IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-投写光学系、およびプロジェクター 図1
  • 特開-投写光学系、およびプロジェクター 図2
  • 特開-投写光学系、およびプロジェクター 図3
  • 特開-投写光学系、およびプロジェクター 図4
  • 特開-投写光学系、およびプロジェクター 図5
  • 特開-投写光学系、およびプロジェクター 図6
  • 特開-投写光学系、およびプロジェクター 図7
  • 特開-投写光学系、およびプロジェクター 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076699
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】投写光学系、およびプロジェクター
(51)【国際特許分類】
   G02B 17/08 20060101AFI20240530BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20240530BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240530BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20240530BHJP
   G02B 13/16 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
G02B17/08
G02B13/18
G03B21/00 E
G03B21/14 D
G02B13/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188386
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】武内 果歩
【テーマコード(参考)】
2H087
2K203
【Fターム(参考)】
2H087KA06
2H087KA07
2H087LA01
2H087LA27
2H087PA09
2H087PA18
2H087PB10
2H087QA02
2H087QA06
2H087QA12
2H087QA21
2H087QA25
2H087QA32
2H087QA41
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA45
2H087TA05
2H087TA06
2K203FA03
2K203FA23
2K203FA34
2K203FA43
2K203FA44
2K203FA62
2K203FA82
2K203FB03
2K203GC03
2K203HA67
2K203HA68
2K203MA21
(57)【要約】
【課題】投写距離が短い投写光学系を提供すること。
【解決手段】投写光学系は、縮小側から拡大側に向かって順に、複数のレンズからなる第1光学系と、第2光学系と、を備える。第1光学系は、正のパワーを有する。第2光学系は、第1光学系から出射された光線の光路上に第1光学系から順に、第1反射光学系、第2反射光学系、および第3反射光学系を有する。第1反射光学系は、凹面である非球面形状を備える第1反射面を有する。第2反射光学系は、凹面形状または平面形状を備える第2反射面を有する。第3反射光学系は、凸面である非球面形状を備える第3反射面を有する。第1反射面、第2反射面、および第3反射面のうち少なくとも2つは非球面形状を備える。第1反射光学系の焦点距離をf1、第2反射光学系の焦点距離をf2、第3反射光学系の焦点距離をf3としたとき、以下の条件式(1)を満たす。
|f2|>|f1|>|f3|・・・(1)
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縮小側から拡大側に向かって順に、複数のレンズからなる第1光学系と、第2光学系と、を備え、
前記第1光学系は、正のパワーを有し、
前記第2光学系は、前記第1光学系から出射された光線の光路上に前記第1光学系から順に、第1反射光学系、第2反射光学系、および第3反射光学系を有し、
前記第1反射光学系は、凹面である非球面形状を備える第1反射面を有し、
前記第2反射光学系は、凹面形状または平面形状を備える第2反射面を有し、
前記第3反射光学系は、凸面である非球面形状を備える第3反射面を有し、
前記第1反射光学系の焦点距離をf1、前記第2反射光学系の焦点距離をf2、前記第3反射光学系の焦点距離をf3としたとき、以下の条件式(1)を満たすことを特徴とする投写光学系。
|f2|>|f1|>|f3|・・・(1)
【請求項2】
前記第3反射面の最大有効半径は、150mmより小さいことを特徴とする請求項1に記載の投写光学系。
【請求項3】
前記複数のレンズは、最も拡大側に配置された正のパワーを有する第1レンズを備え、
前記第1レンズは、前記第1光学系の第1光軸に沿った第1方向において、前記第1反射光学系と前記第2反射光学系との間に配置されており、
前記第1反射光学系で反射された光線は、前記第1レンズを透過して、前記第2反射光学系に到達することを特徴とする請求項1に記載の投写光学系。
【請求項4】
前記第1レンズは、前記第1方向において、前記第2反射光学系と前記第3反射光学系との間に配置されており、
前記第2反射光学系で反射された光線は、前記第1レンズを透過して、前記第3反射光学系に到達することを特徴とする請求項3に記載の投写光学系。
【請求項5】
前記複数のレンズは、前記第1レンズに対して縮小側に配置された第2レンズを備え、
前記第2レンズは、前記第1光軸に対して一方側の第1部分と、他方側の第2部分と、を有し、
前記第1部分は、前記第1光学系の一部として機能する光透過部分であり、
前記第2部分は、前記第2反射面として機能する反射部分であることを特徴とする請求項3に記載の投写光学系。
【請求項6】
前記複数のレンズは、前記第1レンズに対して縮小側に配置された第2レンズを備え、
前記第2反射面は、前記第1方向において、前記第1レンズと前記第2レンズとの間に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の投写光学系。
【請求項7】
前記複数のレンズは、前記第1光軸を回転軸として回転対称な形状を備えることを特徴とする請求項3に記載の投写光学系。
【請求項8】
前記第1反射面、前記第2反射面、および前記第3反射面は、前記第2光学系の第2光軸を回転軸として回転対称な形状を備えることを特徴とする請求項7に記載の投写光学系。
【請求項9】
前記第1光軸と前記第2光軸とは一致することを特徴とする請求項8に記載の投写光学系。
【請求項10】
請求項1から9のうちの何れか一項に記載の投写光学系と、
前記投写光学系の縮小側結像面に投写画像を形成する画像形成部と、
を有することを特徴とするプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写光学系、およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示素子に表示された投写画像を、投写光学系により拡大して、スクリーンに投写するプロジェクターは、特許文献1に記載されている。投写光学系は、縮小側から拡大側に向かって順に、屈折光学系および反射光学系を備える。屈折光学系は、複数の屈折レンズを備える。反射光学系は、屈折光学系から出射された光線の光路上に屈折光学系側から順に設けられた第1反射光学系と第2反射光学系と第3反射光学系とを備える。第1反射光学系は、凹面形状を有する第1反射面を備える。第2反射光学系は、曲面形状を有する第2反射面を備える。第3反射光学系は、凸面形状を有する第3反射面を備える。第3反射光学系の焦点距離の絶対値は、第1反射光学系の焦点距離の絶対値より大きい。同文献の投写光学系の投写距離は、最も短いもので約372mmである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-40849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
