取込口を形成可能な容器に関する。
【背景技術】
【0002】
プリン、ゼリー、寒天、卵豆腐、ごま豆腐等が充填される容器として、容器本体の底壁体に内容物を取り出すための空気取込口を開設可能な容器が知られている。この種の容器では、一般に、容器本体の底壁体に突設された突出片を押し倒して突出片を基部から折ることで、底壁体の一部が基部と共に除去されて、空気取込口となる空気孔が底壁体に開設されるようになっている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示の容器では、板状の突出片が底板(底壁体)に設けられ、突出片の周囲領域を薄肉に形成することで開口を容易に形成可能としている。
同様に、特許文献2に開示の容器でも、底壁部分において突出片の基部の周囲に環状薄肉部を設け、環状薄肉部の厚みを底壁部分の厚みよりも小さく破断しやすい値とすることで、環状薄肉部を備えていない容器と比較すると、底壁部分と突出片の基部との間を容易に破断可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭57-055181号公報
【特許文献2】特開2011-51598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の容器では意図せず空気孔が開設されないように、底壁体の外縁に沿って突出片を取り囲むように脚壁体(又は保護筒)が設けられていた。突出片は脚壁体の内側であって、大人の指であっても挿入可能なように脚壁体の内周面から所定の程度離間した位置に設けられていた。また、突出片は、幼児などでも簡単に押し倒すことができるように細い棒状又は薄い板状に構成される。さらに、上記のとおり、突出片の基部の周囲では底壁体が薄肉に形成されている。このように、従来の容器は成形の難易度が高く、生産効率よく製造することが困難であった。例えば、成形サイクルを早くしようとすると、突出片の先端に焦げ付きが生じたり、先端まで樹脂が充填される前に樹脂が固化してしまいショートショットが発生するなどするおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明の課題は、内容物を取り出すための空気取込口を容易に形成可能であり、且つ、生産効率の向上を図ることができる容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る容器は、内容物を収容する収容空間を区画する底壁体と側壁体とを有する容器本体と、前記底壁体の外面の外縁部分において周壁状に突設された脚壁体と、前記底壁体に空気取込口を開設するための空気取込口開設機能部と、を有する容器であって、前記脚壁体の周壁面は、前記底壁体に連設される基端部から先端部に向けて周方向に断続されており、前記空気取込口開設機能部は、前記脚壁体の断続部分に設けられ、前記脚壁体の周壁面と断続する押倒面を有する押倒部と、前記押倒部の基部の周囲に設けられ、前記基部を前記底壁体に連結する破断予定部とを有し、前記押倒部を底壁体側に押し倒すことで前記破断予定部が破断して前記空気取込口が開設される、ことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る容器において、前記脚壁体の前記周壁面は、前記底壁体の前記外面の中心側に凹む凹部を有し、当該凹部において断続し、前記空気取込口開設機能部は前記凹部において前記脚壁体の断続する部分に設けられる、ことが好ましい。
【0009】
本発明に係る容器において、前記空気取込口開設機能部は2n個(但し、nは自然数とする)設けられ、一の押倒部に対して、他の押倒部が対向配置される、ことが好ましい。
【0010】
本発明に係る容器において、前記押倒部の前記基部は、前記底壁体のその他の部分よりも薄肉に形成された薄肉領域に取り囲まれており、前記薄肉領域は、前記破断予定部と、前記破断予定部よりも肉厚が厚く、且つ、前記破断予定部が破断した後に前記押倒部と前記底壁体との連結状態を維持するための連結維持部とを有する、ことが好ましい。
【0011】
本発明に係る容器において、前記押倒部の前記底壁体の前記外面からの突出長さは、前記脚壁体の他部における前記底壁体の前記底面からの突出長さよりも短い、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る容器によれば、容器本体の底壁体の外面の外縁部分において周壁状に断続的に突設された脚壁体を設け、底壁体に空気取込口を開設するための空気取込口開設機能部を脚壁体の断続部分に設けられ、前記脚壁体の周壁面と断続する押倒面を有する押倒部と、押倒部の基部の周囲に設けられ、基部を前記底壁体に連結する破断予定部とを含んで構成している。
