(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076679
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
H01H 36/00 20060101AFI20240530BHJP
H01H 13/00 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
H01H36/00 J
H01H13/00 B
H01H36/00 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188359
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】折戸 光雄
(72)【発明者】
【氏名】妻鹿 晋
(72)【発明者】
【氏名】近藤 誠二
【テーマコード(参考)】
5G046
5G206
【Fターム(参考)】
5G046AA02
5G046AA03
5G046AB02
5G046AC24
5G046AD03
5G206AS27H
5G206AS27J
5G206AS27N
5G206AS36H
5G206AS36J
5G206AS36N
5G206KS07
(57)【要約】
【課題】可動ノブに発生静電容量が小さい電極しか設けられない場合であっても、可動ノブの操作を検出できる検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置9は、第1電極11、及び第2電極12を備える。第1電極11は、ユーザ操作されるスイッチ装置1の可動ノブ2に設けられ、可動ノブ2のタッチ操作時、単独ではタッチ判定できない程度の静電容量変化のみ生じ得る。第2電極12は、スイッチ装置1のパネル3に設けられ、タッチ操作時に第1電極11よりも大きい静電容量変化を生じる。検出装置9は、第1電極11及び第2電極12の静電容量の組み合わせから、可動ノブ2のタッチ操作を検出することにより、可動ノブ2の操作判定を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ操作されるスイッチ装置の可動ノブに設けられ、前記可動ノブのタッチ操作時、単独ではタッチ判定できない程度の静電容量変化のみ生じ得る第1電極と、
前記スイッチ装置のパネルに設けられ、タッチ操作時に前記第1電極よりも大きい静電容量変化を生じる第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極の静電容量の組み合わせから、前記可動ノブのタッチ操作を検出することにより、前記可動ノブの操作判定を実行する制御部と、を備えた検出装置。
【請求項2】
前記第1電極は、複数設けられている、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記可動ノブの可動操作を検出する検出部を備え、
前記制御部は、前記第1電極、前記第2電極、及び前記検出部の出力に基づき、前記可動ノブの操作判定を実行する、請求項1に記載の検出装置。
【請求項4】
前記第1電極は、前記可動ノブの裏面に貼り付けられ、
前記第2電極は、前記パネルの裏面に貼り付けられている、請求項1に記載の検出装置。
【請求項5】
前記第2電極は、前記第1電極を周囲から囲むように環状に形成されている、請求項1に記載の検出装置。
【請求項6】
前記可動ノブは、複数設けられるとともに、各々に前記第1電極が配置され、
前記制御部は、前記第1電極及び前記第2電極の静電容量の組み合わせにより、どの前記可動ノブがタッチ操作されたのかを検出する、請求項1に記載の検出装置。
【請求項7】
前記第2電極は、前記第1電極と組をなすように分割されることで形成された複数の電極片を有し、
前記制御部は、前記第1電極及び前記電極片の電極組の1つひとつを単位として前記可動ノブの操作判定を実行する、請求項6に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極の静電容量変化に基づいてノブの操作を検出する検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されるように、操作面に人体(手指)が触れたことを検出できる機能を有する静電容量センサ付きプッシュスイッチが周知である。プッシュスイッチには、操作部材の天板部の背面に、板ばね状の検出電極が設けられている。操作部材の操作面に人体が触れたとき、検出電極の静電容量が変化する。そして、この静電容量の変化を検出電極の検出部で検出することにより、操作部材の操作が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、プッシュスイッチの操作部材(いわゆる、ノブ)が小さい場合、そのサイズに応じて検出電極も小さくしなければならない。しかし、一般的な検出電極では、小さなノブに検出電極を配置することができず、タッチ操作の検出機構自体を設けることができない可能性があった。