(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076761
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】光デバイス、光送信装置及び光受信装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/01 20060101AFI20240530BHJP
G02B 6/12 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
G02F1/01 C
G02B6/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188480
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 昌樹
【テーマコード(参考)】
2H147
2K102
【Fターム(参考)】
2H147AB02
2H147AB11
2H147AC02
2H147AC05
2H147DA12
2H147DA15
2H147EA10D
2H147EA13A
2H147EA13C
2H147EA14B
2H147GA00
2H147GA29
2K102AA28
2K102BA02
2K102BA14
2K102BA40
2K102BB04
2K102BC04
2K102BC10
2K102BD01
2K102CA21
2K102DA04
2K102DD03
2K102EA05
2K102EA07
2K102EA12
2K102EA21
2K102EB16
2K102EB20
2K102EB22
(57)【要約】
【課題】消費電力を抑制しながら、ヒータ電極の長期信頼性を確保できる光デバイス等を提供する。
【解決手段】光デバイスは、光導波路を加熱するヒータ電極と、ヒータ電極の導電率に比較して大きい導電率を有する電極と、ヒータ電極と電極との間を電気的に接続するビアと、を有する。ヒータ電極は、ビアと接続する、電極幅が幅広の接続部と、接続部の電極幅に比較して細長の本体と、を有する。ビアは、ヒータ電極の中心線上に位置し、本体側のビア端部を、ビアとヒータ電極との間を流れる電流が拡散する構造にした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路を加熱するヒータ電極と、
前記ヒータ電極の導電率に比較して大きい導電率を有する電極と、
前記ヒータ電極と前記電極との間を電気的に接続するビアと、を有し、
前記ヒータ電極は、
前記ビアと接続する、電極幅が幅広の接続部と、
前記接続部の電極幅に比較して細長の本体と、を有し、
前記ビアは、
前記ヒータ電極の中心線上に位置し、前記本体側のビア端部を、前記ビアと前記ヒータ電極との間を流れる電流が拡散する構造にしたことを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
前記ビアは、
前記本体側のビア端部が窪むへこみ部を有することを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項3】
前記ビアは、
前記電極と同一の材料で構成することを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項4】
前記ヒータ電極は、
前記接続部と前記本体との間に形成され、前記接続部から前記本体に向かって電極幅が徐々に細くなるテーパ部を有することを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項5】
前記ビアは、
前記本体側のビア端部が窪む、平面形状がすり鉢状のへこみ部にしたことを特徴とする請求項2に記載の光デバイス。
【請求項6】
前記ビアは、
前記本体側のビア端部が窪む、平面形状が円弧状のへこみ部にしたことを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項7】
前記ビアは、
前記本体側のビア端部が直線となる平面形状のビアにしたことを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項8】
前記ビアは、
前記光導波路に平行する第1の辺と、
前記光導波路に直交する第2の辺と、を有し、
