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特開2024-76704交換部品推定装置、交換部品推定方法および交換部品推定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076704
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】交換部品推定装置、交換部品推定方法および交換部品推定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20240530BHJP
【FI】
G06Q10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188391
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129012
【弁理士】
【氏名又は名称】元山 雅史
(72)【発明者】
【氏名】前田(影本) 義明
(72)【発明者】
【氏名】平野 竜洋
(72)【発明者】
【氏名】塚本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】吉野 広太郎
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】異常が発生した製品の交換部品を精度よく推定することが可能な交換部品推定装置、交換部品推定方法を提供する。
【解決手段】交換部品推定装置10は、データ取得部11とクラスタリング部12と交換部品推定部13とを備えている。データ取得部11は、過去の修理作業で実際に交換された交換部品の情報と修理を依頼するユーザから受け付けた問い合わせ内容D2とを含む作業記録D1と、ユーザから新たに受け付けた問い合わせ内容D2とを取得する。クラスタリング部12は、作業記録D1をデータ取得部11において取得された過去の問い合わせ内容D2ごとにクラスタリングする。交換部品推定部13は、データ取得部11が新たに問い合わせ内容D2を取得した際に、クラスタリングされた作業記録D1を用いて抽出された過去の修理作業で実際に交換された交換部品の情報に基づいて新たに発生した修理作業に必要な交換部品を推定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常が発生した製品の交換部品を推定する交換部品推定装置であって、
前記製品の修理を行う作業員が過去に実施した修理作業のうち前記修理作業で実際に交換された前記交換部品の情報と前記製品の前記修理を依頼するユーザから受け付けた問い合わせ内容とを含む作業記録と、前記ユーザから新たに受け付けた問い合わせ内容と、を取得するデータ取得部と、
前記データ取得部において取得された前記作業記録を、前記データ取得部において取得された過去の前記問い合わせ内容ごとにクラスタリングするクラスタリング部と、
前記データ取得部が新たに前記問い合わせ内容を取得した際に、前記クラスタリング部においてクラスタリングされた前記作業記録を用いて抽出された過去の前記修理作業で実際に交換された前記交換部品の情報に基づいて、新たに発生した前記修理作業に必要な前記交換部品を推定する交換部品推定部と、
を備えている交換部品推定装置。
【請求項2】
前記交換部品推定部は、前記作業員が過去に実施した前記修理作業で発注した発注部品のうち実際に前記発注部品を交換した実績を示す交換実績に基づいて、前記作業員が過去に実施した前記修理作業で実際に交換した前記交換部品の割合を示す交換確率を算出する交換確率算出部を、有している、
請求項1に記載の交換部品推定装置。
【請求項3】
前記交換部品推定部によって推定された前記交換部品の推定結果に前記交換部品の組み合わせが複数候補含まれる場合に、前記交換確率が高い前記交換部品の組み合わせを抽出する交換部品組み合わせ抽出部を、さらに備えている、
請求項2に記載の交換部品推定装置。
【請求項4】
前記交換部品推定部は、前記作業員が過去に実施した前記修理作業で発注した発注部品の種類に基づいて、前記作業員が過去に実施した前記修理作業で実際に発注した前記発注部品の割合を示す発注確率を算出する発注確率算出部を、有している、
請求項1または2に記載の交換部品推定装置。
【請求項5】
過去に前記交換部品推定部によって推定された前記修理作業に必要な前記交換部品の推定結果に対し、前記作業員が新たに前記修理作業を実施することで追加された前記交換部品の前記推定結果に基づいて、前記交換部品の前記推定結果を更新する交換部品推定結果更新部を、さらに備えている、
請求項1または2に記載の交換部品推定装置。
【請求項6】
前記クラスタリング部は、所定の機械学習を用いて前記問い合わせ内容をクラスタリングする、
請求項1または2に記載の交換部品推定装置。
【請求項7】
前記クラスタリング部は、前記問い合わせ内容を形態素にまで分割する形態素解析を実施し、前記形態素解析によって抽出された単語をベクトル表現に変換し、前記ベクトル表現に変換された単語に基づいて、クラスタリングする、
請求項1または2に記載の交換部品推定装置。
【請求項8】
前記作業記録は、前記作業員が過去に実施した前記修理作業にかかった作業時間に関する情報を含み、
前記クラスタリング部によってクラスタリングされた前記作業記録に含まれる前記作業時間と、前記作業員が過去に実施した前記修理作業で発注した発注部品のうち実際に前記発注部品を交換した実績を示す交換実績と、に基づいて、前記作業員ごとの新たな前記修理作業に必要な前記作業時間を示す期待作業時間を含む作業員スキルを推定する作業員スキル推定部を、さらに備えている、
請求項1または2に記載の交換部品推定装置。
【請求項9】
過去に前記作業員スキル推定部によって推定された前記作業員スキルの推定結果に対し、前記作業員が新たに前記修理作業を実施することで追加された前記作業員スキルの前記推定結果に基づいて、前記作業員スキルの前記推定結果を更新する作業員スキル推定結果更新部を、さらに備えている、
請求項8に記載の交換部品推定装置。
【請求項10】
前記作業員が過去に実施した前記修理作業にかかった前記作業時間の平均時間を示す作業推定時間を算出する作業推定時間算出部を、さらに備えている、
請求項8に記載の交換部品推定装置。
【請求項11】
前記作業推定時間算出部において算出された前記作業推定時間と、前記作業員の位置情報および前記ユーザとの契約情報と、に基づいて、前記作業員を前記修理作業に割り当てるためのレコメンド内容を作成するレコメンド内容作成部を、さらに備えている、
請求項10に記載の交換部品推定装置。
【請求項12】
前記レコメンド内容作成部において作成された前記レコメンド内容を表示するレコメンド内容表示部を、さらに備えている、
請求項11に記載の交換部品推定装置。
【請求項13】
前記交換部品推定部によって推定された前記交換部品の推定結果を出力する出力装置を制御する出力制御部を、さらに備えている、
請求項1または2に記載の交換部品推定装置。
【請求項14】
異常が発生した製品の交換部品を推定する交換部品推定装置によって実施される交換部品推定方法であって、
前記交換部品推定装置のデータ取得部が、前記製品の修理を行う作業員が過去に実施した修理作業のうち、前記修理作業で実際に交換された前記交換部品の情報と、前記製品の前記修理を依頼するユーザから受け付けた問い合わせ内容と、を含む作業記録と、前記ユーザから新たに受け付けた問い合わせ内容と、を取得するデータ取得ステップと、
前記交換部品推定装置のクラスタリング部が、前記データ取得ステップにおいて取得された前記作業記録を、前記データ取得ステップにおいて取得された過去の前記問い合わせ内容ごとにクラスタリングするクラスタリングステップと、
前記交換部品推定装置の交換部品推定部が、前記データ取得ステップが新たに前記問い合わせ内容を取得した際に、前記クラスタリングステップにおいてクラスタリングされた前記作業記録を用いて抽出された過去の前記修理作業で実際に交換された前記交換部品の情報に基づいて、新たに発生した前記修理作業に必要な前記交換部品を推定する交換部品推定ステップと、
を備えている交換部品推定方法。
【請求項15】
異常が発生した製品の交換部品を推定する交換部品推定装置によって読み込まれる交換部品推定プログラムであって、
前記交換部品推定装置のデータ取得部が、前記製品の修理を行う作業員が過去に実施した修理作業のうち、前記修理作業で実際に交換された前記交換部品の情報と、前記製品の前記修理を依頼するユーザから受け付けた問い合わせ内容と、を含む作業記録と、前記ユーザから新たに受け付けた問い合わせ内容と、を取得するデータ取得ステップと、
