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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076781
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】人力プレス機
(51)【国際特許分類】
   B30B 1/32 20060101AFI20240530BHJP
【FI】
B30B1/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188530
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】594104825
【氏名又は名称】有限会社天野製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】天野 久
【テーマコード(参考)】
4E090
【Fターム(参考)】
4E090AA01
4E090AB01
4E090BA05
4E090CA01
4E090CD04
4E090EB01
4E090EC01
(57)【要約】
【課題】力の増幅及び作業性をより向上させることを可能にする人力プレス機を提供する。
【解決手段】フレーム21に対して昇降移動する加圧部材3と、フレーム21側に支持された加圧シリンダー4と、加圧シリンダー4に備えられ加圧部材3に連動連結された加圧ピストン5と、加圧シリンダー4の加圧室に連通するオリフィス7と、フレーム21側に支持されオリフィス7に与圧室が連通する与圧シリンダー9と、与圧シリンダー9に備えられた与圧ピストン11と、与圧ピストン11に備えられオリフィス7と同径の貫通孔13と、貫通孔13に下部が嵌合する加圧ロッド15と、加圧ロッド15及び与圧ピストン11を動作させるための入力部17と、入力部17による入力により加圧ロッド15及び与圧ピストン11を同時に動作させ与圧室の与圧の増加に応じ加圧ロッド15を与圧ピストン11に対し相対的に動作させて加圧ロッド15をオリフィス7に進入させる与加圧連動機構19とを備えたことを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームに対して昇降移動する加圧部材と、
前記フレーム側に支持された加圧シリンダーと、
前記加圧シリンダーに備えられ前記加圧部材に連動連結された加圧ピストンと、
前記加圧シリンダーの加圧室に連通するオリフィスと、
前記フレーム側に支持され前記オリフィスに与圧室が連通する与圧シリンダーと、
前記与圧シリンダーに備えられた与圧ピストンと、
前記与圧ピストンに備えられ前記オリフィスと同径の貫通孔と、
前記貫通孔に下部が嵌合する加圧ロッドと、
前記加圧ロッド及び前記与圧ピストンを動作させるための入力部と、
前記入力部による入力により前記加圧ロッド及び前記与圧ピストンを同時に動作させ前記与圧室の与圧の増加に応じて前記加圧ロッドを前記与圧ピストンに対し相対的に動作させ前記加圧ロッドを前記オリフィスに進入させる与加圧連動機構と、
を備えた人力プレス機。
【請求項2】
請求項1の人力プレス機であって、
前記与加圧連動機構は、加圧ロッドプッシュ部材と与圧ロッドプッシュ部材と与圧ロッドとを備え、
前記加圧ロッドプッシュ部材は、前記加圧ロッドの上部を支持して前記フレームに対し昇降可能に支持され、
前記与圧ロッドプッシュ部材は、前記加圧ロッドプッシュ部材を磁石により吸着支持し、
前記与圧ロッドは、前記与圧ロッドプッシュ部材と前記与圧ピストンとを一体的に移動可能に連結する、
人力プレス機。
【請求項3】
請求項2の人力プレス機であって、
前記フレーム側と前記加圧ロッドプッシュ部材との間に介設され前記加圧ロッドプッシュ部材を前記フレーム側に対し上昇付勢して復帰可能とする加圧ロッドリターンスプリングを備えた、
人力プレス機。
【請求項4】
請求項1又は2の人力プレス機であって、
前記フレームに固定されたボトム部材と、
前記ボトム部材を貫通し前記加圧部材を下部に支持した可動ロッドと、
前記可動ロッドと前記ボトム部材との間に介設され前記可動ロッドを前記ボトム部材に対して上昇付勢して復帰可能とする加圧部材リターンスプリングと、
を備えた人力プレス機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に人力により動作させる人力プレス機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のプレス機として、特許文献1に記載のものがある。このプレス機は、起動杆を踏み下ろし、てこの原理で力を増幅させつつダイセット押圧プレートをスプリングに抗して引き下げるようにしたものである。
