(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000768
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】チオピリジノン化合物の安定化及びチオピリジノン化合物を含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20231226BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20231226BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
A61K8/49
A61Q19/00
A61Q19/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022099659
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】エン・ロウ
(72)【発明者】
【氏名】ノエミ・ブロンベルジェ
(72)【発明者】
【氏名】ロマン・タション
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC012
4C083AC122
4C083AC391
4C083AC392
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC761
4C083AC762
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD491
4C083AD492
4C083AD661
4C083AD662
4C083BB47
4C083EE01
4C083EE11
4C083EE16
(57)【要約】
【課題】特に組成物が高温下で比較的長時間維持されるとき、チオピリジノン化合物の経時的な安定性が増強されたチオピリジノン化合物を含む組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、(1)少なくとも1種のチオピリジノン化合物、及び(2)少なくとも1種の親油性抗酸化剤を含む組成物に関する。本発明は、特に組成物が高温下で比較的長時間維持されるときでも、(1)チオピリジノン化合物の経時的な安定性が増強された(1)チオピリジノン化合物を含む組成物を提供することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)以下の式(I)の化合物、以下の式(I')の互変異性体:
【化1】
(式中、
R
1は、
a)水素原子、並びに
b)同一であっても異なっていてもよい、
i)-O-R
3及び
ii)-S-R
3
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている飽和の直鎖状C
1~C
10又は分枝状C
3~C
10アルキル基
から選択される基を示し、
R
2は、
a)水素原子と、
b)同一であっても異なっていてもよい、
i)-O-R
3、
ii)-S-R
3、
iii)-C(O)-O-R
3、並びに
iv)1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC
1~C
8アルコキシ基で任意選択により置換されているC
5~C
12アリール基
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている飽和の直鎖状C
1~C
12又は分枝状C
3~C
12又は環状C
3~C
8炭化水素基と、
c)1つ以上のヒドロキシル及び/又は1つ以上のC
1~C
8アルコキシ基で任意選択により置換されているC
5~C
12アリール基と
から選択される基を示し、
ここで、
R
3は、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C
1~C
10又は分枝状C
3~C
10アルキル基
から選択される基を示す)
これらの塩、これらの水和物等の溶媒和物、これらの光学異性体、これらのラセミ体、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物、
並びに
(2)少なくとも1種の親油性抗酸化剤
を含む、組成物、好ましくは化粧用組成物。
【請求項2】
式(I)及び(I')のR1が、水素原子を表すか、
又は
式(I)及び(I')のR1は、直鎖状(C1~C10)アルキル基若しくは分枝状(C3~C10)アルキル基、特に直鎖状(C1~C6)アルキル基若しくは分枝状(C3~C6)アルキル基、例えばメチル、エチル、n-ペンチル、n-ノニル、イソブチル、より好ましくはエチルを表し、特にR1の前記アルキル基は置換されていない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式(I)及び(I')のR2が、水素原子を表すか、
又は
式(I)及び(I')のR2が、直鎖状(C1~C10)アルキル基若しくは分枝状(C3~C10)アルキル基、特に直鎖状(C1~C6)アルキル基若しくは分枝状(C3~C6)アルキル基、例えばメチル、エチル、n-ペンチル、n-ノニル、イソブチル、より好ましくはメチル若しくはエチル基を表し、R2の前記アルキル基は置換されていない、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
式(I)及び(I')のR2が、直鎖状(C1~C10)アルキル基又は分枝状(C3~C10)アルキル基、特に直鎖状(C1~C6)アルキル基又は分枝状(C3~C6)アルキル基、例えばメチル、エチル、n-ペンチル、n-ノニル、イソブチル、より好ましくはメチル又はエチルを表し、前記アルキル基が、上で定義されたi)、ii)、iii)及びiv)から選択される1つ以上の基で置換され、好ましくは前記アルキル基が、i)、ii)及びiii)から選択される1つ又は2つの基で置換され、より好ましくはi)及びiii)から選択される1つ又は2つの基で、より良好にはカルボキシとして1つの基iii)で置換されている、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
式(I)及び(I')のR2が、(C3~C8)シクロアルキル基、好ましくは(C5~C7)シクロアルキル基、例えばシクロヘキシルを表すか、
又は
式(I)及び(I')のR2が、1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基を表し、好ましくは特に置換されていないフェニル基である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
式(I)及び(I')のR3が、水素原子を表すか、
又は
式(I)及び(I')のR3が、飽和の直鎖状C1~C10若しくは分枝状C3~C10アルキル基、特に直鎖状(C3~C6)アルキル基若しくは分枝状(C3~C6)アルキル基、好ましくは(C1~C4)アルキル基、例えばメチル基を表す、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
式(I)及び(I')のR1が、
a)水素原子、並びに
b)同一であっても異なっていてもよい、
i)-O-R3及び
ii)-S-R3、
好ましくは1つ以上の基i)で任意選択により置換されている-S-R3
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている飽和の直鎖状C1~C6又は分枝状C3~C6アルキル基
から選択される基を表し、
式(I)及び(I')のR2が、
a)水素原子と、
b)同一であっても異なっていてもよい、
i)-O-R3、
ii)-S-R3、
iii)-C(O)-O-R3、並びに
iv)1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のメトキシ等のC1~C4アルコキシ基で任意選択により置換されているフェニル基、
好ましくはi)及びiii)から選択される1つ以上の基、好ましくはカルボキシ等のiii)で置換されているフェニル基
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている飽和の直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10又はC5~C6等の環状C3~C8炭化水素基と
から選択される基を表し、
式(I)及び(I')のR3が、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C1~C6又は分枝状C3~C6アルキル基
から選択される基を表し、
優先的には、式(I)の化合物及び互変異性体(I')、これらの塩、これらの水和物等の溶媒和物、これらの光学異性体、これらのラセミ体、並びにこれらの混合物が、以下の意味を有する:
式(I)及び(I')のR1は:
a)水素原子、及び
b)同一であっても異なっていてもよい、i)-OR3から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、より好ましくは置換されていない、飽和の直鎖状C1~C4又は分枝状C3~C4アルキル基