【0013】
そのため、従来の容器と同様に、押倒部を底壁体側に押し倒すことで破断予定部を破断させて空気取込口となる開口を容易に形成することができる。ここで、従来の容器では、底壁体の外面から周壁状に突出する脚壁体の内周面から大人の指が挿入可能な程度離間した位置に、脚壁体とは別に底壁体の外面から突出する突出片を設けていたのに対して、当該容器では周壁状に突出する脚壁体の周壁面の一部を周方向に断続させて押倒部とし、底壁体において当該押倒部の基部の周囲を破断予定部とすればよい。したがって、従来の容器と比較すると容器全体の構成が簡易であり、金型も簡易な構成とすることができる。すなわち、当該容器では、押倒部を脚壁体の一部のようにして成形することができるため、押倒部の先端部分の焦げ付きや、ショートショットの発生等を抑制しつつ、歩留まりよく、生産サイクルを早めることが可能になる。よって、本発明に係る容器によれば、内容物を取り出すための空気取込口を容易に形成可能であり、且つ、生産効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る容器の一実施形態を示す図であり、(a)は当該容器の開口面が上方を向くように正立姿勢で配置したときの斜視図であり、(b)は容器を(a)に底面が上方を向くように天地逆に配置した状態を示す斜視図である。
【
図2】(a)は
図1(a)に示す容器の上面図であり、(b)はその底面図である。
【
図3】(a)は
図2(b)のA-A断面を表す図であり、(b)は(a)の丸で囲んだ部分を表す拡大図である。
【
図4】
図1(a)に示す容器において、内容物を取り出す手順を説明するための図である。
【
図5】
図1(a)に示す容器において、内容物を取り出す手順を説明するための他の図である。
【
図6】(a)は
図5(a)の押倒部付近を示す部分拡大図であり、(b)は
図6(a)の押倒部付近を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照しながら本発明に係る容器の実施の形態を説明する。
図1(a)、(b)に本実施の形態の容器100の斜視図を示す。(a)は開口面が上方を向くように正立姿勢で配置した状態を示し、(b)は底面が上方を向くように天地逆に配置した状態を示す。当該容器100は、容器本体10と、容器本体10の底壁体11に、容器本体10に充填された内容物を取り出すための空気取込口30(
図5(a)、
図6(b)参照)を開設するための空気取込口開設機能部20を備えている。容器本体10と空気取込口開設機能部20とは一体に成形されてなり、例えば、ポリプロピレン(PP)系樹脂製、又は、ポリスチレン(PS)系樹脂製、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂製等の各種容器包装材料に用いられる樹脂により成形することができる。
【0016】
以下、各部の構成をより詳細に説明する。なお、以下において上下方向は相対的な位置関係を表し、容器本体10の中心軸O(
図3(a)参照)に沿う方向をいうものとする。例えば、容器100を
図1(a)に示す正立姿勢で配置したときは底壁体11が位置する側を下方とし、天面13が位置する側を上方とする。また、径方向とは中心軸Oに直交する方向をいい、面内方向とは、対象とする面(例えば、底壁体11)が水平面であると仮定したときの水平方向をいうものとする。
【0017】
まず、
図1~
図3を参照しながら、容器本体10について説明する。
図1(a)、(b)に示すように、容器本体10は、上記底壁体11と、側壁体12とを有し、これらにより内容物が収容される収容空間が区画される。容器本体10の天面13は開口し、天面13から内容物を充填し、或いは、内容物を取り出すことができる。内容物として、例えば、プリン、ゼリー、寒天、卵豆腐、ごま豆腐等のように、製造工程において容器本体10に対して液状で充填され、その後加熱されること等により凝固する食品等を好適に収容することができる。
【0018】
本実施の形態の容器100では、
図2に示すように底壁体11は平面視(軸方向に直交する方向からみたとき)において6枚の花びら(花弁)を有する花形を呈する。側壁体12の下部12aは平面視において底壁体11と同様に花形を呈し、軸方向上方に向かって拡径されている。一方、側壁体12の上部12bは平面視において円形を呈し、軸方向上方に向かって拡径されている。側壁体12の下部12aの上端と、上部12bの下端とは中底壁体15により接合されている(
