(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076758
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】ラベルプリンタの環境設定装置、環境設定用プログラムおよび環境設定方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240530BHJP
G06F 3/04842 20220101ALI20240530BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
G06F3/12 331
G06F3/12 305
G06F3/12 356
G06F3/04842
B41J3/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188475
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000107642
【氏名又は名称】スター精密株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大貴
【テーマコード(参考)】
2C055
5E555
【Fターム(参考)】
2C055CC00
2C055CC01
5E555AA07
5E555AA09
5E555AA42
5E555AA44
5E555BA09
5E555BB02
5E555BB04
5E555BC20
5E555CA12
5E555CB38
5E555CC03
5E555DA02
5E555DB05
5E555DB20
5E555DB41
5E555DB53
5E555DC09
5E555DD04
5E555DD11
5E555EA07
5E555EA09
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】ラベルプリンタの用紙とセンサに関する環境設定を簡便に行うことができるようにする。
【解決手段】ラベルプリンタ1で使用する用紙の種類の選択、用紙の所定位置を検出するためのセンサの種類の選択、およびセンサの調整方法をユーザに案内するガイダンスをディスプレイに表示させるガイダンス表示部21と、ガイダンスに従って設定された情報を環境設定情報としてラベルプリンタ1に記憶させる環境設定部23とを備え、適切な用紙の種類の選択、選択した用紙に対応する適切なセンサの種類の選択、および選択されたセンサの適切な調整を、表示されるガイダンスに従うだけで完了させることができるようにする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルプリンタの環境設定を行う装置であって、
上記ラベルプリンタで使用する用紙の種類の選択、上記用紙の所定位置を検出するためのセンサの種類の選択、および上記センサの調整方法をユーザに案内するガイダンスをディスプレイに表示させるガイダンス表示部と、
上記ガイダンス表示部により表示された上記ガイダンスに従って設定された情報を環境設定情報として上記ラベルプリンタに記憶させる環境設定部とを備えた
ことを特徴とするラベルプリンタの環境設定装置。
【請求項2】
上記ガイダンス表示部が表示させる上記ガイダンスは、
上記用紙の種類を案内して何れかを上記ユーザに選択させる用紙種類選択ガイダンスと、
上記用紙種類選択ガイダンスに従って上記ユーザにより選択された用紙の種類に応じて、選択可能なセンサの種類を案内して何れかを上記ユーザに選択させるセンサ種類選択ガイダンスと、
上記センサ種類選択ガイダンスに従って上記ユーザにより選択されたセンサの種類に応じて、上記センサの設置位置を案内するセンサ位置設定ガイダンスとを含み、
上記環境設定部は、上記用紙種類選択ガイダンスに従って上記ユーザにより選択された用紙の種類を示す情報および上記センサ種類選択ガイダンスに従って上記ユーザにより選択されたセンサの種類を示す情報を上記環境設定情報として上記ラベルプリンタに記憶させる
ことを特徴とする請求項1に記載のラベルプリンタの環境設定装置。
【請求項3】
上記センサ位置設定ガイダンスに従って上記ユーザにより上記センサの設置位置が調整された後、テスト印刷を行い、当該テスト印刷が正常に行われたか否かを判定するテスト印刷部と、
上記テスト印刷が正常に行われていないことが上記テスト印刷部により確認された場合に、上記センサの感度を調整するセンサ感度調整部とを更に備え、
上記環境設定部は、上記センサ感度調整部により調整された感度を示す情報を上記環境設定情報として上記ラベルプリンタに更に記憶させる
ことを特徴とする請求項2に記載のラベルプリンタの環境設定装置。
【請求項4】
上記ガイダンス表示部は、1回目のテスト印刷が正常に行われていないことが上記テスト印刷部により確認された場合に、上記センサの設置位置の再確認を案内するセンサ位置確認ガイダンスを表示させ、
上記テスト印刷部は、上記ガイダンス表示部により上記センサ位置確認ガイダンスが表示された後、2回目のテスト印刷を行い、当該2回目のテスト印刷が正常に行われたか否かを再判定し、
上記センサ感度調整部は、上記2回目のテスト印刷が正常に行われていないことが上記テスト印刷部により確認された場合に、上記センサの感度を調整する
ことを特徴とする請求項3に記載のラベルプリンタの環境設定装置。
【請求項5】
上記センサ感度調整部は、用紙を搬送しながら上記センサによるセンシングを逐次行い、当該センシングにより逐次検出される値の最大値と最小値とに基づいて、調整後の感度を決定することを特徴とする請求項3または4に記載のラベルプリンタの環境設定装置。
【請求項6】
上記テスト印刷部は、上記テスト印刷の実行後に、上記テスト印刷の成否を上記ユーザに選択させる成否選択インタフェースを上記ディスプレイに表示させ、当該成否選択インタフェースに対する成否の選択結果に基づいて、上記用紙のカットを含めて上記テスト印刷が正常に行われたか否かを判定することを特徴とする請求項3または4に記載のラベルプリンタの環境設定装置。
【請求項7】
上記テスト印刷部は、上記テスト印刷の実行後に上記ラベルプリンタから出力される印刷終了確認ステータス情報に基づいて、上記用紙のカットを含めて上記テスト印刷が正常に行われたか否かを判定することを特徴とする請求項3または4に記載のラベルプリンタの環境設定装置。
【請求項8】
