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特開2024-76661配管接続構造、排水口装置及び洗面化粧台
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076661
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】配管接続構造、排水口装置及び洗面化粧台
(51)【国際特許分類】
   F16L 33/00 20060101AFI20240530BHJP
   E03C 1/12 20060101ALI20240530BHJP
   E03C 1/14 20060101ALI20240530BHJP
   A47K 1/00 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
F16L33/00 B
E03C1/12 Z
E03C1/14
A47K1/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188335
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(71)【出願人】
【識別番号】392028767
【氏名又は名称】株式会社日本アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】神野 晃一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 弘貴
(72)【発明者】
【氏名】岡田 和真
【テーマコード(参考)】
2D061
3H017
【Fターム(参考)】
2D061AA01
2D061AB05
2D061AB10
2D061AC03
3H017CA07
(57)【要約】
【課題】被挿通部の奥側へとチューブ部材をよりスムーズにねじ込むこと等を可能とする配管接続構造などを提供する。
【解決手段】配管接続構造33は、螺旋状をなす硬質の芯材3311aをよって形成された螺旋状突起3311が、軟質の管体3312の外周に設けられてなるチューブ部材331と、チューブ部材331に対し直列的に接続される配管332とを備える。配管332における被挿通部3321は、その内周に螺旋状突起3311に対応する雌ねじ部3321aを有することで、チューブ部材331をねじ込み可能とされている。そして、雌ねじ部3312aの谷部3312bは、配管332における奥側から端部開口332a側に向けて一定の内径を有する一方、雌ねじ部3312aの山部3312cは、配管332における奥側から端部開口332a側に向けて内径が徐々に増大するように構成される。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状をなす硬質の芯材をよって形成された螺旋状突起が、筒状をなす軟質の管体の外周に設けられてなるチューブ部材と、
前記チューブ部材に対し直列的に接続される配管とを備え、
前記配管の端部開口から当該配管の内周に前記チューブ部材が挿通されるとともに、前記配管の内周面と前記チューブ部材の外周面とが所定の接着剤で固着されることで、前記チューブ部材及び前記配管が接続されてなる配管接続構造であって、
前記配管のうちの前記チューブ部材が挿通される部位である被挿通部は、その内周に前記螺旋状突起に対応する雌ねじ部を有することで、前記チューブ部材をねじ込み可能に構成されており、
前記雌ねじ部の谷部は、前記配管における奥側から前記端部開口側に向けて一定の内径を有する一方、
前記雌ねじ部の山部は、前記配管における奥側から前記端部開口側に向けて内径が徐々に増大するように構成されていることを特徴とする配管接続構造。
【請求項2】
前記雌ねじ部は、前記端部開口とは反対側に位置する終端部に、前記螺旋状突起の端部が突き当たり可能な位置決め面を有することを特徴とする請求項1に記載の配管接続構造。
【請求項3】
前記配管は、
前記被挿通部よりも前記配管の奥側に位置するとともに、当該被挿通部に挿通された前記チューブ部材における前記管体の端部と前記配管の軸方向に沿って相対向し、かつ、当該チューブ部材の内径とほぼ同一の内径を有する段部と、
前記雌ねじ部における前記端部開口とは反対側に位置する終端部と前記段部との間に位置し、前記管体の端部の収容空間を形成するチューブ端部収容部とを具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の配管接続構造。
【請求項4】
前記配管は、前記雌ねじ部よりも前記端部開口側に位置するとともに、内径が前記谷部の内径よりも大きなものとされた接着剤受け部を備えることを特徴とする請求項1に記載の配管接続構造。
