(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076723
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】媒体処理装置、記録システム、媒体処理装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B65H 31/36 20060101AFI20240530BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20240530BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240530BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
B65H31/36
B65H37/04 D
G03G21/00 384
B41J29/38 206
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188416
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】足立 裕尚
(72)【発明者】
【氏名】小口 武
(72)【発明者】
【氏名】大橋 一順
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 正樹
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
3F054
3F108
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP04
2C061AP07
2C061AQ04
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS02
2C061HJ02
2C061HN15
2C061HN18
2H270KA57
2H270LA81
2H270LB02
2H270LB13
2H270LC07
2H270PA04
2H270PA39
2H270PA83
2H270QA06
2H270QA13
2H270ZC03
2H270ZC04
3F054AA01
3F054AB01
3F054AC01
3F054BA04
3F054BH02
3F054BH05
3F054BH13
3F054BH14
3F054DA01
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA43
3F108HA55
(57)【要約】
【課題】媒体に処理を行う処理部によって処理を行わずに媒体をそのまま排出したいというユーザーニーズがある。
【解決手段】媒体処理装置は、処理トレイと、処理トレイに媒体を送り込む送り込みローラーと、処理トレイから媒体を排出する排出ローラー対と、を備え、排出ローラー対は、第1ローラーと、第1ローラーとの間で媒体をニップ可能な第1状態とニップ状態よりも第1ローラーから離間する第2状態とを切り換え可能な第2ローラーと、を備え、第2ローラーの状態切り換えを制御する制御部は、第2ローラーを第2状態とした状態で媒体を送り込みローラーによって処理トレイに送り込んで載置し、第2ローラーを第2状態から第1状態に切り換えて排出する第1モードと、第2ローラーの第1状態を維持しながら送り込みローラーと排出ローラー対とによって媒体を処理トレイに載置せずに排出する第2モードとを切り換え可能である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に処理を行う処理部と、
前記処理が行われる媒体が載置される処理トレイと、
前記処理トレイに媒体を送り込む送り込みローラーと、
前記処理トレイから媒体を排出する排出ローラー対と、を備え、
前記排出ローラー対は、媒体が前記処理トレイと接する面である第1面と接する第1ローラーと、
媒体の前記第1面に対し反対の第2面と接するローラーであって、前記第1ローラーとの間で媒体をニップ可能な第1状態と前記第1状態よりも前記第1ローラーから離間する第2状態とを切り換え可能な第2ローラーと、を備え、
前記第2ローラーの状態切り換えを制御する制御部は、
前記第2ローラーを前記第2状態とした状態で媒体を前記送り込みローラーによって前記処理トレイに送り込んで載置し、前記第2ローラーを前記第2状態から前記第1状態に切り換えて前記処理トレイに載置された媒体を前記排出ローラー対によって排出する第1モードと、
前記第2ローラーの前記第1状態を維持しながら前記送り込みローラーと前記排出ローラー対とによって媒体を前記処理トレイに載置せずに排出する第2モードと、
を切り換え可能である、
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体処理装置において、前記処理トレイに載置された媒体の搬送方向の後端を整合する後端整合部と、
前記処理トレイに載置された媒体の、前記搬送方向と交差する幅方向の側端を整合する側端整合部と、を備え、
前記第1モードでは、媒体が前記処理トレイに送り込まれた後、前記後端整合部による前記後端の整合と前記側端整合部とによる前記側端の整合とが行われ、
前記第2モードでは、前記後端整合部による前記後端の整合と前記側端整合部とによる前記側端の整合とが行われない、
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の媒体処理装置において、前記第2ローラーを備えるユニットであって、前記第2ローラーを前記第1状態とする進出状態と、前記第2ローラーを前記第2状態とする退避状態と、に切り換え可能な可動ユニットを備え、
前記可動ユニットは、前記処理トレイと対向する位置に配置される部材であって、前記可動ユニットが前記退避状態にある際に媒体を前記後端整合部に案内する案内状態と、前記案内状態よりも前記処理トレイから離間した離間状態と、に切り換え可能な案内部材を備える、
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の媒体処理装置において、前記送り込みローラーによって前記処理トレイに送り込まれる媒体に対し、前記幅方向に沿った湾曲を付与する湾曲付与手段を備える、
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の媒体処理装置において、
前記湾曲付与手段は、
媒体の前記第1面と接して従動回転する従動ローラーと、
媒体の前記第2面と接するシート材であって、前記幅方向において前記従動ローラーに対し位置をずらして配置されるシート材と、
を備える、
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の媒体処理装置において、前記従動ローラーと前記シート材は、前記幅方向において媒体の中心位置を挟んで両側に位置し、
前記シート材は、前記従動ローラーより前記中心位置から遠い場所に位置し、
前記案内部材は、前記幅方向において、前記中心位置を挟んで両側に設けられ、
更に前記案内部材は、前記制御部による制御のもと、前記幅方向に沿って移動可能であり、
前記制御部は、前記幅方向における媒体のサイズが前記シート材と接するサイズである場合、媒体を前記送り込みローラーにより前記処理トレイへ送り込む前に、前記案内部材を前記シート材と重なる位置または前記シート材よりも前記中心位置から遠い位置に配置する、
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項7】
請求項2に記載の媒体処理装置において、前記制御部は、前記第2モードが選択されている場合において、媒体の記録デューティが予め定められた閾値を超える場合、前記第2モードをキャンセルして前記第1モードを実行する、