上記テスト印刷部は、上記テスト印刷の実行後に上記ラベルプリンタから出力される印刷終了確認ステータス情報に基づいて、上記用紙のカットを含めて上記テスト印刷が正常に行われたか否かを判定し、
上記センサにより上記用紙のカット位置が検出されないまま上記用紙が所定長搬送されたことが上記印刷終了確認ステータス情報に基づいて確認された場合に、上記センサ感度調整部は上記センサの感度を調整する
ことを特徴とする請求項3に記載のラベルプリンタの環境設定装置。
【請求項9】
上記テスト印刷部は、上記テスト印刷の実行後に上記ラベルプリンタから出力される印刷終了確認ステータス情報に基づいて、上記用紙のカットを含めて上記テスト印刷が正常に行われたか否かを判定し、
上記1回目のテスト印刷で、上記センサにより上記用紙のカット位置が検出されないまま上記用紙が所定長搬送されたことが上記印刷終了確認ステータス情報に基づいて確認された場合に、上記ガイダンス表示部が上記センサ位置確認ガイダンスを表示させ、
上記2回目のテスト印刷で、上記センサにより上記用紙のカット位置が検出されないまま上記用紙が所定長搬送されたことが上記印刷終了確認ステータス情報に基づいて確認された場合に、上記センサ感度調整部が上記センサの感度を調整する
ことを特徴とする請求項4に記載のラベルプリンタの環境設定装置。
【請求項10】
上記印刷終了確認ステータス情報に基づいて、上記用紙が正常にセットされていないことが上記テスト印刷部により確認された場合に、上記ガイダンス表示部は、用紙の正しいセット方法を案内する用紙セットガイダンスを表示させることを特徴とする請求項8または9に記載のラベルプリンタの環境設定装置。
【請求項11】
複数の環境設定項目に関して上記用紙の種類に応じて初期設定することが推奨される推奨設定情報を記憶した推奨設定情報記憶部を更に備え、
上記環境設定部は、上記ガイダンスに従って上記ユーザにより選択された上記用紙の種類に対応する上記推奨設定情報を推奨設定情報記憶部から読み出して上記ラベルプリンタに記憶させる
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載のラベルプリンタの環境設定装置。
【請求項12】
ラベルプリンタで使用する用紙の種類の選択、上記用紙の所定位置を検出するためのセンサの種類の選択、および上記センサの調整方法をユーザに案内するガイダンスをディスプレイに表示させるガイダンス表示手段、および
上記ガイダンス表示手段により表示された上記ガイダンスに従って設定された情報を環境設定情報として上記ラベルプリンタに記憶させる環境設定手段
としてコンピュータを機能させるためのラベルプリンタの環境設定用プログラム。
【請求項13】
コンピュータのガイダンス表示部が、ラベルプリンタで使用する用紙の種類の選択、上記用紙の所定位置を検出するためのセンサの種類の選択、および上記センサの調整方法をユーザに案内するガイダンスをディスプレイに表示させる工程と、
上記コンピュータの環境設定部が、上記ガイダンス表示部により表示された上記ガイダンスに従って設定された情報を環境設定情報として上記ラベルプリンタに記憶させる工程とを有する
ことを特徴とするラベルプリンタの環境設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルプリンタの環境設定を行う環境設定装置、環境設定用プログラムおよび環境設定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリンタを使用するにあたっては、プリンタに対して各種の環境設定を行うことが必要である。従来、この種の環境設定は、プリンタに添付された紙媒体もしくは電子媒体のマニュアル、または指定URLのウェブサイトで提供されるオンラインマニュアルに従って、ユーザが手動で行っていた。また、ユーザがこの種の環境設定をより簡便に行うことができるようにした技術も知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1には、システムがユーザと対話形式のやり取りを行ってプリンタのセットアップを行う構成が開示されている。具体的には、特許文献1に記載の印刷システムでは、プリンタドライバのインストール時に、プリンタの機器構成情報や設定情報等を取得し、ユーザにわかりやすい対話形式の質問を提示し、ユーザはその質問に答えるだけで、現状の機器構成におけるユーザニーズに合った最適な初期設定(用紙サイズ、用紙の向き、両面/片面、用紙タイプ等の用紙に関する設定を含む)を行えるようにしている。
【0004】
特許文献2には、相互に依存関係があるために独立して選択・設定できない複数の項目の設定処理を容易に行えるようにする構成が開示されている。具体的には、特許文献2に記載のセットアップユーティリティソフトウェアでは、相互に依存関係にある複数の設定項目(字体、文字ピッチ、文字セット、文字の大きさ、用紙サイズ、用紙の向き等)について、許容される組合せを予めテーブルとして格納しておき、プリンタに対する設定を行う際には、テーブルから読み出した組合せをデータ処理装置の表示部に表示し、この表示部において組合せ単位で選択・指定を行うようにしている。
【0005】
なお、初期設定が完了してプリンタの使用を開始した後、プリンタエラーが発生した場合に、ユーザにとって分かりやすいガイダンス情報を表示してメンテナンス作業を円滑に行わせることを可能にする技術も知られている(例えば、特許文献3参照)。具体的には、特許文献3に記載のガイド装置では、セットアップガイドプログラムを用いて、プリンタへのインクカートリッジの装着方法などを動画や写真、音声などを用いて順次案内し、ユーザに関連作業を実行させる。また、それらの作業の実行後に、用紙の装填方法を案内してテスト印刷を行い、印刷結果がよくないことをユーザが目視で確認した場合に、選択可能に表示された指示ボタンの操作に応じてインク再充填の処理を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-233479号公報
【特許文献2】特開平7-219724号公報
【特許文献3】特開2001-113792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、プリンタには様々なタイプがあり、その中の1つにラベルプリンタがある。ラベルプリンタは、ラベルに文字や図柄などを印刷するためのプリンタである。通常のプリンタとは異なり、ラベルプリンタでは専用のロール紙に文字や図柄を印刷し、印刷終了後に所定位置で用紙の切断を行う。ロール紙には複数の種類があり、用紙の所定位置を検出するためのセンサにも複数の種類がある。このため、ラベルプリンタを使用するにあたっては、通常のプリンタとは異なる特有の環境設定を行う必要がある。