から選択される基を表し、
式(I)及び(I')のR2が、
a)水素原子、並びに
b)同一であっても異なっていてもよい、
i)-O-R3、
iii)-C(O)-O-R3、並びに
iv)1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC1~C4アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている飽和の直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10又はC5~C6等の環状C3~C8炭化水素基
から選択される基を表し、
式(I)及び(I')のR3が:
a)水素原子、
b)飽和直鎖状C1~C4又は分枝状C3~C4アルキル基、例えばメチル又はエチル
から選択される基を表す、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
(1)化合物が、以下の化合物1~24、これらの互変異性体、これらの塩、これらの水和物等の溶媒和物、これらの光学異性体、これらのラセミ体、及びこれらの混合物、特に化合物1、2、4、6、7、9、11、12、14、15、16、17、18、19、20、又は21、より特定すると1、9、16、18、19、20、又は21、好ましくは18、19、20、又は21、より好ましくは20から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【表1A】
【表1B】
【表1C】
【表1D】
【請求項9】
前記組成物中の(1)化合物の量が、前記組成物の総重量に対して、0.01重量%~10重量%、好ましくは0.05重量%~5重量%、より好ましくは0.1重量%~3重量%である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記(2)親油性抗酸化剤が、ジブチルヒドロキシトルエン、エチルヘキシルメトキシクリレン、酢酸トコフェロール、オリザノール、テトラ-ジ-t-ブチルヒドロキシヒドロケイヒ酸ペンタエリスリチル、チオプロピオン酸ジラウリル、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物中の(2)親油性抗酸化剤の量が、前記組成物の総重量に対して、0.01重量%~10重量%、好ましくは0.05重量%~5重量%、より好ましくは0.1重量%~3重量%である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
ケラチン物質、好ましくは皮膚の美白のためである、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
ケラチン物質、好ましくは皮膚のための、美容方法、好ましくは美白方法であって、
請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物を前記ケラチン物質に適用する工程を含む、方法。
【請求項14】
(1)以下の式(I)の化合物、以下の式(I')の互変異性体:
【化2】
(式中、
R
1は、
a)水素原子、並びに
b)同一であっても異なっていてもよい、
i)-O-R
3及び
ii)-S-R
3
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている飽和の直鎖状C
1~C
10又は分枝状C
3~C
10アルキル基
から選択される基を示し、
R
2は、
a)水素原子と、
b)同一であっても異なっていてもよい、
i)-O-R
3、
ii)-S-R
3、
iii)-C(O)-O-R
3、並びに
iv)1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC
1~C
8アルコキシ基で任意選択により置換されているC
5~C
12アリール基
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている飽和の直鎖状C
1~C
12又は分枝状C
3~C
12又は環状C
3~C
8炭化水素基と、
c)1つ以上のヒドロキシル及び/又は1つ以上のC
1~C
8アルコキシ基で任意選択により置換されているC
5~C
12アリール基と
から選択される基を示し、
ここで、
R
3は、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C
1~C
10又は分枝状C
3~C
10アルキル基
から選択される基を示す)
これらの塩、これらの水和物等の溶媒和物、これらの光学異性体、これらのラセミ体、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物を含む組成物中の(2)少なくとも1種の親油性抗酸化剤の使用であって、
前記(1)化合物を安定化するための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チオピリジノン化合物を含む組成物中のチオピリジノン化合物の安定化に関する。
【背景技術】
【0002】
人生の様々な時期に、一部の人々は、自分たちの皮膚、より詳細には顔及び手の外観に、より黒い染み及び/又はより有色の染みが見られ、皮膚に不均質さを与える。これらの染みは、特に、皮膚の表面に位置するケラチノサイト中の高濃度メラニンに起因する。
【0003】
色素沈着の染みを処置する目的のためには、効能が良く無害の局所的に脱色する物質の使用が最も特定的に望まれている。
【0004】
例えば、アルブチン、ナイアシンアミド及びコウジ酸は、皮膚の脱色剤として公知である。
【0005】
他方で、WO2017/102349は、新規の脱色剤又は美白剤、すなわちチオピリジノン化合物を開示している。チオピリジノン化合物は、メラニンの生成を低減することによって強力な脱色又は美白効果を示すことができる。
【0006】
しかしながら、チオピリジノン化合物は、特にチオピリジノン化合物を含む組成物が高温下で比較的長時間維持されるとき、組成物中で経時的に不安定化する傾向があることが発見されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2017/102349
【特許文献2】EP-A-3390363
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、特に組成物が高温下で比較的長時間維持されるとき、チオピリジノン化合物の経時的な安定性が増強されたチオピリジノン化合物を含む組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、
(1)以下の式(I)の化合物、以下の式(I')の互変異性体:
【0010】
【0011】
(式中、
R1は、
a)水素原子、並びに
b)同一であっても異なっていてもよい、
i)-O-R3及び
ii)-S-R3
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている飽和の直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基
から選択される基を示し、
R2は、
a)水素原子と、
b)同一であっても異なっていてもよい、
i)-O-R3、
ii)-S-R3、
iii)-C(O)-O-R3、並びに
iv)1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている飽和の直鎖状C1~C12又は分枝状C3~C12又は環状C3~C8炭化水素基と、
c)1つ以上のヒドロキシル及び/又は1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基と
から選択される基を示し、
ここで、
R3は、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基
から選択される基を示す)
これらの塩、これらの水和物等の溶媒和物、これらの光学異性体、これらのラセミ体、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物、
並びに
(2)少なくとも1種の親油性抗酸化剤
を含む組成物によって達成することができる。
【0012】
式(I)及び(I')のR1は、水素原子を表すか、
又は
式(I)及び(I')のR1は、直鎖状(C1~C10)アルキル基若しくは分枝状(C3~C10)アルキル基、特に直鎖状(C1~C6)アルキル基若しくは分枝状(C3~C6)アルキル基、例えばメチル、エチル、n-ペンチル、n-ノニル、イソブチル、より好ましくはエチルを表し、特にR1の前記アルキル基は置換されていないことが、好ましいことでありうる。
【0013】
式(I)及び(I')のR2は、水素原子を表すか、
又は
式(I)及び(I')のR2は、直鎖状(C1~C10)アルキル基若しくは分枝状(C3~C10)アルキル基、特に直鎖状(C1~C6)アルキル基若しくは分枝状(C3~C6)アルキル基、例えばメチル、エチル、n-ペンチル、n-ノニル、イソブチル、より好ましくはメチル若しくはエチル基を表し、R2の前記アルキル基は置換されていないことが、好ましいことでありうる。
【0014】
