(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076821
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】把持装置
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20240530BHJP
【FI】
B25J15/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188604
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】藤村 研介
(72)【発明者】
【氏名】菅原 道人
(72)【発明者】
【氏名】福永 二三佳
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707CY36
3C707ES03
3C707ET08
3C707HS27
3C707HT21
3C707HT23
(57)【要約】
【課題】低背化した把持装置を提供する。
【解決手段】第1爪部と第2爪部との間の第1方向に沿う距離を変更する把持装置であって、前記第1方向と交差する第2方向に延びる回転軸を中心に回転するウォームギアと、前記ウォームギアとかみあわされて前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向に延びる第1シャフトを中心に回転する斜歯ギアと、前記第1シャフトに設けられる第1ガイド部材と、前記第3方向に延びる第2シャフトに設けられ、前記第1ガイド部材に対して、前記第1方向に離れて設けられる第2ガイド部材と、斜歯ラック及び第1縦板部を有する第1移動部と、を備え、前記斜歯ラックは、前記斜歯ギアとかみあわされ、前記第1縦板部は、前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材が、前記第1方向に沿って相対的に移動可能に挿入される挿入部を少なくとも1つ有する把持装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1爪部と第2爪部との間の第1方向に沿う距離を変更する把持装置であって、
前記第1方向と交差する第2方向に延びる回転軸を中心に回転するウォームギアと、
前記ウォームギアとかみあわされて前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向に延びる第1シャフトを中心に回転する斜歯ギアと、
前記第1シャフトに設けられる第1ガイド部材と、
前記第3方向に延びる第2シャフトに設けられ、前記第1ガイド部材に対して、前記第1方向に離れて設けられる第2ガイド部材と、
斜歯ラック及び第1縦板部を有する第1移動部と、
を備え、
前記斜歯ラックは、
前記斜歯ギアとかみあわされ、
前記第1縦板部は、
前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材が、前記第1方向に沿って相対的に移動可能に挿入される挿入部を少なくとも1つ有する、
把持装置。
【請求項2】
前記挿入部は、前記第1ガイド部材が挿入される第1挿入部と、前記第2ガイド部材が挿入される第2挿入部と、を有する。
請求項1に記載の把持装置。
【請求項3】
前記第1挿入部は、前記第1ガイド部材が挿入される第1貫通孔を有し、
前記第2挿入部は、前記第2ガイド部材が挿入される第2貫通孔を有する、
請求項2に記載の把持装置。
【請求項4】
前記第1ガイド部材は、前記第1シャフトを中心に回転する第1ベアリングであり、
前記第2ガイド部材は、前記第2シャフトを中心に回転する第2ベアリングである、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の把持装置。
【請求項5】
前記第2爪部と連動して前記第1方向に移動する第2移動部を更に備える、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の把持装置。
【請求項6】
筐体を更に備え、
前記筐体は、前記第1シャフトが固定される第1固定部と、前記第2シャフトが固定される第2固定部と、を備える、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の把持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、脱炭素化の影響で省エネ、脱エアへの要求が高まりつつある。空気式把持装置では不可能な精密把持や省スペース化を要求される工程があることから、空気式把持装置に置き換わる安価で小型な電動把持装置(電動グリッパ)が求められている。
【0003】
特許文献1には、接続ピンを、一対のツメから成る開閉可能なハンドにより挟持して挿抜する接続ピン挿抜機構が開示されている。特許文献1には、ハンドの一方のツメに係合した第1のラックと、ハンドの他方のツメに係合した第2のラックと、第1のラックおよび第2のラックと歯合するピニオンと、ピニオンを駆動する駆動手段とから成るハンド開閉機構が開示されている。特許文献1には、ハンド開閉機構が、ピニオンを正逆方向へ回転させることにより、ハンドの開閉を行うことが開示されている。
【0004】
