(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076766
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 75/045 20160101AFI20240530BHJP
【FI】
C08G75/045
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188487
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(72)【発明者】
【氏名】坂田 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】大久保 知恵
【テーマコード(参考)】
4J030
【Fターム(参考)】
4J030BA03
4J030BA04
4J030BB07
4J030BB42
4J030BC34
4J030BE02
4J030BE04
4J030BG10
4J030BG27
(57)【要約】
【課題】室温で空気非接触部だけでなく、空気接触部も迅速に硬化させることができる硬化性組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
架橋剤および硬化剤を含むA液と、重合開始剤を含むB液を混合することで硬化する硬化性組成物であって、
前記架橋剤はアリル系架橋剤および(メタ)アクリレート系架橋剤を含み、アリル系架橋剤および(メタ)アクリレート系架橋剤の質量比(アリル系架橋剤の質量/(メタ)アクリレート系架橋剤の質量)が5/1~50/1 であり、前記硬化剤は2級チオール化合物を含む、硬化性組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋剤および硬化剤を含むA液と、重合開始剤を含むB液を混合することで硬化する硬化性組成物であって、
前記架橋剤はアリル系架橋剤および(メタ)アクリレート系架橋剤を含み、アリル系架橋剤および(メタ)アクリレート系架橋剤の質量比(アリル系架橋剤の質量/(メタ)アクリレート系架橋剤の質量)が5/1~50/1であり、前記硬化剤は2級チオール化合物を含む、硬化性組成物。
【請求項2】
前記2級チオール化合物が2官能以上のチオール基を有する化合物である、請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記A液に反応促進剤を含有する、請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記反応促進剤が一般式(1)で表されるチオ尿素化合物を含む請求項1に記載の硬化性組成物。
【化1】
(式中、R1、R2、R3およびR4は、水素、アルキル基、フェニル基、トリル基、メトキシフェニル基もしくはナフチル基を示す。)
【請求項5】
前記A液にラジカル重合性モノマーを含む請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
ガラス転移温度が0℃以下であるポリマーを含む請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
更に可塑剤を含む請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
更に熱伝導性材料を含む請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の硬化性組成物を硬化した硬化物。
【請求項10】
請求項1に記載の硬化性組成物を用いた放熱剤用硬化性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物に関する。さらに詳しくは、例えば放熱材の形成などに好ましく使用される、硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車のバッテリーや、パソコンや携帯電話などの電子機器の性能向上に伴い、発熱量が増加するため、放熱材の需要が高まっている。
機器の温度上昇を抑制するために、冷却水などの冷却媒体に熱を伝達させるか、アルミニウムや銅などのように熱伝導率が高い金属板などを利用したヒートシンクへの熱伝導を介して温度上昇を抑制する方式が知られている。熱源からの熱を冷却媒体やヒートシンクに効率的に伝達するためには、熱源と冷却媒体またはヒートシンクをできるだけ密着させるか、熱的に連結させることが有利であり、このために放熱材が使用され得る。
例えば、特許文献1には、(メタ)アクリル系重合体(A)と、重合性単量体(B)と、可塑剤(C)を必須成分とする液状樹脂を含有する放熱材料用樹脂組成物であって、該液状樹脂の硬化物の硬度が5~70であることを特徴とする放熱材料用樹脂組成物が記載され、放熱シートの成形性や柔軟性も良好な硬化物を効率よく得られることが記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、一分子中に(メタ)アクリレート基を1つ有する化合物(A)と、一分子中に(メタ)アクリレート基を2つ以上有する化合物(B)と、重合開始剤(C)と、分散剤(D)と、酸化亜鉛を含む、熱伝導性フィラー(E)と、を含む、硬化性組成物が開示されている。特許文献2には、上記組成物によれば、柔軟性、形状安定性、及び、熱伝導性に優れる硬化性組成物又はその硬化物が提供され、高温環境下での熱伝導率の変化の抑制性に優れる硬化性組成物又はその硬化物が提供され、柔軟性、形状安定性、及び、熱伝導性に優れる硬化性組成物又はその硬化物が得られることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-048124
【特許文献2】国際公開第2020/149193号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年においては、硬化前に発熱体に塗布し、塗布後硬化する混合型硬化性樹脂組成物が注目されており、放熱体の大面積化およびその製造の効率化、ならびに放熱体の製造工程の簡略化の観点から、製造ライン上で加熱をしないで迅速に硬化させることができる放熱材用硬化性組成物が要望されており、生産性の観点から硬化速度のさらなる向上も期待されている。
そこで本件発明者らは硬化剤を用いることにより硬化速度の向上を試みたところ、空気非接触部に比べて空気接触部は硬化遅延または硬化不良が起こるという課題があることがわかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者らは、上記のような問題点に鑑み検討を行い、架橋剤および硬化剤を含むA液と、重合開始剤を含むB液を混合することで硬化する硬化性組成物であって、前記架橋剤はアリル系架橋剤および(メタ)アクリレート系架橋剤を含み、アリル系架橋剤および(メタ)アクリレート系架橋剤の質量比(アリル系架橋剤の質量/(メタ)アクリレート系架橋剤の質量)が5/1~50/1であり、前記硬化剤は2級チオール化合物を含む、硬化性組成物が、室温で空気非接触部だけでなく、空気接触部も迅速に硬化させることができることを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、室温で空気非接触部だけでなく、空気接触部も迅速に硬化させることがでる硬化性組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の硬化性組成物は、架橋剤および硬化剤を含むA液と、重合開始剤を含むB液を含む。
本開示の架橋剤としては、(メタ)アクリレート系架橋剤、アリル系架橋剤、ジエン系架橋剤などが挙げられる。
本開示の(メタ)アクリレート系架橋剤としては、例えば、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)、ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの(メタ)アクリレート系架橋剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0009】
本開示のアリル系架橋剤としては、アリル系架橋剤としてはアリル基を1つ以上有し、化合物として複数の重合性官能基を有していれば特に限定されるものではない。例えば、多官能アリルエステル、多官能アリルエーテル、アリル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアリル系架橋剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。アリル系架橋剤は、放熱材用硬化性組成物を硬化させる際にマスキングフィルムなどで被覆されていない部分においても、放熱材用硬化性組成物から得られた放熱材の硬化物の機械的強度を高めることができるという利点を有する。
【0010】
本開示の多官能アリルエステルとは、1分子中に2個以上のアリル基を有するアリルエステルである。多官能アリルエステルとしては、例えば、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレートなどのアリル基含有シアヌレート化合物、式(I):
X-[COOCH2CH=CH2]n (I)
(式中、Xはn価の脂肪族炭化水素基、nは当該脂肪族炭化水素基の価数を示す)で表わされる脂肪族系多官能アリルエステルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの多官能アリルエステルは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
式(I)で表わされる脂肪族系多官能アリルエステルとしては、例えば、シュウ酸ジアリル、マロン酸ジアリル、コハク酸ジアリル、グルタル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、ピメリン酸ジアリル、スベリン酸ジアリル、アゼライン酸ジアリル、セバシン酸ジアリル、フマル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、クエン酸トリアリル、酒石酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、シトラコン酸ジアリルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0011】
本開示の多官能アリルエーテルとしは、1分子中に2個以上のアリル基を有するアリルエーテルである。多官能アリルエーテルとしては、例えば、グリセリンジアリルエーテル、グリセリントリアリルエーテル、1,4-ブタンジオールジアリルエーテル、ノナンジオールジアリルエーテル、1,4-シクロへキサンジメタノールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタアリルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサアリルエーテル、ソルビトールジアリルエーテル、1,3-ビス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3,5-トリス(アリルオキシ)アダマンタン、ビスフェノールSジアリルエーテル、ビスフェノールAジアリルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキシドジアリルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキシドジアリルエーテル、2,5-ジアリルフェノールアリルエーテル、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、エポキシ樹脂のグリシジル基がアリル基と置換された化合物、1,1,2,2-テトラアリロキシエタン、エチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、ブチレングリコールジアリルエーテル、ヘキサンジオールジアリルエーテルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0012】
架橋剤のなかでは、硬化後の放熱材の柔軟性を高め、当該放熱材の発熱体および放熱体に対する追従性を高めるとともに、硬化性組成物から得られた放熱材の架橋体の機械的強度を高める観点から、アリル系架橋剤が好ましく、アリル基含有シアヌレート化合物およびアリルエーテル化合物がより好ましく、硬化性を高める観点から、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルおよびペンタエリスリトールテトラアリルエーテルがさらに好ましい。
