(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076780
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】ヘルスケアシステム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20240530BHJP
G16H 50/30 20180101ALI20240530BHJP
【FI】
G16H20/00
G16H50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188529
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】522462797
【氏名又は名称】株式会社ラウレア
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】加戸 載子
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】対象者の現状により適した生活習慣を改善するための行動を行うように指導することができるヘルスケアシステムを提供する。
【解決手段】ヘルスケアシステムは、対象者が所持する携帯端末(スマートフォン10)と、携帯端末と無線通信によって接続された情報処理装置(サーバ20)と、を備える。情報処理装置は、生活習慣、食生活及び精神的ストレスの強度に関するアンケート結果に基づいて対象者が属するタイプを決定する第1のグループ分けと、性別、年代及び健康診断結果数値に基づいて各タイプに属する対象者を詳細グループに分類する第2のグループ分けと、を行って、詳細グループ毎に設定されている生活習慣を改善する行動を対象者が所持する携帯端末に通知する。携帯端末に入力された生活習慣を改善する行動の実践についての対象者による自己判定結果に基づいて、対象者が次の期間に行うべき新たな生活習慣を改善する行動を携帯端末に通知する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者が所持する携帯端末と前記携帯端末と無線通信によって接続されたデータ処理装置とを備え、前記対象者に対して生活習慣を改善する行動を提案してその実践を支援するヘルスケアシステムであって、
前記データ処理装置は、生活習慣、食生活、および精神的ストレスの強度に関するアンケート結果に基づいて前記対象者が属するタイプを決定する第1のグループ分けと、性別、年代、健康診断結果数値に基づいて各タイプに属する前記対象者を詳細グループに分類する第2のグループ分けとを行って、前記詳細グループごとに設定されている生活習慣を改善する行動を前記対象者が所持する前記携帯端末を介して前記対象者に通知し、
あらかじめ定められた一定の期間において前記携帯端末に入力された前記生活習慣を改善する行動の実践についての前記対象者による自己判定結果に基づいて、当該対象者が次の期間に行うべき新たな生活習慣を改善する行動を前記携帯端末を介して前記対象者に通知することを特徴する、ヘルスケアシステム。
【請求項2】
前記データ処理装置は、各詳細グループに含まれる前記対象者に対して通知するものとして予め登録された複数の前記生活習慣を改善する行動の中から、前記次の期間において当該対象者に通知する前記新たな生活習慣を改善する行動を選択する、請求項1に記載のヘルスケアシステム。
【請求項3】
前記データ処理装置は、前記自己判定結果から前記対象者が前記生活習慣を改善する行動を実践できていると判断した場合に、前記アンケート結果から当該対象者が実践できていないと回答した行動を前記新たな生活習慣を改善する行動として通知する、請求項1に記載のヘルスケアシステム。
【請求項4】
前記データ処理装置は、前記自己判定結果から前記対象者が前記生活習慣を改善する行動を実践できていないと判断した場合に、前記生活習慣を改善する行動として通知された行動よりも容易に実践可能な行動を前記新たな生活習慣を改善する行動として通知する、請求項1に記載のヘルスケアシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、対象者がより健康・健全な生活を行うことができるように支援する、ヘルスケアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやタブレット端末等の携帯型情報機器の普及に伴い、対象者が所持する携帯型情報機器と管理者側のデータ処理装置とを無線通信で結びながら、対象者がより健康、かつ、健全な生活を行うことができるようにサポートするヘルスケアシステムが数多く提案されている。
【0003】
このようなヘルスケアシステムとして、特定保健指導の対象となった対象者が行うダイエットをサポートするために、対象者が所持するスマートフォンを介して体重の測定値や摂取カロリー値などの数値データを入手し、その値の変化を過去にダイエット支援を行った他の対象者における経過数値と比較することで、当該対象者が「脱落の危機にあるのか否か」や「リバウンド状態にあるのか否か」などのダイエットに失敗する状況にある可能性を判断するダイエット管理システムが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のヘルスケアシステムでは、スマートフォンを用いたデータ通信によって、ダイエット対象者の体重の測定値や摂取カロリー値などの情報を随時入手することで、ダイエットに向けた行動が継続して行われているかを確認して、対象者が脱落してしまったりせっかく成功したダイエット後にリバウンドしてしまったりする事態を効果的に回避することができる。
