(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076763
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】電子装置及び電子装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20240530BHJP
H01L 23/48 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
H01L23/12 K
H01L23/12 Q
H01L23/48 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188482
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 元人
(72)【発明者】
【氏名】池田 良成
(57)【要約】
【課題】基板の変形を抑制し、基板と、当該基板に接合部材を介して接合される端子との相対的位置がずれることを抑制する。
【解決手段】正極回路パターン層22a及び負極回路パターン層22bは絶縁板21のおもて面の長手方向に対して平行に延伸する端子領域22a1,22b1をそれぞれ具備する。正極端子40の正極接合領域40a及び負極端子41の負極接合領域41aの厚さは、正極回路パターン層22aの端子領域22a1及び負極回路パターン層22bの端子領域22b1の厚さよりも小さい。正極端子40の正極接合領域40a及び負極端子41の負極接合領域41aの長手方向の長さla,lbは、正極回路パターン層22aの端子領域22a1及び負極回路パターン層22bの端子領域22b1の長手方向の長さLa,Lbの半分以上である。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視で矩形状を成し、おもて面と前記おもて面の反対側の裏面とを含む絶縁板と前記絶縁板の前記おもて面に形成された第1回路パターン層と前記絶縁板の前記裏面に形成された金属板とを含み、前記第1回路パターン層は前記おもて面の長手方向に対して平行に延伸する第1端子領域を具備する基板と、
前記第1回路パターン層の前記第1端子領域に第1接合部材を介して、前記長手方向に平行に延伸して接合される第1接合領域を具備する第1端子と、
を含み、
前記第1端子の前記第1接合領域の厚さは、前記第1回路パターン層の前記第1端子領域の厚さよりも小さく、
前記第1端子の前記第1接合領域の前記長手方向の長さは、前記第1回路パターン層の前記第1端子領域の前記長手方向の長さの半分以上である、
電子装置。
【請求項2】
前記第1回路パターン層の前記第1端子領域は、前記絶縁板の一方の長辺に面して、前記絶縁板の前記おもて面に形成されている、
請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記第1回路パターン層の前記第1端子領域及び前記第1端子の前記第1接合領域を合わせた厚さは、前記金属板の厚さよりも大きい、
請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記基板は、前記絶縁板の前記おもて面に形成されている第2回路パターン層をさらに含み、
前記第2回路パターン層は、前記おもて面の前記長手方向に対して平行に延伸する第2端子領域を具備し、前記第2端子領域は前記第1回路パターン層の前記第1端子領域に前記長手方向に沿って隣接し、
前記第2回路パターン層の前記第2端子領域に第2接合部材を介して、前記長手方向に平行に延伸して接合される第2接合領域を具備する第2端子をさらに含む、
請求項2に記載の電子装置。
【請求項5】
前記第2回路パターン層の前記第2端子領域は、前記絶縁板の前記一方の長辺に面して、前記絶縁板の前記おもて面に形成されている、
請求項4に記載の電子装置。
【請求項6】
前記第1回路パターン層の前記第1端子領域と前記第2回路パターン層の前記第2端子領域とは前記絶縁板の前記おもて面の短手方向に平行な中心線を挟んで、前記第1端子領域及び前記第2端子領域の互いに対向する側は前記中心線からそれぞれ等距離に位置している、
請求項5に記載の電子装置。
【請求項7】
前記第1回路パターン層の前記第1端子領域の前記短手方向に平行な幅と前記第2回路パターン層の前記第2端子領域の前記短手方向に平行な幅とは略等しい、
請求項6に記載の電子装置。
【請求項8】
前記第1回路パターン層は、平面視で前記第1端子領域と、前記第1端子領域の2か所から他方の長辺に向かって延伸する部分とを含み、
前記第2回路パターン層は、平面視で前記第2端子領域と、前記第2端子領域の2か所から前記他方の長辺に向かって延伸する部分とを含んでいる、
請求項7に記載の電子装置。
【請求項9】
前記第1端子の前記第1接合領域及び前記第2端子の前記第2接合領域はそれぞれ平板状を成している、
請求項8に記載の電子装置。
【請求項10】
前記第1端子は、前記第1接合領域を含んで全体的に平板状を成している、
請求項9に記載の電子装置。
【請求項11】
前記第1端子は、前記第1接合領域が前記第1回路パターン層の前記第1端子領域に接合されて、前記一方の長辺から外側に延伸している、
請求項10に記載の電子装置。
【請求項12】
平面視で矩形状を成し、おもて面と前記おもて面の反対側の裏面とを含む絶縁板と前記絶縁板の前記おもて面に形成された第1回路パターン層と前記絶縁板の前記裏面に形成された金属板とを含み、前記第1回路パターン層は前記おもて面の長手方向に対して平行に延伸する第1端子領域を具備する基板と、第1接合領域を具備する第1端子とを用意する用意工程と、
前記第1端子の前記第1接合領域を前記第1回路パターン層の前記第1端子領域に第1接合部材を介して、前記長手方向に平行に延伸して接合する接合工程と、
を有し、
前記第1端子の前記第1接合領域の厚さは、前記第1回路パターン層の前記第1端子領域の厚さよりも小さく、
前記第1端子の前記第1接合領域の前記長手方向の長さは、前記第1回路パターン層の前記第1端子領域の前記長手方向の長さの半分以上である、
電子装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置及び電子装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の外縁に面する2つのパターンに正極及び負極の端子がそれぞれはんだを介して接合され、これらの端子が当該外縁から外側に延伸している(例えば、特許文献1~3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-117944号公報
【特許文献2】国際公開第2017/119226号
【特許文献3】特開2017-228630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、基板の変形を抑制し、基板と、当該基板に接合部材を介して接合される端子との相対的位置がずれることを抑制した電子装置及び電子装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施の形態によれば、平面視で矩形状を成し、おもて面と前記おもて面の反対側の裏面とを含む絶縁板と前記絶縁板の前記おもて面に形成された第1回路パターン層と前記絶縁板の前記裏面に形成された金属板とを含み、前記第1回路パターン層は前記おもて面の長手方向に対して平行に延伸する第1端子領域を具備する基板と、前記第1回路パターン層の前記第1端子領域に第1接合部材を介して、前記長手方向に平行に延伸して接合される第1接合領域を具備する第1端子と、を含み、前記第1端子の前記第1接合領域の厚さは、前記第1回路パターン層の前記第1端子領域の厚さよりも小さく、前記第1端子の前記第1接合領域の前記長手方向の長さは、前記第1回路パターン層の前記第1端子領域の前記長手方向の長さの半分以上である、電子装置を提供する。
