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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076711
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 29/00 20060101AFI20240530BHJP
   F04C 23/00 20060101ALI20240530BHJP
   F04B 39/00 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
F04C29/00 B
F04C23/00 F
F04B39/00 102T
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188399
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】石飛 政和
(72)【発明者】
【氏名】宮本 善彰
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 隆史
(72)【発明者】
【氏名】後藤 秀作
【テーマコード(参考)】
3H003
3H129
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AB03
3H003AB04
3H003AC03
3H003BB08
3H003CD07
3H003CE01
3H129AA02
3H129AA04
3H129AA12
3H129AA21
3H129AB03
3H129AB12
3H129BB25
3H129BB32
3H129CC09
3H129CC10
(57)【要約】
【課題】圧縮機構の振動に起因した容器の振動を効率的に抑制することができる圧縮機を提供する。
【解決手段】ハウジング11と、ハウジング11の下部に接続されている脚部3と、ハウジング11の側方に配置されているオイルレベルタンク60と、オイルレベルタンク60に対して第2-1接続部75aにて接続されているとともに脚部3に対して脚接続部75bにて接続され、オイルレベルタンク60を脚部3に対して固定している下方固定部70と、ハウジング11に対して第1接続部85aにて接続されるとともにオイルレベルタンク60に対して第2-2接続部85bにて接続され、オイルレベルタンク60をハウジング11に対して固定している上方固定部80と、を備え、第2-1接続部75aは、高さ方向において、オイルレベルタンク60の下部に設けられ、第2-2接続部85bは、高さ方向において、オイルレベルタンク60の上部に設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機構を収容している第1容器と、
高さ方向において前記第1容器の下部に接続されている脚部と、
前記第1容器の側方に配置されている第2容器と、
前記第2容器に対して第2-1接続部にて接続されているとともに前記脚部に対して脚接続部にて接続され、前記第2容器を前記脚部に対して固定している下方固定部と、
前記第1容器に対して第1接続部にて接続されるとともに前記第2容器に対して第2-2接続部にて接続され、前記第2容器を前記第1容器に対して固定している上方固定部と、
を備え、
前記第2-1接続部は、前記高さ方向において、前記第2容器の下部に設けられ、
前記第2-2接続部は、前記高さ方向において、前記第2容器の上部に設けられている
圧縮機。
【請求項2】
前記高さ方向における前記第2容器の上端の位置を100%をとして下端の位置を0%としたとき、
前記上方固定部の前記第2-2接続部は、50%以上100%以下の範囲にある
請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記上方固定部の数は複数とされ、
各前記第2-2接続部は、前記高さ方向において略同一の位置に設けられている
請求項1に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記上方固定部は、
前記第1容器に対して前記第1接続部にて接続されている第1ブラケットと、
前記第2容器に対して前記第2-2接続部にて接続されている第2-2ブラケットと、
を有し、
前記第1ブラケットと前記第2-2ブラケットとは、ボルトで締結されている