式(I)及び(I')のR2は、直鎖状(C1~C10)アルキル基又は分枝状(C3~C10)アルキル基、特に直鎖状(C1~C6)アルキル基又は分枝状(C3~C6)アルキル基、例えばメチル、エチル、n-ペンチル、n-ノニル、イソブチル、より好ましくはメチル又はエチルを表し、前記アルキル基は、上で定義されたi)、ii)、iii)及びiv)から選択される1つ以上の基で置換され、好ましくは前記アルキル基は、i)、ii)及びiii)から選択される1つ又は2つの基で置換され、より好ましくはi)及びiii)から選択される1つ又は2つの基で、より良好にはカルボキシとして1つの基iii)で置換されていることが、好ましいことでありうる。
【0015】
式(I)及び(I')のR2は、(C3~C8)シクロアルキル基、好ましくは(C5~C7)シクロアルキル基、例えばシクロヘキシルを表すか、
又は
式(I)及び(I')のR2は、1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基を表し、好ましくは特に置換されていないフェニル基であることが、好ましいことでありうる。
【0016】
式(I)及び(I')のR3は、水素原子を表すか、
又は
式(I)及び(I')のR3は、飽和の直鎖状C1~C10若しくは分枝状C3~C10アルキル基、特に直鎖状(C3~C6)アルキル基若しくは分枝状(C3~C6)アルキル基、好ましくは(C1~C4)アルキル基、例えばメチル基を表すことが、好ましいことでありうる。
【0017】
式(I)及び(I')のR1は、
a)水素原子、並びに
b)同一であっても異なっていてもよい、
i)-O-R3及び
ii)-S-R3、
好ましくは1つ以上の基i)で任意選択により置換されている-S-R3
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている飽和の直鎖状C1~C6又は分枝状C3~C6アルキル基
から選択される基を表し、
式(I)及び(I')のR2は、
a)水素原子と、
b)同一であっても異なっていてもよい、
i)-O-R3、
ii)-S-R3、
iii)-C(O)-O-R3、並びに
iv)1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のメトキシ等のC1~C4アルコキシ基で任意選択により置換されているフェニル基、
好ましくはi)及びiii)から選択される1つ以上の基、好ましくはカルボキシ等のiii)で置換されているフェニル基
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている飽和の直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10又はC5~C6等の環状C3~C8炭化水素基と
から選択される基を表し、
式(I)及び(I')のR3は、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C1~C6又は分枝状C3~C6アルキル基
から選択される基を表し、
優先的には、式(I)の化合物及び互変異性体(I')、これらの塩、これらの水和物等の溶媒和物、これらの光学異性体、これらのラセミ体、並びにこれらの混合物は、以下の意味を有する:
式(I)及び(I')のR1は:
a)水素原子、及び
b)同一であっても異なっていてもよい、i)-OR3から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、より好ましくは置換されていない、飽和の直鎖状C1~C4又は分枝状C3~C4アルキル基
から選択される基を表し、
式(I)及び(I')のR2は、
a)水素原子、並びに
b)同一であっても異なっていてもよい、
i)-O-R3、
iii)-C(O)-O-R3、並びに
iv)1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC1~C4アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている飽和の直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10又はC5~C6等の環状C3~C8炭化水素基
から選択される基を表し、
式(I)及び(I')のR3は:
a)水素原子、
b)飽和直鎖状C1~C4又は分枝状C3~C4アルキル基、例えばメチル又はエチル
から選択される基を表すことが、好ましいことでありうる。
【0018】
(1)化合物は、以下の化合物1~24、これらの互変異性体、これらの塩、これらの水和物等の溶媒和物、これらの光学異性体、これらのラセミ体、及びこれらの混合物、特に化合物1、2、4、6、7、9、11、12、14、15、16、17、18、19、20、又は21、より特定すると1、9、16、18、19、20、又は21、好ましくは18、19、20、又は21、より好ましくは20から選択されてもよい。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
本発明による組成物中の(1)化合物の量は、組成物の総重量に対して、0.01重量%~10重量%、好ましくは0.05重量%~5重量%、より好ましくは0.1重量%~3重量%でありうる。
【0024】
(2)親油性抗酸化剤は、ジブチルヒドロキシトルエン、エチルヘキシルメトキシクリレン、酢酸トコフェロール、オリザノール、テトラ-ジ-t-ブチルヒドロキシヒドロケイヒ酸ペンタエリスリチル、チオプロピオン酸ジラウリル、及びこれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0025】
本発明による組成物中の(2)親油性抗酸化剤の量は、組成物の総重量に対して、0.01重量%~10重量%、好ましくは0.05重量%~5重量%、より好ましくは0.1重量%~3重量%でありうる。
【0026】
本発明による組成物は、ケラチン物質、好ましくは皮膚の美白のためであってもよい。
【0027】
本発明はまた、ケラチン物質、好ましくは皮膚のための、美容方法、好ましくは美白方法であって、
本発明による組成物をケラチン物質に適用する工程を含む、方法にも関する。
【0028】
本発明の別の態様は、(1)以下の式(I)の化合物、以下の式(I')の互変異性体:
【0029】
【0030】
(式中、
R1は、
a)水素原子、並びに
b)同一であっても異なっていてもよい、
i)-O-R3及び
ii)-S-R3
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている飽和の直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基
から選択される基を示し、
R2は、
a)水素原子と、
b)同一であっても異なっていてもよい、
i)-O-R3、
ii)-S-R3、
iii)-C(O)-O-R3、並びに
iv)1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている飽和の直鎖状C1~C12又は分枝状C3~C12又は環状C3~C8炭化水素基と、
c)1つ以上のヒドロキシル及び/又は1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基と
から選択される基を示し、
ここで、
R3は、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基
から選択される基を示す)
これらの塩、これらの水和物等の溶媒和物、これらの光学異性体、これらのラセミ体、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物を含む組成物中の(2)少なくとも1種の親油性抗酸化剤の使用であって、(1)化合物を安定化するための使用である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
鋭意検討の結果、本発明者らは、特に組成物が高温下で比較的長時間維持されるときでも、チオピリジノン化合物、又はチオピリジノン化合物の安定性が増強されたチオピリジノン化合物を含む組成物を提供することが可能であることを発見した。
【0032】
そのため、本発明による組成物は、
(1)以下の式(I)の化合物、以下の式(I')の互変異性体:
【0033】
【0034】
(式中、
R1は、
a)水素原子、並びに
b)同一であっても異なっていてもよい、
i)-O-R3及び
ii)-S-R3
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている飽和の直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基
から選択される基を示し、
R2は、
a)水素原子と、
b)同一であっても異なっていてもよい、
i)-O-R3、
ii)-S-R3、
iii)-C(O)-O-R3、並びに
iv)1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている飽和の直鎖状C1~C12又は分枝状C3~C12又は環状C3~C8炭化水素基と、
c)1つ以上のヒドロキシル及び/又は1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基と
