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▶ ダイムラー トラック エージーの特許一覧

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  • 特開-車両の空調吹出構造 図1
  • 特開-車両の空調吹出構造 図2
  • 特開-車両の空調吹出構造 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076790
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】車両の空調吹出構造
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20240530BHJP
   F24F 13/08 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
B60H1/34 611Z
B60H1/34 651B
F24F13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188556
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】521537852
【氏名又は名称】ダイムラー トラック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 晶彦
【テーマコード(参考)】
3L081
3L211
【Fターム(参考)】
3L081AA02
3L081AB02
3L081BA06
3L211BA60
3L211DA14
(57)【要約】
【課題】吹出口周辺に生じる結露を抑制することができる空調吹出構造を提供すること。
【解決手段】車両の乗員室内に設置されるインストルメントパネル2の所定位置に装着され、空調装置4から送出される温調空気Aを吹出口3から乗員室内の所定の方向へ吹き出す空調吹出構造1において、空調装置4と吹出口3とを連通する通風ダクト10内に、インストルメントパネル2及びベゼル20からみて遠ざかる方向に凸となる突起部16を備え、突起部16は、空調装置4側から吹出口3側に向かって傾斜する傾斜面16bを有する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗員室内に設置される車両内装部材の所定位置に装着され、空調装置から送出される温調空気を吹出口から前記乗員室内の所定の方向へ吹き出す空調吹出構造において、
前記空調装置と前記吹出口とを連通する通風路内に、前記車両内装部材からみて遠ざかる方向に凸となる突起部を備え、
前記突起部は、前記空調装置側から前記吹出口側に向かって傾斜する傾斜面を有することを特徴とする空調吹出構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両のエアアウトレットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、車両の室内に配設される内装部材としてのインストルメントパネルには、その室内側の中央および左右両側に、空調ダクトを介して空調装置に連通接続された吹出口が配設されている。空調装置から送出される調温空気は、当該吹出口を介して乗員席側に向けて吹き出すようになっている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吹出口から吹き出される空気の温度は、吹出口の外部における空気の温度(例えば、車内温度)と異なる場合がある。例えば、吹出口から冷房のための空気(冷気)が吹き出される場合、一般に、吹出口から吹き出される空気の温度は、吹出口の外部における空気の温度よりも低い。この場合、それら空気の温度の差に起因し、吹出口の周辺部材(例えば、ベゼル)に結露が生じる場合がある。
【0005】
以上から、本願の解決すべき課題は、吹出口周辺に生じる結露を抑制することができる空調吹出構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
【0007】
本適用例に係る空調吹出構造は、車両の乗員室内に設置される車両内装部材の所定位置に装着され、空調装置から送出される温調空気を吹出口から前記乗員室内の所定の方向へ吹き出す空調吹出構造において、前記空調装置と前記吹出口とを連通する通風路内に、前記車両内装部材からみて遠ざかる方向に凸となる突起部を備え、前記突起部は、前記空調装置側から前記吹出口側に向かって傾斜する傾斜面を有することを特徴とする。
【0008】
空調装置から吹出口までの通風路内に、車両内装部材から遠ざかる方向に傾斜した傾斜面を形成したことで、空調装置から送られてきた温調空気が吹出口の周辺に直接触れにくくなる。これにより、吹出口周辺部材の温度変化を緩和でき、吹出口周辺部材に生じる結露を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る空調吹出構造の斜視図である。
図2図1のII-II線に沿う断面図である。
図3図2のIII-III線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した一実施形態について説明する。
【0011】
図1に示す空調吹出構造1は、車両の室内に配設される内装部材としてのインストルメントパネル2の車幅方向右側に配置される吹出口3周辺の構造である。なお、空調吹出構造はこの他にも、インストルメントパネル2の車幅方向左側及び中央部にも備えられている。当該空調吹出構造1は、空調装置4から送出される温調空気Aを乗員室内の所定の方向へ吹き出す構造をなしている。
【0012】
詳しくは、空調吹出構造1は、空調装置4から吹出口3までを接続している通風ダクト10を有している。通風ダクト10の出口部分が吹出口3に相当する。この通風ダクト10の出口部分は正面視円形状の開口をなしている。また、通風ダクト10の出口部分の内部には吹き出される温調空気Aの向きを調整可能な吹出調整部11が設けられている。