【0006】
しかし、上記従来のヘルスケアシステムでは、ダイエットを行っている対象者の状況を把握することはできても、対象者の状況に応じてより適切なダイエットのための行動を提示することはできなかった。
【0007】
本願は、上記従来技術の有する課題を解決することを目的とするものであり、サポート期間の全体にわたって、それぞれの対象者の現状により適した生活習慣を改善するための行動を行うように指導することができるヘルスケアシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本願で開示するヘルスケアシステムは、対象者が所持する携帯端末と前記携帯端末と無線通信によって接続されたデータ処理装置とを備え、前記対象者に対して生活習慣を改善する行動を提案してその実践を支援するヘルスケアシステムであって、前記データ処理装置は、生活習慣、食生活、および精神的ストレスの強度に関するアンケート結果に基づいて前記対象者が属するタイプを決定する第1のグループ分けと、性別、年代、健康診断結果数値に基づいて各タイプに属する前記対象者を詳細グループに分類する第2のグループ分けとを行って、前記詳細グループごとに設定されている生活習慣を改善する行動を前記対象者が所持する前記携帯端末を介して前記対象者に通知し、あらかじめ定められた一定の期間において前記携帯端末に入力された前記生活習慣を改善する行動の実践についての前記対象者による自己判定結果に基づいて、当該対象者が次の期間に行うべき新たな生活習慣を改善する行動を前記携帯端末を介して前記対象者に通知することを特徴する。
【発明の効果】
【0009】
上記構成により、本願で開示するヘルスケアシステムは、一定の期間における対象者による生活習慣を改善する行動の実践についての自己判定結果に基づいて、データ処理装置が、当該対象者が次の期間に実践すべき新たな生活習慣を改善する行動を通知する。この結果、対象者の生活習慣の改善度合いに応じて一定の期間実践すべき行動が提示され、無理なく対象者の生活習慣の改善をサポートすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態として説明するヘルスケアシステムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態として説明するヘルスケアシステムにおける対象者の生活習慣を改善するための動作を説明するフローチャートである。
【
図3】
図3は、対象者をタイプに分けるためのアンケートをスマートフォンで行う場合の画面表示例を示す図である。
【
図4】
図4は、アンケート結果に基づいて対象者をタイプに分類する条件の例を示す図である。
【
図5】
図5は、対象者が生活行動の実践結果を入力する自己判定の入力画面の表示例である。
【
図6】
図6は、対象者の自己判定結果に応じて設定される生活行動の設定例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示のヘルスケアシステムは、対象者が所持する携帯端末と前記携帯端末と無線通信によって接続されたデータ処理装置とを備え、前記対象者に対して生活習慣を改善する行動を提案してその実践を支援するヘルスケアシステムであって、前記データ処理装置は、生活習慣、食生活、および精神的ストレスの強度に関するアンケート結果に基づいて前記対象者が属するタイプを決定する第1のグループ分けと、性別、年代、健康診断結果数値に基づいて各タイプに属する前記対象者を詳細グループに分類する第2のグループ分けとを行って、前記詳細グループごとに設定されている生活習慣を改善する行動を前記対象者が所持する前記携帯端末を介して前記対象者に通知し、あらかじめ定められた一定の期間において前記携帯端末に入力された前記生活習慣を改善する行動の実践についての前記対象者による自己判定結果に基づいて、当該対象者が次の期間に行うべき新たな生活習慣を改善する行動を前記携帯端末を介して前記対象者に通知する。
【0012】
上記の構成を備えることにより、本願で開示するヘルスケアシステムは、対象者が実践すべき生活習慣を改善する行動を、所定の期間ごとに前の期間における対象者の実践度合いに応じて設定するため、対象者が無理なくよりよい生活習慣を獲得できるようにサポートすることができる。
【0013】
上記本願で開示するヘルスケアシステムにおいて、前記データ処理装置は、各詳細グループに含まれる前記対象者に対して通知するものとして予め登録された複数の前記生活習慣を改善する行動の中から、前記次の期間において当該対象者に通知する前記新たな生活習慣を改善する行動を選択することが好ましい。このようにすることで、生活習慣上の課題が共通する同じ詳細グープに属する対象者に対して、適切な生活習慣を改善する行動を通知することができる。
【0014】
また、前記データ処理装置は、前記自己判定結果から前記対象者が前記生活習慣を改善する行動を実践できていると判断した場合に、前記アンケート結果から当該対象者が実践できていないと回答した行動を前記新たな生活習慣を改善する行動として通知することが好ましい。このようにすることで、対象者の生活習慣をより好ましいものに無理なく改善していくことができる。
【0015】
さらに、前記データ処理装置は、前記自己判定結果から前記対象者が前記生活習慣を改善する行動を実践できていないと判断した場合に、前記生活習慣を改善する行動として通知された行動よりも容易に実践可能な行動を前記新たな生活習慣を改善する行動として通知することが好ましい。このようにすることで、対象者の負担を最小限に抑えつつ、その生活習慣をより好ましい方向へと改善することができる。