【0006】
前記第1回路パターン層の前記第1端子領域は、前記絶縁板の一方の長辺に面して、前記絶縁板の前記おもて面に形成されてよい。
【0007】
前記第1回路パターン層の前記第1端子領域及び前記第1端子の前記第1接合領域を合わせた厚さは、前記金属板の厚さよりも大きくてよい。
【0008】
前記基板は、前記絶縁板の前記おもて面に形成されている第2回路パターン層をさらに含み、前記第2回路パターン層は、前記おもて面の前記長手方向に対して平行に延伸する第2端子領域を具備し、前記第2端子領域は前記第1回路パターン層の前記第1端子領域に前記長手方向に沿って隣接し、前記第2回路パターン層の前記第2端子領域に第2接合部材を介して、前記長手方向に平行に延伸して接合される第2接合領域を具備する第2端子をさらに含んでよい。
【0009】
前記第2回路パターン層の前記第2端子領域は、前記絶縁板の前記一方の長辺に面して、前記絶縁板の前記おもて面に形成されてよい。
【0010】
前記第1回路パターン層の前記第1端子領域と前記第2回路パターン層の前記第2端子領域とは前記絶縁板の前記おもて面の短手方向に平行な中心線を挟んで、前記第1端子領域及び前記第2端子領域の互いに対向する側は前記中心線からそれぞれ等距離に位置してよい。
【0011】
前記第1回路パターン層の前記第1端子領域の前記短手方向に平行な幅と前記第2回路パターン層の前記第2端子領域の前記短手方向に平行な幅とは略等しくてよい。
【0012】
前記第1回路パターン層は、平面視で前記第1端子領域と、前記第1端子領域の2か所から他方の長辺に向かって延伸する部分とを含み、前記第2回路パターン層は、平面視で前記第2端子領域と、前記第2端子領域の2か所から前記他方の長辺に向かって延伸する部分とを含んでよい。
【0013】
前記第1端子の前記第1接合領域及び前記第2端子の前記第2接合領域はそれぞれ平板状を成してよい。
【0014】
前記第1端子は、前記第1接合領域を含んで全体的に平板状を成してよい。
【0015】
前記第1端子は、前記第1接合領域が前記第1回路パターン層の前記第1端子領域に接合されて、前記一方の長辺から外側に延伸してよい。
【0016】
また、本実施の形態によれば、平面視で矩形状を成し、おもて面と前記おもて面の反対側の裏面とを含む絶縁板と前記絶縁板の前記おもて面に形成された第1回路パターン層と前記絶縁板の前記裏面に形成された金属板とを含み、前記第1回路パターン層は前記おもて面の長手方向に対して平行に延伸する第1端子領域を具備する基板と、第1接合領域を具備する第1端子とを用意する用意工程と、前記第1端子の前記第1接合領域を前記第1回路パターン層の前記第1端子領域に第1接合部材を介して、前記長手方向に平行に延伸して接合する接合工程と、を有し、前記第1端子の前記第1接合領域の厚さは、前記第1回路パターン層の前記第1端子領域の厚さよりも小さく、前記第1端子の前記第1接合領域の前記長手方向の長さは、前記第1回路パターン層の前記第1端子領域の前記長手方向の長さの半分以上である、電子装置の製造方法を提供する。
【0017】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明となりうる。
【発明の効果】
【0018】
開示の技術によれば、電子装置は基板の変形を抑制し、基板と、当該基板に接合部材を介して接合される端子との相対的位置がずれることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】実施の形態の半導体装置の側面図(Y-Z面)である。
【
図3】実施の形態の半導体装置の側面図(X-Z面)である。
【
図5】実施の形態の半導体装置に含まれる半導体ユニットの平面図である。
【
図6】実施の形態の半導体装置に含まれる半導体ユニットの断面図である。
【
図7】実施の形態の半導体装置に含まれる半導体ユニットの側面図(X-Z面)である。
【
図8】実施の形態の半導体装置に含まれる絶縁回路基板の平面図である。
【
図9】実施の形態の半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【
図10】実施の形態の半導体装置の製造方法の含まれる第1接合工程を説明する図である。
【
図11】実施の形態の半導体装置の製造方法の含まれる第2接合工程(加熱時)を説明する図である。
【
図12】実施の形態の半導体装置の製造方法の含まれる第2接合工程(冷却時)を説明する図である。
【
図13】参考例の半導体装置の製造方法の含まれる第2接合工程(加熱時)を説明する図である。
【
図14】参考例の半導体装置の製造方法の含まれる第2接合工程(冷却時)を説明する図である。
【
図15】実施の形態(変形例)の半導体装置に含まれる半導体ユニットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、「おもて面」及び「上面」とは、図の半導体装置1において、上側(+Z方向)を向いたX-Y面を表す。同様に、「上」とは、図の半導体装置1において、上側(+Z方向)の方向を表す。「裏面」及び「下面」とは、図の半導体装置1において、下側(-Z方向)を向いたX-Y面を表す。同様に、「下」とは、図の半導体装置1において、下側(-Z方向)の方向を表す。必要に応じて他の図面でも上記と同様の方向性を意味する。「高位」とは、図の半導体装置1において、上側(+Z方向)の位置を表す。同様に、「低位」とは、図の半導体装置1において、下側(-Z方向)の位置を表す。「おもて面」、「上面」、「上」と「裏面」、「下面」、「下」と「側面」とは、相対的な位置関係を特定する便宜的な表現に過ぎず、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、「上」及び「下」は、必ずしも地面に対する鉛直方向を意味しない。つまり、「上」及び「下」の方向は、重力方向に限定されない。また、以下の説明において「主成分」とは、80vol%以上含む場合を表す。また、「略同一」とは、±10%以内の範囲であればよい。また、「垂直」、「平行」とは、±10°以内の範囲であればよい。また、以下では、電子装置の一例として半導体装置を挙げて説明する。半導体装置1は電子装置の一例に過ぎず、電子装置は半導体装置1に限らない。
【0021】
まず、実施の形態の半導体装置1の外観について
図1~
図4を用いて説明する。
図1は、実施の形態の半導体装置の斜視図である。
図2は、実施の形態の半導体装置の側面図(Y-Z面)であり、
図3は、実施の形態の半導体装置の側面図(X-Z面)である。
図4は、実施の形態の半導体装置の裏面図である。なお、
図2は、
図1の半導体装置1を+X方向に見た側面図であり、
図3は、
図1の半導体装置1を、+Y方向に見た側面図である。
図1の半導体装置1の-X方向に見た側面図は、
図2を参照することができる。
図1の半導体装置1の-Y方向に見た側面図は、省略するものの、長側面2cに出力端子42のみが延出されている。
【0022】
半導体装置1は、後述する半導体ユニット3(
図6~
図8)と半導体ユニット3を封止する封止体2とを含んでいる。封止体2は、立方体を成しており、平面視で矩形状を成す上面2eと上面2eに対向する底面2fとを含んでいる。封止体2は、さらに、上面2e及び底面2fの四方を順に取り囲む長側面2a、短側面2b、長側面2c、短側面2dを含んでいる。
【0023】
上面2e及び底面2fは略同じ形状であって、略同じサイズを成している。上面2e及び底面2fはそれぞれ全体的に略平滑である。上面2e及び底面2fはまた略平行を成している。上面2eから半導体ユニット3に含まれる制御端子43a,43bが鉛直上方(+Z方向)にそれぞれ延伸している。底面2fから半導体ユニット3に含まれる、後述する絶縁回路基板20の金属板23の裏面が表出されている。金属板23は底面2fに対して略同一平面を成している。
【0024】