前記交換部品推定装置のクラスタリング部が、前記データ取得ステップにおいて取得された前記作業記録を、前記データ取得ステップにおいて取得された過去の前記問い合わせ内容ごとにクラスタリングするクラスタリングステップと、
前記交換部品推定装置の交換部品推定部が、前記データ取得ステップが新たに前記問い合わせ内容を取得した際に、前記クラスタリングステップにおいてクラスタリングされた前記作業記録を用いて抽出された過去の前記修理作業で実際に交換された前記交換部品の情報に基づいて、新たに発生した前記修理作業に必要な前記交換部品を推定する交換部品推定ステップと、
を備えている交換部品推定方法をコンピュータに実行させる交換部品推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常が発生した製品の交換部品を推定する交換部品推定装置、交換部品推定方法および交換部品推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
故障した機器の復旧作業では、機器が故障してから作業員を派遣するまでに多くの時間を要することがある。故障した機器の復旧作業を迅速に行うためには、作業員ごとのスキルや、故障した機器の症状等を考慮して、適切な人員配置を行う必要がある。そのため、復旧作業を支援するシステムが種々考案されている。
例えば、特許文献1には、対象機器の種別を示す機器コードおよび設置場所を示す設置場所コードと、作業員が対象機器に対して障害復旧作業や保守点検作業を行えるスキルを有するどうかを示すスキル情報と、作業員に割り当てた対象機器の障害復旧作業や保守点検作業にかかるタイムスケジュール情報と、に基づいて、自動機の障害復旧作業や保守点検作業に作業員を割り当てる情報処理装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-179837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の情報処理装置では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示された情報処理装置では、障害が発生した機器に対する障害復旧作業を行う作業員の割り当てが迅速、且つ適正に行うことができる。
しかし、このような装置構成では、迅速に作業員を派遣することができても、障害が発生した機器の異常部位(部品)までを把握することができない。
【0005】
また、迅速に復旧作業を完了するためには、復旧作業を行う際に必要な道具や、異常が発生した部品と取り換えるための部品等を予め推定しておくことが望ましい。
本発明の課題は、異常が発生した製品の交換部品を精度よく推定することが可能な交換部品推定装置、交換部品推定方法および交換部品推定プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る交換部品推定装置は、異常が発生した製品の交換部品を推定する交換部品推定装置であって、データ取得部と、クラスタリング部と、交換部品推定部と、を備えている。データ取得部は、製品の修理を行う作業員が過去に実施した修理作業のうち修理作業で実際に交換された交換部品の情報と製品の修理を依頼するユーザから受け付けた問い合わせ内容とを含む作業記録と、ユーザから新たに受け付けた問い合わせ内容と、を取得する。クラスタリング部は、データ取得部において取得された作業記録を、データ取得部において取得された過去の問い合わせ内容ごとにクラスタリングする。交換部品推定部は、データ取得部が新たに問い合わせ内容を取得した際に、クラスタリング部においてクラスタリングされた作業記録を用いて抽出された過去の修理作業で実際に交換された交換部品の情報に基づいて、新たに発生した修理作業に必要な交換部品を推定する。
【0007】
ここでは、過去の修理作業で実際に交換された交換部品に関する情報と、過去の問い合わせ内容と、を含む作業記録を過去の問い合わせ内容ごとにクラスタリングし、クラスタリングされた作業記録を用いて抽出された交換部品の情報に基づいて新たな修理作業に必要な交換部品を推定する。
ここで、修理作業の対象となる異常が発生した製品としては、例えば、ATM(Automated Teller Machine)、券売機、改札機等が含まれる。
【0008】
作業記録は、例えば、受付内容、作業員名、異常コード、作業時間、発注部品リスト、交換実績、顧客名が記録された作業日誌である。また、作業記録は、上記作業日誌に限定されるものではなく、上記項目が含まれていれば、例えば、設備や製品の修理を伴う定期点検を行う作業員の実施内容が記録された日常点検記録や月次点検記録等であってもよい。
【0009】
問い合わせ内容は、例えば、修理を依頼するユーザから受け付けた受付内容と、異常が発生した製品名およびその製品の異常内容を含む。
これにより、作業記録が問い合わせ内容ごとにクラスタリングされているため、新たに問い合わせを受け付けた際に、クラスタリングされた作業記録に含まれる交換部品の情報を用いて交換部品を推定することができる。
この結果、異常が発生した製品の交換部品を精度よく推定することができる。
【0010】
第2の発明に係る交換部品推定装置は、第1の発明に係る交換部品推定装置であって、交換部品推定部は、作業員が過去に実施した修理作業で発注した発注部品のうち実際に発注部品を交換した実績を示す交換実績に基づいて、作業員が過去に実施した修理作業で実際に交換した交換部品の割合を示す交換確率を算出する交換確率算出部を、有している。
【0011】
ここで、交換確率算出部は、例えば、上述した交換部品推定部に含まれ、交換部品の情報に含まれる交換確率を算出する。
交換確率は、例えば、過去の修理作業で発注した発注部品のうち実際に発注部品を交換した割合を示す。このとき、例えば、部品A,B,Cとある場合に、部品B単体では発注していなくても、部品A,B,Cを同時に発注して部品Bのみを交換したという場合でも、部品Bの交換確率として算出される。
これにより、作業員による過去の修理実績に基づいて実際に交換された交換部品の割合を示す交換確率に基づいて、交換部品推定部は、異常が発生した製品の適切な交換部品を推定することができる。
【0012】
第3の発明に係る交換部品推定装置は、第2の発明に係る交換部品推定装置であって、交換部品推定部によって推定された交換部品の推定結果に交換部品の組み合わせが複数候補含まれる場合に、交換確率が高い交換部品の組み合わせを抽出する交換部品組み合わせ抽出部を、さらに備えている。
これにより、交換部品推定部によって推定された交換部品の候補が複数候補ある場合に、最も交換する蓋然性の高い交換部品の組み合わせを推定することで、異常が発生した製品の交換部品を効率よく推定することができる。
【0013】
第4の発明に係る交換部品推定装置は、第1または第2の発明に係る交換部品推定装置であって、交換部品推定部は、作業員が過去に実施した修理作業で発注した発注部品の種類に基づいて、作業員が過去に実施した修理作業で実際に発注した発注部品の割合を示す発注確率を算出する発注確率算出部を、有している。
【0014】
ここで、発注確率算出部は、例えば、上述した交換部品推定部に含まれ、交換部品の情報に含まれる発注確率を算出する。
発注確率は、例えば、作業員が過去に実施した修理作業で実際に発注した発注部品の割合を示す。
これにより、作業員による過去の修理実績に基づいて発注された交換部品の割合を示す発注確率に基づいて、交換部品推定部は、実際に交換が伴わなくても、交換する蓋然性の高い交換部品を推定することができる。
【0015】
第5の発明に係る交換部品推定装置は、第1または第2の発明に係る交換部品推定装置であって、過去に交換部品推定部によって推定された修理作業に必要な交換部品の推定結果に対し、作業員が新たに修理作業を実施することで追加された交換部品の推定結果に基づいて、交換部品の推定結果を更新する交換部品推定結果更新部を、さらに備えている。
これにより、作業員が新たに修理作業を実施することで追加された交換部品の推定結果に基づいて、過去の交換部品の推定結果を更新することで、常に最新の推定結果のデータを用いて、同様の内容の異常が発生した際の交換部品をより精度よく推定することができる。
【0016】
第6の発明に係る交換部品推定装置は、第1または第2の発明に係る交換部品推定装置であって、クラスタリング部は、所定の機械学習を用いて問い合わせ内容をクラスタリングする。