【0003】
したがって、力の増幅により所定の加工を行わせることができる。
【0004】
しかし、てこの原理を用いるだけでは力の増幅に限界がある。しかも、ダイセット押圧プレートには当初から増幅された力が作用するから、作業に熟練を要し、作業性の向上に限界があるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭53-6973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、力の増幅及び作業性に限界がある点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、力の増幅及び作業性をより向上させることを可能とするために、フレームに対して昇降移動する加圧部材と、前記フレーム側に支持された加圧シリンダーと、前記加圧シリンダーに備えられ前記加圧部材に連動連結された加圧ピストンと、前記加圧シリンダーの加圧室に連通するオリフィスと、前記フレーム側に支持され前記オリフィスに与圧室が連通する与圧シリンダーと、前記与圧シリンダーに備えられた与圧ピストンと、前記与圧ピストンに備えられ前記オリフィスと同径の貫通孔と、前記貫通孔に下部が嵌合する加圧ロッドと、前記加圧ロッド及び前記与圧ピストンを動作させるための入力部と、前記入力部による入力により前記加圧ロッド及び前記与圧ピストンを同時に動作させ前記与圧室の与圧の増加に応じて前記加圧ロッドを前記与圧ピストンに対し相対的に動作させ前記加圧ロッドを前記オリフィスに進入させる与加圧連動機構とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、上記構成であるから、加圧ロッド及び与圧ピストンを入力に応じて同時に動作させ、引き続き与圧の増加に応じて加圧ロッドを与圧ピストンに対して相対的に動作させ、加圧ロッドをオリフィスに進入させることができるから、加圧が始まるまでは与圧により加圧ピストンを迅速に下降させることができ、加圧ピストンの円滑な下降により作業性を向上させることができる。
【0009】
しかも、加圧が始まると加圧ロッドと加圧ピストンとの面積差により入力部に与えた力が大きく増幅され、この増幅された力で加工ができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施例に係り、人力プレス機の側面図である。
図2図2は、図1の人力プレス機の正面図である。
図3図3は、図1の人力プレス機の中間部を拡大し一部を透視した正面図である。
図4図4は、図1の人力プレス機の上部を拡大し一部を透視した側面図である。
図5図5は、図1の人力プレス機の上部を拡大し一部を透視した正面図である。
図6図6は、図1の人力プレス機の動作説明図である。
図7図7は、図1の人力プレス機の動作説明図である。
図8図8は、図1の人力プレス機の動作説明図である。
図9図9は、図1の人力プレス機の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、力の増幅及び作業性をより向上させることを可能にするという目的を以下のように実現した。
【0012】
フレームに対して昇降移動する加圧部材と、前記フレーム側に支持された加圧シリンダーと、前記加圧シリンダーに備えられ前記加圧部材に連動連結された加圧ピストンと、前記加圧シリンダーの加圧室に連通するオリフィスと、前記フレーム側に支持され前記オリフィスに与圧室が連通する与圧シリンダーと、前記与圧シリンダーに備えられた与圧ピストンと、前記与圧ピストンに備えられ前記オリフィスと同径の貫通孔と、前記貫通孔に下部が嵌合する加圧ロッドと、前記加圧ロッド及び前記与圧ピストンを動作させるための入力部と、前記入力部による入力により前記加圧ロッド及び前記与圧ピストンを同時に動作させ前記与圧室の与圧の増加に応じて前記加圧ロッドを前記与圧ピストンに対し相対的に動作させ前記加圧ロッドを前記オリフィスに進入させる与加圧連動機構とを備えて実現した。
【0013】
前記与加圧連動機構は、加圧ロッドプッシュ部材と与圧ロッドプッシュ部材と与圧ロッドとを備え、前記加圧ロッドプッシュ部材は、前記加圧ロッドの上部を支持して前記フレームに対し昇降可能に支持され、前記与圧ロッドプッシュ部材は、前記加圧ロッドプッシュ部材を磁石により吸着支持し、前記与圧ロッドは、前記与圧ロッドプッシュ部材と前記与圧ピストンとを一体的に移動可能に連結する構成で実現した。