【0013】
アリル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、特に制限はないが、例えばビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート系化合物、α-(不飽和アルコキシアルキル)アクリレートなどが挙げられる。
ビニルエーテル基含有アクリレート系化合物としては、2-ビニロキシエチル(メタ)アクリレート、1-メチル-2-ビニロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ビニロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ビニロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ビニロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ビニロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、6-ビニロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、p-ビニロキシメチルフェニルメチル(メタ)アクリレート、2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-[2-(2-ビニロキシエトキシ)エトキシ]エチル(メタ)アクリレート、2-(2-ビニロキシプロポキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2-(2-ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートがより好適である。
α-(不飽和アルコキシアルキル)アクリレートとしては、例えば、α-アリルオキシメチルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)メチルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)エチルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)n-プロピルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)i-プロピルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)n-ブチルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)s-ブチルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)t-ブチルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)n-アミルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)s-アミルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)t-アミルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)ネオペンテルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)n-ヘキシルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)s-ヘキシルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)n-ヘプチルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)n-オクチルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)s-オクチルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)t-オクチルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)2-エチルヘキシルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)カプリルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)ノニルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)デシルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)ウンデシルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)ラウリルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)トリデシルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)ミリスチルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)ペンタデシルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)セチルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)ヘプタデシルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)ステアリルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)ノナデシルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)エイコシルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)セリルアクリレート、α-(アリルオキシメチル)メリシルアクリレート等の鎖状飽和炭化水素基含有α-(アリルオキシメチル)アクリレートが好ましい。中でも、α-(アリルオキシメチル)メチルアクリレートがより好適である。
【0014】
また、架橋剤として、(メタ)アクリレート系架橋剤とアリル系架橋剤とを併用した場合には、両者併用による相乗効果により、硬化後の放熱材の柔軟性を高め、当該放熱材の発熱体および放熱体に対する追従性を高めるとともに、硬化性組成物から得られた放熱材の架橋体(硬化物ともいう)の機械的強度をさらに高めることができる。
なお、前記架橋剤には、本発明の目的が阻害されない範囲内で、例えば、1,5-ヘキサジエン、1,9-デカジエン、1,3-ジイソプロペニルベンゼン、1,4-ジイソプロペニルベンゼンなどのジエン系架橋剤などが含まれていてもよい。
【0015】
本開示の硬化性組成物としては、A液とB液を混合することで硬化し、本開示の架橋剤は、重合開始剤を含むB液ではない液に含まれることが好ましく、具体的には、A液に含まれることがより好ましく、硬化剤と共にA液に含まれることがさらに好ましい。
【0016】
本開示の硬化剤としては、チオール化合物が挙げられる。
本開示のチオール化合物としては、空気下での硬化性を高める観点から、多官能チオール化合物が好ましい。
多官能チオール化合物は、1分子中に2個以上のメルカプト基を有する化合物である。多官能チオール化合物のなかでは、硬化後の放熱材料の柔軟性を高め、発熱体および放熱体への追従性を高めるとともに、放熱材料用硬化性組成物を硬化させた硬化物の機械的強度を高め、空気下での硬化性を高める観点から、メルカプト基を2~6個有する多官能チオール化合物が好ましい。多官能チオール化合物の分子量は、特に限定されないが、硬化後の放熱材料の柔軟性を高め、発熱体および放熱体への追従性を高めるとともに、放熱材料用硬化性組成物を硬化させた硬化物の機械的強度を高め、空気下での硬化性を高める観点から、好ましくは100~2000、より好ましくは200~1000である。
また、多官能チオール化合物のなかでは、取り扱い性の観点から常温(25℃)で液状である多官能チオール化合物が好ましい。
多官能チオール化合物は、1級チオール化合物であってもよく、2級チオール化合物であってもよく、3級チオール化合物であってもよいが、1級チオール化合物または2級チオール化合物がより好ましく、2級チオール化合物であることがさらに好ましく、1級チオール化合物と2級チオール化合物との混合物であってもよい。
【0017】
本開示の1級チオール化合物としては、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,6-ヘキサンジオールビス(チオグリコレート)、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチル)グリコールウリル、1,3-ビス(2-メルカプトエチル)グリコールウリル、1,3-ビス(3-メルカプトプロピル)グリコールウリル、1,3-ビス(4-メルカプトブチル)グリコールウリル、1,4-ビス(メルカプトメチル)グリコールウリル、1,4-ビス(2-メルカプトエチル)グリコールウリル、1,4-ビス(3-メルカプトプロピル)グリコールウリル、1,4-ビス(4-メルカプトブチル)グリコールウリル、1,6-ビス(メルカプトメチル)グリコールウリル、1,6-ビス(2-メルカプトエチル)グリコールウリル、1,6-ビス(3-メルカプトプロピル)グリコールウリル、1,6-ビス(4-メルカプトブチル)グリコールウリル等の2官能チオール化合物;トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]-イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3-メルカプトプロピオニルオキシエチル)-イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-イソシアヌレート、トリス(メルカプトメチル)グリコールウリル、トリス(2-メルカプトエチル)グリコールウリル、トリス(3-メルカプトプロピル)グリコールウリル、トリス(4-メルカプトブチル)グリコールウリル等の3官能チオール化合物;ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコラート、テトラキス(メルカプトメチル)グリコールウリル、テトラキス(2-メルカプトエチル)グリコールウリル、テトラキス(3-メルカプトプロピル)グリコールウリル、テトラキス(4-メルカプトブチル)グリコールウリル等の4官能チオール化合物;ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)等の6官能チオール化合物などが挙げられる。
【0018】
本開示の2級チオール化合物としては、1、4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、2,7-オクタンジチオール等の2官能チオール化合物;1,3,5-トリス(2-(3-メルカプトブチリルオキシ)エチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H、3H,5H)-トリオン、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)等の3官能チオール化合物;ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)等の4官能チオール化合物;ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトブチレート)等の6官能チオール化合物などが挙げられる。
本開示の3級チオールとしては、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジンなどが挙げられる。
本開示の硬化剤としては、2官能以上のチオール化合物が好ましく、3官能以上のチオール化合物がより好ましく、4官能以上のチオール化合物がさらに好ましい。
本開示の硬化剤としては、空気下での硬化性の観点から、1級チオール化合物、2級チオール化合物が好ましく、貯蔵安定性の観点から2級チオール化合物がより好ましい。
さらに本開示の硬化剤としては、3官能以上の2級チオール化合物が好ましく、4官能以上の2級チオール化合物がより好ましく、3官能および4官能の2級チオール化合物であってよく、4官能の2級チオール化合物であってよい。