投写光学系は、より投写距離が短いものが求められている。
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の投写光学系は、縮小側から拡大側に向かって順に、複数のレンズからなる第1光学系と、第2光学系と、を備え、前記第1光学系は、正のパワーを有し、前記第2光学系は、前記第1光学系から出射された光線の光路上に前記第1光学系から順に、第1反射光学系、第2反射光学系、および第3反射光学系を有し、前記第1反射光学系は、凹面である非球面形状を備える第1反射面を有し、前記第2反射光学系は、凹面形状または平面形状を備える第2反射面を有し、前記第3反射光学系は、凸面である非球面形状を備える第3反射面を有し、前記第1反射光学系の焦点距離をf1、前記第2反射光学系の焦点距離をf2、前記第3反射光学系の焦点距離をf3としたとき、以下の条件式(1)を満たすことを特徴とする。
|f2|>|f1|>|f3|・・・(1)
【0006】
次に、本発明のプロジェクターは、上記の投写光学系と、前記投写光学系の前記縮小側共役面に投写画像を形成する前記画像形成素子と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の投写光学系を備えるプロジェクターの概略構成を示す図である。
図2】投写光学系の光線図である。
図3】実施例1の投写光学系の光線図である。
図4】実施例1の投写光学系の縮小側のMTFを示す図である。
図5】実施例2の投写光学系の光線図である。
図6】実施例2の投写光学系の縮小側のMTFを示す図である。
図7】実施例3の投写光学系の光線図である。
図8】実施例3の投写光学系の縮小側のMTFを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に図面を参照して、本発明の実施形態に係る光学系、およびプロジェクターを説明する。
【0009】
(プロジェクター)
図1は本発明の投写光学系3を備えるプロジェクターの概略構成を示す図である。図1に示すように、プロジェクター1は、スクリーンSに投写する投写画像を生成する画像形成部2と、投写画像を拡大してスクリーンSに拡大像を投写する投写光学系3と、画像形成部2の動作を制御する制御部4と、を備える。
【0010】
(画像形成部および制御部)
画像形成部2は、光源10、第1インテグレーターレンズ11、第2インテグレーターレンズ12、偏光変換素子13、重畳レンズ14を備える。光源10は、例えば、超高圧水銀ランプ、固体光源等で構成される。第1インテグレーターレンズ11および第2インテグレーターレンズ12は、アレイ状に配列された複数のレンズ素子をそれぞれ有する。第1インテグレーターレンズ11は、光源10からの光束を複数に分割する。第1インテグレーターレンズ11の各レンズ素子は、光源10からの光束を第2インテグレーターレンズ12の各レンズ素子の近傍に集光させる。
【0011】
偏光変換素子13は、第2インテグレーターレンズ12からの光を所定の直線偏光に変換させる。重畳レンズ14は、第1インテグレーターレンズ11の各レンズ素子の像を、第2インテグレーターレンズ12を介して、後述する液晶パネル18R、液晶パネル18G、および、液晶パネル18Bの表示領域上で重畳させる。
【0012】
また、画像形成部2は、第1ダイクロイックミラー15、反射ミラー16およびフィールドレンズ17R、および、液晶パネル18Rを備える。第1ダイクロイックミラー15は、重畳レンズ14から入射した光線の一部であるR光を反射させ、重畳レンズ14から入射した光線の一部であるG光およびB光を透過させる。第1ダイクロイックミラー15で反射されたR光は、反射ミラー16およびフィールドレンズ17Rを経て、液晶パネル18Rへ入射する。液晶パネル18Rは画像形成素子である。液晶パネル18RはR光を画像信号に応じて変調することにより、赤色の投写画像を形成する。
【0013】
さらに、画像形成部2は、第2ダイクロイックミラー21、フィールドレンズ17G、および、液晶パネル18Gを備える。第2ダイクロイックミラー21は、第1ダイクロイックミラー15からの光線の一部であるG光を反射させ、第1ダイクロイックミラー15からの光線の一部であるB光を透過させる。第2ダイクロイックミラー21で反射されたG光は、フィールドレンズ17Gを経て、液晶パネル18Gへ入射する。液晶パネル18Gは画像形成素子である。液晶パネル18GはG光を画像信号に応じて変調することにより、緑色の投写画像を形成する。
【0014】
また、画像形成部2は、リレーレンズ22、反射ミラー23、リレーレンズ24、反射ミラー25、およびフィールドレンズ17B、液晶パネル18Bおよびクロスダイクロイックプリズム19を備える。第2ダイクロイックミラー21を透過したB光は、リレーレンズ22、反射ミラー23、リレーレンズ24、反射ミラー25、およびフィールドレンズ17Bを経て、液晶パネル18Bへ入射する。液晶パネル18Bは画像形成素子である。液晶パネル18BはB光を画像信号に応じて変調することにより、青色の投写画像を形成する。
【0015】
液晶パネル18R、液晶パネル18G、および、液晶パネル18Bは、クロスダイクロイックプリズム19を3方向から囲んでいる。クロスダイクロイックプリズム19は、光合成用のプリズムであり、各液晶パネル18R、18G、18Bで変調された光を合成した投写画像を生成する。
【0016】
投写光学系3は、クロスダイクロイックプリズム19が合成した投写画像をスクリーンSに拡大して投写する。
【0017】
制御部4は、ビデオ信号等の外部画像信号が入力される画像処理部6と、画像処理部6から出力される画像信号に基づいて液晶パネル18R、液晶パネル18Gおよび液晶パネル18Bを駆動する表示駆動部7と、を備える。
【0018】
画像処理部6は、外部の機器から入力された画像信号を各色の階調等を含む画像信号に変換する。表示駆動部7は、画像処理部6から出力された各色の投写画像信号に基づいて液晶パネル18R、液晶パネル18Gおよび液晶パネル18Bを動作させる。これにより、画像処理部6は、画像信号に対応した投写画像を液晶パネル18R、液晶パネル18Gおよび液晶パネル18Bに表示する。
【0019】
(投写光学系)
次に、投写光学系3を説明する。図2は、投写光学系3の光線図である。なお、図2において、液晶パネル18R、液晶パネル18G、液晶パネル18Bを、液晶パネル18として表す。図2に示すように、投写光学系3の拡大側共役面には、スクリーンSが配置されている。投写光学系3の縮小側共役面には、液晶パネル18が配置されている。
【0020】
ここで、以下の説明では、便宜上、互いに直交する3軸をX軸、Y軸、およびZ軸とする。また、投写光学系3の第1光軸Nに沿った方向をZ軸方向とする。Z軸方向において、液晶パネル18が位置する側とは反対側を第1方向Z1、液晶パネル18が位置する側を第2方向Z2とする。Y軸は、スクリーンSに沿って延びる。Y軸方向は、上下方向であり、Y軸方向の一方側を上方Y1、他方側を下方Y2とする。X軸は、スクリーンの幅方向に延びる。
