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特開2024-76681セパレートおむつの装着方法、及びセパレートおむつの提供方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076681
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】セパレートおむつの装着方法、及びセパレートおむつの提供方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/505 20060101AFI20240530BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20240530BHJP
   B65D 85/07 20170101ALI20240530BHJP
【FI】
A61F13/505 100
A61F13/49 413
B65D85/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188361
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根本 研
(72)【発明者】
【氏名】湯地 朱実
(72)【発明者】
【氏名】植田 章之
(72)【発明者】
【氏名】幸田 拓也
【テーマコード(参考)】
3B200
3E068
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA16
3B200BB20
3B200CA02
3B200DA21
3B200DF07
3E068AA40
3E068AB02
3E068BB15
3E068CC22
3E068CE02
3E068CE03
3E068DE19
3E068EE17
3E068EE25
(57)【要約】
【課題】適切な装着状態と装着操作の簡便性とを両立できるセパレートおむつの装着方法、及びセパレートおむつの提供方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、使用前及び使用中の何れにおいても環状のホルダ1と、該ホルダ1に着脱可能に固定される吸収性パッド11とを備えたセパレートおむつ10の装着方法である。ホルダ1は、吸収性パッド11が止着される被止着領域23を有している。吸収性パッド11は、被止着領域23との着脱が可能な止着構造16を有している。本発明のセパレートおむつの装着方法は、ホルダ1を単独で着用者の腰周りに装着した後、該ホルダ1の被止着領域23に吸収性パッド11の止着構造16を止着して装着する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用前及び使用中の何れにおいても環状のホルダと、該ホルダに着脱可能に固定される吸収性パッドとを備えたセパレートおむつの装着方法であって、
前記ホルダは、前記吸収性パッドが止着される被止着領域を有し、
前記吸収性パッドは、前記被止着領域との着脱が可能な止着構造を有しており、
前記ホルダを単独で着用者の腰周りに装着した後、該ホルダの被止着領域に前記吸収性パッドの前記止着構造を止着して装着する、セパレートおむつの装着方法。
【請求項2】
前記ホルダを前記着用者の腰周りに装着した状態を継続しつつ、該ホルダに止着された使用済みの前記吸収性パッドを未使用の前記吸収性パッドに交換する、請求項1に記載の装着方法。
【請求項3】
前記ホルダは、該ホルダを身体の適切な高さ位置に装着させるための位置合わせ表示を有しており、
前記ホルダを前記着用者の腰周りに装着する際に、前記位置合わせ表示に基づき、該ホルダを前記適切な高さ位置に装着する、請求項1又は2に記載の装着方法。
【請求項4】
前記着用者の腰周りに装着され、且つ使用済みの前記吸収性パッドが取り外された前記ホルダに対し、前記位置合わせ表示に基づき該ホルダの装着位置を調整した後、未使用の前記吸収性パッドを該ホルダに止着する、請求項3に記載の装着方法。
【請求項5】
前記位置合わせ表示が、前記被止着領域を前記着用者の腸骨部に位置させるための表示である、請求項3又は4に記載の装着方法。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の装着方法で装着することを容易とする装着支援情報を、前記セパレートおむつとともに提供する、セパレートおむつの提供方法。