前記第1の辺の第1の寸法が前記第2の辺の第2の寸法に比較して短くする、平面形状が長方形状のビアであることを特徴とする請求項7に記載の光デバイス。
【請求項9】
前記ビアは、
前記電極と前記ヒータ電極との間が電気的に接続する複数の小ビアで構成し、
複数の小ビア内の一部の小ビアは、
前記ヒータ電極の中心線上に位置し、前記本体から離れるように配置されることを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項10】
前記小ビアは、
平面形状が矩形状のビアであることを特徴とする請求項9に記載の光デバイス。
【請求項11】
前記小ビアは、
平面形状が丸形状のビアであることを特徴とする請求項9に記載の光デバイス。
【請求項12】
電気信号に対する信号処理を実行するプロセッサと、
光を発生させる光源と、
前記プロセッサから出力される電気信号を用いて、前記光源から発生する光を変調する光変調器と、を有する光送信装置であって、
前記光変調器内の位相シフタは、
光導波路を加熱するヒータ電極と、
前記ヒータ電極の導電率に比較して大きい導電率を有する電極と、
前記ヒータ電極と前記電極との間を電気的に接続するビアと、を有し、
前記ヒータ電極は、
前記ビアと接続する、電極幅が幅広の接続部と、
前記接続部の電極幅に比較して細長の本体と、を有し、
前記ビアは、
前記ヒータ電極の中心線上に位置し、前記本体側のビア端部を、前記ビアと前記ヒータ電極との間を流れる電流が拡散する構造にしたことを特徴とする光送信装置。
【請求項13】
光を発生させる光源と、
前記光源からの光を用いて受信光を復調する光受信器と、を有する光受信装置であって、
前記光受信器内の位相シフタは、
光導波路を加熱するヒータ電極と、
前記ヒータ電極の導電率に比較して大きい導電率を有する電極と、
前記ヒータ電極と前記電極との間を電気的に接続するビアと、を有し、
前記ヒータ電極は、
前記ビアと接続する、電極幅が幅広の接続部と、
前記接続部の電極幅に比較して細長の本体と、を有し、
前記ビアは、
前記ヒータ電極の中心線上に位置し、前記本体側のビア端部を、前記ビアと前記ヒータ電極との間を流れる電流が拡散する構造にしたことを特徴とする光受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイス、光送信装置及び光受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速の光通信に使用される光送信装置内の光変調器や光受信装置内の光受信器には位相シフタが内蔵されている。位相シフタは、ヒータ熱で光導波路内の温度を上昇させ、温度上昇による光導波路内の屈折率が変化し、屈折率の変化に応じて光導波路内を通過する信号光の位相をシフトさせることになる。
【0003】
図20は、従来の位相シフタ100の一例を示す略平面図、
図21は、
図20に示すA-A線の略断面図である。
図20に示す位相シフタ100は、Si基板111と、クラッド層112と、光導波路101と、ヒータ電極102と、電極103と、ビア104とを有する。クラッド層112は、Si基板111上に積層され、Si基板111上に配置された光導波路101の周囲及び光導波路101上に配置されたヒータ電極102の周囲を囲っている。
【0004】
クラッド層112は、光導波路101のSi(シリコン)に比較して屈折率が低い材料、例えば、SiO2(二酸化ケイ素)で形成する誘電体である。光導波路101は、例えば、Siで形成され、信号光が通過する、例えば、チャネル型導波路等の導波路である。ヒータ電極102は、例えば、TiN(窒化チタン)やTi(チタン)等の抵抗のある金属で形成され、駆動電流に応じてヒータ熱を発生し、光導波路101内の温度を上昇させる。電極103は、電圧を印加することでヒータ電極102に電流を入力する入力側の電極と、ヒータ電極102から電流を出力する出力側の電極とを有する。電極103は、例えば、Al(アルミニウム)やCu(銅)等の抵抗値の低い金属で形成する。ビア104は、ヒータ電極102と電極103との間を電気的に接続する。ビア104は、例えば、タングステン等の金属で形成する。ヒータ電極102の導電率は、ビア104の導電率に比較して小さくしている。
【0005】