【請求項5】
槽体の排水口を通過した排水が流れる流路構成部を備え、
請求項1に記載の配管接続構造によって前記流路構成部の少なくとも一部が構成される排水口装置であって、
前記配管接続構造においては、前記チューブ部材側から前記配管側に向けて前記排水が流れるように構成されていることを特徴とする排水口装置。
【請求項6】
請求項1に記載の配管接続構造を有し、当該配管接続構造によって排水の流路の少なくとも一部が構成されてなる洗面化粧台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ部材及び配管が接続されてなる配管接続構造、当該配管接続構造を備えてなる排水口装置、及び、当該配管接続構造を備えてなる洗面化粧台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、槽体(例えば、洗面化粧台の洗面ボウルや浴槽、流し台のシンク等)の排水口を通過した排水の流路を構成する流路構成部を備えてなる排水口装置が知られている。流路構成部は、例えば、螺旋状をなす硬質の芯材によって形成された螺旋状突起が、筒状をなす軟質の管体の外周に設けられてなる、比較的容易に曲げることが可能な軟質のチューブ部材と、当該チューブ部材に対し直列的に接続された硬質の配管とを備えてなる配管接続構造によって構成されることがある(例えば、特許文献1等参照)。この特許文献1において、配管接続構造は、排水口の下方に位置するチューブ部材(接続チューブ)と、当該チューブ部材に対し直列的に接続される配管(排水トラップ又はトラップ継手)とによって構成されている。そして、チューブ部材及び配管は、配管の外周にチューブ部材を外嵌することによって接続されている。
【0003】
また、芯材を有するものではないものの、外周に螺旋状の突起を備えてなるチューブ部材と配管とを接続する手法としては、配管の内周にチューブ部材を挿通しつつ、配管の内周面とチューブ部材の外周面とを所定の接着剤によって固着した状態とする手法も知られている(例えば、特許文献2等参照)。この手法についてより詳しく説明すると、配管のうちのチューブ部材が挿通される部位である被挿通部は、その内周に前記螺旋状の突起に対応する雌ねじ部を有している。そして、チューブ部材の外周面などに接着剤を塗布した上で、前記被挿通部にチューブ部材をねじ込むことにより、配管及びチューブ部材が接続されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-300763号公報
【特許文献2】特開平11-190480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献2に記載の手法を用いて、硬質の芯材によって形成された螺旋状突起を備えてなるチューブ部材と配管とを接続することが考えられる。しかしながら、この場合には、チューブ部材における先端側の外周面と被挿通部の内周面との間で生じる摩擦の影響により、被挿通部に対してチューブ部材をねじ込む際に、チューブ部材が意図せず拡径し、ひいては被挿通部の奥へとチューブ部材を十分に挿通することができなくなるおそれがある。詳述すると、被挿通部に対しチューブ部材をねじ込んでいくと、チューブ部材における先端側の外周面と被挿通部との間で生じる摩擦により、チューブ部材の先端側部分が回転しにくい状態となる。この状態において、被挿通部の奥へとチューブ部材をねじ込むべく、チューブ部材に回転力を加えると、芯材が拡径するようにして変形し、ひいては芯材の拡径に合わせてチューブ部材が拡径する。これは、コイルばねの一端部を固定した上で、当該コイルばねの他端部を押し込むようにしてねじ込み方向に当該コイルばねに回転力を加えたときに、コイルばねが拡径する場合と同様である。チューブ部材が拡径すると、チューブ部材の先端側部分が回転しにくい状態であることと相俟って、被挿通部の奥へとチューブ部材を十分に挿通することが極めて困難となる。
【0006】
これに対し、雌ねじ部における谷部及び山部のそれぞれを、被挿通部における奥側から端部開口(チューブ部材がねじ込まれる側の開口)側に向けて内径が徐々に増大するテーパ状とすることで、被挿通部の内周面とチューブ部材の外周面との間に十分な隙間を設けることが考えられる。このような隙間を設ければ、被挿通部の奥側へとチューブ部材をよりスムーズにねじ込み可能となる。
【0007】