【0019】
本開示の硬化剤としては、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの多官能チオール化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本開示の硬化性組成物としては、A液とB液を混合することで硬化し、本開示の硬化剤は、重合開始剤を含むB液ではない液に含まれることが好ましく、具体的には、A液に含まれることがより好ましく、架橋剤と共にA液に含まれることがさらに好ましい。
【0020】
本開示の重合開始剤としては、例えばアゾ系開始剤、過硫酸塩、過酸化物系開始剤等 が挙げられ、反応性の観点から過酸化物系開始剤が好ましい。
本開示のアゾ系開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)等が挙げられる。
本開示の過硫酸塩としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムおよび過硫酸カリウム等の過硫酸塩等が挙げられる。
【0021】
本開示の過酸化物系重合開始剤としては、例えば、レドックス系触媒として用いられているケトンパーオキサイド系重合開始剤、ハイドロパーオキサイド系重合開始剤、ジアシルパーオキサイド系重合開始剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本開示のケトンパーオキサイド系重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサンパーオキサイド、メチルシクロヘキサンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本開示のハイドロパーオキサイド系重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、1,4-ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,3-ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、4-tert-ブチルクメンヒドロペルオキシド、1,3-ジメチル-1-フェニルブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1-フェニルエチルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert-ブチルハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、tert-ペンチルハイドロパーオキサイド、1,1-ジメチルブチルハイドロパーオキサイド、1-メチルへキシルハイドロパーオキサイド、tert-ヘキシルハイドロパーオキサイド、1,1-ジメチルヘキシルハイドロパーオキサイド、1-メチルブチルハイドロパーオキサイド、1,1-ジメチルペンチルハイドロパーオキサイド、1,1,2,2-テトラメチルプロピルハイドロパーオキサイド、3-ヘプチルハイドロパーオキサイドなどが挙げられ、貯蔵安定性や取り扱い性の観点から、クメンハイドロパーオキサイド、1,4-ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,3-ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert-ブチルハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイドがより好ましい。
本開示のジアシルパーオキサイド系重合開始剤として、例えば、イソブチルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド、m-トルオイルパーオキサイド、m-ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0022】
本開示の硬化性組成物としては、A液とB液を混合することで硬化し、本開示の重合開始剤は、架橋剤および硬化剤を含むA液ではない液に含まれることが好ましく、当該液を本発明ではB液を称する。
【0023】
本開示の硬化性組成物としては、反応促進剤を含有していてもよい。
本開示の反応促進剤としては、例えば、イミダゾール系化合物、アニリン系化合物、トルイジン系化合物、アミン系化合物、チオ尿素化合物などが挙げられる。
本開示のイミダゾール系化合物としては、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-アミノメチル-2-メチルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-フェニルイミダゾールなどが挙げられる。
本開示のアニリン系化合物としては、アニリン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリンなどが挙げられる。
本開示のトルイジン系化合物としては、m-トルイジン、p-トルイジン、N-エチル-m-トルイジン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジンなどが挙げられる。
本開示のアミン系化合物としては、p-トリルジエタノールアミン、N-フェニル-N’-エチルエタノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミンなどが挙げられる。
【0024】
本開示のチオ尿素化合物としては、エチレンチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、N-アセチルチオ尿素、N-ベンゾイルチオ尿素、下記一般式(1)で表されるチオ尿素化合物などが挙げられる。
【0025】
【0026】
(式中、R1、R2、R3およびR4は、水素、アルキル基、フェニル基、トリル基、メトキシフェニル基もしくはナフチル基を示す。)
本開示の一般式(1)で表されるチオ尿素化合物のアルキル基は、直鎖状、分岐状または環状のアルキル基であり、炭素数1~20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~13のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1~8のアルキル基であることがさらに好ましい。
本開示の直鎖状アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基等が挙げられ、モノマーへの溶解性の観点から、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基が好ましい。
本開示の分岐状アルキル基としては、t-ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、t-ペンチル基、ネオペンチル基、イソヘキシル基、イソへプチル基、イソオクチル基(2-エチルヘキシル基)、イソノニル基、イソデシル基等が挙げられる。
本開示の環状アルキル基としては、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロへプチル基、イソボルニル基、4-t-ブチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0027】
本開示の一般式(1)で表されるチオ尿素化合物はR1およびR3がアルキル基またはフェニル基を有することが好ましい。
本開示の一般式(1)で表されるチオ尿素化合物として、具体的には、N-メチルチオ尿素、N-エチルチオ尿素、N-プロピルチオ尿素、N-ブチルチオ尿素、N-ラウリルチオ尿素、N-シクロヘキシルチオ尿素、N,N’-ジメチルチオ尿素、N,N’-ジエチルチオ尿素、N,N’-ジプロピルチオ尿素、N,N’-ジブチルチオ尿素、N,N’-ジヘキシルチオ尿素、N,N’-ジオクチルチオ尿素、N,N’-ビス(1-メチルエチル)チオ尿素、N,N’-ビス(1,1-ジメチルエチル)チオ尿素、N,N’-ビス(1-メチルプロピル)チオ尿素、1-イソプロピル-3-t-ブチルチオ尿素、N,N-ジシクロヘキシルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、N,N’-ジフェニルチオ尿素、N-フェニルチオ尿素、4-メトキシフェニルチオ尿素、1,3-ビス(4-メトキシフェニル)チオ尿素、p-トリルチオ尿素、1,3-ジ(p-トリル)チオ尿素、1-メチル-3-フェニルチオ尿素などが挙げられ、N-プロピルチオ尿素、N-ブチルチオ尿素、N-ラウリルチオ尿素、N-シクロヘキシルチオ尿素、N,N’-ジエチルチオ尿素、N,N’-ジプロピルチオ尿素、N,N’-ジブチルチオ尿素、N,N’-ジヘキシルチオ尿素、N,N’-ジオクチルチオ尿素、N,N’-ビス(1-メチルエチル)チオ尿素、N,N’-ビス(1,1-ジメチルエチル)チオ尿素、N,N’-ビス(1-メチルプロピル)チオ尿素、1-イソプロピル-3-t-ブチルチオ尿素、N,N-ジシクロヘキシルチオ尿素、N,N-ジフェニルチオ尿素、N-フェニルチオ尿素が好ましい。
【0028】
本開示の反応促進剤としては、4-(N,N-ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、4-[N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒド、4-(N-メチル-N-ヒドロキシエチルアミノ)ベンズアルデヒド、ピリジン、ピペリジン、フェニリモルホリン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)アニリン、ジエタノールアニリン、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウム、ナフテン酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸バナジウム、オクチル酸コバルトなども挙げられる。
【0029】
本開示の反応性促進剤としては、各液の保存安定性向上と、室温で迅速に硬化させる観点より、チオ尿素化合物が好ましく、一般式(1)で表されるチオ尿素化合物がより好ましい。
【0030】
本開示の硬化性組成物としては、A液とB液を混合することで硬化し、本開示の反応促進剤は、重合開始剤を含むB液ではない液に含まれることが好ましく、具体的には、A液に含まれることがより好ましい。
本開示の硬化性組成物としては、ラジカル重合性モノマーを含んでいても良い。ラジカル重合性モノマーとは、重合性基を1つ有する化合物であり、重合性二重結合を1つ有する化合物であることが好ましい。
【0031】
ラジカル重合性モノマーはA液またはB液に含んでいても良いし、その他液に含まれていても良い。
硬化性組成物がA液およびB液の二液を混合してなる組成物の際には、ラジカル重合性モノマーはA液に含まれることが好ましい。
本開示のラジカル重合性モノマーとしては特に制限されないが、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリレート、炭素-炭素間二重結合を有する芳香族系単量体、カルボキシル基を有する炭素-炭素間二重結合含有単量体、窒素原子を有する炭素-炭素間二重結合含有単量体、オキソ基を有する炭素-炭素間二重結合含有単量体、フッ素原子を有する炭素-炭素間二重結合含有単量体、エポキシ基を有する炭素-炭素間二重結合含有単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの他の単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0032】
本発明において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」または「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレ-ト」は、「アクリレ-ト」または「メタクリレ-ト」を意味する。
ラジカル重合性モノマーのなかでは、硬化性組成物を室温で迅速に硬化させる観点から、アルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリレート、炭素-炭素間二重結合を有する芳香族系単量体およびカルボキシル基を有する炭素-炭素間二重結合含有単量体が好ましく、アルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリレートおよびカルボキシル基を有する炭素-炭素間二重結合含有単量体がより好ましく、アルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートがより一層好ましく、アルキル(メタ)アクリレートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートがさらに好ましく、アルキル(メタ)アクリレートがさらに一層好ましい。