ここで、機械学習は、コンピュータがデータ識別等の判断に必要なアルゴリズムを学習データから自律的に生成し、新たなデータに対してこれを適用して予測を行う技術である。また、機械学習は、教師あり学習、教師なし学習、強化学習等、大きく3つの学習方法に分類される。特に、教師なし学習は、クラスタリングの手段として用いられる。
これにより、例えば、教師なし機械学習を用いることで、作業記録を問い合わせ内容ごとに精度よくクラスタリングすることができる。
【0017】
第7の発明に係る交換部品推定装置は、第1または第2の発明に係る交換部品推定装置であって、クラスタリング部は、問い合わせ内容を形態素にまで分割する形態素解析を実施し、形態素解析によって抽出された単語をベクトル表現に変換し、ベクトル表現に変換された単語に基づいて、クラスタリングする。
【0018】
ここで、形態素解析は、例えば、自然言語を形態素(名詞、動詞、副詞、助詞、助動詞等)にまで分割する技術である。
これにより、形態素解析を用いて問い合わせ内容を分割し、分割された問い合わせ内容をベクトル表現に変換することで、作業記録を問い合わせ内容ごとに精度よくクラスタリングすることができる。
【0019】
第8の発明に係る交換部品推定装置は、第1または第2の発明に係る交換部品推定装置であって、クラスタリング部によってクラスタリングされた作業記録に含まれる作業時間と、作業員が過去に実施した修理作業で発注した発注部品のうち実際に発注部品を交換した実績を示す交換実績と、に基づいて、作業員ごとの新たな修理作業に必要な作業時間を示す期待作業時間を含む作業員スキルを推定する作業員スキル推定部を、さらに備えている。作業記録は、作業員が過去に実施した修理作業にかかった作業時間に関する情報を含む。
【0020】
ここで、作業員スキルは、例えば、新たな修理作業に必要な作業時間を示す作業員ごとの期待作業時間や、新たに受け付けた問い合わせ内容のうち過去に実施した同一のクラスの修理作業の対応回数等のように作業員のスキルを定量的に表したものである。
これにより、作業員が過去に実施した修理作業で交換した交換部品の情報を含む作業員スキルの推定結果を参考にすることで、新たに受け付けた問い合わせ内容に対して適切な作業員を割り当てることができる。
【0021】
第9の発明に係る交換部品推定装置は、第8の発明に係る交換部品推定装置であって、過去に作業員スキル推定部によって推定された作業員スキルの推定結果に対し、作業員が新たに修理作業を実施することで追加された作業員スキルの推定結果に基づいて、作業員スキルの推定結果を更新する作業員スキル推定結果更新部を、さらに備えている。
これにより、作業員が新たに修理作業を実施することで追加された作業員スキルの推定結果に基づいて、過去の作業員スキルの推定結果を更新することで、常に最新の推定結果のデータを用いて、同様の内容の異常が発生した際に、作業員ごとのより適切な修理作業を把握することができる。
【0022】
第10の発明に係る交換部品推定装置は、第8の発明に係る交換部品推定装置であって、作業員が過去に実施した修理作業にかかった作業時間の平均時間を示す作業推定時間を算出する作業推定時間算出部を、さらに備えている。
これにより、例えば、作業員が新たに行う修理作業に作業推定時間以上の期待作業時間が推定される場合には、交換部品推定装置の使用者は、上記作業員は上記修理作業に不向きであると判断することができる。
【0023】
第11の発明に係る交換部品推定装置は、第10の発明に係る交換部品推定装置であって、作業推定時間算出部において算出された作業推定時間と、作業員の位置情報およびユーザとの契約情報と、に基づいて、作業員を修理作業に割り当てるためのレコメンド内容を作成するレコメンド内容作成部を、さらに備えている。
ここで、レコメンド内容は、例えば、作業員ごとの新たな修理作業に必要な作業時間を示す期待作業時間、契約しているユーザから受け付けた修理作業に対応した回数(担当経験、顔見知りであるか否か)、位置情報に基づいて算出される作業員が問い合わせから修理作業にとりかかるまでの時間等が示されたデータである。
これにより、作業員ごとの作業推定時間、作業員の位置情報およびユーザとの契約内容に基づいて、修理作業ごとに適切な作業員を容易に把握することができる。
【0024】
第12の発明に係る交換部品推定装置は、第11の発明に係る交換部品推定装置であって、レコメンド内容作成部において作成されたレコメンド内容を表示するレコメンド内容表示部を、さらに備えている。
これにより、表示装置に上記レコメンド内容を表示させることで、例えば、交換部品推定装置の使用者は、修理作業ごとに適切な作業員を容易に把握することができる。
【0025】
第13の発明に係る交換部品推定装置は、第1または第2の発明に係る交換部品推定装置であって、交換部品推定部によって推定された交換部品の推定結果を出力する出力装置を制御する出力制御部を、さらに備えている。
これにより、交換部品の推定結果を出力する出力装置を制御することで、出力されたデータを適切なタイミングで異常が発生した製品の修理作業を支援する会社等に提供することができる。
【0026】
第14の発明に係る交換部品推定方法は、異常が発生した製品の交換部品を推定する交換部品推定装置によって実施される交換部品推定方法であって、データ取得ステップと、クラスタリングステップと、交換部品推定ステップと、を備えている。データ取得ステップは、交換部品推定装置のデータ取得部が、製品の修理を行う作業員が過去に実施した修理作業のうち、修理作業で実際に交換された交換部品の情報と、製品の修理を依頼するユーザから受け付けた問い合わせ内容と、を含む作業記録と、ユーザから新たに受け付けた問い合わせ内容と、を取得する。クラスタリングステップは、交換部品推定装置のクラスタリング部が、データ取得ステップにおいて取得された作業記録を、データ取得ステップにおいて取得された過去の問い合わせ内容ごとにクラスタリングする。交換部品推定ステップは、交換部品推定装置の交換部品推定部が、データ取得ステップが新たに問い合わせ内容を取得した際に、クラスタリングステップにおいてクラスタリングされた作業記録を用いて抽出された過去の修理作業で実際に交換された交換部品の情報に基づいて、新たに発生した修理作業に必要な交換部品を推定する。
【0027】
ここでは、過去の修理作業で実際に交換された交換部品に関する情報と、過去の問い合わせ内容と、を含む作業記録を過去の問い合わせ内容ごとにクラスタリングし、クラスタリングされた作業記録を用いて抽出された交換部品の情報に基づいて新たな修理作業に必要な交換部品を推定する。
ここで、修理作業の対象となる異常が発生した製品としては、例えば、ATM(Automated Teller Machine)、券売機、改札機等が含まれる。
【0028】
作業記録は、例えば、受付内容、作業員名、異常コード、作業時間、発注部品リスト、交換実績、顧客名が記録された作業日誌である。また、作業記録は、上記作業日誌に限定されるものではなく、上記項目が含まれていれば、例えば、設備や製品の修理を伴う定期点検を行う作業員の実施内容が記録された日常点検記録や月次点検記録等であってもよい。
【0029】
問い合わせ内容は、例えば、修理を依頼するユーザから受け付けた受付内容と、異常が発生した製品名およびその製品の異常内容を含む。
これにより、作業記録が問い合わせ内容ごとにクラスタリングされているため、新たに問い合わせを受け付けた際に、クラスタリングされた作業記録に含まれる交換部品の情報を用いて交換部品を推定することができる。
この結果、異常が発生した製品の交換部品を精度よく推定することができる。
【0030】
第15の発明に係る交換部品推定プログラムは、異常が発生した製品の交換部品を推定する交換部品推定装置によって読み込まれる交換部品推定プログラムであって、データ取得ステップと、クラスタリングステップと、交換部品推定ステップと、を備えている。データ取得ステップは、交換部品推定装置のデータ取得部が、製品の修理を行う作業員が過去に実施した修理作業のうち、修理作業で実際に交換された交換部品の情報と、製品の修理を依頼するユーザから受け付けた問い合わせ内容と、を含む作業記録と、ユーザから新たに受け付けた問い合わせ内容と、を取得する。クラスタリングステップは、交換部品推定装置のクラスタリング部が、データ取得ステップにおいて取得された作業記録を、データ取得ステップにおいて取得された過去の問い合わせ内容ごとにクラスタリングする。交換部品推定ステップは、交換部品推定装置の交換部品推定部が、データ取得ステップが新たに問い合わせ内容を取得した際に、クラスタリングステップにおいてクラスタリングされた作業記録を用いて抽出された過去の修理作業で実際に交換された交換部品の情報に基づいて、新たに発生した修理作業に必要な交換部品を推定する。