【0008】
しかしながら、上記特許文献1~3に記載の技術を含めて従来は、ラベルプリンタの用紙とセンサに関する環境設定を簡便に行うための方法が提供されていなかった。すなわち、ラベルプリンタにおいては、ユーザがマニュアルを参照して必要な設定内容を自ら判断し、手動で環境設定を行う必要があった。そのため、設定作業が面倒なだけでなく、場合によっては設定内容を間違えてラベルプリンタを正常に動作させることができないことも生じるという問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、ラベルプリンタの用紙とセンサに関する環境設定を簡便に行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するために、本発明では、ラベルプリンタで使用する用紙の種類の選択、用紙の所定位置を検出するためのセンサの種類の選択、およびセンサの調整方法をユーザに案内するガイダンスをディスプレイに表示させ、ガイダンスに従って設定された情報を環境設定情報として記憶させるようにしている。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成した本発明によれば、ユーザは、適切な用紙の種類の選択、選択した用紙に対応する適切なセンサの種類の選択、および選択されたセンサの適切な調整を、表示されるガイダンスに従うだけで完了することができる。これにより、ユーザは、ラベルプリンタに特有の用紙とセンサに関する環境設定を簡便に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態によるラベルプリンタの環境設定装置を備えた環境設定システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態によるユーザ端末(環境設定装置)の機能構成例を示すブロック図である。
【
図3】用紙種類選択ガイダンスの表示例を示す図である。
【
図4】センサ種類選択ガイダンスの表示例を示す図である。
【
図5】用紙セットガイダンスの表示例を示す図である。
【
図6】ブラックマークセンサが選択されている場合の印刷成功例と印刷失敗例との表示例を示す図である。
【
図7】ギャップセンサが選択されている場合の印刷成功例と印刷失敗例との表示例を示す図である。
【
図8】センサ感度調整部によるセンサ感度の調整例を模式的に示す図である。
【
図9】本実施形態の環境設定用プログラムにより実行される環境設定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態によるラベルプリンタの環境設定装置を備えた環境設定システムの全体構成例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の環境設定システムは、ラベルプリンタ1、ユーザ端末2およびプログラム提供サーバ3を備えて構成される。
【0014】
ラベルプリンタ1とユーザ端末2との間は、例えばBluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)などの無線通信手段またはUSBケーブルや有線LANなどの有線通信手段を介して接続される。ユーザ端末2とプログラム提供サーバ3との間は、インターネットまたは携帯電話網などの通信ネットワーク4を介して接続される。
【0015】
ラベルプリンタ1は、専用のロール紙(用紙)に文字や図柄を印刷し、印刷終了後に所定位置で用紙の切断を行うように構成されたプリンタである。本実施形態のラベルプリンタ1は、ダイカットラベル、全面ラベル、ライナレスラベル、レシート紙(感熱紙)などの様々な種類のロール紙を使用可能に構成されたプリンタであり、これら複数種類の用紙に対応可能なように、用紙の所定位置を検出するためのセンサとして複数種類のセンサを備えている。所定位置とは、例えば用紙のカット位置である。なお、センサは、用紙のカット位置を検出する目的のほか、搬送位置の調整(印刷位置の調整、例えば印刷の頭出し)のために用いることも可能である。以下では、センサをカット位置検出のために用いるものとして説明する。
【0016】
ダイカットラベルは、型(ダイ)の形に切った粘着性のラベル紙を台紙(剥離紙)の上に複数並べて貼付した用紙である。ダイカットラベルの場合、ラベル紙に対する印刷終了後に、ラベル紙とラベル紙との間のギャップ位置(台紙のみが存在する位置)で切断される。全面ラベルは、型抜きされていない粘着性のラベル紙を台紙の上に貼付した用紙である。ライナレスラベルは、全面ラベル紙の一種であり、台紙(ライナ)がなく、裏面に糊が塗布されている。レシート紙は、台紙がなく、裏面が糊付けされていない用紙である。全面ラベル、ライナレスラベルおよびレシート紙の場合、印刷終了後に任意の位置で切断される。
【0017】
センサには、ブラックマークセンサとギャップセンサとが存在する。ブラックマークセンサは、用紙の裏面に記されたカット位置検出用のブラックマーク(黒線)を検出するものである。例えば、ブラックマークセンサは、用紙搬送路を搬送される用紙の裏面側の位置に発光部および受光部を備え、印刷実行時に搬送される用紙の裏面に向けて照射した光の反射率をもとに、反射率が閾値より小さくなっている位置をブラックマーク位置として検出する。
【0018】
ギャップセンサは、ラベル紙とラベル紙との間のギャップ位置を検出するものである。例えば、ギャップセンサは、用紙搬送路を搬送される用紙の表面側および裏面側の位置にそれぞれ発光部および受光部を備え、印刷実行時に搬送される用紙に向けて照射した光の透過率をもとに、透過率が閾値より大きくなっている位置をギャップ位置として検出する。
【0019】
ブラックマークセンサを利用すれば用紙の裏面に記された黒線の位置で用紙をカットすることが可能となり、ギャップセンサを利用すればラベル紙とラベル紙との間の区切りで用紙をカットすることが可能となる。また、ダイカットラベル以外では、何れのセンサも利用せず印刷終了直後に用紙をカットすることも可能である。
【0020】
