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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007676
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】保護管
(51)【国際特許分類】
   H02G 9/02 20060101AFI20240112BHJP
   H02G 9/00 20060101ALI20240112BHJP
   H02G 1/10 20060101ALI20240112BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20240112BHJP
   F16B 7/18 20060101ALI20240112BHJP
   E02D 29/07 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
H02G9/02
H02G9/00
H02G9/02 050
H02G1/10
F16L57/00 A
F16B7/18 Z
E02D29/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108905
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】505091167
【氏名又は名称】北勢工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125221
【弁理士】
【氏名又は名称】水田 愼一
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】北山 秀晴
【テーマコード(参考)】
3H024
3J039
5G352
5G369
【Fターム(参考)】
3H024AA01
3H024AB02
3H024AC03
3J039AA04
3J039BB01
3J039GA07
5G352EA07
5G369AA06
5G369BA02
5G369BB02
5G369DA02
5G369DC02
5G369DC05
5G369DC10
(57)【要約】
【課題】保護管において、海底ケーブル等への取付作業を容易にする。
【解決手段】保護管1は、対を成す半割管体3の凹面31a側を互いに対向配置させて成る。半割管体3は、対向する半割管体3との接合面34の外側に延設されボルト4、ナット5及び座金6が装着される連結部7を有する。連結部7は、ネジ部42を挿通させるための挿通穴71と、座金6が嵌まり込む座金凹部72と、有する。挿通穴71の口径は、ボルト4の頭部41の外径よりも大きく、座金6の外径よりも小さい。そして、座金6の一方は、ネジ部42の軸径よりも大きな開環部62を有する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対を成す半割管体の凹面側を互いに対向配置させて固定具により連結させて成る保護管であって、
前記半割管体は、対向する半割管体との接合面の外側に延設され前記固定具が装着される連結部を有し、
前記固定具は、頭部及びネジ部を有するボルトと、前記ネジ部に螺合されるナットと、前記頭部と前記連結部との間及び前記ナットと前記連結部との間に夫々配置される座金と、を有し、
前記連結部は、前記ネジ部を挿通させるための挿通穴と、前記座金が嵌まり込む座金凹部と、有し、
前記挿通穴の口径は、前記頭部又は前記ナットの外径よりも大きく、前記座金の外径よりも小さく、
前記座金の一方は、前記ネジ部の軸径よりも大きな開環部を有することを特徴とする保護管。
【請求項2】
前記座金凹部は、その内周形状において直線辺を有し、
前記開環部を有する座金は、その外周形状が前記座金凹部の内周形状に対応していることを特徴とする請求項1に記載の保護管。
【請求項3】
前記開環部を有する座金は、前記開環部の近傍に設けられて前記頭部又は前記ナットの回転を規制する突起を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の保護管。
【請求項4】
前記連結部は、対峙する両側縁に夫々設けられ、
一方の前記連結部は、対向する半割管体の連結部との接合面に設けられた凸部を有し、
他方の前記連結部は、対向する半割管体の連結部との接合面に設けられた凹部を有し、
前記対を成す半割管体が連結されるとき、前記凸部が前記凹部に嵌合することを特徴とする請求項1に記載の保護管。
