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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007679
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】蓋
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/02 20060101AFI20240112BHJP
   E03F 5/10 20060101ALI20240112BHJP
   E02D 29/14 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
E03F5/02
E03F5/10 Z
E02D29/14 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108909
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】岡本 晃
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 稔
(72)【発明者】
【氏名】中島 修一
【テーマコード(参考)】
2D063
2D147
【Fターム(参考)】
2D063DA12
2D147BB21
(57)【要約】
【課題】管路内の圧力が突発的に変動した場合であっても、管路の内外に流れる空気量を確保することができる。
【解決手段】蓋10は、管路1に設けられる蓋枠20と、蓋枠20に対して上下に摺動可能であり、かつ、蓋枠20に着脱可能に取り付けられる蓋体30と、蓋体30に設けられ、かつ、蓋体30の上方および下方に向かって開放された吸気路41が形成された筒状部40と、を備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路に設けられる蓋枠と、
前記蓋枠に対して上下に摺動可能であり、かつ、前記蓋枠に着脱可能に取り付けられる蓋体と、
前記蓋体に設けられ、かつ、前記蓋体の上方および下方に向かって開放された吸気路が形成された筒状部と、
を備えている、蓋。
【請求項2】
前記吸気路を覆うように前記蓋体に取り付けられ、前記吸気路と連通する吸気孔が形成されたカバー体を備えた、請求項1に記載された蓋。
【請求項3】
前記吸気孔は、側方に開口するように前記カバー体に形成されている、請求項2に記載された蓋。
【請求項4】
前記吸気孔の総面積は、平面視における前記吸気路の総面積より大きい、請求項2に記載された蓋。
【請求項5】
前記蓋体に設けられ、かつ、前記カバー体が取り付けられる取付部を備えた、請求項2に記載された蓋。
【請求項6】
前記取付部は、前記吸気路内に配置され、
前記吸気路内において、前記筒状部と前記取付部とに差し渡された差渡し部を備えた、請求項5に記載された蓋。
【請求項7】
前記カバー体は、
前記吸気路を上方から覆う本体と、
前記本体から下方に延びた軸と、
を有し、
前記取付部は、前記カバー体の前記軸が挿入される挿入筒部を有している、請求項5に記載された蓋。
【請求項8】
前記吸気路の下端を開閉可能な開閉弁を備えた、請求項1に記載された蓋。
【請求項9】
前記筒状部の前記吸気路の周囲において、前記蓋体から上方に突出した突起を備えた、請求項1から8までの何れか1つに記載された蓋。
【請求項10】
前記吸気路を覆うように前記蓋体に取り付けられ、前記吸気路と連通する吸気孔が形成されたカバー体を備え、
前記突起は、前記カバー体に覆われている、請求項9に記載された蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、地中に埋設された排水管路に取り付けられる蓋が開示されている。ここでは、蓋は、排水管路における掃除口の上部の開口部に取り付けられている。蓋は、掃除口の開口部に着脱自在に装着される本体部材と、本体部材に取り付けられ、掃除口の内部と外部を連通させる連通管と、連通管の上部を上方から覆うカバー部材と、を備えている。連通管は、掃除口の外部から内部に向かって空気が流れる吸気用の連通管と、掃除口の内部から外部に向かって空気が流れる排気用の連通管との2つである。
【0003】
例えば排水管路内に排水が流れるときには、排水管路内が負圧になり得る。しかしながら、特許文献1に開示された蓋では、吸気用の連通管を通じて掃除口の外部の空気が内部に入り込むことで、排水管路内が負圧になり難くすることができる。また、排水管路内の圧力が高くなり得るときには、排気用の連通管を通じて掃除口の内部から外部に空気が排出されることで、排水管路内の圧力が高くなることを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-172749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、特許文献1に開示された蓋では、吸気用と排気用の2つの連通管が、本体部材に設けられている。そのため、1つの連通管の横断面積が小さくなるため、吸気用の連通管が一度に吸気可能な空気量、および、排気用の連通管が一度に排気可能な空気量が少なくなる。その結果、排水管路内の圧力が突発的に高くなったり低くなったりしたときに、十分な空気量を吸気または排気することができないおそれがあった。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、管路内の圧力が突発的に変動した場合であっても、管路の内外に流れる空気量を確保することが可能な蓋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る蓋は、管路に設けられる蓋枠と、前記蓋枠に対して上下に摺動可能であり、かつ、前記蓋枠に着脱可能に取り付けられる蓋体と、前記蓋体に設けられ、かつ、前記蓋体の上方および下方に向かって開放された吸気路が形成された筒状部と、を備えている。
【0008】