【0016】
以下、本願で開示するヘルスケアシステムについて図面を用いて説明する。
【0017】
(実施の形態)
[システムの概要]
図1は、本実施形態において説明するヘルスケアシステムの構成を説明するブロック図である。
【0018】
なお、
図1に示すブロック図は、本実施形態で説明するヘルスケアシステムにおける機能面からそれぞれのブロックを規定したものであって、実際にそれぞれの機能を発揮する部材を区分するものではない。このため、
図1に異なるブロックとして示される機能が基板上に配置された一つの電子部品によって実現される場合があり、反対に、
図1では一つのブロックとして示された機能が実際には複数の電子回路によって発揮される場合もあり得る。
【0019】
図1に示すように、本実施形態にかかるヘルスケアシステム(以下、適宜「本システム」と称する。)では、ヘルスケアの対象となる対象者が所持する携帯端末であるスマートフォン10と、複数の対象者がそれぞれ使用する複数のスマートフォン10と無線通信によって接続されたデータ処理装置であるサーバ20とを備えている。
【0020】
スマートフォン10は、本システムの対象者が所有する自己のスマートフォン10に所定のアプリケーションをインストールすることで、本システムを構成する携帯端末として機能させることができる。
【0021】
スマートフォン10は、タッチパネルやタッチキー、タッチボタンなどのユーザーインタフェースとして備えている入力部11、各種の情報を表示可能な液晶パネル、有機ELディスプレイなどの表示デバイスと、表示する画像のデータ処理を行うグラフィックICなどにより構成された画像表示部12、スマートフォン10の全体の動作を制御するマイコンや各種論理回路で構成される制御部13、インストールされたアプリケーションを実行するためのソフトウェアや対象者の個人データなどの情報が記録されているRAM、ROMなどの記憶部14、サーバ20との間のデータのやりとりを行うデータ送信部15、データ受信部16とを有している。
【0022】
なお、携帯端末として対象者が所持するスマートフォン10を用いる場合は、当該スマートフォンが使用する各キャリアを利用してインターネットを介することで、サーバ20と無線で接続される。
【0023】
本システムのデータ処理装置としてのサーバ20は、インターネットに接続された各種の情報についてのデータ処理を行う装置であって、高性能なパーソナルコンビュータを使用することができ、対象者の数に応じてデータ処理能力が向上できることが望ましい。
【0024】
サーバ20は、ユーザが直接データを入力できるキーボード、タッチパネル、OCR機能を介して紙情報をデータとして入力可能なスキャナー、音声入力手段など、従来周知の各種のデータ入力手段である入力部21、サーバ20の全体を制御するCPUなどで構成される制御部22、本ヘルスケアシステム全体を動作させるためのプログラムや、対象者がそれぞれ所持するスマートフォン10から送信されてくるデータなどが記録されるハードディスクなどにより構成される記憶部23、対象者が所持するスマートフォン10とインターネットを介してのデータのやりとりを行うデータ送信部24、データ受信部25を有している。なお、本システムで利用される体組成計や、対象者の血液を分析する分析装置からのデータを無線通信によって受け取る場合にもデータ受信部25が利用される。
【0025】
なお、
図1に図示は省略するが、上述したOCR機能を備えたスキャナーなどのデータ入力装置、プリンタなどのデータ出力装置、外部機器としてのデータ記録媒体(外付けハードディスク)などを本システムに加えることができる。
【0026】
[ヘルスケアの流れ]
以下、本実施形態にかかるヘルスケアシステムで実行されるヘルスケアの流れについて説明する。
【0027】
図2は、本実施形態にかかるヘルスケアシステムにおける対象者の生活習慣を改善するための動作を示すフローチャートである。
【0028】
図2に示すように、本システムでは、対象者のヘルスケア開始時点での精神的なストレスの状況と体調とを把握するためのアンケートを行い、サーバ20がこのアンケート結果を取得する(ステップS01)。なお、アンケートの具体的な内容やアンケート結果の取得方法については後に詳述する。
【0029】
サーバ20は、取得したアンケート結果に基づいて対象者を共通した特徴を有するタイプに分類する第1のグループ分けを行う(ステップS02)。ここでは、特に、血液の質の良否についての観点から、本システムによって対象者の生活習慣をどのように変化させるようにサポートするかという基本的な分類が行われる。アンケート結果からのタイプへのグループ分けの詳細については、後に詳述する。
【0030】
続いて、サーバ20は、対象者の性別、年代などの基礎データと、血液検査結果データ、体組成計により測定された身長、体重、体脂肪率などの測定データを取得する(ステップS03)。これらの対象者に関する各種のデータは、サーバ20に接続されたキーボードや画像データからの数値の読み込み、測定装置からの測定結果のデータ送信、USBメモリなどのデータ保存媒体を用いてのデータ転送など、現在周知の各種のデータ入力方法によって行うことができる。
【0031】
サーバ20は、取得された対象者の基礎データ、血液検査結果数値、内臓脂肪率に基づいて、第1のグループであるタイプに分類された対象者をさらに細分化された詳細グループに分類する第2のグループ分けを行う(ステップS04)。
【0032】