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項8】
請求項2に記載の媒体処理装置において、前記制御部は、前記第2モードが選択されている場合において、媒体を排出した枚数が予め定められた枚数を超える場合、前記第2モードをキャンセルして前記第1モードを実行する、
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の媒体処理装置において、各種操作を行う為の操作部を介し、前記第1モードと前記第2モードとを選択可能である、
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項10】
媒体に記録を行う記録部を備えた記録装置と、
前記記録装置によって記録された媒体に処理を行う、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の前記媒体処理装置と、を備える、
ことを特徴とする記録システム。
【請求項11】
請求項10に記載の記録システムにおいて、前記記録部は、媒体に液体を吐出して記録を行う、
ことを特徴とする記録システム。
【請求項12】
媒体に処理を行う処理部と、
前記処理が行われる媒体が載置される処理トレイと、
前記処理トレイに媒体を送り込む送り込みローラーと、
前記処理トレイから媒体を排出する排出ローラー対と、を備え、
前記排出ローラー対は、媒体が前記処理トレイと接する面である第1面と接する第1ローラーと、
媒体の前記第1面に対し反対の第2面と接するローラーであって、前記第1ローラーとの間で媒体をニップ可能な第1状態と前記第1状態よりも前記第1ローラーから離間する第2状態とを切り換え可能な第2ローラーと、を備えた媒体処理装置の制御方法であって、
第1モード及び第2モードのいずれかを選択する手順を含み、
前記第1モードは、前記第2ローラーを前記第2状態とした状態で媒体を前記送り込みローラーによって前記処理トレイに送り込んで載置し、前記第2ローラーを前記第2状態から前記第1状態に切り換えて前記処理トレイに載置された媒体を前記排出ローラー対によって排出するモードであり、
前記第2モードは、前記第2ローラーの前記第1状態を維持しながら前記送り込みローラーと前記排出ローラー対とによって媒体を前記処理トレイに載置せずに排出するモードである、
ことを特徴とする媒体処理装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体に処理を行う媒体処理装置に関する。また本発明は、前記媒体処理装置を備えた記録システムに関する。また本発明は、媒体処理装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シート等の媒体にステープル処理やパンチング処理等を行う媒体処理装置が従来から知られており、その一例が特許文献1に示されている。特許文献1記載の媒体処理装置は、排出部により排出された媒体を載置する媒体トレイと、排出部によって排出される媒体に上から接し、媒体を媒体トレイに案内する案内部材と、媒体トレイに排出された媒体の幅方向の端部を整合させる幅方向整合部材と、媒体の上流端即ち後端を整合する上流端整合部材とを備えている。
【0003】
排出部によって媒体トレイに送り込まれた媒体は、パドルによって後端が上流端整合部材に突き当てられ、これにより搬送方向において整合される。また媒体トレイに送り込まれた媒体は、幅方向整合部材によって幅方向において整合される。
媒体トレイに載置された媒体は、処理部によって処理された後、媒体トレイの下流に設けられた下側ローラーと上側ローラーとでニップして排出される。上側ローラーは、下側ローラーに対し進退可能に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の媒体処理装置の様に、媒体に処理を行う処理部を備える構成であっても、処理部によって処理を行わずに媒体をそのまま排出したいというユーザーニーズがあり、この様なユーザーニーズへの対応が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為の、本発明の媒体処理装置は、媒体に処理を行う処理部と、前記処理が行われる媒体が載置される処理トレイと、前記処理トレイに媒体を送り込む送り込みローラーと、前記処理トレイから媒体を排出する排出ローラー対と、を備え、前記排出ローラー対は、媒体が前記処理トレイと接する面である第1面と接する第1ローラーと、媒体の前記第1面に対し反対の第2面と接するローラーであって、前記第1ローラーとの間で媒体をニップ可能な第1状態と前記第1状態よりも前記第1ローラーから離間する第2状態とを切り換え可能な第2ローラーと、を備え、前記第2ローラーの状態切り換えを制御する制御部は、前記第2ローラーを前記第2状態とした状態で媒体を前記送り込みローラーによって前記処理トレイに送り込んで載置し、前記第2ローラーを前記第2状態から前記第1状態に切り換えて前記処理トレイに載置された媒体を前記排出ローラー対によって排出する第1モードと、前記第2ローラーの前記第1状態を維持しながら前記送り込みローラーと前記排出ローラー対とによって媒体を前記処理トレイに載置せずに排出する第2モードと、を切り換え可能であることを特徴とする。
【0007】
また本発明の記録システムは、媒体に記録を行う記録部を備えた記録装置と、前記記録装置によって記録された媒体に処理を行う前記媒体処理装置と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また本発明の媒体処理装置の制御方法は、媒体に処理を行う処理部と、前記処理が行われる媒体が載置される処理トレイと、前記処理トレイに媒体を送り込む送り込みローラーと、前記処理トレイから媒体を排出する排出ローラー対と、を備え、前記排出ローラー対は、媒体が前記処理トレイと接する面である第1面と接する第1ローラーと、媒体の前記第1面に対し反対の第2面と接するローラーであって、前記第1ローラーとの間で媒体をニップ可能な第1状態と前記第1状態よりも前記第1ローラーから離間する第2状態とを切り換え可能な第2ローラーと、を備えた媒体処理装置の制御方法であって、第1モード及び第2モードのいずれかを選択する手順を含み、前記第1モードは、前記第2ローラーを前記第2状態とした状態で媒体を前記送り込みローラーによって前記処理トレイに送り込んで載置し、前記第2ローラーを前記第2状態から前記第1状態に切り換えて前記処理トレイに載置された媒体を前記排出ローラー対によって排出するモードであり、前記第2モードは、前記第2ローラーの前記第1状態を維持しながら前記送り込みローラーと前記排出ローラー対とによって媒体を前記処理トレイに載置せずに排出するモードであることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】媒体処理装置の内部構成を示す図であって、排出従動ローラーが排出駆動ローラーから退避した状態を示す図。
【
図3】媒体処理装置の内部構成を示す図であって、排出従動ローラーと排出駆動ローラーとで媒体をニップ可能な状態を示す図。
【
図4】媒体処理装置を排出方向から見た図であって、下支えトレイの動作推移を示す図。
【
図5】湾曲付与手段の構成を示す図であって湾曲付与手段を媒体幅方向から見た図。
【
図6】湾曲付与手段の構成を示す図であって湾曲付与手段を媒体送り込み方向から見た図。
【
図8】媒体処理装置における制御系統を示すブロック図。
【
図9】第1モードと第2モードの選択の流れを示すフローチャート。
【
図10】第1モードの処理の流れを示すフローチャート。
【
図11】第2モードの処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を概略的に説明する。