【0031】
ここでは、過去の修理作業で実際に交換された交換部品に関する情報と、過去の問い合わせ内容と、を含む作業記録を過去の問い合わせ内容ごとにクラスタリングし、クラスタリングされた作業記録を用いて抽出された交換部品の情報に基づいて新たな修理作業に必要な交換部品を推定する。
ここで、修理作業の対象となる異常が発生した製品としては、例えば、ATM(Automated Teller Machine)、券売機、改札機等が含まれる。
【0032】
作業記録は、例えば、受付内容、作業員名、異常コード、作業時間、発注部品リスト、交換実績、顧客名が記録された作業日誌である。また、作業記録は、上記作業日誌に限定されるものではなく、上記項目が含まれていれば、例えば、設備や製品の修理を伴う定期点検を行う作業員の実施内容が記録された日常点検記録や月次点検記録等であってもよい。
【0033】
問い合わせ内容は、例えば、修理を依頼するユーザから受け付けた受付内容と、異常が発生した製品名およびその製品の異常内容を含む。
これにより、作業記録が問い合わせ内容ごとにクラスタリングされているため、新たに問い合わせを受け付けた際に、クラスタリングされた作業記録に含まれる交換部品の情報を用いて交換部品を推定することができる。
【0034】
この結果、異常が発生した製品の交換部品を精度よく推定することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明に係る交換部品推定装置によれば、異常が発生した製品の交換部品を精度よく推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の一実施形態に係る交換部品推定装置を示す制御ブロック図。
図2図1の交換部品推定装置に含まれるクラスタリング部によって作業記録が製品Aごとに分割される処理の一例を示す図。
図3図1の交換部品推定装置に含まれるクラスタリング部によって作業記録が製品Bごとに分割される処理の一例を示す図。
図4図1の交換部品推定装置に含まれるクラスタリング部によって作業記録が製品Cごとに分割される処理の一例を示す図。
図5】(a)~(c)は、図1の交換部品推定装置に含まれるクラスタリング部による製品A,BおよびCごとに分割された作業記録のクラスタリング処理の一例を示す図。
図6図1の交換部品推定装置に含まれるクラスタリング部によってクラスタリングされた作業記録の一例を示す図。
図7図1の交換部品推定装置に含まれる交換部品推定部によって推定された交換部品推定結果の一例を示す図。
図8図1の交換部品推定装置に含まれる交換部品組み合わせ抽出部によって抽出された交換部品ごとのレコメンド内容の一例を示す図。
図9図1の交換部品推定装置に含まれる作業員スキル推定部によって推定された作業員スキル推定結果の一例を示す図。
図10図1の交換部品推定装置に含まれるレコメンド内容作成部によって作成されたレコメンド内容の一例を示す図。
図11図1の交換部品推定装置に含まれる作業員スキル推定結果マージ部による製品Aごとに分割された作業員スキル推定結果の統合処理の一例を示す図。
図12図1の交換部品推定装置に含まれる作業員スキル推定結果マージ部による製品Bごとに分割された作業員スキル推定結果の統合処理の一例を示す図。
図13図1の交換部品推定装置に含まれる作業員スキル推定結果マージ部による製品Cごとに分割された作業員スキル推定結果の統合処理の一例を示す図。
図14図1の交換部品推定装置に含まれる作業員スキル推定結果集計部によって集計された作業員ごとの作業員スキル推定結果の一例を示す図。
図15図1の交換部品推定装置によって実施される交換部品推定方法の処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の一実施形態に係る交換部品推定装置10および交換部品推定方法について、図1図15を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、本実施形態では、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
また、出願人は、当業者が本発明を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0038】
(1)交換部品推定装置10の構成
本実施形態に係る交換部品推定装置10は、過去の修理作業で実際に交換された交換部品に関する情報と、過去の問い合わせ内容D2と、を含む作業記録D1を過去の問い合わせ内容D2ごとにクラスタリングし、クラスタリングされた作業記録D1を用いて抽出された交換部品の情報に基づいて新たな修理作業に必要な交換部品を推定する。
【0039】
そして、交換部品推定装置10は、図1に示すように、入力装置2、記憶装置3、表示装置4および出力装置5と接続されている。
ここで、修理作業の対象となる異常が発生した製品としては、例えば、ATM(Automated Teller Machine)、券売機、改札機等が含まれる。
作業記録D1は、例えば、受付内容、作業員名、異常コード、作業時間、発注部品リスト、交換実績、顧客名が記録された作業日誌である。また、作業記録D1は、上記作業日誌に限定されるものではなく、上記項目が含まれていれば、例えば、設備や製品の修理を伴う定期点検を行う作業員の実施内容が記録された日常点検記録や月次点検記録等であってもよい。
【0040】
問い合わせ内容D2は、例えば、修理を依頼するユーザから受け付けた受付内容と、異常が発生した製品名およびその製品の異常内容を含む。このとき、問い合わせ内容D2は、異常コードが含まれていてもよい。この場合、問い合わせ内容D2に含まれる異常コードは、記憶装置3に保存されている異常コードと異常内容の対応表D3に基づいて、後述するクラスタリング部12によってクラスタリングの事前処理として異常コードから異常内容に置き換えられてもよい。
【0041】
入力装置2は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等であって、交換部品推定装置10に接続されている。
また、入力装置2は、交換部品推定装置10の使用者等によって入力装置2に入力された作業記録D1および問い合わせ内容D2等を後述するデータ取得部11に送信する。
記憶装置3は、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ、クラウド上のストレージ等であって、交換部品推定装置10に接続されている。
【0042】
また、記憶装置3は、データ取得部11が取得した作業記録D1および問い合わせ内容D2等のデータを保存する。
表示装置4は、例えば、PC(Personal Computer)の表示部、液晶ディスプレイ等であって、交換部品推定装置10に接続されている。
また、表示装置4は、後述する交換部品推定部13によって推定された交換部品の推定結果等を表示する。
【0043】
出力装置5は、例えば、プリンタ、スピーカ等であって、交換部品推定装置10に接続されている。
また、出力装置5は、交換部品推定部13によって推定された交換部品の推定結果等を出力する。
また、本実施形態の交換部品推定装置10は、図1に示すように、データ取得部11と、クラスタリング部12と、交換部品推定部13と、交換部品推定結果更新部14と、交換部品組み合わせ抽出部15と、作業員スキル推定部16と、作業員スキル推定結果更新部17と、作業推定時間算出部18と、レコメンド内容作成部19と、レコメンド内容表示部20と、作業員スキル推定結果マージ部21と、作業員スキル推定結果集計部22と、表示制御部23と、出力制御部24と、を備えている。
【0044】
データ取得部11は、製品の修理を行う作業員が過去に実施した修理作業のうち修理作業で実際に交換された交換部品の情報と製品の修理を依頼するユーザから受け付けた問い合わせ内容D2とを含む作業記録D1と、ユーザから新たに受け付けた問い合わせ内容D2と、を取得する。
ここでは、データ取得部11は、例えば、入力装置2に入力された作業記録D1および問い合わせ内容D2を取得する。
【0045】
このとき、入力装置2から入力された作業記録D1および問い合わせ内容D2等は、データ取得部11を介して、交換部品推定装置10に接続されている記憶装置3に保存されてもよい。
これにより、クラスタリング部12は、データ取得部11が取得した作業記録D1をデータ取得部11が取得した過去の問い合わせ内容D2ごとに適切にクラスタリングすることができる。
【0046】