本開示のアルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数1~18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、炭素数2~13のアルキル基を有することが好ましく、炭素数3~8のアルキル基を有することがさらに好ましい。
本開示のアルキル(メタ)アクリレートとしては、直鎖状、分岐状または環状のアルキル基であり、硬化後の放熱材の柔軟性を高め、当該放熱材の発熱体および放熱体に対する追従性を高める観点から、直鎖状または分岐状のアルキル基を有することがより好ましく、硬化性組成物を室温で迅速に硬化させる観点から、炭素数3~12の環状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数3~10の環状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、炭素数4~8の環状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
本開示のアルキル(メタ)アクリレートとしては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアルキル(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのアルキル(メタ)アクリレートのなかでは、硬化後の放熱材の柔軟性を高め、当該放熱材の発熱体および放熱体に対する追従性を高める観点から、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレートが好ましく、n-ブチル(メタ)アクリレートおよび2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートがより好ましく、硬化性組成物を室温で迅速に硬化させる観点から、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0033】
ラジカル重合性モノマーにおけるアルキル(メタ)アクリレートの含有率は、硬化後の放熱材の柔軟性を高め、当該放熱材の発熱体および放熱体に対する追従性を高める観点から、好ましくは50質量部以上、より好ましくは60質量部以上、より一層好ましくは70質量部以上、さらに好ましくは80質量部以上であり、その上限値は100質量部である。したがって、ラジカル重合性モノマーにおけるアルキル(メタ)アクリレートの含有率は、好ましくは50~100質量部、より好ましくは60~100質量部、より一層好ましくは70~100質量部、さらに好ましくは80~100質量部である。
ラジカル重合性モノマーにおける環状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの含有率は、硬化後の放熱材の靱性を向上させる観点から、0質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上、さらに一層好ましくは3質量部以上であり、硬化後の放熱材の柔軟性を高め、当該放熱材の発熱体および放熱体に対する追従性を高める観点から、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下、さらに一層好ましくは20質量部以下である。
本開示のアルキル(メタ)アクリレート100質量部における直鎖状または分岐状のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの含有量は硬化後の放熱材の柔軟性を高め、当該放熱材の発熱体および放熱体に対する追従性を高める観点から、50質量部以上が好ましく、80質量部以上がより好ましく、90質量部以上がさらに好ましく、100質量部であってもよい。
【0034】
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレートなどのエステル部の炭素数が1~18である水酸基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの水酸基含有(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの水酸基含有(メタ)アクリレートのなかでは、硬化性組成物を室温で迅速に硬化させる観点から、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよびグリセリンモノ(メタ)アクリレートが好ましく、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましく、2-ヒドロキシエチルアクリレートがさらに好ましい。
ラジカル重合性モノマーにおける水酸基含有(メタ)アクリレートの含有率は、硬化性組成物の分散安定性を向上させる観点から、0質量部以上、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上であり、硬化性組成物を低粘度化させる観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。したがって、ラジカル重合性モノマーにおける水酸基含有(メタ)アクリレートの含有率は、好ましくは0.1~10質量部、より好ましくは0.3~7質量部、さらに好ましくは0.5~5質量部である。
【0035】
炭素-炭素間二重結合を有する芳香族系単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、tert-メチルスチレン、クロロスチレン、アラルキル(メタ)アクリレート、ビニルトルエンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。アラルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、メチルベンジル(メタ)アクリレート、ナフチルメチル(メタ)アクリレートなどの炭素数が7~18のアラルキル基を有するアラルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの芳香族系単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの芳香族系単量体のなかでは、硬化性組成物を室温で迅速に硬化させる観点から、スチレンが好ましい。
ラジカル重合性モノマーにおける炭素-炭素間二重結合を有する芳香族系単量体の含有率は、硬化後の放熱材の靱性を向上させる観点から、0質量部以上、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上であり、硬化性組成物を室温で迅速に硬化させる観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下である。したがって、ラジカル重合性モノマーにおける芳香族系単量体の含有率は、好ましくは0~10質量部、より好ましくは1~10質量部、より一層好ましくは2~8質量部、さらに好ましくは3~8質量部である。
【0036】
カルボキシル基を有する炭素-炭素間二重結合含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基または酸無水物基を有する炭素-炭素間二重結合含有脂肪族系単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのカルボキシル基を有する炭素-炭素間二重結合含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのカルボキシル基を有する炭素-炭素間二重結合含有単量体のなかでは、硬化性組成物を室温で迅速に硬化させる観点から、(メタ)アクリル酸が好ましい。
ラジカル重合性モノマーにおけるカルボキシル基を有する炭素-炭素間二重結合含有単量体の含有率は、硬化性組成物の分散安定性を向上させる観点から、0質量部以上、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上であり、硬化性組成物を低粘度化させる観点から、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。したがって、ラジカル重合性モノマーにおけるカルボキシル基を有する炭素-炭素間二重結合含有単量体の含有率は、好ましくは0~5質量部、より好ましくは0.1~5質量部、より一層好ましくは0.2~3質量部、さらに好ましくは0.3~2質量部である。
窒素原子を有する炭素-炭素間二重結合含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N-モノメチル(メタ)アクリルアミド、N-モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-n-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド化合物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの窒素原子を有する炭素-炭素間二重結合含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0037】
オキソ基を有する炭素-炭素間二重結合含有単量体としては、例えば、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-プロポキシエチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3-エトキシプロピル(メタ)アクリレート、4-メトキシブチル(メタ)アクリレート、4-エトキシブチル(メタ)アクリレート、2-メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレートなどの(ジ)エチレングリコール(メトキシ)(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのオキソ基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
フッ素原子を有する炭素-炭素間二重結合含有単量体としては、例えば、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレートなどの炭素数が2~6であるフルオロアルキル基を有するフルオロアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのフッ素原子を有する炭素-炭素間二重結合含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
エポキシ基を有する炭素-炭素間二重結合含有単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。エポキシ基を有する炭素-炭素間二重結合含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0038】
ラジカル重合性モノマーを重合させることによって得られるポリマーのガラス転移温度は、硬化後の放熱材の柔軟性を高め、当該放熱材の発熱体および放熱体に対する追従性を高める観点から、好ましくは-20℃以下、より好ましくは-30℃以下である。なお、前記ポリマーのガラス転移温度の下限値は、特に限定されないが、好ましくは-80℃以上、より好ましくは-70℃以上である。
本開示の硬化性組成物におけるラジカル重合性モノマーとしては、硬化性組成物の貯蔵安定性および反応促進剤を溶解する観点よりアルキル(メタ)アクリレート単量体を用いることが好ましい。
本開示のラジカル重合性モノマーとしては、A液およびB液のどちらに含まれても良いし、その他液に含まれていても良いが、反応促進剤を溶解する観点からA液に含まれていることが好ましい。
【0039】
本開示の硬化性組成物としては、さらに重合体(ポリマー)を含んでいてもよい。ポリマーを含んだ硬化性組成物を硬化性樹脂組成物と言うこともある。
本開示の重合体としては、(メタ)アクリル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマーおよびシリコーンポリマー、エポキシポリマーなどが挙げられ、コスト、設計自由度の高さ、フィラー分散性の観点から(メタ)アクリル系重合体が好ましい。