位相シフタ100は、電極103に電圧を印加した場合、ヒータ電極102に電流が流れるため、ヒータ熱が発生し、このヒータ熱で光導波路101の温度を上昇させる。光導波路101は、温度が上昇すると、光導波路101を形成するSiの熱光学効果により光導波路101内の屈折率が変化する。更に、位相シフタ100は、光導波路101内の屈折率の変化に応じて、光導波路101内を通過する信号光の位相をシフトする。
【0006】
しかしながら、従来の位相シフタ100では、ヒータ電極102の電極幅が光導波路101の幅に比較して広いため、ヒータ電極102で発生したヒータ熱が光導波路101以外の部分に拡散し、光導波路101の加熱効率が悪く、消費電力が大きくなる。そこで、このような事態に対処すべく、ヒータ電極102の電極幅を狭くした位相シフタ100Aがある。
【0007】
図22は、従来の位相シフタ100Aの一例を示す略平面図、
図23は、
図22に示すA-A線の略断面図である。尚、
図20に示す位相シフタ100と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
図22に示す位相シフタ100Aと
図20に示す位相シフタ100とが異なるところは、ヒータ電極102Aの電極幅を狭くした点にある。
【0008】
位相シフタ100Aは、ヒータ電極102Aの電極幅を狭くしたので、ヒータ電極102Aで発生したヒータ熱が光導波路101の部分を局所的に加熱できる。その結果、位相シフタ100Aの消費電力を抑制できる。
【0009】
図24は、従来の位相シフタ100Aのヒータ電極102Aに対する電圧変化の一例を示す説明図である。尚、説明の便宜上、例えば、図中の左側の電極103からヒータ電極102Aを経由して図中の右側の電極103に電流が流れるものとする。ヒータ電極102Aの導電率はビア104の導電率に比較して小さいため、左側のビア104及び右側のビア104と接触するヒータ電極102Aの電圧は安定している。しかしながら、電流が集中する箇所であるビア104の角104Aの部分にあるヒータ電極102Aから電圧低下を開始し、右側のビア104とヒータ電極102Aとが接触するビア104の角104Aの部分に到達するまで電圧は徐々に低下することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0100966号明細書
【特許文献2】特開2019-12120号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2016/0377953号明細書
【特許文献4】国際公開第2011/065384号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の位相シフタ100Aでは、平面から見て幅広のビア104から細長いヒータ電極102Aに電流が流れることになる。しかしながら、ビア104の導電率に比較してヒータ電極102Aの導電率が小さいため、ヒータ電極102Aとビア104とが最も近接するビア104の角104Aの部分に電流が集中する。その結果、電流が集中する箇所が局所的に加熱され、局所的な加熱によってヒータ電極102Aに悪影響を及ぼし、ヒータ電極102Aの長期信頼性に影響を及ぼすおそれがある。
【0012】
一つの側面では、消費電力を抑制しながら、ヒータ電極の長期信頼性を確保できる光デバイス等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一つの態様の光デバイスは、光導波路を加熱するヒータ電極と、ヒータ電極の導電率に比較して大きい導電率を有する電極と、ヒータ電極と電極との間を電気的に接続するビアと、を有する。ヒータ電極は、ビアと接続する、電極幅が幅広の接続部と、接続部の電極幅に比較して細長の本体と、を有する。ビアは、ヒータ電極の中心線上に位置し、本体側のビア端部を、ビアとヒータ電極との間を流れる電流が拡散する構造にした。
【発明の効果】
【0014】
一つの側面によれば、消費電力を抑制しながら、ヒータ電極の長期信頼性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施例1の位相シフタの一例を示す略平面図である。
【
図3】
図3は、実施例1の位相シフタのヒータ電極に対する電圧変化の一例を示す説明図である。
【
図4】
図4は、実施例2の位相シフタの一例を示す略平面図である。
【
図6】