しかしながら、雌ねじ部における谷部及び山部のそれぞれを上記のようなテーパ状とすると、被挿通部の内周面とチューブ部材の外周面との間に形成される隙間が、被挿通部の開口側(チューブ部材の被挿通口)に向けて徐々に大きなものとなるため、被挿通部に対するチューブ部材の傾きが生じやすくなる。そのため、チューブ部材が傾いた状態で接着剤が硬化するといった事態が生じやすくなり、見栄えの低下を招きやすくなるおそれがある。また、接着剤が硬化する途中でチューブ部材が傾いて、本来接着剤を充填すべき空間に隙間が生じたり、また、硬化後に多少の柔軟性を有する接着剤を用いる場合には、接着剤の硬化後であっても、外力が加わることによりチューブ部材が傾くことで本来接着剤を充填すべき空間に隙間が生じたりするおそれがある。このような隙間の発生は、シール性(水密性)の低下を招くおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、被挿通部の奥側へとチューブ部材をよりスムーズにねじ込み可能としながら、チューブ部材及び配管間におけるシール性をより確実に良好なものとすることができ、さらに、見栄えの低下防止を図ることができる配管接続構造などを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0010】
手段1.螺旋状をなす硬質の芯材をよって形成された螺旋状突起が、筒状をなす軟質の管体の外周に設けられてなるチューブ部材と、
前記チューブ部材に対し直列的に接続される配管とを備え、
前記配管の端部開口から当該配管の内周に前記チューブ部材が挿通されるとともに、前記配管の内周面と前記チューブ部材の外周面とが所定の接着剤で固着されることで、前記チューブ部材及び前記配管が接続されてなる配管接続構造であって、
前記配管のうちの前記チューブ部材が挿通される部位である被挿通部は、その内周に前記螺旋状突起に対応する雌ねじ部を有することで、前記チューブ部材をねじ込み可能に構成されており、
前記雌ねじ部の谷部は、前記配管における奥側から前記端部開口側に向けて一定の内径を有する一方、
前記雌ねじ部の山部は、前記配管における奥側から前記端部開口側に向けて内径が徐々に増大するように構成されていることを特徴とする配管接続構造。
【0011】
上記手段1によれば、雌ねじ部の山部は、配管の奥側から端部開口側に向けて徐々に内径が増大するテーパ状とされており、一方、雌ねじ部の谷部は、一定の内径を有するストレート状とされている。ここで、雌ねじ部の山部がテーパ状をなしているため、雌ねじ部の山部及び谷部がそれぞれストレート状である場合と比べて、チューブ部材における先端側の外周面と雌ねじ部との間で生じる摩擦力を効果的に低減させることができる。これにより、被挿通部の奥側へとチューブ部材をよりスムーズにねじ込むことが可能となり、チューブ部材及び配管を適切な状態で接続することがより容易に可能となる。また、雌ねじ部の山部がテーパ状をなしていることで、雌ねじ部の山部及び谷部がそれぞれストレート状である場合と比べて、チューブ部材の外周に接着剤を塗布した上で当該チューブ部材を配管にねじ込んだ際に、配管のより奥側へと接着剤をより確実に充填することができる。
【0012】
一方、上記手段1によれば、雌ねじ部の谷部はストレート状とされているため、雌ねじ部の山部及び谷部がそれぞれテーパ状である場合と比べて、被挿通部の内周面とチューブ部材(特に螺旋状突起が設けられている部位)の外周面との間に形成される隙間を小さなものとすることができる。これにより、被挿通部によって、硬質の芯材(螺旋状突起)を支持することができ、被挿通部に対するチューブ部材の傾き防止を効果的に図ることができる。その結果、チューブ部材が傾いた状態で接着剤が硬化することによる見栄えの低下をより確実に防止することができる。また、チューブ部材の傾き防止が図られることによって、接着剤を充填すべき空間に隙間が生じることをより確実に防止でき、その結果、チューブ部材及び配管間におけるシール性(水密性)をより確実に良好なものとすることができる。
【0013】
手段2.前記雌ねじ部は、前記端部開口とは反対側に位置する終端部に、前記螺旋状突起の端部が突き当たり可能な位置決め面を有することを特徴とする手段1に記載の配管接続構造。
【0014】
上記手段2によれば、非常に簡易な構造によって、配管に対しチューブ部材が適切な状態で接続されたことをより確実に把握可能とすることができる。
【0015】
さらに、上記手段2によれば、配管の奥へとチューブ部材が過度に挿通されることに伴いチューブ部材に傾きが生じることを効果的に抑制でき、ひいてはチューブ部材の傾き防止効果を一層高めることができる。
【0016】
手段3.前記配管は、
前記被挿通部よりも前記配管の奥側に位置するとともに、当該被挿通部に挿通された前記チューブ部材における前記管体の端部と前記配管の軸方向に沿って相対向し、かつ、当該チューブ部材の内径とほぼ同一の内径を有する段部と、