ユーザ端末2は、ラベルプリンタ1が正しく動作するように環境設定を行うユーザが使用する端末であり、例えばスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータなどの情報端末により構成される。ユーザ端末2には、プログラム提供サーバ3からダウンロードした環境設定用プログラム2aがインストールされる。ラベルプリンタ1に対する環境設定は、この環境設定用プログラム2aにより提供される設定用フローに従って行われる。ユーザ端末2は、特許請求の範囲の環境設定装置に相当する。
【0021】
ここで、ユーザが購入したラベルプリンタ1の開梱から環境設定用プログラム2aのインストールまでの手順を説明する。まず、ユーザはラベルプリンタ1を開梱し、同梱されたセットアップシートを確認する。続いてユーザは、セットアップシートに従って、ラベルプリンタ1の電源ケーブルの接続および電源投入を行う。その後、ユーザは、セットアップシートに記載されたURLへユーザ端末2からアクセスし、プログラム提供サーバ3から環境設定用プログラム2aをダウンロードしてユーザ端末2にインストールする。
【0022】
図2は、本実施形態によるユーザ端末2(環境設定装置)の機能構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、ユーザ端末2は、インストールされた環境設定用プログラム2aの機能構成として、ガイダンス表示部21、入力受付部22、環境設定部23、テスト印刷部24、センサ感度調整部25および推奨設定情報記憶部26を備えている。
【0023】
これらの機能ブロック21~26は、実際にはユーザ端末2が備えるコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体に記憶された環境設定用プログラム2aが動作することによって実現される。なお、機能ブロック21~26により提供される機能の一部は、ユーザ端末2のオペレーティングシステムとの協働によって実現される。また、機能ブロック21~26により提供される機能の一部をハードウェアまたはDSP(Digital Signal Processor)により実現するようにしてもよい。
【0024】
なお、ここでは推奨設定情報記憶部26が環境設定用プログラム2aの機能構成である例を示したが、これに限定されない。例えば、環境設定用プログラム2aは機能ブロック21~25を備え、ユーザ端末2に環境設定用プログラム2aがインストールされたときに、推奨設定情報記憶部26に記憶すべき情報を環境設定用プログラム2aがプログラム提供サーバ3からダウンロードして、環境設定用プログラム2aとは別にユーザ端末2の記憶媒体に記憶させる構成としてもよい。あるいは、推奨設定情報記憶部26はプログラム提供サーバ3が備え、環境設定用プログラム2aが環境設定の実行時にプログラム提供サーバ3から必要な情報を取得する構成としてもよい。
【0025】
ガイダンス表示部21は、ラベルプリンタ1で使用する用紙の種類の選択、用紙のカット位置を検出するためのセンサの種類の選択、およびセンサの調整方法などをユーザに案内するガイダンスをユーザ端末2のディスプレイに表示させる。本実施形態においてガイダンス表示部21が表示させるガイダンスは、用紙種類選択ガイダンス21a、センサ種類選択ガイダンス21b、用紙セットガイダンス21cおよびセンサ位置設定ガイダンス21dを含む。ガイダンス表示部21は、これらの一連のガイダンス21a~21dをユーザによる操作に従ってディスプレイに順次表示させる。
【0026】
用紙種類選択ガイダンス21aは、用紙の種類を案内して何れかをユーザに選択させるためのガイダンスである。
図3は、用紙種類選択ガイダンス21aの表示例を示す図である。
図3に例示するように、用紙種類選択ガイダンス21aは、ダイカットラベル、全面ラベル、ライナレスラベル、レシート紙などの各用紙の特徴を表す画像および説明文201と、利用する用紙をユーザに選択させる用紙選択インタフェース202とを含む。このためユーザは、各用紙の名称が分からなくても、自分が利用したい用紙の種類を選択することが可能である。
【0027】
センサ種類選択ガイダンス21bは、用紙種類選択ガイダンス21aに従ってユーザにより選択された用紙の種類に応じて、選択可能なセンサの種類を案内して何れかをユーザに選択させるためのガイダンスである。
図4は、センサ種類選択ガイダンス21bの表示例を示す図である。
図4に例示するように、センサ種類選択ガイダンス21bは、各センサの特徴を表す画像および説明文203と、利用するセンサをユーザに選択させるセンサ選択インタフェース204とを含む。このためユーザは、センサについての知識が乏しくても、選択した用紙の種類に応じて利用する適切なセンサを選択することが可能である。
【0028】
例えば、用紙種類選択ガイダンス21aの用紙選択インタフェース202を通じてダイカットラベルが選択された場合、それに応じて表示されるセンサ種類選択ガイダンス21bには、
図4(a)のようにブラックマークセンサとギャップセンサの情報が含まれ、ユーザはどちらのセンサを利用するかをセンサ選択インタフェース204により選択することができる。また、用紙選択インタフェース202を通じてダイカットラベル以外が選択された場合、それに応じて表示されるセンサ種類選択ガイダンス21bには、
図4(b)のようにブラックマークセンサの情報のみが含まれ、ユーザはブラックマークセンサを利用するか否かをセンサ選択インタフェース204により選択することができる。
【0029】
用紙セットガイダンス21cは、ラベルプリンタ1に対する用紙の正しいセット方法を案内するためのガイダンスである。この用紙セットガイダンス21cは、例えば
図5に例示するように、用紙のセット方法を表す画像および説明文を含む。画像は動画であってもよい。用紙幅によってペーパガイドの調整が必要なラベルプリンタ1の場合、用紙セットガイダンス21cは、ペーパガイドの調整方法を表す画像(動画であってもよい)および説明文を更に含む。
【0030】
センサ位置設定ガイダンス21dは、センサ種類選択ガイダンス21bに従ってユーザにより選択されたセンサの種類に応じて、センサが正しく動作するようにセンサの設置位置を案内するためのガイダンスである。このセンサ位置設定ガイダンス21dは、センサ位置の調整方法を表す画像(動画であってもよい)および説明文を含む。ブラックマークセンサとギャップセンサではセンサの調整位置が異なるため、選択されたセンサの種類に応じた画像と説明文をセンサ位置設定ガイダンス21dにてユーザに提供する。なお、センサ種類選択ガイダンス21bに従ってユーザがセンサを利用しないことを選択した場合、ガイダンス表示部21はこのセンサ位置設定ガイダンス21dの表示を省略する。