図6は、実施例2の位相シフタのヒータ電極に対する電圧変化の一例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、実施例3の位相シフタの一例を示す略平面図である。
【
図9】
図9は、実施例3の位相シフタのヒータ電極に対する電圧変化の一例を示す説明図である。
【
図10】
図10は、実施例4の位相シフタの一例を示す略平面図である。
【
図12】
図12は、実施例4の位相シフタのヒータ電極に対する電圧変化の一例を示す説明図である。
【
図13】
図13は、実施例5の位相シフタの一例を示す略平面図である。
【
図15】
図15は、実施例5の位相シフタのヒータ電極に対する電圧変化の一例を示す説明図である。
【
図16】
図16は、実施例6の位相シフタの一例を示す略平面図である。
【
図18】
図18は、実施例6の位相シフタのヒータ電極に対する電圧変化の一例を示す説明図である。
【
図19】
図19は、本実施例の光通信装置の一例を示す説明図である。
【
図20】
図20は、従来の位相シフタの一例を示す略平面図である。
【
図22】
図22は、従来の位相シフタの一例を示す略平面図である。
【
図24】
図24は、従来の位相シフタのヒータ電極に対する電圧変化の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本願が開示する光デバイス等の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例0017】
図1は、実施例1の位相シフタ1の一例を示す略平面図、
図2Aは、
図1に示すA-A線の略断面図、
図2Bは、
図1に示すB-B線の略断面図である。
図1に示す位相シフタ1は、Si基板11と、クラッド層12と、光導波路2と、ヒータ電極3と、電極4と、ビア5とを有する。クラッド層12は、Si基板11上に積層され、Si基板11上に配置された光導波路2の周囲及び光導波路2上もしくは近辺に配置されたヒータ電極3の周囲を囲っている。
【0018】
クラッド層12は、光導波路2のSiに比較して屈折率が低い材料、例えば、SiO2(二酸化ケイ素)で形成する誘電体である。光導波路2は、例えば、Si(シリコン)で形成され、信号光が通過する、例えば、チャネル型導波路等の導波路である。ヒータ電極3は、例えば、TiN(窒化チタン)やTi(チタン)等の抵抗のある金属で形成され、駆動電流に応じてヒータ熱を発生し、光導波路2内の温度を上昇させる。電極4は、電圧を印加してヒータ電極3に電流を入力する入力側の電極と、ヒータ電極3から電流を出力する出力側の電極とを有する。電極4は、例えば、Al(アルミニウム)やCu(銅)等の抵抗値の低い金属で形成する。ビア5は、ヒータ電極3と電極との間を電気的に接続する。ビア5は、例えば、タングステン等の金属で形成する。ヒータ電極3の導電率は、ビア5の導電率に比較して小さくしている。電極4の導電率は、ヒータ電極3の導電率に比較して大きくしている。
【0019】
位相シフタ1は、電極4に電圧を印加した場合、ヒータ電極3に電流が流れるため、ヒータ熱が発生し、このヒータ熱で光導波路2の温度を上昇させる。光導波路2は、温度が上昇すると、光導波路2を形成するSiの熱光学効果により光導波路2内の屈折率が変化する。更に、位相シフタ1は、光導波路2内の屈折率の変化に応じて、光導波路2内を通過する信号光の位相をシフトする。
【0020】
ヒータ電極3は、ビア5と接続する接続箇所で電極幅が幅広の接続部3Aと、両側の接続部3A同士を接続し、電極幅を細長の本体3Bとを有する。
【0021】
ビア5は、平面形状が
図1に示す略矩形状のビア5Aである。ヒータ電極3の中心線Xは光導波路2の位置に相当するが、
図2A及び
図2Bに示すビア5Aは光導波路2の直上に位置する。そして、ビア5Aは、ヒータ電極3の中心線X上に位置する。本体3B側のビア端部は、ビア5Aとヒータ電極3との間を流れる電流が拡散する構造であって、平面形状が窪むすり鉢状のへこみ部5A1を有する。へこみ部5A1は、ヒータ電極3の中心線X上に位置し、ビア5Aの幅をヒータ電極3の本体3Bの電極幅に比較して太くしてヒータ電極3が細くなる本体3Bとビア5Aとの間が離れているので、ビア5Aから細いヒータ電極3の本体3Bに流れる電流が拡散する。その結果、電流が中心線Xから拡散してビア5Aとヒータ電極3との間の境界での電流が集中するような事態を回避できる。
【0022】