前記雌ねじ部における前記端部開口とは反対側に位置する終端部と前記段部との間に位置し、前記管体の端部の収容空間を形成するチューブ端部収容部とを具備することを特徴とする手段1又は2に記載の配管接続構造。
【0017】
上記手段3によれば、配管には、チューブ部材(管体)の端部と相対向する段部が設けられており、当該段部はチューブ部材の内径とほぼ同一の内径を有するものとされている。そのため、配管接続構造内における円滑な通水を担保することができるとともに、汚れの堆積による配管接続構造内における詰まりをより確実に防止することができる。
【0018】
加えて、上記手段3によれば、配管は、雌ねじ部の終端部と段部との間に、管体の端部の収容空間を形成するチューブ端部収容部を備えている。従って、チューブ部材の切断時に芯材よりも先に軟質部分(管体)が残ることがあるところ、チューブ部材の軸方向に沿って、チューブ部材の端部(特に管体の端部)が螺旋状突起の端部よりも多少突き出た状態になっていたとしても、その突き出た部分を前記収容空間にて収容して、その突き出た部分が段部に当たることをより確実に防止できる。これにより、段部との接触によって、前記突き出た部分が配管の中心側に向けてはみ出すといった事態が生じることをより確実に防止でき、ひいては円滑な通水や詰まり防止という作用効果をより効果的に発揮させることができる。また、上記手段2の構成を備える場合には、前記突き出た部分の影響により、螺旋状突起の端部が前記位置決め面に適切に突き当たらないといった事態が生じることをより確実に防止でき、ひいては上記手段2による作用効果を一層確実に発揮させることができる。
【0019】
手段4.前記配管は、前記雌ねじ部よりも前記端部開口側に位置するとともに、内径が前記谷部の内径よりも大きなものとされた接着剤受け部を備えることを特徴とする手段1に記載の配管接続構造。
【0020】
上記手段4によれば、接着剤受け部とチューブ部材との間に形成される空間によって、被挿通部及びチューブ部材間から端部開口側にはみ出た接着剤を収容することができる。従って、配管外へと接着剤が溢れ出すことをより確実に防止できる。これにより、見栄えの向上を図ることができる。
【0021】
また、上記手段4によれば、単に接着剤を比較的多めに使用しさえすれば、配管外へと接着剤が溢れ出ることを自然と防止しつつ、チューブ部材及び配管間における良好な水密性を確保することができることとなる。すなわち、チューブ部材及び配管間における良好な水密性を確保可能とする一方で、配管外への接着剤の溢れ出しを防止するために、接着剤の使用量を厳密に管理する必要がなくなる。従って、チューブ部材及び配管を接続するにあたっての作業性を効果的に高めることができる。
【0022】
手段5.槽体の排水口を通過した排水が流れる流路構成部を備え、
手段1に記載の配管接続構造によって前記流路構成部の少なくとも一部が構成される排水口装置であって、
前記配管接続構造においては、前記チューブ部材側から前記配管側に向けて前記排水が流れるように構成されていることを特徴とする排水口装置。
【0023】
上記手段5によれば、基本的には上記手段1と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0024】
また、配管の外周にチューブ部材を外嵌する構成とした場合、チューブ部材側から配管側に向けて排水が流れる構成では、配管の端部(端面)からなる段差面が排水の流れ方向上流側を向く状態となるため、当該段差面に起因する汚れの堆積や配管などの詰まりといった不具合が生じやすくなるおそれがある。
【0025】
この点、上記手段1の配管接続構造は、配管の内周にチューブ部材を挿通する構成であるため、上記手段5のようなチューブ部材側から配管側に向けて排水が流れる構成である場合には、チューブ部材の端部(端面)からなる段差面が排水の流れ方向下流側を向く状態となる。従って、当該段差面に起因する汚れの堆積や配管などの詰まりといった不具合の発生をより効果的に抑えることができ、衛生性や使い勝手の向上を図ることができる。
【0026】
手段6.手段1に記載の配管接続構造を有し、当該配管接続構造によって排水の流路の少なくとも一部が構成されてなる洗面化粧台。
【0027】
上記手段6によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏される。
【0028】