請求項1に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記下方固定部は、
前記第2容器に対して前記第2-1接続部にて第2-1ブラケットと、
前記脚部に対して前記脚接続部にて固定されている脚用ブラケットと、
を有し、
前記第2-1ブラケットと前記脚用ブラケットとは、ボルトで締結されている
請求項1に記載の圧縮機。
【請求項6】
前記第2容器の周囲を締め付けている帯状部材及び前記第1容器に接続された固定具を有し、前記帯状部材が前記固定具に取り付けられることで前記第2容器を前記第1容器に対して固定している中間固定部を備え、
前記第2-2接続部は、前記高さ方向において、前記中間固定部よりも上方に設けられている
請求項1に記載の圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
振動する圧縮機構を収容している圧縮機のハウジングには、オイルレベルタンク等の容器が取り付けられることがある。この容器が圧縮機構の振動に起因して共振した場合、振動によってハウジングと容器とを接続している配管が損傷する可能性がある。
そのため、ハウジングに固定された状態の容器の固有振動数を大きくすることが望ましい(例えば、圧縮機構の回転数以上の固有振動数にする)。
【0003】
ここで、オイルレベルタンクに関する構造ではないが、特許文献1には、帯状鋼板を使用してオイルセパレータの中間位置をハウジングに対して固定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-348952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように帯状鋼板を使用して容器をハウジングに対して固定した場合、重心位置が高い容器については固有振動数が低くなる傾向にあり、容器の共振が十分に抑制できない可能性がある。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、圧縮機構の振動に起因した容器の振動を効率的に抑制することができる圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の圧縮機は、以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係る圧縮機は、圧縮機構を収容している第1容器と、高さ方向において前記第1容器の下部に接続されている脚部と、前記第1容器の側方に配置されている第2容器と、前記第2容器に対して第2-1接続部にて接続されているとともに前記脚部に対して脚接続部にて接続され、前記第2容器を前記脚部に対して固定している下方固定部と、前記第1容器に対して第1接続部にて接続されるとともに前記第2容器に対して第2-2接続部にて接続され、前記第2容器を前記第1容器に対して固定している上方固定部と、を備え、前記第2-1接続部は、前記高さ方向において、前記第2容器の下部に設けられ、前記第2-2接続部は、前記高さ方向において、前記第2容器の上部に設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、圧縮機構の振動に起因した容器の振動を効率的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係る圧縮機の断面図である。
図2】オイルレベルタンクの近傍の正面図である。
図3】オイルレベルタンクの近傍の側面図である。
図4】本開示の一実施形態に係る圧縮機の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一実施形態に係る圧縮機について、図面を参照して説明する。
【0011】
[圧縮機の概要]
図1に示すように、圧縮機1は、空調機に用いられ、例えば二酸化炭素等のガスである冷媒Rfを二段圧縮する。圧縮機1は、脚部3を介して設置面FLに対して固定されている。
圧縮機1は、ハウジング11(第1容器)と、ハウジング11の内部に設けられたロータリ圧縮機構(低段側圧縮機構)12と、スクロール圧縮機構(高段側圧縮機構)13と、電動モータ14と、回転軸15とを備えている。
【0012】
ハウジング11は、円筒状をなす本体部21と、本体部21の上部の開口を閉塞する上蓋部22と、本体部21の下部の開口を閉塞する下蓋部23とを備えている。
そして、本体部21、上蓋部22及び下蓋部23によって画定されたハウジング11の内部には、密閉空間が形成されている。