前記蓋によれば、吸気路を通じて外部の空気が管路内に流れて吸気されることで、管路内が負圧になることを抑制することができる。また、管路内の圧力が上昇したときには、蓋体が蓋枠に対して浮上することで、蓋枠と蓋体との間に隙間が形成される。この隙間から管路内の空気が外部に排出されて排気されることで、管路内の圧力の上昇を抑制することができる。このように前記蓋によれば、蓋体には、排気用の管路を形成しなくてもよく、平面視における吸気路の面積を大きくすることができるため、管路の外部から内部に流れる空気量を確保することができる。また、蓋体が蓋枠に対して浮上することで生じる蓋枠と蓋体との間の隙間は、比較的に大きいため、管路の内部から外部に流れる空気量を確保することができる。したがって、管路内の圧力が突発的に変動した場合であっても、管路の内外に流れる空気量を確保することができる。
【0009】
本発明の好ましい一態様によれば、前記蓋は、前記吸気路を覆うように前記蓋体に取り付けられ、前記吸気路と連通する吸気孔が形成されたカバー体を備えている。
【0010】
上記態様によれば、例えば蓋の上に人や自動車が乗った場合であっても、吸気路は、カバー体に形成された吸気孔と連通している。よって、吸気路が塞がれずに、吸気時の空気の流れを確保することができる。
【0011】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記吸気孔は、側方に開口するように前記カバー体に形成されている。
【0012】
上記態様によれば、例えばカバー体の上に人や自動車などが乗った場合であっても、吸気孔が塞がれ難くすることができる。
【0013】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記吸気孔の総面積は、平面視における前記吸気路の総面積より大きい。
【0014】
上記態様によれば、吸気時、カバー体の吸気孔を通じて、管路の外部の空気を吸気路内に流し易くすることができる。よって、吸気時、より多くの空気を吸気することができる。
【0015】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記蓋は、前記蓋体に設けられ、かつ、前記カバー体が取り付けられる取付部を備えている。前記取付部は、前記吸気路内に配置されている。前記蓋は、前記吸気路内において、前記筒状部と前記取付部とに差し渡された差渡し部を備えている。
【0016】
上記態様によれば、取付部を配置するスペースを吸気路内に確保することができる。よって、蓋が大型化することを抑制することができる。
【0017】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記カバー体は、前記吸気路を上方から覆う本体と、前記本体から下方に延びた軸と、を有している。前記取付部は、前記カバー体の前記軸が挿入される挿入筒部を有している。
【0018】
上記態様によれば、カバー体の軸を、取付部の挿入筒部に挿入するという簡単な構成で、カバー体を蓋体に取り付けることができる。
【0019】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記蓋は、前記吸気路の下端を開閉可能な開閉弁を備えている。
【0020】
上記態様によれば、開閉弁が吸気路の下端を開放したタイミングで、吸気路を通じて外部の空気が管路内に流れて吸気することができる。開閉弁が吸気路の下端を閉鎖している間、管路内の臭気が吸気路から外部に漏れ難くすることができる。
【0021】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記蓋は、前記筒状部の前記吸気路の周囲において、前記蓋体から上方に突出した突起を備えている。
【0022】
上記態様によれば、管路の外部にある雨水や砂などの異物は、突起によって塞き止められ易い。よって、雨水や砂などの異物が吸気路内に侵入し難くすることができる。
【0023】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記蓋は、前記吸気路を覆うように前記蓋体に取り付けられ、前記吸気路と連通する吸気孔が形成されたカバー体を備えている。前記突起は、前記カバー体に覆われている。
【0024】
上記態様によれば、例えばカバー体の上に人や自動車などが乗った場合であっても、突起に荷重が掛かり難くすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、管路内の圧力が突発的に変動した場合であっても、管路の内外に流れる空気量を確保することが可能な蓋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態に係る蓋を示す平面図である。
図2】実施形態に係る蓋を示す正面図である。
図3図1のIII-III断面における蓋の断面図である。
図4】蓋体が蓋枠に対して浮上した状態を示す図3相当図である。
図5】蓋体の底面図である。
図6】蓋体の正面図である。
図7】カバー体が省略された状態の蓋を示す平面図である。
図8】カバー体を示す斜視図である。
図9】開閉弁が筒状部の吸気路を閉鎖している状態を示す図である。
図10】開閉弁が筒状部の吸気路を開放している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る蓋の実施の形態について説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の一実施形態に過ぎず、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化される。
【0028】
図1は、本実施形態に係る蓋10を示す平面図である。図2は、本実施形態に係る蓋10を示す正面図である。図3は、図1のIII-III断面における蓋10の断面図である。図3に示すように、蓋10は、地中に埋設された管路1に設けられるものである。管路1は、立管2を有している。立管2は、地中に埋設されており、上下に延びたものである。立管2の種類は特に限定されない。ここでは、立管2は、例えばマンホールや、ますの一部などである。
【0029】
なお、図示は省略するが、管路1は、主管路を有している。主管路は、立管2の下端に接続されており、立管2と下水本管とを繋ぐ管路である。主管路は、例えば横に延びており、立管2と交差する方向に沿って配置される。なお、主管路は、複数の管、ます、継手などによって構成されていてもよいし、1つの管によって構成されていてもよい。