そして、サーバ20は、分類された詳細グループそれぞれに属する対象者に対して、本システムにおける生活習慣を改善するサポートが行われる第1の所定期間(一例として3週間~1ヶ月間)に取り組む生活習慣を改善する行動である複数の生活行動を設定し(ステップS05)、データ送信部15から対象者が所持するスマートフォン10に送信する(ステップS06)。
【0033】
ここで設定される生活行動は、詳細グループに分類されている対象者が共通して抱えている改善すべき生活習慣をより好ましいものに替える具体的な行動として示される。なお、詳細グループに含まれるそれぞれの対象者に示される生活行動は、同じ詳細グループに属する全ての対象者に対して同じ行動を示しても良いし、第2のグループ分けに用いられた対象者の基礎データ、血液検査結果数値、内臓脂肪率それぞれの評価基準に応じてさらに細分化してより適切な生活行動を示すようにしてもよい。対象者に示される生活行動の具体例については、後に詳述する。
【0034】
スマートフォン10は、サーバ20から送信されたそのスマートフォン10を所持する対象者が第1の期間において取り組むべき生活行動をデータ受信部16により受信すると、その生活行動を画像表示部が表示画面に表示する(ステップS101)。
【0035】
対象者は、スマートフォン10の画面に表示された自身が行うべき生活行動を確認してこれを実践する。また対象者は、一日一回、自分が行うべき生活行動を実践できたか否かの自己判定を行って、その結果をスマートフォン10の画面上で入力する(ステップS102)。
【0036】
対象者は、指示された生活行動を所定の第1の期間中継続して行い、自己判定を第1の期間が終了するまで続ける(ステップS103で「No」の場合)。
【0037】
設定された第1の期間が終了すると(ステップS103で「Yes」の場合)、スマートフォン10は、データ送信部15からサーバ20に対して第1の期間における対象者の自判定結果をサーバ20に送信する(ステップS104)。
【0038】
サーバ20は、スマートフォン10から送信された各対象者の生活行動についての自己判定結果をデータ受信部25で受信し(ステップS07)当該対象者の自己判定結果に基づいて、第1の期間を通して当該対象者が設定された生活行動を実践できたか否かの結果判定を行う (ステップS08)。
【0039】
引き続いてサーバ20は、第1の期間における対象者の生活行動の実践度合いの判定結果に基づいて、次の第2の期間(一例として、第1の期間と同じ3週間~1ヶ月間)における当該対象者が行うべき新たな生活行動を設定し(ステップS09)、設定された生活行動をデータ送信部24から当該対象者の所持するスマートフォン10へと送信する(ステップS10)。
【0040】
対象者が所持するスマートフォン10は、サーバ20から第2の期間における対象者が行うべき生活行動をデータ受信部15で受信し、画像表示部13により表示画面上に表示する(ステップS105)。
【0041】
このあと、上述した第1の期間と同様に、対象者は毎日自分が行うべきと指示された生活行動それぞれについて、実行できたか否かを自己判定して結果を入力する(ステップS106)。対象者は、第2の期間が終了するまで(ステップS107で「No」の場合)指示された生活行動の実践と、実践結果の自己判定とを繰り返す。
【0042】
指定された第2の期間が終了すると(ステップS107で「Yes」の場合)、スマートフォン10の制御部13は、対象者による自己診断結果をデータ送信部14からサーバに送信する(ステップS108)。
【0043】
なお、
図2では、本システムにおけるヘルスケアのサポート期間として、第1の期間と第2の期間との2つの期間で構成されている場合を図示しているが、本システムでの対象者のヘルスケアをサポートする期間は、2つのものに限られず、3つ、4つ、さらには5つ以上の適宜の数に区切られた期間とすることができる。但し、一つの生活行動を対象者の普段の行動として習慣づけるためには、最低でも2週間程度は必要と考えられる一方で、対象者の体質改善をより進めて、最終的な成果として対象者が自覚できたり血液検査などの結果数値に有意の向上が認められたりするためには、複数の期間を設定して段階的に対象者の生活行動を変化させていくことが好ましい。このため、対象期間は1つではなく、2つ以上、より好ましくは3つの期間または4つの期間として設定することが好ましい。好ましい一例として、長さが1ヶ月間(4週間)の4つの期間でヘルスケアサポートを行う場合は、一人の対象者について4ヶ月間にわたってその生活習慣を改善するサポートが行われることとなる。
【0044】
サーバ20は、設定された期間の最後の期間における対象者の自己判定結果をデータ受信部25で受信すると、それぞれの期間において対象者に示された生活行動の内容と各期間における対象者の自己判定結果に基づいて、ヘルスケアシステムで生活習慣の改善を目指した全部の期間における対象者の行動変化を評価する総合判定を行う(ステップS12)。
【0045】
さらに本システムでは、総合判定結果を対象者のスマートフォン10に通知するとともに、さらなる改善行動の指針を示したり、対象者の自覚症状が変わっていないか、血液検査、体組成計による測定結果が変わっていないか、という問いかけをしたりして、対象者が自身の生活習慣改善行動の成果を実感できるような結果サポートが行われる(ステップS13)。
【0046】
以上のようにして、本実施形態にかかるヘルスケアシステムによる対象者への生活習慣の改善サポートが終了する。
【0047】
次に、上記
図2を用いて説明した本実施形態にかかるヘルスケアシステムにおける対象者の生活習慣改善の具体的な内容を説明する。