【0021】
以下では、プロジェクター1に搭載される投写光学系3の構成例として実施例1~3を説明する。
[実施例1]
図3は、実施例1の投写光学系3Aの光線図である。投写光学系3Aは、図3に示すように、縮小側から拡大側に向かって順に、第1光学系31、および第2光学系32からなる。第1光学系31の第1光軸Nと第2光学系32の第2光軸Mとは、一致する。
【0022】
第1光学系31は、正のパワーを有する屈折光学系である。第1光学系31は、複数のレンズからなる。具体的には、第1光学系31は、10枚のレンズL1~L10からなる。レンズL1~L10は、縮小側から拡大側に向かってこの順に配置されている。レンズL4とレンズL5との間には、絞り51が配置されている。
【0023】
レンズL1は、正のパワーを有する。レンズL1は、メニスカスレンズである。レンズL1は、縮小側の面に凹形状を備え、拡大側の面に凸形状を備える。レンズL2は、正のパワーを有する。レンズL2は、メニスカスレンズである。レンズL2は、縮小側の面に凸形状を備え、拡大側の面に凹形状を備える。
【0024】
レンズL3は、負のパワーを有する。レンズL3は、縮小側の面に凸形状を備え、拡大側の面に凹形状を備える。レンズL4は、負のパワーを有する。レンズL4は、縮小側および拡大側の面に凸形状を備える。レンズL3およびレンズL4は、接合された接合レンズL21である。
【0025】
レンズL5は、正のパワーを有する。レンズL5は、縮小側および拡大側の面に凸形状を備える。レンズL6は、負のパワーを有する。レンズL6は、縮小側および拡大側の面に凹形状を備える。レンズL7は、正のパワーを有する。レンズL7は、縮小側および拡大側の面に凸形状を備える。レンズL8は、負のパワーを有する。レンズL8は、メニスカスレンズである。レンズL8は、縮小側の面に凹形状を備え、拡大側の面に凸形状を備える。
【0026】
レンズL9(第2レンズ)は、正のパワーを有する。レンズL9は、メニスカスレンズである。レンズL9は、縮小側の面に凸形状を備え、拡大側の面に凹形状を備える。レンズL9は、第1光軸Nに対して一方側の第1部分41と、他方側の第2部分42とを備える。第1部分41は、第1光学系31の一部として機能する光透過部分である。より具体的には、第1部分41は、第1光学系31の屈折レンズとして機能する光透過部分である。第2部分42は、後述する第2反射面340として機能する反射部分である。
【0027】
レンズL10(第1レンズ)は、正のパワーを有する。レンズL10は、メニスカスレンズである。レンズL10は、縮小側の面に凹形状を備え、拡大側の面に凸形状を備える。第1光学系31を構成する複数のレンズL1~L10は、いずれも第1光学系31の第1光軸Nを回転軸として回転対称な形状を備える。
【0028】
第2光学系32は、第1光学系31から出射された光線の光路上に第1光学系31から順に、第1反射光学系33、第2反射光学系34、および第3反射光学系35を有する。ここで、レンズL10は、第1方向Z1において、第1反射光学系33と第2反射光学系34との間であって、第2反射光学系34と第3反射光学系35との間に配置されている。
【0029】
第1反射光学系33は、第1光学系31の拡大側に配置される。第1反射光学系33は、第2光軸Mに対して下方Y2に位置する。第1反射光学系33は、凹面形状を備える第1反射面330を有する。第1反射面330は、非球面形状を備える。
【0030】
第2反射光学系34は、光路上、第1反射光学系33の拡大側に配置される。第2反射光学系34は、第2光軸Mに対して上方Y1に位置する。第2反射光学系34は、凹面形状を備える第2反射面340を有する。第2反射面340は、レンズL9の第2部分42の拡大側レンズ面420に設けられている。第2反射面340は、第2部分42の拡大側レンズ面420に設けられた反射コーティング層により形成される。
【0031】
第3反射光学系35は、光路上、第2反射光学系34の拡大側に配置される。第3反射光学系35は、第2光軸Mに対して上方Y1に位置する。第3反射光学系35は、凸面形状を備える第3反射面350を有する。第3反射面350は、非球面形状を備える。
【0032】
第2光学系32を構成する第1反射面330、第2反射面340、および第3反射面350は、第2光学系32の第2光軸Mを回転軸として回転対称な形状を備える。
【0033】
ここで、液晶パネル18は、第1光学系31の第1光軸Nに垂直な画像形成面内に投写画像を形成する。液晶パネル18は、第1光学系31の第1光軸Nに対して上方Y1にオフセットされた位置に配置されている。液晶パネル18からの光線は、第1光学系31、および第2光学系32を、この順に通過する。第1光学系31と第2光学系32との間において、光線は、第1光軸Nの下方Y2を通過し、第2光学系32の第1反射面330に向かう。
【0034】
第1反射面330に到達した光線は、第1光軸Nを上方Y1に横切って、第2方向Z2および上方Y1に向かって反射される。第1反射面330で反射された光線は、レンズL10を透過して、第2反射面340に到達する。第2反射面340に到達した光線は、第1方向Z1および上方Y1に向かって反射される。第2反射面340で反射された光線は、レンズL10を透過して、第3反射面350に到達する。第3反射面350に到達した光線は、第2方向Z2および上方Y1に向かって反射される。第3反射面350で反射された光線は、第3反射面350によって拡大されて、スクリーンSに到達する。
【0035】
投写光学系3AのFナンバーをFNo、レンズ全系の最大半画角をωとするとしたときに、実施例1の投写光学系3Aのデータは以下のとおりである。
【0036】
Fno 1.431
ω 80.143°
【0037】
投写光学系3Aのレンズデータは以下のとおりである。面番号は、縮小側から拡大側に順番に付してある。符号は、液晶パネル、ダイクロイックプリズム、レンズ、第1反射面、第2反射面、第3反射面およびスクリーンの符号である。Rは曲率半径である。Dは軸上面間隔である。ndは屈折率である。νdはアッベ数である。Yは有効半径である。R、D、Yの単位はmmである。
【0038】
符号 面番号 R D nd vd モード Y
18 0 0.00000 3.000000 屈折
19 1 0.00000 25.750000 1.516330 64.14 屈折 11.623
2 0.00000 3.306682 屈折 17.017
L01 3 -528.38781 6.000000 1.986125 16.48 屈折 18.000
4 -53.59618 0.100000 屈折 18.528
L02 5 36.16025 6.593978 1.913041 28.20 屈折 18.724
6 102.64785 11.898469 屈折 17.948
L03 7 360.09349 2.303687 1.986125 16.48 屈折 14.285
L04 8 23.69596 10.970660 1.486555 77.12 屈折 13.162
9 -43.41655 31.906933 屈折 13.000
51,L05 10 39.61222 7.000000 1.611109 57.56 屈折 13.000
11 -110.42307 14.196605 屈折 13.255
L06 12 -107.62425 3.384629 1.917513 26.94 屈折 13.659