特許文献2には、回転力を発生させる駆動部と、回転力を伝達される減速機と、減速機の回転運動を直線運動に変換する変換部とを有する把持装置が開示されている。特許文献2には、変換部が、ラック、ピニオン及びリニアガイドを有することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-023203号公報
【特許文献2】特開2021-183360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
把持装置において、低背化することが求められている。
【0007】
本開示は、低背化した把持装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様では、第1爪部と第2爪部との間の第1方向に沿う距離を変更する把持装置であって、前記第1方向と交差する第2方向に延びる回転軸を中心に回転するウォームギアと、前記ウォームギアとかみあわされて前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向に延びる第1シャフトを中心に回転する斜歯ギアと、前記第1シャフトに設けられる第1ガイド部材と、前記第3方向に延びる第2シャフトに設けられ、前記第1ガイド部材に対して、前記第1方向に離れて設けられる第2ガイド部材と、斜歯ラック及び第1縦板部を有する第1移動部と、を備え、前記斜歯ラックは、前記斜歯ギアとかみあわされ、前記第1縦板部は、前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材が、前記第1方向に沿って相対的に移動可能に挿入される挿入部を少なくとも1つ有する把持装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本開示の把持装置によれば、低背化できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る把持装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る把持装置の正面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る把持装置の側面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る把持装置の分解斜視図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る把持装置の断面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る把持装置の断面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る把持装置が備える移動部の斜視図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る把持装置の斜視図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る把持装置の正面図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る把持装置の側面図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係る把持装置の分解斜視図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係る把持装置の断面図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係る把持装置の断面図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態に係る把持装置の斜視図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態に係る把持装置が備える移動部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の把持装置の具体例を、以下に図面を参照して説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0012】
なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の又は対応する機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する場合がある。また、理解を容易にするために、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。
【0013】
平行、直角、直交、水平、垂直、上下、左右及び前後等の方向には、実施形態の効果を損なわない程度のずれが許容される。角部の形状は、直角に限られず、丸みを帯びてもよい。平行、直角、直交、水平、垂直には、それぞれ略平行、略直角、略直交、略水平、略垂直が含まれてもよい。
【0014】
例えば、略平行は、2つの線又は2つの面が互いに完全に平行でなくても、製造上許容される範囲内で互いに平行として扱うことができることを意味する。他の略直角、略直交、略水平及び略垂直のそれぞれについても、略平行と同様に、2つの線又は面の相互の位置関係が製造上許容される範囲内であればそれぞれに該当することが意図される。
【0015】
≪第1実施形態≫