【請求項7】
前記装着支援情報を、前記ホルダ及び前記吸収性パッドの一方又は双方が収容された包装体に表示して提供する、請求項6に記載の提供方法。
【請求項8】
前記ホルダ及び前記吸収性パッドの一方又は双方が収容された包装体に、前記装着支援情報が掲載されたwebページに誘導する誘導表示を付し、該誘導表示により誘導した前記webページを介して該装着支援情報を提供する、請求項6に記載の提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セパレートおむつの装着方法、及び該装着方法で装着することを容易とする装着支援情報をセパレートおむつとともに提供するセパレートおむつの提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ等の吸収性物品の一種として、尿等の体液を吸収保持する吸収性パッドと、着用者の腰周りに環状に装着されるとともに、着用者の股間部に配置された吸収性パッドを保持するホルダとを備え、吸収性パッドがホルダに対して着脱自在に構成されたセパレートタイプのものが知られている。
特許文献1には、使い捨て吸収性構造体と、該構造体が取り付けられるウエストベルトとを具備した吸収性物品が開示されている。ウエストベルトは、着用者の胴周りに巻かれて装着される。
【0003】
特許文献2には、着用者の胴周りに巻き付けられる帯状の胴回り部と、該胴回り部に後端部が連結された吸収性本体とを備え、展開状態においてT字型となる紙おむつが開示されている。
特許文献3には、胴回り部と、該胴回り部に対して着脱自在に連結された股部とを備え、該股部が前側部分と後側部分とに分離可能である、パンツ型紙おむつが開示されている。
【0004】
また本出願人は、先に、環状に形成された背側部及び腹側部と、該背側部及び腹側部に対して着脱自在に連結される股下部とを具備する、使い捨ておむつを提案している(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2006-515199号公報
【特許文献2】特開2008-104873号公報
【特許文献3】特開2008-029762号公報
【特許文献4】特開2011-136063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
セパレートタイプの吸収性物品は、吸液部位である股下部の吸収性パッドと、着用者の胴周りに配されるホルダとを連結させた状態で装着される。この装着時、ホルダ及び吸収性パッドそれぞれの装着状態が適切でないと、該吸収性物品の履き心地や漏れ防止効果を損なう虞があるので、適切な装着状態となるように且つ簡便に装着操作が可能であることが望ましい。特許文献1~4は、環状のホルダと股下部の吸収性パッドとからなる吸収性物品について、適切な装着状態と装着操作の簡便性とを両立させるための技術を開示するものではない。
【0007】
したがって本発明の課題は、適切な装着状態と装着操作の簡便性とを両立させるセパレートおむつの装着方法、及びセパレートおむつの提供方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、使用前及び使用中の何れにおいても環状のホルダと、該ホルダに着脱可能に固定される吸収性パッドとを備えたセパレートおむつの装着方法に関する。
前記ホルダは、前記吸収性パッドが止着される被止着領域を有していることが好ましい。
前記吸収性パッドは、前記被止着領域との着脱が可能な止着構造を有していることが好ましい。
前記装着方法は、前記ホルダを単独で着用者の腰周りに装着した後、該ホルダの被止着領域に前記吸収性パッドの前記止着構造を止着して装着することが好ましい。
【0009】
本発明は、セパレートおむつの提供方法に関する。
前記提供方法は、前記の装着方法で装着することを容易とする装着支援情報を、前記セパレートおむつとともに提供することが好ましい。
本発明の他の特徴、効果及び実施形態は、以下に説明される。
【発明の効果】
【0010】