また、小さいノブに検出電極を配置した場合、電極サイズが小さくなるため、検出に十分な静電容量変化を得ることができないことも想定される。この場合、タッチ操作を正しく検出できない可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決する検出装置は、ユーザ操作されるスイッチ装置の可動ノブに設けられ、前記可動ノブのタッチ操作時、単独ではタッチ判定できない程度の静電容量変化のみ生じ得る第1電極と、前記スイッチ装置のパネルに設けられ、タッチ操作時に前記第1電極よりも大きい静電容量変化を生じる第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の静電容量の組み合わせから、前記可動ノブのタッチ操作を検出することにより、前記可動ノブの操作判定を実行する制御部と、を備えた。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、可動ノブに発生静電容量が小さい電極しか設けられない場合であっても、可動ノブの操作を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】可動ノブがプッシュされる前の状態図である。
【
図5】可動ノブがプッシュされたときの状態図である。
【
図6】人体との距離に対する第1静電容量の変化を示す波形図である。
【
図7】人体との距離に対する第2静電容量の変化を示す波形図である。
【
図8】各電極の静電容量、及び検出部の検出信号のシーケンス図である。
【
図9】第2実施形態の検出装置における、第1電極及び第2電極の斜視図である。
【
図10】人体との距離に対する静電容量変化を示す波形図である。
【
図11】別例における、第1電極及び第2電極の斜視図である。
【
図12】他の別例における、第1電極及び第2電極の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
以下、本開示の第1実施形態を説明する。
(スイッチ装置1)
図1に示すように、スイッチ装置1は、ユーザ操作される可動ノブ2を備える。スイッチ装置1は、例えば、可動ノブ2を押して操作するプッシュ式である。可動ノブ2は、例えば、スイッチ装置1のパネル3の孔4から先端が露出するように配置されている。可動ノブ2は、パネル3の内部に配置されたノブ支持体5に可動可能に支持されている。可動ノブ2は、底面の開口6にノブ支持体5を嵌合するようにしてノブ支持体5に取付けられている。
【0009】
図2に示すように、可動ノブ2は、例えば、操作する対象ごとに複数設けられている。可動ノブ2は、例えば、直線状(一列)に並び配置されている。これら可動ノブ2は、例えば、全て同一形状に形成されることが好ましい。パネル3の孔4は、これら複数の可動ノブ2を配置できる大きさに形成されている。可動ノブ2は、操作している期間、オン状態となるモーメンタリ式、又は、操作した後に手を離してもオン状態が保たれるオルタネイト式、のいずれでもよい。
【0010】
(検出装置9)
図1に示す通り、スイッチ装置1は、可動ノブ2の操作を検出する検出装置9を備える。検出装置9は、スイッチ装置1に設けた電極10の静電容量の変化に基づき、可動ノブ2の操作(本例は、プッシュ操作)を検出する。本例の場合、検出装置9は、可動ノブ2に設けられた第1電極11と、パネル3に設けられた第2電極12と、を備える。検出装置9は、第1電極11の静電容量と、第2電極12の静電容量と、に基づき、可動ノブ2の操作を検出する。
【0011】
第1電極11は、例えば、折り曲げ成形を可能にしたシート電極である。シート電極の場合、第1電極11は、先端寄りの位置で折り曲げられた形状、具体的には、断面略L字形状に形成されている。本例の場合、第1電極11は、可動ノブ2の裏面に貼り付けられた第1部位11aと、スイッチ装置1の基板13に接続された第2部位11bと、を有する。このように、第1電極11は、可動ノブ2の裏面に貼り付けられている。
【0012】
第1電極11の第1部位11aは、小さい面積で形成されている。これは、小さく形成された可動ノブ2のサイズに対応するために、第1電極11(第1部位11a)を小面積でしか形成できないからである。このため、第1電極11は、可動ノブ2のタッチ操作時、単独ではタッチ判定できない程度の静電容量変化のみ生じ得る。
【0013】
第2電極12は、第1電極11を周囲から囲むように配置されている。これは、本例の場合、第1電極11(第1部位11a)が小さいため、可動ノブ2をタッチしたときに、第2電極12でも静電容量の変化をとれるようにして、可動ノブ2の操作を検出できるようにするためである。第2電極12は、パネル3の裏面に貼り付けられている。第2電極12は、例えば金属製電極、又はシート電極のいずれでもよい。第2電極12は、第1電極11よりも大きな面積で形成されている。このため、第2電極12は、タッチ操作時に第1電極11よりも大きい静電容量変化を生じる。
【0014】