また、ハウジング11(下蓋部23)の下部には、設置面FLに沿って延びた脚部3が接続されている。
【0013】
回転軸15は、ハウジング11の内部で軸線Xに沿って上下に延在して設けられている。回転軸15は、電動モータ14からの駆動力をロータリ圧縮機構12及びスクロール圧縮機構13に伝達するための部材である。
回転軸15の上端(一端)側の部分は、スクロール側軸受31によって回転可能に支持されている。また、回転軸15の下端(他端)側の部分は、ロータリ側上部軸受32A(以下、単に「上部軸受32A」)及びロータリ側下部軸受32B(以下、単に「下部軸受32B」)の2つの軸受によって回転可能に支持されている。
【0014】
電動モータ14は、回転軸15の長手方向における中央でかつ回転軸15の外周側に配置され、回転軸15を軸線X回りに回転させる。
電動モータ14は、回転軸15の外周面に固定されたロータ38と、ロータ38の外周面と隙間を空けてロータ38と径方向に対向し、ハウジング11の本体部21の内壁に焼嵌め等によって固定されたステータ39とを有している。
【0015】
ロータ38には、軸線Xに対する周方向に所定間隔で設けられたロータ通路38aが設けられている。各ロータ通路38aは、上下方向(軸線X方向)にロータ38を貫通している。これらのロータ通路38aを介して、ロータリ圧縮機構12から吐出された冷媒Rfが上方へ流れる。
ロータ38の上面及び下面には、ロータウェイト37(バランスウェイト)が設けられている。各ロータウェイト37は、ロータ38が有する積層された鋼板を軸線X方向に貫通したピン38cによって固定されている(共締め)。ロータウェイト37の形状の詳細については後述する。
ロータ38の上部に設置されたロータウェイト37の上面には、油分離プレート38bが固定されている。油分離プレート38bは、円板形状とされており水平方向に延在するように配置されている。油分離プレート38bは、ロータ38とともに軸線X回りに回転する。
【0016】
電動モータ14は、インバータ(図示せず)を介して電源に接続されており、回転軸15を周波数可変として回転させる。
【0017】
ロータリ圧縮機構12は、ハウジング11の内部で回転軸15の下端側に設けられている。
ロータリ圧縮機構12は、本実施形態では2気筒とされており、回転軸15に設けられた偏心軸部41と、偏心軸部41に固定され、回転軸15の回転に伴って軸線Xに対して偏心して圧縮室C1内で回転するロータ42と、圧縮室C1が内部に形成されたシリンダ44とを備えている。
【0018】
シリンダ44に形成された圧縮室C1には、吸入管33及び吸入ボス35(ボス部)を介して外部から冷媒Rfが供給されるようになっている。
圧縮室C1で圧縮された冷媒Rfは、上部軸受32Aを介してロータリ吐出管43からハウジング11内の電動モータ14の下方の領域に吐出される。
【0019】
セパレートプレート45を挟んだ2つのシリンダ44は、上部軸受32Aと下部軸受32Bとに挟まれるような形態で、上部軸受32A及び下部軸受32Bに対してボルト(図示せず)によって下方から固定(締結)されている。
シリンダ44の下方には、ボルト(図示せず)によって固定された油ポンプ49が設けられている。
油ポンプ49は、ハウジング11の下部にある油溜まりから油を吸い込み、回転軸15の軸線Xに沿って貫通された油供給穴15aを介してスクロール側軸受31側へと導く。
【0020】
スクロール圧縮機構13は、ハウジング11の内部で回転軸15の上端側に設けられている。
スクロール圧縮機構13は、スクロール側軸受31に固定された固定スクロール51と、固定スクロール51の下方で固定スクロール51に対向して配置された旋回スクロール57とを備えている。
【0021】
固定スクロール51は、スクロール側軸受31の上面に固定された端板52及び端板52から下方に突出する固定ラップ53を有している。
端板52の中央部(軸線X近傍)には、軸線X方向に沿って貫通する吐出孔52aが形成されている。
【0022】
旋回スクロール57は、軸線X方向においてスクロール側軸受31と固定スクロール51との間に挟まれるようにして配置されている。
旋回スクロール57は、回転軸15の偏心軸部56に接続された端板58及び端板58から上方に突出する旋回ラップ59を有している。
【0023】
端板58は、回転軸15の上端に設けられた偏心軸部56に対してドライブブッシュ55を介して摺動可能に連結されており、回転軸15の回転に伴って軸線Xに対して旋回運動する。