から選択される基を示し、
ここで、
R3は、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基
から選択される基を示す)
これらの塩、これらの水和物等の溶媒和物、これらの光学異性体、これらのラセミ体、及びこれらの混合物(以下、化合物を「チオピリジノン化合物」と称する)、
並びに
(2)少なくとも1種の親油性抗酸化剤
を含む。
【0035】
本発明による組成物は、その中に含まれる(1)チオピリジノン化合物の増強された安定性を示すことができる。
【0036】
換言すると、本発明による組成物は、その中の(1)チオピリジノン化合物の安定性を増強させることができる。(1)チオピリジノン化合物の「安定性」という用語は、特定の期間の間の、本発明による組成物中の(1)チオピリジノン化合物の量における変化によって決定することができる。増強された「安定性」とは、(1)チオピリジノン化合物の量における経時的な変化が更に限定されることを意味する。
【0037】
本発明による組成物は、組成物が55℃等の高温下で比較的長期間(例えば、2週間)維持されるときでも、その中の(1)チオピリジノン化合物の増強された安定性を示すことができる。
【0038】
したがって、本発明による組成物は、高温条件下でも、長期間にわたって保存することができる。
【0039】
加えて、(1)チオピリジノン化合物の増強された安定性は、(1)チオピリジノン化合物の改善又は強化されたバイオアベイラビリティにつながり得、脱色剤又は美白剤として機能することができる。したがって、本発明による組成物は、強化又は改善された脱色又は美白効果をもたらすことができる。
【0040】
以下に、本発明による組成物、使用等を詳細に説明する。
【0041】
[組成物]
本発明による組成物は:
(1)少なくとも1種のチオピリジノン化合物、及び
(2)少なくとも1種の親油性抗酸化剤
を含む。
【0042】
(1)チオピリジノン化合物、及び(2)親油性抗酸化剤、並びに本発明による組成物の他の特徴を、以下に説明する。
【0043】
(チオピリジノン化合物)
本発明による組成物は、(1)少なくとも1種のチオピリジノン化合物を含む。2種以上の(1)チオピリジノン化合物を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの(1)チオピリジノン化合物、又は異なるタイプの(1)チオピリジノン化合物の組合せを使用することができる。
【0044】
(1)チオピリジノン化合物は、以下の式(I)の化合物、以下の式(I')の互変異性体:
【0045】
【0046】
(式中、
R1は、
a)水素原子、並びに
b)同一であっても異なっていてもよい、
i)-O-R3及び
ii)-S-R3
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている飽和の直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基
から選択される基を示し、
R2は、
a)水素原子と、
b)同一であっても異なっていてもよい、
i)-O-R3、
ii)-S-R3、
iii)-C(O)-O-R3、並びに
iv)1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている飽和の直鎖状C1~C12又は分枝状C3~C12又は環状C3~C8炭化水素基と、
c)1つ以上のヒドロキシル及び/又は1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基と
から選択される基を示し、
ここで、
R3は、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基
から選択される基を示す)
これらの塩、これらの水和物等の溶媒和物、これらの光学異性体、これらのラセミ体、及びこれらの混合物
から選択される。
【0047】
本発明の目的では、別段指定されない限り、以下の通りである:
- 「飽和の直鎖状C1~C12又は分枝状C3~C12」炭化水素基は、飽和の直鎖状C1~C12又は分枝状C3~C12炭化水素系基、好ましくは直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10炭化水素系基、より好ましくは直鎖状C1~C6又は分枝状C3~C6炭化水素系基に対応する「直鎖状(C1~C12)アルキル又は分枝状(C3~C12)アルキル基」と同等である。優先的には、直鎖状又は分枝状の基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル及びtert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル並びにデシルから選択することができる。より優先的には、飽和の直鎖状又は分枝状アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル及びtert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル並びにオクチル、例えばメチル、エチル、n-ペンチル、n-ノニル、イソブチルから選択することができる。
- 飽和「環状C3~C8」炭化水素基は、3~8個の炭素原子を含有する単環式又は二環式シクロアルキル基であり、特にC5~C7中の単環式シクロアルキル基、例えばシクロヘキシル基である。
- 「アルコキシ基」は、アルキル基が直鎖状又は分枝状C1~C16、優先的にはC1~C8炭化水素系基である、アルキルオキシ基である。
- アルコキシ基が任意選択により置換されているとき、これは、アルキル基が上記の通りに任意選択により置換されていることを示唆する。
- 「アリール」基は、5~12個の炭素原子、好ましくは6~10個の炭素原子を含み、少なくとも1つの環が芳香族であり、優先的にはアリール基がフェニル、ビフェニル、ナフチル、より好ましくはフェニル基である、溶融又は非溶融の単環式又は二環式炭素系基を表す。
- 用語「少なくとも1つ(種)の」は、用語「1つ(種)以上の」と同義である。
- 濃度範囲に関する用語「両端を含む」とは、該範囲の限界値が所定の範囲内に含まれることを意味する。
【0048】
下記の式(I)、(I')、(II)、又は(II')の化合物の塩には、前記化合物の従来型の非毒性塩、例えば有機酸若しくは無機酸から又は有機塩基若しくは無機塩基から形成されるものが挙げられる。
【0049】
式(I)、(I')、(II)、又は(II')の化合物の塩として:
式(I)又は(II)の化合物を、
- 例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、水酸化リチウム、及び炭酸ナトリウム、炭酸カリウム若しくは炭酸カルシウム又は炭酸水素塩等の無機塩基、
或いは
- 第一級、第二級、又は第三級アルキルアミン、例えばトリエチルアミン又はブチルアミン等の有機塩基
に添加することによって得られる塩を挙げることができる。第一級、第二級、又は第三級アルキルアミンは、1個以上の窒素及び/又は酸素原子を含んでもよく、したがって、例えば1つ以上のアルコール官能基を含んでもよい。特に、2-アミノ-2-メチルプロパノール、エタノールアミン、トリエタノールアミン、2-ジメチルアミノプロパノール、2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール及び3-(ジメチルアミノ)プロピルアミンを挙げることができる。
【0050】
また、アミノ酸、例としてはリジン、アルギニン、グアニジン、グルタミン酸及びアスパラギン酸の塩も挙げることができる。有利には、式(I)又は(II)の化合物(それがカルボキシ基を含むとき)の塩は、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩から、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩又はマグネシウム塩、及びアンモニウム塩から選択することができる。
【0051】
「有機酸塩又は無機酸塩」として、より特定的には、i)塩酸HCl、ii)臭化水素酸HBr、iii)硫酸H2SO4、iv)アルキルスルホン酸: Alk-S(O)2OH、例えばメタンスルホン酸及びエタンスルホン酸、v)アリールスルホン酸: Ar-S(O)2OH、例えばベンゼンスルホン酸及びトルエンスルホン酸、vi)クエン酸、vii)コハク酸、viii)酒石酸、ix)乳酸、x)アルコキシスルフィン酸: Alk-O-S(O)OH、例えばメトキシスルフィン酸及びエトキシスルフィン酸、xi)アリールオキシスルフィン酸、例えばトルエンオキシスルフィン酸及びフェノキシスルフィン酸、xii)リン酸H3PO4、xiii)酢酸CH3C(O)OH、xiv)トリフルオロメタンスルホン酸CF3SO3H、並びにxv)テトラフルオロホウ酸HBF4
から誘導される塩から選択される塩から選択される。
【0052】
本明細書に記載される化合物の許容される溶媒和物は、溶媒が存在する結果として前記化合物の調製中に形成されるもの等の従来型の溶媒和物を含む。例えば、水、又は直鎖状若しくは分枝状のアルコール(例えばエタノール若しくはイソプロパノール)の存在に起因する溶媒和物を挙げることができる。