基板13は、スイッチ装置1の内部、具体的には、ノブ支持体5の内部に収容されている。基板13には、第1電極11及び第2電極12が電気接続されている。第1電極11は、シート電極の場合、シート電極の端部が基板13に電気接続されている。第2電極12は、例えば、配線14を介して基板13に電気接続されている。
【0015】
図2に示す通り、第2電極12は、第1電極11を周囲から囲むように環状に形成されている。本例の場合、第2電極12は、複数の第1電極11を内部に配置可能にした孔15を有する。第2電極12は、可動ノブ2が操作されたときに、可動ノブ2を押す指があることを検出するために設けられる。
【0016】
(検出装置9の電気構成)
図3に示すように、検出装置9は、可動ノブ2の可動操作を検出する検出部18を備える。検出部18は、例えば、可動ノブ2の動きに応じてオンオフが機械的に切り替えられるタクトスイッチである。可動ノブ2の可動操作は、可動ノブ2がプッシュ式の場合、プッシュ操作である。検出部18は、例えば、基板13に実装されたスイッチである。
【0017】
検出装置9は、可動ノブ2の操作判定(本例は、プッシュ操作判定)を実行する制御部19を備える。制御部19は、例えば、MPU(Micro Processor Unit)、CPU(Central Processing Unit)などが挙げられる。制御部19は、第1電極11、第2電極12、及び検出部18に電気接続されている。制御部19は、第1電極11及び第2電極12と接続されることにより、第1電極11及び第2電極12の各々の静電容量を検出する。
【0018】
制御部19は、電極10の静電容量を検出する静電検出モジュール20を有する。静電検出モジュール20は、電極10の静電容量を電気信号(例えば、電圧信号)に変換して出力する。制御部19は、静電検出モジュール20によって変換出力された電気信号に基づき、タッチ操作を検出する。本例の場合、制御部19は、第1電極11及び第2電極12の静電容量の組み合わせにより、どの可動ノブ2がタッチ操作されたのかを検出する。
【0019】
制御部19は、検出部18の検出信号Saに基づき、可動ノブ2の可動操作を検出する。このように、制御部19は、第1電極11、第2電極12、及び検出部18の出力に基づき、可動ノブ2の操作判定を実行する。なお、操作判定は、複数存在する可動ノブ2のうち、どの可動ノブ2が選択されてプッシュ操作されたのかを判定することを言う。
【0020】
本例の場合、制御部19は、第1電極11の静電容量から、どの可動ノブ2に人体が位置するのかを認識するとともに、第2電極12の静電容量から、可動ノブ2に指があることを認識する。すなわち、いま選択下にある可動ノブ2がどれであるかが第1電極11の静電容量によって判断され、そして、可動ノブ2のタッチ有無が第2電極12の静電容量から判断される。制御部19は、操作判定の判定結果を、判定結果を必要とする他のECU(Electronic Control Unit)に出力する。
【0021】
(実施形態の作用)
次に、本実施形態の検出装置9の作用について説明する。
図4及び
図5に示すように、可動ノブ2が人体(例えば、指)でプッシュ操作されたとする。このとき、人体と第1電極11との間と、人体と第2電極12との間とには、静電容量が発生する。なお、ここでは、人体と第1電極11との間に発生する静電容量を「第1静電容量C1」とし、人体と第2電極12との間に発生する静電容量を「第2静電容量C2」とする。
【0022】
可動ノブ2は、プッシュ操作されたとき、例えば、第1電極11の第1部位11aがノブ支持体5に接触するまでプッシュ方向(
図5の矢印A方向)にストローク操作可能である。また、可動ノブ2がプッシュ操作されたとき、第1電極11の第2部位11bが撓むことにより、可動ノブ2のプッシュ方向のスライド移動が許容される。
【0023】
図6に、人体との距離に対する第1電極11単独の静電容量の変化波形を図示する。第1電極11によるタッチ検出を単独で見た場合、第1電極11に人体が極力近づいた状態とならないと、第1静電容量C1がタッチ判定の閾値Ckを超えない。このため、例えば手袋をはめて可動ノブ2がタッチ操作される状況もあることを想定すると、第1電極11の静電容量単独では、正しく可動ノブ2のタッチ操作を判定できない。すなわち、第1電極11単独では、十分な検出能力があるとは言えない。また、第1電極11単独の検出では、人体とノイズとの区別も付き難い。
【0024】
図7に、人体との距離に対する第2電極12単独の静電容量の変化波形を図示する。第2電極12によるタッチ検出を単独で見た場合、可動ノブ2から、ある程度、人体が離れても、第2静電容量C2が閾値Ckを超える状態が保たれる。このように、第2電極12には、十分な検出能力があると言える。よって、第2電極12で人体を検出するようにすれば、高い精度での人体検出が可能であることが分かる。
【0025】
図8に示すように、可動ノブ2のプッシュ操作において、ユーザの指が可動ノブ2に近づくとき、第1電極11の検出感度よりも第2電極12の検出感度が高いので、第1電極11よりも第2電極12の静電容量の方が先に増加する(時刻t1)。そして、可動ノブ2にユーザの指がしっかりと触れると、第1電極11の静電容量が増加する(時刻t2)。