第1の態様に係る媒体処理装置は、媒体に処理を行う処理部と、前記処理が行われる媒体が載置される処理トレイと、前記処理トレイに媒体を送り込む送り込みローラーと、前記処理トレイから媒体を排出する排出ローラー対と、を備え、前記排出ローラー対は、媒体が前記処理トレイと接する面である第1面と接する第1ローラーと、媒体の前記第1面に対し反対の第2面と接するローラーであって、前記第1ローラーとの間で媒体をニップ可能な第1状態と前記第1状態よりも前記第1ローラーから離間する第2状態とを切り換え可能な第2ローラーと、を備え、前記第2ローラーの状態切り換えを制御する制御部は、前記第2ローラーを前記第2状態とした状態で媒体を前記送り込みローラーによって前記処理トレイに送り込んで載置し、前記第2ローラーを前記第2状態から前記第1状態に切り換えて前記処理トレイに載置された媒体を前記排出ローラー対によって排出する第1モードと、前記第2ローラーの前記第1状態を維持しながら前記送り込みローラーと前記排出ローラー対とによって媒体を前記処理トレイに載置せずに排出する第2モードと、を切り換え可能であることを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、前記制御部が前記第1モードを実行する場合、媒体を前記処理トレイに載置して前記処理部による処理が可能な状態とすることができる。本明細書において媒体が前記処理トレイに載置されるとは、前記処理トレイ上で媒体が一時的に停止して滞留した状態が生じることを意味する。
また前記制御部が前記第2モードを実行する場合、前記送り込みローラーによって前記処理トレイに送り込まれる媒体は前記処理部によって処理する為に前記処理トレイに載置されず、そのまま排出される。以上により、前記処理部によって処理を行わず媒体をそのまま排出したいというユーザーニーズに応えることができる。
また前記第1モードでは、媒体を排出する度に前記第2ローラーの前記第1ローラーに対する進退動作が介在するのに対し、前記第2モードでは、媒体を排出する度に前記第2ローラーが前記第1ローラーに対して進退動作せず、動作音を抑制でき、動作音の静かな媒体処理装置を提供することができる。
【0012】
第2の態様は、第1の態様において、前記処理トレイに載置された媒体の搬送方向の後端を整合する後端整合部と、前記処理トレイに載置された媒体の、前記搬送方向と交差する幅方向の側端を整合する側端整合部と、を備え、前記第1モードでは、媒体が前記処理トレイに送り込まれた後、前記後端整合部による前記後端の整合と前記側端整合部とによる前記側端の整合とが行われ、前記第2モードでは、前記後端整合部による前記後端の整合と前記側端整合部とによる前記側端の整合とが行われないことを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、前記第2モードでは、前記後端整合部による前記後端の整合と前記側端整合部とによる前記側端の整合とが行われないことから、装置の動作音をより一層抑制できる。
【0014】
第3の態様は、第2の態様において、前記第2ローラーを備えるユニットであって、前記第2ローラーを前記第1状態とする進出状態と、前記第2ローラーを前記第2状態とする退避状態と、に切り換え可能な可動ユニットを備え、前記可動ユニットは、前記処理トレイと対向する位置に配置される部材であって、前記可動ユニットが前記退避状態にある際に媒体を前記後端整合部に案内する案内状態と、前記案内状態よりも前記処理トレイから離間した離間状態と、に切り換え可能な案内部材を備えることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、前記案内部材により、媒体を適切に前記後端整合部に案内することができる。
尚、本態様は上記第2の態様に限らず、上記第1の態様に適用しても良い。
【0016】
第4の態様は、第3の態様において、前記送り込みローラーによって前記処理トレイに送り込まれる媒体に対し、前記幅方向に沿った湾曲を付与する湾曲付与手段を備えることを特徴とする。
本態様によれば、前記送り込みローラーによって前記処理トレイに送り込まれる媒体に対し、前記幅方向に沿った湾曲を付与する湾曲付与手段を備えることから、前記処理トレイに送り込まれる媒体が前記処理トレイへの送り込み方向に沿ってカールすることを抑制でき、媒体を適切に前記処理トレイに送り込むことができる。
尚、本態様は上記第3の態様に限らず、上記第1のまたは第2の態様に適用しても良い。
【0017】
第5の態様は、第4の態様において、前記湾曲付与手段は、媒体の前記第1面と接して従動回転する従動ローラーと、媒体の前記第2面と接するシート材であって、前記幅方向において前記従動ローラーに対し位置をずらして配置されるシート材と、を備えることを特徴とする。
本態様によれば、前記湾曲付与手段は、前記従動ローラーと、前記シート材とで媒体に湾曲を付与する構成である為、前記湾曲付与手段を構造簡単にして低コストに構成できる。
【0018】
第6の態様は、第5の態様において、前記従動ローラーと前記シート材は、前記幅方向において媒体の中心位置を挟んで両側に位置し、前記シート材は、前記従動ローラーより前記中心位置から遠い場所に位置し、前記案内部材は、前記幅方向において、前記中心位置を挟んで両側に設けられ、更に前記案内部材は、前記制御部による制御のもと、前記幅方向に沿って移動可能であり、前記制御部は、前記幅方向における媒体のサイズが前記シート材と接するサイズである場合、媒体を前記送り込みローラーにより前記処理トレイへ送り込む前に、前記案内部材を前記シート材と重なる位置または前記シート材よりも前記中心位置から遠い位置に配置することを特徴とする。
【0019】
前記湾曲付与手段によって媒体に湾曲が付与される構成では、媒体が浮き上がり、媒体の先端が前記案内部材に衝突してジャムとなる虞がある。
ここで媒体は前記幅方向において前記シート材の位置、或いは前記シート材より前記中心位置から遠い位置では、前記シート材によって媒体の浮き上がりが抑制されることとなる。そこで前記制御部は、前記幅方向における媒体のサイズが前記シート材と接するサイズである場合、媒体を前記送り込みローラーにより前記処理トレイへ送り込む前に、前記案内部材を前記シート材と重なる位置または前記シート材よりも前記中心位置から遠い位置に配置することから、媒体の先端において浮き上がった部分が前記案内部材に衝突してジャムとなることを抑制できる。
【0020】
第7の態様は、第2の態様において、前記制御部は、前記第2モードが選択されている場合において、媒体の記録デューティが予め定められた閾値を超える場合、前記第2モードをキャンセルして前記第1モードを実行することを特徴とする。
【0021】
媒体の記録デューティが予め定められた閾値を超える場合、媒体がカールし易く、前記第2モードによって媒体をそのまま排出すると前記排出ローラー対による媒体の排出先で積載状態が乱れる虞がある。
本態様によれば、前記制御部は、前記第2モードが選択されている場合において、媒体の記録デューティが予め定められた閾値を超える場合、前記第2モードをキャンセルして前記第1モードを実行することから、前記排出ローラー対による媒体の排出先で積載状態が乱れることを抑制することができる。
尚、本態様は上記第2の態様に限らず、上記第3から第6の態様のいずれかに適用しても良い。
【0022】
第8の態様は、第2の態様において、前記制御部は、前記第2モードが選択されている場合において、媒体を排出した枚数が予め定められた枚数を超える場合、前記第2モードをキャンセルして前記第1モードを実行することを特徴とする。
【0023】
媒体を排出した枚数が予め定められた枚数を超えて、引き続き前記第2モードによって媒体をそのまま排出すると、前記排出ローラー対による媒体の排出先で積載状態が乱れる虞がある。