本開示の(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル系モノマーに由来の構造単位を有する。(メタ)アクリル系モノマー由来の構造単位は、(メタ)アクリル系モノマーが有する炭素-炭素間二重結合が炭素-炭素間単結合となった構造を有する単位である。(メタ)アクリル系モノマーに由来の構造単位は、(メタ)アクリル系モノマーを重合させることにより、(メタ)アクリル系ポリマーに導入することができる。
(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの(メタ)アクリル系モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本開示の(メタ)アクリル系ポリマーに用いるアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレートなどのアルキル基の炭素数が1~18のアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアルキル(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのアルキル(メタ)アクリレートのなかでは、硬化後の放熱材の柔軟性を高め、当該放熱材の発熱体および放熱体に対する追従性を高める観点から、アルキル基の炭素数が1~8であるアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、n-ブチル(メタ)アクリレートおよび2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0040】
本開示の(メタ)アクリル系ポリマーに用いる(メタ)アクリル系モノマー100質量部におけるアルキル(メタ)アクリレートの含有率は、硬化後の放熱材の柔軟性を高め、当該放熱材の発熱体および放熱体に対する追従性を高める観点から、好ましくは50質量部以上、より好ましくは60質量部以上、より一層好ましくは70質量部以上、さらに好ましくは80質量部以上であり、その上限値は100質量部である。したがって、(メタ)アクリル系モノマーにおけるアルキル(メタ)アクリレートの含有率は、好ましくは50~100質量部、より好ましくは60~100質量部、より一層好ましくは70~100質量部、さらに好ましくは80~100質量部である。
【0041】
本開示の(メタ)アクリル系ポリマーに用いる水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレートなどのエステル部の炭素数が1~18である水酸基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの水酸基含有(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの水酸基含有(メタ)アクリレートのなかでは、硬化性組成物を室温で迅速に硬化させる観点から、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよびグリセリンモノ(メタ)アクリレートが好ましく、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましく、2-ヒドロキシエチルアクリレートがさらに好ましい。また、後述する熱伝導性材料をA液に含有させたときに、A液における熱伝導性材料の分散安定性を向上させる観点から、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよびグリセリンモノ(メタ)アクリレートが好ましく、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましく、2-ヒドロキシエチルアクリレートがさらに好ましい。
【0042】
本開示の(メタ)アクリル系ポリマーに用いる(メタ)アクリル系モノマー100質量部における水酸基含有(メタ)アクリレートの含有率は、硬化性組成物の分散安定性の向上および硬化性組成物の低粘度化の観点から、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であり、(メタ)アクリル系ポリマーの低粘度化および(メタ)アクリル系モノマーとラジカル重合性モノマーとの相容性を向上させる観点から、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。したがって、(メタ)アクリル系モノマーにおける水酸基含有(メタ)アクリレートの含有率は、好ましくは0.3~30質量部、より好ましくは0.5~20質量部、さらに好ましくは1~20質量部である。
【0043】
なお、本開示の(メタ)アクリル系ポリマーに用いる(メタ)アクリル系モノマーには、本発明の目的が阻害されない範囲内で、前記したモノマー以外に、例えば、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基を有する炭素-炭素間二重結合含有モノマー、シラン基を有する炭素-炭素間二重結合含有モノマー、窒素原子を有する炭素-炭素間二重結合含有モノマー、オキソ基を有する炭素-炭素間二重結合含有モノマー、フッ素原子を有する炭素-炭素間二重結合含有モノマー、エポキシ基を有する炭素-炭素間二重結合含有モノマー、アラルキル基を有する炭素-炭素間二重結合含有モノマー、スチレンなどの炭素-炭素間二重結合を有する芳香族系モノマーなどが含まれていてもよい。
本開示のポリエステル系ポリマーとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコール等のグリコールと、テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、コハク酸、フタル酸、アジピン酸等のジカルボン酸とを縮合させて得られるポリエステル主鎖構造を有するポリマーが挙げられる。
本開示のポリウレタン系ポリマーとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ヒマシ油系ポリオール、水素添加ヒマシ油系ポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水素添加ポリイソプレンポリオール等のポリオールと、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート等のジイソシアネートとを反応させて得られるポリウレタン主鎖構造等が挙げられる。
【0044】
本開示の重合体の重合平均分子量としては、特に制限されないが、硬化後の柔軟性の観点から1万以上が好ましく、2万以上がより好ましく、3万以上がさらに好ましく、50万以下がこのましく、40万以下がより好ましく、30万以下がさらに好ましい。
本開示の重量平均分子量の測定方法としては、公知の手法を用いることができ、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したポリスチレン換算の重量分子量であってよい。重量平均分子量としては、より具体的には、測定装置として、東ソー(株)製、品番:HLC-8320GPCを用い、分離カラムとして東ソー(株)製、品番:TSKgel Super HZM-Mを用い、標準ポリスチレン〔東ソー(株)製〕により換算した値とすることができる。
本開示の重合体のガラス転移温度としては、0℃以下が好ましく、-20℃以下がより好ましく、-40℃以下がさらに好ましく、-50℃以下が特に好ましく、-100℃以上が好ましく、-80℃以上がより好ましい。
【0045】
本開示の重合体のガラス転移温度の測定方法としては、公知の測定方法を用いることができ、例えば、示差熱量測定法(AST D3418-08)により測定する方法、下記式(1)で示されるFox式から求められるTgA(K)から換算する方法であってもよい。
【0046】
【0047】
[式(1)中、TgA:重合体のTg(K)、Tgn:使用した各モノマーの単独重合体のTg(K)、Wn:使用した各モノマーの配合割合(質量%)]
本開示の重合体(ポリマー)としては、A液およびB液のどちらに含まれても良いし、その他液に含まれていても良いが、取扱い性の観点からA液またはB液に含まれることが好ましく、A液およびB液のどちらにも含まれていることがより好ましい。
【0048】
本開示の硬化性組成物としては、さらに可塑剤を含んでいてもよい。
本開示の可塑剤としては、例えば、トリ2-エチルヘキシルトリメリテート、トリn-オクチルトリメリテート、トリイソノニルトリメリテートなどのトリメリット酸エステル系可塑剤;ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジ2-エチルヘキシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレートなどのフタル酸エステル系可塑剤;ジn-ブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジブトキシエチルアジペート、ジn-オクチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ビス2-エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペートなどのアジピン酸エステル系可塑剤;トリブチルホスフェート、トリ(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニル-2-エチルヘキシルホスフェート、トリクレシルホスフェートなどのリン酸エステル系可塑剤;ジブチルセバケート、ジオクチルセバケート、ジ2-エチルヘキシルセバケートなどのセバシン酸エステル系可塑剤;ジヘキシルアゼレート、ジオクチルアゼレートなどのアゼライン酸エステル系可塑剤;トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリn-ブチルシトレートなどのクエン酸エステル系可塑剤;メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレートなどのグリコール酸エステル系可塑剤;トリオクチルトリメリテート、トリn-オクチル-n-デシルトリメリテート、トリメリット酸トリアルキル(アルキル基の炭素数:4~11)などのトリメリット酸エステル系可塑剤;メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、グリセリンモノリシノレートなどのリシノール酸エステル系可塑剤;ジn-ブチルマレートなどのマレイン酸エステル系可塑剤;モノブチルイタコネートなどのイタコン酸エステル系可塑剤;ブチルオレートなどのオレイン酸エステル系可塑剤;グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレートなどのグリセリン系可塑剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの可塑剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの可塑剤のなかでは、可塑剤の気化を防止し、長期間にわたる可塑剤の熱安定性を向上させる観点から、トリメリット酸エステル系可塑剤が好ましい。
本開示の可塑剤としては、A液およびB液のどちらに含まれても良いし、その他液に含まれていても良いが、取扱い性の観点からA液またはB液に含まれることが好ましく、A液およびB液のどちらにも含まれていることがより好ましい。
【0049】
本開示の硬化性組成物としては、熱伝導性材料を含んでも良い。熱伝導性材料としては、例えば、炭酸ナトリウム粒子、炭酸水素ナトリウム粒子、炭酸カリウム粒子、炭酸水素カリウム粒子などのアルカリ金属炭酸塩粒子;炭酸マグネシウム粒子、炭酸カルシウム粒子、炭酸バリウム粒子などのアルカリ土類金属炭酸塩粒子;炭酸アンモニウム粒子、炭酸水素アンモニウム粒子などの炭酸アンモニウム塩粒子などの炭酸塩粒子、酸化亜鉛粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、酸化ベリリウム粒子、酸化カルシウム粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム(アルミナ)粒子、二酸化チタン粒子、シリカ粒子、水酸化マグネシウム粒子、水酸化アルミニウム粒子、珪酸カルシウム粒子、珪酸アルミニウム粒子、炭化珪素粒子、窒化硅素粒子、窒化硼素粒子、硫酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、炭酸マグネシウム粒子、ガラス粒子、カオリン、タルク、雲母粉末、金属粒子、カーボンブラック粒子などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの熱伝導性材料は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの熱伝導性材料のなかでは、本発明の硬化性組成物を用いて得られる放熱材の熱伝導性を向上させる観点から、酸化アルミニウム(アルミナ)粒子が好ましい。