図1、
図2及び
図3(a)参照)。
【0019】
天面13には、
図1及び
図2等に示すように、側壁体12の上部12bの上端から径方向外側に突出するフランジ部13aが設けられている。アルミ蒸着フィルムや、樹脂フィルム等のシール材(不図示)により容器本体10の天面13を被覆し、フランジ部13aにシール材を熱圧着することなどにより、容器本体10を密閉することができる。
【0020】
図1、
図2(b)及び
図3(a)に示すように底壁体11の下面には脚壁体14が設けられている。脚壁体14は、平面視において、
図1(b)及び
図2(b)に示すように底壁体11の外面の外縁よりも内側から周壁状に軸方向に突設されている。本実施の形態では、脚壁体14は平面視において底壁体11の外縁形状と略相似形の短筒状又は枠体状に構成されており、脚壁体14はその周壁面は底壁体11の外縁に沿うようにして軸方向に突設されている。
【0021】
底壁体11は上記のとおり平面視において花びらが6枚の花形を呈するため、脚壁体14の周壁面には、平面視において、底壁体11の外面の中心側に凹む凹部14aが六箇所等間隔に設けられている。脚壁体14は、この6箇所の凹部14aのうち、互いに対向する2箇所において基端部から先端部に向かって周方向に断続する断続部分を有する。但し、基端部は底壁体11に連設される側を意味する。脚壁体14の周壁面が断続するこの凹部については他の凹部14aと区別するために、「14b」の符号を付す。
【0022】
次に、空気取込口開設機能部20について説明する。
図3(a)は
図1(a)に示す正立姿勢から容器本体10を天地逆にして天面13が軸方向下方に配置された状態を示す。
図3(b)は、
図3(a)において丸で囲んだ部分を示す部分拡大図である。空気取込口開設機能部20は、底壁体11の外縁部分において、脚壁体14の上記断続する凹部14bの周囲において他の部分よりも肉厚が薄く形成された薄肉領域21と、この薄肉領域21を介して基部22aが底壁体11に連結される押倒部22とを備えている(
図6(a)を併せて参照)。
【0023】
薄肉領域21は、
図3(b)に示すように、押倒部22の先端部22b側を底壁体11の中心側に押し倒したときに破断する破断予定部21aと、破断予定部21aが破断した後も押倒部22を底壁体11に連結された状態を維持するための連結維持部21bとを有する。破断予定部21aは、押倒部22の基部22aよりも底壁体11の外縁側に設けられる。連結維持部21bは、押倒部22の基部22aよりも底壁体11の中心側に設けられる。破断予定部21a及び連結維持部21bは、底壁体11の他の領域と比較すると薄肉に形成されているが、連結維持部21bは破断予定部21aよりも肉厚が厚く形成されている。
【0024】
押倒部22は、脚壁体14と同等の厚み(径方向の肉厚をいうものとする)を有し、周方向に所定の幅を有する。つまり、押倒部22は板状を呈し、
図1(b)等に示すように、押倒部22の押倒面は、脚壁体14の上記断続する凹部14bに設けられ、脚壁体14の周壁面とその押倒部22の押倒面とは断続的に設けられている。そのため、
図1(b)に示すように、脚壁体14の周壁面と押倒部22の外面(以下、「押倒面」と称する。)との間には軸方向に延びる間隙が存在するものの、押倒部22は脚壁体14の一部を成すかのような外観を呈する。
【0025】
また、
図3(b)に示すように、底壁体11の外面からの押倒部22の突出長さは脚壁体14の底壁体11からの突出長さ以下とされる。本実施の形態では、押倒部22の底壁体11からの突出長さは底壁体11の下面からの脚壁体14の突出長よりも短くされている。そのようにすることで、当該容器本体10をスタッキングしたとき、上に位置する容器本体10の脚壁体14が下に位置する他の容器本体10の底壁体11の上面に当接し、押倒部22の先端部22bが他の容器本体10の底壁体11から離間し、スタッキング時に押倒部22に力が負荷されないようにすることができる。
【0026】
本実施の形態では、
図2(b)に示すように、脚壁体14に設けられた上記2箇所の断続する凹部14bに、それぞれ上記空気取込口開設機能部20が設けられている。一の空気取込口開設機能部20の押倒部22と、他の空気取込口開設機能部20の押倒部22とは、底壁体11の中心を挟んで対向配置されている。各破断予定部21aは、上記のとおり各押倒部22の基部22aよりも底壁体11の外縁側に設けられ、各連結維持部21bは、各押倒部22の基部22aよりも底壁体11の中心側に設けられている。但し、底壁体11の中心は、容器本体10の中心軸Oと底壁体11の外面との交点とする。