本発明のセパレートおむつの装着方法、及びセパレートおむつの提供方法によれば、適切な装着状態と装着操作の簡便性とを両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明に係るセパレートおむつの一実施形態を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すセパレートおむつの展開且つ最大伸長状態における肌対向面(内面)側を一部破断して模式的に示す展開平面図である。
図3図3(a)~(c)は、図1に示すセパレートおむつの装着方法を説明するための説明図である。
図4図4は、図1に示すホルダ又は吸収性パッドの何れか一方又は双方が収容された包装体と、該包装体に表示された装着支援情報及び誘導表示を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は基本的に模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。
【0013】
図1及び図2には、本発明の装着方法で着用者に装着されるセパレートおむつの一実施形態が示されている。本実施形態のセパレートおむつ10(以下、単に「おむつ10」ともいう。)は、環状のホルダ1と、該ホルダに着脱可能に固定される吸収性パッド11とを備えている。
おむつ10は、図1に示すように、ホルダ1と吸収性パッド11とがホルダ側止着構造6及びパッド側止着構造16を介して結合されたものであり、ホルダ1が有するウエスト開口部WHと、ホルダ1の高さ方向HDの下端部と吸収性パッド11の長手方向(後述する縦方向X)に沿う両側縁部とで画成される一対のレッグ開口部LH,LHとを有する。なお、吸収性パッド11は、ホルダ1の構成部材ではない。
【0014】
セパレートタイプの吸収性物品であるおむつ10は、ホルダ1と吸収性パッド11とが止着構造6,16を介して結合・分離自在であるため、従来の非セパレートタイプの吸収性物品に比べて環境に対する負荷が低減されている。すなわち、着用者の腰周りに対応する部分(ホルダ相当部分)と着用者の股間部に対応する部分(吸収性パッド相当部分)とが一体不可分である従来の非セパレートタイプの吸収性物品を使用後に廃棄する場合、ホルダ相当部分は汚れていなくても、排泄物で汚れた状態の吸収性パッド相当部分とともに廃棄せざるを得なかったが、おむつ10であれば、ホルダ1はそのままで吸収性パッド11のみを新品と交換すればよいため、非セパレートタイプの吸収性物品に比べてゴミ廃棄量、二酸化炭素排出量が低減され、環境に対する負荷の低減に貢献することができる。
また、おむつ10の着用中、吸収性パッド11はホルダ1に着脱可能に固定されているので、該吸収性パッド11を新品に交換する作業は簡単であり、おむつ10は、従来の非セパレートタイプの吸収性物品に比べて交換作業の負荷が大幅に軽減されている。斯かる交換時の操作については後に詳述する。
【0015】
ホルダ1は、着用者の腰周りに環状に装着されるとともに、吸収性パッド11を着用者に装着した状態、すなわち着用状態に保持可能なものであり、着用者の身長方向に沿う高さ方向HD及び胴周り方向に沿う周方向CDを有している(図1参照)。ホルダ1には、吸収性パッド11が有するパッド側止着構造16を脱着可能に止着可能なホルダ側止着構造6が設けられている。このようにホルダ1は、ホルダ側止着構造6が設けられている領域、すなわち吸収性パッド11が止着される被止着領域23を有している。
【0016】
ホルダ1は、着用者の腹側(前側)に配置される腹側部Fと、着用者の背側(後側)に配置される背側部Rとを有し、ホルダ1の主体をなすホルダ本体部2と被止着領域23とを備える。ホルダ本体部2は、ホルダ1の平面視における外形形状(輪郭)を形作っており、ホルダ1の高さ方向HDの上端1a及び下端1b(図2参照)は、ホルダ本体部2の上端及び下端である。ホルダ側止着構造6はホルダ本体部2に固定されている。
【0017】
ホルダ1(ホルダ本体部2)は、図1に示すように使用前及び使用中の何れにおいても環状をなしており、着用状態で着用者の胴部が挿入されるウエスト開口部WHを有している。具体的には、本実施形態のホルダ1では、腹側部F及び背側部Rそれぞれのホルダ本体部2どうしが、それらの長手方向両端部にて、接着剤、融着等の公知の接合手段によって互いに接合されて一対の接合部S,Sが形成されており、それら一対の接合部S,Sを介して腹側部Fと背側部Rとが連結し、環状を構成している。接合部Sは、一般的な非セパレートタイプのパンツ型使い捨ておむつにおけるサイドシール部に相当するものである。