熱伝導性材料の平均粒子径は、当該熱伝導性材料の凝集を防止する観点から、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上であり、当該熱伝導性材料の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。したがって、熱伝導性材料の平均粒子径は、好ましくは0.3~100μm、より好ましくは0.5~80μm、さらに好ましくは1~50μmである。なお、熱伝導性材料の平均粒子径は、レーザー回折散乱法の粒度分布測定装置〔ベックマン・コールター社製、品番:LS13320〕を用いて測定された体積平均粒子径を意味する。
本開示の硬化性組成物に用いる熱伝導性材料としては、1種または2種以上を併用しても良く、異なる平均粒子径の熱伝導性材料を混合して用いても良い。
【0050】
本開示の硬化性組成物において、(メタ)アクリル系ポリマーおよびラジカル重合性モノマーの合計量100質量部あたりの熱伝導性材料の量は、硬化性組成物を用いて得られる放熱材の熱伝導性を向上させる観点から、好ましくは400質量部以上、より好ましくは500質量部以上、さらに好ましくは600質量部以上であり、硬化性組成物を低粘度化させ、硬化後の放熱材の柔軟性を向上させる観点から、好ましくは3000質量部以下、より好ましくは2800質量部以下、さらに好ましくは2600質量部以下、さらに一層好ましくは2400質量部以下である。したがって、(メタ)アクリル系ポリマーおよびラジカル重合性モノマーの合計量100質量部あたりの熱伝導性材料の量は、好ましくは400~3000質量部、より好ましくは500~2800質量部、さらに好ましくは600~2600質量部、さらに一層好ましくは600~2400質量部である。
本開示の熱伝導性材料としては、A液およびB液のどちらに含まれても良いし、その他液に含まれていても良いが、取扱い性の観点からA液またはB液に含まれることが好ましく、A液とB液の両方に含まれることがより好ましい。
【0051】
その他添加剤としては、例えば、顔料などの着色剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、抗酸化剤、重合禁止剤、充填剤、カップリング剤、防錆剤、抗菌剤、金属不活性化剤、湿潤剤、消泡剤、界面活性剤、補強剤、可塑剤、潤滑剤、防曇剤、防食剤、顔料分散剤、流動調整剤、過酸化物分解剤、鋳型脱色剤、蛍光性増白剤、有機防炎剤、無機防炎剤、滴下防止剤、溶融流改質剤、静電防止剤、防藻剤、防カビ剤、難燃剤、スリップ剤、金属キレート剤、アンチブロッキング剤、耐熱安定剤、加工安定剤、分散剤、増粘剤、レオロジーコントロール剤、発泡剤、老化防止剤、防腐剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、成膜助剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0052】
<本開示の硬化性組成物の組成および物性>
本開示の硬化性組成物100質量部における架橋剤の含有量としては、0.01質量部以上が好ましく、0.03質量部以上がより好ましく、0.05質量部以上がさらに好ましく、0.1質量部以上であってもよく、2.00質量部以下が好ましく、1.50質量部以下がより好ましく、1.2質量部以下がさらに好ましく、1.00質量部以下であっても良い。
本開示の硬化性組成物は、熱伝導性材料を除いた硬化性組成物100質量部における架橋剤の含有量は0.20質量部以上が好ましく、0.30質量部以上がより好ましく、0.40質量部以上がさらに好ましく、0.50質量部以上であってもよく、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましく、5質量部以下であっても良い。
【0053】
本開示の硬化性組成物100質量部における(メタ)アクリレート系架橋剤の含有量としては、0.005質量部以上が好ましく、0.01質量部以上がより好ましく、0.02質量部以上であってもよく、1質量部以下が好ましく、0.50質量部以下がより好ましく、0.20質量部以下がさらに好ましく、0.10質量部以下であっても良い。
本開示の硬化性組成物は、熱伝導性材料を除いた硬化性組成物100質量部における(メタ)アクリレート系架橋剤の含有量は0.05質量部以上が好ましく、0.08質量部以上がより好ましく、0.10質量部以上がさらに好ましく、0.12質量部以上であってもよく、1.50質量部以下が好ましく、1.00質量部以下がより好ましく、0.50質量部以下がさらに好ましく、0.30質量部以下であっても良い。
本開示の硬化性組成物100質量部におけるアリル系架橋剤の含有量としては、0.01質量部以上が好ましく、0.05質量部以上がより好ましく、0.10質量部以上がさらに好ましく、0.15質量部以上であってもよく、3質量部以下が好ましく、2質量部以下がより好ましく、1.5質量部以下がさらに好ましく、1質量部以下であっても良い。
本開示の硬化性組成物は、熱伝導性材料を除いた硬化性組成物100質量部におけるアリル系架橋剤の含有量の含有量は0.20質量部以上が好ましく、0.40質量部以上がより好ましく、0.80質量部以上がさらに好ましく、1.50質量部以上であってもよく、10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましく、6質量部以下がさらに好ましく、4質量部以下であっても良い。
本開示のA液100質量部における架橋剤の含有量としては、0.01質量部以上が好ましく、0.05質量部以上がより好ましく、0.10質量部以上がさらに好ましく、0.15質量部以上であってもよく、4質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましく、2質量部以下がさらに好ましく、1.5質量部以下であっても良い。
本開示の硬化性組成物は、熱伝導性材料を除いたA液100質量部における架橋剤の含有量は0.20質量部以上が好ましく、0.40質量部以上がより好ましく、0.80質量部以上がさらに好ましく、1質量部以上であってもよく、15質量部以下が好ましく、12質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましく、8質量部以下であっても良い。
本開示のA液100質量部における(メタ)アクリレート系架橋剤の含有量としては、0.01質量部以上が好ましく、0.02質量部以上がより好ましく、0.03質量部以上がさらに好ましく、0.04質量部以上であってもよく、1.0質量部以下が好ましく、0.50質量部以下がより好ましく、0.20質量部以下がさらに好ましく、0.10質量部以下であっても良い。
本開示の硬化性組成物は、熱伝導性材料を除いたA液100質量部における(メタ)アクリレート系架橋剤の含有量は0.01質量部以上が好ましく、0.05質量部以上がより好ましく、0.10質量部以上がさらに好ましく、0.20質量部以上であってもよく、1.50質量部以下が好ましく、1.20質量部以下がより好ましく、1.00質量部以下がさらに好ましく、0.80質量部以下であっても良い。
本開示のA液100質量部におけるアリル系架橋剤の含有量としては、0.01質量部以上が好ましく、0.05質量部以上がより好ましく、0.15質量部以上がさらに好ましく、0.30質量部以上であってもよく、3質量部以下が好ましく、2.5質量部以下がより好ましく、2質量部以下がさらに好ましく、1.5質量部以下であっても良い。
本開示の硬化性組成物は、熱伝導性材料を除いたA液100質量部におけるアリル系架橋剤の含有量は0.10質量部以上が好ましく、0.50質量部以上がより好ましく、0.80質量部以上がさらに好ましく、1.0質量部以上であってもよく、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましく、5.0質量部以下であっても良い。
本開示の硬化性組成物において、(メタ)アクリレート系架橋剤とアリル系架橋剤とを併用する場合、両者併用による相乗効果により、硬化後の放熱材の柔軟性を高め、当該放熱材の発熱体および放熱体に対する追従性を高める観点から、アリル系架橋剤と(メタ)アクリレート系架橋剤との質量比〔アリル系架橋剤/(メタ)アクリレート系架橋剤〕は、5/1~50/1であってよく、20/80~98/2が好ましく、40/60~97/3がより好ましい。
【0054】
本開示の硬化性組成物100質量部における硬化剤の含有量としては、0.005質量部以上が好ましく、0.01質量部以上がより好ましく、0.02質量部以上がさらに好ましく、0.03質量部以上であってもよく、1質量部以下が好ましく、0.5質量部以下がより好ましく、0.3質量部以下がさらに好ましく、0.1質量部以下であっても良い。
本開示の硬化性組成物は、熱伝導性材料を除いた硬化性組成物100質量部における硬化剤の含有量は0.05質量部以上が好ましく、0.10質量部以上がより好ましく、0.15質量部以上がさらに好ましく、0.20質量部以上であってもよく、1.50質量部以下が好ましく、1.00質量部以下がより好ましく、0.50質量部以下がさらに好ましく、0.30質量部以下であっても良い。
本開示のA液100質量部における硬化剤の含有量としては、0.01質量部以上が好ましく、0.02質量部以上がより好ましく、0.03質量部以上がさらに好ましく、0.04質量部以上であってもよく、1質量部以下が好ましく、0.5質量部以下がより好ましく、0.3質量部以下がさらに好ましく、0.1質量部以下であっても良い。
本開示の硬化性組成物は、熱伝導性材料を除いたA液100質量部における硬化剤の含有量は0.05質量部以上が好ましく、0.10質量部以上がより好ましく、0.20質量部以上がさらに好ましく、0.30質量部以上であってもよく、1.50質量部以下が好ましく、1.2質量部以下がより好ましく、1.0質量部以下がさらに好ましく、0.80質量部以下であっても良い。
【0055】
本開示の硬化性組成物100質量部における反応促進剤の含有量は0.01質量部以上が好ましく、0.02質量部以上がより好ましく、0.03質量部以上がさらに好ましく、0.04質量部以上であってもよく、1質量部以下が好ましく、0.5質量部以下がより好ましく、0.3質量部以下がさらに好ましく、0.2質量部以下であっても良い。
本開示の硬化性組成物は、熱伝導性材料を除いた硬化性組成物100質量部における反応促進剤の含有量は0.10質量部以上が好ましく、0.15質量部以上がより好ましく、0.20質量部以上がさらに好ましく、0.30質量部以上であってもよく、2質量部以下が好ましく、1.5質量部以下がより好ましく、1.2質量部以下がさらに好ましく、1質量部以下であっても良い。
本開示の硬化性組成物において、A液100質量部あたりの反応促進剤の含有量は0.01質量部以上が好ましく、0.02質量部以上がより好ましく、0.03質量部以上がさらに好ましく、0.04質量部以上であってもよく、1質量部以下が好ましく、0.6質量部以下がより好ましく、0.4質量部以下であっても良い。
本開示の硬化性組成物において、A液に熱伝導性材料が含まれる際には、熱伝導性材料を除いたA液100質量部あたりの反応促進剤の含有量は0.10質量部以上が好ましく、0.30質量部以上がより好ましく、0.50質量部以上がさらに好ましく、4.00質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましく、2.00質量部以下がさらに好ましい。
【0056】
本開示の硬化性組成物100質量部におけるラジカル重合性モノマーの含有量は1質量部以上が好ましく、1.5質量部以上がより好ましく、2質量部以上がさらに好ましく、25質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、15質量部以下であっても良い。
本開示の硬化性組成物は、熱伝導性材料を除いた硬化性組成物100質量部におけるラジカル重合性モノマーの含有量は5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上がさらに好ましく、50質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましく、40質量部以下がさらに好ましく、35質量部以下であっても良い。