【0030】
本実施形態では、図3に示すように、蓋10は、管路1の立管2の上端部に設けられるものである。蓋10は、蓋枠20と、蓋体30とを備えている。蓋枠20は、管路1に設けられている。ここでは、蓋枠20は、管路1の立管2の上端部に設けられている。蓋枠20は、立管2に固定されている。ここでは、蓋枠20には、上下に貫通した連通孔25が形成されており、連通孔25を通じて蓋枠20と立管2とが連通している。
【0031】
本実施形態では、蓋枠20は、立管2に嵌め込まれる枠筒部21と、枠筒部21から上方に延び、蓋体30が着脱可能に取り付けられる枠取付部22とを有している。枠取付部22には、蓋体30が着脱可能に嵌め込まれている。枠取付部22は、蓋体30を支持する。蓋枠20は、枠筒部21の内周面から径方向内側に突出する被係合部23を有している。被係合部23は、リング状に形成されている。図4は、蓋体30が蓋枠20に対して浮上した状態を示す図3相当図である。詳しくは後述するが、図4に示すように、被係合部23は、蓋10のストッパ70と係合可能なものであり、ストッパ70が係合することで蓋体30の上方への移動を規制するものである。
【0032】
図3に示すように、蓋体30は、蓋枠20に着脱可能に取り付けられるものである。図1に示すように、平面視において、蓋体30は円形状である。ただし、蓋体30の形状は特に限定されない。本実施形態では、蓋10は、管路1の外部の空気を管路1内に取り入れる吸気機能と、管路1内の空気を管路1の外部に排出する排気機能とを有している。この吸気機能と、排気機能との詳細は、後述する。
【0033】
本実施形態では、図3に示すように、蓋体30の側面であって、蓋枠20に接触する部位には、シール部材31が設けられている。図5は、蓋10の蓋体30の底面図である。図6は、蓋体30の正面図である。図5および図6では、蓋枠20は省略されている。図5に示すように、シール部材31は、蓋体30の周方向に沿って設けられている。シール部材31は、リング状である。なお、シール部材31を形成する材料は特に限定されない。ここでは、シール部材31は、所定の弾性力を有する弾性部材によって形成されている。弾性部材として、例えばゴムを用いることができる。ゴムとして、合成ゴム(例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM))を好適に使用することができる。このシール部材31によって、蓋体30が蓋枠20に装着されたときにおける、蓋体30と蓋枠20との間の密封性を向上させることができる。
【0034】
本実施形態では、図3に示すように、蓋10は、筒状部40と、カバー体50とを備えている。筒状部40は、蓋体30に設けられている。筒状部40は、上下に延びた筒状のものであり、蓋体30の上方および下方に向かって開放されている。筒状部40は、蓋体30と別体であってもよいし、蓋体30と一体的に形成されていてもよい。また、筒状部40は、複数の部材から構成されていてもよく、当該複数の部材のうちの一部の部材は、蓋体30と一体的に形成されていてもよい。ここでは、筒状部40は、一部が蓋体30を上下に貫通させ、他の一部が蓋体30から下方に向かって延びた筒状のものである。
【0035】
筒状部40には、吸気路41が形成されている。吸気路41は、管路1の外部の空気が、管路1内に入り込むときに、空気が通るものである。吸気路41は、蓋体30の上方および下方に向かって開放されている。吸気路41は、蓋体30を上下に貫通している。言い換えると、吸気路41は、筒状部40を上下に貫通しており、上下に延びたものである。本実施形態では、管路1の外部(例えば地上)の空気は、筒状部40の吸気路41を通じて管路1内に入り込むことが可能である。ここでは、筒状部40の吸気路41が、管路1の外部の空気を管路1内に取り入れる吸気機能として機能する。
【0036】
本実施形態では、図5に示すように、筒状部40は、蓋体30に対して偏心する位置に設けられている。詳しくは、筒状部40は、底面視(言い換えると平面視)において、吸気路41の中心C1(言い換えると、筒状部40の中心C1)が、蓋体30の中心C2と異なる位置になるように蓋体30に設けられている。吸気路41(言い換えると筒状部40)の中心C1と、蓋体30の中心C2とがズレるようにして、筒状部40は配置されている。ここでは、筒状部40は、底面視(言い換えると平面視)において、吸気路41(言い換えると筒状部40)の中心C1が蓋体30の中心C2よりも、後述の固定ストッパ90側に位置するように、蓋体30に設けられている。すなわち、筒状部40は、蓋体30に対して固定ストッパ90側に偏心するように、蓋体30に設けられている。
【0037】
本実施形態では、図3に示すように、蓋10は、突起33を備えている。突起33は、筒状部40の吸気路41の周囲において、蓋体30から上方に突出している。図7は、カバー体50が省略された状態の蓋10を示す平面図である。図7に示すように、突起33は、平面視において、吸気路41を囲むように配置されている。突起33は、上下に延びた筒状に形成されている。ここでは、図3に示すように、突起33の内周面と、筒状部40の内周面とは連続している。
【0038】
カバー体50は、蓋体30の上部に設けられている。カバー体50は、筒状部40(言い換えると吸気路41)を覆うように蓋体30に取り付けられている。ここでは、カバー体50は、上方から筒状部40および吸気路41を覆うように、蓋体30に取り付けられている。平面視において、カバー体50は、筒状部40と重なっている。本実施形態では、カバー体50は、筒状部40と共に突起33を覆うように構成されている。カバー体50は、突起33を上方から覆っており、カバー体50の少なくとも一部は、突起33よりも上方に配置されている。カバー体50の上端は、突起33の上端よりも上方に配置されている。
【0039】
本実施形態では、図6に示すように、カバー体50は、蓋体30よりも盛り上がっている。言い換えると、カバー体50は、蓋体30よりも上方に突出している。本実施形態では、カバー体50が蓋体30の上面に取り付けられているため、カバー体50の全体が蓋体30よりも上方に突出している。また、図2に示すように、カバー体50は、蓋枠20よりも盛り上がっており、蓋枠20よりも上方に突出している。カバー体50は、地面よりも上方に突出している。