【0024】
旋回ラップ59は、固定ラップ53と噛み合うことで固定ラップ53との間に冷媒Rfを圧縮する圧縮室C2を形成している。
【0025】
スクロール側軸受31の中央に形成された凹所と旋回スクロール57の下部との間には、バランスウェイト室63が形成されている。
バランスウェイト室63では、回転軸15とともに回転軸ウェイト54(バランスウェイト)が回転する。
【0026】
回転軸ウェイト54は、ドライブブッシュ55に焼ばめされ、偏心軸部56に挿入されている。
回転軸ウェイト54は、回転軸15の回転に伴って軸線Xに対して偏心して回転することで、軸線Xに対して偏心して回転する旋回スクロール57とのつり合いを取る。
【0027】
ロータリ圧縮機構12で圧縮されてハウジング11内に吐出された冷媒Rfは、スクロール圧縮機構13の外周側から圧縮室C2内に吸い込まれて、中心側に向かって圧縮される。
圧縮された冷媒Rfは、固定スクロール51に形成された吐出孔52aを介して、吐出管34等を介してハウジング11の外部へ吐出される。
【0028】
スクロール側軸受31の下方には、スクロール側軸受31を覆うようにカバー48が設けられている。
カバー48は、板金加工されて成形されており、下方から上方に向かって段階的に拡径された筒形状とされている。
カバー48の下端には、吸入開口48a形成されている。すなわち、吸入開口48aは、下方を向いて開口した、軸線Xに対する周方向においてカバー48と回転軸15との間に形成された円環状の領域である。
カバー48によってハウジング11の電動モータ14側の空間とスクロール側軸受31側の空間とが仕切られており、吸入開口48aから吸い込まれた冷媒Rfがスクロール圧縮機構13に導かれるようになっている。
【0029】
ハウジング11の外部でかつ下方には、オイルレベルタンク60(第2容器)が設けられている。
オイルレベルタンク60は、中空の容器とされ、下部に設けられた下部配管61と上部に設けられた均圧管62を介してハウジング11の内部と連通している。
オイルレベルタンク60の上部にはソケット65が設けられており、ソケット65には油面センサ(図示せず)が設置される。
オイルレベルタンク60の内部には、ハウジング11の内部の油溜まりから下部配管61を介して油が導かれ、ソケット65に設置される油面センサによって油溜まりの油面高さを計測することができる。
オイルレベルタンク60をハウジング11に対して固定する手段については後述する。
【0030】
ハウジング11内には、ハウジング11の内壁に接触しつつ上下方向に延在する油戻し管67が設けられている。油戻し管67は、上端(一端)がスクロール側軸受31に固定され、下端(他端)がハウジング11の下部の油溜まりに位置するように設けられている。
【0031】
[オイルレベルタンクをハウジングに対して固定する手段について]
図2から図4に示すように、オイルレベルタンク60は、下方固定部70介して脚部3に対して固定され、上方固定部80を介してハウジング11の外周面に対して固定されている。
また、オイルレベルタンク60は、下方固定部70及び上方固定部80に加えて、中間固定部90を介してハウジング11の外周面に対して固定されてもよい。
【0032】
図2及び図3に示すように、下方固定部70は、オイルレベルタンク60と脚部3とを接続している部分であり、オイルレベルタンク60の下部を脚部3に対して固定している。
下方固定部70は、第2-1ブラケット71及び脚用ブラケット72の2種類のブラケットを有しており、オイルレベルタンク60に接続された第2-1ブラケット71と脚部3に接続された脚用ブラケット72とがボルト73によって締結されることで構成されている。
【0033】
第2-1ブラケット71は、2つの片を有するL字形状の金属製のブラケットであり、一方の片が第2-1接続部75aにてオイルレベルタンク60の下端と接続されている。第2-1接続部75aは、例えば溶接部である。つまり、第2-1ブラケット71の一方の片は、溶接によってオイルレベルタンク60と接続されていることになる。
脚用ブラケット72は、2つの片を有するL字形状の金属製のブラケットであり、一方の片が脚接続部75bにて脚部3と接続されている。脚接続部75bは、例えば溶接部である。つまり、脚用ブラケット72の一方の片は、溶接によって脚部3と接続されていることになる。