【0031】
入力受付部22は、ガイダンス表示部21により表示されたガイダンスに従ってユーザにより入力された情報を受け付ける。具体的には、入力受付部22は、
図3に例示した用紙種類選択ガイダンス21aの用紙選択インタフェース202を通じてユーザにより選択された用紙の種類を示す情報、および、
図4に例示したセンサ種類選択ガイダンス21bのセンサ選択インタフェース204を通じてユーザにより選択されたセンサの種類を示す情報(センサを利用しないことが選択されたことを示す情報を含む)を受け付ける。
【0032】
環境設定部23は、ガイダンス表示部21により表示されたガイダンスに従って設定された情報を環境設定情報としてラベルプリンタ1に記憶させる。具体的には、環境設定部23は、入力受付部22により入力された情報、すなわち、用紙種類選択ガイダンス21aに従ってユーザにより選択された用紙の種類を示す情報およびセンサ種類選択ガイダンス21bに従ってユーザにより選択されたセンサの種類を示す情報を環境設定情報としてラベルプリンタ1に記憶させる。
【0033】
また、環境設定部23は、ガイダンスに従ってユーザにより選択された用紙の種類に対応する推奨設定情報を推奨設定情報記憶部26から読み出してラベルプリンタ1に記憶させる処理も実行する。推奨設定情報記憶部26には、複数の環境設定項目に関して用紙の種類に応じて初期設定することが推奨される推奨設定情報をあらかじめ記憶している。
【0034】
ラベルプリンタ1を利用するためには、用紙の種類に対応して種々の環境設定をする必要があるが、設定すべき項目が多く、ユーザが最適な環境を判断することは困難である。これに対し、本実施形態では、環境設定部23が用紙の種類に対応した推奨設定情報を推奨設定情報記憶部26から読み出して、ラベルプリンタ1に対する環境設定を自動的に実行する。このため、ユーザは、用紙の種類に対応して設定しなければならない設定内容を自ら判断して理解しなくてもよい。
【0035】
用紙の種類に対応して設定すべき複数の環境設定項目は、例えば、カット方式(パーシャルカット固定/フルカット固定/コマンド優先)、■紙保持制御切替(有効/無効)、印刷濃度、印刷速度、有効印刷幅、トップマージンなどである。なお、■紙保持制御切替とは、排出口に用紙が存在するか(用紙が抜き取られたか)否かを用紙保持センサで検出するかどうかの切替である。これらの環境設定項目に対して推奨される設定内容が、用紙の種類に対応してあらかじめ決められており、用紙の種類ごとの設定内容を示す推奨設定情報が推奨設定情報記憶部26に記憶されている。
【0036】
例えば、用紙の種類がライナレスラベルの場合に、カット方式は「パーシャルカット固定」とし、■紙保持制御切替は「有効」といった内容が推奨設定情報として記録される。用紙の種類がライナレスラベルの場合に、カット方式について「パーシャルカット固定」を推奨設定とするのは、フルカットすると印字したラベル紙が落下したり排出口周辺に貼り付いて紙ジャムを起こしたりするおそれがあるからである。■紙保持制御切替について用紙保持センサの「有効」を推奨設定とするのは、排出口周辺への用紙の貼り付き防止のため、印刷・カット・抜き取りを1枚ずつ実行するようにするためである。
【0037】
なお、ここでは、用紙の種類に応じて初期設定することが推奨される推奨設定情報を推奨設定情報記憶部26に記憶しておく例について説明したが、これに限定されない。用紙の種類およびセンサの種類の組み合わせに応じて初期設定することが推奨される環境設定項目がある場合は、その環境設定項目に関して、用紙の種類およびセンサの種類の組み合わせに応じて初期設定することが推奨される推奨設定情報を推奨設定情報記憶部26に記憶しておくようにしてもよい。この場合、環境設定部23は、ガイダンスに従ってユーザにより選択された用紙の種類およびセンサの種類の組み合わせに対応する推奨設定情報を推奨設定情報記憶部26から読み出してラベルプリンタ1に記憶させる。
【0038】
テスト印刷部24は、センサ位置設定ガイダンス21dに従ってユーザによりセンサの設置位置が調整された後、環境設定が正しくラベルプリンタ1に適用できているかを確認するために、テスト印刷を行い、当該テスト印刷が正常に行われたか否かを判定する。ここで、テスト印刷が正常に行われたか否かの判定は、用紙に対する印刷が無事に終了したか否かのみならず、印刷終了後の用紙カットまで無事に終了したか否かの判定である。テスト印刷は、ユーザからの指示に応じて実行するようにしてもよいし、環境設定部23の処理が完了した後、ラベルプリンタ1の準備ができ次第(例えば、カバーがクローズした状態で、かつ排出口周辺に用紙を保持していない状態となり次第)、自動的に実行するようにしてもよい。
【0039】
例えば、テスト印刷部24は、テスト印刷用の印刷データをラベルプリンタ1に送信して印刷を実行させ、テスト印刷の実行後に、テスト印刷の成否をユーザに選択させる成否選択インタフェースをユーザ端末2のディスプレイに表示させる。そして、この成否選択インタフェースに対するユーザによる成否の選択結果に基づいて、用紙のカットを含めてテスト印刷が正常に行われたか否かを判定する。
【0040】
なお、この成否選択インタフェースと共に印刷成功例と印刷失敗例とを表示することで、テスト印刷が成功したか否かをユーザが容易に判断できるようにしてもよい。
図6および
図7は、印刷成功例および印刷失敗例の表示例を示す図である。
図6はブラックマークセンサが選択されている場合の表示例であり、
図7はギャップセンサが選択されている場合の表示例である。
【0041】
図6において、601は印刷成功例、602,603は印刷失敗例を示す画像である。印刷成功例の画像601は、用紙の裏面に記された黒線の位置で用紙のカットが正常に行われていることを示している。印刷失敗例の画像602は、黒線を1つ飛ばした次の黒線の位置で用紙のカットが行われていることを示している。印刷失敗例の画像603は、ブラックマークセンサにより黒線の位置が全く検出されないまま用紙が所定長(例えば30cm)搬送されて印刷が終了したことを示している。このほか、黒線のない白い箇所でカットが行われていることを示した印刷失敗例の画像があってもよい。ユーザは、これらの画像601~603を参考にして、成否選択インタフェース205により印刷の成否を選択する。