【0040】
なお、カバー体50の形状および構成は特に限定されない。図8は、カバー体50を示す斜視図である。図8に示すように、カバー体50は、いわゆる傘状に形成されている。本実施形態では、カバー体50は、本体51と、軸52とを有している。図3に示すように、本体51は、吸気路41を上方から覆うものである。ここでは、本体51は、吸気路41と共に突起33を上方から覆うように構成されている。なお、本体51の形状は、特に限定されない。ここでは、図8に示すように、本体51は、上方に突出したドーム状に形成されている。図3に示すように、本体51は、内部に空間を有しており、下方に向かって開口している。図1に示すように、平面視において、本体51は、円形状である。
【0041】
図3に示すように、軸52は、本体51から下方に延びている。ここでは、軸52は、本体51の中心に接続されており、本体51の裏面から下方に延びている。本実施形態では、図8に示すように、軸52は、円筒状の棒であるが、円柱状の棒であってもよい。軸52の横断面形状は、円形状である。ただし、軸52の形状は特に限定されない。ここでは、図3に示すように、軸52の下端は、本体51の下端と上下方向の位置が同じである。しかしながら、軸52の下端は、本体51の下端よりも下方に突出していてもよいし、本体51の下端よりも上方に配置されていてもよい。
【0042】
カバー体50には、吸気孔55が形成されている。ここでは、吸気孔55は、本体51に形成されており、本体51を貫通するように形成されている。吸気孔55は、筒状部40の内部と連通しており、言い換えると、筒状部40の吸気路41と連通している。吸気孔55は、カバー体50の外部(ここでは、カバー体50の上方に位置する外部)と、吸気路41とを繋ぐ孔である。本実施形態では、吸気孔55は、上方に開口しておらず、側方に開口している。
【0043】
なお、吸気孔55の数は特に限定されない。ここでは、図8に示すように、複数の吸気孔55がカバー体50(詳しくは本体51)に形成されている。詳しくは、吸気孔55の数は、8つである。複数の吸気孔55は、カバー体50の周方向に沿って並ぶようにして、本体51に形成されている。複数の吸気孔55は、本体51の側面に形成されている。ここでは、隣り合う吸気孔55の間隔は、同じであるが、異なっていてもよい。
【0044】
本実施形態では、図7に示すように、蓋10は、取付部35と、差渡し部38とを備えている。取付部35は、蓋体30に設けられている。図3に示すように、取付部35には、カバー体50が取り付けられる。カバー体50が取付部35に取り付けられることで、蓋体30に取り付けられる。なお、蓋体30に対する取付部35の位置、および、構成は特に限定されない。本実施形態では、図7に示すように、取付部35は、筒状部40の内部、すなわち吸気路41内に配置されている。取付部35は、筒状部40の内周面から所定の距離離れて、吸気路41内に配置されている。ここでは、図3に示すように、取付部35は、上下に延びたものであり、外周形状が円柱状である。
【0045】
本実施形態では、図7に示すように、取付部35と筒状部40の内周面とは、差渡し部38によって繋がっている。差渡し部38は、吸気路41内において、筒状部40と取付部35とに差し渡されている。差渡し部38は、筒状部40の内周面と、取付部35の外周面とに接続されている。なお、差渡し部38の形状は特に限定されない。ここでは、差渡し部38は、取付部35から径方向の外側に延びた棒状のものである。差渡し部38の横断面形状は、四角形状であるが、特に限定されない。差渡し部38の横断面形状は円形状であってもよい。
【0046】
差渡し部38の数も特に限定されない。ここでは、図7に示すように、差渡し部38の数は4つである。4つの差渡し部38は、取付部35の周方向に沿って配置されており、周方向に隣り合う差渡し部38の間隔は同じである。ここでは、4つの差渡し部38によって十字状に形成されている。
【0047】
なお、平面視において、吸気路41の面積に対して、差渡し部38が占める割合は特に限定されない。例えば平面視において、吸気路41の面積に対して差渡し部38が占める割合は、1/2以下であり、好ましくは1/5以下であり、特に好ましくは1/8以下である。
【0048】
本実施形態では、カバー体50に形成された吸気孔55の総面積は、平面視における吸気路41の総面積よりも大きい。ここで、吸気孔55の総面積とは、吸気孔55が複数の場合には、複数の吸気孔55(本実施形態では、8つの吸気孔55)の面積の合計のことをいう。また、図7に示すように、吸気路41は、平面視において、差渡し部38によって四分割されている。吸気路41の総面積とは、平面視において四分割された吸気路41の面積の合計のことをいう。ここでは、吸気孔55の総面積は、平面視における吸気路41の総面積の1.1倍以上であり、好ましくは1.3倍以上であり、特に好ましくは1.5倍以上である。
【0049】
本実施形態では、取付部35は、挿入筒部36を有している。図3に示すように、挿入筒部36には、カバー体50の軸52が挿入される。挿入筒部36は、取付部35の上面から下方に凹んでいる。ここでは、挿入筒部36は、カバー体50の軸52に対応した形状を有している。軸52は、挿入筒部36に嵌め込まれる。なお、本実施形態では、カバー体50は、蓋体30に対して固定されている。具体的には、カバー体50は、接着剤を介して蓋体30の取付部35に接着固定されている。そのため、カバー体50の軸52が挿入筒部36に挿入された状態において、軸52は、挿入筒部36に対して回動しないように構成されている。ただし、カバー体50は、蓋体30に対して固定(例えば接着固定)されていなくてもよい。カバー体50は、蓋体30に対して回動するように構成されていてもよい。
【0050】