13 52.74696 4.002725 屈折 14.130
L07 14 59.79382 6.739074 1.797855 19.51 屈折 16.172
15 -64.89773 4.086216 屈折 16.409
L08 16 -29.85440 6.547540 1.938332 22.41 屈折 16.368
17 -50.82914 72.919770 屈折 18.646
L09 18 275.26448 8.000000 1.849076 37.72 屈折 33.805
19 1396.48188 38.982077 屈折 34.085
L10 20 -448.48764 19.000000 1.637611 55.29 屈折 42.321
21 -187.55816 25.392163 屈折 45.024
330 22* -64.43464 -25.392163 反射 47.385
L10 23 -187.55816 -19.000000 1.637611 55.29 屈折 36.208
24 -448.48764 -38.982077 屈折 28.586
340 25 1396.48188 38.982077 反射 26.127
L10 26 -448.48764 19.000000 1.637611 55.29 屈折 57.938
27 -187.55816 49.210956 屈折 64.005
350 28* 53.46671 -155.000000 反射 142.233
S 29 0.00000 0.000000 屈折 1330.358
【0039】
各非球面係数は以下のとおりである。
【0040】
面番号 22 28
コーニック定数 1.051849E-01 -4.789571E+00
4次の係数 2.049492E-06 -2.943985E-08
6次の係数 -4.12751E-10 1.922612E-12
8次の係数 2.052322E-13 -8.387132E-17
10次の係数 -5.492764E-17 2.160308E-21
12次の係数 8.652296E-21 -2.42962E-26
【0041】
第1反射光学系33の第1反射面330の焦点距離をf1、第2反射光学系34の第2反射面340の焦点距離をf2、第3反射光学系35の第3反射面350の焦点距離をf3としたとき、実施例1の投写光学系3Aのデータは以下のとおりである。
【0042】
f1 32.217mm
f2 698.241mm
f3 -26.733mm
【0043】
実施例1の投写光学系3Aの投写距離は、以下のとおりである。
【0044】
投写距離 155.000mm
【0045】
ここで、本例の投写光学系3Aは、第1反射光学系の焦点距離をf1、第2反射光学系の焦点距離をf2、第3反射光学系の焦点距離をf3としたとき、以下の条件式(1)を満たす。
|f2|>|f1|>|f3|・・・(1)
【0046】
本例では、
|f1| 32.217mm
|f2| 698.241mm
|f3| 26.733mm
である。よって、本例の投写光学系3Aは、条件式(1)を満たす。
【0047】
(作用効果)
本例の投写光学系3Aは、条件式(1)を満たすので、投写距離を短くすることができる。すなわち、第3反射面350の焦点距離f3の絶対値を、第1反射面330の焦点距離f1の絶対値および第2反射面340の焦点距離f2の絶対値より小さくすることにより、第3反射面350で反射する光線の画角を大きく広げることができる。これにより、投写光学系3Aの投写距離を短くすることができる。
【0048】
また、第2反射面340の焦点距離f2の絶対値を、第1反射面330の焦点距離f1の絶対値より大きくすることにより、第2反射面340で反射する光線の角度を広げることが容易となる。これにより、第3反射面350は、第3反射面350で反射してスクリーンSに向かう光線の反射角を広げることが容易となる。仮に、第2反射面340の焦点距離f2の絶対値を、第1反射面330の焦点距離f1の絶対値より小さくした場合には、第2反射面340で反射する光線の角度が小さくなるので、第3反射面350は、第3反射面350で反射してスクリーンSに向かう光線の画角を広げることが困難となる。これにより、第2反射面340の焦点距離f2の絶対値を、第1反射面330の焦点距離f1の絶対値より小さくした場合には、第2反射面340の焦点距離f2の絶対値を、第1反射面330の焦点距離f1の絶対値より大きくした場合と比較して、投写光学系3Aは、同じ投写距離において、スクリーンSに投写する拡大像が小さくなるので、好ましくない。
【0049】
さらに、第2反射面340の焦点距離f2の絶対値を、第1反射面330の焦点距離f1の絶対値および第3反射面350の焦点距離f3の絶対値より大きくする、すなわち、パワーを弱くすることにより、第1反射面330の正のパワーと、第3反射面350の負のパワーをバランスよく設定することができる。これにより、諸収差をバランスよく補正することができる。
【0050】
ここで、比較例として、先行技術文献である、特開2017-40849号公報の実施例6について検討する。比較例の第1反射光学系の焦点距離f1、第2反射光学系の焦点距離f2、第3反射光学系の焦点距離f3、第1反射光学系の焦点距離f1の絶対値、第2反射光学系の焦点距離f2の絶対値、第3反射光学系の焦点距離f3の絶対値、投写距離およびレンズ全系の最大半画角ωは、以下のとおりである。
【0051】
f1 29.281mm
f2 102.500mm
f3 -41.225mm
|f1| 29.281mm
|f2| 102.500mm
|f3| 41.225mm
投写距離 371.837mm
ω 70.2°
【0052】
したがって、比較例の投写光学系は、条件式(1)を満たさないので、本例の投写光学系3Aと比較して、比較例の投写光学系の投写距離は、大きい。また、比較例の投写光学系は、本例の投写光学系3Aより最大半画角が小さい。
【0053】
本例では、第3反射面350の最大有効半径は、150mmより小さい。第3反射面350の最大有効半径が150mm以上の場合には、第3反射面350を製造する際に、第3反射面350に歪やたわみが発生しやすくなるので、第3反射面350の加工精度を高くすることが困難となる。よって、本例では、第3反射面350の最大有効半径が150mmより小さいので、第3反射面350の加工精度を高くすることができる。これにより、投写光学系3AがスクリーンSに投写した拡大像を、鮮明にすることができる。
【0054】
本例では、複数のレンズは、最も拡大側に配置された正のパワーを有するレンズL10を備える。レンズL10は、第1光学系31の第1光軸Nに沿った第1方向Z1において、第1反射面330と第2反射面340との間に配置されている。第1反射面330で反射された光線は、レンズL10を透過して、第2反射面340に到達する。これにより、第1反射面330で反射された光線は、レンズL10により、光線の広がりや角度をコントロールすることができるので、第1反射面330と第2反射面340との軸上面間隔を小さくすることができる。また、レンズL10により、第1反射面330で反射された光線の諸収差を良好に補正することができる。
【0055】
本例では、レンズL10は、第1方向Z1において、第2反射面340と第3反射面350との間に配置されている。第2反射面340で反射された光線は、レンズL10を透過して、第3反射面350に到達する。これにより、第2反射面340で反射された光線は、レンズL10により、光線の広がりや角度をコントロールすることができるので、第2反射面340と第3反射面350との軸上面間隔を小さくすることができる。また、レンズL10により、第2反射面340で反射された光線の諸収差を良好に補正することができる。