【0042】
図7において、701は印刷成功例、702,703は印刷失敗例を示す画像である。印刷成功例の画像701は、ラベル紙とラベル紙との間のギャップ位置で用紙のカットが正常に行われていることを示している。印刷失敗例の画像702は、ギャップ位置を1つ飛ばした次のギャップ位置で用紙のカットが行われていることを示している。印刷失敗例の画像703は、ギャップセンサによりギャップ位置が全く検出されないまま用紙が所定長(例えば30cm)搬送されて印刷が終了したことを示している。このほか、ラベル紙の位置でカットが行われていることを示した印刷失敗例の画像や、正しくラベル紙に印刷されていない(印刷がラベルからはみ出しているなど)ことを示した印刷失敗例の画像などがあってもよい。ユーザは、これらの画像701~703を参考にして、成否選択インタフェース205により印刷の成否を選択する。
【0043】
センサ感度調整部25は、テスト印刷が正常に行われていないことがテスト印刷部24により確認された場合に、センサの感度を調整する。意図していないカットになる原因として、利用する用紙に対してラベルプリンタ1のセンサ感度が適合していない可能性が考えられるからである。センサ感度の調整はセンサ感度調整部25が自動で行い、ユーザの操作は不要である。
【0044】
センサ感度の調整は、例えば閾値を増減することによって行う。ブラックマークセンサが選択されている場合は、ブラックマークセンサ用の閾値を調整する。また、ギャップセンサが選択されている場合は、ギャップセンサ用の閾値を調整する。一例として、センサ感度調整部25は、用紙を搬送しながらセンサによるセンシングを逐次行い、当該センシングにより逐次検出される値の最大値と最小値とに基づいて、調整後の感度を決定する。
【0045】
図8は、センサ感度調整部25によるセンサ感度の調整例を模式的に示す図である。
図8において、横方向は時間軸、縦方向はセンサの検出値(ブラックマークセンサの場合は反射率、ギャップセンサの場合は透過率)を示している。波形は、用紙を搬送しながらセンシングを逐次行ったときに得られる検出値の推移を示している。センサ感度調整部25は、
図8のように推移する検出値の中から最大値と最小値とを特定し、例えば最大値と最小値との中央値を調整後の閾値として決定する。
【0046】
図8に示す例では、調整前の閾値は、ブラックマークセンサにより検出された反射率の最小値よりも小さくなっている。このため、ブラックマーク位置において検出される反射率が閾値より小さくならず、ブラックマーク位置を検出することができない。これに対し、逐次検出された反射率の最大値と最小値との中央値を閾値として設定するようにセンサ感度を調整すれば、ブラックマーク位置において検出される反射率が閾値より小さくなるようにすることができ、ブラックマーク位置を検出することが可能となる。なお、中央値を閾値として設定するのは一例であり、これに限定されるものではない。例えば、所定の変動量だけ閾値を増加または減少させるようにしてもよい。
【0047】
なお、ここではセンサ感度の調整を閾値の増減によって行う例について説明したが、これに限定されない。例えば、発光部から照射する光の発光量の増減によってセンサ感度の調整を行うようにしてもよい。一例として、所定の変動量だけ発光量を増加または減少させることが考えられる。
【0048】
センサ感度調整部25によりセンサの感度調整が行われた場合、環境設定部23は、センサ感度調整部25により調整された感度を示す情報(調整された閾値または発光量)を環境設定情報としてラベルプリンタ1に更に記憶させる。
【0049】
なお、ここでは、テスト印刷が正常に行われていないことがテスト印刷部24により確認された場合に、直ちにセンサ感度調整部25によるセンサ感度の調整を行う例について説明したが、これに限定されない。例えば、テスト印刷が正常に行われていないことがテスト印刷部24により確認された場合に、センサの設置位置の再確認を案内するセンサ位置確認ガイダンスを表示させるようにしてもよい。意図していないカットになる原因として、センサ感度の不適合だけでなく、センサ位置の調整ミスも考えられるからである。センサ位置確認ガイダンスの表示は、例えばセンサ位置設定ガイダンス21dの再表示によって行う。あるいは、センサ位置設定ガイダンス21dとは内容が異なる確認用のガイダンスを表示するようにしてもよい。
【0050】
どの種類の用紙が選択された場合でも適合する可能性の高い感度を初期設定している場合は、センサ感度の不適合よりもセンサ位置の調整ミスの方が、印刷失敗の原因となる可能性が高くなると考えられる。このことを踏まえて、例えば以下のように処理を行うようにしてもよい。すなわち、1回目のテスト印刷が正常に行われていないことがテスト印刷部24により確認された場合に、ガイダンス表示部21がセンサの設置位置の再確認を案内するセンサ位置確認ガイダンスを表示させる。その後、テスト印刷部24が2回目のテスト印刷を行い、当該2回目のテスト印刷が正常に行われたか否かを再判定する。2回目のテスト印刷も、ユーザからの指示に応じて実行するようにしてもよいし、センサ位置の調整後にラベルプリンタ1の準備ができ次第、自動的に実行するようにしてもよい。そして、2回目のテスト印刷も正常に行われていないことがテスト印刷部24により確認された場合に、センサ感度調整部25がセンサの感度を調整する。
【0051】
図9は、以上のように構成した本実施形態の環境設定用プログラム2aにより実行される環境設定処理の手順の一例を示すフローチャートである。ここでは、プログラム提供サーバ3から環境設定用プログラム2aをダウンロードしてユーザ端末2にインストールした後の手順を示している。
【0052】
環境設定用プログラム2aのインストール後、ユーザが環境設定用プログラム2aを起動すると、環境設定用プログラム2aは、例えばBluetoothによりラベルプリンタ1を検索して接続する(ステップS1)。このとき、環境設定用プログラム2aはラベルプリンタ1と通信を行い、ラベルプリンタ1が初期設定前であるか否かを判定する(ステップS2)。ラベルプリンタ1の内部では初期設定済みか否かを示すフラグを保持しており、環境設定用プログラム2aはそのフラグを確認することで、初期設定前であるか否かを判定する。ここで、初期設定前でないと判断した場合は