【0013】
吹出調整部11には、正面視において周面から軸心側に略三角形状に突出した形状のフィン12が3つ形成されている。
【0014】
通風ダクト10の出口部分の外側には、当該出口部分を覆うようにベゼル20が設けられている。ベゼル20は、吹出口3側から車両前方側に向けて径が拡がりつつ、下側が短く、上側が長い円筒形状をなしている。ベゼル20の前縁はインストルメントパネル2に接続されている。
【0015】
次に図2には図1のII-II線に沿う断面図が示されており、図3には図2のIII-III線に沿う断面図が示されている。
【0016】
図2に示すように、吹出調整部11は、軸部13の先端部にて支持されている。具体的には吹出調整部11は自在継手を介して支持されており、開口の向きを車両上下方向及び車幅方向に一定の角度範囲で自在に変更可能である。また、吹出調整部11は軸部13回りに回転も可能である。
【0017】
軸部13は、通風ダクト10内の空気流上流側にて支持部材14により支持されており、通風ダクト10の軸心位置にて軸方向(車両前後方向)に延びている。支持部材14は、軸部13外周から径方向外側に放射状にリブが延びており、当該リブが通風ダクト10の内周面と当接されている。
【0018】
また、軸部13に軸方向中央部、具体的には吹出調整部11と支持部材14との間には、整流筒部15が設けられている。当該整流筒部15は軸部13との間にて軸方向に延びた円筒状をなし、温調空気Aを通風ダクト10の軸方向に沿って整流する機能を有する。整流筒部15は軸部13外周から径方向外側に放射状に延びる3つのリブ15a(図3に図示)により支持されている。当該整流筒部15の出口側の上部には周方向に一部切り欠かれた切欠部15bが形成されている。
【0019】
また通風ダクト10の上部には、ベゼル20及びインストルメントパネル2からみて遠ざかる方向、本実施形態では下方に凸となる突起部16が形成されている。突起部16は、通風ダクト10内において、ベゼル20とインストルメントパネル2との境界部分の下部に位置している。図3に示すように、突起部16は正面視において通風ダクト10の内周から下方に突出した弓型をなしている。突起部16は、空気流下流側に通風ダクト10の径方向(断面方向)に沿った壁面16aを有し、空気流上流側に空調装置4側から吹出口3側に向かって軸心側に傾斜した傾斜面16bを有している。上記整流筒部15の切欠部15bは突起部16に近接した位置に形成されている。
【0020】
以下、本実施形態の空調吹出構造1における温調空気Aの動きについて図2に基づき説明する。
【0021】
通風ダクト10内において、温調空気Aは図2の複数の白抜き矢印で示すように流れる。
。詳しくは、通風ダクト10内の下側において空気流上流側から中央部にかけては、空調装置4から送出された温調空気Aが、整流筒部15によって整流されつつ、通風ダクト10に沿って流れていく。そして、空気流下流側において、温調空気Aは吹出調整部11の向きに沿って(図2では上側)偏向されて吹き出される。通風ダクト10より下側はインストルメントパネル2内の空間であることから、通風ダクト10の内周面に沿って温調空気A(冷気)が流れても結露の問題は生じにくい。
【0022】
一方、通風ダクト10内の上側においては、空調装置4から送出された温調空気Aが、整流筒部15によって一部整流されつつ、突起部16の傾斜面16bに沿って通風ダクト10の軸心側に案内される。このとき整流筒部15の上側には切欠部15bが形成されていることで、傾斜面16bに沿って案内される温調空気Aの流れを遮ることはない。このようにして傾斜面16bに沿って案内された温調空気Aは、一旦軸心側に向かった後、空気流下流側において吹出調整部11の向きに沿って(図2では上側)偏向されて吹き出される。このように、傾斜面16bに沿って案内されることで、温調空気Aは突起部16の下流側の空間Bを回避して吹出口3に流れていく。つまり、例えば冷房時における温調空気A(冷気)は、ベゼル20に近接している空間Bにおいて通風ダクト10に接触することなく、吹出口3に流れていく。
【0023】
以上のように、本実施形態に係る空調吹出構造1によれば、空調装置4から吹出口3までの通風路を形成する通風ダクト10内に、車両内装部材であるベゼル20及びインストルメントパネル2から遠ざかる方向に傾斜した傾斜面16bを形成したことで、温調空気Aが吹出口3の周辺である空間Bにおいて通風ダクト10に直接触れにくくなる。これにより、吹出口3の周辺部材であるベゼル20やインストルメントパネル2の温度変化を緩和でき、ベゼル20やインストルメントパネル2に生じる結露を抑制することができる。また、整流筒部15において、突起部16と近接する位置に切欠部15bを形成したことで、傾斜面16bによる温調空気Aの案内を遮ることがなく、より確実に温調空気Aを通風ダクト10の内周面から回避させることができる。
【0024】
以上で本発明の実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。
【0025】
上記実施形態では、吹出口3が円形であり、通風ダクト10、吹出調整部11、及び整流筒部15が略円筒形状をなしいるが、これらの形状は円に限られるものではない。例えば矩形であってもよい。
【0026】
また、上記実施形態の空調吹出構造1では整流筒部15を備えているが、必ずしも整流筒部を備えている必要はない。
【0027】
また、上記実施形態の突起部16は正面視が弓型であるが、この形状に限られるものではなく、例えば矩形状等の他の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 空調吹出構造
2 インストルメントパネル(車両内装部材)
3 吹出口
4 空調装置
10 通風ダクト
11 吹出調整部
12 フィン
13 軸部
14 支持部材
15 整流筒部
15a リブ
15b 切欠部
16 突起部
16a 壁面
16b 傾斜面

図1
図2
図3