本態様によれば、前記制御部は、前記第2モードが選択されている場合において、媒体を排出した枚数が予め定められた枚数を超える場合、前記第2モードをキャンセルして前記第1モードを実行することから、前記排出ローラー対による媒体の排出先で積載状態が乱れることを抑制することができる。
尚、本態様は上記第2の態様に限らず、上記第3から第7の態様のいずれかに適用しても良い。
【0024】
第9の態様は、第1の態様において、各種操作を行う為の操作部を介し、前記第1モードと前記第2モードとを選択可能であることを特徴とする。
本態様によれば、各種操作を行う為の操作部を介し、前記第1モードと前記第2モードとを選択可能であることから、前記第1モードと前記第2モードとを操作性容易に選択することができる。
尚、本態様は上記第1の態様に限らず、上記第2から第8の態様のいずれかに適用しても良い。
【0025】
第10の態様に係る記録システムは、媒体に記録を行う記録部を備えた記録装置と、前記記録装置によって記録された媒体に処理を行う、第1から第9の態様のいずれかに係る前記媒体処理装置と、を備えることを特徴とする。
本態様によれば、記録システムにおいて、上述した第1から第9の態様のいずれかの作用効果が得られる。
【0026】
第11の態様は、第10の態様において、前記記録部は、媒体に液体を吐出して記録を行うことを特徴とする。
本態様によれば、前記記録部が、媒体に液体を吐出して記録を行う構成において、上述した第1から第9の態様のいずれかの作用効果が得られる。
【0027】
第12の態様に係る媒体処理装置の制御方法は、媒体に処理を行う処理部と、前記処理が行われる媒体が載置される処理トレイと、記処理トレイに媒体を送り込む送り込みローラーと、前記処理トレイから媒体を排出する排出ローラー対と、を備え、前記排出ローラー対は、媒体が前記処理トレイと接する面である第1面と接する第1ローラーと、媒体の前記第1面に対し反対の第2面と接するローラーであって、前記第1ローラーとの間で媒体をニップ可能な第1状態と前記第1状態よりも前記第1ローラーから離間する第2状態とを切り換え可能な第2ローラーと、を備えた媒体処理装置の制御方法であって、第1モード及び第2モードのいずれかを選択する手順を含み、前記第1モードは、前記第2ローラーを前記第2状態とした状態で媒体を前記送り込みローラーによって前記処理トレイに送り込んで載置し、前記第2ローラーを前記第2状態から前記第1状態に切り換えて前記処理トレイに載置された媒体を前記排出ローラー対によって排出するモードであり、前記第2モードは、前記第2ローラーの前記第1状態を維持しながら前記送り込みローラーと前記排出ローラー対とによって媒体を前記処理トレイに載置せずに排出するモードであることを特徴とする。
【0028】
本態様によれば、前記第1モードを実行する場合、媒体を前記処理トレイに載置して前記処理部による処理が可能な状態とすることができる。また前記第2モードを実行する場合、前記送り込みローラーによって前記処理トレイに送り込まれる媒体は前記処理部によって処理する為に前記処理トレイに載置されず、そのまま排出される。以上により、前記処理部によって処理を行わず媒体をそのまま排出したいというユーザーニーズに応えることができる。
また前記第1モードでは、媒体を排出する度に前記第2ローラーの前記第1ローラーに対する進退動作が介在するのに対し、前記第2モードでは、媒体を排出する度に前記第2ローラーが前記第1ローラーに対して進退動作せず、動作音を抑制できる。
【0029】
以下、本発明を具体的に説明する。
以下では本発明の一実施形態に係る媒体処理装置30、及び記録システム1を説明する。
各図においてX軸方向は、媒体処理装置30及び記録システム1の装置奥行き方向ある。X軸方向のうち+X方向は装置背面から装置前面に向かう方向であり、-X方向は装置前面から装置背面に向かう方向である。また、X軸方向は媒体幅方向の一例である。
Y軸方向は、媒体処理装置30及び記録システム1の装置幅方向であり、Y軸方向のうち+Y方向は装置前面と向き合うユーザーから見て左方向となり、-Y方向は右方向となる。
Z軸方向は、媒体処理装置30及び記録システム1の装置高さ方向であり、鉛直方向であって、+Z方向は鉛直上方であり、-Z方向は鉛直下方である。以後の説明では、+Z方向を単に上方、-Z方向を単に下方と称する場合がある。
【0030】
図1に示されるように記録システム1は、記録装置10と媒体処理装置30とを備える。本実施形態に係る記録装置10は、記録用紙に代表される媒体に対して、液体の一例であるインクを吐出することで記録を行うインクジェットプリンターであり、記録部の一例であるラインヘッド18を備えている。また記録装置10は、装置上部にスキャナーユニット12を備えた所謂複合機である。
但し記録装置10はインクジェットプリンターに限られず、例えばレーザープリンター、熱転写プリンター、ドットインパクトプリンターなどの他の方式より記録を行う装置であっても良い。
【0031】
記録装置10は、本体部14と、媒体を収容する媒体収容部16と、媒体を搬送する不図示の媒体搬送部と、媒体に記録を行うラインヘッド18と、媒体が排出される胴内排出部22と、媒体処理装置30へ媒体を搬送する中継ユニット24と、記録装置10並びに媒体処理装置30の制御を行う制御部20とを備える。本体部14の内部には、媒体が搬送される搬送経路TAが設けられている。
【0032】
本体部14の上部には、各種操作を行う為の操作部11が設けられている。制御部20は操作部11を介して設定された各種設定情報、及び操作部11を介して指示された実行指令に基づき、各種制御を行う。操作部11は、一例としてタッチパネルと各種ボタンとで構成できる。但し制御部20は、記録システム1にアクセス可能な外部コンピュータ(不図示)から送信される情報に基づいて、各種設定や各種実行指令を受け付け可能であることは勿論である。
制御部20は、不図示のCPU、RAMや不揮発性メモリ等を備えており、以降説明する各種制御を実現するプログラムや当該プログラムの実行に必要な各種パラメーターは、上記不揮発性メモリに格納されている。
尚、本実施形態において制御部20は記録装置10に設けられるが、媒体処理装置30に設けられていても良い。
【0033】
ラインヘッド18は、媒体のX軸方向の全域に対応して配置された不図示の複数のインク吐出ノズルを有する。ラインヘッド18は、不図示のインクタンクから供給されたインクを複数のインク吐出ノズルから媒体に向けて吐出させることで、媒体に記録を行う。
【0034】
記録装置10で記録の行われた媒体は、中継ユニット24を介して媒体処理装置30へと送られる。媒体処理装置30は、装置本体32と、装置本体32の内部に設けられる処理トレイ42と、処理部の一例であるステープラー34と、装置本体32の外側に設けられるメイントレイ33とを備える。
中継ユニット24から装置本体32に受け渡された媒体は、装置本体32内部の搬送経路TBを搬送されて、処理トレイ42へと送り込まれる。
【0035】
以下、主として
図2、
図3、
図8を参照し更に適宜その他の図をも参照して媒体処理装置30の構成について更に説明する。以下において媒体は符号Pを付して媒体Pと称する。また複数枚の媒体Pから成る媒体の束は符号Ptを付して媒体束Ptと称する。また媒体Pにおいて処理トレイ42の支持面42aと接する面を第1面と称し、反対側の面を第2面と称する場合がある。処理トレイ42には、一枚の媒体P、或いは媒体束Ptが載置される。
尚、処理トレイ42の支持面42aに沿った方向をA軸方向とし、A軸方向のうち+A方向が処理トレイ42から媒体束Ptを排出する排出方向である。以下、+A方向を単に排出方向と称する場合がある。+A方向は、本実施形態では+Z方向成分と-Y方向成分とを含んだ方向である。また-A方向は、処理トレイ42上の媒体Pが後端整合部39に向けて引き戻される方向である。