【0048】
[アンケート]
本実施形態で説明するヘルスケアシステムでは、対象者を、生活習慣の問題点や不十分な点が共通する複数のグループにグループ分けをして、それぞれのグループの実情を加味して生活習慣を改善する生活行動を実践目標として設定する。このようにすることで、対象者それぞれにより適した生活行動を設定することができるとともに、生活行動の実践度合いを含めた生活習慣改善効果の検証もより正確に行うことが可能となる。
【0049】
対象者のグループ分けとして、まず、対象者自身が自覚するストレスの強度や体調の良否をアンケートによって把握して、血液の質の良否の観点から対象者の外見、心、体にあらわれる未病状態の自覚症状が共通するタイプに分類する第1のグループ分けが行われる。
【0050】
このアンケートの項目は、「ビタミン・ミネラルの摂取状況」「脳の働き」「活力の度合い」「元気の度合い」を把握するための質問を用意して対象者が答える形式で行われる。
【0051】
具体的な質問の例としては、「ビタミン・ミネラルの摂取状況」を把握する質問であれば、「緑の野菜を摂ることが少ない」「フルーツはたまにしか食べない」などの複数問が考えられる。また、「脳の働き」を把握する質問であれば、「朝起きるのが苦手である」「次の日に仕事を持ち越すことが多い」などの複数問、「活力の度合い」を把握する質問であれば、「身体のだるさや疲れを感じることが多い」「最近体力が無くなったと感じることが多い」などの複数問、「元気の度合い」を把握する質問であれば、「物事や人に対して、興味が湧かない」「趣味と言えるものは特にない」などの複数問が考えられる。
【0052】
なお、このアンケートの結果は、紙媒体によってアンケートを実施した後に回答結果をサーバ20に取り込む方法、サーバ20が接続可能なウェブサイト上で行って結果データをサーバ20にダウンロードする方法などによって、本実施形態にかかるヘルスケアシステムでのデータ処理を行うサーバ20に取り込むことができる。また、対象者が自身のスマートフォン10に本実施形態にかかるヘルスケアシステムを実行するためのアプリケーションをインストールしている場合に、対象者の所持するスマートフォン10の画面にアンケートの質問を表示して、対象者がこれに回答していくことによってアンケート結果をサーバ20が取得できるようにしてもよい。
【0053】
図3に、対象者が所持するスマートフォンの画面に質問を表示して対象者がアンケートに回答する場合の画面表示例を示す。
【0054】
図3に示すように、スマートフォン10の画面に順次アンケートの質問を表示して対象者が「Yes」または「No」のボタンをタッチすることで、スマートフォン10の記憶部14にそのスマートフォン10を使用者のアンケート結果を記録することができる。なお、回答漏れがないように、対象者がタッチした「Yes」または「No」のボタンの色を変化させるなと、タッチパネルを用いた入力に使用されている各種の表示方法を採用すること好ましい。
【0055】
アンケート結果をスマートフォン10のデータ送信部15からサーバ20に送信することで、サーバ20が当該対象者のアンケート結果を把握することができるとともに、サーバ20がスマートフォン10の識別IDを併せて取得することができるので、そのスマートフォン10を所持する対象者を使用するスマートフォン10を識別する情報を利用して本システム上で特定することができるようになる。
【0056】
なお、本システムでのヘルスケアサポートの開始時点でのアンケートでは、上述した第1のグループ分けに必要な「ビタミン・ミネラルの摂取状況」「脳の働き」「活力の度合い」「元気の度合い」を把握するための4項目の質問以外にも、「栄養がきちんと摂取されているか」「代謝がしっかりと行われているか」「好ましい生活習慣を持っているか」などのアンケート回答者の状態を把握することができる項目についてさらなる複数問の質問を設定することで、対象者の回答状況から、代謝の状況、心身の栄養バランス、心身のメンテナンスがどの程度行えているか、を評価して、対象者の現段階での心身の状況をより詳細にチェックすることができ、評価結果をバランスシートとして表して対象者にわかりやすく伝えることができる。
【0057】
また、上述したアンケートの質問例では、「No」の回答が生活習慣上好ましい状況を、「Yes」の回答が生活習慣上好ましくない状況を表す回答となるように統一しているが、質問の表現を変えて「Yes」の回答が好ましい状況を示す質問とすることができる。また、質問によって、好ましい状況を表す回答が「Yes」であったり、「No」であったりするように変化させてもよい。
【0058】
さらに、上記した第1のグループ分けに使用される4つの観点、または、より詳細な対象者の心身バランスを判定するためのその他の項目の質問について、質問する順序をランダムにして同じ項目を把握するための質問が連続しないようにすることができる。
【0059】
[第1のグループ分け(タイプの分類)]
本実施形態にかかるヘルスケアシステムでは、上述したアンケートの結果に基づいて、まず、対象者を第1のグループである「タイプ」にグループ分けする。
【0060】
第1のグループ分けは、例えば、「ビタミン・ミネラルの摂取状況」「脳の働き」「活力の度合い」「元気の度合い」を把握するための4項目についてのアンケート結果に基づいて、各項目への回答が好ましいと評価できるものであるか否かの観点から分類して、4項目の分類の組み合わせから対象者が属するタイプが決められる。
【0061】