尚、上記各手段に係る技術事項を適宜組み合わせてもよい。例えば、上記手段2又は3に係る技術事項と、上記手段4に係る技術事項とを組み合わせてもよい。また、例えば、上記手段2~4に係る技術事項のうちの少なくとも1つと、上記手段5に係る技術事項とを組み合わせてもよい。さらに、上記手段6に係る技術事項に対し、上記手段2~5に係る技術事項のうちの少なくとも1つを組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】排水口装置の断面図である。
図2】接着剤の図示を省略した、配管接続構造の部分拡大断面図である。
図3】配管接続構造の部分拡大断面図である。
図4】配管の部分拡大断面図である。
図5】配管接続構造の部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、排水口装置1は、洗面化粧台に設けられており、当該洗面化粧台の有する「槽体」としての洗面ボウル100に取付けられている。尚、洗面ボウル100は、底面を構成する底壁部101を備えており、当該底壁部101には、排水口102が貫通形成されている。
【0031】
排水口装置1は、排水口102に挿設された筒状の排水口部材2と、排水管3と、図示しない操作部(例えば操作ボタン)に対する操作に伴い上下動可能な支持突起41を有する栓蓋側駆動部4と、支持突起41の上下動に伴い上下動する栓蓋5とを備えている。本実施形態では、栓蓋5の下動に伴い、当該栓蓋5(特にパッキン)の外周部全周が底壁部101と接触することで排水口102が閉状態となり、栓蓋5の上動に伴い、当該栓蓋5が底壁部101から離間することで排水口102が開状態となる。
【0032】
次いで、排水管3について説明する。排水管3は、上流管31、排水トラップ32、配管接続構造33及び下流管34がこの順序で直列的に連結されてなる。本実施形態では、排水口部材2及び排水管3によって、排水口102を通過した排水が流れる流路構成部3aが構成されている。従って、配管接続構造33は、流路構成部3aの一部、つまり、洗面化粧台における排水の流路の一部を構成している。
【0033】
上流管31は、排水口部材2を通過した排水が流れ込む筒状部品である。上流管31は、排水口部材2との間で底壁部101を挟み込んだ状態で、当該排水口部材2に螺着されることによって、排水口部材2と直列的に連結されるとともに、洗面ボウル100(底壁部101)に接続された状態となっている。尚、本実施形態における上流管31は、栓蓋側駆動部4の取付対象としても機能する。
【0034】
排水トラップ32は、上流管31を通過した排水が流れ込む筒状部品であり、S字状に湾曲した形状をなしている。排水トラップ32は、上流管31から流れ込んだ排水を封水として貯留する機能を有する。
【0035】
配管接続構造33は、排水トラップ32を通過した排水が流れ込む筒状部品であり、チューブ部材331及び配管332を備えている。本実施形態において、配管接続構造33は、チューブ部材331の一端側部分が排水トラップ32の他端側部分に対し外嵌されることで、排水トラップ32に対し直列的に連結されている。配管接続構造33については、後により詳しく説明する。
【0036】
下流管34は、配管接続構造33を通過した排水が流れ込む筒状部品であり、例えば建物床面などから上方に突出するようにして配設・固定されている。下流管34は、配管332の連結対象となるものであり、本実施形態では、下流管34の内周に配管332が挿通された状態で、下流管34及び配管332が直列的に連結されている。
【0037】
次いで、配管接続構造33について詳述する。配管接続構造33は、上記の通り、チューブ部材331及び配管332を備えている。配管接続構造33においては、チューブ部材331から配管332側に向けて排水が流れることとなる。
【0038】
チューブ部材331は、図1,2に示すように、螺旋状をなす硬質の芯材3311aによって形成された螺旋状突起3311が、筒状をなす軟質の管体3312の外周に設けられてなる筒状部品である。
【0039】
螺旋状突起3311は、芯材3311aと当該芯材3311aを覆う被覆部3311bとによって構成されており、管体3312の外周面から突出した螺旋状の突条部である。尚、被覆部3311bは、次述する管体3312の構成材料と同一の軟質材料によって構成されており、本実施形態における被覆部3311bは、管体3312と一体形成されている。
【0040】
また、芯材3311aは、硬質ポリ塩化ビニル等の各種硬質樹脂などによって形成されている。芯材3311aが硬質材料からなることで、チューブ部材331は、潰れやよじれ、折れなどの変形をある程度防止可能な程度の剛性を備えたものとなっている。
【0041】
管体3312は、例えば軟質ポリ塩化ビニルなどの軟質材料によって形成されている。管体3312が軟質材料によって形成されることで、チューブ部材331は、ある程度容易に(例えば手作業で)曲げることができる程度の柔軟性を備えたものとなっている。