【請求項5】
前記対を成す半割管体は、互いに同形状であることを特徴とする請求項4に記載の保護管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海底ケーブル等を保護する保護管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、島から島への通信信号の伝送や電力の送電等には、海底に敷設された海底ケーブル等が用いられている。このような海底ケーブル等は、海流や波の影響を受けて岩礁等と接触したときや、往来する船舶の船底や船舶から降ろされた錨等と接触したときに、損傷することがないように、それらの外周に被せられた防護管によって保護されている。
【0003】
海底ケーブル等を保護する防護管としては、例えば、対を成す半割管体を対向配置させて成る円筒管を、海底ケーブル等に沿って複数連結したものが知られている。この種の防護管を海底ケーブル等に取付けるときは、作業者が海中に潜り、海底ケーブル等の外周に2つの半割管体を配置して、円筒管内に海底ケーブル等を収容させた状態で、両半割管体の側部に設けられた連結孔にボルトを挿入し、これをナットで締め付けて固定する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61-112515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の防護管のように、2つの半割管体をボルト及びナットを用いて締め付ける作業を海流や波の影響を受ける海底で行うことは、作業者にとって容易なことではない。特に、泥地やヘドロが多い海底等の海水の透明度が低い環境下では、視界不良により海中の作業者は殆ど手さぐりでの作業を余儀なくされることもあり、連結孔にボルトを挿入して、ボルトのネジ部に座金やナットを嵌めて螺合させることは困難である。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、海底ケーブル等への防護管の取付け作業を効率化することができる防護管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、対を成す半割管体の凹面側を互いに対向配置させて固定具により連結させて成る保護管であって、前記半割管体は、対向する半割管体との接合面の外側に延設され前記固定具が装着される連結部を有し、前記固定具は、頭部及びネジ部を有するボルトと、前記ネジ部に螺合されるナットと、前記頭部と前記連結部との間及び前記ナットと前記連結部との間に夫々配置される座金と、を有し、前記連結部は、前記ネジ部を挿通させるための挿通穴と、前記座金が嵌まり込む座金凹部と、有し、前記挿通穴の口径は、前記頭部又は前記ナットの外径よりも大きく、前記座金の外径よりも小さく、前記座金の一方は、前記ネジ部の軸径よりも大きな開環部を有することを特徴とする。
【0008】
上記保護管において、前記座金凹部は、その内周形状において直線辺を有し、前記開環部を有する座金は、その外周形状が前記座金凹部の内周形状に対応していることが好ましい。
【0009】
上記保護管において、前記開環部を有する座金は、前記開環部の近傍に設けられて前記頭部又は前記ナットの回転を規制する突起を有することが好ましい。
【0010】
上記保護管において、前記連結部は、対峙する両側縁に夫々設けられ、一方の前記連結部は、対向する半割管体の連結部との接合面に設けられた凸部を有し、他方の前記連結部は、対向する半割管体の連結部との接合面に設けられた凹部を有し、前記対を成す半割管体が連結されるとき、前記凸部が前記凹部に嵌合することが好ましい。
【0011】
上記保護管において、前記対を成す半割管体は、互いに同形状であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、予めボルトにナットを装着させた状態で、ボルトの頭部(又はナット)を連結部の挿通穴に挿通させ、その後に開環部を有する座金をボルトのネジ部に嵌め入れることができるので、作業者は、海底作業においてナットをボルトのネジ部に螺合させる必要がなく、作業者の労働負担を低減し、作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)は本発明の一実施形態に係る保護管と、保護管を構成する半割管体を分離させた構成を示す平面を主とした斜視図、(b)は上記半割管体を連結させた底面を主とした斜視図。
図2】(a)は上記半割管体の平面を主とする斜視図、(b)は底面を主とする斜視図。