クラスタリング部12は、データ取得部11において取得された作業記録D1を、データ取得部11において取得された過去の問い合わせ内容D2ごとに、所定の機械学習を用いてクラスタリングする。
ここで、機械学習は、コンピュータがデータ識別等の判断に必要なアルゴリズムを学習データから自律的に生成し、新たなデータに対してこれを適用して予測を行う技術である。また、機械学習は、教師あり学習、教師なし学習、強化学習等、大きく3つの学習方法に分類される。特に、教師なし学習は、クラスタリングの手段として用いられる。
【0047】
ここでは、クラスタリング部12は、図2図4に示すように、例えば、クラスタリングの事前処理として、データ取得部11が取得した作業記録D1を製品ごとに分割する。ここで、図2は、データ取得部11が取得した作業記録D1が製品Aごとに分割される処理の一例を示す。図3は、データ取得部11が取得した作業記録D1が製品Bごとに分割される処理の一例を示す。図4は、データ取得部11が取得した作業記録D1が製品Cごとに分割される処理の一例を示す。
【0048】
また、クラスタリング部12は、図5(a)に示すように、例えば、製品Aごとに分割された作業記録D1を過去の問い合わせ内容D2に含まれる受付内容、または異常コードから変換された異常内容ごとに、機械学習に含まれるK-means法を用いてクラスタリングする。このとき、作業記録D1は、例えば、クラスA1~Anにクラスタリングされる。
【0049】
ここで、K-means法とは、機械学習のうち教師なし学習に分類され、特徴の近い対象を類似する複数の対象群にクラスタリングする手法である。
同様に、図5(b)は、製品Bごとに分割された作業記録D1が、例えば、クラスB1~Bnにクラスタリングされる処理の一例を示す。また、図5(c)は、製品Cごとに分割された作業記録D1が、例えば、クラスC1~Cnにクラスタリングされる処理の一例を示す。
【0050】
なお、図2~4に示す作業記録D1に含まれる関連データXには、修理作業に対応した作業員名、修理作業にかかった作業時間、発注部品リスト、交換実績、顧客名等が含まれる。
以上のように、クラスタリング部12は、図6に示すように、例えば、製品ごとに分割された作業記録D1を問い合わせ内容D2ごとにK-means法を用いてクラスタリングすることで、クラスA1の製品Aに対する受付内容、作業員名、異常コード(異常内容)、発注部品リスト、交換実績、顧客名を含むクラスタリング結果D4を作成する。
【0051】
これにより、例えば、教師なし機械学習に含まれるK-means法を用いることで、製品ごとに分割された作業記録D1を問い合わせ内容D2ごとに精度よくクラスタリングすることができる。
クラスタリング部12は、問い合わせ内容を形態素にまで分割する形態素解析を実施し、形態素解析によって抽出された単語をベクトル表現に変換し、ベクトル表現に変換された単語に基づいて、クラスタリングする。
【0052】
ここでは、クラスタリング部12は、例えば、クラスタリングの事前処理として、データ取得部11が取得した作業記録D1を製品ごとに分割し、製品ごとに分割された作業記録D1に含まれる受付内容と異常内容から形態素を抽出することで、形態素解析を行う。
ここで、形態素解析は、例えば、自然言語を形態素(名詞、動詞、副詞、助詞、助動詞等)にまで分割する技術である。
【0053】
具体的には、クラスタリング部12は、例えば、受付内容が「電源が入らない」である場合に、形態素解析を用いて「電源」という名詞を抽出する。また、クラスタリング部12は、例えば、異常内容が「バッテリ電圧の低下」である場合に、形態素解析を用いて「バッテリ」「電圧」「低下」の3つの名詞を抽出する。
また、クラスタリング部12は、BagOfWordsを用いて上記の通り抽出された単語をベクトル表現に変換する。このとき、受付内容および異常内容に含まれる単語の出現回数が1回である場合に、ベクトルは1と表される。
【0054】
ここで、BagOfWordsは、上記形態素解析から得られた文章中の単語をベクトル表現に変換することで、機械学習による自然言語処理が行えるようにする手法である。
より詳細には、BagOfWordsは、文書集合から出現する単語全体を辞書としたときに、各文書に出現する単語の出現回数を考慮して文書を数値ベクトルに変換する技術である。本発明でいう文書集合は、過去の作業記録D1に含まれる受付内容と異常コードに紐づく異常内容であり、そこから抽出した単語全体が辞書である。そして、1つの受付内容および異常コードに紐づく異常内容の組合せから出現単語をそれぞれカウントし、ベクトルの対応するインデックス(次元)にカウントした数字を入れる(出現していない単語のインデックスは0)ことによって数値ベクトル化する。例えば、受付内容と異常コードに紐づく異常内容における出現単語のカウントが「電源」が2、「バッテリ」が1、「低下」が3となる場合には、「電源」、「バッテリ」、「低下」に対応するベクトルのインデックスはそれぞれ、2、1、3となりその他のインデックスは0となる。
【0055】
さらに、クラスタリング部12は、BagOfWordsを用いて変換されたベクトルをK-means法に代表される機械学習を用いてクラスタリングする。すなわち、クラスタリング部12は、出現回数の多い単語を含む受付内容や異常内容はクラスA1、出現回数の少ない単語を含む受付内容や異常内容はクラスA2というようにクラスタリングする。
【0056】
以上のように、クラスタリング部12は、図6に示すように、例えば、製品ごとに分割された作業記録D1を問い合わせ内容D2ごとに形態素解析およびBagOfWordsを用いてクラスタリングすることで、クラスA1の製品Aに対する受付内容、作業員名、異常コード(異常内容)、発注部品リスト、交換実績、顧客名を含むクラスタリング結果D4を作成する。具体的には、図6の上段は、クラスA1の製品Aに対する受付内容は「紙が詰まっている」、作業員名は「山田一郎」、異常コードは「00001」、作業時間は「10分」、発注部品リストは「部品A」、交換実績は「部品Aを交換」、顧客名は「X」というように示されている。
【0057】
これにより、形態素解析を用いて問い合わせ内容D2を分割し、分割された問い合わせ内容D2をベクトル表現に変換することで、作業記録D1を問い合わせ内容D2ごとに精度よくクラスタリングすることができる。また、クラスタリング手段を上記機械学習と組み合わせることで、迅速かつ正確に作業記録D1を問い合わせ内容D2ごとにクラスタリングすることができる。
【0058】
交換部品推定部13は、クラスタリング部12においてクラスタリングされた作業記録D1(クラスタリング結果D4)を用いて抽出された過去の修理作業で実際に交換された交換部品の情報に基づいて、新たに発生した修理作業に必要な交換部品を推定する。
ここでは、交換部品推定部13は、図7に示すように、例えば、クラスタリング部12によってクラスタリングされたクラスA1の製品Aに関するクラスタリング結果D4を用いて抽出された交換部品推定結果(交換部品組み合わせ表)D5を参照することで、部品組み合わせ、部品組み合わせごとの発注確率、平均作業時間、部品組み合わせごとの交換確率に基づいて新たに発生した修理作業に必要な交換部品を推定する。
【0059】
ここで、部品組み合わせは、例えば、交換部品の全ての組み合わせであり、交換部品が無い場合や交換部品が単体である場合も含む。このとき、例えば、クラスA1の製品Aに関するクラスタリング結果D4の発注部品リストに交換部品A~Cが含まれている場合に、部品組み合わせは、なし,A,B,C,AB,BC,CA,ABCというように抽出される。
【0060】
発注確率は、例えば、作業員が過去に実施した修理作業で実際に発注した発注部品の割合を示す。このとき、例えば、発注部品A~Cとある場合に、部品AとBを同時に発注していて部品組み合わせABの発注確率が20%となっていても、部品Bが単体で発注されていない場合は、部品Bの発注確率は0%となる。
平均作業時間は、例えば、作業員が過去に実施した上記部品組み合わせに対する修理作業にかかった作業時間の平均を示す。このとき、例えば、クラスA1の製品Aに関して部品A~Cとある場合に、部品Bが単体で発注されず、部品AとBを同時に発注して部品Bのみを交換したという場合でも、部品Bの平均作業時間は算出される。
【0061】
交換確率は、例えば、過去の修理作業で発注した発注部品のうち実際に発注部品を交換した割合を示す。このとき、例えば、クラスA1の製品Aに関して部品A~Cとある場合に、部品Bが単体では発注されず、部品A,B,Cを同時に発注して部品Bのみを交換したという場合でも、部品Bの交換確率として算出される。