【0056】
複数のレンズは、レンズL10に対して縮小側に配置されたレンズL9を備える。レンズL9は、第1光軸Nに対して一方側の第1部分41と、他方側の第2部分42と、を有する。第1部分41は、第1光学系の屈折レンズとして機能する光透過部分である。第2部分42は、第2反射面340として機能する反射部分である。よって、レンズL9が屈折レンズとしての機能と第2反射面340としての機能とを兼用するので、光学部品の数を減らすことができるとともに、投写光学系3Aの構成を簡単なものにすることができる。
【0057】
本例では、第1反射面330は、凹面である非球面形状を備える。第3反射面350は、凸面である非球面形状を備える。ここで、第1反射面330および第3反射面350は、第2反射面340よりパワーが強いので、第1反射面330および第3反射面350で反射される光線は、第2反射面340で反射される光線と比較して、諸収差が発生しやすい。よって、第1反射面330および第3反射面350が、非球面形状を備えるので、投写光学系3Aで発生する諸収差を良好に補正することができる。
【0058】
本例では、複数のレンズL1~L10は、第1光軸Nを回転軸として回転対称な形状を備える。よって、第1光学系31の各レンズの製造が容易となる。また、第1光学系31の各レンズを精度よく配置することが容易となる。
【0059】
本例では、第1反射面330、第2反射面340、および第3反射面350は、第2光軸Mを回転軸として回転対称な形状を備える。よって、第2光学系32の各反射面の製造が容易となる。また、第2光学系32の各反射面を精度よく配置することが容易となる。
【0060】
本例では、第1光軸Nと第2光軸Mとは一致する。よって、第1光学系31と第2光学系32とを精度よく配置することが容易となる。
【0061】
図4は、投写光学系3Aの拡大側のMTFを示す図である。図4の横軸は空間周波数であり、縦軸はコントラスト再現比である。図4に示すように、本例の投写光学系3Aは、高い解像度を有する。
【0062】
[実施例2]
図5は、実施例2の投写光学系3Bの光線図である。図5に示すように、投写光学系3Bは、縮小側から拡大側に向かって順に、第1光学系31、および第2光学系32からなる。第1光学系31の第1光軸Nと第2光学系32の第2光軸Mとは、一致する。
【0063】
第1光学系31は、正のパワーを有する屈折光学系である。第1光学系31は、複数のレンズからなる。具体的には、第1光学系31は、10枚のレンズL1~L10からなる。レンズL1~L10は、縮小側から拡大側に向かってこの順に配置されている。レンズL4とレンズL5との間には、絞り51が配置されている。
【0064】
レンズL1は、正のパワーを有する。レンズL1は、メニスカスレンズである。レンズL1は、縮小側の面に凹形状を備え、拡大側の面に凸形状を備える。レンズL2は、正のパワーを有する。レンズL2は、メニスカスレンズである。レンズL2は、縮小側の面に凸形状を備え、拡大側の面に凹形状を備える。
【0065】
レンズL3は、負のパワーを有する。レンズL3は、縮小側の面に凸形状を備え、拡大側の面に凹形状を備える。レンズL4は、負のパワーを有する。レンズL4は、縮小側および拡大側の面に凸形状を備える。レンズL3およびレンズL4は、接合された接合レンズL21である。
【0066】
レンズL5は、正のパワーを有する。レンズL5は、縮小側および拡大側の面に凸形状を備える。レンズL6は、負のパワーを有する。レンズL6は、縮小側および拡大側の面に凹形状を備える。レンズL7は、正のパワーを有する。レンズL7は、縮小側および拡大側の面に凸形状を備える。
【0067】
レンズL8は、負のパワーを有する。レンズL8は、メニスカスレンズである。レンズL8は、縮小側の面に凹形状を備え、拡大側の面に凸形状を備える。レンズL9(第2レンズ)は、正のパワーを有する。レンズL9は、メニスカスレンズである。レンズL9は、縮小側の面に凹形状を備え、拡大側の面に凸形状を備える。
【0068】
レンズL10(第1レンズ)は、正のパワーを有する。レンズL10は、メニスカスレンズである。レンズL10は、縮小側の面に凹形状を備え、拡大側の面に凸形状を備える。第1光学系31を構成する複数のレンズL1~L10は、いずれも第1光学系31の第1光軸Nを回転軸として回転対称な形状を備える。
【0069】
第2光学系32は、第1光学系31から出射された光線の光路上に第1光学系31から順に、第1反射光学系33、第2反射光学系34、および第3反射光学系35を有する。ここで、レンズL10は、第1方向Z1において、第1反射光学系33と第2反射光学系34との間であって、第2反射光学系34と第3反射光学系35との間に配置されている。
【0070】
第1反射光学系33は、第1光学系31の拡大側に配置される。第1反射光学系33は、第2光軸Mに対して下方Y2に位置する。第1反射光学系33は、凹面形状を備える第1反射面330を有する。第1反射面330は、非球面形状を備える。
【0071】
第2反射光学系34は、光路上、第1反射光学系33の拡大側に配置される。第2反射光学系34は、第2光軸Mに対して上方Y1に位置する。第2反射光学系34は、平面形状を備える第2反射面340を有する。第2反射面340は、第1方向Z1において、レンズL9とレンズL10との間に配置されている。
【0072】
第3反射光学系35は、光路上、第2反射光学系34の拡大側に配置される。第3反射光学系35は、第2光軸Mに対して上方Y1に位置する。第3反射光学系35は、凸面形状を備える第3反射面350を有する。第3反射面350は、非球面形状を備える。
【0073】
第2光学系32を構成する第1反射面330、第2反射面340、および第3反射面350は、第2光学系32の第2光軸Mを回転軸として回転対称な形状を備える。
【0074】
液晶パネル18からの光線は、第1光学系31、および第2光学系32を、この順に通過する。第1光学系31と第2光学系32との間において、光線は、第1光軸Nの下方Y2を通過し、第2光学系32の第1反射面330に向かう。
【0075】
第1反射面330に到達した光線は、第1光軸Nを上方Y1に横切って、第2方向Z2および上方Y1に向かって反射される。第1反射面330で反射された光線は、レンズL10を透過して、第2反射面340に到達する。第2反射面340に到達した光線は、第1方向Z1および上方Y1に向かって反射される。第2反射面340で反射された光線は、レンズL10を透過して、第3反射面350に到達する。第3反射面350に到達した光線は、第2方向Z2および上方Y1に向かって反射される。第3反射面350で反射された光線は、第3反射面350によって拡大されて、スクリーンSに到達する。
【0076】
投写光学系3BのFナンバーをFNo、レンズ全系の最大半画角をωとするとしたときに、実施例2の投写光学系3Bのデータは以下のとおりである。
【0077】
Fno 1.429
ω 80.182°
【0078】
投写光学系3Bのレンズデータは以下のとおりである。面番号は、縮小側から拡大側に順番に付してある。符号は、液晶パネル、ダイクロイックプリズム、レンズ、第1反射面、第2反射面、第3反射面およびスクリーンの符号である。Rは曲率半径である。Dは軸上面間隔である。ndは屈折率である。νdはアッベ数である。Yは有効半径である。R、D、Yの単位はmmである。
【0079】
符号 面番号 R D nd vd モード Y