【0053】
光学異性体は、特に、エナンチオマー及びジアステレオ異性体である。
【0054】
化合物(I')は、以下のスキームに従って互変異性平衡が存在するとき、化合物(I)の互変異性体の形態である。
【0055】
【0056】
本発明の一実施形態によれば、R1は、1個の水素原子を表す。
【0057】
本発明の別の実施形態によれば、R1は、直鎖状(C1~C10)アルキル基又は分枝状(C3~C10)アルキル基、特に直鎖状(C1~C6)アルキル基又は分枝状(C3~C6)アルキル基、例えばメチル、エチル、n-ペンチル、n-ノニル、イソブチル、より好ましくはエチルを表す。特に、R1の前記アルキル基は置換されていない。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、R2は、1個の水素原子を表す。
【0059】
本発明の別の実施形態によれば、R2は、直鎖状(C1~C10)アルキル基又は分枝状(C3~C10)アルキル基、特に直鎖状(C1~C6)アルキル基又は分枝状(C3~C6)アルキル基、例えばメチル、エチル、n-ペンチル、n-ノニル、イソブチル、より好ましくはメチル又はエチル基を表し、R2の前記アルキル基は置換されていない。
【0060】
本発明の別の実施形態によれば、R2は、直鎖状(C1~C10)アルキル基又は分枝状(C3~C10)アルキル基、特に直鎖状(C1~C6)アルキル基又は分枝状(C3~C6)アルキル基、例えばメチル、エチル、n-ペンチル、n-ノニル、イソブチル、より好ましくはメチル又はエチルを表し、前記アルキル基は、上記のi)、ii)、iii)及びiv)から選択される1つ以上の基で置換されている。好ましくは、前記アルキル基は、i)、ii)、及びiii)から選択される1つ又は2つの基で、より好ましくはi)及びiii)から選択される1つ又は2つの基で、より良好にはカルボキシとして1つの基iii)で置換されている。
【0061】
R2基の別の変形形態は、前記アルキル基が、1つの基iv)で、特に1つのフェニル基で置換されているものである。
【0062】
本発明の別の実施形態によれば、R2は、(C3~C8)シクロアルキル基、好ましくは(C5~C7)シクロアルキル基、例えばシクロヘキシルを表す。
【0063】
本発明の別の実施形態によれば、R2は、1つ以上のヒドロキシル及び/又は1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基、好ましくは、特に置換されていないフェニル基を表す。
【0064】
一実施形態によれば、R3は水素原子を表す。
【0065】
別の実施形態によれば、R3は、飽和の直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基、特に直鎖状(C1~C6)アルキル基又は分枝状(C3~C6)アルキル基、好ましくは(C1~C4)アルキル基、例えばメチル基を表す。
【0066】
好ましくは、単独又は混合物としての、式(I)の化合物並びに互変異性体(I')又はこれらの塩、これらの光学異性体、ラセミ体、及び/若しくはこれらの水和物等の溶媒和物は、以下の意味を有する:
R1は、
a)水素原子、並びに
b)同一であっても異なっていてもよい、
i)-O-R3及び
ii)-S-R3、
好ましくは1つ以上の基i)で任意選択により置換されている-S-R3
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている飽和の直鎖状C1~C6又は分枝状C3~C6アルキル基
から選択される基を示し、
R2は、
a)水素原子、
b)同一であっても異なっていてもよい、
i)-O-R3、
ii)-S-R3、
iii)-C(O)-O-R3、並びに
iv)1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC1~C4アルコキシ基(メトキシ基等)で任意選択により置換されているフェニル基、
好ましくはi)及びiii)から選択される1つ以上の基、好ましくはカルボキシ等のiii)で置換されているフェニル基
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている飽和の直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10又は環状C3~C8(C5~C6等)炭化水素基
から選択される基を示し、
R3は、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C1~C6又は分枝状C3~C6アルキル基
から選択される基を示す。
【0067】
優先的には、単独又は混合物としての、式(I)の化合物並びに互変異性体(I')又はこれらの塩、これらの光学異性体、ラセミ体、及び/若しくはこれらの水和物等の溶媒和物
は、以下の意味を有する:
R1は、
a)水素原子、及び
b)同一であっても異なっていてもよい、i)-OR3から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、より好ましくは置換されていない、飽和の直鎖状C1~C4又は分枝状C3~C4アルキル基
から選択される基を示し、
R2は、
a)水素原子、並びに
b)同一であっても異なっていてもよい、
i)-O-R3、
iii)-C(O)-O-R3、
iv)1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC1~C4アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている飽和の直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10又は環状C3~C8(C5~C6等の)炭化水素基
から選択される基を示し、
R3は、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C1~C4又は分枝状C3~C4アルキル基、例えばメチル又はエチル
から選択される基を示す。
【0068】
優先的には、単独又は混合物としての、式(I)の化合物並びに互変異性体(I')又はこれらの塩、これらの光学異性体、ラセミ体、及び/若しくはこれらの水和物等の溶媒和物
は、以下の意味を有する:
R1は水素原子であり、
R2は、
a)水素原子、及び
b)同一であっても異なっていてもよい、v)-C(O)-O-R3から選択される1つ以上の基で、好ましくは1つの基iii)-C(O)-O-R3で置換されている、飽和の直鎖状C1~C5又は分枝状C3~C5又は環状C3~C8(C5~C6等の)炭化水素基から選択される基を示し、R2は、更により好ましくは、1つの基iii)-C(O)-OR3で置換されている飽和の直鎖状C1~C4又は分枝状C3~C4炭化水素基であり、
R3は、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C1~C4又は分枝状C3~C4アルキル基、例えばメチル又はエチル
から選択される基を示す。
【0069】
別の好ましい実施形態によれば、式(I)の化合物及び互変異性体(I')は、単独又は混合物としての、以下の式(II)の化合物及び更には以下の式(II')の互変異性体、これらの塩、これらの溶媒和物及びこれらの光学異性体、並びにこれらのラセミ体の中から選択される。
【0070】
【0071】
式(II)及び(II')中のR1及びR3は、式(I)及び(I')の化合物中のR1及びR3と同じ意味を有し、Xはアルキレン基-(CH2)n-を示し、ここで、nは1~10の両端を含めた範囲、好ましくは1~6の範囲、より好ましくは1~4の範囲、例えば1の整数であり、好ましくは、R3は水素原子を表す。
【0072】
式(I)の化合物の中でも、単独又は混合物としての、以下の化合物並びにこれらの互変異性体又はこれらの塩、これらの光学異性体、ラセミ体、及び/若しくはこれらの水和物等の溶媒和物が使用されることが好ましい。
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
これらの化合物のうち、以下の化合物が、より特定的に好ましい。
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
より好ましくは、これらの化合物のうち、以下の化合物が、より特定的に好ましい。
【0082】
【0083】
【0084】
更により好ましくは、これらの化合物のうち、以下の化合物が、より特定的に好ましい。
【0085】
【0086】
最も好ましい実施形態において、本発明による化合物は、以下である。
【0087】
【0088】
上記の全化合物は、当業者に公知の化学的方法によって、市販の試薬から得ることができる。
【0089】
(1)チオピリジノン化合物は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるEP-A-3390363又はWO2017/102349に記載の方法に従って調製することができる。
【0090】