本開示の硬化性組成物において、A液100質量部あたりのラジカル重合性モノマーの含有量は1質量部以上が好ましく、1.5質量部以上がより好ましく、2質量部以上がさらに好ましく、30質量部以下が好ましく、27質量部以下がより好ましく、24質量部以下がさらに好ましく、21質量部以下であっても良い。
本開示の硬化性組成物において、A液に熱伝導性材料が含まれる際には、熱伝導性材料を除いたA液100質量部あたりのラジカル重合性モノマーの含有量は30質量部以上が好ましく、35質量部以上がより好ましく、40質量部以上がさらに好ましく、70質量部以下が好ましく、65質量部以下がより好ましく。60質量部以下がさらに好ましく、55質量部以下であっても良い。
本開示の硬化性組成物における反応促進剤とラジカル重合性モノマーの質量比はラジカル重合性モノマー100質量部あたり、好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.05~5質量部が好ましい。
【0057】
本開示の硬化性組成物100質量部における重合開始剤の含有量は0.05質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、0.12質量部以上がさらに好ましく、0.15質量部以上であってもよく、5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましく。2質量部以下がさらに好ましく、1質量部以下であっても良い。
本開示の硬化性組成物は、熱伝導性材料を除いた硬化性組成物100質量部における重合開始剤の含有量は0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、1.2質量部以上がさらに好ましく、1.5質量部以上であってもよく、6質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、4質量部以下がさらに好ましく、3質量部以下であっても良い。
本開示の硬化性組成物において、B液100質量部あたりの重合開始剤の含有量は0.05質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
本開示の硬化性組成物において、B液に熱伝導性材料が含まれる際には、熱伝導性材料を除いたB液100質量部あたりの重合開始剤の含有量は1.0質量部以上が好ましく、2.0質量部以上がより好ましく、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。
本開示のラジカル重合性モノマー100質量部あたりの重合開始剤の添加量は、硬化性組成物を室温で迅速に硬化させる観点から、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、硬化性組成物のポットライフを長くするとともに硬化後の放熱材の柔軟性を高める観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。
本開示のラジカル重合性モノマーおよび架橋剤の合計100質量部あたりの重合開始剤の添加量は、硬化性組成物を室温で迅速に硬化させる観点から、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、硬化性組成物のポットライフを長くすると共に硬化後の放熱材の柔軟性を高める観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。
本開示の反応促進剤と重合開始剤との質量比(反応促進剤の質量/重合開始剤の質量)は、混合前の各組成物の経時安定性および混合後硬化性組成物を室温で迅速に硬化させる観点から、好ましくは5/95~90/10、より好ましくは10/90/~80/20であり、11/89~60/40、12/88~40/60、13/87~30/70の順でさらに好ましい。
【0058】
本開示の硬化性組成物100質量部における重合体の含有量は0.6質量部以上が好ましく、0.9質量部以上がより好ましく、1.2質量部以上がさらに好ましく、15質量部以下が好ましく、12質量部以下がより好ましく、9質量部以下がさらに好ましい。
本開示の硬化性組成物は、熱伝導性材料を除いた硬化性組成物100質量部における重合体の含有量は5質量部以上が好ましく、8質量部以上がより好ましく、10質量部以上がさらに好ましく、35質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく。25質量部以下がさらに好ましい。
本開示の硬化性組成物に含まれる本開示の重合体の合計100質量部に対して、(メタ)アクリル系ポリマーを合計で70質量部以上含むことが好ましく、80質量部以上含むことがより好ましく、90質量部以上含むことがさらに好ましく、実質的に100質量部であっても良い。
本開示の硬化性組成物に含まれるシリコーンポリマーの含有量は、本開示のポリマーの合計100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、2質量部以下がさらに好ましく、実質的に含まないことが特に好ましい。
本開示の硬化性組成物は、A液100質量部における重合体の含有量は0.6質量部以上が好ましく、0.9質量部以上がより好ましく、1.2質量部以上がさらに好ましく、15質量部以下が好ましく、12質量部以下がより好ましく、9質量部以下がさらに好ましい。
本開示の硬化性組成物は、熱伝導性材料を除いたA液100質量部における重合体の含有量は6質量部以上が好ましく、9質量部以上がより好ましく、12質量部以上がさらに好ましく、45質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、35質量部以下がさらに好ましい。
本開示の硬化性組成物は、B液100質量部における重合体の含有量は0.6質量部以上が好ましく、0.9質量部以上がより好ましく、1.2質量部以上がさらに好ましく、15質量部以下が好ましく、12質量部以下がより好ましく、9質量部以下がさらに好ましい。
本開示の硬化性組成物は、熱伝導性材料を除いたB液100質量部における重合体の含有量は6質量部以上が好ましく、9質量部以上がより好ましく、12質量部以上がさらに好ましく、45質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、35質量部以下がさらに好ましい。
【0059】
本開示の硬化性組成物100質量部あたりの可塑剤の含有量は、1質量部以上が好ましく、1.5質量部以上がより好ましく、15質量部以下が好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。
本開示の硬化性組成物は、熱伝導性材料を除いた硬化性組成物100質量部あたりの可塑剤の含有量は、15質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、70質量部以下が好ましく、60質量部以下がさらに好ましい。
本開示の硬化性組成物における(メタ)アクリル系ポリマー全量100質量部あたりの可塑剤の量は、硬化後の放熱材の柔軟性を高め、当該放熱材の発熱体および放熱体に対する追従性を高める観点から、50質量部以上が好ましく、80質量部以上がより好ましく、100質量部以上が好ましく、700質量部以下が好ましく、600質量部以下がより好ましく、500質量以下がさらに好ましく、300質量部以下であって良い。
本開示の硬化性組成物は、A液100質量部における可塑剤の含有量は0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましく、15質量部以下が好ましく、12質量部以下がより好ましく、9質量部以下がさらに好ましい。
本開示の硬化性組成物は、熱伝導性材料を除いたA液100質量部における可塑剤の含有量は6質量部以上が好ましく、9質量部以上がより好ましく、12質量部以上がさらに好ましく、50質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましく、40質量部以下がさらに好ましい。
本開示の硬化性組成物は、B液100質量部における可塑剤の含有量は1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましく、20質量部以下が好ましく、18質量部以下がより好ましく、15質量部以下がさらに好ましい。
本開示の硬化性組成物は、熱伝導性材料を除いたB液100質量部における可塑剤の含有量は10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、30質量部以上がさらに好ましく、90質量部以下が好ましく、85質量部以下がより好ましく。80質量部以下がさらに好ましい。
【0060】
本開示の硬化性組成物における、ラジカル重合性モノマー100質量部あたりの架橋剤の量は、硬化性組成物を室温で迅速に硬化させる観点から、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上であり、放熱材の架橋体の靱性を担保する観点から、好ましくは20質量部以下である。
【0061】
本開示の硬化性組成物は、本開示の熱伝導性材料を除いた硬化性組成物100質量部に対して、熱伝導性材料を合計で100質量部以上含むことが好ましく、200質量部以上含むことがより好ましく、300質量部以上含むことがさらに好ましく、2000質量部以下であることが好ましく、1500質量部以下であることがより好ましい。
本開示の硬化性組成物がA液およびB液の二液を混合してなる組成物の際には、熱伝導材料の除いたA液と熱伝導材料の除いたB液の質量比は、10:90~90:10であることが好ましく、30:70~70:30であることがより好ましい。
【0062】
本開示の硬化性組成物はA液およびB液を含む各液を25℃にて混合した後の48時間後のモノマー転化率は90%以上であることが好ましく、93%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましく、98%以上であることが特に好ましい。
本開示のモノマー転化率は、ガスクロマトグラフィーなどを用いて求めることが出来る。
本開示の硬化性組成物は、有機酸金属塩、有機金属キレート化合物を含んでいても良いが、ラジカル重合性モノマーへの溶解性の観点から含まないほうが好ましい。
本開示の硬化性組成物100質量部における有機酸金属塩、有機金属キレート化合物の含有量は2質量部未満が好ましく、1.5質量部未満がより好ましく、1未満、0.5の順でさらに好ましい。
本開示の有機酸金属塩、有機金属キレート化合物としては、例えば、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、ナフテン酸マンガン、オクテン酸コバルト、オクテン酸銅及びオクテン酸マンガン、銅アセチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート、マンガンアセチルアセトネート、クロムアセチルアセトネート、鉄アセチルアセトネート、バナジニルアセチルアセトネート及びコバルトアセチルアセトネート等が挙げられる。
本開示の硬化性組成物100質量部における酸成分の含有量は5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましく、1質量部以下がさらに好ましく、実質的に含まなくても良い。
【0063】
<本開示の硬化性組成物の使用方法>
本開示の硬化性組成物はA液およびB液を含む各液を混合することにより硬化し架橋体を形成しうる。
A液およびB液を含む各液を混合する際には、攪拌装置を用いることができる。攪拌装置としては、例えば、バッチミキサー、タンブラー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ロール、ニーダー、単軸押出機、二軸押出機などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。A液およびB液を含む各液を混合するときの温度は、特に限定がないが、加熱装置、冷却装置などの装置を使用することなく架橋体を効率よく製造する観点から、室温であることが好ましい。ここで、室温は、地域によって異なるので一概には決定することができないが、通常、0~40℃、好ましくは0~35℃、より好ましくは1~30℃である。また、A液およびB液を含む各液を混合するときの温度は、必要により、室温以上の温度であってもよく、室温以下の温度であってもよいが、架橋体を効率よく製造する観点から、0~50℃程度の温度であることが好ましく、0~40℃、0~35℃、1~30℃であってもよい。また、A液およびB液を含む各液を混合する際の雰囲気は、特に限定されず、大気であってもよいが、大気中に含まれている酸素ガスによる影響を回避する観点から、例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであってもよい。