またX軸方向から見てA軸方向と直交する方向をB軸方向とする。
【0036】
処理トレイ42に送り込まれる媒体Pは、上ガイド部材35aと下ガイド部材35bとの間を通り、送り込みローラー46に達する。上ガイド部材35aと下ガイド部材35bは、搬送経路TBの一部を構成しており、処理トレイ42に向けて延びる。即ち搬送経路TBの一部は、上ガイド部材35aと下ガイド部材35bとの間に形成される。上ガイド部材35aと下ガイド部材35bとの間に沿って-Y方向に搬送される媒体Pは、送り込みローラー46によって処理トレイ42に送り込まれる。符号46aは、送り込みローラー46の回転軸である。また符号47は、送り込みローラー46との間で媒体Pをニップする従動ローラーである。送り込みローラー46は媒体Pの第2面に接し、従動ローラー47は媒体Pの第1面に接する。
送り込みローラー46は、制御部20による制御のもと第1駆動部71(
図8)により駆動される。第1駆動部71は、一例としてモーターと歯車等で構成できる。
【0037】
送り込みローラー46は、本実施形態では
図7に示す様にX軸方向即ち媒体幅方向において中心位置CLを挟んで両側に、中心位置CLに対する距離が等しくなる様に配置されている。中心位置CLは、媒体Pのサイズに拘わらず媒体Pの幅方向中心となる位置である。
【0038】
図2及び
図3に戻り、送り込みローラー46によって処理トレイ42に送り込まれる媒体Pは、制御部20が行う第1モードと第2モードとで扱いが異なる。
第1モードと第2モードについては後に改めて説明するが、第1モードは媒体Pを処理トレイ42に載置して整合し、また必要に応じてステープラー34による綴じ処理を行ってから後述する下支えトレイ60に排出するモードである。
また第2モードは、媒体Pを処理トレイ42に載置せずに、更に下支えトレイ60にも載置せずにそのままメイントレイ33へ排出するモードである。尚、本実施例において媒体Pが処理トレイ42に載置されるとは、処理トレイ42上で媒体Pが-A方向即ち排出方向とは反対の方向に移動し、一時的に処理トレイ42上で滞留することを意味する。
【0039】
以下、第1モードを実行する場合の処理を例にして媒体処理装置30の構成を更に説明する。処理トレイ42に送り込まれた媒体Pは、引き戻し部44によって後端整合部39に向けて-A方向に引き戻される。引き戻し部44は、第1パドル48と、第2パドル54とを含んで構成される。
【0040】
第1パドル48は、ゴム材等の弾性材から成り、X軸方向に延びる回転軸49を中心に回転可能に設けられている。第1パドル48は不図示のモーターにより
図2の時計回り方向に駆動されることで、処理トレイ42に送り込まれた媒体Pの第2面に-A方向の送り力を付与する。
第2パドル54も第1パドル48と同様に、ゴム材等の弾性材から成り、X軸方向に延びる回転軸55を中心に回転可能に設けられている。第2パドル54は不図示のモーターにより
図2の時計回り方向に駆動されることで、処理トレイ42に送り込まれた媒体Pの第2面に-A方向の送り力を付与する。
引き戻し部44は、制御部20による制御のもと第6駆動部76(
図8)により駆動される。第6駆動部76は、一例としてモーターと歯車等で構成できる。
【0041】
処理トレイ42に対して-A方向には後端整合部39が設けられている。後端整合部39は、B軸方向に平行な整合面39aを有し、処理トレイ42上の媒体Pの後端Peが整合面39aに突き当たることで、後端Peが整合される。以下ではこれを、後端整合処理と称する場合がある。
尚、処理トレイ42の排出方向寸法より大きいサイズの媒体Pは、先端が処理トレイ42から+A方向に突出し、突出した先端は下支えトレイ60によって支持される。
【0042】
側端整合部としてのサイドカーソル58はX軸方向に移動可能に設けられており、処理トレイ42に支持された媒体P或いは媒体束PtのX軸方向の端部に当接することで、当該端部を整合する。以下ではこれを、側端整合処理と称する場合がある。
サイドカーソル58は、制御部20による制御のもと第5駆動部75(
図8)により駆動される。第5駆動部75は、一例としてモーターとベルト駆動機構で構成できる。
サイドカーソル58は
図7に示す様にX軸方向即ち媒体幅方向において中心位置CLを挟んで両側に、中心位置CLに対する距離が等しくなる様に配置されている。二つのサイドカーソル58は、制御部20による制御のもと、互いに接近し或いは離間する様に設けられている。二つサイドカーソル58は、一つのモーターで駆動しても良いし、別々のモーターで個別に駆動しても良い。
【0043】
図2及び
図3に戻り、後端整合部39の近傍にはフラップ37が設けられている。フラップ37は、X軸方向に延びる軸部37aを中心に揺動可能に設けられる。フラップ37は、処理トレイ42上の媒体P或いは媒体束Ptを後端整合部39の近傍において下方向に向けて押し付ける。
【0044】
処理トレイ42と対向する位置には、案内部材36が設けられている。案内部材36は、X軸方向に延びる軸であって後述する排出従動ローラー67の軸67aを中心に揺動可能に設けられ、揺動することにより、媒体Pを後端整合部39に案内する案内状態と、案内状態よりも処理トレイ42から離間した離間状態とを切り換える。
案内部材36は、制御部20による制御のもと第3駆動部73(
図8)により揺動駆動される。第3駆動部73は、一例としてモーターと歯車等で構成でき、或いはソレノイド等の他のアクチュエータにより構成できる。
【0045】
図2において実線で示す案内部材36は離間状態にある案内部材36を示し、二点鎖線及び符号36-2は案内状態にある案内部材36を示している。案内部材36の案内状態と離間状態との切り換えは、
図2に示す様に後述する排出従動ローラー67が排出駆動ローラー66から離間した状態、即ち排出ローラー対65が媒体P或いは媒体束Ptを排出しない状態で行われる。
【0046】
送り込みローラー46の上流には媒体検出部70が設けられており、案内部材36の状態を制御する制御部20は、媒体検出部70の検出情報をもとに、媒体Pの後端Peが送り込みローラー46を通過した後に案内部材36を離間状態から案内状態へ切り換え、媒体Pを処理トレイ42に向けて叩き落す。
また案内部材36は、処理トレイ42上において後端整合部39に向けて送られる媒体Pを後端整合部39へ案内する。これにより処理トレイ42に向けて送り込まれる媒体Pの後端Peが適切に後端整合部39に突き当たる。
【0047】
尚、案内部材36は、
図7に示す様にX軸方向即ち媒体幅方向において中心位置CLを挟んで両側に、中心位置CLに対する距離が等しくなる様に配置されている。二つの案内部材36は、制御部20による制御のもと第4駆動部74(
図8)によりX軸方向即ち媒体幅方向に移動可能であり、また二つの案内部材36は互いに接近し或いは離間する様に移動する。第4駆動部74は、一例としてモーターとベルト駆動機構で構成できる。二つの案内部材36は、一つのモーターで駆動しても良いし、別々のモーターで個別に駆動しても良い。
【0048】
図2及び
図3に戻り、処理トレイ42に対し+A方向には処理トレイ42に支持された媒体P或いは媒体束Ptを+A方向に排出する排出ローラー対65が設けられている。排出ローラー対65は、処理トレイ42に支持された媒体P或いは媒体束Ptの上方から媒体P或いは媒体束Ptに接触可能な排出従動ローラー67、及び処理トレイ42に支持された媒体P或いは媒体束Ptの下方から接触可能な排出駆動ローラー66を備えている。排出駆動ローラー66は媒体Pの第1面に接する第1ローラーの一例であり、排出従動ローラー67は媒体Pの第2面に接する第2ローラーの一例である。
排出駆動ローラー66は、制御部20による制御のもと第7駆動部77(
図8)により駆動される。第7駆動部77は、一例としてモーターと歯車等で構成できる。
排出従動ローラー67は、媒体P或いは媒体束Ptに接して従動回転する。