第2-1ブラケット71の他方の片と脚用ブラケット72の他方の片とは、重なり合っている。そして、その重なり合った部分(範囲)にボルト73が挿通され締結されている。ボルト73は、ナットとセットで使用されてもよいし、一方のブラケットに形成されためねじとセットで使用されてもよい。いずれの場合であっても、ボルト73が挿通される少なくとも1つの穴を長穴にしておくことで、位置(脚用ブラケット72に対する第2-1ブラケット71の位置)の調整がしやすくなる。
【0034】
以上のようにしてオイルレベルタンク60及び脚部3に接続された下方固定部70によって、オイルレベルタンク60を脚部3に対して固定している。
【0035】
図2から図4に示すように、上方固定部80は、オイルレベルタンク60とハウジング11とを接続している部分であり、オイルレベルタンク60の上部の外周面をハウジング11に対して固定している。
上方固定部80は、第1ブラケット81及び第2-2ブラケット82の2種類のブラケットを有しており、ハウジング11に接続された第1ブラケット81とオイルレベルタンク60に接続された第2-2ブラケット82とがボルト83によって締結されることで構成されている。
【0036】
第1ブラケット81は、2つの片を有するL字形状の金属製のブラケットであり、一方の片が第1接続部にてハウジング11の外周面と接続されている。第1接続部85aは、例えば溶接部である。つまり、第1ブラケット81の一方の片は、溶接によってハウジング11と接続されていることになる。
第2-2ブラケット82は、2つの片を有するL字形状の金属製のブラケットであり、一方の片が第2-2接続部85bにてオイルレベルタンク60の上部の外周面と接続されている。第2-2接続部85bは、例えば溶接部である。つまり、第2-2ブラケット82の一方の片は、溶接によってオイルレベルタンク60と接続されていることになる。
第1ブラケット81の他方の片と第2-2ブラケット82の他方の片とは、重なり合っている。そして、その重なり合った部分(範囲)にボルト83が挿通され締結されている。ボルト83は、ナットとセットで使用されてもよいし、一方のブラケットに形成されためねじとセットで使用されてもよい。いずれの場合であっても、ボルト83が挿通される少なくとも1つの穴を長穴にしておくことで、位置(第1ブラケット81に対する第2-2ブラケット82の位置)の調整がしやすくなる。
【0037】
以上のようにしてオイルレベルタンク60及びハウジング11に接続された上方固定部80によって、オイルレベルタンク60をハウジング11に対して固定している。
【0038】
なお、上方固定部80は複数とされてもよく、この場合、各上方固定部80は圧縮機1の高さ方向(上下方向)において略同一の位置に設けられることが好ましい。より詳細には、各第2-2接続部85bがハウジング11の高さ方向(上下方向)において略同一の位置に設けられることが好ましい。
【0039】
ここで、第2-2接続部85bが位置する「オイルレベルタンク60の上部」について説明する。
図2に示すように、「オイルレベルタンク60の上部」とは、当然ながら、ハウジング11の高さ方向において第2-1接続部75aよりも高い位置(上方にある位置)である。詳細には、オイルレベルタンク60の下端を0%として、上端(ソケット65の上端)を100%としたとき、「オイルレベルタンク60の上部」とは、50%以上100%以下の位置である。
また、後述する中間固定部90が設けられている場合は、「オイルレベルタンク60の上部」とは、ベイルストラップ91(帯状部材)よりも上方の位置である。
【0040】
図2及び図3に示すように、中間固定部90は、オイルレベルタンク60とハウジング11とを接続している部分であり、オイルレベルタンク60の中間部をハウジング11の外周面に対して固定している。
中間固定部90は、ベイルストラップ91及び固定具92を有しており、オイルレベルタンク60に巻き付けられたベイルストラップ91をハウジング11に接続された固定具92に取り付けてられることで構成されている。
なお、帯状のベイルストラップ91は、オイルレベルタンク60の周囲を締め付けることでオイルレベルタンク60を保持している。
【0041】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