図3】(a)上記半割管体の左側面図、(b)は正面図、(c)は平面図、(d)は背面図、(e)は右側面図、(f)は(c)のA-A線側断面図、(g)は底面図。
図4】(a)は開環部を有する座金の平面図、(b)は側面図、(c)は正面図、(d)は(a)のB-B線断面図。
図5】(a)乃至(c)は、図3(c)の半割管体のC-C線に対応する断面であって、上記保護管の連結手順を説明するための断面図。
図6】(a)(b)は上記保護管の連結手順を説明するための断面図、(c)は上記半割管体を連結させた状態における連結部周囲の底面側の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係る保護管について、図1乃至図6を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態の保護管1は、海底ケーブルや海底送水管といった被保護管2の外周に沿って、複数、直列に連結される。保護管1は、対を成す半割管体3(3A、3B)の凹面側を互いに対向配置させて成る円管状部材である。図示した半割管体3A、3Bは、互いに同形状であり、それらが固定具(ボルト4、ナット5及び座金6)によって連結、固定される。本実施形態では、2種の座金6が用いられ、ナット5側の座金6は、汎用の円環形状である(以下、円座金6Aと言う)。一方、ボルト4の頭部41側の座金6は、その外形形状が六角形である(以下、角座金6Bと言う)。
【0015】
保護管1は、被保護管2を所定期間にわたって十分に保護できるだけの剛性と耐久性があれば、その材質は特に限定されず、例えば、樹脂製又は鋳鉄製とされる。なお、鋳鉄製の保護管は、重量が重いので、樹脂ベルト等での固定は難しく、連結ボルト及びナットで固定することが一般的である。
【0016】
ボルト4は、六角形の頭部41及びネジ部42を有する汎用のボルトであり、ナット5もボルト4に対応するようにネジ部42に螺合する汎用のナットである。ボルト4には、ネジ部42の長さが後述する連結部7の厚みの2倍よりも十分に長いものが採用される。なお、ボルト4は、図示した六角ボルトに限られず、例えば、頭部41が他の多角形であってもよい。
【0017】
図2(a)(b)及び図3(a)乃至(g)に示すように、半割管体3は、被保護管2を収容する収容空間を主として構成する直管部31と、直管部31の一方の端部に形成される大径接続部32と、直管部31の他方の端部に形成される小径接続部33と、を備える。直管部31、大径接続部32及び小径接続部33は、互いに一体形成されている。
【0018】
直管部31は、内側面を成す凹面31aと、外側面を成す凸面31bと、対向する半割管体3との接合面34(特に図2(b)参照)と、を有する。また、半割管体3は、対向する半割管体3との接合面34の外側に延設された連結部7を備える(特に図2(a)(b)、図3(c)(g)参照)。
【0019】
大径接続部32は、直管部31よりも大きな円弧から成る略半球状の部材であり、隣接する保護管1の小径接続部33を収容する収容部32aと、隣接する保護管1の直管部31が挿通される開口内鍔部32bと、を有する(図2(b)参照)。小径接続部33は、直管部31よりも大きく大径接続部32より小さな円弧から成る略半鍋蓋状の部材であり、半円盤状の開口外鍔部33aと、開口外鍔部33aと直管部31とを繋ぐドーム状部材33bと、を有する。大径接続部32の収容部32aの内面が凹面であり、小径接続部33のドーム状部材33bの外面が凸面となっているので、これらが関節機能を果たし、隣り合う保護管1を屈曲させて連結させることができる。
【0020】
半割管体3は、大径接続部32のうち、直管部31へと続く傾斜面に設けられた載置突起35を有する(図2(a)、図3(a)(c)(d)(e)参照)。複数の半割管体3を積み上げて輸送等する際には、下段の半割管体3の載置突起35の上に上段の半割管体3が積み上げられる。載置突起35の上面は接合面34と略平行な水平面となるように形成されているので、載置突起35を設けたことで、複数の半割管体3を安定的に積み上げることができ、輸送性を向上させることができる。
【0021】