(1)チオピリジノン化合物は、化粧品又は皮膚科用製品中の活性成分又は活性化合物であってもよい。本明細書で使用される「活性」成分又は化合物という用語は、抗酸化効果、美白効果、UV遮蔽効果及び抗菌効果等の、化粧又は皮膚科の活性特性を有する成分又は化合物を意味する。本発明で使用される(1)チオピリジノン化合物は、脱色剤、漂白剤又は美白剤として機能することができ、したがって、本発明による組成物は、美白製品として、又はケラチン物質を美白するための化粧用組成物として使用することができる。
【0091】
(1)チオピリジノン化合物は、特に色素沈着又は老化性色素斑(senescence spots)を除去するために及び/又は日焼け防止剤として、皮膚、体毛、睫毛又は毛髪、更には唇及び/又は爪、好ましくは皮膚を脱色、漂白又は美白するための作用剤として使用することができる。
【0092】
本発明による組成物中の(1)チオピリジノン化合物の量は、組成物の総重量に対して、0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上でありうる。
【0093】
その一方で、本発明による組成物中の(1)チオピリジノン化合物の量は、組成物の総重量に対して、10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下でありうる。
【0094】
本発明による組成物中の(1)チオピリジノン化合物の量は、組成物の総重量に対して、0.01重量%~10重量%、好ましくは0.05重量%~5重量%、より好ましくは0.1重量%~3重量%の範囲でありうる。
【0095】
(親油性抗酸化剤)
本発明による組成物は、(2)少なくとも1種の親油性抗酸化剤を含む。2種以上の親油性抗酸化剤を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの親油性抗酸化剤、又は異なるタイプの親油性抗酸化剤の組合せを使用することができる。
【0096】
本発明によれば、抗酸化剤は、酸化を抑制又は低減することができる化合物である。抗酸化剤は、一重項酸素等の活性酸素種、ヒドロキシル基、スーパーオキシドアニオン基、過酸化水素を捕捉又は除去することができる。
【0097】
抗酸化剤は、皮膚内に存在しうる様々なラジカルの形態を捕獲することができる。
【0098】
(2)親油性抗酸化剤は、(1)チオピリジノン化合物とは異なる。
【0099】
還元剤は、(2)親油性抗酸化剤として使用してもよい。
【0100】
(2)親油性抗酸化剤は、本明細書において、n-ブタノールと水との間の抗酸化剤の分配係数が、>1、より好ましくは>10、より一層好ましくは>100であることを意味する。
【0101】
(2)親油性抗酸化剤は疎水性であり、アスコルビン酸又はグルタチオン等の親水性抗酸化剤ではない。
【0102】
(2)親油性抗酸化剤として、分子内にヒンダードフェノール構造又はセミヒンダードフェノール構造を有するフェノール性抗酸化剤を挙げることができる。このような化合物の具体例として、
テトラ-ジ-t-ブチルヒドロキシヒドロケイ皮酸ペンタエリスリチルのINCI名を有する3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、3-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、モノ-又はジ-又はトリ-(α-メチルベンジル)フェノール、2,2'-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4'-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、トリス[N-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)]イソシアヌレート、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、ブチリデン-1,1ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナト]メタン、トリエチレングリコールビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、3,9-ビス{2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2-チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナミド)、1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5-トリス[(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-キシリル)メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-tert-ブチル-6-(3'-tert-ブチル-5'-メチル-2'-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニルアクリレート、4,6-ビス[(オクチルチオ)メチル]-o-クレゾール、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート及び1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を挙げることができる。
【0103】
(2)親油性抗酸化剤としては、BHA(ブチル化ヒドロキシルアニソール=2-tert-ブチル-4-メトキシフェノール及び/又は3-tert-ブチル-4-メトキシフェノール)並びにBHT(ブチル化ヒドロキシルトルエン=ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン)も挙げることができる。
【0104】
(2)親油性抗酸化剤としては、ビタミンE(又はトコフェロール及びトコトリエノール)及びその誘導体、例えば酢酸トコフェロールも挙げることができる。
【0105】
(2)親油性抗酸化剤としては、ジフェニルアクリレート、好ましくは以下の一般式:
【0106】
【0107】
(式中、
R1及びR2の片方又は両方は、独立して、直鎖又は分枝鎖C1~30アルコキシ基であり、任意の非アルコキシR1又はR2基は水素であり、
R3は、直鎖又は分岐鎖のC1~30アルキルである)
によって表されうるα-シアノジフェニルアクリレートも挙げることができる。
【0108】
或いは、R1及びR2の片方又は両方は、独立して、C1~8アルコキシ基であり、任意の非アルコキシR1又はR2基は水素であり、R3は、直鎖又は分岐鎖のC2~20アルキルである。
【0109】
或いは、R1及びR2の片方又は両方は、独立してメトキシであり、任意の非メトキシR1又はR2は水素であり、R3は、直鎖又は分岐鎖のC2~20アルキルである。
【0110】
好適なα-シアノジフェニルアクリレートは、エチルヘキシルメトキシクリレン、又は2-シアノ-3-(4-メトキシフェニル)-3-フェニルプロペン酸2-エチルヘキシルであり、ここで、R1はメトキシであり、R2は水素であり、R3は2-エチルヘキシルである。
【0111】
(2)親油性抗酸化剤として、フェルラ酸及びその誘導体(エステル、塩等)も挙げることができる。特に、フェルラ酸とC1~C30アルコールとのエステル、特にフェルラ酸メチル、フェルラ酸エチル、フェルラ酸イソプロピル、及びフェルラ酸オクチル、並びにオリザノール、特にγ-オリザノール、例えばオリザノール-A、オリザノール-C及びフェルラ酸カンペステリルを挙げることができる。
【0112】
(2)親油性抗酸化剤として、非フェノール性抗酸化剤を挙げることができる。例えば、少なくとも1個の硫黄原子を含む硫黄含有非フェノール性化合物、特にチオジプロピオン酸及びその誘導体(エステル、塩等)、例えばチオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル及びチオジプロピオン酸ジステアリルを挙げることができる。
【0113】
(2)親油性抗酸化剤は、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、エチルヘキシルメトキシクリレン、酢酸トコフェロール、オリザノール、テトラ-ジ-t-ブチルヒドロキシヒドロケイヒ酸ペンタエリスリチル、チオプロピオン酸ジラウリル、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0114】
本発明による組成物中の(2)親油性抗酸化剤の量は、組成物の総重量に対して、0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上でありうる。
【0115】
その一方で、本発明による組成物中の(2)親油性抗酸化剤の量は、組成物の総重量に対して、10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下でありうる。
【0116】
本発明による組成物中の(2)親油性抗酸化剤の量は、組成物の総重量に対して、0.01重量%~10重量%、好ましくは0.05重量%~5重量%、より好ましくは0.1重量%~3重量%の範囲でありうる。
【0117】
本発明による組成物中の、(2)親油性抗酸化剤の量に対する(1)チオピリジノン化合物の量の重量比は、0.1以上、好ましくは0.4以上、より好ましくは0.6以上であってもよい。