【0042】
配管332は、チューブ部材331に対し直列的に接続される筒状部品である。チューブ部材331及び配管332は、配管332の端部開口332aから当該配管332の内周にチューブ部材331を挿通するとともに、配管332の内周面とチューブ部材331の外周面とが所定の接着剤333(図3参照)で固着されることによって接続されている。接着剤333は、配管332の内周面とチューブ部材331の外周面との間に形成される隙間の全周に亘って充填される。尚、チューブ部材331及び配管332を接続する際には、硬化前の接着剤333が外周に予め塗布されてなるチューブ部材331を配管332へと挿通する。
【0043】
また、配管332のうちのチューブ部材331が挿通される部位である被挿通部3321の内周には、螺旋状突起3311に対応する雌ねじ部3321aが形成されている。本実施形態では、被挿通部3321の内周に、螺旋状突起3311の高さや幅、ピッチなどに対応した螺旋状の溝を設けることで、雌ねじ部3321aが形成されている。雌ねじ部3321aを設けることによって、被挿通部3321に対しチューブ部材331をねじ込み可能である。
【0044】
さらに、雌ねじ部3321aは、前記螺旋状の溝の底に当たる谷部3321bを備えている。谷部3321bは、被挿通部3321にチューブ部材331が挿通された状態において、螺旋状突起3311の頂部に対し配管332の径方向に沿って相対向することとなる部位である。そして、谷部3321bは、配管332における奥側(端部開口332aとは反対側)から端部開口332a側に向けて一定の内径を有するように構成されている。すなわち、谷部3321bを含む仮想面VS1(図4参照)を取ったとき、当該仮想面VS1が、配管332の長手方向に沿って一定の外径を有する円筒形状をなすように構成されている。尚、図4では、仮想面VS1として、配管332の中心軸を含む断面を取ったときに当該断面に表れる2本の平行な仮想線のみを示している。
【0045】
一方、雌ねじ部3321aは、前記螺旋状の溝の間に位置する山部3321cを備えている。山部3321cは、被挿通部3321にチューブ部材331が挿通された状態において、螺旋状突起3311間に位置する当該チューブ部材331(管体3312)の外周面に対し配管332の径方向に沿って相対向することとなる部位である。そして、山部3321cは、配管332における奥側から端部開口332a側に向けて内径が徐々に増大するテーパ状をなしている。すなわち、山部3321cを含む仮想面VS2(図4参照)を取ったとき、当該仮想面VS2が、配管332の奥側から端部開口332a側に向けて徐々に外径が増大する円錐形状(又は円錐台形状)をなすように構成されている。尚、図4では、仮想面VS2として、配管332の中心軸を含む断面を取ったときに当該断面に表れる、端部開口332a側に向けて徐々に間隔が広がる2本の仮想線のみを示している。
【0046】
さらに、図4に示すように、雌ねじ部3321aは、端部開口332aとは反対側に位置する終端部に、螺旋状突起3311の端部が突き当たり可能な位置決め面3321dを有している。本実施形態において、位置決め面3321dは、配管332の径方向に延びる平坦面となっている。チューブ部材331及び配管332を接続する際には、位置決め面3321dに対し螺旋状突起3311(芯材3311a)の端部が突き当たるまで、被挿通部3321(配管332)に対しチューブ部材331をねじ込むことで、被挿通部3321に対するチューブ部材331の挿通長さを適切なものとすることができる。
【0047】
また、配管332は、被挿通部3321よりも配管332の奥側に位置し、配管332の周方向に沿って連続した環状をなす段部3322を備えている。段部3322は、被挿通部3321に挿通されたチューブ部材331における管体3312の端部(端面)と配管332の軸方向に沿って相対向する部位である。段部3322(特に段部3322における最内周部)は、チューブ部材331の内径とほぼ同一の内径を有するものとされている。尚、本実施形態において、段部3322は、配管332の奥側から端部開口332a側に向けて徐々に内径が増大するテーパ面状をなしているが、配管332の中心軸とほぼ直交する方向に延び、配管332の内周面に対しほぼ直角となる平坦面状をなしていてもよい。
【0048】
