(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076745
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】加飾シート構造
(51)【国際特許分類】
G09F 3/10 20060101AFI20240530BHJP
B60R 13/04 20060101ALI20240530BHJP
B32B 7/06 20190101ALI20240530BHJP
B32B 3/12 20060101ALI20240530BHJP
C09J 7/40 20180101ALN20240530BHJP
【FI】
G09F3/10 B
B60R13/04 Z
B32B7/06
B32B3/12 Z
C09J7/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188457
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(72)【発明者】
【氏名】清水 源太郎
【テーマコード(参考)】
3D023
4F100
4J004
【Fターム(参考)】
3D023AA01
3D023AB08
3D023AC06
3D023AD06
3D023AD27
4F100AK04C
4F100AK07C
4F100AK15A
4F100AK17B
4F100AK25B
4F100AK51B
4F100AK68A
4F100AK68C
4F100AK74A
4F100AT00A
4F100AT00B
4F100BA03
4F100DC21B
4F100GB31
4F100HB00A
4F100JL14C
4J004AA10
4J004AB01
4J004DB01
4J004DB02
(57)【要約】
【課題】加飾シートを貼り付けることが難しい特定領域に、確実かつ見栄え良く加飾シートを貼り付けることができる加飾シート構造を提供する。
【解決手段】車両パネル用の加飾シートと、前記加飾シートに重ねられた剥離シートとを備える加飾シート構造であって、前記加飾シートは、メインシートと、前記メインシートとは独立したサブシートとを備え、前記サブシートの一部は、前記サブシートから切り離し可能に構成される小片シートを有する、加飾シート構造。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両パネル用の加飾シートと、前記加飾シートに重ねられた剥離シートとを備える加飾シート構造であって、
前記加飾シートは、
メインシートと、
前記メインシートとは独立したサブシートとを備え、
前記サブシートの一部は、前記サブシートから切り離し可能に構成される小片シートを有する、
加飾シート構造。
【請求項2】
前記メインシートは、局所的に幅が狭くなった細幅部を備え、
前記サブシートは、前記細幅部に並列された位置に配置されている、請求項1に記載の加飾シート構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加飾シート構造に関する。
【背景技術】
【0002】
バンパーまたはピラーなどの車両パネルに加飾シートが貼り付けられることがある。加飾シートは車両の意匠性を向上させる。車両パネルに貼り付けられる前の加飾シートは、剥離シート上に重ねられた状態で保管される。剥離シートと加飾シートとを備え、車両パネルに貼り付けられる前のものを、本明細書では加飾シート構造と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両パネルにおける加飾シートが貼り付けられる領域が、加飾シートを貼り付けることが難しい特定領域を有する場合がある。特定領域は例えば、非常に幅が狭くなった部分、または大きく曲がった部分である。特定領域に貼り付けられた加飾シートの見栄えは、加飾シートを貼り付ける作業者のスキルに大きく左右されるという問題がある。
【0005】
上記問題点を解決する手段として、例えば次の手段がある。加飾シートの大きさを、特定領域を除く領域に対応する大きさとし、特定領域を除く領域に加飾シートを貼り付ける。次いで、加飾シートとは別に用意した追加の加飾シートを特定領域に貼り付ける。この場合、追加の加飾シートを用意する手間および保管する手間がかかる。また、特定領域への追加の加飾シートの貼り忘れが生じるおそれがある。
【0006】
本発明の目的の一つは、加飾シートを貼り付けることが難しい特定領域に、確実かつ見栄え良く加飾シートを貼り付けることができる加飾シート構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
<1>本発明の一態様に係る加飾シート構造は、
車両パネル用の加飾シートと、前記加飾シートに重ねられた剥離シートとを備える加飾シート構造であって、
前記加飾シートは、
メインシートと、
前記メインシートとは独立したサブシートとを備え、
前記サブシートの一部は、前記サブシートから切り離し可能に構成される小片シートを有する。
【0008】
<2>上記<1>に記載される加飾シート構造において、
前記メインシートは、局所的に幅が狭くなった細幅部を備え、
