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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076760
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/07 20060101AFI20240530BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
G06K19/07 150
G06K19/07 090
G06K19/07 230
H02J1/00 304H
H02J1/00 301C
H02J1/00 307F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188477
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】髭本 信雅
【テーマコード(参考)】
5G165
【Fターム(参考)】
5G165AA01
5G165CA01
5G165EA02
5G165GA07
5G165KA01
5G165KA04
5G165LA07
5G165NA05
(57)【要約】
【課題】外部電源から電力の供給を受けて動作する無線通信装置において、消費電力を低減することが可能な無線通信装置を提供する。
【構成】本発明に係る無線通信装置は、電波を受信した場合に電波に対応した高周波信号を送出するアンテナと、高周波信号を検波して検波信号を得る検波器と、検波信号に復調処理を施して得られた受信データに基づく信号処理を行う回路部と、外部からの外部電源電圧を受けた場合に、回路部を動作させる内部電源電圧を生成しこれを回路部に供給するレギュレータと、アンテナが電波を受信しているか否かを検出し、アンテナが電波を受信していない状態にある間は、レギュレータによる内部電源電圧の生成動作を停止させる電波検出制御部と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を受信した場合に前記電波に対応した高周波信号を送出するアンテナと、
前記高周波信号を検波して検波信号を得る検波器と、
前記検波信号に復調処理を施して得られた受信データに基づく信号処理を行う回路部と、
外部からの外部電源電圧を受けた場合に、前記外部電源電圧に基づき前記回路部を動作させる内部電源電圧を生成しこれを前記回路部に供給するレギュレータと、
前記アンテナが電波を受信しているか否かを検出し、前記アンテナが電波を受信していない状態にある間は、前記レギュレータによる前記内部電源電圧の生成動作を停止させるように前記レギュレータを制御する電波検出制御部と、を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記電波検出制御部は、前記外部電源電圧を受け、前記アンテナが電波を受信している場合には前記外部電源電圧を前記レギュレータに供給する一方、前記アンテナが電波を受信していない場合には前記レギュレータへの前記外部電源電圧の供給を停止することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記電波検出制御部は、
前記高周波信号を整流して直流電圧を得る整流回路と、
前記外部電源電圧に基づき電流値が一定の定電流を生成する定電流バイアス回路と、
前記定電流バイアス回路が生成した前記定電流をコピーした電流が流れる第1のノード及び接地ライン間を前記直流電圧の電圧値に基づいて接続又は遮断することで前記第1のノードに生じた電圧を受信検知信号として生成する定電流型インバータと、
前記受信検知信号に応じてオン状態又はオフ状態に設定され、オン状態に設定された場合には前記外部電源電圧を前記レギュレータに供給し、オフ状態に設定された場合には前記レギュレータへの前記外部電源電圧の供給を停止する出力スイッチと、を含むことを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記定電流バイアス回路は、
前記外部電源電圧を自身のソースで受け、自身のゲート及びドレインが互いに接続されている第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタのドレインに自身のドレインが接続されており、自身のゲートが前記接地ラインに接続されているデプレッション型の第2のトランジスタと、
前記第2のトランジスタのソースに一端が接続されており他端が前記接地ラインに接続されている抵抗と、を含み、
前記定電流型インバータは、
前記外部電源電圧を自身のソースで受け、自身のゲートが前記第1のトランジスタのゲートに接続されている第3のトランジスタと、