長側面2a,2cは、上面2e及び底面2fの長辺をそれぞれ接続している。接続箇所は略直角を成している。接続箇所は、直角に限らず、R面取り、C面取りされていてよい。長側面2aは、半導体ユニット3に含まれる正極端子40及び負極端子41が鉛直(-Y方向)にそれぞれ延伸している。なお、負極端子41は正極端子40よりも上面2e側に寄って位置している。長側面2cの中央部は、半導体ユニット3に含まれる出力端子42が鉛直(+Y方向)に延伸している。なお、出力端子42は、正極端子40と略同一の高さに位置する。
【0025】
短側面2b,2dは、上面2e及び底面2fの短辺をそれぞれ接続している。さらに、短側面2b,2dは、(封止体2の周径方向に沿って)長側面2a,2cの両辺をそれぞれ接続している。それぞれの接続箇所は略直角を成している。接続箇所は、直角に限らず、R面取り、C面取りされていてよい。
【0026】
このような封止体2は、熱硬化性樹脂を主成分として構成されている。熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、マレイミド樹脂が挙げられる。また、当該熱硬化性樹脂は充填剤を含んでよい。充填剤は、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウムが挙げられる。
【0027】
次に、半導体ユニット3について、
図5~
図8を用いて説明する。
図5は、実施の形態の半導体装置に含まれる半導体ユニットの平面図であり、
図6は、実施の形態の半導体装置に含まれる半導体ユニットの断面図である。
図7は、実施の形態の半導体装置に含まれる半導体ユニットの側面図(X-Z面)である。
図8は、実施の形態の半導体装置に含まれる絶縁回路基板の平面図である。なお、
図6は、
図5の一点鎖線X-Xにおける断面図である。
図7は、
図5の半導体ユニット3の+Y方向に見た側面図である。また、
図6及び
図7は、制御端子43a,43b及び各種ワイヤの図示を省略している。
【0028】
半導体ユニット3は、絶縁回路基板20と半導体チップ30と制御ワイヤ36とセンスワイヤ37と主電流ワイヤ38と正極端子40と負極端子41と出力端子42と制御端子43a,43bとを含んでいる。
【0029】
絶縁回路基板20は、平面視で矩形状である。絶縁回路基板20は、絶縁板21と絶縁板21のおもて面に形成された複数の回路パターン層と絶縁板21の裏面に形成された金属板23と、を有している。なお、複数の回路パターン層は、正極回路パターン層22a、負極回路パターン層22b、出力回路パターン層22c、制御回路パターン層22d,22f、センス回路パターン層22e,22gを含む。以降、これらを特に区別しない場合には、回路パターン層と称する。複数の回路パターン層及び金属板23の外形は、平面視で、絶縁板21の外形より小さく、絶縁板21の内側に形成されている。なお、複数の回路パターン層の形状、個数、大きさは一例である。
【0030】
絶縁板21は、平面視で矩形状を成す。また、絶縁板21は、角部が面取りされていてもよい。例えば、C面取りあるいはR面取りされていてもよい。絶縁板21は、外周辺である長側面21a、短側面21b、長側面21c、短側面21dにより四方が囲まれている。このような絶縁板21は、熱伝導性のよいセラミックスにより構成されている。セラミックスは、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、または、窒化珪素を主成分とする材料により構成されている。また、絶縁板21の厚さは、例えば、0.2mm以上、0.4mm以下である。ここでは、0.32mm程度である。
【0031】
金属板23は、平面視で矩形状を成す。また、角部が、例えば、C面取りあるいはR面取りされていてもよい。金属板23は、絶縁板21のサイズより小さく、絶縁板21の縁部を除いた裏面全面に形成されている。金属板23は、熱伝導性に優れた金属を主成分として構成されている。金属は、例えば、銅、アルミニウムまたは、少なくともこれらの一種を含む合金である。また、金属板23の厚さは、0.5mm以上、0.7mm以下である。ここでは、0.6mm程度である。金属板の耐食性を向上させるために、めっき処理を行ってもよい。この際、用いられるめっき材は、例えば、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金である。
【0032】
複数の回路パターン層は、既述の通り、正極回路パターン層22a、負極回路パターン層22b、出力回路パターン層22c、制御回路パターン層22d,22f、センス回路パターン層22e,22gを含む。複数の回路パターン層は、絶縁板21の縁部を除いた全面に形成されている。好ましくは、平面視で、複数の回路パターン層の絶縁板21の外周に面する端部は、金属板23の絶縁板21の外周側の端部と重畳する。
【0033】
複数の回路パターン層の厚さは、例えば、0.5mm以上、0.7mm以下である。ここでは、0.6mm程度である。すなわち、ここでは、複数の回路パターン層の厚さは、金属板23の厚さと略等しい。複数の回路パターン層は、導電性に優れた金属により構成されている。このような金属は、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの一種を含む合金である。また、複数の回路パターン層の表面に対して、耐食性を向上させるために、めっき処理を行ってもよい。この際、用いられるめっき材は、例えば、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金である。
【0034】
複数の回路パターン層に含まれる正極回路パターン層22aは、平面視で、F字状を成して、絶縁板21の長側面21aに面して形成されている。正極回路パターン層22aは、端子領域22a1とチップ領域22a2,22a3とを含んでいる。
【0035】
端子領域22a1は平面視で矩形状を成している。端子領域22a1は、絶縁板21のおもて面に、長側面21a(長手方向)に対して平行に延伸して形成されている。端子領域22a1の+X方向の端部は、絶縁板21のおもて面の中心線Cから短側面21b側に所定の距離離れている。なお、中心線Cは、長側面21a,21cの中心を通り、短側面21b,21dに平行である。端子領域22a1の-X方向の端部と短側面21bとの間には隙間が空いている。端子領域22a1は、長側面21aに面している。端子領域22a1内に示されている破線の領域(配置領域Ta)は、正極端子40の接合箇所である。なお、端子領域22a1の±Y方向の幅Wは、配置領域Taの同方向の幅wよりも大きい。
【0036】
チップ領域22a2は、平面視で矩形状を成している。チップ領域22a2は、端子領域22a1の-X方向の端部から短側面21b,21d(短手方向)に平行を成して長側面21cに向かって延伸している。チップ領域22a2の+Y方向の端部と長側面21cとの間には隙間が空いている。チップ領域22a2の-X方向の端部と端子領域22a1の-X方向の端部とは同一平面を成している。チップ領域22a2内に示されている2つの破線の領域は、半導体チップ30の接合箇所である。なお、チップ領域22a2の±X方向の幅は、端子領域22a1の幅Wよりも大きい。
【0037】
チップ領域22a3は、平面視で矩形状を成している。チップ領域22a3は、端子領域22a1の+X方向の端部から所定の距離、-X方向の位置に、短側面21b,21dに平行を成して長側面21cに向かって延伸している。チップ領域22a3の+Y方向の端部と長側面21cとの間には隙間が空いている。チップ領域22a2,22a3の+Y方向の端部は同一平面を成している。また、チップ領域22a3の+X方向の端部と中心線Cとは隙間が空いている。チップ領域22a2の+X方向の端部と、チップ領域22a3の-X方向の端部とは隙間が空いている。チップ領域22a3内に示されている2つの破線の領域は、半導体チップ30の接合箇所である。なお、チップ領域22a3の±X方向の幅は、チップ領域22a2の同方向の幅と略等しく、端子領域22a1の幅Wよりも大きい。また、チップ領域22a2の+X方向の端部とチップ領域22a3の-X方向の端部との隙間の幅は、チップ領域22a2,22a3の同方向の幅と略等しくてよい。
