(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076705
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】ストレス判定装置、ストレス判定方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/16 20060101AFI20240530BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
A61B5/16 110
A61B5/02 310A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188392
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【氏名又は名称】阿形 直起
(72)【発明者】
【氏名】清水 秀樹
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
4C017AA10
4C017AB06
4C017AC26
4C017BC11
4C017BC16
4C017BC21
4C038PP03
4C038PR01
4C038PS00
(57)【要約】
【課題】被検者に測定を意識させることなく被検者のストレスの状態を判定することを可能とするストレス判定装置等を提供する。
【解決手段】ストレス判定装置は、所定のウェブサイトを表示する表示制御部と、ウェブサイトにおいて、被検者が取得を希望する対象物を選択するための選択操作を受け付ける第1受付部と、ウェブサイトにおいて、選択操作によって選択された対象物の取得を確定するための確定操作を受け付ける第2受付部と、確定操作を受け付けた時の被検者の情動を検出する検出部と、検出された情動に基づいて、被検者のストレスの状態を判定する判定部と、を有する。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のウェブサイトを表示する表示制御部と、
前記ウェブサイトにおいて、被検者が取得を希望する対象物を選択するための選択操作を受け付ける第1受付部と、
前記ウェブサイトにおいて、前記選択操作によって選択された対象物の取得を確定するための確定操作を受け付ける第2受付部と、
前記確定操作を受け付けた時の被検者の情動を検出する検出部と、
前記検出された情動に基づいて、被検者のストレスの状態を判定する判定部と、
を有することを特徴とするストレス判定装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記ストレスの度合いを判定し、
前記表示制御部は、前記ストレスの度合いに基づいて、ストレスの対処に関する情報を表示する、
請求項1に記載のストレス判定装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記ウェブサイトとして、商品購入サイトを表示する、
請求項1に記載のストレス判定装置。
【請求項4】
ストレス判定装置によって実行されるストレス判定方法であって、
所定のウェブサイトを表示し、
前記ウェブサイトにおいて、被検者が取得を希望する対象物を選択するための選択操作を受け付け、
前記ウェブサイトにおいて、前記選択操作によって選択された対象物の取得を確定するための確定操作を受け付け、
前記確定操作を受け付けた時の被検者の情動を検出し、
前記検出された情動に基づいて、被検者のストレスの状態を判定する、
ことを含むことを特徴とするストレス判定方法。
【請求項5】
所定のウェブサイトを表示し、
前記ウェブサイトにおいて、被検者が取得を希望する対象物を選択するための選択操作を受け付け、
前記ウェブサイトにおいて、前記選択操作によって選択された対象物の取得を確定するための確定操作を受け付け、
前記確定操作を受け付けた時の被検者の情動を検出し、
前記検出された情動に基づいて、被検者のストレスの状態を判定する、
ことをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレス判定装置、ストレス判定方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
日本の年間自殺者数は約2万人である。自殺の主な原因は精神的なストレスであるといわれているため、人が精神的なストレスをどの程度抱えているかを測定する技術が求められている。
【0003】