前記第3のトランジスタのドレインが前記第1のノードを介して自身のドレインに接続されており、自身のソースが前記接地ラインに接続されており、自身のゲートで前記直流電圧を受ける第4のトランジスタと、を含むことを特徴とする請求項3に記載の無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、商品管理等の分野において、RFID(Radio Frequency Identification)による通信システムが用いられている。RFIDによる通信システムでは、情報を保持するRFIDタグと当該情報の読み出しや書き込みを行うリーダライタとの間で、電波を利用した非接触の近距離無線通信を行う。
【0003】
RFIDタグは、駆動用のバッテリーが搭載されたアクティブ型のRFIDタグと、自らが電源を持たないパッシブ型のRFIDタグとに大別される。アクティブ型のRFIDタグにおいて、バッテリーの大容量化及び充電の高速化を図るため、誘電体層が導体層により上下から挟まれた構造を有するキャパシタがバッテリーとして設けられたアクティブ型のRFIDタグが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-109917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パッシブ型のRFIDタグとして、質問器(親機)からの電波を整流して得られた電力のみを用いて動作するRFIDタグの他、外部電源から電力の供給を受けて動作するRFIDタグが知られている。
【0006】
質問器からの電波を整流して得られた電力のみを用いて動作するRFIDタグでは、回路全体を動作させるための電力を質問器から電波として受ける必要があるため、通信距離が短いという問題があった。
【0007】
一方、外部電源を使用したRFIDタグでは、質問器が信号を発するタイミングをタグ側が知ることはできないため、常時動作状態で質問器が通信を開始するのを待つように動作させる。このため、待ち時間にも電力を消費することになり、消費電力が大きいという問題があった。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、外部電源から電力の供給を受けて動作する無線通信装置において、消費電力を低減することが可能な無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る無線通信装置は、電波を受信した場合に前記電波に対応した高周波信号を送出するアンテナと、前記高周波信号を検波して検波信号を得る検波器と、前記検波信号に復調処理を施して得られた受信データに基づく信号処理を行う回路部と、外部からの外部電源電圧を受けた場合に、前記外部電源電圧に基づき前記回路部を動作させる内部電源電圧を生成しこれを前記回路部に供給するレギュレータと、前記アンテナが電波を受信しているか否かを検出し、前記アンテナが電波を受信していない状態にある間は、前記レギュレータによる前記内部電源電圧の生成動作を停止させるように前記レギュレータを制御する電波検出制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る無線通信装置によれば、外部電源から電力の供給を受けて動作する無線通信装置において、消費電力を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】無線通信装置の構成を示すブロック図である。
図2】電波検出・制御部の構成を示す回路図である。
図3図2に示す電波検出・制御部の変形例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下の実施例における説明及び添付図面においては、実質的に同一または等価な部分には同一の参照符号を付している。
【実施例0013】
図1は、本発明に係る無線通信装置としての無線通信装置100の構成を示すブロック図である。
【0014】
尚、無線通信装置100は、パッシブ型のRFID(Radio Frequency Identification)タグに用いられる無線通信装置であり、図示せぬリーダライタ装置から電波の供給を受け、これに応じてリーダライタ装置との間で近距離無線通信による情報の送受信を行う。
【0015】
図1に示すように、無線通信装置100は、アンテナAT、検波器11、アナログ回路12、ロジック回路13、メモリ回路14、電波検出・制御部15、及びレギュレータ16を含む。更に、無線通信装置100は、図示せぬ例えば電池等の外部電源に接続されており、当該外部電源から外部電源電圧VDDの供給を受ける。
【0016】
アンテナATは、リーダライタ装置から放射された電波を受け、当該電波に対応した高周波信号RFを検波器11に供給する。
【0017】
検波器11は、高周波信号RFを検波して得られた検波信号をアナログ回路12に供給する。
【0018】
アナログ回路12は、かかる検波信号に復調処理を施すことで、リーダライタ装置から送信された各種の情報をデジタル値にて表す受信データを復元し、これをロジック回路13に供給する。ロジック回路13は、当該受信データに基づき、RFIDタグとしての主機能を担う信号処理を行い、かかる信号処理によって得られる情報データをメモリ回路14に記憶させる。また、ロジック回路13は、かかる信号処理を行うにあたり、メモリ回路14に予め記憶されている情報を読み出し、この情報を上記した信号処理に反映させるようにしても良い。