【0038】
複数の回路パターン層に含まれる負極回路パターン層22bは、平面視で、J字状を成して、絶縁板21の長側面21aに面して形成されている。負極回路パターン層22bは、端子領域22b1と配線領域22b2,22b3とを含んでいる。
【0039】
端子領域22b1は平面視で矩形状を成している。端子領域22b1は、絶縁板21のおもて面に、長側面21a(長手方向)に対して平行に延伸して形成されている。端子領域22b1の-X方向の端部は、絶縁板21のおもて面の中心線Cから短側面21d側に所定の距離離れている。また、端子領域22b1の-X方向の端部と、端子領域22a1の+X方向の端部とは、中心線Cに対して線対称を成している。端子領域22b1は、長側面21aに面している。端子領域22b1内に示されている破線の領域(配置領域Tb)は、負極端子41の接合箇所である。なお、端子領域22b1の±Y方向の幅Wは、配置領域Tbの同方向の幅wよりも大きい。
【0040】
配線領域22b2は、平面視で矩形状を成している。配線領域22b2は、端子領域22b1の-X方向の端部から短側面21b,21d(短手方向)に平行を成して長側面21cに向かって延伸している。配線領域22b2の+Y方向の端部と長側面21cとの間には隙間が空いている。配線領域22b2の-X方向の端部と端子領域22b1の-X方向の端部とは同一平面を成している。なお、配線領域22b2の±X方向の幅は、端子領域22b1の幅Wよりも小さい。
【0041】
配線領域22b3は、平面視で矩形状を成している。配線領域22b3は、端子領域22b1の+X方向の端部から短側面21b,21d(短手方向)に平行を成して長側面21cに向かって延伸している。配線領域22b3の+Y方向の端部は長側面21c側の縁部を空けて形成されている。さらに、配線領域22b3の+X方向の端部は短側面21dに面している。配線領域22b3の+X方向の端部と端子領域22b1の+X方向の端部とは同一平面を成している。なお、配線領域22b3の±X方向の幅は、配線領域22b2の同方向の幅と略等しく、端子領域22b1の幅Wよりも小さい。
【0042】
複数の回路パターン層に含まれる出力回路パターン層22cは、平面視で、櫛歯状を成して、絶縁板21の長側面21cに面して形成されている。出力回路パターン層22cは、端子領域22c1と配線領域22c2,22c3とチップ領域22c4,22c5とを含んでいる。
【0043】
端子領域22c1は平面視で矩形状を成している。端子領域22c1は、絶縁板21のおもて面に、長側面21c(長手方向)に対して平行に延伸して形成されている。端子領域22c1の-X方向の端部は、絶縁板21のおもて面の短側面21bに面している。また、端子領域22c1の+X方向の端部は短側面21dから隙間を空けて形成されている。端子領域22c1は、長側面21cにも面している。端子領域22c1内に示されている破線の領域(配置領域Tc)は、出力端子42の接合箇所である。なお、端子領域22c1の±Y方向の幅Wは、端子領域22a1の同方向の幅Wと略等しく、配置領域Tcの同方向の幅wよりも大きい。
【0044】
配線領域22c2は、平面視で矩形状を成している。配線領域22c2は、端子領域22c1の-X方向の端部から短側面21b,21d(短手方向)に平行を成して長側面21aに向かって延伸している。配線領域22c2の-Y方向の端部は長側面21aに面している。配線領域22c2の-X方向の端部と端子領域22c1の-X方向の端部とは同一平面を成している。なお、配線領域22c2の±X方向の幅は、端子領域22c1の幅Wよりも小さい。
【0045】
配線領域22c3は、平面視で矩形状を成している。配線領域22c3は、端子領域22c1から短側面21b,21d(短手方向)に平行を成し、チップ領域22a3及び配線領域22b2の間を長側面21aに向かって延伸している。配線領域22c3の-Y方向の端部は端子領域22a1に面している。配線領域22c3の±X方向の幅は、チップ領域22a3と配線領域22b2との間隔に対応すると共に、配線領域22c2の同方向の幅と略等しい。
【0046】
チップ領域22c4は、平面視で矩形状を成している。チップ領域22c4は、端子領域22c1から配線領域22b2と後述する制御回路パターン層22fとの間を短側面21b,21d(短手方向)に平行を成して長側面21aに向かって延伸している。チップ領域22c4の-Y方向の端部は、配線領域22b2に面している。チップ領域22c4内に示されている2つの破線の領域は、半導体チップ30の接合箇所である。なお、チップ領域22c4の±X方向の幅は、端子領域22c1の幅Wよりも大きい。
【0047】
チップ領域22c5は、平面視で矩形状を成している。チップ領域22c5は、端子領域22c1の+X方向の端部から、配線領域22b3と後述するセンス回路パターン層22gとの間を短側面21b,21d(短手方向)に平行を成して長側面21aに向かって延伸している。チップ領域22c5の-Y方向の端部は端子領域22b1に面している。チップ領域22c4,22c5及び配線領域22c3の-Y方向の端部は同一平面を成している。また、チップ領域22c5の+X方向の端部と端子領域22c1の+X方向の端部とは同一平面を成している。チップ領域22c5内に示されている2つの破線の領域は、半導体チップ30の接合箇所である。なお、チップ領域22c5の±X方向の幅は、チップ領域22c4の同方向の幅と略等しく、端子領域22c1の幅Wよりも大きい。また、チップ領域22c5の-X方向の端部とチップ領域22c4の+X方向の端部との隙間の幅は、チップ領域22c4,22c5の同方向の幅と略等しい。
【0048】
複数の回路パターン層に含まれる制御回路パターン層22d及びセンス回路パターン層22eは、平面視で、矩形状を成して、正極回路パターン層22aと出力回路パターン層22cの端子領域22c1とで囲まれる領域に、短側面21b,21d(短手方向)に平行を成して形成されている。制御回路パターン層22d及びセンス回路パターン層22eの±X方向の幅は、配線領域22c2の同方向の幅よりも小さい。
【0049】
複数の回路パターン層に含まれる制御回路パターン層22f及びセンス回路パターン層22gは、平面視で、矩形状を成して、負極回路パターン層22bの端子領域22b1と出力回路パターン層22cの端子領域22c1及びチップ領域22c4,22c5とで囲まれる領域に、短側面21b,21d(短手方向)に平行を成して形成されている。制御回路パターン層22f及びセンス回路パターン層22gの±X方向の幅は、配線領域22c2の同方向の幅よりも小さい。
【0050】
このような構成を有する絶縁回路基板20として、例えば、DCB(Direct Copper Bonding)基板、AMB(Active Metal Brazed)基板を用いてもよい。絶縁回路基板20は、半導体チップ30で発生した熱を正極回路パターン層22a及び負極回路パターン層22b、絶縁板21、金属板23を介して、絶縁回路基板20の裏面側に伝導させて放熱する。
【0051】
半導体チップ30は、炭化シリコンにより構成されるパワーデバイスである。このパワーデバイスの一例として、パワーMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)が挙げられる。このような半導体チップ30は裏面に入力電極としてドレイン電極を、おもて面に、制御電極31としてゲート電極及び出力電極としてソース電極をそれぞれ備えている。なお、ここでは、半導体チップ30は制御電極31を一辺の中央部に設けられている場合を例に挙げて説明している。
【0052】