上述したように、それぞれの質問に対する回答が「No」であることがより好ましい状況を表すように設定された質問でのアンケートの場合、「ビタミン・ミネラルの摂取状況」「脳の働き」「活力の度合い」「元気の度合い」の4つの項目についてそれぞれ複数問の質問を設定した場合に、「No」の回答の個数を「高い」「低い」の2段階、または、「高い」「中間」「低い」の3段階などにランク分けする。そして、4つの項目への回答のランクの組み合わせから第1のグループ分けを行って対象者が属するタイプを決定する。
【0062】
図4に、対象者をタイプに分類する第1のグループ分けの判断基準例を示す。
【0063】
図4に示す例では、一例として、「ビタミン・ミネラルの摂取状況」については「No」と回答した数によって「高い」、「低い」の2段階にランク分けし、「脳の働き」、「活力の度合い」、「元気の度合い」についてはいずれもそれぞれの質問数に対応して、「No」の回答数によって「高い」、「中間」、「低い」という3段階にランク分けしている。
【0064】
図4に示すように、上記のアンケート設問に対する回答が、ビタミン(ミネラル)の摂取状況のランクが「低」、脳の働きランクが「中」、活力の度合いのランクが「中」、元気の度合いのランクが「低」である対象者のタイプは「6-1」となる。
【0065】
図4に示すように、「ビタミン・ミネラルの摂取状況」「脳の働き」「活力の度合い」「元気の度合い」の4つの項目での回答のランクが上記「6-1」の分類とは少し異なる6つのパターンであるタイプ「6-1」から「6-6」が、大分類としての「6.栄養失調タイプ」に分類される。
【0066】
本実施形態にかかるヘルスケアシステムでは、このようにしてランク分けされたアンケート結果の4つの項目の組み合わせによって、上記
図4で例示した大分類「6.栄養失調タイプ」に含まれる6つのタイプ以外に、「1.熱こもりタイプ」に含まれる8タイプ、「2.水ぶくれタイプ」に含まれる7タイプ、「3.砂漠タイプ」に含まれる8タイプ、「4.ストレスタイプ」に含まれる9タイプ、「5.ひんやりタイプ」に含まれる7タイプ、「7.冷凍タイプ」に含まれる5タイプ、「8.凍結タイプ」に含まれる4タイプの、全部で54のタイプが設定されている。なお、上記例示した「1.熱こもりタイプ」から「8.凍結タイプ」の8つの大分類の名称は、その分類に含まれる4つから8つのタイプに属する対象者の共通した状況として、コンディションがよりすぐれていて心身のバランスを崩しにくい状況を「熱い」ことを意味する言葉で、反対にコンディションが優れずに心身のバランスを崩しやすい状況を「冷たい」ことを意味する言葉で、その程度を表すように命名された一例である。
【0067】
なお、この第1のグループ分けの分類基準については、実際にアンケート結果で分類された対象者の後述する血液測定結果数値や体組成計の測定値との関係を分析して、適宜修正することができる。
【0068】
[第2のグループ分け(生活行動を設定するための詳細グループへの分類)]
続いて、本実施形態にかかるヘルスケアシステムでは、上述の第1のグループ分けによって分類された54タイプのそれぞれに属する対象者を、対象者の性別、年代(20代以下、30代、40代、50代、60代、70代以上の6段階)とで分類し、さらに対象者の血液検査結果項目、一例として「血圧」「中性脂肪」「HDL数値」「LDL数値」と、体組成計により測定された「内臓脂肪率数値」との複数項目(一例として5項目)によって、本システムで習慣づけをすることで生活習慣を改善する生活行動を設定するための詳細グループに分類する第2のグループ分けを行う。なお、上記例の場合、血液検査の4項目の分類、体組成計による「内臓脂肪率数値」の分類については、それぞれの項目において「正常」「正常範囲外(危険性は乏しい)」「要注意」「危険(検査や医師の診断を受けることが好ましい状態)」など、測定結果から判定される危険度に基づいて3~5段階程度に分類された指標を用いることが好ましい。
【0069】
なお、この第2のグループ分けの基準において、血液検査の結果数値の項目と体組成計による内臓脂肪率数値の項目(上記例示の場合は、血液4項目+1の全5項目)では、本システムの対象者についての過去のデータに基づいて、「正常」の範囲と「正常範囲外」の2つの分類に属する対象者の生活習慣行動から見た心身のバランスについての評価結果に有意な差がない場合には、「正常」と「正常範囲外」とを同じ一つの分類として纏めることができる場合がある。
【0070】
[生活行動の設定]
第1の期間では、上記した、第1のグループ分けによって区分された54タイプに対して、性別、年代、血液検査と体脂肪計の結果数値によって第2のグループ分けが行われて詳細グループに分類された対象者に対して、同じ詳細グループに属する対象者には同じ内容の生活行動が設定される。
【0071】
この生活行動は、例えば、同じ詳細グループに属する他の対象者のアンケート結果に基づいて、当該対象者は「Yes(実践できていない)」と回答しているが他に「No(実践できている)」と回答している対象者が存在する質問の行動を設定することができる。例えば、第2の分類で血圧が「要注意」である対象者が分類された詳細グループに属する対象者に対して、血圧が「正常」または「正常範囲該外」の対象者が分類された別の詳細グループにおいて「No(実践できている)」と回答した対象者が多い項目の質問内容を抽出して生活行動として設定する。このように、生活行動を設定する詳細グループに比較的近い分類結果となるが、より良い生活習慣行動が行われていると判断される別の詳細グループに属する対象者のアンケート結果を分析して、比較的多くの対象者が実践できている(本例の場合は「No」と回答している)生活習慣行動から適宜選択することで、それぞれの詳細グループに属する対象者に対して無理なく実践できて心身のバランスがより向上すると期待できる行動を実践すべき生活行動として設定することができる。