【0049】
排出従動ローラー67は、
図3に示す様に排出駆動ローラー66に進出して媒体P或いは媒体束Ptに接する状態、即ち排出駆動ローラー66との間で媒体P或いは媒体束Ptをニップ可能な第1状態と、
図2に示す様に媒体P或いは媒体束Ptから離間する第2状態とを切り換え可能である。
排出従動ローラー67は、案内部材36とともに可動ユニット43に設けられている。可動ユニット43は、送り込みローラー46の回転軸46aを中心に回転可能に設けられている。可動ユニット43は、制御部20による制御のもと第2駆動部72(
図8)により回転駆動される。第2駆動部72は、一例としてモーターと歯車等で構成でき、或いはソレノイド等の他のアクチュエータにより構成できる。
可動ユニット43が回転することで、排出従動ローラー67は第1状態と第2状態とを切り換える。
【0050】
排出ローラー対65は、処理トレイ42に支持された媒体P或いは媒体束Ptを、下支えトレイ60に向けて排出する。尚、本実施形態において媒体処理装置30により行われる処理はステープラー34による綴じ処理であるが、これに限られず、媒体P或いは媒体束Ptにパンチ孔を穿孔するパンチ処理、媒体束Ptを中綴じする中綴じ処理、媒体幅方向において媒体P或いは媒体束Ptの排出位置を交互にずらして排出するシフト排出処理等であっても良い。また媒体処理装置30による処理を行わずに媒体P或いは媒体束Ptを排出し、メイントレイ33に媒体P或いは媒体束Ptを所謂棒積みしても良い。
【0051】
下支えトレイ60は、
図4に示す様にX軸方向即ち媒体幅方向に間隔を空けて設けられた第1移動トレイ60Aと第2移動トレイ60Bとで構成される。下支えトレイ60、即ち第1移動トレイ60Aと第2移動トレイ60Bは一対の媒体支持部の一例である。第1移動トレイ60Aは媒体束Ptに対して+X方向に位置し、第2移動トレイ60Bは媒体束Ptに対して-X方向に位置する。第1移動トレイ60Aと第2移動トレイ60Bは、いずれも媒体束PtのX軸方向端部をB軸方向で挟む様な形状を成している。
【0052】
第1移動トレイ60Aと第2移動トレイ60Bは、制御部20による制御のもと第8駆動部78(
図8)によりX軸方向に駆動される。第8駆動部78は、一例としてモーターとベルト駆動機構で構成できる。第1移動トレイ60Aと第2移動トレイ60Bは、一つのモーターで駆動しても良いし、別々のモーターで個別に駆動しても良い。
図4において下支えトレイ60は、第1移動トレイ60Aと第2移動トレイ60Bとが互いに逆方向に移動することで開閉する。具体的には、下支えトレイ60は第1移動トレイ60Aと第2移動トレイ60Bとが互いに離間することで開き、第1移動トレイ60Aと第2移動トレイ60Bとが互いに接近することで閉じる。X軸方向において、第1移動トレイ60Aと中心位置CLとの距離、及び第2移動トレイ60Bと中心位置CLとの距離は、常に同じである。
【0053】
尚、下支えトレイ60が閉じるとは、X軸方向における第1移動トレイ60Aと第2移動トレイ60Bとの間隔が、
図4の一番上の図に示す様に媒体束Ptを支持できる間隔となることを意味する。また下支えトレイ60が開くとは、
図4の上から二番目の図に示す様にX軸方向における第1移動トレイ60Aと第2移動トレイ60Bとの間隔が、媒体束Ptを支持せずメイントレイ33に落下させる間隔となることを意味する。
【0054】
排出ローラー対65によって処理トレイ42から排出される媒体束Ptは、
図4の一番上の図に示す様に閉じた状態の下支えトレイ60によって一時的に支持される。そして
図4の一番上から二番目の図に示す様に下支えトレイ60が開くことで、下支えトレイ60に支持された媒体束Ptがメイントレイ33に落下する。媒体束Ptがメイントレイ33に落下すると、
図4の一番下の図に示す様に下支えトレイ60は閉じる。下支えトレイ60が閉じると、メイントレイ33は次の媒体束Ptを支持する為に下方に移動する。
この様な下支えトレイ60を備えることにより、メイントレイ33上での媒体束Ptの積載状態を良好にすることができる。
【0055】
メイントレイ33は、下支えトレイ60が開くことによって落下する媒体P或いは媒体束Ptを積載する積載部の一例である。メイントレイ33は、制御部20による制御のもと第9駆動部79(
図8)によりZ軸方向に駆動される。第9駆動部79は、一例としてモーターと直動機構で構成できる。制御部20は、メイントレイ33に媒体P或いは媒体束Ptが積載されるのに応じて、メイントレイ33を下降させる。
尚、上述した第1駆動部71、第2駆動部72、第3駆動部73、第4駆動部74、第5駆動部75、第6駆動部76、第7駆動部77、第8駆動部78、第9駆動部79、のこれらは、全て個別に構成されていても良いし、適宜兼用されていても良い。特にモーター等の駆動源は、適宜共通にしても良い。
【0056】
尚、
図2、
図3に示す様に下支えトレイ60における、-A方向の端部60cは、処理トレイ42における、+A方向の端部42bより下方に位置する。即ち処理トレイ42と下支えトレイ60との間には段差が設けられている。このことにより、処理トレイ42から媒体束Ptを下支えトレイ60に排出する際に、媒体束Ptが下支えトレイ60に移動し易くなる。
【0057】
次に、媒体搬送方向において送り込みローラー46の近傍に設けられた湾曲付与手段50について説明する。
図2、
図3において湾曲付与手段50は表れておらず、
図5、
図6に示されている。湾曲付与手段50は、送り込みローラー46によって処理トレイ42に送り込まれる媒体Pに対し、媒体幅方向に沿った湾曲を付与する手段である。湾曲付与手段50により、処理トレイ42に送り込まれる媒体Pが送り込み方向(Y軸方向)に沿ってカールすることを抑制でき、媒体Pを適切に処理トレイ42に送り込むことができる。
【0058】
本実施形態において湾曲付与手段50は、媒体Pの第1面と接して従動回転する従動ローラー51と、媒体Pの第2面と接するシート材であって、媒体幅方向において従動ローラー51に対し位置をずらして配置されるシート材52と、で構成される。これにより、湾曲付与手段50を構造簡単にして低コストに構成できる。
但し湾曲付与手段50はこの様な構成に限られず、媒体幅方向に沿った湾曲を媒体Pに付与するものであればどの様なものでも良い。
【0059】
従動ローラー51は、
図6に示す様に媒体幅方向において中心位置CLを挟んで両側に、中心位置CLに対する距離が等しくなる様に配置されている。
またシート材52も同様に、媒体幅方向において中心位置CLを挟んで両側に、中心位置CLに対する距離が等しくなる様に配置されている。
シート材52は、従動ローラー51より中心位置CLから遠い場所に配置されている。
【0060】
シート材52は、弾性変形可能なシート材であり、一例としてPET(ポリエチレンテレフタレート)シートにより形成されている。
図5に示す様に媒体幅方向から見て従動ローラー51とシート材52は重なる様に配置されている。また送り込みローラー46と従動ローラー47(
図2、
図3参照)とによる媒体Pのニップ位置は、媒体Pが従動ローラー51と接する位置よりも低い。
この様な構成により、媒体Pが通過する際、
図6の破線で示す様に媒体Pに媒体幅方向に沿った湾曲が付与され、媒体送り込み方向における媒体Pの剛性が向上してカールが抑制される。
【0061】
次に、制御部20が実行する第1モードと第2モードについて説明する。
第1モードは、排出従動ローラー67を第2状態(
図2参照)とした状態で媒体Pを送り込みローラー46によって処理トレイ42に送り込んで載置し、後端整合部39による後端整合処理とサイドカーソル58による側端整合処理とを実行し、更に必要に応じてステープラー34による綴じ処理を実行した後、排出従動ローラー67を第2状態から第1状態(