【0018】
本実施形態では、ホルダ1(ホルダ本体部2)は、最大伸長状態の平面視において長方形形状をなし、高さ方向HDの上端1a及び下端1bは、高さ方向HDと直交する方向に平行な直線状となっている。
また本実施形態では、腹側部Fと背側部Rとは、平面視において互いに同形状・同寸法であり、且つ接合部Sを破壊せずに維持した状態で腹側部Fと背側部Rとを重ね合わせたときにそれらの輪郭が一致する。
【0019】
本明細書において「最大伸長状態」とは、吸収性物品、ホルダ、吸収性パッド等の着用物品の各部の弾性部材を最大伸長させて、設計寸法、すなわち弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じとなるまで拡げた状態をいう。
また、「展開且つ最大伸長状態」とは、着用物品を平面状に拡げて展開状態とした上で、前記最大伸長状態とした状態を指し、前述したホルダ1の接合部Sの如き、サイドシール部を有する吸収性物品の場合は、該吸収性物品をサイドシール部で切り離して平面状に拡げて前記展開状態とする。
【0020】
本実施形態のホルダ本体部2は、ホルダ1の非肌対向面(外面)を形成する外層シート3と、ホルダ1の肌対向面(内面)を形成する内層シート4とを含む(図2参照)。内層シート4は、ホルダ1の着用時に着用者の肌と接触し得る。
外層シート3は、高さ方向HDの上端部、すなわちおむつ10における縦方向X外方端部が肌対向面側に折り返されており、その折り返し部30とこれに対向する外層シート3との間は、接着剤、融着等の公知の接合手段により互いに接合されている。
本実施形態のホルダ本体部2(ホルダ1)は、外層シート3と内層シート4との間に周方向CDに延びる複数の弾性部材5を有している。これによりホルダ1は、周方向CDに伸縮性を有している。
【0021】
本明細書において「肌対向面」とは、吸収性物品、ホルダ、吸収性パッド等の着用物品又はその構成部材(例えばホルダのホルダ側止着構造)における、該着用物品の着用状態において着用者の肌側に向けられる面を指し、「非肌対向面」は、該着用物品又はその構成部材における、該着用物品の着用状態において肌側とは反対側に向けられる面を指す。
【0022】
本実施形態のホルダ1は、腹側部Fの非肌対向面に位置合わせ表示Jを有している(図1参照)。本実施形態の位置合わせ表示Jは、ホルダ1の外面に表示された星形のマークである。斯かる位置合わせ表示Jは、ホルダ1を身体の適切な高さ位置に装着させるための目印として機能する。すなわち、位置合わせ表示Jを着用者の身体の特定部位又は身体の特定の高さ位置に合わせてホルダ1を装着することで、ホルダ1が適切な装着位置(高さ位置)となるように、位置合わせ表示Jが設計されている。
装着時の位置合わせをより容易にする観点から、ホルダ1は、位置合わせ表示Jを腹側部F外面(非肌対向面)に有していることが好ましい。
【0023】
位置合わせ表示Jとしては、位置合わせの目印となるものを特に制限なく用いることができる。位置合わせ表示Jは、ホルダ1に設けられた図形、色、文字等の表示であってもよい。この場合、ホルダ1の外面(非肌対向面)に印刷を施すことで、位置合わせ表示Jを表示できる。またホルダ1において、外層シート3の非肌対向面に印刷を施す他、内層シート4の肌対向面に印刷を施して外層シート3の非肌対向面側から位置合わせ表示Jを視認可能にしてもよい。
位置合わせ表示Jは、ホルダ1の構成部材又は該構成部材の一部であってもよい。例えば、ホルダ1の上端1a、下端1b、被止着領域23等の構成部材又はこれらの一部を位置合わせ表示Jとしてもよい。この場合、位置合わせ表示Jとなる構成部材の一部に、着色等を施すことによって当該一部を視覚的に目立たせてもよい。斯かる形態として、外層シート3と内層シート4との間に着色を有するホットメルト接着剤を配して該接着剤を位置合わせ表示Jとする形態、外層シート3と内層シート4との間に着色部分を有する弾性部材を配して該着色部分を位置合わせ表示Jとする形態等が挙げられる。これらの形態では、外層シート3の非肌対向面側から、着色を有する位置合わせ表示Jが視認可能となっている。