加えて、配管332は、雌ねじ部3321aにおける端部開口332aとは反対側に位置する終端部(位置決め面3321d)と段部3322との間に位置するチューブ端部収容部3323を備えている。チューブ部材331の切断時に芯材3311aよりも先に軟質部分(管体3312)が残ることがあるところ、チューブ端部収容部3323は、被挿通部3321に対しチューブ部材331が適切に挿通された状態において、管体3312の端部、つまり、芯材3311aよりも先に残った軟質部分(管体3312)の収容空間を形成するためのものである。
【0049】
また、配管332は、雌ねじ部3321aよりも端部開口332a側に位置するとともに、内径が谷部3321bの内径よりも大きなものとされた筒状の接着剤受け部3324を備えている。接着剤受け部3324が設けられることで、被挿通部3321に対しチューブ部材331が挿通された状態では、接着剤受け部3324の内周面とチューブ部材331の外周面との間に、端部開口332aにて開口し、容積が比較的大きな環状空間3324s(図2,5等参照)が形成されることとなる。尚、図5では、チューブ部材331の断面に表れる芯材3311aの図示を省略している。
【0050】
以上詳述したように、本実施形態によれば、雌ねじ部3321aの山部3321cは、配管332の奥側から端部開口332a側に向けて徐々に内径が増大するテーパ状とされており、一方、雌ねじ部3321aの谷部3321bは、一定の内径を有するストレート状とされている。ここで、雌ねじ部3321aの山部3321cがテーパ状をなしているため、雌ねじ部3321aの山部3321c及び谷部3321bがそれぞれストレート状である場合と比べて、チューブ部材331における先端側の外周面と雌ねじ部3321aとの間で生じる摩擦力を効果的に低減させることができる。これにより、被挿通部3321の奥側へとチューブ部材331をよりスムーズにねじ込むことが可能となり、チューブ部材331及び配管332を適切な状態で接続することがより容易に可能となる。また、雌ねじ部3321aの山部3321cがテーパ状をなしていることで、雌ねじ部3321aの山部3321c及び谷部3321bがそれぞれストレート状である場合と比べて、チューブ部材331の外周に接着剤333を塗布した上で当該チューブ部材331を配管332にねじ込んだ際に、配管332のより奥側へと接着剤333をより確実に充填することができる。
【0051】
一方、雌ねじ部3321aの谷部3321bはストレート状とされているため、雌ねじ部3321aの山部3321c及び谷部3321bがそれぞれテーパ状である場合と比べて、被挿通部3321の内周面とチューブ部材331(特に螺旋状突起3311が設けられている部位)の外周面との間に形成される隙間を小さなものとすることができる。これにより、被挿通部3321によって、硬質の芯材3311a(螺旋状突起3311)を支持することができ、被挿通部3321に対するチューブ部材331の傾き防止を効果的に図ることができる。その結果、チューブ部材331が傾いた状態で接着剤333が硬化することによる見栄えの低下をより確実に防止することができる。また、チューブ部材331の傾き防止が図られることによって、接着剤333を充填すべき空間に隙間が生じることをより確実に防止でき、その結果、チューブ部材331及び配管332間におけるシール性(水密性)をより確実に良好なものとすることができる。
【0052】
また、本実施形態において、雌ねじ部3321aは、螺旋状突起3311の端部が突き当たり可能な位置決め面3321dを備えている。そのため、非常に簡易な構造によって、配管332に対しチューブ部材331が適切な状態で接続されたことをより確実に把握可能とすることができる。
【0053】
さらに、位置決め面3321dを設けることで、配管332の奥へとチューブ部材331が過度に挿通されることに伴いチューブ部材331に傾きが生じることを効果的に抑制できる。その結果、チューブ部材331の傾き防止効果を一層高めることができる。
【0054】
また、配管332には、チューブ部材331(管体3312)の端部と相対向する段部3322が設けられており、当該段部3322はチューブ部材331の内径とほぼ同一の内径を有するものとされている。そのため、配管接続構造33内における円滑な通水を担保することができるとともに、汚れの堆積による配管接続構造33内における詰まりをより確実に防止することができる。
【0055】
加えて、配管332は、管体3312の端部の収容空間を形成するチューブ端部収容部3323を備えている。従って、チューブ部材331の軸方向に沿って、チューブ部材331の端部(特に管体3312の端部)が螺旋状突起3311の端部よりも多少突き出た状態になっていたとしても、その突き出た部分を前記収容空間にて収容して、その突き出た部分が段部3322に当たることをより確実に防止できる。これにより、段部3322との接触によって、前記突き出た部分が配管332の中心側に向けてはみ出すといった事態が生じることをより確実に防止でき、ひいては円滑な通水や詰まり防止という作用効果をより効果的に発揮させることができる。また、前記突き出た部分の影響により、螺旋状突起3311の端部が位置決め面3321dに適切に突き当たらないといった事態が生じることをより確実に防止でき、ひいては位置決め面3321dを設けることによる作用効果を一層確実に発揮させることができる。