特許文献1には、被検者の手指に装着する計測装置が取得した脈波に基づいて被検者の精神的ストレスを評価する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、自殺に至る人は精神的なストレスを一人で抱え込む傾向があるため、そのような人が能動的に測定を受けることは期待できない。そこで、測定を受けていることを被検者に可能な限り意識させることなく被検者のストレスの状態を判定することが求められている。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、被検者に測定を意識させることなく被検者のストレスの状態を判定することを可能とするストレス判定装置、ストレス判定方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係るストレス判定装置は、所定のウェブサイトを表示する表示制御部と、ウェブサイトにおいて、被検者が取得を希望する対象物を選択するための選択操作を受け付ける第1受付部と、ウェブサイトにおいて、選択操作によって選択された対象物の取得を確定するための確定操作を受け付ける第2受付部と、確定操作を受け付けた時の被検者の情動を検出する検出部と、検出された情動に基づいて、被検者のストレスの状態を判定する判定部と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、判定部は、ストレスの度合いを判定し、表示制御部は、ストレスの度合いに基づいて、ストレスの対処に関する情報を表示することが好ましい。
【0009】
また、表示制御部は、ウェブサイトとして、商品購入サイトを表示することが好ましい。
【0010】
本発明の実施形態に係るストレス判定方法は、ストレス判定装置によって実行されるストレス判定方法であって、所定のウェブサイトを表示し、ウェブサイトにおいて、被検者が取得を希望する対象物を選択するための選択操作を受け付け、ウェブサイトにおいて、選択操作によって選択された対象物の取得を確定するための確定操作を受け付け、確定操作を受け付けた時の被検者の情動を検出し、検出された情動に基づいて、被検者のストレスの状態を判定する、ことを含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の実施形態に係るプログラムは、所定のウェブサイトを表示し、ウェブサイトにおいて、被検者が取得を希望する対象物を選択するための選択操作を受け付け、ウェブサイトにおいて、選択操作によって選択された対象物の取得を確定するための確定操作を受け付け、確定操作を受け付けた時の被検者の情動を検出し、検出された情動に基づいて、被検者のストレスの状態を判定する、ことをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るストレス判定装置、ストレス判定方法およびプログラムは、被検者に測定を意識させることなく被検者のストレスの状態を判定することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】ストレス判定システム1の概略構成を示す図である。
【
図5】ヘルスケアサーバ4の機能ブロック図である。
【
図10】(A)および(B)は、表示装置251に表示される画像の例を示す図である。
【
図11】ストレス判定処理の流れを示すフロー図である。
【
図12】起動時処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図13】選択時処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図14】確定時処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図15】脈拍数の時間変化の取得方法について説明するための模式図である。
【
図16】情動の検出方法について説明するための模式図である。
【
図17】コンテンツ提供処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明及びその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0015】
図1は、ストレス判定システム1の概略構成を示す図である。ストレス判定システム1は、被検者が商品購入サイトで商品を購入するときの情動の変化に基づいて、被検者のストレスを判定する。ストレス判定システム1は、通信端末2、ウェブサーバ3およびヘルスケアサーバ4を有する。通信端末2、ウェブサーバ3およびヘルスケアサーバ4は、ネットワークNを介して相互に通信可能に接続される。なお、通信端末2は、ストレス判定装置の一例である。
【0016】
図2は通信端末2の模式的な平面図であり、
図3は通信端末2の機能ブロック図である。通信端末2は、商品購入サイトで商品を購入する被検者を撮像した画像に基づいて被検者の情動を検出する。通信端末2は、記憶部21、通信部22、撮像部23、表示部24、操作部25および処理部26を有する。
【0017】