視認性の観点から、位置合わせ表示Jの色は、少なくとも外層シート3の色と異なっていることが好ましい。
【0024】
ホルダ1は、水分を吸収保持する吸収体を含んでいないため、両シート3,4をはじめとするホルダ本体部2の構成部材として洗濯可能なものを用いれば、洗濯して繰り返し使用することが可能なものとなり得る。ホルダ1が洗濯可能なものであることは、ゴミ廃棄量、二酸化炭素排出量の低減につながり、環境に対する負荷の低減に貢献することができる。ホルダ1を洗濯可能なものとする観点からは、両シート3,4等の、ホルダ本体部2の構成部材としては、織布が好ましい。ここでいう「織布」とは、織物、編物を含む布生地を意味する。
【0025】
本実施形態のホルダ側止着構造6は、図1等に示すように、ホルダ本体部2の非肌対向面(外面)に設けられている。より具体的には、ホルダ側止着構造6は、外層シート3の非肌対向面に固定されている。
ホルダ側止着構造6としては、吸収性パッド11が有するパッド側止着構造16(図1及び図2参照)を脱着可能に止着可能なものであればよく、公知の着脱自在な止着構造を特に制限なく用いることができる。例えば、ホルダ側止着構造6及びパッド側止着構造16の一方又は両方が、粘着剤を塗布して形成された粘着部を備え、該粘着部を介してパッド側止着構造16がホルダ側止着構造6に脱着可能に止着するようになされていてもよい。
【0026】
本実施形態では、ホルダ側止着構造6及びパッド側止着構造16を含む止着構造として、機械的面ファスナーを採用している。ここでいう「機械的面ファスナー」とは、鉤状の突起からなるフック材(係合部材)が一面に配置された面部材(オス部材)と、パイル状の突起からなるループ材が一面に配置された面部材(メス部材)とが、一組みとなった留め具を指す。機械的面ファスナーの具体例として、マジックテープ(登録商標)が挙げられる。
【0027】
おむつ10が備える吸収性パッド11は、着用者の肌から相対的に近い位置に配置された液透過性の表面シート12、着用者の肌から相対的に遠い位置に配置された液不透過性、液難透過性又は撥水性の裏面シート13、及び両シート12,13間に介在配置された吸収体14を含む(図2参照)。吸収性パッド11を構成するこれらの部材どうしは、接着剤等の公知の接合手段により一体とされている。吸収性パッド11は、平面視において一方向に長い形状をなし、吸収性パッド11を使用する際にはその長手方向を、予め着用者に装着された状態のホルダ1の高さ方向HDに一致させる。吸収性パッド11の長手方向は、おむつ10の着用者の前後方向に対応する縦方向Xに対応し、縦方向Xに直交する吸収性パッド11の横方向Yは、ホルダ1の周方向CDに対応する。
【0028】
吸収性パッド11の縦方向Xに沿う両側部には、おむつ10の着用時に着用者の肌側に起立する一対の防漏カフ15,15が配置されている。各防漏カフ15は、防漏カフ15の主体をなす防漏カフ形成用シート150と、縦方向Xに伸長状態で該シート150に固定された弾性部材151とを含む(図2参照)。なお吸収性パッド11は、防漏カフ15に代えて、又は防漏カフ15とともに一対のレッグカフを備えていてもよい。前記レッグカフは、吸収性パッド11における着用者の脚周りに対応するレッグ縁部に配置されるもので、レッグ縁部形成用シートと、該レッグ縁部に沿って該レッグ縁部形成用シートに伸縮可能に固定されたレッグカフ形成用弾性部材とを含む。前記レッグ縁部形成用シートは、例えば、防漏カフ形成用シート150及び/又は裏面シート13であり得る。前記レッグカフは、防漏カフ形成用シート150を用いて防漏カフ15とともに一体的に形成され得る。吸収性パッド11は、縦方向Xの両端部それぞれの肌対向面にパッド側止着構造16を有している。このパッド側止着構造16をホルダ1のホルダ側止着構造6に止着させることで、吸収性パッド11をホルダ1に脱着可能に止着させることができる。
なお、吸収性パッド11は、本発明に係るホルダが適用可能な吸収性パッドの一実施形態に過ぎず、本発明のホルダが適用可能な吸収性パッドは、該ホルダのホルダ側止着構造に止着可能なパッド側止着構造を有していればよく、吸収性パッド11に限定されない。
【0029】
ホルダ1及び吸収性パッド11の構成部材としては、この種の吸収性物品において通常使用されているものを特に制限なく用いることができる。