連結部7は、直管部31と大径接続部32との接続箇所に、接合面34と連続する面を有するように延設されている。なお、連結部7は、例えば、大径接続部32とは離れた直管部31の中程の位置に設けられてもよい(不図示)。ただし、連結部7が直管部31と大径接続部32との接続箇所に設けられることで、連結部7が直管部31側と大径接続部32側の2辺と繋がった構造となり、連結部7が直管部31側の1辺のみと繋がった構造に比べて、連結部7がより強固に半割管体3に一体支持される。従って、本実施形態のように、連結部7は、直管部31と大径接続部32との接続箇所に設けられることが好ましい。また、保護管1に外部圧力が加わったとき、連結された半割管体3を開環しようとする力は、それらを連結させる連結部7に集中し易い。そのため、連結部7自体の厚みは、直管部31等の厚みよりも厚く設計されることが好ましい。
【0022】
また、連結部7は、ボルト4のネジ部42を挿通させるための挿通穴71と、座金6が嵌まり込む座金凹部72と、有する。挿通穴71の口径は、ボルト4の頭部41又はナット5の外径よりも大きく、座金6の外径よりも小さくなるように設計されている。この挿通穴71は、連結部7を上下に貫通しており、座金凹部72側の開口径が、その反対側の開口径よりも僅かに小さくなるように設計されている(後述する図5(a)も参照)。
【0023】
座金凹部72は、その内周形状において直線辺を有する形状、例えば、多角形であり、本実施形態では、六角形である。後述する角座金6Bの形状に対応した座金凹部72の深さは、座金6の厚みに対応するように設計される。なお、角座金6Bは、その外周形状が座金凹部72の内周形状に対応している。座金凹部72及び角座金6Bの各形状は、角座金6Bが座金凹部72内で回転しないように、少なくとも一辺の直線辺を有する形状であればよく、図示した六角形に限られず、例えば、部分的に円弧を含む形状であってもよい。ただし、後述するように、角座金6Bを表裏いずれでも使用可能とするために、座金凹部72及び角座金6Bは、対称性を備えた形状であることが好ましい。
【0024】
本実施形態では、2つの連結部7A、7Bが、直管部31の対峙する両側縁に夫々設けられている。連結部7A、7Bの形状は、直管部31に対して左右対称ではない。具体的には、一方の連結部7Aは、対向する半割管体3Bの連結部7Bとの接合面に設けられた凸部73Aを有する(後述する図5(a)も参照)。この凸部73Aは、挿通穴71の開口周縁を突出させた形状となっている。また、他方の連結部7Bは、対向する半割管体3Bの連結部7Aとの接合面に設けられた凹部73Bを有する。凹部73Bは、挿通穴71の開口周縁を穿つように形成されている。また、一方の連結部7Aの接続面とは反対側の面(上面)の位置(高さ)が、他方の連結部7Bの上面の位置よりも低くなっている。このように構成された半割管体3A、3Bは、互いに対向配置して接合させたとき、凸部73Aが凹部73Bに嵌合する。
【0025】
丸座金6Aは、汎用の座金であり、その半径が、角座金6Bの中心と辺とを結ぶ半径と略等しいものが用いられる(図1(a)参照)。一方、角座金6Bは、図4(a)乃至(d)に示すように、外周形状が六角形であり、その中心にはネジ部42を挿通するための孔61が設けられている。また、孔61の直径は、ネジ部42の軸径より大きく、ナット5の外径よりも小さい。
【0026】
また、角座金6Bは、ネジ部42の軸径よりも大きな開環部62を有する。開環部62は、孔61から角座金6Bの外周の1辺に向かう方向に開環している。この開環部62は、外側の開口が孔61よりも大きくなっている。また、角座金6Bは、開環部62の近傍に設けられてボルト4の頭部41(又はナット5)の回転を規制する突起63を有する。この突起63は、角座金6Bの開環部62の片方の縁に設けられ、角座金6Bの表裏両面に互い違いの位置に設けられている。
【0027】
上記にように構成された保護管1の取り付け手順について、上述した図1に加えて、図5(a)乃至(c)、図6(a)乃至(c)を参照して説明する。まず、海底で半割管体3を受け取った作業者は、図1(a)に示したように、2つの半割管体3A、3Bを互いの凹面31a側が対向するように、且つ、大径接続部32が隣り合う保護管1の小径接続部33に被さるように、被保護管2の外周に配置する。保護管1を構成する対となる半割管体3は、互いに同形状なので、海中の作業者や海上から作業者に半割管体3を供給する者は、上側管か下側管かを区別する必要がなく、海底に供給された半割管体3を順序組み立てていけばよく、保護管1を取付ける作業効率を向上させることができる。また、図5(a)に示すように、ボルト4は、丸座金6Aだけでなく、ナット5も海上で既に装着された状態で、作業者が所持している。なお、ナット5は、ボルト4のネジ部41の比較的先端側に螺合させている。
【0028】