【0019】
尚、アナログ回路12、ロジック回路13及びメモリ回路14は、本RFIDタグの主機能を担う主回路部であり、レギュレータ16から内部電源電圧Vddの供給を受けている間だけ、当該内部電源電圧Vddによって上記した動作が行える状態になる。
【0020】
電波検出・制御部15は、アンテナATから高周波信号RFを受けた場合に、外部電源から供給された外部電源電圧VDDをレギュレータ16に供給する。
【0021】
レギュレータ16は、電波検出・制御部15から外部電源電圧VDDが供給されると、当該外部電源電圧VDDから、上記主回路部(12~14)を動作させるための電源電圧として所定の電圧値を有する内部電源電圧Vddを生成する動作を開始する。そして、レギュレータ16は、生成した内部電源電圧Vddを上記主回路部、つまり、アナログ回路12、ロジック回路13及びメモリ回路14に供給する。
【0022】
図2は、電波検出・制御部15の構成を示す回路図である。
【0023】
図2に示すように、電波検出・制御部15は、整流回路21、定電流バイアス回路22、定電流型インバータ23、インバータ24、25及び出力スイッチを担うトランジスタ26を含む。
【0024】
整流回路21は、コンデンサC1、ダイオードD1、D2及びコンデンサC2を含む。コンデンサC1は、一端がアンテナATに接続されており、その他端がダイオードD1のアノード及びダイオードD2のカソードに接続されている。コンデンサC2は、一端がダイオードD1のカソードに接続されており、他端がダイオードD2のアノード及び接地電圧GNDの供給ラインである接地ラインL2に接続されている。
【0025】
かかる構成により、整流回路21は、アンテナATから供給された高周波信号RFを受ける。この際、整流回路21に含まれるダイオードD1のカソードに、当該高周波信号RFを整流した直流の電圧が生成される。整流回路21は、このダイオードD1のカソード端に生成された電圧を直流電圧Vdetとして生成し、これを定電流型インバータ23に供給する。
【0026】
ところで、アンテナATが電波を受信していない場合には、整流回路21はアンテナATから高周波信号RFを受けることはないので、この際、整流回路21はゼロボルトを有する直流電圧Vdetを生成する。一方、アンテナATが電波を受信している場合には、整流回路21は高周波信号RFを受けることになるので、この際、整流回路21は、高周波信号RFの振幅に対応した電圧値を有する直流電圧Vdetを生成する。
【0027】
要するに、直流電圧Vdetは、その電圧値がゼロボルトであるか否かにより、アンテナATが電波を受信しているか否かを表している。
【0028】
定電流バイアス回路22は、トランジスタQ11、Q12及び抵抗R1を含む。尚、トランジスタQ11は、Pチャネル型(第1導電型)のMOSトランジスタである。トランジスタQ12は、自身の閾値電圧Vthが接地電圧GNDよりも低い負の電圧となるように構築されたデプレッション(depression)型のNチャネルMOSトランジスタである。
【0029】
トランジスタQ11のソースは、外部電源電圧VDDの供給ラインである電源ラインL1に接続されており、自身のドレインがトランジスタQ12のドレインに接続されている。トランジスタQ12のソースには抵抗R1の一端が接続されている。抵抗R1の他端及びトランジスタQ12のゲートは共に接地ラインL2に接続されている。このように、トランジスタQ12のゲートには接地電圧GND(例えばゼロボルト)が印加されているので、トランジスタQ12のソース電圧は、トランジスタQ12に流れる電流I1と抵抗R1の積(I1・R1)になる。よって、トランジスタQ12のゲート・ソース間電圧Vgsは、
Vgs=0-I1・R1
=-I1・R1
となる。
【0030】
ここで、電流I1が大きくなると、ゲート・ソース間電圧Vgsは負側に大きくなり、トランジスタQ12は電流を流さない様に動作する。これにより、定電流バイアス回路22は、抵抗R1の抵抗値に対応した電流値一定の定電流を生成する。
【0031】
定電流型インバータ23は、トランジスタQ13及びQ14を含む。尚、トランジスタQ13は、Pチャネル型のMOSトランジスタであり、トランジスタQ14は、Nチャネル型のMOSトランジスタである。
【0032】
トランジスタQ13のソースは電源ラインL1に接続されており、ゲートがトランジスタQ11のゲート及びドレインに接続されている。トランジスタQ13のドレインはノードn1を介してトランジスタQ14のドレインに接続されている。トランジスタQ14のソースが接地ラインL2に接続されており、そのゲートには整流回路21で生成された直流電圧Vdetが印加されている。
【0033】
よって、定電流バイアス回路22のトランジスタQ11と定電流型インバータ23のトランジスタQ13とでカレントミラー回路が形成されるので、当該トランジスタQ13には、定電流バイアス回路22に流れる定電流をコピーした電流値一定の定電流が流れる。