また、半導体チップ30は、シリコンにより構成されるパワーデバイスであってもよい。この場合のパワーデバイスは、例えば、RC(Reverse Conducting)-IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。RC-IGBTは、スイッチング素子であるIGBT及びダイオード素子であるFWD(Free Wheeling Diode)が1チップ内に構成されたものである。このような半導体チップ30は、例えば、裏面に入力電極としてコレクタ電極を、おもて面に、制御電極としてゲート電極及び出力電極としてエミッタ電極をそれぞれ備えている。
【0053】
なお、半導体チップ30は、本実施の形態では、正極回路パターン層22a及び出力回路パターン層22cに、既述の接合部材35を介してそれぞれ複数配置されている。本実施の形態では、半導体チップ30を正極回路パターン層22aのチップ領域22a2,22a3及び出力回路パターン層22cのチップ領域22c4,22c5に2つずつ短側面21b,21dに沿って配置している場合を例示している。また、本実施の形態では、正極回路パターン層22aのチップ領域22a2,22a3及び出力回路パターン層22cのチップ領域22c4,22c5にそれぞれ配置されている2つの半導体チップ30は、互いの制御電極31が対向して配置されている。
【0054】
正極端子40、負極端子41、出力端子42、制御端子43a,43bは、導電性に優れた金属により構成されている。このような金属は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金である。正極端子40、負極端子41、出力端子42、制御端子43a,43bの金属板の耐食性を向上させるために、めっき処理を行ってもよい。この際、用いられるめっき材は、例えば、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金である。
【0055】
また、正極端子40、負極端子41、出力端子42の厚さは、それぞれ、正極回路パターン層22a、負極回路パターン層22b、出力回路パターン層22cの厚さよりも小さくてよい。正極端子40、負極端子41、出力端子42の厚さは、例えば、0.4mm以上、0.6mm以下である。ここでは、0.5mm程度である。また、正極端子40、負極端子41、出力端子42の厚さと正極回路パターン層22a、負極回路パターン層22b、出力回路パターン層22cの厚さとを合わせた厚さは、金属板23の厚さよりも大きくてよい。
【0056】
正極端子40は平板状を成している。正極端子40の内端部である正極接合領域40aが正極回路パターン層22aの端子領域22a1の配置領域Taに接合部材35を介して接合されている。正極端子40の外端部は正極回路パターン層22aの端子領域22a1から鉛直(-Y方向)に延伸している。なお、正極端子40の外端部の角部はR面取り、C面取りされていてよい。また、正極端子40の外端部には貫通孔が形成されてもよい。このような貫通孔を用いて、バスバーを取り付けてよい。また、正極端子40は全体的に略均一な厚さ並びに均一な(
図5中、±X方向の)幅を成している。
【0057】
また、正極端子40の厚さは、正極回路パターン層22aの厚さよりも小さくてよい。正極端子40の厚さは、例えば、0.4mm以上、0.6mm以下である。ここでは、0.5mm程度である。正極端子40の正極接合領域40aの(
図7の±X方向の)幅laは、正極回路パターン層22aの端子領域22a1の同方向の幅Laの半分以上であってよい。
【0058】
負極端子41は負極接合領域41aと連係領域41bと配線領域41cとを含んでいる。負極接合領域41aと連係領域41bと配線領域41cとはいずれも平板状を成している。また、このような負極端子41は全体的に略均一な厚さ並びに均一な(
図5中の±X方向の)幅を成している。負極端子41の内端部である負極接合領域41aは負極回路パターン層22bの端子領域22b1の配置領域Tbに接合部材35を介して接合されている。連係領域41bは、負極接合領域41aの(
図5中の-Y方向の)端部に接続されて、鉛直上方(+Z方向)に延伸している。配線領域41cは、連係領域41bに接続されて、負極回路パターン層22bの端子領域22b1から鉛直(-Y方向)に延伸している。したがって、負極端子41の配線領域41cは、絶縁回路基板20のおもて面から連係領域41bの高さの分だけ+Z方向に離隔している。また、負極端子41の配線領域41cの外端部の角部はR面取り、C面取りされていてよい。また、負極端子41の外端部には貫通孔が形成されてもよい。このような貫通孔を用いて、バスバーを取り付けてよい。
【0059】
また、負極端子41の厚さは、負極回路パターン層22bの厚さよりも小さくてよい。負極端子41の厚さは、例えば、0.4mm以上、0.6mm以下である。ここでは、0.5mm程度である。負極端子41の負極接合領域41aの(
図7の±X方向の)幅lbは、負極回路パターン層22bの端子領域22b1の同方向の幅Lbの半分以上であってよい。
【0060】
出力端子42は平板状を成している。出力端子42の内端部である出力接合領域42aが出力回路パターン層22cの端子領域22c1の配置領域Tcに接合部材35を介して接合されている。出力端子42の外端部は出力回路パターン層22cの端子領域22c1から鉛直(+Y方向)に延伸している。なお、出力端子42の外端部の角部はR面取り、C面取りされていてよい。また、出力端子42の外端部には貫通孔が形成されてもよい。このような貫通孔を用いて、バスバーを取り付けてよい。また、出力端子42は全体的に略均一な厚さ並びに均一な(
図5中、±X方向の)幅を成している。
【0061】
なお、正極端子40、負極端子41、出力端子42を正極回路パターン層22a、負極回路パターン層22b、出力回路パターン層22cに接合する接合部材35の厚さは、例えば、0.08mm以上、0.12mm以下である。ここでは、0.1mm程度である。
【0062】
制御端子43a,43bは柱状を成している。柱状とは、断面が、多角形状、円形状、楕円形状であってよい。このような制御端子43a,43bの断面の直径(対角長さ)は、例えば、0.7mm以上、1.5mm以下である。制御端子43aの下端部は、制御回路パターン層22d及びセンス回路パターン層22eの長側面21aの端部に接合部材35(図示を省略)によりそれぞれ接合されている。制御端子43aの上端部は、制御回路パターン層22d及びセンス回路パターン層22eから鉛直上方(+Z方向)に延伸している。制御端子43bの下端部は、制御回路パターン層22f及びセンス回路パターン層22gの長側面21aの端部に接合部材35(図示を省略)によりそれぞれ接合されている。制御端子43bの上端部は、制御回路パターン層22f及びセンス回路パターン層22gから鉛直上方(+Z方向)に延伸している。
【0063】
制御ワイヤ36、センスワイヤ37、主電流ワイヤ38は、導電性に優れた材質を主成分としている。このような材質は、例えば、金、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの1種を含む合金により構成されている。好ましくは、制御ワイヤ36、センスワイヤ37、主電流ワイヤ38は、微量のシリコンを含むアルミニウム合金であってよい。また、制御ワイヤ36及びセンスワイヤ37の径は、主電流ワイヤ38の径よりも小さくてよい。
【0064】
制御ワイヤ36(
図5中の-X方向側)は、各半導体チップ30の制御電極31と制御回路パターン層22dとを直接それぞれ接続している。制御ワイヤ36(
図5中の+X方向側)は、各半導体チップ30の制御電極31と制御回路パターン層22fとを直接それぞれ接続している。
【0065】
センスワイヤ37(
図5中の-X方向側)は、各半導体チップ30の出力電極とセンス回路パターン層22eとを直接それぞれ接続している。センスワイヤ37(