以上より、交換部品推定部13は、例えば、交換部品推定結果(交換部品組み合わせ表)D5に含まれる情報のうち交換確率に基づいて、交換確率が一番高い部品を新たな修理作業に必要な交換部品として推定する。
【0062】
なお、交換部品推定部13によって推定された交換部品推定結果(交換部品組み合わせ表)D5は、記憶装置3に保存されてもよい。
これにより、異常が発生した製品の交換部品を精度よく推定することができる。
さらに、交換部品推定部13は、図1に示すように、交換確率算出部13aと、発注確率算出部13bを、有している。
【0063】
交換確率算出部13aは、作業員が過去に実施した修理作業で発注した発注部品のうち実際に発注部品を交換した実績を示す交換実績に基づいて、作業員が過去に実施した修理作業で実際に交換した交換部品の割合を示す交換確率を算出する。
ここで、交換確率算出部13aは、例えば、上述した交換部品推定部13に含まれ、交換部品の情報に含まれる交換確率を算出する。
【0064】
ここでは、交換確率算出部13aは、図7に示すように、例えば、クラスA1の製品Aに関するクラスタリング結果D4に基づいて、過去の修理作業で発注した発注部品のうち実際に発注部品を交換した割合を示す交換確率を算出する。交換確率算出部13aは、例えば、部品組み合わせがA,B,Cである場合に、交換確率は20%と算出する。
これにより、作業員による過去の修理実績に基づいて実際に交換された交換部品の割合を示す交換確率に基づいて、交換部品推定部13は、異常が発生した製品の適切な交換部品を推定することができる。
【0065】
発注確率算出部13bは、作業員が過去に実施した修理作業で発注した発注部品の種類に基づいて、作業員が過去に実施した修理作業で実際に発注した発注部品の割合を示す発注確率を算出する。
ここで、発注確率算出部13bは、例えば、上述した交換部品推定部13に含まれ、交換部品の情報に含まれる発注確率を算出する。
【0066】
ここでは、発注確率算出部13bは、図7に示すように、例えば、クラスA1の製品Aに関するクラスタリング結果D4に基づいて、作業員が過去に実施した修理作業で実際に発注した発注部品の割合を示す発注確率を算出する。発注確率算出部13bは、例えば、部品組み合わせがA,B,Cである場合に、発注確率は20%と算出する。
これにより、作業員による過去の修理実績に基づいて発注された交換部品の割合を示す発注確率に基づいて、交換部品推定部13は、実際に交換が伴わなくても、交換する蓋然性の高い交換部品を推定することができる。
【0067】
交換部品推定結果更新部14は、過去に交換部品推定部13によって推定された修理作業に必要な交換部品の推定結果に対し、作業員が新たに修理作業を実施することで追加された交換部品の推定結果に基づいて、交換部品推定結果(交換部品組み合わせ表)D5を更新する。
ここでは、交換部品推定結果更新部14は、例えば、新たに修理作業を実施することで追加された交換部品の推定結果に基づいて、過去に交換部品推定部13によって推定され記憶装置3に保存されたクラスA1の製品Aに関する交換部品推定結果(交換部品組み合わせ表)D5を更新する。
【0068】
これにより、作業員が新たに修理作業を実施することで追加された交換部品の推定結果に基づいて、過去の交換部品の推定結果を更新することで、常に最新の推定結果のデータを用いて、同様の内容の異常が発生した際の交換部品をより精度よく推定することができる。
交換部品組み合わせ抽出部15は、交換部品推定部13によって推定された交換部品の推定結果に交換部品の組み合わせが複数候補含まれる場合に、交換確率が高い交換部品の組み合わせを抽出する。
【0069】
ここでは、交換部品組み合わせ抽出部15は、図8に示すように、例えば、交換部品推定部13によって推定されたクラスAjの製品Aに関する交換部品推定結果(交換部品組み合わせ表)D5に含まれる部品組み合わせに対する交換確率のうち最も高い交換確率であるクラスAjの部品Aに関する情報を抽出する。このとき、抽出される部品組み合わせは、部品Aのように単体の部品も含まれる。
【0070】
また、上記情報は、交換部品組み合わせ抽出部15によって記憶装置3から取得された位置情報D7、契約情報D8、スキルアップ目標D9等の情報が含まれていてもよい。このとき、位置情報D7は、作業員が現在地から所定の顧客がいる場所に到達するまでにかかる所要時間等に関する情報が含まれる。契約情報D8は、契約している顧客が過去に依頼した修理作業に作業員が対応した回数に関する情報が含まれる。スキルアップ目標D9は、クラスAjに対応する修理作業を行うことによって作業員のスキルが向上するか否かに関する情報が含まれる。
【0071】
図8に示すクラスAjの部品Aに関する情報には、例えば、作業員、部品Aの平均作業時間、部品Aの作業時間ランキング、クラスAj対応回数、クラスAjがスキルアップ目標該当か、顧客Xの対応回数、顧客Xまでの到達時間等が含まれる。ここで、作業員XXXは、部品Aの平均作業時間が10分であることから、最も早く上記修理作業が完了する。
【0072】
作業員○○○は、クラスAj対応回数が12回であることから、最も上記修理作業に慣れている。
作業員△△△は、顧客Xまでの到達時間が1時間であることから、最も遅く修理作業にとりかかる。
作業員■■■は、部品Aの平均作業時間が20分、クラスAj対応回数が5回、顧客Xの対応回数が8回、顧客Xまでの到達時間が35分であることから、上記修理作業に関して特別優れている項目や劣っている項目はない。
【0073】
作業員★★★は、顧客Xまでの到達時間が5分であることから、最も早く修理作業にとりかかる。
これにより、交換部品推定部13によって推定された交換部品の候補が複数候補ある場合に、最も交換する蓋然性の高い交換部品の組み合わせを推定することで、異常が発生した製品の交換部品を効率よく推定することができる。また、交換部品推定装置10の使用者は、交換部品組み合わせ抽出部15によって抽出されたクラスAjの部品Aに関する上記情報に基づいて、新たに発生した修理作業に状況に応じた作業員を割り当てることができる。
【0074】
作業員スキル推定部16は、クラスタリング部12によってクラスタリングされた作業記録D1に含まれる作業時間と、作業員が過去に実施した修理作業で発注した発注部品のうち実際に発注部品を交換した実績を示す交換実績と、に基づいて、作業員ごとの新たな修理作業に必要な作業時間を示す期待作業時間を含む作業員スキルを推定する。また、作業記録は、作業員が過去に実施した修理作業にかかった作業時間に関する情報を含む。
【0075】
ここで、作業員スキルは、例えば、新たな修理作業に必要な作業時間を示す作業員ごとの期待作業時間や、新たに受け付けた問い合わせ内容D2のうち過去に実施した同一のクラスの修理作業の対応回数等のように作業員のスキルを定量的に表したものである。
ここでは、作業員スキル推定部16は、図9に示すように、例えば、クラスAjの製品Aに関する作業員ごとの部品の組み合わせ(単体の部品も含む)ごとにかかる修理作業の時間、期待作業時間、クラスAj対応回数、クラスAjがスキルアップ目標該当か、顧客Xの対応回数、顧客Xまでの到達時間等を含む作業員スキルを推定する。
【0076】
ここで、作業員スキル推定部16は、クラスタリング結果D4に含まれる交換実績および作業時間に基づいて、交換部品の組み合わせ(単体の部品も含む)ごとの期待作業時間を推定する。このとき、部品ABの項目には、例えば、部品A,Bを発注して、実際に部品A,Bを交換した場合の作業時間や、部品A,B,Cを発注して、実際に部品A,Bのみを交換した場合の作業時間が含まれる。
【0077】
期待作業時間は、作業員ごとの新たな修理作業に必要な作業時間を示し、クラスタリング結果D4から算出される作業員が過去に実施した修理作業で実際に発注した発注部品の割合を示す発注確率と、作業員が過去に実施した交換部品の組み合わせに対する修理作業にかかった作業時間の平均を示す平均作業時間と、を乗算して交換部品の組み合わせごとに合算することで算出される。
【0078】
このとき、作業員スキル推定部16は、作業員「山田一郎」の期待作業時間は20分、作業員「山田次郎」の期待作業時間は15分、作業員「山田三郎」の期待作業時間は23分であることから、作業員「山田次郎」が最も早く上記修理作業を完了すると推定する。
また、作業員スキル推定部16は、作業員「山田二郎」による顧客Xの対応回数が10回、顧客Yの対応回数が20回、顧客Zの対応回数が30回であることから、作業員「山田二郎」が最も上記修理作業に適していると推定する。さらに、作業員スキル推定部16は、作業員「山田一郎」による顧客Xの対応回数が10回であることから、作業員「山田一郎」が上記修理作業に適していると推定してもよい。