【0034】
この際、定電流型インバータ23のトランジスタQ14は、自身のゲートで受けた直流電圧Vdetが閾値電圧Vth以上である場合にはオン状態となり、閾値電圧Vth未満である場合にはオフ状態となる。尚、アンテナATが電波を受信していない場合には、直流電圧Vdetは閾値電圧Vth未満となるのでトランジスタQ14はオフ状態となる。一方、アンテナATが電波を受信している場合には、直流電圧Vdetは閾値電圧Vth以上となるのでトランジスタQ14はオン状態となる。ここで、トランジスタQ14がオフ状態にある間は、定電流型インバータ23のノードn1には、トランジスタQ13に流れる定電流によって外部電源電圧VDDを有する電圧が生成される。一方、トランジスタQ14がオン状態にある間は、ノードn1の電圧値は接地電圧GNDとなる。
【0035】
よって、定電流型インバータ23は、かかるノードn1の電圧を、アンテナATが電波を受信しているか否かを2値(VDD、GND)で表す受信検知信号V1として、インバータ24に供給する。尚、受信検知信号V1は、アンテナATが電波を受信している場合には接地電圧GNDを有し、アンテナATが電波を受信していない場合には外部電源電圧VDDを有する。
【0036】
インバータ24は、トランジスタQ15及びQ16を含む。尚、トランジスタQ15は、Pチャネル型のMOSトランジスタであり、トランジスタQ16は、Nチャネル型のMOSトランジスタである。トランジスタQ15のソースは電源ラインL1に接続されており、トランジスタQ16のソースは接地ラインL2に接続されている。トランジスタQ15及びQ16各々のゲートは互いに接続されており、当該ゲートで上記した受信検知信号V1を受ける。これらトランジスタQ15及びQ16各々のドレインは互いに接続されている。
【0037】
かかる構成により、インバータ24は、2値(VDD、GND)の受信検知信号V1の電圧値を反転させた電圧を有する信号を、反転受信検知信号V2としてインバータ25に供給する。
【0038】
インバータ25は、トランジスタQ17及びQ18を含む。尚、トランジスタQ17は、Pチャネル型のMOSトランジスタであり、トランジスタQ18は、Nチャネル型のMOSトランジスタである。トランジスタQ17のソースは電源ラインL1に接続されており、トランジスタQ18のソースは接地ラインL2に接続されている。トランジスタQ17及びQ18各々のゲートは互いに接続されており、当該ゲートで上記した反転受信検知信号V2を受ける。これらトランジスタQ17及びQ18各々のドレインは互いに接続されている。
【0039】
かかる構成により、インバータ25は、2値(VDD、GND)の反転受信検知信号V2の電圧値を反転させた電圧を有する信号を、受信検知信号V3として、Pチャネル型のMOSトランジスタであるトランジスタ26のゲートに供給する。
【0040】
トランジスタ26は、ソースが電源ラインL1に接続されており、ドレインがレギュレータ16に接続されている。
【0041】
トランジスタ26は、受信検知信号V3が、アンテナATが電波を受信していないことを表す外部電源電圧VDDを有する場合にはオフ状態となる。一方、受信検知信号V3が、アンテナATが電波を受信していることを表す接地電圧GNDを有する場合、トランジスタ26はオン状態となり、電源ラインL1に供給されている外部電源電圧VDDをレギュレータ16に供給する。
【0042】
よって、図2に示す構成により、電波検出・制御部15は、アンテナATが電波を受信している場合には、出力スイッチとしてのトランジスタ26を介して、外部電源電圧VDDをレギュレータ16に供給する。一方、アンテナATが電波を受信していない場合には、電波検出・制御部15は、トランジスタ26をオフ状態にすることで、レギュレータ16への外部電源電圧VDDの供給を停止する。外部電源電圧VDDの供給が停止することで、レギュレータ16は内部電源電圧Vddの生成動作を停止する。
【0043】
このように、無線通信装置100では、電波の非受信状態時には、レギュレータ16への外部電源電圧VDDの供給を停止することで、レギュレータ16の動作を停止する。これにより、電波の非受信状態時に、無線通信装置100内に流れる主な動作電流は、定電流バイアス回路22に流れる定電流だけとなる。よって、電波の非受信状態時にもレギュレータ16が動作し、当該レギュレータに接続されている各回路(12~14)内に電流が流れる場合よりも消費電力を抑えることができる。
【0044】
また、図2に示す整流回路21にて生成された直流電圧Vdetは、定電流型インバータ23のトランジスタQ14のゲートのみに供給されており、整流回路21からその他の回路を動作させるための電流供給を行う事は無い。よって、当該整流回路の出力で全ての回路を動作させるための内部電源電圧を生成する、いわゆるパッシブ型のRFIDタグに搭載されている通信回路に比べて、小さな受信入力から比較的高い電圧を得ることができるので、通信感度を高くすることが可能となる。
【実施例0045】
図3は、図2に示される電波検出・制御部15の変形例を示す回路図である。