前記サブシートは、前記細幅部に並列された位置に配置されていても良い。
【発明の効果】
【0009】
上記<1>に記載される加飾シート構造のサブシートは、車両パネルにメインシートを貼り付ける際に分離される。このサブシートに小片シートが備わっていることで、車両パネルの特定領域に小片シートを貼り忘れる可能性が大幅に低減される。サブシートに備わる小片シートは小さいため、特定領域に綺麗に貼り易い。従って、上記加飾シート構造によれば、特定領域に確実かつ見栄え良く加飾シートを貼り付けることができる。
【0010】
小片シートを含むサブシートがメインシートの細幅部に並列された位置に配置されていることで、後述する実施形態に示されるように、メインシートを貼り付けた直後に、小片シートが作業者の手元に存在する状態となる。作業者は小片シートの存在を認識し易く、特定領域への小片シートの貼り忘れが効果的に抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態1に記載される車両パネルの一例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に記載される加飾シート構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の加飾シート構造の実施形態の一例を図面に基づいて説明する。図中の同一符号は同一又は相当部分を示す。各図面が示す部材の大きさは、説明を明確にする目的で表現されており、必ずしも実際の寸法を表すものではない。なお、本発明は以下の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0013】
<実施形態1>
図2,3に示される加飾シート構造1の説明に先立ち、加飾シート構造1に備わる加飾シート3が貼り付けられる車両パネル9の一例を説明する。
図1に示される車両パネル9は、左側のフロントドア8のフロントサッシュである。フロントサッシュは、フロントドア8の上枠部80の前端から斜め下方に延びる。フロントサッシュは、加飾シート3が貼り付けられる貼付領域90を有する。貼付領域90は、幅が広い第一部分91と、第一部分91よりも幅が細い第二部分92と、第二部分92よりもさらに幅が細い第三部分93とを有する。第三部分93の近傍には、ドアミラーの取付台座95が配置されている。第三部分93は、細い上に湾曲しており、加飾シート3を貼り付けることが非常に難しい特定領域である。
【0014】
≪加飾シート構造≫
Aピラーに対応する本例の加飾シート構造1を
図2および
図3に基づいて説明する。
図2に示される加飾シート構造1の平面形状は、湾曲した細長い形状である。
図3の断面図に示されるように、本例の加飾シート構造1は、紙面上から順に、保護シート2、加飾シート3、および剥離シート4とを備える。
図2では、保護シート2が省略されており、保護シート2に覆われる加飾シート3がむき出しの状態で示されている。加飾シート構造1のうち、加飾シート3が車両パネル9に貼り付けられる。
【0015】
保護シート2は、加飾シート3を車両パネル9に貼り付けるまでの間、加飾シート3を保護するためのものである。また、後述するように、保護シート2は、車両パネル9に対して加飾シート3を仮止めする役割をもっている。ただし、保護シート2は必須ではない。
【0016】
保護シート2は一枚の部材である。保護シート2は、後述するメインシート30、第一のサブシート31、および第二のサブシート32の全てに重なるような大きさを備える。このような保護シート2の材質は例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、またはシリコーン系樹脂である。保護シート2が透明であれば、外部から加飾層3Aの色または模様を確認することができる。
【0017】
加飾シート3は、意匠性を有する加飾層3Aと、加飾層3Aの一面に形成される粘着層3Bとを備える。加飾層3Aは、色、模様、または色と模様の組み合わせによって見る者に意匠性を喚起する。上述した保護シート2は、加飾層3Aにおける粘着層3Bと反対側の面に配置される。加飾シート3の材質は例えば、エチレン酢酸ビニル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリスチレン、またはアクリロニトリル・スチレン共重合体、またはポリ塩化ビニルである。
【0018】
粘着層3Bは、加飾シート3を車両パネル9に密着させる機能を有する。粘着層3Bの材質は例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、フッ素系粘着剤、またはゴム系粘着剤によって構成される。
【0019】
加飾シート3は、
図2に示されるように、メインシート30と、第一のサブシート31と、第二のサブシート32とを備える。サブシート31,32は、メインシート30とは独立している。従って、メインシート30とサブシート31,32は、保護シート2から個別に剥がすことができる。メインシート30は車両パネル9に貼り付けられる。第一のサブシート31と第二のサブシート32は、後述する小片シート35を除いて、車両パネル9に貼り付けられることなく捨てられる。
【0020】