例えば、ホルダ1における外層シート3及び内層シート4や、吸収性パッド11における表面シート12及び防漏カフ形成用シート150としては、それぞれ、各種製法による不織布、織布、樹脂製フィルムなどを用いることができる。また、外層シート3及び内層シート4として、伸縮性を有する不織布を用いることもできる。例えば、特開2008-179128号公報に記載の伸縮シート、特開2007-22066号公報に記載の伸縮シート、同公報に記載の伸縮性不織布の製造方法により製造される伸縮性不織布、特開平10-29259号公報に記載の積層シート等を用いることもできる。
吸収性パッド11における裏面シート13としては、液不透過性若しくは液難透過性又は撥水性のシートを用いることができる。
吸収体14は、木材パルプ等の繊維材料及び吸水性ポリマーを含む吸収性コアと、該吸収性コアの表面を被覆するコアラップシートとを含んで構成されている。吸収体14は少なくとも吸収性コアを含んでいればよく、コアラップシートはなくてもよい。
ホルダ1又は吸収性パッド11に用いられる弾性部材は、糸ゴム等を用いることができる。
【0030】
次に本発明のセパレートおむつの装着方法について、好ましい実施形態に基づき説明する。本実施形態のセパレートおむつの装着方法(以下、単に「装着方法」ともいう。)は、上述したおむつ10を着用者に装着する装着方法である。本実施形態の装着方法について、図3を参照しながら説明する。装着操作をより容易にする観点から、起立状態の着用者に対しおむつ10が装着されることが好ましい。
本実施形態の装着方法は、先ず、ホルダ1を単独で着用者の腰周りに装着する〔図3(a)参照〕。環状のホルダ1におけるウエスト開口部WHに、着用者の両足を通して、該ホルダ1を腰まで引き上げる。次に、着用者の股間に吸収性パッド11を通し〔図3(b)参照〕、ホルダ1の被止着領域23に吸収性パッド11の止着構造16を止着する〔図3(c)参照〕。この際、吸収性パッド11の前後(縦方向X)の両端部それぞれの肌対向面に配されたパッド側止着構造16を、ホルダ1のホルダ側止着構造6に当接させて、該ホルダ1に該吸収性パッドを止着させる。
【0031】
図3(a)~(c)に示すように、本実施形態の装着方法は、装着操作の簡便性に優れる。より詳細には、ホルダ1が使用前から環状であるので、着用者の両足を通し腰まで引き上げるだけの操作でホルダ1を装着できる〔図3(a)参照〕。例えば、一般的な非セパレートタイプのパンツ型使い捨ておむつのように、片足ずつレッグ開口部に通す操作が必要なく、該レッグ開口部に膝が引っ掛かる又は片足立ちでバランスを取る等の煩わしさが低減されるので、ホルダ1をウエスト側に引き上げる動作が非常に簡便となる。また、着用者の腰周りに装着したホルダ1に対し、着用者の股間部に通した吸収性パッド11を止着させるだけの操作で吸収性パッド11を装着できる〔図3(b)参照〕。この際、先に装着したホルダ1の高さ位置に基づき、股間部に通した吸収性パッド11を着用者の股下に密着させるように装着することができるので、吸収性パッド11を意図せず着用者の股下(肌や排泄部等)から離れて装着することを抑制できる。すなわち、本実施形態の装着方法は、簡便な操作で適切な装着状態にすることができ、その結果、おむつ10の履き心地や漏れ防止効果を向上できる。
【0032】
本実施形態の装着方法では、図3(b)及び(c)に示す要領で、吸収性パッド11の交換を行うことができる。より具体的には、ホルダ1に止着された使用済みの吸収性パッド11をホルダ1から取り外し、該ホルダ1に未使用の吸収性パッド11を止着する。すなわち、ホルダ1を着用者の腰周りに装着した状態を継続しつつ、該ホルダ1に止着された使用済みの吸収性パッド11を未使用の吸収性パッド11に交換する。斯かる装着方法では、着用者がズボンを履いていた場合に、該ズボンを下ろした状態で吸収性パッド11を交換でき、交換操作を簡便に行うことができる。このように、ズボンから両脚を外すことなく、すなわちズボンを完全に脱ぐことなく、簡便に吸収性パッド11を交換できる。
【0033】
前述したように、本実施形態のホルダ1は、位置合わせ表示Jを有している。本実施形態の装着方法では、ホルダ1を腰周りに装着する際に、位置合わせ表示Jに基づき、該ホルダ1を着用者の身体の適切な高さ位置に装着することが好ましい。例えば、図3(a)に示すように、着用者の臍Nと、ホルダ1の位置合わせ表示Jとが重なるように、ホルダ1を装着できる。これにより、ホルダ1をより簡便且つより適切な高さ位置で装着できる。