【0014】
前記フレーム側と前記加圧ロッドプッシュ部材との間に介設され前記加圧ロッドプッシュ部材を前記フレーム側に対し上昇付勢して復帰可能とする加圧ロッドリターンスプリングを備えて実現した。
【0015】
前記フレームに固定されたボトム部材と、前記ボトム部材を貫通し前記加圧部材を下部に支持した可動ロッドと、前記可動ロッドと前記ボトム部材との間に介設され前記可動ロッドを前記ボトム部材に対して上昇付勢して復帰可能とする加圧部材リターンスプリングとを備えて実現した。
【実施例0016】
図1は、実施例に係り、人力プレス機の側面図である。図2は、図1の人力プレス機の正面図である。図3は、図1の人力プレス機の中間部を拡大し一部を透視した正面図である。図4は、図1の人力プレス機の上部を拡大し一部を透視した側面図である。図5は、図1の人力プレス機の上部を拡大し一部を透視した正面図である。なお、以下の説明において上下とは重力方向、左右とは、人力プレス機を正面から見た左右を意味する。
【0017】
図1図2のように、本発明実施例の人力プレス機1は、加圧部材3と加圧シリンダー4と加圧ピストン5とオリフィス7と与圧シリンダー9と与圧ピストン11と貫通孔13と加圧ロッド15と入力部17と与加圧連動機構19とを備えた。
【0018】
加圧部材3は、加圧プレートで構成されている。加圧プレート3は、フレーム21に対して昇降移動するように支持されている。加圧プレート3の支持構造は、後述する。
【0019】
フレーム21は、起立形状であり左右のフレーム部材21a、21b間に下から加工プレート22、シリンダーボトム23、シリンダーミドルプレート25、シリンダーヘッド27、及びトッププレート29を備えている。
【0020】
図1図3のように、加圧部材3は、加圧プレートで構成されている。加圧プレート3は、加工プレート22の上方に配置され、フレーム21に対して下降移動で加工プレート22に対して押圧動作を行う。
【0021】
加圧プレート3は、可動ロッド31の下端に支持されている。可動ロッド31は、シリンダーボトム23を貫通するように配置されている。可動ロッド31とシリンダーボトム23との間に加圧部材リターンスプリング33が介設されている。加圧部材リターンスプリング33は、可動ロッド31をシリンダーボトム23に対して上昇付勢して加圧プレート3を上昇復帰可能とする。
【0022】
加圧シリンダー4は、フレーム21側に固定されたシリンダーボトム23とシリンダーミドルプレート25との間に取り付けられ、下部がシリンダーボトム23に支持され、上部がシリンダーミドルプレート25に支持されている。
【0023】
加圧ピストン5は、加圧シリンダー4に備えられ加圧プレート3に連動連結されている。
【0024】
加圧ピストン5は中空形状に形成され、この中空形状は加圧ロッド15を挿入ガイドするものである。
【0025】
加圧ピストン5及び加圧プレート3の連動連結は、スプラインシャフト35により行われている。スプラインシャフト35は、加圧ピストン5と同芯で有底の中空形状に形成されている。スプラインシャフト35は、有底側を下側にして加圧シリンダー4内の軸心部に配置されている。スプラインシャフト35の上端に加圧ピストン5が同芯で結合されている。スプラインシャフト35の中空部は、加圧ピストン5の中空部と協働して加圧ロッド15を挿入ガイドするものである。スプラインシャフト35の下部は、シリンダーボトム23を貫通し、下端が加圧プレート3に結合固定されている。
【0026】
加圧シリンダー4内の下部には、中空形状のストロークアジャスター37が配置されている。ストロークアジャスター37は、上端が加圧ピストン5に対向している。ストロークアジャスター37は、下部がシリンダーボトム23側に螺合している。ストロークアジャスター37をシリンダーボトム23側に対する螺合位置を調節して加圧ピストン5に対する上端の対向位置を設定することができる。ストロークアジャスター37の調節は加圧シリンダー4の切り欠きより外部からピンを径方向に挿入し、ストロークアジャスター37の穴にピンの先端を差し込むことで行うことができる。ピンを操作しストロークアジャスター37を軸周りに回転させることでストロークアジャスター37のシリンダーボトム23側に対する螺合位置が調節できる。こうして、ストロークアジャスター37は、加圧シリンダー4内の上下位置を調節することで加圧ピストン5のストロークを調節することができる。
【0027】
オリフィス7は、シリンダーミドルプレート25に形成さえている。オリフィス7は、加圧シリンダー4、シリンダーミドルプレート25、及び加圧ピストン5で形成される加圧室に連通する。