図9に示すフローチャートの処理を終了し、初期設定前であると判断した場合はステップS3以降の処理に遷移する。
【0053】
次に、ガイダンス表示部21は、用紙種類選択ガイダンス21aを表示し、用紙の種類を案内して何れかをユーザに選択させる(ステップS3)。ここで、ユーザが用紙選択インタフェース202を通じて用紙の種類を選択すると、続いてガイダンス表示部21は、センサ種類選択ガイダンス21bを表示し、選択された用紙の種類に応じて選択可能なセンサの種類を案内して何れかをユーザに選択させる(ステップS4)。
【0054】
ここで、ユーザがセンサ選択インタフェース204を通じてセンサの種類を選択すると、続いてガイダンス表示部21は、用紙セットガイダンス21cを表示して、ラベルプリンタ1に対する用紙のセット方法をユーザに案内する(ステップS5)。ユーザは、この用紙セットガイダンス21cに従って、用紙をラベルプリンタ1にセットする。
【0055】
次に、ガイダンス表示部21は、上記ステップS4においてユーザがセンサの利用を選択したか否かを判定する(ステップS6)。ユーザがセンサの利用を選択したと判定した場合、ガイダンス表示部21は、センサ位置設定ガイダンス21dを表示し、選択されたセンサの設置位置を案内する(ステップS7)。ユーザは、このセンサ位置設定ガイダンス21dに従って、ブラックマークセンサまたはギャップセンサの設置位置を調整する。一方、ユーザがセンサの利用を選択していないと判定した場合、ステップS7の処理はスキップされる。
【0056】
次に、環境設定部23は、ガイダンス表示部21により表示されたガイダンスに従って設定された情報を環境設定情報としてラベルプリンタ1に適用するとともに、選択された用紙の種類およびセンサの種類の組み合わせに対応する推奨設定情報を環境設定情報としてラベルプリンタ1に適用する(ステップS8)。すなわち、環境設定部23は、ユーザにより選択された用紙の種類を示す情報およびセンサの種類を示す情報をラベルプリンタ1に記憶させる。また、環境設定部23は、選択された用紙の種類およびセンサの種類の組み合わせに対応する推奨設定情報を推奨設定情報記憶部26から読み出してラベルプリンタ1に記憶させる。
【0057】
なお、環境設定情報のラベルプリンタ1に対する適用は、このステップS8のタイミングで行うことを必須とするものではない。すなわち、ステップS4でセンサ種類の選択が行われた後から、ステップS9でテスト印刷が行われる前までの間のタイミングであればいつでもよい。
【0058】
その後、テスト印刷部24は、テスト印刷を行う(ステップS9)。テスト印刷の実行後にテスト印刷部24は、成否選択インタフェース205を表示し、この成否選択インタフェース205に対するユーザによる成否の選択結果に基づいて、用紙のカットを含めてテスト印刷が正常に行われたか否かを判定する(ステップS10)。ここで、テスト印刷が正常に行われたことが確認された場合は、初期設定済みのフラグをラベルプリンタ1にセットし(ステップS11)、
図9に示すフローチャートの処理を終了する。
【0059】
一方、テスト印刷が正常に行われていないことがテスト印刷部24により確認された場合、ガイダンス表示部21は、上記ステップS4においてユーザがセンサの利用を選択したか否かを再度判定する(ステップS12)。ユーザがセンサの利用を選択したと判定した場合、センサ位置の調整ミスがある可能性を踏まえて、ガイダンス表示部21によりセンサ位置設定ガイダンス21dを再表示し、センサの設置位置を案内する(ステップS13)。ユーザは、このセンサ位置設定ガイダンス21dに従って、センサの設置位置を確認し、必要に応じて再調整する。
【0060】
その後、テスト印刷部24は、ユーザからの指示に応じてテスト印刷を再実行する(ステップS14)。テスト印刷の実行後にテスト印刷部24は、成否選択インタフェース205に対するユーザによる成否の選択結果に基づいて、用紙のカットを含めてテスト印刷が正常に行われたか否かを判定する(ステップS15)。ここで、テスト印刷が正常に行われたことが確認された場合は、初期設定済みのフラグをラベルプリンタ1にセットし(ステップS11)、
図9に示すフローチャートの処理を終了する。
【0061】
一方、テスト印刷が正常に行われていないことがテスト印刷部24により確認された場合、利用する用紙に対してラベルプリンタ1のセンサ感度が適合していない可能性を踏まえて、センサ感度調整部25によりセンサの感度を調整する(ステップS16)。センサ感度の調整前にはラベルプリンタ1に用紙がセットされている必要があるが、ステップS5において用紙セットガイダンス21cが表示された時点で用紙がラベルプリンタ1にセット済みであるため、ここで用紙セットガイダンス21cを再表示することは省略することができる。
【0062】
センサ感度の調整後、テスト印刷部24はテスト印刷を再実行する(ステップS17)。テスト印刷の実行後にテスト印刷部24は、成否選択インタフェース205に対するユーザによる成否の選択結果に基づいて、用紙のカットを含めてテスト印刷が正常に行われたか否かを判定する(ステップS18)。ここで、テスト印刷が正常に行われたことが確認された場合は、初期設定済みのフラグをラベルプリンタ1にセットし(ステップS11)、
図9に示すフローチャートの処理を終了する。
【0063】
一方、テスト印刷が正常に行われていないことがテスト印刷部24により確認された場合、ガイダンス表示部21は、環境設定用プログラム2aだけで解決できないケースと判断し、オンラインマニュアルのFAQやカスタマサポートなどへの案内を表示し(ステップS19)、
図9に示すフローチャートの処理を終了する。なお、上記ステップS12においてユーザがセンサの利用を選択していないと判定した場合、ステップS13~S18の処理はスキップされ、ステップS19の処理が実行される。
【0064】
なお、この
図9に示すフローチャートでは、プログラム提供サーバ3から環境設定用プログラム2aをダウンロードしてユーザ端末2にインストールした直後の初期設定の手順を示したが、初期設定に限定されるものではない。例えば、初期設定後に別の種類の用紙を利用する場合に、環境設定用プログラム2aを起動して、
図9のステップS3以降の処理を実行するようにすることも可能である。すなわち、
図9に示すフローチャートの処理は、プリンタ接続時に限らず、単体の機能としてユーザが任意のタイミングで実行することも可能である。
【0065】