図3参照)に切り換えて処理トレイ42に載置された媒体P或いは媒体束Ptを排出ローラー対65によって排出するモードである。
但し第1モードにおいて後端整合処理と側端整合処理のいずれか一方のみを行っても良い。
【0062】
第2モードは、排出従動ローラー67の第1状態(
図3参照)を維持しながら送り込みローラー46と排出ローラー対65とによって媒体Pを処理トレイ42に載置せずに排出するモードである。従って第2モードでは、後端整合部39による後端整合処理、サイドカーソル58による側端整合処理、ステープラー34による綴じ処理、のこれら全てが行われない。また第2モードでは、一枚の媒体Pが処理トレイ42に載置されずに連続して排出される為、複数枚の媒体Pから成る媒体束Ptが第2モードによって排出されることはない。
【0063】
本実施例において第1モードと第2モードは、操作部11(
図1参照)を介してユーザーが選択可能に構成されている。但し第1モードと第2モードは記録システム1にアクセス可能な外部コンピュータ(不図示)を介して選択可能であっても良い。
【0064】
以下、
図9~
図11も参照して更に説明する。
図9は、制御部20によるモード決定処理の一例を示している。制御部20は、記録装置10による記録実行指令を受けた際、媒体処理装置30において第1モードと第2モードのいずれを実行するかを決定する。
先ず制御部20は、操作部11(
図1参照)によって設定された情報、或いは外部コンピュータ(不図示)から送信された情報に基づき、第2モードが選択されているかを判断する(ステップS101)。第2モードが選択されていなければ(ステップS101においてNo)、制御部20は第1モードを選択する(ステップS104)。
【0065】
第2モードが選択されている場合(ステップS101においてYes)、制御部20は、記録情報に基づき記録デューティが第1閾値未満であるかを判断する(ステップS102)。第1閾値は、制御部20が備える不揮発性メモリ(不図示)に保存されている。尚、ステップS102での記録デューティは、複数ページの記録を行う場合、最大値が選択される。
ここで記録デューティとは、記録面の単位面積当たりをインクが覆う割合であり、例えば、50%の記録デューティであれば、記録面の単位面積の50%がインクで覆われることとなる。但し記録デューティは、単位面積当たりに形成可能なドットに対し実際に形成されたドットの割合としても良い。
【0066】
記録デューティが第1閾値未満である場合(ステップS102においてYes)、制御部20は、要求通りに第2モードを選択する(ステップS103)。また記録デューティが第1閾値以上である場合(ステップS102においてNo)、制御部20は、第2モードが選択されていてもこれをキャンセルして第1モードを選択する(ステップS104)。
これは、後述する第2モードでは処理トレイ42上で媒体Pの整合が行われずメイントレイ33にそのまま排出される為、記録デューティが高いと、カールによってメイントレイ33上での積載状態が乱れる虞がある為である。
この様に制御部20は、第2モードが選択されている場合において、媒体Pの記録デューティが予め定められた閾値である第1閾値を超える場合、第2モードをキャンセルして第1モードを実行することから、排出ローラー対65による媒体の排出先で積載状態が乱れることを抑制することができる。
尚、第1閾値は一例として記録デューティ20%を採用できる。
【0067】
続いて
図10を参照して第1モードについて説明する。第1モードでは、制御部20は送り込みローラー46によって媒体Pを処理トレイ42へ送り込み(ステップS201)、案内部材36を離間状態(
図2の実線)から案内状態(
図2の二点鎖線及び符号36-2)へ切り換える(ステップS202)。
そして制御部20は、後端整合処理を行い(ステップS203)、更に側端整合処理を行う(ステップS204)。後端整合処理は、上述した様に引き戻し部44によって媒体Pの後端Peを後端整合部39に突き当てる処理である。また側端整合処理は、上述した様にサイドカーソル58によって媒体Pの側端を整合する処理である。
【0068】
次いで制御部20は、案内部材36を案内状態(
図2の二点鎖線及び符号36-2)から離間状態(
図2の実線)へ切り換える(ステップS205)。
そして次ページを処理トレイ42に積載する場合(ステップS206においてYes)、ステップS201以降を再び実行する。
次ページを処理トレイ42に積載しない場合であって(ステップS206においてNo)、ステープラー34による処理(綴じ処理)を実行する場合(ステップS207においてYes)、ステープラー34による処理(綴じ処理)を実行する(ステップS208)。
【0069】
ステープラー34による処理(綴じ処理)を実行しない場合(ステップS207においてNo)、或いはステープラー34による処理(綴じ処理)が完了した場合(ステップS208)、可動ユニット43を退避状態(
図2の状態)から進出状態(
図3の状態)へ切り換え、即ち排出従動ローラー67を第2状態(
図2の状態)から第1状態(
図3の状態)へと切り換える(ステップS209)。即ち排出従動ローラー67を第2状態から第1状態へ切り換える。
これにより排出ローラー対65による媒体P或いは媒体束Ptの排出が可能となる為、排出駆動ローラー66を駆動して媒体P或いは媒体束Ptを下支えトレイ60へ排出する(ステップS210)。
そして可動ユニット43を進出状態(
図3の状態)から退避状態(
図2の状態)へ切り換え、即ち排出従動ローラー67を第1状態(
図3の状態)から第2状態(
図2の状態)へと切り換える(ステップS211)。即ち排出従動ローラー67を第1状態から第2状態へ切り換える。
そして次ジョブがある場合、即ち引き続き以降の媒体Pを処理トレイ42に送り込む場合は(ステップS212においてYes)、ステップS201以降を再び実行する。
尚、第1モードにおける下支えトレイ60の動作については、
図4を参照しつつ説明した動作となる。
【0070】
次に、
図11を参照して第2モードについて説明する。
第2モードでは、制御部20は記録情報に含まれる媒体サイズに基づき、媒体幅が幅Wd以上かを判断する(ステップS301)。幅Wdは、本実施例では
図7に示す様にシート材52の配置間隔である。
そして媒体幅が幅Wd以上である場合(ステップS301においてYes)、案内部材36をX軸方向即ち媒体幅方向に移動し、具体的には媒体幅方向において設定された退避位置に移動する(ステップS302)。案内部材36の退避位置は、一例として
図7において二点鎖線及び符号36-5で示す位置である。
媒体幅が幅Wd未満である場合(ステップS301においてNo)、案内部材36は
図7の実線で示す位置に留まる。尚、
図7の実線で示す案内部材36の位置は、案内部材36のホームポジションであり、案内部材36は通常ホームポジションに位置している。
【0071】
ここで、
図5、
図6を参照して媒体幅に基づいた案内部材36の配置について説明する。上述した様に湾曲付与手段50によって媒体Pには媒体幅方向に沿った湾曲が付与される。
図6において符号Puは、湾曲が付与された結果、上方に膨らむ膨らみ部位を示している。
図6に示す案内部材36は断面を示しており、ホームポジションに位置している。湾曲付与手段50によって媒体Pに膨らみ部位Puが形成されると、当該膨らみ部位Puが、ホームポジションに位置する案内部材36に引っ掛かり、ジャムとなる虞がある。
【0072】
また特に、第2モードでは可動ユニット43が進出状態(
図3の状態)のまま媒体Pが送り込みローラー46によって処理トレイ42へ送り込まれる為、上述のジャムがより一層生じ易くなる。即ち、
図5において実線で示す案内部材36は、
図2の実線で示す案内部材36に対応しており、可動ユニット43が退避状態にあって且つ案内部材36が離間状態にある場合の案内部材36の位置である。また