記憶部21は、プログラムおよびデータを記憶するための構成であり、例えば半導体メモリを備える。記憶部21は、プログラムとして、処理部26による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等を記憶する。プログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)等のコンピュータ読取可能かつ非一時的な可搬型記憶媒体から記憶部21にインストールされる。
【0018】
通信部22は、通信端末2を他の装置と通信可能にする構成であり、通信インタフェース回路を備える。通信部22が備える通信インタフェース回路は、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、移動体通信方式等の通信インタフェース回路である。通信部22は、データを他の装置から受信して処理部26に供給するとともに、処理部26から供給されたデータを他の装置に送信する。
【0019】
撮像部23は、商品購入サイトで商品を購入する被検者を撮像するための構成であり、カメラを備える。カメラは、受光面に結像させるための結像光学系と、受光面に二次元に配列され、入射した光量に応じた電気信号を出力するCCD(Charge Coupled Device)センサ等の光電変換素子と、光電変換素子の出力に基づいて画像を生成する画像生成回路とを備える。撮像部23は、処理部26から供給される制御信号に基づいて画像を生成し、生成された画像を処理部26に供給する。
【0020】
表示部24は、画像を表示するための構成であり、例えば液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイを備える。表示部24は、処理部26から供給された表示データに基づいて画像を表示する。
【0021】
操作部25は、被検者の操作を受け付けるための構成である。操作部25は、複数の表示装置251と、表示装置251を覆うようにそれぞれ配置された複数のボタン252とを有する。表示装置251は、例えば液晶ディスプレイであり、処理部26から供給された表示データに基づいて画像を表示する。ボタン252は、外部から表示装置251に表示された画像が視認可能となるように、透光性を有する樹脂で形成される。ボタン252が押下されると、操作部25は押下されたボタン252に応じた操作信号を生成し、処理部26に供給する。
【0022】
操作部25は、通信端末2と一体化されていてもよく、USB(Universal Serial Bus)、赤外線通信または近距離無線通信等の通信インタフェースを介して通信端末2と接続される、いわゆる外付けの機器でもよい。操作部25が外付けの機器である場合、通信端末2は、PC(Personal Computer)、携帯電話機、スマートフォン、携帯ゲーム機等の汎用の情報処理端末であってよい。
【0023】
処理部26は、通信端末2の動作を統括的に制御するデバイスであり、一つまたは複数個のプロセッサおよびその周辺回路を備える。処理部26は、例えばCPU(Central Processing Unit)を備える。処理部26は、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を備えてもよい。処理部26は、記憶部21に記憶されているプログラムおよび操作部25からの操作信号に基づいて通信端末2の各種処理が適切な手順で実行されるように、各構成の動作を制御するとともに、各種の処理を実行する。
【0024】
処理部26は、表示制御部261、画像取得部262、第1受付部263、第2受付部264、検出部265および判定部266をその機能ブロックとして備える。これらの各部は、処理部26によって実行されるプログラムに基づいて実現される機能モジュールである。これらの各部は、ファームウェアとして通信端末2に実装されてもよい。
【0025】
図4は、ウェブサーバ3の機能ブロック図である。ウェブサーバ3は、商品購入サイトを提供するサーバである。ウェブサーバ3は、記憶部31、通信部32および処理部33を有する。
【0026】
記憶部31は、プログラムおよびデータを記憶するための構成であり、例えば半導体メモリを備える。記憶部31は、プログラムとして、処理部33による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等を記憶する。プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読取可能かつ非一時的な可搬型記憶媒体から記憶部31にインストールされる。
【0027】
通信部32は、ウェブサーバ3を他の装置と通信可能にする構成であり、通信インタフェース回路を備える。通信部32が備える通信インタフェース回路は、有線LAN、無線LAN、移動体通信方式等の通信インタフェース回路である。通信部32は、データを他の装置から受信して処理部33に供給するとともに、処理部33から供給されたデータを他の装置に送信する。
【0028】