初期設定後の任意のタイミングで環境設定を実行する場合、
図9のステップS8で環境設定情報をラベルプリンタ1に適用する前に、現在の環境設定情報をラベルプリンタ1から取得してユーザ端末2に記憶させ、ステップS9以降でユーザが環境設定動作をキャンセル等したときに、元の設定へ戻すことができるようにしてもよい。
【0066】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、ユーザ端末2にインストールされた環境設定用プログラム2aによる処理として、ラベルプリンタ1で使用する用紙の種類の選択、用紙の所定位置を検出するためのセンサの種類の選択、センサの調整方法をユーザに案内する一連のガイダンスをユーザ端末2のディスプレイに順次表示させ、ガイダンスに従って設定された情報を環境設定情報としてラベルプリンタ1に記憶させるようにしている。
【0067】
このように構成した本実施形態によれば、ユーザは、適切な用紙の種類の選択、選択した用紙に対応する適切なセンサの種類の選択、および選択されたセンサの適切な調整を、順次表示される一連のガイダンスに従うだけで完了することができる。これにより、ユーザは、ラベルプリンタ1に特有の用紙とセンサに関する環境設定を簡便に行うことができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、ガイダンスに従ってユーザが用紙の種類とセンサの種類とを選択すると、選択した用紙に対応して複数の環境設定項目について推奨される環境設定情報が自動的にラベルプリンタ1に設定される。これにより、ユーザは、選択した用紙に対応して設定しなければならない多くの環境設定項目の内容を自分で判断して設定する必要がなく、最適な環境を簡便に設定することが可能である。
【0069】
なお、上記実施形態では、テスト印刷の実行後に表示される成否選択インタフェース205に対するユーザによる成否の選択結果に基づいて、用紙のカットを含めてテスト印刷が正常に行われたか否かを判定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、テスト印刷部24は、テスト印刷の実行後にラベルプリンタ1から出力される印刷終了確認ステータス情報に基づいて、用紙のカットを含めてテスト印刷が正常に行われたか否かを判定するようにしてもよい。
【0070】
例えば、テスト印刷部24は、ラベルプリンタ1から取得した印刷終了確認ステータスで何もエラーを検知しなかった場合は、印刷成功と判断する。一方、印刷終了確認ステータス情報が用紙区切りエラーの発生を示しており、
図6(c)または
図7(c)のように、センサにより用紙のカット位置が検出されないまま用紙が所定長(例えば30cm)搬送されたことが確認された場合は、印刷失敗と判断する。
図9に示したフローチャートにおいて、ステップS10,S15,S18のそれぞれにおいて、印刷終了確認ステータス情報に基づく印刷成否の自動判定を行うことが可能である。
【0071】
印刷終了確認ステータス情報に基づいて印刷成否を自動判定する場合、用紙位置エラーの発生を検知することも可能である。用紙位置エラーとは、ロール紙の芯がラベルプリンタ1の軸受に正しくセットされておらず、ロール紙がラベルプリンタ1の内部で落下している状態のエラーを示す。用紙位置エラー(ロール紙の落下)はセンサにより検出される。印刷終了確認ステータス情報が用紙位置エラーの発生を示しており、用紙がラベルプリンタ1に正常にセットされていないことがテスト印刷部24により確認された場合に、ガイダンス表示部21は、
図9のステップS5でユーザが行った用紙のセット方法に問題があると判断し、用紙セットガイダンス21cを再表示する。
【0072】
例えば、
図9のステップS10,S15,S18のそれぞれにおいて、ラベルプリンタ1から取得した印刷終了確認ステータスを確認し、用紙区切りエラーまたは用紙位置エラーが発生しているか否かを判定する。そして、何れのエラーも検知しなかった場合は、印刷成功と判断する。一方、用紙区切りエラーの発生を検知した場合は、センサ位置設定ガイダンス21dの表示またはセンサ感度の調整を実行し、用紙位置エラーの発生を検知した場合は、用紙セットガイダンス21cの表示を行うようにすることが可能である。
【0073】
なお、用紙位置エラーは、テスト印刷の実行時に限らず、任意のタイミングで検出することが可能である。すなわち、印刷終了確認ステータス情報に基づいて用紙位置エラーの発生を検知する構成に限定されない。例えば、
図9のステップS5の処理後にステータス取得を行い、用紙位置エラーを検知した場合に用紙セットガイダンス21cを再表示するようにしてもよい。
【0074】
その他、ラベルプリンタ1から取得した印刷終了確認ステータスに基づいて、通信失敗エラーや紙切れエラーなどを検知した場合に、通信のリトライや用紙の補充案内をするようにしてもよい。通信失敗エラーは、例えば
図9のステップS8で環境設定部23が環境設定情報をラベルプリンタ1に適用しようとした際に検知することも可能であり、ここで通信失敗エラーを検知した場合に通信のリトライを案内するようにしてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、用紙種類選択ガイダンス21a、センサ種類選択ガイダンス21b、用紙セットガイダンス21cおよびセンサ位置設定ガイダンス21dといった一連のガイダンスをディスプレイに順次表示させる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、これら複数のガイダンスのうち何れか2つ以上を一度に表示させるようにしてもよい。
【0076】
また、上記実施形態において説明した環境設定用プログラム2aは、環境設定のための専用のユーティリティソフトウェアとして構成してよいし、プリンタドライバに含まれるプログラムとして構成してもよい。
【0077】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 ラベルプリンタ
2 ユーザ端末(ラベルプリンタの環境設定装置)
2a 環境設定用プログラム
3 プログラム提供サーバ
21 ガイダンス表示部
21a 用紙種類選択ガイダンス
21b センサ種類選択ガイダンス
21c 用紙セットガイダンス
21d センサ位置設定ガイダンス
22 入力受付部
23 環境設定部
24 テスト印刷部
25 センサ感度調整部
26 推奨設定情報記憶部