【0027】
以上のように構成した容器100から内容物を皿等の上に取り出す際は、
図4(b)に示すように、容器本体10の天面13側が皿(不図示)に面するようにして皿等の上に伏せる。そして、
図4(b)に示すように一対の押倒部22を例えば親指と人差し指で挟むようにして、各押倒部22の押倒面に指を押し当て、底壁体11の中心側(図示例では
図4(a)、(b)に示す白抜き矢印の方向)に向けてそれぞれ押し倒すと、連結維持部21bを支点として押倒部22の先端部22b側が底壁体11に近づく方向に回動する(
図5(a)、(b)参照)。破断予定部21aは押倒部22の基部22aと一体成形されているため、押倒部22が押し倒されると撓み変形する。そして、押倒部22に対して所定以上の力が加わると、破断予定部21aは破断し、
図5(a)、
図6(b)に示すように空気取込口30が底壁体11に開設される。
【0028】
底壁体11に空気取込口30が開設されると、容器本体10の内面と内容物との間に空気を導入することができ、自重により内容物が皿等の上に落下する。その際、内容物は容器本体10の内部形状を略維持した状態で皿等の上に取り出される。
【0029】
以上のように構成した当該容器100によれば、容器本体10の底壁体11の外面の外縁部分から周壁状に突設された脚壁体14を設け、脚壁体14の周壁面をその基端部から先端部に向けて周方向に断続された部分(凹部14b)に空気取込口開設機能部20を設け、空気取込口開設機能部20を、当該断続部分に配置される押倒部22と、押倒部22の基部22aを底壁体11とを連結する薄肉の破断予定部21aとを含む構成としている。
【0030】
そのため、従来と同様に、押倒部22を底壁体11側に押し倒すことで破断予定部21aを破断させて底壁体11に空気取込口30となる開口を容易に形成することができる。また、当該容器100では従来と略同様に底壁体11の外面から周壁状に突出する脚壁体14を設けつつ、その周壁面の一部を押倒部22とすべく、周壁体(脚壁体14)の基端部から先端部に向かって軸方向に延びる間隙(切欠部)を押倒部22の両側に設け、底壁体11における押倒部22の基部22aの周囲の領域を薄肉領域21としたような構成となっている。そのため、押倒部22を脚壁体14の一部のようにして成形することができ、押倒部22の先端部22bの焦げ付きや、ショートショットの発生等を抑制しつつ、歩留まりよく、生産サイクルを早めることが可能になる。よって、上記容器100によれば、内容物を取り出すための空気取込口30を底壁体11に容易に形成可能であり、且つ、当該容器100の生産効率の向上を図ることができる。
【0031】
また、上記容器100では、押倒部22の基部22aの周囲を取り囲むようにして薄肉領域21を設け、基部22aよりも底壁体11の外縁側を破断予定部21aとし、押倒部22の基部22aよりも底壁体11の中心側を連結維持部21bとし、破断予定部21aよりも連結維持部21bを厚肉に形成している。当該構成を採用することで、押倒部22を連結維持部21bが設けられた側、すなわち底壁体11の中心側に押し倒すと、連結維持部21bは破断予定部21aと比較すると厚肉のため撓み変形しづらく、破断予定部21aに負荷を集中させることができる。そのため、連結維持部21bを備えていない場合と比較すると小さな力で破断予定部21aの破断を開始させることができ、破断予定部21aを速やかに破断させることができる。さらに、破断予定部21aが破断されても、連結維持部21bは破断予定部21aよりも厚肉のため破断されず、折り曲げられた押倒部22と底壁体11との連結状態を維持することができる。
【0032】
さらに、上記容器100では、押倒部22を底壁体11の外縁に沿って所定の幅を有する板状に構成している。そのため、従来の細棒状の突出片と比較すると、押倒部22の基部22aの周囲に薄肉領域21を設けつつ、破断予定部21a及び連結維持部21bにより基部22aと底壁体11とをより広い面積で連結することができるため、金型から取り出すときなどに破断予定部21aに負荷が集中しすぎて破断予定部21aが意図せず破断することなどを防止することができる。また、押倒部22を板状に構成することで、細い棒状の突出片と比較すると、押倒部22の肉厚を薄くしても流通時などの破損を抑制しやすく、指の当接面積を確保することができる。したがって、従来の同等の容器と比較すると、空気取込口開設機能部20に求められる機能を維持又は向上しつつ、歩留まりよく製造することが可能になる。