本例のメインシート30は、広幅部30Wと細幅部30Nとを備える。広幅部30Wの形状は、車両パネル9の第一部分91の形状に一致する。細幅部30Nの形状は、車両パネル9の第二部分92の形状に一致する。
【0021】
第一のサブシート31は、広幅部30Wにおける細幅部30Nとは反対側の端部に配置される。第一のサブシート31の形状は、大きすぎず、かつ作業者がつかみ易い形状であれば特に限定されない。本例の第一のサブシート31の形状は概略三角形状である。
【0022】
第二のサブシート32は、細幅部30Nに並列されている。第二のサブシート32と細幅部30Nを合わせた幅が、広幅部30Wにほぼ一致している。本例の第二のサブシート32の形状は、概略矩形状である。
【0023】
第二のサブシート32の一部は、第二のサブシート32から切り離し可能に構成される小片シート35を有する。小片シート35は、第二のサブシート32のうち、メインシート30から最も離れた位置にある角部を含む位置に配置されている。第二のサブシート32には、第二のサブシート32の右側の外周縁321にほぼ平行な第一の切取線351と、第二のサブシート32の下側の外周縁322にほぼ平行な第二の切取線352が形成されている。切取線351,352は、ミシン目(perforated line)でも良いし、カットラインでも良い。切取線351,352によって、手作業で小片シート35を切り離すことができる。ここで、本例の保護シート2には、小片シート35の形状に対応した切取線は設けられていないが、設けられていても良い。
【0024】
剥離シート4は、加飾シート3の粘着層3B全体を覆う。剥離シート4は、車両パネル9に加飾シート3を貼り付ける前に、粘着層3Bが汚れることを防止し、粘着層3Bの粘着性を維持する。本例の剥離シート4は、メインシート30を覆う部分と、第一のサブシート31を覆う部分と、第二のサブシート32を覆う部分の三つの部分に分かれている。三つの部分の各々は個別に剥がすことができる。本例とは異なり、メインシート30を覆う部分と第一のサブシート31を覆う部分とは一体であっても良い。
【0025】
剥離シート4は、粘着層3Bから容易に剥がすことができる材質によって構成される。剥離シート4の材質は例えば、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、またはポリメタクリル酸メチルエステルである。
【0026】
≪加飾シートの貼り付け手順≫
加飾シート構造1の加飾シート3の貼り付け手順を以下に説明する。説明に当たっては主に
図2を参照し、必要に応じて
図1を参照する。
【0027】
加飾シート構造1における第一のサブシート31を保護シート2から剥がす。保護シート2のうち、第一のサブシート31が配置されていた部分を、
図1のフロントドア8の上枠部80に貼り付ける。その際、メインシート30の本体上縁30Eと、車両パネル9のパネル上縁9Eとを一致させる。保護シート2は例えば、静電気によって上枠部80に付着する。その結果、フロントドア8に対する加飾シート構造1の位置が決まる。保護シート2の付着性は、後工程で上枠部80から容易に剥がせる程度である。
【0028】
剥離シート4を剥がしながら、車両パネル9の第一部分91にメインシート30の広幅部30Wを貼り付ける。広幅部30Wは上から下に向かって徐々に第一部分91に貼り付けられる。次いで、車両パネル9の第二部分92にメインシート30の細幅部30Nを貼り付ける。細幅部30Nも上から下に向かって徐々に第二部分92に貼り付けられる。広幅部30Wを先に貼り付けることで、メインシート30が車両パネル9の貼付領域90からずれ難く、貼付領域90に綺麗にメインシート30が貼り付けられる。
【0029】
細幅部30Nが第二部分92に貼り付けられた時点で、保護シート2にはまだ第二のサブシート32と、第二のサブシート32を覆う剥離シート4の一部が残っている。この第二のサブシート32をつかんで、保護シート2を車両パネル9から剥がす。
【0030】
作業者の手元には、第二のサブシート32が剥がされていない保護シート2が存在する。そのため、作業者は、第二のサブシート32に配置される小片シート35の存在を認識し易い。小片シート35が第二のサブシート32から切り離され、車両パネル9の第三部分93に貼り付けられる。小片シート35は小片であるため、幅が狭く屈曲した第三部分93であっても貼り付けやすい。従って、作業者のスキルに関わらず、第三部分93に貼り付けられた加飾シート3である小片シート35の見栄えが良い。
【0031】
ここで、小片シート35は、第二のサブシート32に配置されていることで、小片シート35を貼り付ける直前に作業者の手元に存在することになる。従って、小片シート35を第三部分93に貼り忘れることが効果的に防止される。
【符号の説明】
【0032】
1 加飾シート構造
2 保護シート
3 加飾シート
3A 加飾層、3B 粘着層
30 メインシート、31,32 サブシート
35 小片シート
30E 本体上縁
321,322 外周縁
351,352 切取線
4 剥離シート
8 フロントドア
80 上枠部
9 車両パネル
9E パネル上縁
91 第一部分、92 第二部分、93 第三部分
95 取付台座