【0079】
なお、作業員スキル推定部16によって推定された作業員スキル推定結果(作業員スキル表)D6は、記憶装置3に保存されてもよい。
これにより、作業員が過去に実施した修理作業で交換した交換部品の情報を含む作業員スキルの推定結果を参考にすることで、新たに受け付けた問い合わせ内容D2に対して適切な作業員を割り当てることができる。また、交換部品推定装置10の使用者および作業員自身は、作業員スキルの推定結果を参考にすることで、上記修理作業に必要な能力を定量的に把握することができる。さらに、交換部品推定装置10の使用者は、作業員スキルの推定結果を参考にすることで、作業員を効率よく育成することができる。
【0080】
作業員スキル推定結果更新部17は、過去に作業員スキル推定部16によって推定された作業員スキルの推定結果に対し、作業員が新たに修理作業を実施することで追加された作業員スキルの推定結果に基づいて、作業員スキルの推定結果を更新する。
ここでは、作業員スキル推定結果更新部17は、例えば、作業員が新たに修理作業を実施することで追加された作業員スキルの推定結果に基づいて、過去に作業員スキル推定部16によって推定され記憶装置3に保存された作業員スキル推定結果(作業員スキル表)D6を更新する。
【0081】
これにより、作業員が新たに修理作業を実施することで追加された作業員スキルの推定結果に基づいて、過去の作業員スキルの推定結果を更新することで、常に最新の推定結果のデータを用いて、同様の内容の異常が発生した際に、作業員ごとのより適切な修理作業を把握することができる。
作業推定時間算出部18は、作業員が過去に実施した修理作業にかかった作業時間の平均時間を示す作業推定時間を算出する。
【0082】
ここでは、作業推定時間算出部18は、クラスAjの過去の修理作業にかかった作業時間が含まれるクラスタリング結果D4に基づいて、上記作業時間の平均時間を算出する。
これにより、例えば、作業員が新たに行う修理作業に作業推定時間以上の期待作業時間が推定される場合には、交換部品推定装置10の使用者は、上記作業員は上記修理作業に不向きであると判断することができる。
【0083】
レコメンド内容作成部19は、作業推定時間算出部18において算出された作業推定時間と、作業員の位置情報D7およびユーザとの契約情報D8と、に基づいて、作業員を修理作業に割り当てるためのレコメンド内容を作成する。
ここで、レコメンド内容は、例えば、作業員ごとの新たな修理作業に必要な作業時間を示す期待作業時間、契約しているユーザから受け付けた修理作業に対応した回数(担当経験、顔見知りであるか否か)、位置情報に基づいて算出される作業員が問い合わせから修理作業にとりかかるまでの時間等が示されたデータである。
【0084】
ここでは、レコメンド内容作成部19は、図10に示すように、例えば、クラスAjの製品Aに関する作業員ごとの部品の組み合わせ(単体の部品も含む)に対する平均作業時間、期待作業時間、クラスAj対応回数、顧客Xの対応回数、顧客Xまでの到達時間等を含むレコメンド内容を作成する。ここで、作業員XXXの期待作業時間は11.5分、作業員○○○の期待作業時間は13.5分、作業員△△△の期待作業時間は17分、作業員■■■の期待作業時間は19分、作業員★★★の期待作業時間は22.5分である。
【0085】
このとき、交換部品推定装置10の使用者は、作業推定時間算出部18によって算出された作業推定時間と、レコメンド内容に含まれる期待作業時間に基づいて、どの作業員がクラスAjの製品Aに関する修理作業に適しているかを判断する。例えば、交換部品推定装置10の使用者は、作業推定時間算出部18によって算出された作業推定時間が15分であった場合に、作業員XXXおよび作業員○○○はクラスAjの製品Aに関する修理作業に適していると判断する。
【0086】
また、交換部品推定装置10の使用者は、位置情報D7に基づく顧客Xまでの到達時間や、契約情報D8に基づく顧客Xの対応回数等を参考に、どの作業員がクラスAjの製品Aに関する修理作業に適しているかを判断してもよい。
これにより、作業員ごとの作業推定時間、作業員の位置情報およびユーザとの契約内容に基づいて、修理作業ごとに適切な作業員を容易に把握することができる。
【0087】
レコメンド内容表示部20は、レコメンド内容作成部19において作成されたレコメンド内容を表示する。
ここでは、レコメンド内容表示部20がレコメンド内容作成部19において作成されたレコメンド内容を表示することで、交換部品推定装置10の使用者は、作業推定時間算出部18によって算出された作業推定時間と、レコメンド内容に表示される期待作業時間と、を比較することで、例えば、どの作業員がクラスAjの製品Aに関する修理作業に適しているかを判断する。
【0088】
これにより、表示装置4に上記レコメンド内容を表示させることで、例えば、交換部品推定装置10の使用者は、修理作業ごとに適切な作業員を容易に把握することができる。
作業員スキル推定結果マージ部21は、作業員スキル推定部16から取得した作業員スキル推定結果(作業員スキル表)D6を全クラスで統合する。
ここでは、作業員スキル推定結果マージ部21は、図11に示すように、例えば、製品Aについて、クラスA1~Anの作業員スキル推定結果(作業員スキル表)D6を統合する。図12についても同様に、作業員スキル推定結果マージ部21は、製品Bについて、クラスB1~Bn’の作業員スキル推定結果(作業員スキル表)D6を統合する。図13についても同様に、作業員スキル推定結果マージ部21は、製品Cについて、クラスC1~Cn”の作業員スキル推定結果(作業員スキル表)D6を統合する。
【0089】
これにより、所定の製品について全クラスが統合された作業員スキル推定結果(作業員スキル表)D6に基づいて、例えば、交換部品推定装置10の使用者は、全クラスの中から作業員の適切な修理作業を把握することができる。
作業員スキル推定結果集計部22は、作業員スキル推定結果マージ部21から取得した統合された作業員スキル推定結果(作業員スキル表)D6を作業員ごとに集計する。
【0090】
ここでは、作業員スキル推定結果集計部22は、図14に示すように、例えば、1人の作業員について、製品AのクラスA1に対する期待作業時間、クラス対応回数等を集計する。このとき、作業員スキル推定結果集計部22は、所定の製品に関する所定のクラスの全作業員の平均期待作業時間を算出してもよい。
これにより、作業員ごとの過去の修理作業への対応実績を把握することができる。
【0091】
表示制御部23は、交換部品推定部13によって推定された交換部品の推定結果を表示するように、表示装置4を制御する。
なお、表示制御部23が表示装置4に表示させるデータは、交換部品の推定結果に限定されるものではなく、例えば、記憶装置3に保存されている各種データであってもよい。
これにより、交換部品推定装置10の使用者は、任意のタイミングで、必要に応じたデータを参照することができる。
【0092】
出力制御部24は、交換部品推定部13によって推定された交換部品の推定結果を出力するように、出力装置5を制御する。
なお、出力制御部24が出力装置5に出力させるデータは、交換部品の推定結果に限定されるものではなく、例えば、記憶装置3に保存されている各種データであってもよい。
これにより、交換部品の推定結果を出力する出力装置5を制御することで、出力されたデータを適切なタイミングで異常が発生した製品の修理作業を支援する会社等に提供することができる。
【0093】
<交換部品推定方法>
本実施形態の交換部品推定装置10は、図15に示すフローチャートに従って、交換部品推定方法を実行する。
すなわち、本実施形態の交換部品推定方法では、図15に示すように、ステップS1において、データ取得部11が、入力装置2から送信された過去に実施された修理作業で実際に交換された交換部品の情報と、製品の修理を依頼するユーザから受け付けた問い合わせ内容D2と、を含む作業記録D1を取得する(データ取得ステップ)。
【0094】
次に、ステップS2では、データ取得部11が、入力装置2から送信されたユーザから新たに受け付けた問い合わせ内容D2取得する(データ取得ステップ)。
次に、ステップS3では、クラスタリング部12が、データ取得部11で取得された作業記録D1を製品ごとに分割する。
次に、ステップS4では、クラスタリング部12が、ステップS3においてクラスタリング部12によって製品ごとに分割された作業記録D1を、ステップS1においてデータ取得部11が取得した作業記録D1に含まれる問い合わせ内容D2ごとにクラスタリングする(クラスタリングステップ)。
【0095】