第2-1接続部75aは、高さ方向において、オイルレベルタンク60の下部に設けられ、第2-2接続部は85b、高さ方向において、オイルレベルタンク60の上部に設けられているので、少なくとも上部及び下部でオイルレベルタンク60を固定することができる。そのため、オイルレベルタンク60を剛に固定することができ、固定された状態のオイルレベルタンク60の固有振動数を高くすることができる。これによって、圧縮機構(ロータリ圧縮機構12、スクロール圧縮機構13)の振動に起因したオイルレベルタンク60の振動を効率的に抑制することができる。特に、ソケット65に設置した油面センサによってオイルレベルタンク60の重心が高くなる場合に、より効果的に振動を抑制することができる。
【0042】
また、高さ方向におけるオイルレベルタンク60の上端の位置を100%をとして下端の位置を0%としたとき、上方固定部80の第2-2接続部85bは、50%以上100%以下の範囲にあるので、上方固定部80によってオイルレベルタンク60の上部の振動を効率的に抑制することができる。
【0043】
また、上方固定部80の数は複数とされ、各第2-2接続部85bは、高さ方向において略同一の位置に設けられているので、複数の上方固定部80によってオイルレベルタンク60の上部をより剛に固定することができる。これによってオイルレベルタンク60の上部の振動を効率的に抑制することができる。
【0044】
また、上方固定部80は、ハウジング11に対して第1接続部85aにて接続されている第1ブラケット81と、オイルレベルタンク60に対して第2-2接続部85bにて接続されている第2-2ブラケット82と、を有し、第1ブラケット81と第2-2ブラケット82とは、ボルト83で締結されているので、2種類のブラケットとボルト83によって簡便にオイルレベルタンク60をハウジング11に対して固定することができる。
また、ボルト83が挿通される各ブラケットの穴のサイズを適切に設計することで、容易に両者の位置関係の調整ができるようになる。例えば、ブラケットの穴を長穴にしておくことで、位置の調整がしやすくなる。
【0045】
また、下方固定部70は、オイルレベルタンク60に対して第2-1接続部にて接続されている第2-1ブラケット71と、脚部3に対して脚接続部75bにて接続されている脚用ブラケット72と、を有し、第2-1ブラケット71と脚用ブラケット72とは、ボルト73で締結されているので、2種類のブラケットとボルト73によって簡便にオイルレベルタンク60を脚部3に対して固定することができる。
また、ボルト73が挿通される各ブラケットの穴のサイズを適切に設計することで、容易に両者の位置関係の調整ができるようになる。例えば、ブラケットの穴を長穴にしておくことで、位置の調整がしやすくなる。
【0046】
また、ベイルストラップ91及び固定具92を有し、オイルレベルタンク60をハウジング11に対して固定している中間固定部90を備えているので、オイルレベルタンク60をハウジング11に対して更に剛に固定することができ、固定された状態のオイルレベルタンク60の固有振動数を更に高くすることができる。
また、第2-2接続部85bは、高さ方向において、中間固定部90よりも上方に設けられているので、特に、ソケット65に設置した油面センサによってオイルレベルタンク60の重心が高くなる場合に、より効果的に振動を抑制することができる。
【0047】
以上の通り説明した一実施形態に係る圧縮機は、例えば、以下のように把握される。
すなわち、本開示の第1態様に係る圧縮機(1)は、圧縮機構(12,13)を収容している第1容器(11)と、高さ方向において前記第1容器の下部に接続されている脚部(3)と、前記第1容器の側方に配置されている第2容器(60)と、前記第2容器に対して第2-1接続部(75a)にて接続されているとともに前記脚部に対して脚接続部(75b)にて接続され、前記第2容器を前記脚部に対して固定している下方固定部(70)と、前記第1容器に対して第1接続部(85a)にて接続されるとともに前記第2容器に対して第2-2接続部(85b)にて接続され、前記第2容器を前記第1容器に対して固定している上方固定部(80)と、を備え、前記第2-1接続部は、前記高さ方向において、前記第2容器の下部に設けられ、前記第2-2接続部は、前記高さ方向において、前記第2容器の上部に設けられている。
【0048】