【0046】
尚、図3に示す構成では、図2に示すインバータ24及び25に代えて、定電流型インバータ34及び35を採用した点を除く他の構成は、図2に示すものと同一である。
【0047】
定電流型インバータ34は、トランジスタQ25及びQ26を含む。尚、トランジスタQ25は、Pチャネル型のMOSトランジスタであり、トランジスタQ26は、Nチャネル型のMOSトランジスタである。
【0048】
トランジスタQ25のソースは電源ラインL1に接続されており、ゲートが定電流バイアス回路22のトランジスタQ11のゲート及びドレインに接続されている。トランジスタQ26のドレインはトランジスタQ25のドレインに接続されている。トランジスタQ26のソースが接地ラインL2に接続されており、そのゲートはノードn1を介して定電流型インバータ23のトランジスタQ13及びQ14のドレインに接続されている。
【0049】
定電流型インバータ35は、トランジスタQ27及びQ28を含む。尚、トランジスタQ27は、Pチャネル型のMOSトランジスタであり、トランジスタQ28は、Nチャネル型のMOSトランジスタである。
【0050】
トランジスタQ27のソースは電源ラインL1に接続されており、ゲートが定電流バイアス回路22のトランジスタQ11のゲート及びドレインに接続されている。トランジスタQ27のドレインはトランジスタQ28のドレインに接続されている。トランジスタQ28のソースが接地ラインL2に接続されており、そのゲートは定電流型インバータ34のトランジスタQ25及びQ26のドレインに接続されている。
【0051】
ところで、図3に示す定電流型インバータ34の動作は、2値(VDD、GND)の受信検知信号V1を受け、その電圧値を反転させた電圧を有する反転受信検知信号V2を生成するというインバータ24の動作と同一である。また、図3に示す定電流型インバータ34の動作は、2値(VDD、GND)の反転受信検知信号V2を受け、その電圧値を反転させた電圧を有する受信検知信号V3を生成しこれをトランジスタ26のゲートに供給するというインバータ25の動作と同一である。
【0052】
ただし、定電流型インバータ34及び35では、夫々の内部に流れる電流は、定電流バイアス回路22の内部で流れる電流I1に対応した電流値に制限される。
【0053】
これにより、定電流型インバータ23のノードn1で生成された電圧が外部電源電圧VDDと接地電圧GNDとの間の中間電位となったが故に、トランジスタQ25~Q28が全てオン状態となり、トランジスタQ25(Q27)及びQ26(Q28)間に貫通電流が流れても、その電流値が、電流I1に対応した電流値に制限される。よって、例え各インバータ(34、35)内において貫通電流が流れても、その電流値を小さくすることが可能となる。
【0054】
尚、上記実施例では、定電流型インバータ23の出力である受信検知信号V1を、直列2段のインバータ24及び25、或いは直列2段の定電流型インバータ34及び35を介して、受信検知信号V3としてトランジスタ26のゲートに供給しているが、受信検知信号V1を直接、トランジスタ26のゲートに供給しても良い。
【0055】
また、上記実施例では、アンテナATが電波を受信していない場合に電波検出・制御部15が、レギュレータ16への外部電源電圧VDDの供給を停止することで、レギュレータ16による内部電源電圧Vddの生成動作を停止させている。しかしながら、レギュレータ16が常に外部電源電圧VDDの供給を受ける構成とし、この際、電波検出・制御部15は、アンテナATが電波を受信していない場合に、停止制御信号をレギュレータ16に供給することで内部電源電圧Vddの生成動作を停止させるようにしても良い。
【0056】
更に、上記した実施例では、図1に示す電波検出・制御部15及びレギュレータ16をRFIDタグの無線通信装置に適用した場合を例にとって動作を説明したが、RFIDタグのみならず、受信の待ち受けを行う機能を備えた各種の無線通信装置に適用可能である。
【0057】
要するに、本発明に係る無線通信装置としては、以下のアンテナ、検波器、レギュレータ及び電波検出制御を含むものであれば良い。
【0058】
アンテナ(AT)は、電波を受信した場合にこの電波に対応した高周波信号(RF)を送出する。検波器(11)は、かかる高周波信号を検波して検波信号を得る。回路部(12~14)は、この検波信号に復調処理を施して得られた受信データに基づく信号処理を行う。レギュレータ(16)は、外部からの外部電源電圧(VDD)を受けた場合に、この外部電源電圧に基づき上記回路部を動作させる内部電源電圧(Vdd)を生成しこれを回路部に供給する。電波検出制御部は、アンテナが電波を受信しているか否かを検出し、アンテナが電波を受信していない状態にある間は、レギュレータによる内部電源電圧の生成動作を停止させるようにこのレギュレータを制御する。
【符号の説明】
【0059】
15 電波検出・制御部
16 レギュレータ
21 整流回路
22 定電流バイアス回路
23、34、35 定電流型インバータ
24、25 インバータ
100 無線通信装置
図1
図2
図3