図5中の+X方向側)は、各半導体チップ30の出力電極とセンス回路パターン層22gとを直接それぞれ接続している。
【0066】
主電流ワイヤ38(
図5中の-X方向側)は、各半導体チップ30の出力電極と出力回路パターン層22cの配線領域22c2,22c3とを直接それぞれ接続している。主電流ワイヤ38(
図5中の+X方向側)は、各半導体チップ30の出力電極と負極回路パターン層22bの配線領域22b2,22b3とを直接それぞれ接続している。主電流ワイヤ38は、長側面21a,21cに対して平行を成してそれぞれ配線されている。
【0067】
次に、このような半導体ユニット3を含む半導体装置1の製造方法について
図9並びに
図10~
図12を用いて説明する。
図9は、実施の形態の半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
図10は、実施の形態の半導体装置の製造方法の含まれる第1接合工程を説明する図である。
図11は、実施の形態の半導体装置の製造方法の含まれる第2接合工程(加熱時)を説明する図であり、
図12は、実施の形態の半導体装置の製造方法の含まれる第2接合工程(冷却時)を説明する図である。なお、
図10~
図12は、絶縁回路基板20を+Y方向に見た側面視である。また、
図11及び
図12は、半導体チップ30の記載を省略している。
【0068】
まず、半導体装置1の構成部品を用意する用意工程を行う(ステップS1)。ここで用意される半導体装置1の構成部品は、例えば、半導体チップ30、絶縁回路基板20、正極端子40、負極端子41、出力端子42、制御端子43a,43b、封止体2の原料が挙げられる。上記以外でも、半導体装置1の製造に必要な部品が用意される。また、この際、部品のみならず、製造工程で用いられる製造装置も用意してよい。
【0069】
次いで、絶縁回路基板20に半導体チップ30を接合する第1接合工程を行う(ステップS2)。半導体チップ30を、例えば、
図10(A)に例示するように、絶縁回路基板20の正極回路パターン層22aのチップ領域22a2,22a3並びに出力回路パターン層22cのチップ領域22c4,22c5に板状の接合部材35を介して配置する。そして、加熱して、板状の接合部材35を溶融させた後、加熱を停止して冷却する。これにより、半導体チップ30が絶縁回路基板20の正極回路パターン層22aのチップ領域22a2,22a3並びに出力回路パターン層22cのチップ領域22c4,22c5に接合部材35を介して接合する。
【0070】
この加熱、冷却を経て、絶縁回路基板20のおもて側の複数の回路パターン層と裏面側の金属板23とはそれぞれ平面方向に沿って伸縮する。絶縁回路基板20では、裏面側の金属板23がおもて側の複数の回路パターン層よりも体積が多い。このため、絶縁回路基板20は裏面側がおもて側よりも伸縮量が多い。また、複数の回路パターン層及び金属板23の線膨張係数と、絶縁板21の線膨張係数とは異なっている。したがって、第1接合工程後、半導体チップ30が接合された絶縁回路基板20は、
図10(B)に示されるように、±Y方向に見た側面視で上に凸の反りが発生する。また、絶縁回路基板20は平面視で矩形状を成している。絶縁回路基板20のおもて側の複数の回路パターン層に含まれるチップ領域22a2,22a3,22c4,22c5と配線領域22b2,22b3,22c2,22c3と制御回路パターン層22d,22fとセンス回路パターン層22e,22gは、中心線C(並びに短側面21b,21d)に対して平行を成して形成されている(
図8を参照)。これらは、中心線Cを跨ぐことはない。
【0071】
また、複数の回路パターン層に含まれる端子領域22c1のみが中心線Cを跨いで長側面21a,21cに沿って形成されている。端子領域22a1,22b1は中心線Cを跨がずに長側面21a,21cに沿って形成されている(
図8を参照)。このため、絶縁回路基板20は、中心線Cに対して対称となるように長側面21a,21cが大きく反る。すなわち、絶縁回路基板20は、側面視で、短側面21b,21dが中心線Cよりも下位に位置するように反る。
【0072】
次いで、絶縁回路基板20に正極端子40、負極端子41、出力端子42を接合する第2接合工程を行う(ステップS3)。ステップS2で反りが発生した絶縁回路基板20に対して接合部材35により正極端子40、負極端子41、出力端子42をそれぞれ接合する。特に、ここでは、絶縁回路基板20に対して正極端子40及び負極端子41を接合する場合について説明する。
【0073】
反りが生じている絶縁回路基板20において、正極回路パターン層22aに含まれる端子領域22a1の配置領域Taの短側面21b側に寄せて設けられた板状の接合部材35上に正極端子40に含まれる正極接合領域40aを配置する。この際、正極接合領域40aと正極回路パターン層22aに含まれる端子領域22a1の配置領域Taの短側面21d側とは隙間が空いている(
図11(A)を参照)。
【0074】
同様に、負極回路パターン層22bに含まれる端子領域22b1の配置領域Tbの短側面21d側に寄せて設けられた板状の接合部材35上に負極端子41に含まれる負極接合領域41aを配置する。この際、負極接合領域41aと負極回路パターン層22bに含まれる端子領域22b1の配置領域Tbの短側面21b側とは隙間が空いている(
図11(A)を参照)。
【0075】
このように正極端子40及び負極端子41を接合部材35を介して配置した後、加熱して、接合部材35を溶融する。この際の加熱により正極回路パターン層22a及び負極回路パターン層22bを含む複数の回路パターン層と金属板23とが平面(X-Y面)方向に伸びる。既述の通り、金属板23の方が複数の回路パターン層よりも体積が大きいため、金属板23の方が複数の回路パターン層よりも伸び量が大きい。このため、絶縁回路基板20は略平坦となる(
図11(B)を参照)。引き続き同じ温度または上昇された温度で加熱が維持されて、溶融した接合部材35が正極回路パターン層22a及び負極回路パターン層22bに含まれる端子領域22a1,22b1の配置領域Ta,Tb全体に広がり、正極端子40に含まれる正極接合領域40a及び負極端子41に含まれる負極接合領域41aと端子領域22a1,22b1の配置領域Ta,Tbとの間が接合部材35でそれぞれ満たされる(
図11(C)を参照)。
【0076】
溶融した接合部材35を冷却する。これにより、正極端子40に含まれる正極接合領域40a及び負極端子41に含まれる負極接合領域41aが接合部材35により端子領域22a1,22b1の配置領域Ta,Tbにそれぞれ接合される。また、絶縁回路基板20が冷却されると、残留応力のため、再び、上に凸の反りが生じる。この際、正極端子40に含まれる正極接合領域40a及び負極端子41に含まれる負極接合領域41aの厚さは、正極回路パターン層22a及び負極回路パターン層22bの厚さより小さい。このため、正極端子40に含まれる正極接合領域40a及び負極端子41に含まれる負極接合領域41aの剛性は所定値よりも低くなっている。したがって、正極端子40に含まれる正極接合領域40a及び負極端子41に含まれる負極接合領域41aは、この反りに追随できるようになり、絶縁回路基板20に接合されて同様に反る(
図12(A)を参照)。
【0077】
さらに同様の温度またはさらに低い温度で冷却を継続すると、正極端子40に含まれる正極接合領域40a及び負極端子41に含まれる負極接合領域41aが収縮する。この際、正極接合領域40a及び負極接合領域41aが正極回路パターン層22a及び負極回路パターン層22bに含まれる端子領域22a1,22b1に接合している。すなわち、絶縁回路基板20は、正極接合領域40a及び負極接合領域41aに拘束される。これにより、上に凸に反った絶縁回路基板20が正極接合領域40a及び負極接合領域41aの収縮に伴って水平となるように矯正される(
図12(B)を参照)。このように絶縁回路基板20の反りを抑制することで、製造仕様を満たす電子装置1を製造できる。