処理部33は、ウェブサーバ3の動作を統括的に制御するデバイスであり、一つまたは複数個のプロセッサおよびその周辺回路を備える。処理部33は、例えば、CPUを備える。処理部33は、GPU、DSP、LSI、ASIC、FPGA等を備えてもよい。処理部33は、記憶部31に記憶されているプログラムに基づいてウェブサーバ3の各種処理が適切な手順で実行されるように、各構成の動作を制御するとともに、各種の処理を実行する。
【0029】
処理部33は、生成部331、登録部332および決済部333をその機能ブロックとして備える。これらの各部は、処理部33によって実行されるプログラムに基づいて実現される機能モジュールである。これらの各部は、ファームウェアとしてウェブサーバ3に実装されてもよい。
【0030】
図5は、ヘルスケアサーバ4の機能ブロック図である。ヘルスケアサーバ4は、ストレスの対処に関する情報を提供するサーバである。ヘルスケアサーバ4は、記憶部41、通信部42および処理部43を有する。
【0031】
記憶部41は、プログラムおよびデータを記憶するための構成であり、例えば半導体メモリを備える。記憶部41は、プログラムとして、処理部43による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等を記憶する。プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読取可能かつ非一時的な可搬型記憶媒体から記憶部41にインストールされる。
【0032】
通信部42は、ヘルスケアサーバ4を他の装置と通信可能にする構成であり、通信インタフェース回路を備える。通信部42が備える通信インタフェース回路は、有線LAN、無線LAN、移動体通信方式等の通信インタフェース回路である。通信部42は、データを他の装置から受信して処理部43に供給するとともに、処理部43から供給されたデータを他の装置に送信する。
【0033】
処理部43は、ヘルスケアサーバ4の動作を統括的に制御するデバイスであり、一つまたは複数個のプロセッサおよびその周辺回路を備える。処理部43は、例えば、CPUを備える。処理部43は、GPU、DSP、LSI、ASIC、FPGA等を備えてもよい。処理部43は、記憶部41に記憶されているプログラムに基づいてヘルスケアサーバ4の各種処理が適切な手順で実行されるように、各構成の動作を制御するとともに、各種の処理を実行する。
【0034】
処理部43は、記憶処理部431および選択部432をその機能ブロックとして備える。これらの各部は、処理部43によって実行されるプログラムに基づいて実現される機能モジュールである。これらの各部は、ファームウェアとしてヘルスケアサーバ4に実装されてもよい。
【0035】
図6は、表示部24に表示される商品ページ画面G1の例を示す図である。商品ページ画面G1は、被検者が購入を希望する商品を選択するための画面である。商品ページ画面G1は、通信端末2がストレス判定アプリケーションプログラムを起動し、商品購入サイトの商品ページにアクセスしたときに表示される。商品ページ画面G1は、ユーザ名UN、複数の商品情報P1および複数の選択ボタンB1を含む。
【0036】
ユーザ名UNは、あらかじめ商品購入サイトに登録されたユーザの名称である。商品情報P1は、商品に関する情報である。
図6に示す例では、商品情報P1は商品の画像、商品の名称および商品の価格を含んでいる。選択ボタンB1は、被検者が購入を希望する商品を選択するためのオブジェクトである。複数の選択ボタンB1は、複数の商品情報P1と関連付けて表示される。選択ボタンB1が選択されると、関連付けられた商品情報P1が示す商品が、被検者が購入を希望する商品として登録される。
【0037】
図7は、表示部24に表示される購入ページ画面G2の例を示す図である。購入ページ画面G2は、被検者が選択した商品の購入を確定するための画面である。購入ページ画面G2は、商品ページ画面G1においていずれかの商品の選択ボタンB1が選択され、通信端末2が商品購入サイトの購入ページにアクセスしたときに表示される。購入ページ画面G2は、購入情報P2および確定ボタンB2を含む。
【0038】
購入情報P2は、被検者が購入を希望するものとして登録された商品に関する情報である。
図7に示す例では、購入情報P2は、登録された商品に関する情報と登録された商品の価格の合計額を含んでいる。確定ボタンB2は、登録された商品の購入を確定するためのオブジェクトである。確定ボタンB2が選択されると、あらかじめ被検者によって設定された決済情報に基づいて決済が行われ、商品の購入が完了する。
【0039】
図8は、表示部24に表示される健康情報画面G3の例を示す図である。健康情報画面G3は、被検者のストレスに関するコンテンツとして、被検者の健康を改善するための情報を提示する画面である。
図8に示す例では、被検者の健康を改善するための情報として、血圧の測定方法に関する動画像が表示されている。健康情報画面G3は、通信端末2がヘルスケアアプリケーションプログラムを起動したことに応じて表示される。