図3は、実施例1の位相シフタ1のヒータ電極3に対する電圧変化の一例を示す説明図である。尚、説明の便宜上、図中の左側の電極4からヒータ電極3を経由して図中の右側の電極4に電流が流れるものとする。ヒータ電極3の導電率はビア5Aの導電率に比較して小さいため、左側のビア5A及び右側のビア5Aと接触するヒータ電極3の電圧は安定している。左側のビア5Aのへこみ部5A1に位置するヒータ電極3の接続部3Aから電圧の降下を開始するものの、電圧降下の変化が緩やかになる。そして、ヒータ電極3の本体3Bから右側のビア5Aのへこみ部5A1に位置する接続部3Aまで電圧が徐々に低下する。更に、右側のビア5Aのへこみ部5A1に位置するヒータ電極3の接続部3Aから電圧降下の変化が緩やかになり、電圧降下が停止することになる。
【0023】
つまり、左側のビア5A(右側のビア5A)のへこみ部5A1に位置するヒータ電極3の接続部3Aでは、電圧降下の変化が緩やかになるため、ビア5Aとヒータ電極3との間の境界での電流が集中するような事態を回避できる。
【0024】
実施例1の位相シフタ1は、ヒータ電極3の電極幅がビア5Aと接触する接続部3Aで広く、ビア5Aがヒータ電極3の中心線X上に位置し、ヒータ電極3の細くなる本体3B側のビア端部を、平面形状がすり鉢状のへこみ部5A1にした。その結果、ヒータ電極3の電極幅が細くなる本体3Bとビア5Aとの間が部分的に離れ、流れる電流が拡散するため、ビア5Aとヒータ電極3との間の境界で電流が集中するような事態を回避できる。そして、消費電力を抑制しながら、ヒータ電極3の長期信頼性を確保できる。
【0025】
尚、説明の便宜上、本実施例の光デバイスとして位相シフタ1を例示したが、位相シフタ1に限定されるものではなく、例えば、DC変調器や可変減衰器(VOA)にも適用可能である。
【0026】
また、ビア5Aはタングステン、電極4はAl及びCu等で形成する場合を例示したが、ビア5Aは電極4と同一材料で形成しても良い。その結果、ビア5Aを電極4と同一の材料で形成することで、製造性の向上を図ることができる。
【0027】
また、ヒータ電極3の中心線Xが光導波路2の位置に相当する場合を例示したが、特に限定されるものではなく、例えば、ヒータ電極3の中心線Xと光導波路2の位置にオフセットを設けても構わない。
【0028】
尚、実施例1のヒータ電極3は抵抗率が大きいので、ヒータ電極3の電極幅が幅広の接続部3Aから細くなる本体3Bの角部分で電流が集中する場合が考えられる。そこで、このような事態に対処する実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。
実施例2の位相シフタ1Aと実施例1の位相シフタ1とが異なるところは、ヒータ電極3において接続部3Aから本体3Bに向かって電極幅が徐々に細くなるテーパ部3Cを有する点にある。
ヒータ電極3は、電極4と接続する電極幅が幅広の接続部3Aと、接続部3Aと接続する電極幅が細長の本体3Bと、接続部3Aと本体3Bとの間に形成され、接続部3Aから本体3Bに向かって電極幅が徐々に細くなるテーパ部3Cと、を有する。テーパ部3Cは、接続部3Aから本体3Bに向かって電極幅が徐々に細くなるので、電流の流れが緩やかに変化することで接続部3Aと本体3Bとの間の角での局所的な電流の集中を回避できる。
つまり、左側のビア5A(右側のビア5A)のへこみ部5A1に位置するヒータ電極3の接続部3Aでは、電圧降下の変化が緩やかになるため、ビア5Aとヒータ電極3との間の境界での電流が集中するような事態を回避できる。更に、左側の接続部3Aから本体3Bまでの左側のテーパ部3Cでの電圧降下の変化及び、本体3Bから右側の接続部3Aまでの右側のテーパ部3Cでの電圧降下の変化は緩やかになるため、ヒータ電極3内の接続部3Aと本体3Bとの間での電流集中を回避できる。
実施例2の位相シフタ1Aでは、ヒータ電極3の接続部3Aと本体3Bとの間に、接続部3Aから本体3Bに向かって電極幅が徐々に細くなるテーパ部3Cを配置した。その結果、接続部3Aと本体3Bとの間のテーパ部3Cで電流が緩やかに流れるため、ヒータ電極3内の接続部3Aと本体3Bとの間での電流集中を回避できる。
尚、実施例2の位相シフタ1Aでは、ビア5Aの端部を平面形状がすり鉢状のへこみ部5A1にした場合を例示したが、これに限定されるものではなく、適宜変更可能であるため、その実施の形態につき、実施例3として以下に説明する。