【0033】
以上、本発明の実施の形態の容器100について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であるのは勿論である。例えば、上記容器100では、空気取込口開設機能部20を2つ設けたが、本発明に係る容器において、空気取込口開設機能部20は少なくとも一つ設けられていればよい。また、空気取込口開設機能部20の数は特に限定されるものではなく、2つ以上(3つ以上)設けられていてもよい。空気取込口開設機能部20を複数設ける場合、その数は2n個(但し、nは自然数)であることが好ましい。空気取込口開設機能部20を2n個設けることにより、上記実施の形態の容器100のように一の押倒部22に対して他の押倒部22が対向配置することができ、一対の押倒部22を親指と人差し指などで挟み込むようにして、両押倒部22の先端部22b側を互いに近接させるようにして押し倒すことで、底壁体11に空気取込口30となる開口を容易に構成することができる。
【0034】
また、上記容器100では、押倒部22の基部22aを取り囲むように薄肉領域21を設け、押倒部22の基部22aよりも底壁体11の外縁側を破断予定部21aとし、押倒部22の基部22aよりも底壁体11の中心側を連結維持部21bとし、破断予定部21aよりも連結維持部21bを厚肉に形成したが、本発明に係る容器100はこれに限定されるものではない。基部22aと底壁体11とを連結する薄肉領域21の肉厚を全て同じ厚みの破断予定部21aのみとしてもよい。
【0035】
また、本実施の形態の容器のように、基部22aの周囲に薄肉領域21を設けつつ、その一部を破断予定部21aとし、他部を連結維持部21bとし、両者の肉厚を異なる厚みとして破断予定部21aをより破断しやすい厚みとすれば上記効果が得られる。その際に、例えば、
図4(a)及び
図5(a)に示すように、押倒部22を押し倒す方向を示す矢印等の記号や、「PUSH」等の文字などを底壁体11の外面に凹凸などにより表記し、押し倒す方向を示すことも好ましい。
【0036】
さらに上記容器100では、底壁体11が花形を呈し、天面13が円形を呈し、側壁体12の下部12aと上部12bとがそれぞれ異なる形状に形成されるものとしたが、容器本体10の形状はこれに限定されるものではない。容器本体10はプリン型、ゼリー型といった機能も有するため、内容物を取り出したい形状に応じて適宜容器本体10の形状を変更することができる。例えば、底壁体11と天面13とが相似形である円錐台形状や、方錐台形状等の多角錐台形状としてもよいし、底壁体11と天面13の形状が但し、内容物を良好に取り出す上で、底壁体11の面積よりも天面13の開口面積の方が広いことが好ましい。
【0037】
さらに、上記実施の形態では底壁体11の下方に、平面視において底壁体11の外縁形状と略相似形状の脚壁体14を突設するものとしたが、脚壁体14は底壁体11の外縁形状と略相似形状である必要はない。例えば、底壁体11が花形であるときに、脚壁体14を平面視において円形、方形等の異なる形状としてもよい。この場合も、脚壁体14の周壁面が周方向に断続するように、脚壁体14を突設させ、底壁体11の脚壁体14が断続する部分に薄肉の破断予定部21aの一部が押倒部22の押倒面となるように構成されていればよく、脚壁体14の形状等は特に限定されるものではない。
【0038】
また、上記実施の形態では脚壁体14と、押倒部22とによって、底壁体11の外縁の内側に略全周にわたる周壁体を設けたが、脚壁体14は押倒部22が設けられる部分の他にも断続する部分があってもよい。例えば、上記花形に形成された底壁体11において、上記脚壁体14の凹部14aの全てが断続していてもよい。その際、脚壁体14の断続部分(凹部14a、14b)の全てに押倒部22が設けられている必要はなく、一つの凹部14bにのみ押倒部22が設けられ、他の凹部14bは脚壁体14の存在しない単なる断続部分とされていてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10 :容器本体
11 :底壁体
12 :側壁体
12a :下部
12b :上部
13 :天面
13a :フランジ部
14 :脚壁体
14a :凹部
14b :凹部
15 :中底壁体
20 :空気取込口開設機能部
21 :薄肉領域
21a :破断予定部
21b :連結維持部
22 :押倒部
22a :基部
22b :先端部
30 :空気取込口
100 :容器
O :中心軸