以下に示す各実施形態に係る把持装置は、第1爪部と第2爪部との間の第1方向に沿う距離を変更する把持装置である。各実施形態に係る把持装置は、第1方向と交差する第2方向に延びる回転軸を中心に回転するウォームギアと、ウォームギアとかみあわされて第1方向及び第2方向に交差する第3方向に延びる第1シャフトを中心に回転する斜歯ギアと、を備える。また、各実施形態に係る把持装置は、第1シャフトに設けられる第1ガイド部材と、第3方向に延びる第2シャフトに設けられ、第1ガイド部材に対して、第1方向に離れて設けられる第2ガイド部材と、斜歯ラック及び第1縦板部を有する第1移動部と、を備える。さらに、各実施形態に係る把持装置の斜歯ラックは、斜歯ギアとかみあわされる。また、各実施形態に係る把持装置の第1縦板部は、第1ガイド部材及び第2ガイド部材が、第1方向に沿って相対的に移動可能に挿入される挿入部を少なくとも1つ有する。
【0016】
第1実施形態に係る把持装置は、第1ガイド部材及び第2ガイド部材のそれぞれに、ベアリングを用いる。
【0017】
以下、図面を参照して、第1実施形態に係る把持装置について詳細に説明する。
図1は、第1実施形態に係る把持装置の一例である把持装置1の斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る把持装置の一例である把持装置1の正面図である。
図3は、第1実施形態に係る把持装置の一例である把持装置1の側面図である。
図4は、第1実施形態に係る把持装置の一例である把持装置1の分解斜視図である。
図5は、第1実施形態に係る把持装置の一例である把持装置1の断面図である。具体的には、
図5は、
図2におけるI-I断面図である。
図6は、第1実施形態に係る把持装置の一例である把持装置1の断面図である。具体的には、
図6は、
図3におけるII-II断面図である。
【0018】
なお、図面には、説明の便宜のため、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸(XYZ軸)からなる仮想三次元座標系(XYZ直交座標系)が設定される。例えば、図面の紙面に対して垂直な座標軸について、座標軸の丸の中に黒丸印を示す場合は紙面に対して手前側が座標軸の正の領域であることを表している。また、座標軸の丸の中にバツ印を示す場合は紙面に対して手前側が座標軸の負の領域であることを表している。
【0019】
ただし、当該座標系は、説明のために定めるものであって、本実施形態に係る把持装置等の姿勢について限定するものではない。
【0020】
なお、以下の図面では、X軸方向は第1爪部(例えば、
図1における第1爪部11)と第2爪部(例えば、
図1における第2爪部12)とが並ぶ方向とする。また、Y軸方向は第1爪部及び第2爪部のそれぞれが延びる方向とする。Z軸は、X軸及びY軸に垂直な方向とする。
【0021】
また、Z軸方向に沿って、対象を+Z側からZ軸の反対向きに見る図を正面図という。Z軸方向に沿って、対象を+Z側からZ軸の反対向きに見ることを正面視という。X軸方向に沿って、対象を+X側からX軸の反対向きに見る図を側面図という。X軸方向に沿って、対象を+X側からX軸の反対向きに見ることを側面視という。Y軸方向に沿って、対象を+Y側からY軸の反対向きに見る図を上面図という。Y軸方向に沿って、対象を+Y側からY軸の反対向きに見ることを上面視という。
【0022】
なお、正面図を基準にして、X軸方向を左右方向、Y軸方向を上下方向、Z軸方向を前後方向、という場合がある。対象に対して、+X側を右側、-X側を左側、+Y側を上側、-Y側を下側、+Z側を前側、-Z側を後側、という場合がある。
【0023】
<把持装置1>
把持装置1は、例えば、ロボットのアームの先端に取り付けられ把持対象物を把持する。具体的には、把持装置1は、第1爪部11と第2爪部12の間に把持対象物を把持する。把持装置1は、第1爪部11と第2爪部12との間のX軸方向に沿う距離Dを変更することにより把持対象物を把持する。
【0024】
把持装置1は、第1爪部11及び第2爪部12と、ウォームギア20と、斜歯ギア31及び斜歯ギア32と、移動部40及び移動部50と、ベアリング61、ベアリング62、ベアリング63及びベアリング64と、モータ70と、筐体80と、を備える。把持装置1の各要素について詳細を説明する。
【0025】
[第1爪部11及び第2爪部12]
第1爪部11及び第2爪部12は、把持対象物を把持する。第1爪部11及び第2爪部12のそれぞれは、互いに逆向きにX軸方向に移動する。
【0026】
具体的に説明すると、第1爪部11が、X軸方向に沿って、X軸の向きに移動すると、第2爪部12が、X軸方向に沿って、X軸の反対向きに移動する。第1爪部11及び第2爪部12は、それぞれ矢印Aの向きに移動する。したがって、第1爪部11と第2爪部12との間隔が狭くなる。第1爪部11と第2爪部12との間隔が狭くなると、第1爪部11と第2爪部12との間にある把持対象物は、第1爪部11と第2爪部12とにより挟まれる。把持対象物が第1爪部11と第2爪部12とにより挟まれることにより、把持装置1は、把持対象物を把持する。
【0027】
また、第1爪部11が、X軸方向に沿って、X軸の反対向きに移動すると、第2爪部12が、X軸方向に沿って、X軸の向きに移動する。第1爪部11及び第2爪部12は、それぞれ矢印Aと反対向きに移動する。したがって、第1爪部11と第2爪部12との間隔が広くなる。第1爪部11と第2爪部12との間隔が広くなると、第1爪部11と第2爪部12によって把持されている把持対象物は、第1爪部11と第2爪部12とから離される。把持対象物が第1爪部11と第2爪部12とから離されることにより、把持装置1は、把持対象物を解放する。