次に、ステップS5では、ステップS2においてデータ取得部11が新たに問い合わせ内容D2を取得した際に、交換部品推定部13が、クラスタリング部12においてクラスタリングされた作業記録D1を用いて抽出された過去の修理作業で実際に交換された交換部品の情報に基づいて、新たに発生した修理作業に必要な交換部品を推定する(交換部品推定ステップ)。
【0096】
次に、ステップS6では、交換部品組み合わせ抽出部15が、ステップS5において交換部品推定部13が推定した交換部品の推定結果のうち、過去の修理作業で発注した発注部品のうち実際に発注部品を交換した割合を示す交換確率が高い交換部品の組み合わせを抽出する。
次に、ステップS7では、作業員スキル推定部16が、クラスタリング部12によってクラスタリングされた作業記録D1に含まれる作業時間と、作業員が過去に実施した修理作業で発注した発注部品のうち実際に発注部品を交換した実績を示す交換実績と、に基づいて、作業員ごとの新たな修理作業に必要な作業時間を示す期待作業時間を含む作業員スキルを推定する。
【0097】
次に、ステップS8では、作業推定時間算出部18が、データ取得部11が取得した作業記録D1に基づいて、作業員が過去に実施した修理作業にかかった作業時間の平均時間を示す作業推定時間を算出する。
次に、ステップS9では、レコメンド内容作成部19が、作業推定時間算出部18において算出された作業推定時間と、作業員の位置情報D7およびユーザとの契約情報D8と、に基づいて、作業員を修理作業に割り当てるためのレコメンド内容を作成する。
また、レコメンド内容表示部20が、レコメンド内容作成部19において作成されたレコメンド内容を表示する。
【0098】
<主な特徴>
本実施形態の交換部品推定装置10は、以上のように、異常が発生した製品の交換部品を推定する装置であって、データ取得部11と、クラスタリング部12と、交換部品推定部13と、を備えている。データ取得部11は、製品の修理を行う作業員が過去に実施した修理作業のうち修理作業で実際に交換された交換部品の情報と製品の修理を依頼するユーザから受け付けた問い合わせ内容D2とを含む作業記録D1と、ユーザから新たに受け付けた問い合わせ内容D2と、を取得する。クラスタリング部12は、データ取得部11において取得された作業記録D1を、データ取得部11において取得された過去の問い合わせ内容D2ごとにクラスタリングする。交換部品推定部13は、データ取得部11が新たに問い合わせ内容D2を取得した際に、クラスタリング部12においてクラスタリングされた作業記録D1を用いて抽出された過去の修理作業で実際に交換された交換部品の情報に基づいて、新たに発生した修理作業に必要な交換部品を推定する。
これにより、作業記録D1が問い合わせ内容D2ごとにクラスタリングされているため、新たに問い合わせを受け付けた際に、クラスタリングされた作業記録D1に含まれる交換部品の情報を用いて交換部品を推定することができる。
この結果、異常が発生した製品の交換部品を精度よく推定することができる。
【0099】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0100】
(A)
上記実施形態では、交換部品推定装置および交換部品推定方法として、本発明を実現した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上述した交換部品推定方法をコンピュータに実行させる交換部品推定プログラムとして本発明を実現してもよい。
【0101】
この交換部品推定プログラムは、交換部品推定装置に搭載されたメモリ(記憶部)に保存されており、CPUがメモリに保存された交換部品推定プログラムを読み込んで、ハードウェアに各ステップを実行させる。より具体的には、CPUが交換部品推定プログラムを読み込んで、上述したデータ取得ステップと、クラスタリングステップと、交換部品推定ステップと、を実行することで、上記と同様の効果を得ることができる。
また、本発明は、交換部品推定プログラムを保存した記録媒体として実現されてもよい。
【0102】
(B)
上記実施形態では、交換部品推定部13は、交換確率算出部13aによって算出された交換確率に基づいて交換部品を推定する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、交換部品推定部は、発注確率算出部によって算出された発注確率や、過去の修理作業で交換した部品の個数等に基づいて、交換確率を用いずに交換部品を推定してもよい。
【0103】
(C)
上記実施形態では、交換部品推定部13は、発注確率算出部13bによって算出された発注確率に基づいて交換部品を推定する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、交換部品推定部は、交換確率算出部によって算出された交換確率や、過去の修理作業で交換した部品の個数等に基づいて、発注確率を用いずに交換部品を推定してもよい。
【0104】
(D)
上記実施形態では、クラスタリング部12は、形態素解析およびベクトル変換を用いてクラスタリングする例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、クラスタリング部は、単語の重要度に基づいてクラスタリングするTF-IDFや、文章単位でベクトル演算を行うSentence2vecに基づいてクラスタリングしてもよい。
【0105】
(E)
上記実施形態では、クラスタリング部12は、教師なし学習のK-means法を用いてクラスタリングする例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、クラスタリング部がクラスタリングに用いる機械学習は、教師あり学習、教師なし学習、半教師学習、強化学習、深層学習のいずれかの方法でもよく、更に、これらの学習方法を組み合わせた学習方法でもよい。
【0106】
(F)
上記実施形態では、作業推定時間算出部18は、作業員が過去に実施した修理作業にかかった作業時間の平均時間を示す作業推定時間を算出する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、直近の作業時間に基づいて作業推定時間を算出する等、算出方法を任意に変更してもよい。
【0107】
(G)
上記実施形態では、レコメンド内容作成部19は、期待作業時間、契約しているユーザから受け付けた修理作業に対応した回数、作業員が問い合わせから修理作業にとりかかるまでの時間等を含むレコメンド内容を作成する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、レコメンド内容作成部は、期待作業時間のランキング、修理作業が作業員のスキル向上に繋がるか否かの判定等が含まれるレコメンド内容を作成してもよい。
【0108】
(H)
上記実施形態では、記憶装置3が、交換部品推定装置10の外部に設けられている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0109】
例えば、交換部品推定装置は、交換部品推定装置の内部に記憶部を備えている構成であってもよい。この場合でも、交換部品推定装置の各構成部は、必要なデータを適切なタイミングで記憶部から取得することができる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明の交換部品推定装置は、異常が発生した製品の交換部品を精度よく推定することができるという効果を奏することから、異常が発生した製品の修理作業を支援する各種装置に対して広く適用可能である。
【符号の説明】
【0111】
2 入力装置
3 記憶装置
4 表示装置
5 出力装置
10 交換部品推定装置
11 データ取得部
12 クラスタリング部
13 交換部品推定部
13a 交換確率算出部
13b 発注確率算出部
14 交換部品推定結果更新部
15 交換部品組み合わせ抽出部
16 作業員スキル推定部
17 作業員スキル推定結果更新部
18 作業推定時間算出部
19 レコメンド内容作成部
20 レコメンド内容表示部
21 作業員スキル推定結果マージ部
22 作業員スキル推定結果集計部
23 表示制御部
24 出力制御部
D1 作業記録
D2 問い合わせ内容
D3 異常コードと異常内容の対応表
D4 クラスタリング結果
D5 交換部品推定結果(交換部品組み合わせ表)
D6 作業員スキル推定結果(作業員スキル表)
D7 位置情報
D8 契約情報
D9 スキルアップ目標
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15