【0028】
与圧シリンダー9は、加圧シリンダー4と同径に形成され、同芯に配置されている。なお、与圧シリンダー9を加圧シリンダー4とは異なる径に設定することもできる。与圧シリンダー9は、フレーム21側に固定支持されたシリンダーミドルプレート25とシリンダーヘッド27との間に取り付けられている。
【0029】
与圧ピストン11は、与圧シリンダー9に備えられている。与圧ピストン11には、貫通孔13が備えられている。与圧は、シリンダー9、シリンダーミドルプレート25、及び与圧ピストン11で形成される与圧室は、下方のオリフィス7に連通する。
【0030】
貫通孔13は、与圧ピストン11の軸心部に備えられオリフィス7と同径に形成されている。
【0031】
加圧ロッド15は、中空に形成され貫通孔13に下部が嵌合している。
【0032】
図1図2のように、入力部17は、踏み部で構成されている。踏み部17は、作業者が足で踏み込み人力を入力して加圧ロッド15及び与圧ピストン11を動作させプレス作業を行うものである。なお、入力部17としては手入力させる構成とすることもできる。電動モーターを踏み力や手入力のアシストとして備えることもできる。
【0033】
踏み部17は、フレーム21の左右に沿って配置された左右の側板41a、41b間の下部に取り付けられている。左右の側板41a、41bは、フレーム21に対し複数のローラー43により昇降ガイドされる構成となっている。
【0034】
図4図5のように、与加圧連動機構19は、踏み部17による入力により加圧ロッド15及び与圧ピストン11を同時に動作させ、与圧室の与圧に応じて加圧ロッド15及び与圧ピストン11を相対的に動作させて加圧ロッド15をオリフィス7に進入させるものである。
【0035】
加圧ロッド15がオリフィス7に進入すると、加圧ロッド15と加圧ピストン5との面積差で加圧室の圧力が実施例において40倍程度に増幅される。この増幅された圧力が加圧ピストン5に作用する。
【0036】
本実施例において与加圧連動機構19は、加圧ロッドプッシュ部材45と与圧ロッドプッシュ部材47と与圧ロッド49とを備えている。
【0037】
加圧ロッドプッシュ部材45は、加圧ロッドプッシュプレートで形成されている。加圧ロッドプッシュプレート45は、加圧ロッド15の上部を支持しフレーム21に対し昇降可能に支持されている。加圧ロッドプッシュプレート45の昇降支持は、リニアシャフト50及びリニアブッシュ51により行われている。リニアシャフト50は、トッププレート29とシリンダーヘッド27とに上下端が固定支持されている。リニアブッシュ51は、加圧ロッドプッシュプレート45に取り付けられている。
【0038】
加圧ロッドプッシュプレート45の左右両側は、左右の側板41a、41bに結合されている。
【0039】
与圧ロッドプッシュ部材47は、与圧ロッドプッシュプレートで形成されている。与圧ロッドプッシュプレート47は、平面視でU字状に形成され、U字状の両側と与圧ピストン11との上下間に与圧ロッド49が結合固定されている。与圧ロッド49により与圧ロッドプッシュプレート47と与圧ピストン11とを連結している。与圧ロッドプッシュプレート47は、加圧ロッドプッシュプレート45上に配置され、下面に磁石52を備えている。与圧ロッドプッシュプレート47は、加圧ロッドプッシュプレート45を磁石52により吸着支持している。
【0040】
加圧ロッドプッシュプレート45には、リザーブ弁53が取り付けられている。リザーブ弁53は、加圧ロッド15の中空部に連通し、リザーブピストン55及びスプリング57を備えている。リザーブ弁53は、リザーブタンク59に接続されている。
【0041】
フレーム21側と加圧ロッドプッシュプレート45との間には、加圧ロッドリターンスプリング61が介設されている。加圧ロッドリターンスプリング61は、加圧ロッドプッシュプレート45をフレーム21側に対して上昇付勢して復帰可能とするものである。
【0042】
加圧ロッドリターンスプリング61の支持は、支持ロッド63により行われている。支持ロッド63は、上端がトッププレート29に固定され、加圧ロッドプッシュプレート45、シリンダーヘッド27、及びシリンダーミドルプレート25を貫通して配置され、下端がシリンダーボトム23に固定されている。
【0043】
[作用効果]
図6図9は、図1の人力プレス機の動作説明図である。
【0044】
図6の加圧プレート3の初期位置において作業者が踏み部17(図、図2)を足踏みで下方へ踏み込むと側板41a、41bが下降する。
【0045】