本態様に係る圧縮機によれば、第2容器に対して第2-1接続部にて接続されているとともに脚部に対して脚接続部にて接続され、第2容器を前記脚部に対して固定している下方固定部と、第1容器に対して第1接続部にて接続されるとともに第2容器に対して第2-2接続部にて接続され、第2容器を第1容器に対して固定している上方固定部と、を備え、第2-1接続部は、高さ方向において、第2容器の下部に設けられ、第2-2接続部は、高さ方向において、第2容器の上部に設けられているので、少なくとも上部及び下部で第2容器を固定することができる。そのため、第2容器を剛に固定することができ、固定された状態の第2容器の固有振動数を高くすることができる。これによって、圧縮機構の振動に起因した第2容器の振動を効率的に抑制することができる。特に、第2容器の重心が高くなる場合に、より効果的に振動を抑制することができる。
【0049】
また、本開示の第2態様に係る圧縮機は、第1態様において、前記高さ方向における前記第2容器の上端の位置を100%をとして下端の位置を0%としたとき、前記上方固定部の前記第2-2接続部は、50%以上100%以下の範囲にある。
【0050】
本態様に係る圧縮機によれば、高さ方向における第2容器の上端の位置を100%をとして下端の位置を0%としたとき、上方固定部の第2-2接続部は、50%以上100%以下の範囲にあるので、上方固定部によって第2容器の上部の振動を効率的に抑制することができる。
【0051】
また、本開示の第3態様に係る圧縮機は、第1態様又は第2態様において、前記上方固定部の数は複数とされ、各前記第2-2接続部は、前記高さ方向において略同一の位置に設けられている。
【0052】
本態様に係る圧縮機によれば、上方固定部の数は複数とされ、各第2-2接続部は、高さ方向において略同一の位置に設けられているので、複数の上方固定部によって第2容器の上部をより剛に固定することができる。これによって第2容器の上部の振動を効率的に抑制することができる。
【0053】
また、本開示の第4態様に係る圧縮機は、第1態様から第3態様のいずれかにおいて、前記上方固定部は、前記第1容器に対して前記第1接続部にて接続されている第1ブラケット(81)と、前記第2容器に対して前記第2-2接続部にて接続されている第2-2ブラケット(82)と、を有し、前記第1ブラケットと前記第2-2ブラケットとは、ボルト(83)で締結されている。
【0054】
本態様に係る圧縮機によれば、上方固定部は、第1容器に対して第1接続部にて接続されている第1ブラケットと、第2容器に対して第2-2接続部にて接続されている第2-2ブラケットと、を有し、第1ブラケットと第2-2ブラケットとは、ボルトで締結されているので、2種類のブラケットとボルトによって簡便に第2容器を第1容器に対して固定することができる。
また、ボルトが挿通される各ブラケットの穴のサイズを適切に設計することで、容易に両者の位置関係の調整ができるようになる。例えば、ブラケットの穴を長穴にしておくことで、位置の調整がしやすくなる。
【0055】
また、本開示の第5態様に係る圧縮機は、第1態様から第4態様のいずれかにおいて、前記下方固定部は、前記第2容器に対して前記第2-1接続部にて第2-1ブラケット(71)と、前記脚部に対して前記脚接続部にて接続されている脚用ブラケット(72)と、を有し、前記第2-1ブラケットと前記脚用ブラケットとは、ボルト(73)で締結されている。
【0056】
本態様に係る圧縮機によれば、下方固定部は、第2容器に対して第2-1接続部にて接続されている第2-1ブラケットと、脚部に対して脚接続部にて接続されている脚用ブラケットと、を有し、第2-1ブラケットと脚用ブラケットとは、ボルトで締結されているので、2種類のブラケットとボルトによって簡便に第2容器を脚部に対して固定することができる。
また、ボルトが挿通される各ブラケットの穴のサイズを適切に設計することで、容易に両者の位置関係の調整ができるようになる。例えば、ブラケットの穴を長穴にしておくことで、位置の調整がしやすくなる。
【0057】
また、本開示の第6態様に係る圧縮機は、第1態様から第5態様のいずれかにおいて、前記第2容器の周囲を締め付けている帯状部材(91)及び前記第1容器に接続された固定具(92)を有し、前記帯状部材が前記固定具に取り付けられることで前記第1容器を前記第2容器に対して固定している中間固定部(90)を備え、前記第2-2接続部は、前記高さ方向において、前記中間固定部よりも上方に設けられている。
【0058】