【0028】
なお、上記の説明では、把持装置1は、第1爪部11と第2爪部12との間に把持対象物を把持したが、例えば、環状の把持対象物の穴に第1爪部11及び第2爪部12を挿入して、第1爪部11と第2爪部12との間隔を広げて把持対象物を把持してもよい。
【0029】
第1爪部11は、ねじ11aにより、移動部40に取り付けられる。第2爪部12は、ねじ12aにより、移動部50に取り付けられる。
【0030】
[ウォームギア20]
ウォームギア20は、斜歯ギア31及び斜歯ギア32を回転させる。ウォームギア20は、モータ70の回転軸71に取り付けられる。ウォームギア20は、モータ70の回転軸71が回転すると、回転軸71を中心に回転する。ウォームギア20は、斜歯ギア31及び斜歯ギア32のそれぞれとかみあう。
【0031】
ウォームギア20と斜歯ギア31とがかみあうことにより、斜歯ギア31が回転する。また、ウォームギア20と斜歯ギア32とがかみあうことにより、斜歯ギア32が回転する。
【0032】
[斜歯ギア31及び斜歯ギア32]
斜歯ギア31及び斜歯ギア32のそれぞれは、ウォームギア20とかみあって回転する。斜歯ギア31は、筐体80に固定されたシャフト33を中心に回転する。斜歯ギア31は、シャフト33にベアリングを介して取り付けられることにより、シャフト33に対して回転できる。斜歯ギア32は、筐体80に固定されたシャフト34を中心に回転する。斜歯ギア32は、シャフト34にベアリングを介して取り付けられることにより、シャフト34に対して回転できる。
【0033】
[移動部40及び移動部50]
移動部40は、第1爪部11をX軸方向に沿って移動させる。移動部40は、第1爪部11と連動して移動する。移動部50は、第2爪部12をX軸方向に沿って移動させる。移動部50は、第2爪部12と連動して移動する。
【0034】
移動部50は、移動部40と同じ構造を有することから、移動部40について説明を行い、移動部50については移動部40の説明を参照することとして、ここでは詳細な説明を省略する。なお、移動部50は、移動部40を、Z軸方向において向きを逆にした状態で使用される。
【0035】
図7は、第1実施形態に係る把持装置の一例である把持装置1が備える移動部40の斜視図である。なお、
図7は、移動部40に第1爪部11が取り付けられた状態の図である。
【0036】
移動部40は、縦板部41と、横板部42と、を有する。縦板部41は、板部41aと、取付部41bと、を有する。板部41aは、X軸方向及びY軸方向に延び、Z軸方向に厚みを有する薄板状の形状を有する。取付部41bは、板部41aの上側に設けられる。取付部41bは、横板部42と接続する。なお、板部41aと取付部41bは、一体に形成される。
【0037】
縦板部41は、板部41aに、X軸方向に延び、ベアリング61が挿入される挿入部41h1と、X軸方向に延び、ベアリング62が挿入される挿入部41h2と、を有する。ベアリング61は、X軸方向に沿って相対的に移動可能に挿入部41h1に挿入される。また、ベアリング62は、X軸方向に沿って相対的に移動可能に挿入部41h2に挿入される。
【0038】
挿入部41h1及び挿入部41h2のそれぞれは、厚み方向に板部41aを貫通する貫通孔である。
【0039】
縦板部41が、挿入部41h1及び挿入部41h2を有する。ベアリング61が挿入部41h1に、ベアリング62が挿入部41h2に、それぞれ挿入されることにより、縦板部41がX軸方向に沿って移動する。すなわち、移動部40、ベアリング61及びベアリング62は直動ガイドとして機能する。把持装置1は、縦板部41の厚さ方向に、追加の部材、例えば、レール、を備えることなく、移動部40をX軸方向に沿って移動させることができることから、直動ガイドを小型にできる。
【0040】
横板部42は、上側の面に第1爪部11を固定する。また、横板部42は、下側の面に、斜歯ギア31とかみあう斜歯ラック42aを有する。
【0041】
なお、上記において、移動部40について説明したが、移動部50についても同様である。移動部50は、縦板部51と、横板部52と、を有する。縦板部51は、X軸方向に延び、ベアリング63が挿入される挿入部51h1と、X軸方向に延び、ベアリング64が挿入される挿入部51h2と、を有する。ベアリング63は、X軸方向に沿って相対的に移動可能に挿入部51h1に挿入される。また、ベアリング64は、X軸方向に沿って相対的に移動可能に挿入部51h2に挿入される。
【0042】
[ベアリング61、ベアリング62、ベアリング63及びベアリング64]
ベアリング61、ベアリング62、ベアリング63及びベアリング64は、挿入される貫通孔との摩擦を低減する。ベアリング61、ベアリング62、ベアリング63及びベアリング64のそれぞれは、内輪と、外輪と、内輪と外輪との間に設けられた複数の転動体と、を備える。
【0043】
ベアリング61及びベアリング64のそれぞれの内輪は、シャフト33に固定される。ベアリング61の外輪は、挿入部41h1に挿入される。ベアリング61の外輪における外径は、挿入部41h1における貫通孔のY軸方向に沿う長さと略等しくなっている。ベアリング64の外輪は、挿入部51h2に挿入される。ベアリング64の外輪における外径は、挿入部51h2における貫通孔のY軸方向に沿う長さと略等しくなっている。ベアリング62及びベアリング63のそれぞれの内輪は、シャフト34に固定される。ベアリング62の外輪は、挿入部41h2に挿入される。ベアリング62の外輪における外径は、挿入部41h2における貫通孔のY軸方向に沿う長さと略等しくなっている。ベアリング63の外輪は、挿入部51h1に挿入される。ベアリング63の外輪における外径は、挿入部51h1における貫通孔のY軸方向に沿う長さと略等しくなっている。