【0072】
なお、このように、実践している生活習慣行動がよりよいと判断される他の詳細グループのアンケート結果から当該詳細グループに属する対象者への生活行動を導き出す場合は、全てのアンケート結果が「高い」と分類された、大分類「1.熱こもりタイプ」に含まれる「1-5」のタイプに分類された対象者に対して提示する生活行動の設定が困難となる。この場合には、当該対象者が「No」と回答できなかった行動の内、他の対象者が一定数以上「No」と回答した行動を生活行動として設定する、または、アンケートでは質問に設定されなかったが一般的に好ましいと評価されている生活習慣を生活行動として設定することなどにより対応することができる。
【0073】
なお、本システムで対象者に示される生活行動は所定の個数(一例として4~5個)を提示すると定められている。仮に、好ましい生活習慣を持っていないことを理由として多くの生活行動の実践を求めてしまうことは、対象者に過大な負担を強いることになる。一方、良い生活習慣を数多く実践することができている対象者についても、心身のバランスをより向上させるための生活行動を一定数実行してもらうことで、血液の質をよりよい方向へと変化させることができる。
【0074】
本システムでは、上述の様に一例としての3週間から1ヶ月程度の一定の期間、対象者は同じ生活行動を実践するように努力を続けて、毎日その生活行動が実践できたか否かを自己判定してもらう。
【0075】
図5に、対象者が行う自己判定結果を入力するスマートフォンの画面表示例を示す。
【0076】
図5に示すように、当該対象者に対して設定された生活行動それぞれについて、対象者自身が「Yes(できた)」「No(できなかった)」の評価を入力する。本実施形態にかかるヘルスケアシステムでは、上述したように所定の期間(上述の第1の期間、第2の期間)における対象者の自己判定結果に基づいて次の期間の生活行動が設定されるため、対象者が毎日、自己の行動結果を入力することが原則となる。このため、スマートフォン10は、基本機能として設定されている標準時間を取得する機能に従って、例えば夜10時などの毎日一定の時間になると、本システムの自己判定結果入力画面が表示されて、対象者に結果入力を促すようにすることが好ましい。
【0077】
上述したように、設定された所定の期間(一例として3週間または1ヶ月間)の第1の期間が終了すると、その期間の評価結果がスマートフォン10からサーバ20へと送信される。サーバ20の制御部22は、第1の期間における「Yes」の数に基づいて、第1の期間に当該対象者が生活習慣を改善する生活行動を実践できたか否かを判定する。なお、この判定においては、例えば「Yes」の回答が所定の閾値(一例として50%)以上の場合は「実践できた」と判断することができる。この所定の生活行動が実践できたか否かの判定基準としての閾値は、全ての生活行動に同じ閾値を設定することができる。また、比較的容易に実践できる生活行動の場合は、「実践できた」と判断する閾値を他のものよりも高い値に設定し、反対に、過去のデータなどによって、実践することが比較的困難であると判断される生活行動が「実践できた」と判断する閾値を、他のものよりも低く設定するなど、生活行動の実践難易度に応じて判断基準を変化させることができる。
【0078】
続いて、第2の期間において対象者に示される第2の生活行動が示される。
【0079】
第2の期間では、第1の期間において設定された生活行動が達成できた場合には、より実践が困難だが対象者の心身のバランスがよりよく保たれるようになる行動を設定し、反対に第1の期間において対象者が実践できなかった生活行動については、より実践が容易な行動や、第1の期間では全般的な行動であったものをその中に含まれるより詳細かつ具体的な一つの指標により示される行動とするなど、対象者が脱落することなく少しでも生活習慣の改善を行うことができる行動が設定される。
【0080】
図6は、第1の期間、第2の期間、第3の期間に対象者に示される生活行動の具体例を示す図である。
【0081】
図6に示すのは、第1の分類として大分類「6.栄養失調タイプ」の「6-2」タイプに分類された対象者の内、男性、30代で、血液検査の結果「血圧」が「要注意」レベルの対象者が含まれる詳細グループに属する対象者に示される生活行動の例である。
【0082】
図6に示すように、第1の期間には第1の生活行動として「白湯を飲む」が示される。
図6に示すようにこの第1の生活行動は、詳細グループに含まれる対象者に共通する課題として腸の働きが不十分である傾向が強いことが判明していることを受けて、腸の働きを改善させることができる生活習慣行動として設定されたものである。
【0083】
対象者が第1の期間にこの「白湯を飲む」という生活行動を閾値例としての50%以上の日(1ヶ月の内の15日以上)に実践できた場合には、この生活行動の実践が達成されたと判断して、次の第2の期間における生活行動として「水分は1日1l以上飲む」が設定される。朝、白湯を飲むという習慣行動は、通常誰もが行っている朝の水分補給時に水ではなく白湯を選択すればよいものであるため比較的実践が容易な習慣行動であると考えられる。これに対して、1l以上の水を毎日飲むことは、かなり強く意識しないと実践できない場合があり「白湯を飲む」と比較して実践難易度は少し高くなると考えられる。このように、第1の期間において設定された生活行動が実践できたと判断された対象者には、第2の期間ではより実践難易度が高いと考えられる生活行動を実践目標として設定することで、よりよい生活習慣の実践へと導いていくことができる。