18 0 0.00000 3.000000 屈折
19 1 0.00000 25.750000 1.516330 64.14 屈折 11.623
2 0.00000 3.648092 屈折 17.017
L01 3 -250.28858 6.000000 1.986125 16.48 屈折 18.000
4 -49.21333 0.100000 屈折 18.588
L02 5 33.51972 8.000000 1.927010 24.64 屈折 18.513
6 86.85688 9.357735 屈折 17.288
L03 7 434.14453 2.126957 1.986125 16.48 屈折 14.319
L04 8 22.97156 11.390743 1.459223 85.62 屈折 13.131
9 -38.15519 27.987780 屈折 13.000
51,L05 10 39.00070 7.000000 1.673378 52.73 屈折 13.000
11 -113.64727 15.328936 屈折 13.202
L06 12 -54.49192 4.372790 1.930507 23.90 屈折 13.281
13 58.30287 4.000000 屈折 14.243
L07 14 79.10658 7.000000 1.843691 18.54 屈折 16.577
15 -52.92728 4.530482 屈折 16.976
L08 16 -27.26682 7.589622 1.986125 16.48 屈折 17.000
17 -39.01552 64.695899 屈折 20.038
L09 18 -118.25109 8.000000 1.903700 31.30 屈折 32.090
19 -94.77445 37.635425 屈折 33.538
L10 20 -442.36880 19.000000 1.804198 46.50 屈折 42.522
21 -188.49008 30.169182 屈折 45.241
330 22* -65.57949 -30.169182 反射 47.982
L10 23 -188.49008 -19.000000 1.804198 46.50 屈折 33.939
24 -442.36880 -35.635425 屈折 26.789
340 25 0.00000 35.635425 反射 26.903
L10 26 -442.36880 19.000000 1.804198 46.50 屈折 58.075
27 -188.49008 51.551139 屈折 63.986
350 28* 52.78429 -155.000000 反射 144.673
S 29 0.00000 0.000000 屈折 1330.167
【0080】
各非球面係数は以下のとおりである。
【0081】
面番号 22 28
コーニック定数 1.061689E-01 -4.787871E+00
4次の係数 2.073994E-06 -2.904389E-08
6次の係数 -4.391544E-10 1.909389E-12
8次の係数 1.949004E-13 -8.308591E-17
10次の係数 -4.812829E-17 2.11295E-21
12次の係数 7.116146E-21 -2.328039E-26
【0082】
第1反射光学系33の第1反射面330の焦点距離をf1、第2反射光学系34の第2反射面340の焦点距離をf2、第3反射光学系35の第3反射面350の焦点距離をf3としたとき、実施例2の投写光学系3Bのデータは以下のとおりである。
【0083】
f1 32.790mm
f2 ∞ mm
f3 -26.392mm
【0084】
実施例2の投写光学系3Bの投写距離は、以下のとおりである。
【0085】
投写距離 155.000mm
【0086】
ここで、本例の投写光学系3Bは、第1反射光学系の焦点距離をf1、第2反射光学系の焦点距離をf2、第3反射光学系の焦点距離をf3としたとき、以下の条件式(1)を満たす。
|f2|>|f1|>|f3|・・・(1)
【0087】
本例では、
|f1| 32.790mm
|f2| ∞ mm
|f3| 26.392mm
である。よって、本例の投写光学系3Bは、条件式(1)を満たす。
【0088】
(作用効果)
本例では、複数のレンズL1~L10は、レンズL10に対して縮小側に配置されたレンズL9を備える。第2反射面340は、第1方向Z1において、レンズL9とレンズL10との間に配置されている。よって、第2反射面340がレンズL9の拡大側レンズ面に設けられた場合と比較して、プロジェクター1に投写光学系3Bを組み込む際に、第2反射面340の位置合わせが容易となる。また、第2反射面340は、平面形状を備える。よって、第2反射面340の製造が容易となる。
【0089】
本例の投写光学系3Bは、条件式(1)を満たすので、実施例1の投写光学系3Aと同様の作用効果を得ることができる。図6は、投写光学系3Bの拡大側のMTFを示す図である。図6に示すように、本例の投写光学系3Bは、高い解像度を有する。
【0090】
[実施例3]
図7は、実施例3の投写光学系3Cの光線図である。図7に示すように、投写光学系3Cは、縮小側から拡大側に向かって順に、第1光学系31、および第2光学系32からなる。第1光学系31の第1光軸Nと第2光学系32の第2光軸Mとは、一致する。
【0091】
第1光学系31は、正のパワーを有する屈折光学系である。第1光学系31は、複数のレンズからなる。具体的には、第1光学系31は、10枚のレンズL1~L10からなる。レンズL1~L10は、縮小側から拡大側に向かってこの順に配置されている。レンズL4とレンズL5との間には、絞り51が配置されている。
【0092】
レンズL1は、正のパワーを有する。レンズL1は、メニスカスレンズである。レンズL1は、縮小側の面に凹形状を備え、拡大側の面に凸形状を備える。レンズL2は、正のパワーを有する。レンズL2は、縮小側および拡大側の面に凸形状を備える。
【0093】
レンズL3は、負のパワーを有する。レンズL3は、縮小側および拡大側の面に凹形状を備える。レンズL4は、正のパワーを有する。レンズL4は、縮小側および拡大側の面に凸形状を備える。レンズL3およびレンズL4は、接合された接合レンズL21である。
【0094】
レンズL5は、正のパワーを有する。レンズL5は、縮小側および拡大側の面に凸形状を備える。レンズL6は、負のパワーを有する。レンズL6は、縮小側の面に凹形状を備え、拡大側の面に凸形状を備える。レンズL7は、正のパワーを有する。レンズL7は、縮小側および拡大側の面に凸形状を備える。レンズL8は、負のパワーを有する。レンズL8は、メニスカスレンズである。レンズL8は、縮小側の面に凹形状を備え、拡大側の面に凸形状を備える。
【0095】
レンズL9(第2レンズ)は、正のパワーを有する。レンズL9は、メニスカスレンズである。レンズL9は、縮小側の面に凸形状を備え、拡大側の面に凹形状を備える。レンズL9は、拡大側の面に非球面形状を備える。レンズL9は、第1光軸Nに対して一方側の第1部分41と、他方側の第2部分42とを備える。第1部分41は、第1光学系31の一部として機能する光透過部分である。より具体的には、第1部分41は、第1光学系31の屈折レンズとして機能する光透過部分である。第2部分42は、第2反射面340として機能する反射部分である。
【0096】