【0026】
制御部19は、第1電極11及び第2電極12の静電容量の組み合わせにより、可動ノブ2に対するタッチ操作を検出する。すなわち、制御部19は、第2電極12の静電容量(第2静電容量C2)が閾値Ck以上となったとき、可動ノブ2(又は、その付近)に人体があると判断するとともに、第1電極11の静電容量変化により、どの可動ノブ2がタッチ操作されたのかを判断する。
【0027】
そして、制御部19は、どの可動ノブ2がタッチ操作されたのかの判断の下、検出部18から検出信号Saとしてオン信号を入力すると、タッチ操作下の可動ノブ2がプッシュ操作されたと判断する。制御部19は、どの可動ノブ2がプッシュ操作されたのかの判定が済むと、その判定結果を他のECUに出力する。このようにして、複数の可動ノブ2のうち、どの可動ノブ2がプッシュ操作されたのかが検出される。
【0028】
(実施形態の効果)
上記実施形態の構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1-1)検出装置9は、第1電極11、第2電極12、及び制御部19を備える。第1電極11は、ユーザ操作されるスイッチ装置1の可動ノブ2に設けられ、可動ノブ2のタッチ操作時、単独ではタッチ判定できない程度の静電容量変化のみ生じ得る。第2電極12は、スイッチ装置1のパネル3に設けられ、タッチ操作時に第1電極11よりも大きい静電容量変化を生じる。制御部19は、第1電極11及び第2電極12の静電容量の組み合わせから、可動ノブ2のタッチ操作を検出することにより、可動ノブ2の操作判定を実行する。
【0029】
本構成によれば、第1電極11及び第2電極12の両方を用いて可動ノブ2のタッチ操作を検出するので、可動ノブ2に設ける第1電極11として発生静電容量が小さいものを用いた場合であっても、可動ノブ2に対するタッチ操作が検出可能になる。よって、可動ノブ2に発生静電容量が小さい電極10しか設けられない場合であっても、可動ノブ2の操作を検出できる。
【0030】
(1-2)第1電極11は、複数設けられている。この構成によれば、複数の第1電極11を用いて、可動ノブ2へのタッチ操作を漏れなく検出することができる。
(1-3)検出装置9は、可動ノブ2の可動操作を検出する検出部18を備える。制御部19は、第1電極11、第2電極12、及び検出部18の出力に基づき、可動ノブ2の操作判定を実行する。この構成によれば、可動ノブ2が可動操作されたか否かを、第1電極11、第2電極12、及び検出部18の出力を用いて、精度よく判定できる。
【0031】
(1-4)第1電極11は、可動ノブ2の裏面に貼り付けられている。第2電極12は、パネル3の裏面に貼り付けられている。この構成によれば、可動ノブ2がタッチ操作されたとき、可動ノブ2をタッチ操作する人体を、極力近い位置で検出できる。
【0032】
(1-5)第2電極12は、第1電極11を周囲から囲むように環状に形成されている。この構成によれば、環状に形成された第2電極12の内側の空間でユーザのタッチ操作を検出可能となるので、タッチ操作を精度よく検出するのに一層寄与する。
【0033】
(1-6)可動ノブ2は、複数設けられるとともに、各々に第1電極11が配置されている。制御部19は、第1電極11及び第2電極12の静電容量の組み合わせにより、どの可動ノブ2がタッチ操作されたのかを検出する。この構成によれば、複数設けた可動ノブ2の各々に、発生静電容量が小さい第1電極11しか設けることができない場合であっても、これら可動ノブ2のどれがタッチ操作されたのかを検出することができる。
【0034】
(1-7)可動ノブ2は、プッシュ式である。この構成によれば、プッシュ式の可動ノブ2のプッシュ操作を精度よく検出できる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態に記載の第2電極12の形状を変更した実施例である。よって、第1実施形態と同一部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
【0035】
(電極10の形状)
図9に示すように、第2電極12は、複数設けられた第1電極11と各々組をなすように複数に分割されている。このように、第2電極12は、複数の電極片25に分割されている。本例の場合、電極片25は、第1電極片25a~第6電極片25fの6つを含む。第1電極11及び電極片25の組(以降、電極組26と記す)は、例えば、第1電極組26a~第6電極組26fの計6つ設けられている。
【0036】
図10に示すように、制御部19は、第1電極11の静電容量と電極片25の静電容量との合計値Cttを電極組26ごとに算出し、そして、この合計値Cttに基づき、タッチ操作を判定する。制御部19は、これら電極組26のうち、静電容量の合計値Cttが閾値Cs以上となる電極組26を、タッチ操作があった電極組26として判定する。