【0040】
図9は、表示部24に表示される医療機関情報画面G4の例を示す図である。医療機関情報画面G4は、被検者のストレスに関するコンテンツとして、被検者が受診すべき医療機関の情報を提示する画面である。医療機関情報画面G4は、通信端末2がヘルスケアアプリケーションプログラムを起動したことに応じて表示される。
【0041】
図10(A)および(B)は、操作部25の表示装置251に表示される画像の例を示す図である。複数の表示装置251には異なる画像が表示され、複数のボタン252には、表示装置251の画像が示す機能が関連付けられる。
【0042】
図10(A)は、表示部24に商品ページ画面G1または購入ページ画面G2が表示されている間に表示装置251に表示される画像の例を示す。例えば、被検者は、商品ページ画面G1が表示されている状態で、
図10(A)の上段左側のカートが表示されているボタン252を選択することにより、購入ページ画面G2を表示させることができる。
【0043】
図10(B)は、表示部24に健康情報画面G3が表示されている間に表示装置251に表示される画像の例を示す。例えば、被検者は、
図10(B)の下段のボタン252を選択することにより、動画像の再生速度を変更することができる。
【0044】
このように、操作部25の表示装置251は、表示部24に表示されている画面に応じて異なる画像を表示する。また、操作部25のボタン252が押下されたときに、押下されたボタンに対応する表示装置251に表示されている画像に関連する機能が実行される。これにより、被検者が通信端末2を直感的に操作することが可能となる。
【0045】
図11は、ストレス判定システム1によって実行されるストレス判定処理の流れの例を示すフロー図である。ストレス判定処理は、通信端末2がストレス判定アプリケーションプログラムを起動したことに応じて実行される。ストレス判定処理は、通信端末2およびウェブサーバ3の処理部が、あらかじめ記憶されたプログラムに基づいて他の構成と協働することにより実現される。
【0046】
最初に、通信端末2は、起動時処理を実行する(ステップS101)。商品購入サイトの商品ページを表示する起動時処理は、商品購入サイトの商品ページを表示するための処理である。起動時処理の詳細は後述する。
【0047】
次に、通信端末2の第1受付部263は、被検者が購入を希望する商品を選択するための選択操作を受け付ける(ステップS102)。選択操作は、商品ページ画面G1において選択ボタンB1を選択する操作である。
【0048】
選択操作が受け付けられると、通信端末2は選択時処理を実行する(ステップS103)。選択時処理は、商品購入サイトの購入ページを表示するための処理である。選択時処理の詳細は後述する。
【0049】
次に、通信端末2の第2受付部264は、選択操作によって選択された商品の購入を確定するための確定操作を受け付ける(ステップS104)。確定操作は、購入ページ画面G2において確定ボタンB2を選択する操作である。
【0050】
確定操作が受け付けられると、通信端末2は確定時処理を実行する(ステップS105)。確定時処理は、表示部24に決済完了ページ画面を表示するとともに、被検者の情動を検出するための処理である。確定時処理の詳細は後述する。以上で、ストレス判定処理が終了する。
【0051】
図12は、起動時処理の流れの例を示すシーケンス図である。起動時処理は、ストレス判定処理のステップS101において実行される。
【0052】
最初に、通信端末2の表示制御部261は、通信部22を介して、ウェブサーバ3に商品購入サイトの商品ページの表示データを要求する(ステップS201)。要求には、通信端末2のユーザである被検者を識別する被検者識別情報と、商品ページの識別子とが含まれる。商品ページの識別子は、例えばURL(Uniform Resource Locator)である。
【0053】
次に、ウェブサーバ3の生成部331は、商品ページ画面G1の表示データを生成する(ステップS202)。商品ページ画面G1には、被検者識別情報によって識別される被検者のユーザ名UNが含まれる。
【0054】
次に、ウェブサーバ3の生成部331は、通信部32を介して、商品ページ画面G1の表示データを通信端末2に送信する(ステップS203)。
【0055】
次に、通信端末2の表示制御部261は、商品購入サイトの商品ページを表示する(ステップS204)。表示制御部261は、通信部22を介して商品ページ画面G1の表示データを取得する。表示制御部261は、表示データに基づいて商品ページ画面G1を表示部24に表示する。
【0056】
次に、通信端末2の画像取得部262は、撮像部23を制御して、被検者の撮像を開始する(ステップS205)。以後、画像取得部262は、順次、被検者の画像を動画像として記憶部21に記憶する。以上で、起動時処理が終了する。