レンズL10(第1レンズ)は、正のパワーを有する。レンズL10は、メニスカスレンズである。レンズL10は、縮小側の面に凹形状を備え、拡大側の面に凸形状を備える。第1光学系31を構成する複数のレンズL1~L10は、いずれも第1光学系31の第1光軸Nを回転軸として回転対称な形状を備える。
【0097】
第2光学系32は、第1光学系31から出射された光線の光路上に第1光学系31から順に、第1反射光学系33、第2反射光学系34、および第3反射光学系35を有する。ここで、レンズL10は、第1方向Z1において、第1反射光学系33と第2反射光学系34との間であって、第2反射光学系34と第3反射光学系35との間に配置されている。
【0098】
第1反射光学系33は、第1光学系31の拡大側に配置される。第1反射光学系33は、第2光軸Mに対して下方Y2に位置する。第1反射光学系33は、凹面形状を備える第1反射面330を有する。第1反射面330は、非球面形状を備える。
【0099】
第2反射光学系34は、光路上、第1反射光学系33の拡大側に配置される。第2反射光学系34は、第2光軸Mに対して上方Y1に位置する。第2反射光学系34は、凹面形状を備える第2反射面340を有する。第2反射面340は、レンズL9の第2部分42の拡大側レンズ面420に設けられている。したがって、第2反射面340は、非球面形状を備える。第2反射面340は、第2部分42の拡大側レンズ面420に設けられた反射コーティング層により形成される。
【0100】
第3反射光学系35は、光路上、第2反射光学系34の拡大側に配置される。第3反射光学系35は、第2光軸Mに対して上方Y1に位置する。第3反射光学系35は、凸面形状を備える第3反射面350を有する。第3反射面350は、非球面形状を備える。
【0101】
第2光学系32を構成する第1反射面330、第2反射面340、および第3反射面350は、第2光学系32の第2光軸Mを回転軸として回転対称な形状を備える。
【0102】
液晶パネル18からの光線は、第1光学系31、および第2光学系32を、この順に通過する。第1光学系31と第2光学系32との間において、光線は、第1光軸Nの下方Y2を通過し、第2光学系32の第1反射面330に向かう。
【0103】
第1反射面330に到達した光線は、第1光軸Nを上方Y1に横切って、第2方向Z2および上方Y1に向かって反射される。第1反射面330で反射された光線は、レンズL10を透過して、第2反射面340に到達する。第2反射面340に到達した光線は、第1方向Z1および上方Y1に向かって反射される。第2反射面340で反射された光線は、レンズL10を透過して、第3反射面350に到達する。第3反射面350に到達した光線は、第2方向Z2および上方Y1に向かって反射される。第3反射面350で反射された光線は、第3反射面350によって拡大されて、スクリーンSに到達する。
【0104】
投写光学系3CのFナンバーをFNo、レンズ全系の最大半画角をωとするとしたときに、実施例3の投写光学系3Cのデータは以下のとおりである。
【0105】
Fno 1.433
ω 80.457°
【0106】
投写光学系3Cのレンズデータは以下のとおりである。面番号は、縮小側から拡大側に順番に付してある。符号は、液晶パネル、ダイクロイックプリズム、レンズ、第1反射面、第2反射面、第3反射面およびスクリーンの符号である。Rは曲率半径である。Dは軸上面間隔である。ndは屈折率である。νdはアッベ数である。Yは有効半径である。R、D、Yの単位はmmである。
【0107】
符号 面番号 R D nd vd モード Y
18 0 0.00000 3.000000 屈折
19 1 0.00000 25.750000 1.516330 64.14 屈折 11.623
2 0.00000 5.500921 屈折 17.017
L01 3 -66.02661 6.000000 1.903658 31.32 屈折 18.000
4 -35.31143 0.100000 屈折 18.985
L02 5 42.65748 8.000000 1.969346 18.11 屈折 19.852
6 -1169.06825 13.341182 屈折 19.225
L03 7 -63.97830 2.000000 1.986125 16.48 屈折 13.489
L04 8 33.87145 10.217155 1.472590 81.12 屈折 12.901
9 -33.17772 18.422090 屈折 13.000
51,L05 10 39.23909 7.000000 1.438022 94.60 屈折 13.000
11 -117.65820 32.866322 屈折 13.532
L06 12 -28.56052 6.702939 1.882780 33.40 屈折 17.426
13 -47.97692 14.148390 屈折 20.704
L07 14 129.72400 7.000000 1.982136 16.81 屈折 28.569
15 -362.02294 9.107801 屈折 28.703
L08 16 -55.17402 6.921911 1.986125 16.48 屈折 28.746
17 -71.36157 67.992188 屈折 31.120
L09 18 289.04180 8.000000 1.986125 16.48 屈折 41.451
19* 461.29891 20.572641 屈折 41.403
L10 20 -241.32846 19.000000 1.448364 89.89 屈折 41.926
21 -135.63243 60.926881 屈折 43.245
330 22* -64.15676 -60.926881 反射 48.611
L10 23 -135.63243 -19.000000 1.448364 89.89 屈折 19.080
24 -241.32846 -20.572641 屈折 26.092
340 25* 461.29891 20.572641 反射 42.654
L10 26 -241.32846 19.000000 1.448364 89.89 屈折 53.351
27 -135.63243 48.356460 屈折 59.878
350 28* 53.00842 -155.000000 反射 138.968
S 29 0.00000 0.000000 屈折 1330.080
【0108】
各非球面係数は以下のとおりである。
【0109】
面番号 19 22 25 28
コーニック定数 6.166722E+01 3.383186E-02 6.166722E+01 -4.559562E+00
4次の係数 -3.115222E-07 1.809685E-06 -3.115222E-07 -3.095255E-08
6次の係数 5.312844E-11 -3.658264E-10 5.312844E-11 1.835285E-12
8次の係数 -1.756324E-14 2.037076E-13 -1.756324E-14 -7.421759E-17
10次の係数 -5.418827E-17 1.78666E-21
12次の係数 7.93418E-21 -1.910778E-26
【0110】
第1反射光学系33の第1反射面330の焦点距離をf1、第2反射光学系34の第2反射面340の焦点距離をf2、第3反射光学系35の第3反射面350の焦点距離をf3としたとき、実施例3の投写光学系3Cのデータは以下のとおりである。
【0111】
f1 32.078mm
f2 230.649mm
f3 -26.504mm
【0112】
実施例3の投写光学系3Cの投写距離は、以下のとおりである。