【0034】
位置合わせ表示Jを用いたホルダ1の位置合わせは、吸収性パッド11の交換時にも利用できる。より具体的には、着用者の腰周りに装着され、且つ使用済みの吸収性パッド11が取り外されたホルダ1に対し、位置合わせ表示Jを着用者の身体の適切な位置に合わせることで、装着中のホルダ1の位置合わせを簡便に行うことができる。すなわち、位置合わせ表示Jに基づきホルダ1の装着位置を調整した後、未使用の吸収性パッド11を該ホルダ1に止着する。これにより、吸収性パッド11の交換時においても、ホルダ1をより適切な位置で装着することができる。
【0035】
本実施形態の装着方法では、位置合わせ表示Jを用いたホルダ1の位置合わせに関する情報(以下、単に「位置合わせ情報」ともいう。)を、予めおむつ10の使用者に与える。位置合わせ情報としては、例えば「着用者の臍Nの位置に星形のマークを合わせる」こと、「着用者の臍Nがホルダ1の上端1aで隠れるようにホルダ1を装着する」こと、「着用者の臍Nがホルダ1の上端1aで隠れないようにホルダ1を装着する」こと、「着用者の腰骨(腸骨部)の位置にホルダ1の被止着領域23を合わせる」こと、「着用者の鼠径部にホルダ1の下端1bを合わせる」こと等を図形、文字、画像等によって示した情報が挙げられる。位置合わせ情報は、ホルダ1等を収容する包装袋201の外面に印刷等によって表示されていてもよく、誘導表示110によって接続されるwebページに掲載されていてもよい。包装袋201及び誘導表示110については、後述する。
【0036】
位置合わせ表示Jは、ホルダ1の被止着領域23を着用者の腸骨部に位置させるための表示であることが好ましい。すなわち、位置合わせ表示Jに合わせてホルダ1の装着位置を調整することで、被止着領域23が腸骨部に位置するように、ホルダ1において位置合わせ表示Jの位置が設定されていることが好ましい。この場合、位置合わせ表示Jに合わせたホルダ1の装着状態において、被止着領域23が着用者の腸骨部と高さ方向HDにおいて重なるようになされている。斯かる構成により、ホルダ1の着用中におけるずれ落ちがより抑制されるとともに、ずれ落ち難くなることでホルダ1の履き心地がより良好になる。「腸骨部」は、着用者の上前腸骨棘から腸骨稜にわたる部分を包含する範囲を指す。「上前腸骨棘」及び「腸骨稜」は、解剖学の用語である。腸骨部については、特開2008-295930号公報の段落[0020]に記載の「腸骨領域」の説明が適宜適用される。
【0037】
次に本発明のセパレートおむつの提供方法について、好ましい実施形態に基づき説明する。本実施形態のセパレートおむつの提供方法(以下、単に「提供方法」ともいう。)は、上述した実施形態のおむつ10について、その装着支援情報100を、該おむつ10とともに提供する。装着支援情報100は、本発明の装着方法によって、おむつ10を装着することを容易とする情報である。具体的には、ホルダ1を単独で着用者の腰周りに装着した後、該ホルダ1の被止着領域23に吸収性パッド11の止着構造16を止着して装着する、おむつ10の装着方法を示す情報である。また、装着支援情報100は、前述の位置合わせ情報を含む。
装着支援情報100は、おむつ10の装着方法を文字、図又は画像等で示した情報である。例えば、図3(a)~(c)に示す図が装着支援情報に相当する。この装着支援情報100をおむつ10の使用者が視認することで、その情報の内容に対する理解が容易となる。
【0038】
本実施形態の提供方法は、装着支援情報100を表示した表示物を、おむつ10とともに提供する。例えば、装着支援情報100を、ホルダ1及び吸収性パッド11の一方又は双方が収容された包装体200に表示して提供する。図4に示す包装体200は、ホルダ1及び吸収性パッド11の一方及び双方を内部に収容する包装袋201を具備しており、該包装袋201の外面に、図3(a)~(c)と同じ図が装着支援情報100として印刷表示されている。斯かる包装体200を使用者に提供することで、装着支援情報100をおむつ10とともに提供することができ、使用者におむつ10の装着方法を効率的に伝えることができる。
【0039】