そして、図5(b)に示すように、2つの半割管体3A、3Bを接合させる。このとき、凸部73Aが凹部73Bと嵌合するので、視界が悪く、海流や波のある海中であっても、作業者は2つの半割管体3A、3Bを容易に位置決めすることができる。次に、図5(c)に示すように、作業者は、挿通穴71に、ボルト4のネジ部42を挿通させる。このとき、挿通穴71の径がボルト4の頭部41(又はナット5)の外径よりも大きいので、ボルト4の頭部41を挿通穴71に挿通させることができる。また、挿通穴71は、座金凹部72側の開口径が、その反対側の開口径よりも僅かに小さい。言い換えると、互いに対向する側の挿通穴71の開口が僅かに大きくなっているので、ボルト4を挿通させる際に、挿通穴71内で頭部41が穴内で引っかかることもなく、スムーズにボルト4を挿通穴71に挿通させることができる。なお、従来の保護管では、ボルトをボルト挿通穴に篏合させることで2つの半割管体を位置決めしていたが、本実施形態では、凸部73Aと凹部73Bの嵌合で位置決めされ、挿通穴71は位置決めに影響しないので、挿通穴71の開口を、ボルト4の頭部41やナット5を挿通させられる程に大きくすることができる。
【0029】
丸座金6Aは、座金凹部72に収容される。また、丸座金6Aが存在するので、ナット5が挿通穴71を通ることはない。また、ナット5は、ボルト4のネジ部41の比較的先端側に螺合させていたので、ボルト4を挿通穴71に挿通させて、ナット5及び丸座金6Aが上方の半割管体3Aの座金凹部72に当接したとき、その反対側では、ボルト4の頭部41と下方の半割管体3Bの座金凹部72との間に、角座金6Bを差し込むための隙間ができる。
【0030】
次に、図6(a)に示すように、角座金6Bを、その開環部62を介してボルト4のネジ部42に嵌め入れる。このとき、開環部62は、外側に大きく開環しているので、作業者は、角座金6Bをボルト4のネジ部42にスムーズに嵌め入れることができる。そして、図6(b)に示すように、ナット5を六角レンチ等で締め上げることで、2つの半割管体3A、3Bを連結させることができる。
【0031】
また、角座金6Bは、突起63が設けられている。図6(c)に示すように、角座金6Bは、六角形の座金凹部72によって回転が規制されているので、突起62がボルト4の頭部41の回転を規制することで、作業者がナット5を締め上げる際に、ボルト4が一緒に回転することもなく、作業者はナット5の締結作業を片手で行うことができる。また、突起63は角座金6Bの両面に設けられているので、作業者は角座金6Bをネジ部42に差し込む際に、角座金6Bの表裏の向きを確認する必要がなく、作業効率を良くすることができる。
【0032】
以上、説明したように、本実施形態の保護管1は、予めボルト4に丸座金6Aだけでなく、ナット5を予め装着させた状態で、ボルト4の頭部41(又はナット5)を連結部7の挿通穴71に挿通させることができる。そのため、作業者が、海底作業においてナット5をボルト4のネジ部41に螺合させる必要がないので、作業者は殆ど手さぐりでの作業も可能である。従って、泥地やヘドロが多い海底等の海水の透明度が低い環境下であっても、ボルト4を挿通穴71に挿通させた後に、角座金6Bを嵌め入れて、ナット5を締結する簡易な作業により海底ケーブル等への防護管の取付が可能になり、作業者の労働負担を低減し、作業効率を向上させることができる。
【0033】
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、種々の変形が可能である。上記実施形態では、挿通穴71の上方からボルト4を挿通させる作業手順を示したが、挿通穴71の下方からボルト4を挿通させてもよい。また、上記では、挿通穴71にボルト4の頭部41を挿通させる作業手順を示したが、ナット5の方を挿通穴71に挿通させてもよい。また、2種の座金6は、両者を手触りで区別できるように、一方の座金6を丸座金6Aとしているが、例えば、丸座金6Aに替えて、開環部62が無い角座金(不図示)が用いられてもよい。また、ボルト4、ナット5及び丸座金6Aには、長さや径等が適合した市販品を用いることができるのに対して、半割管体3及び角座金6Bは、それ自体が独立商取引の対象となるものである。
【符号の説明】
【0034】
1 保護管
3、3A、3B 半割管体
31a 凹面
34 接合面
4 ボルト
41 頭部
42 ネジ部
5 ナット
6 座金
62 開環部
63 突起部
7、7A、7B 連結部
71 挿通穴
72 座金凹部
73A 凸部
73B 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6