【0113】
投写距離 155.000mm
【0114】
ここで、本例の投写光学系3Cは、第1反射光学系の焦点距離をf1、第2反射光学系の焦点距離をf2、第3反射光学系の焦点距離をf3としたとき、以下の条件式(1)を満たす。
|f2|>|f1|>|f3|・・・(1)
【0115】
本例では、
|f1| 32.078mm
|f2| 230.649mm
|f3| 26.504mm
である。よって、本例の投写光学系3Cは、条件式(1)を満たす。
【0116】
(作用効果)
本例では、第2反射面340は、非球面形状を備える。よって、投写光学系3Cで発生する諸収差を、より良好に補正することができる。
【0117】
本例の投写光学系3Cは、条件式(1)を満たすので、実施例1の投写光学系3Aと同様の作用効果を得ることができる。図8は、投写光学系3Cの拡大側のMTFを示す図である。図8に示すように、本例の投写光学系3Cは、高い解像度を有する。
【0118】
[他の実施例]
上記形態では、第1反射面330と第3反射面350とは、別々の部材として説明したが、1つの部材が第1反射面330と第3反射面350とを備えていてもよい。
【0119】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
【0120】
(付記1)
縮小側から拡大側に向かって順に、複数のレンズからなる第1光学系と、第2光学系と、を備え、
前記第1光学系は、正のパワーを有し、
前記第2光学系は、前記第1光学系から出射された光線の光路上に前記第1光学系から順に、第1反射光学系、第2反射光学系、および第3反射光学系を有し、
前記第1反射光学系は、凹面である非球面形状を備える第1反射面を有し、
前記第2反射光学系は、凹面形状または平面形状を備える第2反射面を有し、
前記第3反射光学系は、凸面である非球面形状を備える第3反射面を有し、
前記第1反射光学系の焦点距離をf1、前記第2反射光学系の焦点距離をf2、前記第3反射光学系の焦点距離をf3としたとき、以下の条件式(1)を満たすことを特徴とする投写光学系。
|f2|>|f1|>|f3|・・・(1)
【0121】
これにより、投写光学系3は、条件式(1)を満たすので、投写距離を短くすることができる。すなわち、第3反射面の焦点距離f3の絶対値を、第1反射面の焦点距離f1の絶対値および第2反射面340の焦点距離f2の絶対値より小さくすることにより、第3反射面における光線の反射角を大きくすることができるので、投写光学系の投写距離を短くすることができる。
【0122】
(付記2)
前記第3反射面の最大有効半径は、150mmより小さいことを特徴とする付記1に記載の投写光学系。
【0123】
これにより、第3反射面の加工精度を高くすることができる。よって、投写光学系がスクリーンに投写した拡大像を、鮮明にすることができる。
【0124】
(付記3)
前記複数のレンズは、最も拡大側に配置された正のパワーを有する第1レンズを備え、
前記第1レンズは、前記第1光学系の第1光軸に沿った第1方向において、前記第1反射光学系と前記第2反射光学系との間に配置されており、
前記第1反射光学系で反射された光線は、前記第1レンズを透過して、前記第2反射光学系に到達することを特徴とする付記1または2に記載の投写光学系。
【0125】
これにより、第1反射面で反射された光線は、第1レンズにより、光線の広がりや角度をコントロールすることができるので、第1反射面と第2反射面との軸上面間隔を小さくすることができる。また、第1レンズにより、第1反射面で反射された光線の諸収差を良好に補正することができる。
【0126】
(付記4)
前記第1レンズは、前記第1方向において、前記第2反射光学系と前記第3反射光学系との間に配置されており、
前記第2反射光学系で反射された光線は、前記第1レンズを透過して、前記第3反射光学系に到達することを特徴とする付記3に記載の投写光学系。
【0127】
これにより、第2反射面で反射された光線は、第1レンズにより、光線の広がりや角度をコントロールすることができるので、第2反射面と第3反射面との軸上面間隔を小さくすることができる。また、第1レンズにより、第2反射面で反射された光線の諸収差を良好に補正することができる。
【0128】
(付記5)
前記複数のレンズは、前記第1レンズに対して縮小側に配置された第2レンズを備え、
前記第2レンズは、前記第1光軸に対して一方側の第1部分と、他方側の第2部分と、を有し、
前記第1部分は、前記第1光学系の一部として機能する光透過部分であり、
前記第2部分は、前記第2反射面として機能する反射部分であることを特徴とする付記3または4に記載の投写光学系。
【0129】
これにより、第2レンズが屈折レンズとしての機能と第2反射面としての機能とを兼用するので、光学部品の数を減らすことができるとともに、投写光学系3の構成を簡単なものにすることができる。
【0130】
(付記6)
前記複数のレンズは、前記第1レンズに対して縮小側に配置された第2レンズを備え、
前記第2反射面は、前記第1方向において、前記第1レンズと前記第2レンズとの間に配置されていることを特徴とする付記3または4に記載の投写光学系。
【0131】
よって、第2反射面が第2レンズに設けられた場合と比較して、投写光学系に第2反射面を配置する際に、第2反射面の位置合わせが容易となる。
【0132】
(付記7)
前記複数のレンズは、前記第1光軸を回転軸として回転対称な形状を備えることを特徴とする付記3から6のうちの何れか一項に記載の投写光学系。
【0133】
これにより、第1光学系の各レンズの製造が容易となる。また、第1光学系の各レンズを精度よく配置することが容易となる。
【0134】
(付記8)
前記第1反射面、前記第2反射面、および前記第3反射面は、前記第2光学系の第2光軸を回転軸として回転対称な形状を備えることを特徴とする付記7に記載の投写光学系。
【0135】
これにより、第2光学系の各反射面の製造が容易となる。また、第2光学系の各反射面を精度よく配置することが容易となる。
【0136】
(付記9)
前記第1光軸と前記第2光軸とは一致することを特徴とする付記8に記載の投写光学系。
【0137】
これにより、第1光学系と第2光学系とを精度よく配置することが容易となる。
【0138】
(付記10)
付記1から9のうちの何れか一項に記載の投写光学系と、
前記投写光学系の縮小側結像面に投写画像を形成する画像形成部と、
を有することを特徴とするプロジェクター。
【符号の説明】
【0139】
1…プロジェクター、2…画像形成部、3・3A・3B・3C…投写光学系、4…制御部、6…画像処理部、7…表示駆動部、10…光源、11…インテグレーターレンズ、12…インテグレーターレンズ、13…偏光変換素子、14…重畳レンズ、15…ダイクロイックミラー、16…反射ミラー、17R…フィールドレンズ、17G…フィールドレンズ、17B…フィールドレンズ、18(18B・18R・18G)…液晶パネル、19…クロスダイクロイックプリズム、21…ダイクロイックミラー、22…リレーレンズ、23…反射ミラー、24…リレーレンズ、25…反射ミラー、31…第1光学系、32…第2光学系、33…第1反射光学系、34…第2反射光学系、35…第3反射光学系、41…第1部分、42…第2部分、51…開口絞り、330…第1反射面、340…第2反射面、350…第3反射面、420…拡大側レンズ面、L1~L10…レンズ、L21…接合レンズ、N…第1光軸、M…第2光軸、S…スクリーン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8