【0084】
一方、第1の期間における「白湯を飲む」という生活行動を実践できたと自己判定した日数が所定の閾値に満たない対象者に対しては、第2の期間に実践すべき生活行動として「味がないと飲めない場合は麦茶・ルイボスティなど、カフェインのないものを選ぶ」が設定される。このように、味がない白湯を飲むことが実践しづらい対象者がより容易に実践できるであろう生活行動として、味がついた水を飲むことを生活活動の実践目標とする。ただし、腸の動きをよくするという目的にはそぐわないカフェインの摂取を回避する行動を具体的に生活行動として設定することで、第2の期間では生活行動が実践できたと判定されるように誘導する。
【0085】
このように、前の期間における生活行動の自己判定結果に基づいて、実践が達成できたと判断された対象者には、上記例の場合の「腸の働きをよくする」といった目標とする体調改善に向けた効果が得られるが実践難易度が高くなると想定される生活行動を、反対に、実践ができなかったと判断された対象者には、具体的に内容を絞ったより実践難易度が低いと想定される生活行動を、それぞれ次の期間の実践目標として設定することで、それぞれの対象者の実践度合いに応じてより心身のバランスが改善されるような生活習慣が身につくようにサポートすることができる。
【0086】
なお、
図6に示すように、第2の生活行動である、睡眠の質をよくするという目的のために、第1の期間に設定された「朝日を浴びる」という生活行動の実践度合いに応じて、「寝る30分前からは携帯は見ない」または「朝食は起床後1時間以内に食べる」という二種類の生活行動のうちのいずれかが設定される。
【0087】
また、上述した第1の生活行動では、「白湯を飲む」という第1の期間の生活行動に対して第2の期間の生活行動も水分摂取に関するものを設定しているが、第3の期間の生活行動は、食事の時間や間食の内容といった水分の摂取とは異なる観点から「腸の働きをよくする」という改善目標を実現する生活行動が設定されている。このように、それぞれの詳細グループに分類された対象者が共通して抱えている問題点を改善できる異なる種類の生活行動が設定される期間を設けることにより、総合的に目標とする体調改善につなげるようにすることも好ましい。
【0088】
以上説明したように、対象者に対して設定される生活行動は、対象者の詳細グループ毎に予め設定された複数の行動の中から、一つまたは複数個を選んで設定することができる。なお、詳細グループは、対象者の血液検査結果と体組成計により測定された複数個(上記例の場合は5個)の測定結果を分類して決められるものであるため、一人の対象者が複数の詳細グループに同時に属することとなり、各詳細グループに対して複数の体調改善目標が決められて具体的な生活行動が設定される。この生活行動すべてを対象者に実践させることは対象者の負担が大きすぎるため、上記選定された生活行動の中から、共通するものをまず優先してまとめて全体の個数を4~5個程度の所定数に絞って対象者のスマートフォン10に表示することか好ましい。
【0089】
また、本システムでサポート対象となった対象者の人数が増えることで、第1のグループ分けと第2のグループ分けの精度や、各詳細グループに分類された対象者に設定される生活行動の実践度合いと体調改善目標に対する効果の程度がより詳細かつ正確に分析可能となる。このため、アンケートの具体的な設問内容や生活習慣を改善する実践行動目標として示される生活行動について、AI技術を用いてより好ましい内容にブラッシュアップされることが期待できる。
【0090】
以上、本願で開示するヘルスケアシステムは、対象者の現状の生活習慣や心身のバランス状態に応じたタイプへと分類する第1のグループ分けを行い、さらに、各タイプに属する対象者に対して性別、年代などの基本情報と健康診断結果データに基づいて詳細グループに分類する第2のグループ分けを行って、それぞれの対象者に設定される生活行動が決定される。このため、対象者の現状に応じたより適切な生活行動を実践すべき目標行動として提示することができる。さらに、サポート期間を複数に分けて、前の期間での生活行動の実践結果に応じて、対象者がより実践しやすく、また、より高い体調改善効果が期待できる生活行動が次の期間に実践すべき生活行動として設定される。このため、サポート期間全体を通じて、対象者に過度の負担を与えることなくよりよい生活習慣が確実に身につくようにサポートすることができる。
【0091】
なお、上記実施形態では、本システムを構成する携帯端末として対象者が所持するスマートフォンを用いる例を示したが、携帯端末としては、対象者が所持して生活行動を確認し、毎日実践結果の自己判定を行うことができる情報端末であって、インターネット回線を介してサーバであるデータ処理装置との間のデータの送受信ができるものであればスマートフォンに限られない。したがって、タブレット端末やノート型の小型パソコンなどのインターネット回線に接続可能な携帯型の情報処理機器、または、本システムの対象者に貸与するために設計された専用の情報端末を携帯端末して使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本願で開示するヘルスケアシステムは、対象者の現状を反映してその心身のバランスをよりよいものへと改善することができるサポートシステムとして有用である。
【符号の説明】
【0093】
10 スマートフォン(携帯端末)
20 サーバ(情報処理装置)