本実施形態では、蓋10は、開閉弁60を備えている。図9は、開閉弁60が筒状部40の吸気路41を閉鎖している状態を示す図である。図10は、開閉弁60が筒状部40の吸気路41を開放している状態を示す図である。図9および図10に示すように、開閉弁60は、筒状部40の下端を開閉するものである。ここで、筒状部40を開閉するとは、筒状部40に形成された吸気路41を開閉することを意味する。図4に示すように、開閉弁60によって筒状部40が閉鎖されることで、管路1内の臭気が筒状部40の吸気路41を通じて外部に漏れることを抑制することができる。ここでは、図3に示すように、開閉弁60は、蓋体30に取り付けられるものである。詳しくは、開閉弁60は、筒状部40に取り付けられている。図10に示すように、開閉弁60は、アーム61と、支持軸62と、弁体63と、錘64とを有している。
【0051】
アーム61は、筒状部40の外周面に設けられている。本実施形態では、図5に示すように、アーム61の数は2つである。2つのアーム61は、底面視において筒状部40の中心C1を通る直線L1を挟んで対向している。ただし、アーム61の数は特に限定されず、例えば1つであってもよい。
【0052】
支持軸62は、アーム61に支持されており、上下に延びた筒状部40の軸方向と直交する方向に延びている。ここでは、支持軸62は、2つのアーム61に架け渡されている。図9に示すように、弁体63は、筒状部40の下端に装着可能である。弁体63は、筒状部40において下側の開口を開閉するように構成されている。図9および図10に示すように、弁体63は、支持軸62に支持されており、支持軸62を介してアーム61に揺動可能に支持されている。なお、弁体63の形状は特に限定されない。本実施形態では、図3に示すように、弁体63は、平板状かつ円形状である。弁体63は、筒状部40を下方から覆うことができる程度の大きさを有している。図9に示すように、弁体63には、支持軸62に対して筒状部40と反対側に向かって延びた取付部63aが設けられている。
【0053】
錘64は、支持軸62に対して弁体63と反対側に配置され、支持軸62を介してアーム61に揺動可能に支持されている。図9において、弁体63は支持軸62よりも左側に配置され、錘64は支持軸62よりも右側に配置されている。ここでは、錘64は、弁体63の取付部63aに取り外し可能に取り付けられており、ボルト66およびワッシャー67によって取付部63aに固定されている。本実施形態では、弁体63と錘64は別体であるが、弁体63と錘64とは一体成形されていてもよい。
【0054】
本実施形態では、錘64の重量は、弁体63の重量よりも大きい。そのため、通常時、管路1内の圧力と、管路1の外部の圧力との差、言い換えると、弁体63の下方の圧力と、弁体63の上方の圧力との差が小さいと、弁体63には支持軸62周りに上向きの力が作用する。そのため、図9に示すように、弁体63は筒状部40(言い換えると、吸気路41)を閉鎖した状態になる。他方、管路1内の圧力が、管路1の外部の圧力よりも低くなり、その差が大きくなると、弁体63は支持軸62周りに下向きの力が作用する。その結果、弁体63は支持軸62周りに下向きに回転するため、図10に示すように、弁体63は筒状部40(言い換えると、吸気路41)を開放した状態になる。
【0055】
本実施形態では、図10に示すように、筒状部40の下端には、弾性部材45が設けられている。図5に示すように、弾性部材45は、リング状に形成されている。図9に示すように、弾性部材45は、開閉弁60と接触可能である。ここでは、開閉弁60の弁体63が筒状部40の下端を閉鎖したとき、弾性部材45には弁体63が接触する。そのため、弁体63が筒状部40を閉鎖しているときに、弾性部材45は、弁体63と筒状部40との間に介在する。弾性部材45は、弁体63と接触し得る筒状部40の部位に取り付けられている。ここでは、弾性部材45は、筒状部40の下端から下方に突出するように、筒状部40の下端に設けられている。この弾性部材45を介して弁体63が吸気路41を閉鎖しているときに、筒状部40と開閉弁60との密封性を高めることができる。
【0056】
なお、弾性部材45の種類は特に限定されない。弾性部材45は、所定の弾性力を有しており、例えばゴムによって形成されている。ゴムとして、合成ゴム(例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM))を好適に使用することができる。
【0057】
図3および図4に示すように、蓋体30は、蓋枠20に対して上下に摺動可能である。図4に示すように、例えば蓋体30は、蓋枠20に対して浮上する。蓋枠20に対して蓋体30が浮上することで、蓋体30と蓋枠20との間に隙間S1が形成される。蓋体30と蓋枠20との間の隙間S1を通じて、管路1内の空気が管路1の外部に排出される。そのため、本実施形態では、蓋枠20に対して蓋体30が浮上したときに、蓋体30と蓋枠20との間に形成された隙間S1が、管路1内の空気を管路1の外部に排出する排気機能として機能する。
【0058】
本実施形態では、図3に示すように、蓋10は、ストッパ70を備えている。図4に示すように、ストッパ70は、蓋枠20に係合するものである。ここでは、ストッパ70は、蓋体30が蓋枠20に対して浮上したときに、蓋枠20に係合するものである。ストッパ70は、ストッパ70が蓋枠20に係合したときに、更なる蓋体30の上方への移動を規制する。本実施形態では、蓋体30が蓋枠20に対して浮上したときに、ストッパ70は、蓋枠20の被係合部23に下方から係合する。ストッパ70は、蓋体30の裏面から下方に延びている。
【0059】
ここでは、ストッパ70は、回動ストッパ80と、固定ストッパ90とを有している。ストッパ70の種類として、回動ストッパ80と固定ストッパ90とが挙げられる。回動ストッパ80は、蓋体30に対して回動ストッパ80の周方向に回動するものである。本実施形態では、図1に示すように、蓋体30には、取付孔32が形成されている。図3に示すように、取付孔32は、蓋体30を上下に貫通する孔である。図1に示すように、取付孔32の形状は、円形状である。取付孔32の大きさは特に限定されない。ここでは、図7に示すように、取付孔32は、平面視において吸気路41よりも小さい。
【0060】
回動ストッパ80は、蓋体30の取付孔32に対して回動可能に、取付孔32に嵌め込まれている。回動ストッパ80は、取付孔32に嵌め込まれた状態で、例えば矢印A1に沿って、取付孔32に対して回動可能である。なお、回動ストッパ80の構成は特に限定されない。本実施形態では、図3に示すように、回動ストッパ80は、嵌合部85と、縦部81と、横部82とを有している。嵌合部85は、取付孔32に嵌め込まれる部位であり、取付孔32に対応した形状を有している。ここでは、図1に示すように、嵌合部85は、平面視において円形状である。