【0118】
その一方で、本発明による組成物中の、(2)親油性抗酸化剤の量に対する(1)チオピリジノン化合物の量の重量比は、4以下、好ましくは3以下、より好ましくは2以下であってもよい。
【0119】
本発明による組成物中の、(2)親油性抗酸化剤の量に対する(1)チオピリジノン化合物の量の重量比は、0.1~4、好ましくは0.4~3、より好ましくは0.6~2の範囲であってもよい。
【0120】
(pH調節剤)
本発明による組成物は、(3)少なくとも1種のpH調節剤(pHアジャスター)を含んでもよい。2種以上のpH調節剤を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一タイプのpH調節剤、又は異なるタイプのpH調節剤の組合せを使用してもよい。
【0121】
(3)pH調節剤として、少なくとも1種の酸性化剤及び/又は少なくとも1種の塩基性化剤(アルカリ剤)を使用してもよい。
【0122】
酸性化剤は、一価又は多価、例えば二価の酸であってもよい。
【0123】
酸性化剤は、例えば、鉱酸(無機酸)、例えば塩酸、硫酸、リン酸、又は有機酸、例えばカルボン酸、例としては酒石酸、クエン酸及び乳酸、及びスルホン酸であってもよい。
【0124】
塩基性化剤は、一価又は多価、例えば二価の塩基であってもよい。
【0125】
塩基性化剤は、鉱物(無機)若しくは有機又は混成物でありうる。
【0126】
無機塩基性化剤は、水性アンモニア、アルカリ金属炭酸塩又は重炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム又は炭酸カリウム及び重炭酸ナトリウム又は重炭酸カリウム、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、並びにこれらの混合物から選択されうる。
【0127】
有機塩基性化剤は、25℃で12未満、好ましくは10未満、更により有利には6未満のpKbを有する有機アミンから選択されうる。これは、最も高い塩基度の機能に相当するpKbであることに留意すべきである。加えて、有機アミンは、10個を超える炭素原子を含む任意のアルキル又はアルケニル脂肪鎖を含まない。
【0128】
有機塩基性化剤は、例えば、アルカノールアミン、オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化エチレンジアミン、アミノ酸、並びに以下の式(III)のアミン化合物:
【0129】
【0130】
(式中、
Wは、1つ以上のヒドロキシル基又はC1~C6アルキル基で任意選択により置換され、O及びN等の1個以上のヘテロ原子で任意選択により中断されているC1~C6二価アルキレン基を表し、
Rx、Ry、Rz、及びRtは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はC1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、若しくはC1~C6アミノアルキル基を表す)
から選択することができる。
【0131】
列挙できる式(III)のアミン化合物の例には、1,3-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、スペルミン及びスペルミジンが含まれる。
【0132】
用語「アルカノールアミン」は、第一級、第二級又は第三級アミン官能基と、1つ以上のヒドロキシル基を有する1つ以上の直鎖状又は分枝状のC1~C8アルキル基とを含む有機アミンを意味する。
【0133】
同一である又は異なる1つから3つのC1~C4ヒドロキシアルキル基を含む、モノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン又はトリアルカノールアミン等のアルカノールアミンは、本発明に適しうる。この種の化合物の中では、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-ジメチルアミノエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、3-ジメチルアミノ-1,2-プロパンジオール及びトリス(ヒドロキシメチルアミノ)メタンを挙げることができる。
【0134】
使用されうるアミノ酸は、それらのL体、D体、又はラセミ体にある、天然起源又は合成起源のものであり、より特定するとカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸又はリン酸の各官能基から選択される少なくとも1つの酸官能基を含む。アミノ酸は、中性型でもイオン型でもよい。
【0135】
本発明において使用されうるアミノ酸として特に挙げることができるのは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、アルギニン、オルニチン、シトルリン、アスパラギン、カルニチン、システイン、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、リジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、N-フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンである。
【0136】
アミノ酸は、任意選択により環又はウレイド官能基中に含まれる追加のアミン官能基を含む塩基性アミノ酸であることが好ましいことがある。
【0137】
こうした塩基性アミノ酸は、好ましくは、以下の式(IV):
【0138】
【0139】
(式中、
Rは、
【0140】
【0141】
-(CH2)3-NH2、
-(CH2)2-NH2、
-(CH2)2-NH-CO-NH2、及び
【0142】
【0143】
から選択される基を表す)
に相当するものから選択することができる。
【0144】
式(IV)に対応する化合物としては、ヒスチジン、リジン、アルギニン、オルニチン及びシトルリンが挙げられる。
【0145】
有機塩基性化剤は、複素環型の有機アミンから選択することができる。アミノ酸において既に言及したヒスチジンに加えて、特に、ピリジン、ピペリジン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール及びベンズイミダゾールを挙げることができる。
【0146】
有機塩基性化剤は、アミノ酸ジペプチドから選択することもできる。本発明で使用できるアミノ酸のジペプチドとして、特にカルノシン、アンセリン及びバレニン(baleine)を挙げることができる。
【0147】
有機塩基性化剤は、グアニジン官能基を含む化合物から選択することもできる。本発明で使用できるこのタイプのアミンとして、アミノ酸として既に言及したアルギニンに加えて、特に、クレアチン、クレアチニン、1,1-ジメチルグアニジン、1,1-ジエチルグアニジン、グリコシアミン、メトホルミン、アグマチン、N-アミジノアラニン、3-グアニジノプロピオン酸、4-グアニジノ酪酸及び2-([アミノ(イミノ)メチル]アミノ)エタン-1-スルホン酸を挙げることができる。
【0148】
本発明の好ましい実施形態において、有機塩基性化剤は、アミノ酸、好ましくは塩基性アミノ酸、より好ましくはアルギニン、リジン、ヒスチジン、又はこれらの混合物から選択することができる。更により優先的には、有機塩基性化剤は、アルギニンであってもよい。
【0149】
挙げることができるハイブリッド化合物には、炭酸又は塩酸等の酸と前述のアミンとの塩が含まれる。特に、グアニジン炭酸塩又はモノエタノールアミン塩酸塩を使用することができる。
【0150】
(3)pH調節剤は、組成物の総重量に対して、0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上の量で存在していてもよい。
【0151】
(3)pH調節剤は、組成物の総重量に対して、15重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下の量で存在していてもよい。
【0152】
(3)pH調節剤は、組成物の総重量に対して、0.01重量%から15重量%、好ましくは0.05重量%から10重量%、より好ましくは0.1重量%から5重量%の範囲の量で存在していてもよい。
【0153】
本発明による組成物は、4.5以上、より好ましくは5以上のpHを有することが好ましい。
【0154】
本発明による組成物は、6.5以下、より好ましくは6以下のpHを有することが好ましい。
【0155】
本発明による組成物は、4.5から6.5、より好ましくは5から6のpHを有することが好ましい。
【0156】
組成物のpHは、本発明による組成物の水性相のpHを意味する。pHは、JIS Z 8802(2011)に従って測定することができる。
【0157】
本発明による組成物のpHを安定化させるために、少なくとも1種のバッファー又は緩衝剤も、(3)pH調節剤として、酸性化剤及び/又は塩基性化剤と組み合わせて使用されることが好ましい場合がある。
【0158】
バッファーとして、一般に知られるバッファーのいずれかを使用してよい。例えば、酸又は塩基の塩、好ましくは弱酸又は弱塩基の塩を使用してもよい。例えば、クエン酸又は乳酸が酸性化剤として使用される場合、クエン酸ナトリウム又は乳酸ナトリウムをバッファーとして使用してもよい。