本実施形態の提供方法では、包装体200に、装着支援情報100が掲載されたwebページに誘導する誘導表示110を付すことが好ましい(図4参照)。誘導表示110は、装着支援情報100が掲載されたwebページに誘導する表示であり、該誘導表示110によって誘導されたwebページを介しての装着支援情報100の提供が可能となる。前記webページには、装着支援情報100としておむつ10の装着方法を示した動画が掲載されていてもよい。
誘導表示110は、例えば二次元バーコードやURL等であり、これをインターネット等の通信回線に接続された情報端末Dに読み込ませることによって、該情報端末Dの表示部に装着支援情報100を表示させ、使用者に装着支援情報100を提供することができる。情報端末Dとしては、例えばスマートフォンや汎用のコンピュータなどが挙げられる。
使用者におむつ10の装着方法をより効率的に伝える観点から、本実施形態の提供方法では、上記のように誘導表示110により装着支援情報100を提供することが好ましい。
【0040】
装着支援情報100や誘導表示110は、印刷等によって包装袋201と一体となって構成されていてもよく、装着支援情報100や誘導表示110が表示された別体の部材を包装袋201に接合する等して構成されていてもよい。包装袋201や別体の部材はそれぞれ、例えば、紙や、熱可塑性樹脂のフィルムなどから構成される。
【0041】
本発明は前記実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
前記実施形態では、ホルダ1(ホルダ本体部2)は最大伸長状態の平面視において長方形形状をなしていたが、本発明では、ホルダの平面視形状は特に制限されない。例えば、最大伸長状態のホルダ1の平面視において、上端1a及び/又は下端1bは、高さ方向HDに対して直交せずに交差する部分を有していてもよい。例えば、最大伸長状態のホルダ1の平面視において、下端1bは、その全体又は一部(例えば横方向Yの中央部)が、上端1a側に向かって凸の凸状をなしていてもよい。
【0042】
前記実施形態では、ホルダ1の腹側部Fと背側部Rとは、平面視において互いに同形状・同寸法であったが、本発明では、互いに形状及び/又は寸法が異なっていてもよい。具体的には例えば、背側部Rの下端1bが、腹側部Fの下端1bよりも下方に(ホルダ側止着構造6から遠くに)位置していてもよい。
前記実施形態では、外層シート3が折り返されて折り返し部30が形成されていたが、本発明では、外層シート3は折り返されていなくてもよい。
【0043】
前記実施形態では、ホルダ1は、ホルダ本体部2を構成するシート状部材として外層シート3及び内層シート4を含んでいたが、本発明では、両シート3,4以外の他のシート状部材を含んでいてもよい。例えば、ホルダ1(ホルダ本体部2)は、両シート3,4に加えて更に、ホルダ1の肌対向面(内面)における着用者のウエスト部に対応する領域(例えば、折り返し部30の配置領域及びその近傍)に配置される機能性シートを含んでいてもよい。前記機能性シートは、例えば、吸汗性、吸湿性、抗菌性、消臭性等の諸機能のうちの少なくとも1つを有する。
【0044】
前記実施形態では、ホルダ側止着構造6は、ホルダ本体部2の非肌対向面(外面)に設けられていたが、本発明では、ホルダ本体部2の肌対向面(内面)に設けられていてもよく、その場合は例えば、内層シート4の肌対向面及び/又は外層シート3の折り返し部30の肌対向面にホルダ側止着構造6を固定することができる。
【0045】
上述したおむつ10では、ホルダ側止着構造6が機械的面ファスナーのメス部材、パッド側止着構造16が機械的面ファスナーのオス部材であってもよく、これとは逆に、ホルダ側止着構造6が機械的面ファスナーのオス部材、パッド側止着構造16が機械的面ファスナーのメス部材でもあってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 ホルダ
F 腹側部
R 背側部
2 ホルダ本体部
3 外層シート
30 折り返し部
4 内層シート
5 弾性部材
6 ホルダ側止着構造
60 接合手段
S 接合部
HD ホルダの高さ方向
CD ホルダの周方向
10 使い捨ておむつ(セパレートタイプの吸収性物品)
11 吸収性パッド
16 パッド側止着構造
100 装着支援情報
110 誘導表示
200 包装体
201 包装袋
図1
図2
図3
図4