【0061】
図3に示すように、縦部81は、取付孔32から下方に延びている。ここでは、縦部81は、嵌合部85に接続されており、嵌合部85の裏面から下方に延びている。本実施形態では、縦部81は、複数の棒状部83によって構成されている。棒状部83の数は、3つであるが特に限定されない。本実施形態では、棒状部83は、嵌合部85に接続されたメイン棒状部83aと、メイン棒状部83aの両隣りに配置された2つのサブ棒状部83bとを有している。2つのサブ棒状部83bの下端部は、メイン棒状部83aの下端部に接続されている。メイン棒状部83aとサブ棒状部83bは、それぞれ上下に延びており、下方に向かうにしたがって互いの間隔が狭くなっている。
【0062】
横部82は、縦部81から径方向の外側に延び、蓋枠20と係合可能なものである。横部82は、縦部81の下端部に接続されており、縦部81の下端部から横方向に延びている。詳しくは、横部82は、メイン棒状部83aの下端部、および、2つのサブ棒状部83bの下端部に接続されている。
【0063】
本実施形態では、取付孔32に対して回動ストッパ80が回動することで、横部82における周方向の位置が変更される。ここでは、回動ストッパ80は、治具挿入部86と、目印87とを有している。治具挿入部86は、治具が挿入される部分である。治具挿入部86は、回動ストッパ80の上面であって、蓋10の上方から治具を挿入することが可能な面に設けられている。ここでは、治具挿入部86は、回動ストッパ80の嵌合部85の上面に設けられている。なお、治具挿入部86の構成や形状は特に限定されない。本実施形態では、治具挿入部86は、回動ストッパ80の上面から下方に凹んだ溝である。治具挿入部86は、平面視において所定の方向に延びている。詳しくは、治具挿入部86は、平面視において、横部82が延びている方向と同じ方向に延びた溝である。
【0064】
治具挿入部86に挿入される治具は、蓋体30を蓋枠20から取り外す際に使用されるものである。また、治具は、取付孔32に対して回動ストッパ80を回動させる際に使用されるものでもある。治具挿入部86に挿入される治具の種類は特に限定されないが、治具挿入部86に対応した形状を有している。ここでは、治具挿入部86に挿入される治具は、例えばマイナスドライバーである。
【0065】
目印87は、作業者が蓋10の上から蓋10を見たときであっても、蓋体30の下方に配置された回動ストッパ80の横部82の向きを知るための目印である。ここでは、目印87は、回動ストッパ80の上面、例えば嵌合部85の上面に形成されている。横部82と共に嵌合部85が回動するため、横部82の向きが変更されると、目印87の向きが変更される。目印87の種類は特に限定されないが、ここでは矢印である。目印87である矢印が向く方向に向かって横部82が延びている。本実施形態では、目印87内に治具挿入部86が設けられている。
【0066】
本実施形態では、蓋体30を蓋枠20から取り外すときに、治具挿入部86に治具(例えばマイナスドライバー)を挿入する。このような状態で、作業者が治具を操作して蓋体30を持ち上げることで、蓋体30を蓋枠20から取り外すことができる。また、例えば蓋体30を蓋枠20に装着するときには、横部82が蓋体30の内側に延びた向きになるように回動ストッパ80を回動させる。このとき、例えば治具挿入部86に治具を挿入した状態で、治具を取付孔32に対して回動させる。このことで、横部82が蓋体30の内側に延びた向きになるように、回動ストッパ80を回動させることができる。このことによって、回動ストッパ80の横部82が、蓋枠20の被係合部23に接触することなく、蓋体30を蓋枠20に装着することができる。
【0067】
なお、本実施形態では、治具挿入部86に治具を挿入すること以外の方法で、蓋体30を蓋枠20から容易に取り外すことが可能である。ここでは、図1に示すように、蓋体30には、凹部39が設けられている。凹部39は、蓋体30の周縁に設けられている。凹部39は、蓋体30における回動ストッパ80側の周縁に設けられており、蓋体30の周縁から蓋体30の内方に向かって凹んだものである。詳しくは、凹部39は、筒状部40よりも回動ストッパ80側であって、かつ、回動ストッパ80における筒状部40とは反対側に位置する蓋体30の周縁に設けられている。平面視において、凹部39と筒状部40との間に回動ストッパ80が配置されている。凹部39は、蓋体30の上面から露出するように蓋体30に設けられている。
【0068】
ここでは、凹部39には取外し治具が挿入される。凹部39に挿入される取外し治具は、蓋体30を蓋枠20から取り外す際に使用されるものである。取外し治具の種類は特に限定されないが、例えばマイナスドライバーである。凹部39は、平面視において、取外し治具の凹部39に挿入される部分に対応した形状を有している。本実施形態では、凹部39は、コの字状に形成されている。
【0069】
凹部39を使用して、蓋体30を蓋枠20から取り外す場合、まず回動ストッパ80の横部82が蓋体30の内側に延びた向きになるように回動ストッパ80を回動させる。その後、凹部39に取外し治具を挿入し、凹部39の周囲における蓋体30の部分を持ち上げる。このとき、てこの原理によって、蓋体30の固定ストッパ90の周囲の部分と接する蓋枠20の部分が支点となり、かつ、凹部39の周囲の部分が力点となるため、蓋体30を容易に持ち上げることができる。なお、蓋体30を持ち上げるとき、回動ストッパ80の横部82は、蓋体30の内側に延びているため、蓋枠20に干渉せず、かつ、固定ストッパ90も蓋枠20に干渉しない。そのため、蓋体30を蓋枠20から容易に取り外すことができる。
【0070】
なお、凹部39は、蓋体30における固定ストッパ90側の周縁に設けることが考えられるが、その場合、てこの原理によって、凹部39の周囲における蓋体30の部分を持ち上げると、固定ストッパ90の後述の爪部91が蓋枠20に干渉するおそれがある。そのため、凹部39は、蓋体30における回動ストッパ80側の周縁に設けられるとよい。
【0071】