【0159】
(水)
本発明による組成物は、(4)水を含んでもよい。
【0160】
本発明による組成物中の(4)水の量は、組成物の総重量に対して、30重量%以上、好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上であってもよい。
【0161】
その一方で、本発明による組成物中の(4)水の量は、組成物の総重量に対して、99重量%以下、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下であってもよい。
【0162】
本発明による組成物中の(4)水の量は、組成物の総重量に対して、30重量%~99重量%、好ましくは35重量%~95重量%、より好ましくは40質重量%~90重量%であってもよい。
【0163】
(他の任意選択の添加剤)
本発明による組成物はまた、例えば、溶媒、キレート剤、成分(1)以外の美容活性剤、例えば油、防腐剤、及びこれらの混合物から選択される、化粧品分野において通常使用される他の任意選択の添加剤のいずれかも含んでよい。
【0164】
本発明による組成物中に存在しうる上記の任意選択の添加剤の性質及び量を、所望の美容特性が該添加剤によって影響を受けないように調節することは、当業者にとって常法である。
【0165】
溶媒としては、1種又は数種の化粧品として許容される有機溶媒を挙げることができ、これらは、アルコール、特に一価アルコール、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコール;ジオール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、及びブチレングリコール;他のポリオール、例えばグリセロール、糖及び糖アルコール;並びにエーテル、例えばエチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、並びにブチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテルであってもよい。
【0166】
有機溶媒は、組成物の総重量に対して、0.01重量%~30重量%、好ましくは0.1重量%~20重量%、より好ましくは1重量%~10重量%の濃度で存在しうる。
【0167】
[調製]
本発明による組成物は、上に記載した必須成分と任意選択の成分とを従来の方法で混合して調製することができる。
【0168】
例えば、本発明による組成物は、
(1)少なくとも1種のチオピリジノン化合物、及び
(2)少なくとも1種の親油性抗酸化剤
を混合する工程を含む方法によって調製することができる。
【0169】
任意選択の成分のいずれかを更に混合することが可能である。
【0170】
混合は、室温(例えば20~25℃、好ましくは25℃)、好ましくは30℃以上の温度、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上等の任意の温度で実施することができる。pH調節剤等の上記の任意選択の成分のいずれかと更に混合することが好ましい。
【0171】
本発明による組成物の形態は、特に限定されず、W/Oエマルション、O/Wエマルション、ゲル、溶液等の様々な形態を取ってよい。本発明による組成物が、エマルション、好ましくはO/Wエマルション、より好ましくはO/Wゲルエマルションの形態であることが好ましい。
【0172】
[美容方法]
本発明による組成物は、化粧用又は皮膚科用組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくはケラチン物質のための化粧用組成物として使用することができる。ケラチン物質としては、皮膚、頭皮、毛髪、唇等の粘膜、及び爪を挙げることができる。
【0173】
本発明による組成物は、皮膚等のケラチン物質のための脱色、漂白又は美白製品として使用することができる。特に、本発明による組成物は、美白製品として使用することができる。
【0174】
本発明による組成物は、好ましくは、皮膚、頭皮、及び/又は唇等のケラチン物質、好ましくは皮膚への適用を目的としうる。
【0175】
したがって、本発明による組成物は、ケラチン物質、好ましくは皮膚のための美容方法に使用することができる。一実施形態では、本発明は、ケラチン物質、好ましくは皮膚のための、美容方法、好ましくは美白方法であって、本発明による組成物をケラチン物質へ適用する工程を含む方法に関する。
【0176】
本発明による組成物は、ローション、乳液、クリーム、ジェル、ペースト、セラム、泡状物質又はスプレーの形態の局所用の化粧用組成物として使用することができる。
【0177】
[使用]
本発明はまた、(1)以下の式(I)の化合物、以下の式(I')の互変異性体:
【0178】
【0179】
(式中、
R1は、
a)水素原子、並びに
b)同一であっても異なっていてもよい、
i)-O-R3及び
ii)-S-R3
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている飽和の直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基
から選択される基を示し、
R2は、
a)水素原子と、
b)同一であっても異なっていてもよい、
i)-O-R3、
ii)-S-R3、
iii)-C(O)-O-R3、並びに
iv)1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている飽和の直鎖状C1~C12又は分枝状C3~C12又は環状C3~C8炭化水素基と、
c)1つ以上のヒドロキシル及び/又は1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基と
から選択される基を示し、
ここで、
R3は、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基
から選択される基を示す)
これらの塩、これらの水和物等の溶媒和物、これらの光学異性体、これらのラセミ体、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物を含む組成物中での、(2)少なくとも1種の親油性抗酸化剤の使用であって、
(1)化合物を安定化させるための使用にも関する。
【0180】
用語「安定化させる」とは、安定性を増強することと同じ意味を有する。
【0181】
本発明による使用は、(1)チオピリジノン化合物を含む組成物中の(1)チオピリジノン化合物の安定性を増強させることができる。
【0182】
したがって、本発明による使用は、特に高温条件下でも、(1)チオピリジノン化合物を含む組成物を長期間貯蔵することを可能にできる。
【0183】
本発明による組成物のための(1)チオピリジノン化合物及び(2)親油性抗酸化剤に関する上記説明はまた、本発明による使用において用いられるものにも該当しうる。
【0184】
本発明による使用における組成物は、本発明による組成物に関して上で説明された任意選択の成分のいずれかを含むことができる。
【実施例0185】
本発明は、実施例によって、より詳細な方法で記載されることになる。しかしながら、これらの実施例が本発明の範囲を限定するものとは解釈すべきでない。
【0186】
(実施例1~6及び比較例1)
[調製]
実施例1~6及び比較例1による組成物のそれぞれを、表1に示す成分を混合して調製した。成分の量についての数値は全て、活性材料としての「重量%」に基づく。
【0187】
【0188】
【0189】
N-[(2-チオキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)カルボニル]グリシン(2-メルカプトニコチノイルグリシン):化合物20
【0190】
[評価]
(チオピリジノン化合物の残留率)
実施例1~6及び比較例1による各組成物中のチオピリジノンの量は、以下のタイミングでHPLC-UVアッセイによって決定した。
タイミング(1) 組成物を調製した直後(T0)
タイミング(2) 組成物を密封及び遮光した容器中に55℃で維持して、調製から2週間後
【0191】
HPLC-UVアッセイの詳細は以下の通りである。
【0192】
装置/試薬
【0193】
【0194】
HPLC条件
【0195】
【0196】
チオピリジノン化合物の残留率を、以下の式によって決定した。
チオピリジノン化合物の残留率(%)=タイミング(2)でのチオピリジノン化合物の量/タイミング(1)でのチオピリジノン化合物の量
【0197】
結果を、以下の表2中の「チオピリジノン化合物の残留率(%)」の行に示す。
【0198】
また、チオピリジノン化合物の残留率を、以下の判定基準に従って分類した。
非常に良好: 90%以上
良好:85%超から90%未満
不良:85%以下
【0199】
結果を、以下の表2中の「安定性」の行に示す。
【0200】
【0201】
(結果)
それぞれ、チオピリジノン化合物及び様々な親油性抗酸化剤を含んでいた実施例1~6による組成物は、親油性抗酸化剤を一切含んでいなかった比較例1による組成物と比較して、高温下でも、より多くの量のチオピリジノン化合物が残留したほど、より安定性だった。