側板41a、41bが図6の位置から下降すると図7のように加圧ロッドプッシュプレート45が引き下げられ、加圧ロッドプッシュプレート45を吸着している与圧ロッドプッシュプレート47が共に引き下げられる。
【0046】
与圧ロッドプッシュプレート47の引き下げで与圧ロッド49を介して図7のように与圧ピストン11が加圧ロッド15と共に下降を始める。
【0047】
与圧ピストン11が下降を始めると与圧室のオイルが圧力を受けオリフィス7を介して加圧シリンダー4の加圧室にオイルが流入する。
【0048】
加圧室へのオイルの流入により加圧室及び与圧室が共に与圧状態となり、加圧プレート3が与圧で下降する。一方、与圧に応じて与圧ピストン11及び与圧ロッド49を介し与圧ロッドプッシュプレート47が反力を受ける。
【0049】
この与圧による反力が磁石52の吸着力を上回ると与圧ロッドプッシュプレート47から加圧ロッドプッシュプレート45が離脱し、図8のように加圧ロッド15が与圧ピストン11に対して下降を始める。
【0050】
加圧ロッド15がオリフィス7に到達するまでは引き続き与圧ピストン11により与えられた低い与圧で加圧ピストン11が下降する。
【0051】
この加圧ピストン11の下降により加圧プレート3がほぼ加工開始位置となる。
【0052】
加圧ロッド15がオリフィス7に到達すると加圧ロッド15と加圧ピストン5との面積差により加圧室の圧力が実施例では40倍程度に増幅される。この増幅された圧力が加圧ピストン5に作用する。
【0053】
加圧ロッド15がさらに下降すると加圧ピストン5の中空部を経てスプラインシャフト35の中空部へと進入してガイドされる。
【0054】
加圧シリンダー4内では、加圧ロッド15の進入による体積増加があり、加圧ロッド15がオリフィス7に進入した時点から図9のようにさらに下降すると共に加圧プレート3の加工プレート22に対する高い圧力でのプレス加工ができる。
【0055】
このように、与圧シリンダー9及び与圧ピストン11、加圧シリンダー4及び加圧ピストン5、与圧室及び加圧室間のオリフィス7、及び与圧後にオリフィス7に進入する加圧ロッド15を備えることで、低い与圧により加圧ピストン5を迅速に下降させることができ、加圧ピストン5に連動する加圧プレート22を与圧により加工位置まで円滑に下降させることができる。
【0056】
このため、作業当初からは高い圧力が働かないので、加圧プレート22を加工位置まで安全に下降させ、熟練を要せず迅速に作業を行わせることができる。
【0057】
しかも、加圧ロッド15がオリフィス7に進入して加圧が始まると加圧ロッド15と加圧ピストン5との面積差により踏み部17に与えた力が大きく増幅され、この増幅された力で無理のないプレス加工ができる。
【0058】
なお、上記実施例では、与圧から加圧への切り替えを磁石52の吸着力により行っているが、与圧による反力が与圧ロッドプッシュプレート47側に対する加圧ロッドプッシュプレート45側の保持力を上回ったとき与圧ロッドプッシュプレート47側から加圧ロッドプッシュプレート45側が離脱する構造であればよい。したがって、磁石52による保持構造に代え、例えばチェックスプリングにより付勢されたチェックボールを加圧ロッドプッシュプレート45に保持させ、このチェックボールを与圧ロッド49周面に形成した凹部に係合させて保持させる構造等も採用できる。また、与圧による反力を電気的に検出し、この検出に基づいて動作する爪部を与圧ロッドプッシュプレート47側に設定して保持させることもできる。
【0059】
上記実施例では、踏み部17に与えた人力のみにより与圧動作及び加圧動作をさせるようにしたが、人力により動作させることができればよく、踏み部17に与えた人力を倍力させるリンク機構を追加し、或いは人力をアシストする電動モーター、液圧シリンダー、空圧シリンダー等を追加することもできる。
【符号の説明】
【0060】
1 人力プレス機
3 加圧部材(加圧プレート)
4 加圧シリンダー
5 加圧ピストン
7 オリフィス
9 与圧シリンダー
11 与圧ピストン
13 貫通孔
15 加圧ロッド
17 人力操作部(踏み部)
19 与加圧連動機構
21 フレーム
21a、21b フレーム部材
22 加工プレート
23 ボトム部材(シリンダーボトム)
31 可動ロッド
33 加圧部材リターンスプリング
41a、41b 側板
45 加圧ロッドプッシュ部材(加圧ロッドプッシュプレート)
47 与圧ロッドプッシュ部材(与圧ロッドプッシュプレート)
49 与圧ロッド
51 磁石
61 加圧ロッドリターンスプリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9