【0057】
図13は、選択時処理の流れの例を示すシーケンス図である。選択時処理は、ストレス判定処理のステップS103において実行される。
【0058】
最初に、通信端末2の表示制御部261は、通信部22を介して、ウェブサーバ3に商品購入サイトの購入ページの表示データを要求する(ステップS301)。要求には、選択操作によって選択された商品を識別する商品識別情報と、購入ページの識別子とが含まれる。
【0059】
次に、ウェブサーバ3の登録部332は、選択操作によって選択された商品を被検者が購入を希望する商品として登録する(ステップS302)。
【0060】
次に、生成部331は、購入ページ画面G2の表示データを生成する(ステップS303)。購入ページ画面G2には、登録された商品の購入情報が含まれる。
【0061】
次に、生成部331は、通信部32を介して、購入ページ画面G2の表示データを通信端末2に送信する(ステップS304)。
【0062】
次に、通信端末2の表示制御部261は、商品購入サイトの購入ページを表示する(ステップS305)。表示制御部261は、通信部22を介して購入ページ画面G2の表示データを取得する。表示制御部261は、表示データに基づいて購入ページ画面G2を表示部24に表示する。以上で、選択時処理が終了する。
【0063】
図14は、確定時処理の流れを示すシーケンス図である。確定時処理は、ストレス判定処理のステップS105で実行される。
【0064】
最初に、通信端末2の表示制御部261は、通信部22を介して、ウェブサーバ3に決済処理を要求する(ステップS401)。
【0065】
次に、ウェブサーバ3の決済部333は、購入が確定された商品の決済処理を実行する(ステップS402)。決済部333は、購入が確定された商品の価格の合計額および被検者の支払情報を不図示の決済サーバに送信する。決済部333は、決済サーバから決済が正常に終了したことを示す情報を受信する。
【0066】
次に、生成部331は、商品購入サイトの決済完了ページの表示データを生成する(ステップS403)。決済完了ページには、決済が正常に終了したことを示す情報が含まれる。
【0067】
次に、生成部331は、通信部32を介して、決済完了ページの表示データを送信する(ステップS404)。
【0068】
次に、通信端末2の表示制御部261は、商品購入サイトの決済完了ページを表示する(ステップS405)。表示制御部261は、通信部22を介して、決済完了ページの表示データを取得する。表示制御部261は、表示データに基づいて、表示部24に決済完了ページを表示する。
【0069】
次に、検出部265は、確定操作を受け付けた時の被検者の情動を検出する(ステップS406)。検出部265は、ステップS104において第2受付部264が確定操作を受け付けた時刻を取得する。検出部265は、取得した時刻を含む所定の長さの情動検出期間(例えば、300秒間)における被検者の動画像を記憶部21から取得する。検出部265は、取得した被検者の画像に基づいて、受講者の脈拍数の時間変化を取得する。検出部265は、受講者の脈拍数の時間変化に基づいて、受講者の情動を検出する。
【0070】
図15は、脈拍数の時間変化の取得方法について説明するための模式図である。
図15のグラフの縦軸は脈波の振幅Aであり、横軸は時間tである。検出部265は、利用者の動画像データから複数のフレーム画像を抽出する。検出部265は、複数のフレーム画像に対して輪郭検知アルゴリズムまたは特徴点抽出アルゴリズムを適用し、フレーム画像において利用者の額に対応する領域を特定する。検出部265は、各フレーム画像の額に対応する領域に含まれる画素を抽出し、抽出した画素のRGBの画素値のうちG(緑)の画素値を取得することにより、Gの画素値の時間変化を算出する。額には毛細血脈が集中しており、Gの画素値には利用者の血流が反映されるため、Gの画素値の時間変化に基づいて脈波が検出される。検出部265は、Gの画素値の時間変化を示す信号に、人の脈波に対応する0.5Hz~3Hzの透過帯域を有するバンドパスフィルタを適用することにより、
図15に示す脈波信号PWを抽出する。なお、検出部265は、フレーム画像において、額とは異なる他の人体の皮膚露出部位に対応する領域を抽出してもよい。
【0071】
検出部265は、抽出した脈波信号PWに基づいて、利用者の脈波間隔および脈拍数の時間変化を算出する。例えば、検出部265は、脈波信号PWのピーク点P(n)を特定する。検出部265は、隣接する二つのピーク点(P(n)、P(n+1))の間の間隔を脈波間隔d(n)として算出して取得する。検出部265は、脈波間隔の逆数の60倍を一分間あたりの脈拍数として、脈拍数の時間変化を算出して取得する。
【0072】
図16は、情動の検出方法について説明するための模式図である。