本態様に係る圧縮機によれば、第2容器の周囲を締め付けている帯状部材及び第1容器に接続された固定具を有し、帯状部材が固定具に取り付けられることで第2容器に対して第1容器を固定している中間固定部を備えているので、第2容器を第1容器に対して更に剛に固定することができ、固定された状態の第2容器の固有振動数を更に高くすることができる。また、第2-2接続部は、高さ方向において、中間固定部よりも上方に設けられているので、特に、第2容器の重心が高くなる場合に、より効果的に振動を抑制することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 圧縮機
3 脚部
11 ハウジング(第1容器)
12 ロータリ圧縮機構(低段側圧縮機構)
13 スクロール圧縮機構(高段側圧縮機構)
14 電動モータ
15 回転軸
15a 油供給穴
21 本体部
22 上蓋部
23 下蓋部
31 スクロール側軸受
32A ロータリ側上部軸受
32B ロータリ側下部軸受
33 吸入管
34 吐出管
37 ロータウェイト(バランスウェイト)
38 ロータ
38a ロータ通路
38b 油分離プレート
38c ピン
39 ステータ
41 偏心軸部
42 ロータ
43 ロータリ吐出管
44 シリンダ
48 カバー
48a 吸入開口
49 油ポンプ
51 固定スクロール
52 端板
52a 吐出孔
53 固定ラップ
54 回転軸ウェイト(バランスウェイト)
55 ドライブブッシュ
56 偏心軸部
57 旋回スクロール
58 端板
59 旋回ラップ
60 オイルレベルタンク(第2容器)
61 下部配管
62 均圧管
63 バランスウェイト室
65 ソケット
67 油戻し管
70 下方固定部
71 第2-1ブラケット
72 脚用ブラケット
73 ボルト
75a 第2-1接続部
75b 脚接続部
80 上方固定部
81 第1ブラケット
82 第2-2ブラケット
83 ボルト
85a 第1接続部
85b 第2-2接続部
90 中間固定部
91 ベイルストラップ(帯状部材)
92 固定具
C1 圧縮室
C2 圧縮室
FL 設置面
X 軸線
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-12-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機構を収容している第1容器と、
高さ方向において前記第1容器の下部に接続されている脚部と、
前記第1容器の側方に配置されている第2容器と、
前記第2容器に対して第2-1接続部にて接続されているとともに前記脚部に対して脚接続部にて接続され、前記第2容器を前記脚部に対して固定している下方固定部と、
前記第1容器に対して第1接続部にて接続されるとともに前記第2容器に対して第2-2接続部にて接続され、前記第2容器を前記第1容器に対して固定している上方固定部と、
前記第2容器の周囲を締め付けている帯状部材及び前記第1容器に接続された固定具を有し、前記帯状部材が前記固定具に取り付けられることで前記第2容器を前記第1容器に対して固定している中間固定部と、
を備え、
前記第2-1接続部は、前記高さ方向において、前記第2容器の下部に設けられ、
前記第2-2接続部は、前記高さ方向において、前記第2容器の上部に設けられ、かつ、前記中間固定部よりも上方に設けられている
圧縮機。
【請求項2】
前記高さ方向における前記第2容器の上端の位置を100%をとして下端の位置を0%としたとき、
前記上方固定部の前記第2-2接続部は、50%以上100%以下の範囲にある
請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記上方固定部の数は複数とされ、
各前記第2-2接続部は、前記高さ方向において略同一の位置に設けられている
請求項1に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記上方固定部は、
前記第1容器に対して前記第1接続部にて接続されている第1ブラケットと、
前記第2容器に対して前記第2-2接続部にて接続されている第2-2ブラケットと、
を有し、
前記第1ブラケットと前記第2-2ブラケットとは、ボルトで締結されている
請求項1に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記下方固定部は、
前記第2容器に対して前記第2-1接続部にて第2-1ブラケットと、
前記脚部に対して前記脚接続部にて固定されている脚用ブラケットと、
を有し、
前記第2-1ブラケットと前記脚用ブラケットとは、ボルトで締結されている
請求項1に記載の圧縮機。