【0078】
但し、この際の拘束力は、正極接合領域40a及び負極接合領域41aの±X方向の幅la,lbに依存する。幅la,lbが小さすぎると、この拘束力が強まらない。絶縁回路基板20が水平となるような拘束力が得られるには、正極接合領域40a及び負極接合領域41aの幅la,lbが正極回路パターン層22a及び負極回路パターン層22bに含まれる端子領域22a1,22b1の幅La,Lbの半分(50%)以上であることを要する。
【0079】
例えば、幅la,lbが幅La,Lbの50%である場合、正極端子40及び負極端子41が接合されていない上に凸に反った絶縁回路基板20(例えば、
図10(B)を参照)の反り量に対して反りを60%抑制することができる。すなわち、この場合の絶縁回路基板20の反り量は、上に凸に反った絶縁回路基板20の反り量の40%である。
【0080】
さらに反りを抑制するためには、幅la,lbが幅La,Lbの56%以上であることを要する。例えば、幅la,lbが幅La,Lbの56%である場合、正極端子40及び負極端子41が接合されていない上に凸に反った絶縁回路基板20の反り量に対して反りを60%超抑制することができる。すなわち、この場合の絶縁回路基板20の反り量は、上に凸に反った絶縁回路基板20の反り量の40%よりも小さくなる。
【0081】
このように、正極端子40に含まれる正極接合領域40a及び負極端子41に含まれる負極接合領域41aの幅la,lbは正極回路パターン層22a及び負極回路パターン層22bに含まれる端子領域22a1,22b1の幅La,Lbに近いほど、正極端子40及び負極端子41が接合されている絶縁回路基板20の反りを水平に矯正することができる。
【0082】
また、出力端子42の出力接合領域42aを出力回路パターン層22cに含まれる端子領域22c1の配置領域Tcに接合部材35により接合する。なお、出力端子42の出力接合領域42aの±X方向の幅は、幅la,lbよりも十分小さい。このため、出力端子42の出力接合領域42aは、絶縁回路基板20の反りに関わらず、出力回路パターン層22cの配置領域Tcに接合される。
【0083】
次いで、半導体チップ30と絶縁回路基板20とに対して各種ワイヤにより配線する配線工程を行う(ステップS4)。制御ワイヤ36(
図5中の-X方向側)により、各半導体チップ30の制御電極31と制御回路パターン層22dとを直接それぞれ接続する。また、制御ワイヤ36(
図5中の+X方向側)により、各半導体チップ30の制御電極31と制御回路パターン層22fとを直接それぞれ接続する。
【0084】
センスワイヤ37(
図5中の-X方向側)により、各半導体チップ30の出力電極とセンス回路パターン層22eとを直接それぞれ接続する。センスワイヤ37(
図5中の+X方向側)により、各半導体チップ30の出力電極とセンス回路パターン層22gとを直接それぞれ接続する。
【0085】
主電流ワイヤ38(
図5中の-X方向側)により、各半導体チップ30の出力電極と出力回路パターン層22cの配線領域22c2,22c3とを直接それぞれ接続する。主電流ワイヤ38(
図5中の+X方向側)により、各半導体チップ30の出力電極と負極回路パターン層22bの配線領域22b2,22b3とを直接それぞれ接続する。
【0086】
また、制御端子43aを制御回路パターン層22d及びセンス回路パターン層22eに接合部材35(図示を省略)により接合する。制御端子43bを制御回路パターン層22f及びセンス回路パターン層22gに接合部材35(図示を省略)により接合する。以上により、半導体ユニット3が構成される。
【0087】
次いで、半導体ユニット3を封止部材により封止する封止工程を行う(ステップS5)。半導体ユニット3を所定の金型にセットし、金型内に封止部材を充填して固化する。金型を除去すると、
図1に示す半導体ユニット3が封止体2で封止された半導体装置1が得られる。
【0088】
ここで、半導体装置1に含まれる半導体ユニット3に対する参考例について説明する。参考例の半導体ユニット3の正極端子40及び負極端子41の厚さは、絶縁回路基板20の正極回路パターン層22a及び負極回路パターン層22bの厚さよりも厚い。ここでは、正極端子40及び負極端子41の厚さは、絶縁回路基板20の正極回路パターン層22a及び負極回路パターン層22bの厚さの1.7倍程度である場合を例に挙げて説明する。
【0089】
このような半導体ユニット3を含む半導体装置1もまた
図9のフローチャートに沿って製造することができる。特に、ステップS3の第2接合工程について
図13及び
図14を用いて説明する。
図13は、参考例の半導体装置の製造方法の含まれる第2接合工程(加熱時)を説明する図であり、
図14は、参考例の半導体装置の製造方法の含まれる第2接合工程(冷却時)を説明する図である。なお、
図13及び
図14は、
図11及び
図12に対応している。
【0090】
参考例の半導体装置1もまた、
図9のフローチャートの用意工程(ステップS1)、第1接合工程(ステップS2)を経て、第2接合工程が行われる(ステップS3)。既述の通り、第1接合工程後、半導体チップ30が接合された絶縁回路基板20は上に凸の反りが生じている。このような絶縁回路基板20に対して接合部材35により正極端子40、負極端子41、出力端子42をそれぞれ接合する。特に、ここでも、絶縁回路基板20に対して正極端子40及び負極端子41を接合する場合について説明する。
【0091】
反りが生じている絶縁回路基板20において、正極回路パターン層22a及び負極回路パターン層22bに含まれる端子領域22a1,22b1に、
図13(A)に示されるように、板状の接合部材35を介して、正極端子40の正極接合領域40a及び負極端子41の負極接合領域41aをそれぞれ配置する。この際、正極接合領域40aと正極回路パターン層22aに含まれる端子領域22a1との間の短側面21d側に隙間が生じる。また、負極接合領域41aと負極回路パターン層22bに含まれる端子領域22b1との間の短側面21b側に隙間が生じる。
【0092】
このように正極端子40及び負極端子41を接合部材35を介して配置した後、加熱して、接合部材35を溶融する。この際の加熱により、
図11(B)の場合と同様に、絶縁回路基板20は略平坦となる(
図13(B)を参照)。引き続き同じ温度またはさらに高い温度で加熱が維持されて、溶融した接合部材35が広がって、
図11(C)と同様に、正極端子40に含まれる正極接合領域40a及び負極端子41に含まれる負極接合領域41aと端子領域22a1,22b1との間が接合部材35でそれぞれ満たされる(
図13(C)を参照)。
【0093】
溶融した接合部材35を冷却する。これにより、正極端子40に含まれる正極接合領域40a及び負極端子41に含まれる負極接合領域41aが接合部材35により端子領域22a1,22b1の配置領域Ta,Tbにそれぞれ接合される。
【0094】
また、絶縁回路基板20が冷却されると、既述の通り、残留応力のため、再び、上に凸の反りが生じる。本参考例の場合、正極接合領域40a及び負極接合領域41aの厚さは、正極回路パターン層22a及び負極回路パターン層22bの厚さより大きい。このため、正極接合領域40a及び負極接合領域41aの剛性は、上記の実施の形態の場合よりも高い。したがって、正極接合領域40a及び負極接合領域41aは、この反りに追随できずに湾曲することなく平板状が維持される。このため、正極接合領域40a及び負極接合領域41aは、絶縁回路基板20に対して傾いている。すなわち、反りが発生した絶縁回路基板20のおもて面に対して、正極接合領域40a及び負極接合領域41aは隙間が生じる(
図14(A)を参照)。
【0095】