【0056】
併せて、接着剤受け部3324とチューブ部材331との間に形成される環状空間3324sによって、被挿通部3321及びチューブ部材331間から端部開口332a側にはみ出た接着剤333を収容することができる。従って、配管332外へと接着剤333が溢れ出すことをより確実に防止できる。これにより、見栄えの向上を図ることができる。
【0057】
また、接着剤受け部3324を設けることで、単に接着剤333を比較的多めに使用しさえすれば、配管332外へと接着剤が溢れ出ることを自然と防止しつつ、チューブ部材331及び配管332間における良好な水密性を確保することができることとなる。すなわち、チューブ部材331及び配管332間における良好な水密性を確保可能とする一方で、配管332外への接着剤333の溢れ出しを防止するために、接着剤333の使用量を厳密に管理する必要がなくなる。従って、チューブ部材331及び配管332を接続するにあたっての作業性を効果的に高めることができる。
【0058】
さらに、本実施形態では、チューブ部材331側から配管332側に向けて排水が流れる構成とされているため、チューブ部材331の端部(端面)からなる段差面が排水の流れ方向下流側を向く状態となる。従って、当該段差面に起因する汚れの堆積や配管などの詰まりといった不具合の発生をより効果的に抑えることができ、衛生性や使い勝手の向上を図ることができる。
【0059】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0060】
(a)上記実施形態では、配管接続構造33によって、流路構成部3aの一部が構成されているが、配管接続構造33によって、流路構成部の全部が構成される態様としてもよい。
【0061】
(b)上記実施形態において、螺旋状突起3311は、芯材3311a及び当該芯材3311aを覆う被覆部3311bを備えているが、被覆部3311bを備えないものであってもよい。この場合、螺旋状突起3311を構成する芯材3311aが、管体3312の外周面に露出することとなる。
【0062】
(c)上記実施形態において、配管接続構造33は、洗面ボウル100からの排水の流路に適用されているが、配管接続構造の適用対象については適宜変更してもよい。従って、洗面ボウル100以外からの排水の流路に対し配管接続構造を適用してもよい。勿論、配管接続構造を、給水のための水の流路に対し適用してもよいし、水以外の液体が流れる流路に対し適用してもよい。
【0063】
(d)上記実施形態において、配管接続構造33は、チューブ部材331側から配管332側に向けて水を流すものとされているが、配管332側からチューブ部材331側に向けて水を流すものであってもよい。
【0064】
(e)上記実施形態における排水口装置1の構成は一例であって、排水口装置1の構成を適宜変更してもよい。例えば、上記実施形態では、栓蓋5(パッキン)が底壁部101と接触することで排水口102が閉状態となるように構成されているが、栓蓋5が底壁部101以外の部分(例えば、排水口部材2など)と接触することで排水口102が閉状態となるように構成してもよい。
【0065】
また、上記実施形態において、排水口装置1は、排水口102を開閉するための栓蓋5を備えているが、栓蓋5を備えないものであってもよい。尚、栓蓋5を備えない場合には、栓蓋側駆動部4などを設ける必要はない。
【0066】
(f)上記実施形態では、槽体として洗面ボウル100を例示しているが、本発明の技術思想を適用可能な槽体は洗面ボウルに限定されるものではない。従って、例えば、浴槽や流し台のシンクなどに対して本発明の技術思想を適用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…排水口装置、3a…流路構成部、33…配管接続構造、100…洗面ボウル(槽体)、102…排水口、331…チューブ部材、332…配管、332a…端部開口、333…接着剤、3311…螺旋状突起、3311a…芯材、3312…管体、3321…被挿通部、3321a…雌ねじ部、3321b…谷部、3321c…山部、3321d…位置決め面、3322…段部、3323…チューブ端部収容部、3324…接着剤受け部。
図1
図2
図3
図4
図5