図16のグラフの縦軸は脈拍数Bであり、横軸は時間tである。検出部265は、脈拍数の時間変化PRの極大値となる点の脈拍数b2と、極大値となる点の所定時間前の脈拍数b1とを抽出する。検出部265は、脈拍数b2が一般的な人の平均脈拍数bavよりも大きく、かつ、脈拍数b2と脈拍数b1との差分Δbが所定値以上である場合に、脈拍数が変動したと判定する。検出部265は、所定の長さ(例えば、30秒)の計数期間Qにおける脈拍数の極大値となる点のそれぞれについて上述の処理を実行することにより、計数期間Qにおける脈拍数の変動回数を計数する。
図16に示す例では、脈拍数の時間変化の極大値となる点のうち、脈拍数b2が平均脈拍数bavよりも大きい点は一つである。そして、極大値となる点の脈拍数b2と、その所定時間前の脈拍数b1との差分Δbが所定値より大きい。したがって、計数期間Qにおける脈拍数の変動回数は1回であると判定される。
【0073】
検出部265は、確定操作を受け付けた時刻が含まれる計数期間における脈拍数の変動回数を閾値と比較することにより、被検者の情動を検出する。例えば、検出部265は、確定操作を受け付けた時刻が含まれる計数期間の脈拍数の変動回数が10回以上である場合、被検者の情動があると判定し、10回未満である場合、被検者の情動がないと判定する。
【0074】
図14に戻り、検出部265は、被検者の情動の検出結果を記憶部21に記憶する。以上で、確定時処理が終了する。
【0075】
図17は、コンテンツ提供処理の流れを示すシーケンス図である。コンテンツ提供処理は、ストレスの対処に関するコンテンツを通信端末2に表示させるための処理である。コンテンツ提供処理は、通信端末2がヘルスケアアプリケーションプログラムを起動したことに応じて実行される。コンテンツ提供処理は、通信端末2およびヘルスケアサーバ4の処理部が、あらかじめ記憶されたプログラムに基づいて他の構成と協働することにより実現される。
【0076】
次に、通信端末2の判定部266は、被検者のストレスの度合いを判定する(ステップS501)。判定部266は、過去の所定数(例えば、5個)の情動の検出結果を記憶部21から取得する。判定部266は、所定数の検出結果のうち、情動があると判定された検出結果の数に基づいて、被検者のストレスの状態を判定する。例えば、判定部266は、取得された5個の検出結果のうち、情動があると判定された検出結果が5個である場合、被験者のストレスがないと判定する。判定部266は、情動があると判定された検出結果が4個または3個である場合、被験者のストレスが低いと判定する。判定部266は、情動があると判定された検出結果が2個または1個である場合、被験者のストレスが中程度であると判定する。判定部266は、情動があると判定された検出結果が0個である場合、被験者のストレスが高いと判定する。
【0077】
一般に、商品購入サイトで物を購入する際には、特有の情動の変化が生じる。すなわち、人が欲しかった商品を発見した時には喜びによって情動が増加し、その商品の購入を確定した時には情動がさらに増加する。購入を確定した後には、正しく購入ができているか、または間違った商品を購入していないか等の不安が生じ、情動は減少する。このような情動の変化は、いわゆる投資家情動サイクル(Investor Emotional Cycle)として知られている情動の変化と類似したものであり、多くの人に生じるものである。一方、人がストレスを抱えている場合には、負の感情のバイアスがかかるため、そのような情動の変化が小さくなることが知られている。したがって、商品の購入を確定した時の被検者の情動に基づいて、被検者のストレスの度合いを判定することができる。
【0078】
次に、通信端末2の表示制御部261は、通信部22を介して、ヘルスケアサーバ4にストレスの対処に関するコンテンツを要求する(ステップS502)。要求には、被検者識別情報および被験者のストレスの程度を示す情報が含まれる。
【0079】
次に、選択部432は、あらかじめ記憶部41に記憶された、ストレスの対処に関する複数のコンテンツのうちから、被検者のストレスの度合いに基づいて、通信端末2に表示されるコンテンツを選択する(ステップS503)。例えば、選択部432は、被検者のストレスがないと判定された場合には、被検者の健康を改善するための情報を通信端末2に表示されるコンテンツとして選択する。この場合、選択部432は、被検者のストレスが高いと判定された場合には、被検者が受診すべき医療機関の情報を選択する。選択部432は、被検者のストレスが低いまたは中程度であると判定された場合には、被検者の娯楽となるコンテンツや、被検者にウォーキングやマインドフルネス瞑想を行わせるためのコンテンツ等を選択してもよい。
【0080】
次に、選択部432は、通信部42を介して、選択されたコンテンツを表示するための表示データを通信端末2に送信する(ステップS504)。
【0081】