図5において二点鎖線及び符号36-3は、上記の状態から可動ユニット43が進出状態に切り換わった場合の案内部材36の位置であり、
図3の実線で示す案内部材36に対応している。尚、第2モードにおいて案内部材36は、可動ユニット43において上昇した状態を維持し、
図2を参照して説明した離間状態と案内状態との切り換えは行われない。
図5に示す様に案内部材36は、可動ユニット43が退避状態から進出状態に切り換わると上流端(+Y方向の端部)が僅かに下降する為、媒体Pの先端が案内部材36に引っ掛かり易くなる。
【0073】
ここで媒体Pは、シート材52によって上方への移動が規制される為、幅方向においてシート材52の位置或いはシート材52より中心位置CLから遠い位置では、シート材52によって浮き上がりが抑制されることとなる。そこで制御部20は、媒体幅方向における媒体Pのサイズがシート材52と接するサイズである場合(ステップS301においてYes)、媒体Pを送り込みローラー46により処理トレイ42へ送り込む前に、案内部材36をホームポジションから退避位置へと移動させる(ステップS302)。これにより媒体Pの先端において浮き上がった部位即ち膨らみ部位Puが案内部材36に衝突してジャムとなることを抑制できる。
尚、案内部材36の退避位置は、シート材52と重なる位置またはシート材52よりも中心位置CLから遠い位置であれば良い。案内部材36が媒体幅方向においてシート材52と重なるとは、媒体幅方向において案内部材36の少なくとも一部とシート材52の少なくとも一部とが同じ場所に位置することを意味する。但し案内部材36の一部が、媒体幅Wdの範囲内に入らない様にすることがより一層好適である。
【0074】
次いで制御部20は可動ユニット43を退避状態(
図2の状態)から進出状態(
図3の状態)へ切り換え、即ち排出従動ローラー67を第2状態(
図2の状態)から第1状態(
図3の状態)へと切り換える(ステップS303)。
そしてその状態で、送り込みローラー46によって媒体Pを処理トレイ42へ送り込みながら、排出駆動ローラー66を駆動して媒体Pをメイントレイ33へ排出する(ステップS304)。
尚、第2モードでは、サイドカーソル58は最大サイズの媒体幅よりも更に外側に配置された状態が維持され、処理トレイ42に送り込まれる媒体Pの側端がサイドカーソル58と接触することはない。また第2モードでは、下支えトレイ60は開いた状態が維持され、媒体幅が最大サイズの媒体Pであっても下支えトレイ60と接することなく、メイントレイ33にそのまま落下する。
【0075】
次いで制御部20は、次ページがある場合(ステップS305においてYes)、次ページを排出した場合に排出枚数が所定枚数を超えるかを判断する(ステップS306)。ここでの排出枚数とは累計排出枚数であり、累計排出枚数とは
図9のステップS101を開始してから第2モードによってメイントレイ33に排出された媒体Pの合計枚数を意味する。ステップS306の所定枚数の情報は、制御部20が備える不図示の不揮発性メモリに保存されている。
制御部20は、次ページを排出した場合に排出枚数が所定枚数を超える場合(ステップS306においてYes)、実行するモードを第2モードから第1モードへ切り換える(ステップS307)。
【0076】
これは、媒体Pを排出した枚数が予め定められた枚数を超えて、引き続き第2モードによって媒体Pをそのまま排出すると、排出ローラー対65による媒体Pの排出先(本実施形態においてメイントレイ33)で積載状態が乱れる虞がある為である。
この様な問題に鑑み制御部20は、第2モードが選択されている場合において、媒体Pを排出した枚数が予め定められた枚数を超える場合、第2モードをキャンセルして第1モードを実行する。第1モードでは後端整合処理と側端整合処理とが行われる為、排出ローラー対65による媒体Pの排出先で積載状態が乱れることを抑制することができる。更に、媒体Pがインクを吐出された媒体である場合、第1モードでは後端整合処理と側端整合処理とが行われる為、媒体Pの排出先への到達に時間が要するため、その間にインクの乾燥が進み、排出先で積載状態が乱れることを抑制することができる。
【0077】
次いで制御部20は、可動ユニット43を進出状態(
図3の状態)から退避状態(
図2の状態)へ切り換え、即ち排出従動ローラー67を第1状態(
図3の状態)から第2状態(
図2の状態)へと切り換える(ステップS308)。
次ページを排出した場合に排出枚数(累計排出枚数)が所定枚数を超えない場合(ステップS306においてNo)、ステップS304以降を再び実行する。
次ページがない場合は(ステップS305においてNo)、ステップS308へ移る。
【0078】
以上説明した様に制御部20は、第1モードと第2モードとを実行可能であり、第1モードを実行する場合、媒体Pを処理トレイ42に載置してステープラー34による処理が可能な状態とすることができる。また制御部20が第2モードを実行する場合、送り込みローラー46によって処理トレイ42に送り込まれる媒体Pはステープラー34によって処理する為に処理トレイ42に載置されず、そのまま排出される。以上により、ステープラー34によって処理を行わず媒体Pをそのまま排出したいというユーザーニーズに応えることができる。
また第1モードでは、排出ローラー対65によって媒体P或いは媒体束Ptを排出する度に可動ユニット43の進退動作が介在するのに対し、第2モードでは、媒体Pを排出する度に可動ユニット43が進退動作せず、可動ユニット43の進出状態が維持される為、動作音を抑制でき、動作音の静かな装置を提供することができる。
【0079】
また第1モードでは、媒体Pが処理トレイ42に送り込まれた後、後端整合処理と側端整合処理とが行われ、第2モードでは、後端整合処理と側端整合処理とが行われないことから、装置の動作音をより一層抑制できる。
【0080】
尚、第2モードでの送り込みローラー46と排出ローラー対65とによる媒体送り速度を、第1モードでの送り込みローラー46による媒体送り速度に対して等速にしても良いし、或いは第2モードでの送り込みローラー46と排出ローラー対65とによる媒体送り速度を、第1モードでの送り込みローラー46による媒体送り速度より低速にしても良い。第2モードでの送り込みローラー46と排出ローラー対65とによる媒体送り速度を、第1モードでの送り込みローラー46による媒体送り速度より低速にすることで、後端整合処理と側端整合処理とを行わない第2モードによって媒体Pが排出される場合に、排出ローラー対65による排出先での積載乱れを抑制できる。
【0081】
本発明は上記において説明した実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0082】
1…記録システム、10…記録装置、11…操作部、12…スキャナーユニット、14…本体部、16…媒体収容部、18…ラインヘッド、20…制御部、22…胴内排出部、24…中継ユニット、30…媒体処理装置、32…装置本体、33…メイントレイ、34…ステープラー、35a…上ガイド部材、35b…下ガイド部材、36…案内部材、37…フラップ、37a…軸部、39…後端整合部、42…処理トレイ、42a…支持面、43…可動ユニット、44…引き戻し部、46…送り込みローラー46…従動ローラー、48…第1パドル、49…回転軸、50…湾曲付与手段、51…従動ローラー、52…シート材、54…第2パドル、55…回転軸、58…サイドカーソル、60…下支えトレイ、60A…第1移動トレイ、60B…第2移動トレイ、65…排出ローラー対、66…排出駆動ローラー、67…排出従動ローラー、67a…軸、70…媒体検出部、71…第1駆動部、72…第2駆動部、73…第3駆動部、74…第4駆動部、75…第5駆動部、76…第6駆動部、77…第7駆動部、78…第8駆動部、79…第9駆動部、P…媒体、Pt…媒体束