ここでは、図3に示すように、横部82が蓋体30の外側に向かって延びている状態において、横部82の先端は、蓋枠20の被係合部23の径方向の内端よりも径方向の外側に位置している。そのため、図4に示すように、蓋枠20に対して蓋体30が浮上したときに、回動ストッパ80の横部82が、蓋枠20の被係合部23に下方から係合し、更なる蓋体30の上方への移動が規制される。
【0072】
固定ストッパ90は、回動ストッパ80とは異なり、蓋体30に対して回動しないものである。固定ストッパ90は、蓋体30の裏面から下方に延びている。なお、固定ストッパ90の構成は特に限定されない。本実施形態では、固定ストッパ90は、固定棒状部93と、爪部91とを有している。固定棒状部93は、蓋体30の裏面から下方に延びた棒状のものである。図4に示すように、爪部91は、蓋枠20に係合するものである。ここでは、蓋枠20に対して蓋体30が浮上したときに、爪部91は、蓋枠20の被係合部23に下方から係合する。爪部91は、固定棒状部93から蓋体30の外側に向かって突出している。ここでは、爪部91は、固定棒状部93の下端部に接続されている。なお、爪部91の上下方向の位置は、回動ストッパ80の横部82の上下方向の位置と同じである。固定ストッパ90は、蓋体30と一体的に形成されていてもよいし、蓋体30と別体であってもよい。
【0073】
本実施形態では、蓋体30を蓋枠20に装着した状態において、爪部91の先端(ここでは径方向の外端)は、蓋枠20の被係合部23の径方向の内端よりも径方向の外側に位置している。そのため、図4に示すように、蓋枠20に対して蓋体30が浮上したときに、固定ストッパ90の爪部91は、被係合部23に下方から係合し、更なる蓋体30の上方への移動が規制される。
【0074】
図5に示すように、回動ストッパ80と固定ストッパ90は、平面視において筒状部40(言い換えると吸気路41)を挟んで対向する位置に配置されている。ここでは、回動ストッパ80は、吸気路41よりも取付孔32側に配置されている。固定ストッパ90は、吸気路41よりも取付孔32とは反対側に配置されている。回動ストッパ80と、固定ストッパ90の数は特に限定されない。回動ストッパ80の数は、1つであるが複数であってもよい。ここでは、固定ストッパ90の数は2つであるが、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。2つの固定ストッパ90は、吸気路41よりも取付孔32とは反対側に配置されている。
【0075】
ここでは、蓋10は、主に樹脂材料、または鋳鉄製材料によって形成されている。詳しくは、蓋10のうちシール部材31および弾性部材45を除く部材(例えば蓋枠20、蓋体30、取付部35、筒状部40、カバー体50、ストッパ70など)は、樹脂材料によって形成されているが、鋳鉄製材料によって形成されてもよい。樹脂材料として、例えば硬質塩化ビニル樹脂を好適に使用することができる。
【0076】
以上、本実施形態に係る蓋10の構成について説明した。次に蓋10の使用方法について説明する。まず蓋10において、蓋体30を蓋枠20に装着する際、回動ストッパ80の横部82の先端が蓋体30の内側に向くように、回動ストッパ80を取付孔32に対して回動させる。このとき、例えば治具挿入部86に治具を挿入した状態で、治具を取付孔32に対して回動させることで、回動ストッパ80を回動させることができる。なお、回動ストッパ80が回動することで、目印87の向きが変わるため、目印87の向きを知ることで、回動ストッパ80の横部82の向きを知ることができる。その後、図3に示すように、回動ストッパ80の横部82と、固定ストッパ90の爪部91が、蓋枠20の被係合部23よりも下方に配置されるように、蓋体30を蓋枠20に装着する。蓋体30を蓋枠20に装着した後、回動ストッパ80の横部82の先端が蓋体30の外側に向くように、取付孔32に対して回動ストッパ80を回動させる。このときも、治具挿入部86に治具を挿入した状態で、治具を取付孔32に対して回動させることで、回動ストッパ80を回動させることができる。
【0077】
蓋体30が蓋枠20に装着された状態において、図9に示すように、筒状部40の吸気路41は、開閉弁60によって閉鎖された状態になる。例えば満管状態の管路1内の排水が下水本管に大量に排出されると、管路1内が負圧状態になり得る。このとき、管路1内の圧力が、管路1の外部の圧力よりも低くなる。このときの管路1の内外の圧力差が、所定の第1基準圧力よりも高くなると、蓋10において開閉弁60の弁体63が支持軸62周りに下向きの力が作用する。その結果、図10に示すように、弁体63が支持軸62周りに下向きに回転するため、弁体63が吸気路41を開放する。このことによって、図3に示すように、管路1の外部の空気が、カバー体50の吸気孔55を通じて吸気路41に導入される。吸気路41に導入された空気は、管路1内に入り込み、管路1内の圧力が高くなり、負圧になり難くすることができる。
【0078】
本実施形態において、管路1を流れる排水の量が多くなると、管路1内の圧力が上昇する。このとき、管路1内の圧力が、管路1の外部の圧力よりも高くなる。このときの管路1の内外の圧力差が、所定の第2基準圧力よりも高くなると、図4に示すように、蓋枠20に対して蓋体30が浮上する。蓋体30が浮上したとき、回動ストッパ80の横部82と、固定ストッパ90の爪部91が、蓋枠20の被係合部23に下方から係合する。このように回動ストッパ80の横部82と、固定ストッパ90の爪部91が、被係合部23に係合することで、蓋体30が更に上方に移動することが規制される。なお、蓋枠20に対して蓋体30が浮上するとき、筒状部40の吸気路41は、開閉弁60によって閉鎖された状態である。
【0079】
蓋枠20に対して蓋体30が浮上することで、蓋枠20と蓋体30との間に隙間S1が形成される。このことによって、管路1内の空気が、蓋枠20と蓋体30との間の隙間S1を通じて、管路1の外部へ流れる。その結果、管路1内の圧力が低くなる。なお、管路1内の圧力が低くなり、管路1の内外の圧力差が上記の第2基準圧力以下になると、図3に示すように、蓋枠20に対して蓋体30が下方に移動し、蓋体30が蓋枠20に装着される。
【0080】