次に、通信端末2の表示制御部261は、ストレスの対処に関するコンテンツを表示する(ステップS505)。表示制御部261は、通信部22を介して、コンテンツの表示データを取得する。表示制御部261は、表示データに基づいて、コンテンツを表示部24に表示する。以上で、コンテンツ提供処理が終了する。
【0082】
以上説明したように、通信端末2は、商品購入サイトにおいて商品の購入を確定するための確定操作を受け付けた時の被検者の情動に基づいて被検者のストレスの状態を判定する。このように、通信端末2は、商品を購入するという日常的な動作の時の情動を用いることにより、被検者に測定を意識させることなく被検者のストレスの状態を判定することを可能とする。
【0083】
また、通信端末2は、ストレスの度合いに基づいてストレスの対処に関する情報を表示する。これにより、通信端末2は、ストレスが高いと判定された被検者のストレスを緩和することを可能とする。
【0084】
ストレス判定システム1には、次に述べるような変形例が適用されてもよい。
【0085】
上述した説明では、被検者のストレスの度合いに基づいてストレスの対処に関するコンテンツが表示されるものとしたが、このような例に限られない。被検者のストレスの度合いは、コンテンツの表示以外の用途に用いられてもよい。例えば、表示制御部261は、ストレスの度合いを表示部24に表示してもよい。また、被検者のストレスの度合いが医療機関等に提供されてもよい。
【0086】
上述した説明では、操作部25は表示装置251およびボタン252が配置されたキーパッドを備えるものとしたが、このような例に限られない。操作部25は、汎用のキーボード、マウス、タッチパネル等を備えてもよい。この場合、通信端末2はPC(Personal Computer)、携帯電話機、スマートフォン、携帯ゲーム機等の情報処理端末でもよい。
【0087】
上述した説明では、ウェブサーバ3は商品購入サイトを提供するものとしたが、このような例に限られない。ウェブサーバ3は、例えば投資取引サイトのように、被検者が対象物(有体物に限られず、株式や権利等であってもよい。)を取得することを可能とするウェブサイトを提供するものでもよい。
【0088】
上述した説明では、確定操作が受け付けられた時の情動に基づいてストレスが判定されるものとしたが、購入された商品の性質にさらに基づいてストレスが判定されてもよい。
【0089】
購入された商品の種類に基づいてストレスが判定されてもよい。被験者が日用品を購入した場合には、被検者が嗜好品を購入した場合よりも情動の変化が生じにくいと考えられる。したがって、確定時処理のステップS406において、検出部265は、被検者の情動を検出するための脈拍数の変動回数の閾値を商品の種類に応じて異ならせてもよい。この場合、検出部265は、被検者が日用品を購入した場合には脈拍数の変動回数の閾値を小さくし、被検者が嗜好品を購入した場合には脈拍数の変動回数の閾値を大きくしてもよい。また、検出部265は、購入された商品の種類が所定の種類である場合には、被検者の情動を検出しなくてもよい。これらのようにすることで、特定の種類の商品を購入した場合の情動の小ささがストレスによるものであると誤って判定されることが防止され、より適切に被検者のストレスが判定される。
【0090】
購入された商品の価格に基づいてストレスが判定されてもよい。被験者が安価な商品を購入した場合には、被検者が高価な商品を購入した場合よりも情動の変化が生じにくいと考えられる。したがって、確定時処理のステップS406において、検出部265は、被検者の情動を検出するための脈拍数の変動回数の閾値を商品の価格に応じて異ならせてもよい。また、検出部265は、購入された商品の価格が所定価格未満である場合には、被検者の情動を検出しなくてもよい。これらのようにすることで、安価な商品を購入した場合の情動の小ささがストレスによるものであると誤って判定されることが防止され、より適切に被検者のストレスが判定される。
【0091】
上述した説明では、検出部265は被検者の画像に基づいて被検者の脈拍数の時間変化を算出するものとしたが、このような例に限られない。検出部265は、所定のインタフェースを介して、脈拍計等のセンサから被検者の脈拍数の時間変化を取得してもよい。
【0092】
上述した通信端末2、ウェブサーバ3およびヘルスケアサーバ4の機能は、複数の装置によって実現されてもよい。また、通信端末2、ウェブサーバ3およびヘルスケアサーバ4の機能の一部または全部は、他の装置によって実現されてもよい。
【0093】
当業者は、本発明の範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。例えば、上述した実施形態及び変形例は、本発明の範囲において、適宜に組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0094】
2 通信端末
261 表示制御部
262 画像取得部
263 第1受付部
264 第2受付部
265 検出部
266 判定部