【0037】
(実施形態の作用)
図10に示す通り、一つひとつの第1電極11や、分割された電極片25単独では、ある程度、人体が近づかないと、静電容量が閾値Csを超えない。このため、例えばユーザが手袋をしていた場合には、その分、静電容量変化が生じ難くなるため、タッチ操作を検出できない状況が生じ得る。
【0038】
そこで、本例の場合、第1電極11の静電容量と電極片25の静電容量の合計値Cttを求め、この合計値Cttと閾値Csとを比較することにより、タッチ操作の有無を判定する。よって、タッチ操作時に、タッチ判定するのに十分な静電容量を得ることが可能となるため、タッチ有無を判定することが可能となる。また、本例の場合、第1電極11及び電極片25の静電容量を合算してタッチ判定するという簡易な処理によって、タッチ有無を判定することも可能になる。
【0039】
(実施形態の効果)
上記実施形態の構成によれば、第1実施形態に記載の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
【0040】
(2-1)可動ノブ2は、複数設けられている。第1電極11は、複数の可動ノブ2の各々に設けられている。第2電極12は、第1電極11と組をなすように分割されることで形成された複数の電極片25を有する。制御部19は、第1電極11及び電極片25の電極組26の1つひとつを単位として可動ノブ2の操作判定を実行する。この構成によれば、例えば、第1電極11の静電容量と電極片25の静電容量との合計値Cttを求め、そして、この合計値Cttを閾値Csと比較するという簡易な処理によって、タッチ判定を実行できる。
【0041】
(他の実施形態)
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0042】
・
図11に示すように、第1実施形態において、可動ノブ2は、複数に限らず、例えば1つのみとしてもよい。
・
図12に示すように、各実施形態において、1つの可動ノブ2に対し、第1電極11を複数設けるようにしてもよい。この場合、第1電極11をスポット的に配置すればよいので、第1電極11を可動ノブ2の全面に設ける場合に比べて、第1電極11に要するコストを低く抑えることができる。
【0043】
・各実施形態において、可動ノブ2を複数設ける場合、これは一列のみ設けられることに限らず、例えば2列以上としてもよい。
・各実施形態において、検出部18は、タクトスイッチに限定されず、他の機械的スイッチを用いてもよい。また、検出部18は、センサを用いてもよい。
【0044】
・各実施形態において、第2電極12は、環状に限定されず、途中にスリットが形成された形状としてもよい。
・各実施形態において、第1電極11は、可動ノブ2の裏面にのみ形成された部材でもよい。この場合、第1電極11は、種々の配線を介して基板13に電気接続されるとよい。
【0045】
・各実施形態において、可動ノブ2は、例えば、各々機能が異なる装置ごとに設けられてもよいし、又は、1つの装置においての操作機能ごとに設けられてもよい。
・各実施形態において、可動ノブ2、第1電極11、及び第2電極12の大きさや形状は、実施例以外のものに適宜変更できる。
【0046】
・各実施形態において、第1電極11を可動ノブ2から離れた位置に配置しておき、可動ノブ2がプッシュ操作されたときに、そのプッシュ操作に応じて第1電極11の静電容量が変化するようにしてもよい。この場合、検出部18を使用しなくても、可動ノブ2のプッシュ操作を検出できる。
【0047】
・各実施形態において、可動ノブ2は、プッシュ式に限定されず、例えば、揺動式、回転式など、他の形式に変更してもよい。
・各実施形態において、検出装置9は、車載用に限定されず、他の機器や装置に適用できる。
【0048】
・各実施形態において、制御部19は、[1]コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサによって構成されてもよいし、[2]そのようなプロセッサと、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路との組み合わせによって構成されてもよい。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード、又は指令を格納している。メモリ(コンピュータ可読媒体)は、汎用、又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。或いは、上記プロセッサを含むコンピュータに代えて、各種処理の全てを実行する1つ以上の専用のハードウェア回路によって構成された処理回路が用いられてもよい。
【0049】
・各実施形態において、本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0050】
1…スイッチ装置、2…可動ノブ、3…パネル、9…検出装置、10…電極、11…第1電極、12…第2電極、18…検出部、19…制御部、25…電極片、26…電極組。