さらに同様の温度またはさらに低い温度で冷却を継続すると、正極接合領域40a及び負極接合領域41aは、短側面21b,21d側が接合部材35により正極回路パターン層22a及び負極回路パターン層22bの端子領域22a1,22b1にそれぞれ接合される。すなわち、正極接合領域40a及び負極接合領域41aの正極回路パターン層22a及び負極回路パターン層22bの端子領域22a1,22b1に対する接合領域が、上記の実施の形態に場合よりも少ない。このため、正極接合領域40a及び負極接合領域41aの正極回路パターン層22a及び負極回路パターン層22bの端子領域22a1,22b1に対する拘束力は本実施の形態の場合より低くなるため、絶縁回路基板20は上に凸の反りが維持される(
図14(B)を参照)。
【0096】
この後、このような絶縁回路基板20に対して、配線工程(ステップS4)並びに封止工程(ステップS5)が順に行われる。配線工程では、反った状態の絶縁回路基板20に対して各種ワイヤの配線が行われる。しかし、絶縁回路基板20は上に凸に反っているため、所定箇所に対して各種ワイヤを確実に接合することができない場合がある。このような各種ワイヤは剥離箇所から剥離してしまうおそれがある。各種ワイヤが剥離してしまうと、半導体装置1の故障の原因になる可能性が懸念される。
【0097】
また、封止工程では、反った状態の絶縁回路基板20を所定の金型にセットする場合、正極端子40、負極端子41が絶縁回路基板20に対して浮いている(傾斜している)ために、金型にセットできない場合がある。また、金型内にセットされた場合でも、絶縁回路基板20は上に凸に反っているため、金型内に注入された封止部材が絶縁回路基板20の裏面側の窪みにも回り込んでしまう。このため、
図4に示したように、封止体2の底面2fから絶縁回路基板20の金属板23が表出されない。このような封止体2を含む半導体装置1は放熱性の低下を招いてしまう。なお、この場合、封止体2の底面2fをある程度削る工程を要する。すなわち、半導体装置1の製造工程において削る工数が増加し、また、削られた封止体2が無駄となってしまう。このようにして製造された半導体装置1のサイズは、所定の製造仕様を満たせないことが懸念される。また、製造コストが増加してしまう。
【0098】
上記の電子装置の一例である半導体装置1は、絶縁回路基板20と正極端子40及び負極端子41とを含む。絶縁回路基板20は、平面視で矩形状を成し、おもて面とおもて面の反対側の裏面とを含む絶縁板21と絶縁板21のおもて面に形成された正極回路パターン層22a及び負極回路パターン層22bと絶縁板21の裏面に形成された金属板23とを含む。正極回路パターン層22a及び負極回路パターン層22bは絶縁板21のおもて面の長手方向に対して平行に延伸する端子領域22a1,22b1をそれぞれ具備する。正極端子40の正極接合領域40a及び負極端子41の負極接合領域41aの厚さは、正極回路パターン層22a及び負極回路パターン層22bの端子領域22a1,22b1の厚さよりも小さい。正極端子40の正極接合領域40a及び負極端子41の負極接合領域41aの長手方向の長さla,lbは、正極回路パターン層22a及び負極回路パターン層22bの端子領域22a1,22b1の長手方向の長さLa,Lbの半分以上である。
【0099】
このような半導体装置1は、絶縁回路基板20が略平坦であるため、封止体2で封止すると、封止体2の底面2fから絶縁回路基板20の金属板23を表出させて、封止体2の底面2fと絶縁回路基板20の金属板23とが同一平面を成すことができる。このため、半導体装置1の放熱性の低下を抑制することができる。また、絶縁回路基板20の金属板23が表出されているために封止体2の底面2fを削る必要がない。このため、削る工程を要さず、また、封止体2を削ることによる封止部材の無駄を削減でき、製造コストが抑制される。また、絶縁回路基板20が平坦であるために、各種ワイヤを確実に接合することができるため、各種ワイヤの剥離が防止される。また、半導体装置1は封止体2で所望の製造仕様を満たしたサイズで封止される。したがって、半導体装置1は、絶縁回路基板20の変形を抑制し、絶縁回路基板20と絶縁回路基板20に接合部材35を介して接合される正極端子40及び負極端子41との相対的位置がずれることを抑制できる。この結果、半導体装置1は、放熱性の低下が抑制され、信頼性の低下を防止でき、サイズ、性能等の製造仕様を満たして製造される。
【0100】
本実施の形態の半導体装置1では、正極端子40及び負極端子41は、絶縁板21の長側面21aに面する正極回路パターン層22a及び負極回路パターン層22bの端子領域22a1,22b1に接合されている。正極回路パターン層22a及び負極回路パターン層22bの端子領域22a1,22b1が、例えば、長側面21a,21cに平行であって絶縁板21の内側に形成されている場合には、正極端子40及び負極端子41も絶縁板21の内側の端子領域22a1,22b1に形成されてよい。この場合も、半導体装置1と同様の効果が得られる。
【0101】
また、半導体装置1の半導体チップ30の配置の別の例(変形例)について、
図15を用いて説明する。
図15は、実施の形態(変形例)の半導体装置に含まれる半導体ユニットの平面図である。
【0102】
図15に示される半導体ユニット3は、
図5に示した半導体ユニット3において、まず、正極回路パターン層22aのチップ領域22a2,22a3に配置された半導体チップ30は制御電極31がそれぞれ内側(制御回路パターン層22d及びセンス回路パターン層22e側)を向いて対向している。
【0103】
これに伴って、
図15中左側において、制御ワイヤ36は長側面21a,21cに平行を成して、対向する半導体チップ30の制御電極31と制御回路パターン層22dとを接続している。また、センスワイヤ37は長側面21a,21cに平行を成して、対向する半導体チップ30の出力電極とセンス回路パターン層22eとを接続している。
【0104】
他方、出力回路パターン層22cのチップ領域22c4,22c5に配置された半導体チップ30は制御電極31がそれぞれ内側(制御回路パターン層22f及びセンス回路パターン層22g側)を向いて対向している。
【0105】
これに伴って、
図15中右側において、制御ワイヤ36は長側面21a,21cに平行を成して、対向する半導体チップ30の制御電極31と制御回路パターン層22fとを接続している。また、センスワイヤ37は長側面21a,21cに平行を成して、対向する半導体チップ30の出力電極とセンス回路パターン層22gとを接続している。
【0106】
制御端子43aは、制御回路パターン層22d及びセンス回路パターン層22eの長側面21c側の端部にそれぞれ接合されている。制御端子43bは、制御回路パターン層22f及びセンス回路パターン層22gの長側面21c側の端部にそれぞれ接合されている。このような半導体装置1でも、絶縁回路基板20の変形を抑制し、絶縁回路基板20と絶縁回路基板20に接合部材35を介して接合される正極端子40及び負極端子41との相対的位置がずれることを抑制できる。この結果、半導体装置1は、放熱性の低下が抑制され、信頼性の低下を防止でき、サイズ、性能等の製造仕様を満たして製造される。
【符号の説明】
【0107】
1 半導体装置
2 封止体
2a,2c 長側面
2b,2d 短側面
2e 上面
2f 底面
3 半導体ユニット
20 絶縁回路基板
21 絶縁板
21a,21c 長側面
21b,21d 短側面
22a 正極回路パターン層
22a1 端子領域
22a2,22a3 チップ領域
22b 負極回路パターン層
22b1 端子領域
22b2,22b3 配線領域
22c 出力回路パターン層
22c1 端子領域
22c2,22c3 配線領域
22c4,22c5 チップ領域
22d,22f 制御回路パターン層
22e,22g センス回路パターン層
23 金属板
30 半導体チップ
31 制御電極
35 接合部材
36 制御ワイヤ
37 センスワイヤ
38 主電流ワイヤ
40 正極端子
40a 正極接合領域
41 負極端子
41a 負極接合領域
41b 連係領域
41c 配線領域
42 出力端子
42a 出力接合領域
43a,43b 制御端子
Ta,Tb,Tc 配置領域