本開示のA液およびB液を混合したとき、得られた混合液の硬化が開始し、通常、室温下で2時間~12時間間程度で硬化が終了する。混合液の硬化の終点は、当該混合液によって得られる架橋体の表面のタックフリータイムとすることができる。タックフリータイムとは、A液およびB液を混合した時点から、A液およびB液の混合液の硬化によって形成された架橋体の表面をエタノールなどで油脂分を除去したヒトの手指で指触したときに当該手指に当該混合液が付着しなくなるまでの時間を意味する。
【0064】
<架橋体(硬化物)>
本開示の架橋体は、本開示の硬化性組成物のA液およびB液を含む各液を接触させて得られる架橋体である。より好ましくは、本開示の硬化性組成物のA液およびB液を含む各液を混合する工程を含み、得られる架橋体である。
なお、本発明の硬化性組成物を用いて得られた架橋体の形状には特に限定がない。当該架橋体の形状としては、例えば、シート状(フィルム状)、テープ状、円筒状、所望の成形体の形状などが挙げられるが、本発明は、かかる形状のみに限定されるものではない。シート状またはテープ状を有する架橋体は、例えば、A液およびB液を含む各液を混合し、得られた混合液を、例えば、刷毛、バーコーター、アプリケーター、エアスプレー、エアレススプレー、ロールコーター、フローコーターなどで基材上に被膜を形成させ、形成された被膜を硬化させることによって製造する方法、A液およびB液を含む各液を混合し、得られた混合液を押し出し成形機からTダイを介して押し出すことによってシートまたはフィルムを形成させ、硬化させる方法などの方法によって製造することができる。円筒状を有する架橋体は、例えば、A液およびB液を含む各液を混合し、得られた混合液を押し出し成形機からスパイダーを介して押し出すことによって円筒状の架橋体を形成させ、硬化させることによって製造することができる。所望の成形体の形状を有する架橋体は、例えば、A液およびB液を含む各液を混合し、得られた混合液を射出成形機などで所望の形状となるように成形することによって製造することができる。
<硬化性組成物の用途>
本開示の硬化性組成物は、放熱剤、接着剤、粘着剤、ギャップフィラー、グリース等の原料として使用することができる。本開示の架橋体は、良好な初期成形性(ポットライフ)を有し、常温でも良好な硬化性(単量体転化率)を有することから、自動車のバッテリーや電子部品などの発熱体と、ヒートシンク、放熱フィン、樹脂フィルム、金属板などの放熱体との間に介在させて発熱体から発生した熱を放出させる放熱剤用途に好ましく使用することができる。
【実施例0065】
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0066】
実施例1
[A液の調製]
(メタ)アクリル系ポリマーとして2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー〔2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=95/5、重量平均分子量:5万、ガラス転移温度:約-68℃〕0.71g, トリメリット酸エステル系可塑剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカサイザーC-880〕1.80g、2-エチルヘキシルアクリレート2.4g、N,N’-ジブチルチオ尿素〔東京化成工業(株)〕0.049gおよび架橋剤としてイソシアヌル酸トリアリル〔(株)新菱製、商品名:TAIC〕0.25g、イソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)〔東亞合成(株)製、商品名:M-313〕0.015g、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)〔昭和電工(株)製、商品名:カレンズMT PE1〕0.025gを室温(約25℃)下で大気中にて均一な組成となるまで混合することにより、A液を調製し、さらにアルミナ粉末(平均粒子径:10μm)30.0gをA液に添加し、均一な組成となるまで混合することによって得られた混合物をA液として用いた。
[B液の調製]
(メタ)アクリル系ポリマーとして2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー〔2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=95/5、重量平均分子量:5万、ガラス転移温度:約-68℃〕1.5g、トリメリット酸エステル系可塑剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカサイザーC-880〕3.6g、重合開始剤としてクメンハイドロパーオキサイド〔日油(株)製、商品名:パークミルH-80〕0.23gを室温(約25℃)下で大気中にて均一な組成となるまで混合することによってB液を調製し、さらにアルミナ粉末(平均粒子径:10μm)30.0gをB液に添加し、均一な組成となるまで混合することによって得られた混合物をB液として用いた。
次に、前記で得られたA液およびB液からなる放熱材用二液型硬化性組成物(放熱材用二液硬化性樹脂組成物)を用い、以下の放熱材用二液型硬化性組成物(放熱材用二液硬化性樹脂組成物)の物性を調べた。その結果を表1に示す。
【0067】
[硬化性]
25℃の大気中でA液およびB液を混合した時点から、A液およびB液を混合することによって得られた混合液を大気に接触しないようにPETフィルムを被せた状態で24時間静置し、硬化によって形成された放熱材をASTM D 2240に準拠して硬度計(OO型デュロメーター(ゴム硬度計、テクロック社製))により、1秒以内の硬度を測定した。サンプル形状は幅100mm×奥行10mm×厚6mmとし、測定は、室温で行った。得られた硬度について、10か所測定した値を平均化して求め、以下の評価基準に基づいて硬化性を評価した。
(評価基準)
◎:硬度が20以上である。
○:硬度が10以上20未満である。
×:硬度が10未満である。
[モノマー転化率]
25℃の大気中でA液およびB液を混合した時点から、A液およびB液を混合することによって得られた混合液を24時間静置し、硬化によって形成された放熱材から1g切り出し、酢酸エチル9g、内標としてトリデカン0.03gを加えて50度で攪拌しながら2時間加熱後の溶液をGCにより測定し、単官能モノマー転化率を求め、以下の評価基準に基づいてモノマー転化率を評価した。
(評価基準)
◎:単官能モノマー転化率が95%以上である。
○:単官能モノマー転化率が90%以上95%未満である。
×:単官能モノマー転化率が90%未満である。
【0068】
[貯蔵安定性]
A液およびB液を調整後、暗所60℃で貯蔵し、2週間後にこのA液とB液を混合して24時間静置し、得られた放熱材をASTM D 2240に準拠して硬度計(OO型デュロメーター(ゴム硬度計、テクロック社製))により、1秒以内の硬度を測定した。サンプル形状は幅100mm×奥行10mm×厚6mmとし、測定は、室温で行った。得られた硬度について、10か所測定した値を平均化して求め、以下の評価基準に基づいて貯蔵安定性を評価した。
(評価基準)
◎:貯蔵前と比較して硬度の差が10未満である。
○:貯蔵前と比較して硬度の差が10以上15未満である。
×:貯蔵前と比較して硬度の差が15以上である。
[空気硬化性]
25℃の大気中でA液およびB液を混合した時点から、A液およびB液を混合することによって得られた混合液を空気中で静置し、液表面にガラス棒で触れた際に材料がガラス棒に付着しなくなる時間を測定し、以下の評価基準に基づいて空気硬化性を評価した。
(評価基準)
〇:材料がガラス棒に付着しなくなる時間が5時間未満である
×:材料がガラス棒に付着しなくなる時間が5時間以上である
【0069】
実施例2
[A液の調製]
(メタ)アクリル系ポリマーとして2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー〔2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=95/5、重量平均分子量:5万、ガラス転移温度:約-68℃〕0.71g, トリメリット酸エステル系可塑剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカサイザーC-880〕1.80g、2-エチルヘキシルアクリレート2.4g、N,N’-ジブチルチオ尿素〔東京化成工業(株)〕0.049gおよび架橋剤としてイソシアヌル酸トリアリル〔(株)新菱製、商品名:TAIC〕0.066g、イソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)〔東亞合成(株)製、商品名:M-313〕0.015g、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル[富士フィルム和光純薬(株)製]0.25g、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)〔昭和電工(株)製、商品名:カレンズMT PE1〕0.025gを室温(約25℃)下で大気中にて均一な組成となるまで混合することにより、A液を調製し、さらにアルミナ粉末(平均粒子径:10μm)30.0gをA液に添加し、均一な組成となるまで混合することによって得られた混合物をA液として用いた。
次に、実施例1で得られたB液と前記のA液からなる放熱材用二液型硬化性組成物(放熱材用二液硬化性樹脂組成物)を用い、実施例1と同様にして放熱材用二液型硬化性組成物(放熱材用二液硬化性樹脂組成物)の物性を調べた。その結果を表1に示す。
【0070】
比較例1
[A液の調製]
((メタ)アクリル系ポリマーとして2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー〔2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=95/5、重量平均分子量:25万、ガラス転移温度:約-68℃〕1.5g、トリメリット酸エステル系可塑剤3.5g、2-エチルヘキシルアクリレート4.5g、ナフテン酸コバルト〔富士フイルム和光純薬(株)製〕0.10gおよび架橋剤としてイソシアヌル酸トリアリル〔(株)新菱製、商品名:TAIC〕0.10g、イソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)0.040gを室温(約25℃)下で大気中にて均一な組成となるまで混合することにより、A液を調製し、さらにアルミナ粉末(平均粒子径:10μm)40.0gをA液に添加し、均一な組成となるまで混合することによって得られた混合物をA液として用いた。
[B液の調製]
メタ)アクリル系ポリマーとして2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー〔2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=95/5、重量平均分子量:25万、ガラス転移温度:約-68℃〕1.0g、トリメリット酸エステル系可塑剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカサイザーC-880〕2.5gおよび重合開始剤として過酸化ベンゾイル〔日油(株)製、商品名:ナイパーNS〕0.30gを室温(約25℃)下で大気中にて均一な組成となるまで混合することによってB液を得た。
次に、比較例1で得られたA液およびB液からなる放熱材用二液型硬化性組成物(放熱材用二液硬化性樹脂組成物)を用い、実施例1と同様にして放熱材用二液型硬化性組成物(放熱材用二液硬化性樹脂組成物)の物性を調べた。その結果を表1に示す。
【0071】
【0072】
※比較例1は硬化ムラがあった。
表1に示された結果から、各実施例によれば、ポットライフが短く、硬化性、モノマー転化率に優れ、貯蔵安定性が高く、空気硬化性が高いことがわかる。
本発明の放熱材用二液型硬化性組成物(放熱材用二液硬化性樹脂組成物)は、例えば、自動車のバッテリーなどの電気部品、電子部品などの発熱体と、ヒートシンク、放熱フィン、樹脂フィルム、金属板などの放熱体との間に介在させて発熱体から発生した熱を放熱させる用途などに有用である。