以上、本実施形態では、蓋10は、蓋枠20と、蓋体30と、筒状部40と、カバー体50とを備えている。蓋枠20は、管路1(詳しくは立管2)に設けられている。図3および図4に示すように、蓋体30は、蓋枠20に対して上下に摺動可能であり、かつ、蓋枠20に着脱可能に取り付けられる。筒状部40は、蓋体30に設けられている。筒状部40には、蓋体30の上方および下方に向かって開放された吸気路41が形成されている。カバー体50は、吸気路41を覆うように蓋体30に取り付けられている。カバー体50には、吸気路41と連通する吸気孔55が形成されている。このことによって、図3に示すように、吸気路41を通じて外部の空気が管路1内に流れて吸気されることで、管路1内が負圧になることを抑制することができる。また、管路1内の圧力が上昇したときには、図4に示すように、蓋体30が蓋枠20に対して浮上することで、蓋枠20と蓋体30との間に隙間S1が形成される。この隙間S1から管路1内の空気が外部に排出されて排気されることで、管路1内の圧力の上昇を抑制することができる。このように、本実施形態では、蓋体30には、排気用の管路(例えば特許文献1に記載されたような排気用の連通管)を形成しなくてもよく、平面視における吸気路41の面積を大きくすることができるため、管路1の外部から内部に流れる空気量を確保することができる。また、蓋体30が蓋枠20に対して浮上することで生じる蓋枠20と蓋体30との間の隙間S1(図4参照)は、比較的に大きいため、管路1の内部から外部に流れる空気量を確保することができる。したがって、管路1内の圧力が突発的に変動した場合であっても、管路1の内外に流れる空気量を確保することができる。
【0081】
また、本実施形態では、カバー体50が、吸気路41を覆うように蓋体30に取り付けられており、カバー体50には、吸気路41と連通する吸気孔55が形成されている。そのため、例えば蓋10の上に人や自動車が乗った場合であっても、吸気路41は、カバー体50に形成された吸気孔55と連通している。よって、吸気路55が塞がれずに、吸気時の空気の流れを確保することができる。
【0082】
本実施形態では、図6に示すように、カバー体50は、蓋体30よりも盛り上がっている。このことによって、カバー体50の表面積を大きくすることができる。よって、カバー体50に対する吸気孔55を形成する位置の選択肢を多くすることができる。したがって、カバー体50に対して吸気孔55を適切な位置(例えばカバー体50の側面)に形成し易い。
【0083】
本実施形態では、図8に示すように、吸気孔55は、側方に開口するようにカバー体50に形成されている。このことによって、例えばカバー体50の上に人や自動車などが乗った場合であっても、吸気孔55が塞がれ難くすることができる。
【0084】
本実施形態では、吸気孔55の総面積(ここでは8つの吸気孔55の面積の合計)は、平面視における吸気路41の総面積(ここでは、平面視において差渡し部38によって四分割された吸気路41の面積の合計)より大きい。このことによって、吸気時、カバー体50の吸気孔55を通じて、管路1の外部の空気を吸気路41内に流し易くすることができる。よって、吸気時、より多くの空気を吸気することができる。
【0085】
本実施形態では、図3に示すように、蓋10は、蓋体30に設けられ、かつ、カバー体50が取り付けられる取付部35を備えている。図7に示すように、取付部35は、吸気路41内に配置されている。蓋10は、吸気路41内において、筒状部40と取付部35とに差し渡された差渡し部38を備えている。このことによって、カバー体50を取り付けるための取付部35を配置するスペースを吸気路41内に確保することができる。よって、蓋10が大型化することを抑制することができる。
【0086】
本実施形態では、図3に示すように、カバー体50は、吸気路41を上方から覆う本体51と、本体51から下方に延びた軸52とを有している。取付部35は、カバー体50の軸52が挿入される挿入筒部36を有している。このことによって、カバー体50の軸52を、取付部35の挿入筒部36に挿入するという簡単な構成で、カバー体50を蓋体30に取り付けることができる。
【0087】
本実施形態では、図9および図10に示すように、蓋10は、吸気路41の下端を開閉可能な開閉弁60を備えている。このことによって、図3に示すように、開閉弁60が吸気路41の下端を開放したタイミングで、吸気路41を通じて外部の空気が管路1内に流れて吸気することができる。一方、図4に示すように、開閉弁60が吸気路41の下端を閉鎖している間、管路1内の臭気が吸気路41から外部に漏れ難くすることができる。
【0088】
本実施形態では、図9に示すように、筒状部40の下端には、開閉弁60と接触する弾性部材45が設けられている。このことによって、吸気路41の下端を開閉弁60が閉鎖しているときに、筒状部40と開閉弁60との間の密封性を高めることができる。
【0089】
本実施形態では、図3に示すように、蓋10は、筒状部40の吸気路41の周囲において、蓋体30から上方に突出した突起33を備えている。このことによって、管路1の外部にある雨水や砂などの異物は、突起33によって塞き止められ易い。よって、雨水や砂などの異物が吸気路41内に侵入し難くすることができる。
【0090】
本実施形態では、突起33は、カバー体50に覆われている。このことによって、例えばカバー体50に人や自動車などが乗った場合であっても、突起33に荷重が掛かり難くすることができる。
【0091】
本実施形態では、蓋10が設けられる管路1は、排水(特に汚水)が流れる管路であり、蓋10は、汚水用の蓋であった。しかしながら、管路1は、雨水が流れる管路であってもよい。蓋10は、雨水用の蓋であってもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 管路
10 蓋
20 蓋枠
30 蓋体
32 取付孔
33 突起
35 取付部
36 挿入筒部
38 差渡し部
40 筒状部
41 吸気路
45 弾性部材
50 カバー体
51 本体
52 軸
55 吸気孔
60 開閉弁
61 アーム
62 支持軸
63 弁体
64 錘
70 ストッパ
80 回動ストッパ
81 縦部
82 横部
90 固定ストッパ
91 爪部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10