【0044】
[モータ70]
モータ70は、ウォームギア20を回転させる。モータ70は、図示しない電源から電力が供給されることにより回転する。モータ70は、第1爪部11と第2爪部12との間のX軸方向に沿う距離Dを変更することで把持対象物を把持するように駆動する。モータ70は、回転軸71を回転する。
【0045】
把持装置1は、モータ70により回転されるウォームギア20を備える。ウォームギア20は、モータ70の回転速度の減速と、トルクの増力効果と、を備える。したがって、把持装置1が、モータ70により回転されるウォームギア20を備えることにより、回転力を増幅できる。
【0046】
[筐体80]
筐体80は、内部に、モータ70を保持する。筐体80は、上部80a1及び上部80a2と、中央部80bと、下部80cと、を備える。筐体80は、シャフト33及びシャフト34を固定する。具体的には、筐体80における中央部80bは、シャフト33及びシャフト34を固定する。
【0047】
筐体80における中央部80bは、シャフト33を固定する固定部81と、シャフト34を固定する固定部82と、を有する。筐体80の固定部81はシャフト33を固定する。固定部81は、例えば、ねじ等により、シャフト33を回転しないように固定する。筐体80の固定部82はシャフト34を固定する。固定部82は、例えば、ねじ等により、シャフト34を回転しないように固定する。
【0048】
なお、把持装置1は、移動部40及び移動部50と、筐体80との間に減摩部材を備えてもよい。減摩部材は、移動部40及び移動部50と、筐体80との間の摩擦を低減する。減摩部材は、低摩擦材料により形成される。減摩部材は、例えば、フッ素系樹脂、より具体的な例では、ポリテトラフルオロエチレン、により形成される。
【0049】
<まとめ>
第1実施形態に係る把持装置によれば、把持装置を低背化できる。第1実施形態に係る把持装置によれば、ウォームギアと、斜歯ギアと、斜歯ラックとにより、爪部を移動させることにより、高さを低くすることができる。より具体的には、移動部に設けられた縦板部が挿入部を有することで、挿入部に挿入されたベアリングがX軸方向に沿って相対的に移動可能になる。したがって、ウォームギア、斜歯ギア、挿入部及びベアリングがいずれもY軸方向で略同一の高さになるように、把持装置が構成される。このように、移動部等の爪部を移動させる部分が高さを低くできるので、把持装置を低背化できる。
【0050】
また、第1実施形態に係る把持装置によれば、移動部がベアリングを挿入する挿入部を備えることによって、厚み方向(Z軸方向)に直動機構を備えることができる。直動機構を厚み方向(Z軸方向)に備えることにより、高さ方向(Y軸方向)に直動機構が不要となり、把持装置をより低背化できる。
【0051】
なお、X軸方向が第1方向の一例、Y軸方向が第1方向と交差する第2方向の一例、Z軸方向が第3方向の一例、である。例えば、ベアリング61が第1ガイド部材及び第1ベアリングの一例、ベアリング62が第2ガイド部材及び第2ベアリングの一例、移動部40が第1移動部の一例、縦板部41が第1縦板部の一例、挿入部41h1が第1挿入部の一例、挿入部41h2が第2挿入部の一例、である。挿入部41h1の貫通孔が第1貫通孔の一例、挿入部41h2の貫通孔が第2貫通孔の一例、移動部50が第2移動部の一例、である。シャフト33が第1シャフトの一例、シャフト34が第2シャフトの一例、である。固定部81が第1固定部の一例、固定部82が第2固定部の一例、である。
【0052】
≪第2実施形態≫
第2実施形態に係る把持装置は、第1ガイド部材及び第2ガイド部材のそれぞれに、ベアリングを用いる。
【0053】
以下、図面を参照して、第2実施形態に係る把持装置について詳細に説明する。
図8は、第2実施形態に係る把持装置の一例である把持装置2の斜視図である。
図9は、第2実施形態に係る把持装置の一例である把持装置2の正面図である。
図10は、第2実施形態に係る把持装置の一例である把持装置2の側面図である。
図11は、第2実施形態に係る把持装置の一例である把持装置2の分解斜視図である。
図12は、第2実施形態に係る把持装置の一例である把持装置2の断面図である。具体的には、
図12は、
図9におけるIII-III断面図である。
図13は、第2実施形態に係る把持装置の一例である把持装置2の断面図である。具体的には、
図13は、
図10におけるIV-IV断面図である。
図14は、第2実施形態に係る把持装置の一例である把持装置2の斜視図である。具体的には、
図14は、把持装置2における上部180aを取り外した図である。
【0054】
<把持装置2>
把持装置2は、例えば、ロボットのアームの先端に取り付けられ把持対象物を把持する。具体的には、把持装置1は、第1爪部11と第2爪部12の間に把持対象物を把持する。把持装置1は、第1爪部11と第2爪部12との間のX軸方向に沿う距離Dを変更することにより把持対象物を把持する。
【0055】
把持装置2は、第1爪部11及び第2爪部12と、ウォームギア20と、斜歯ギア131及び斜歯ギア132と、移動部140及び移動部150と、モータ70と、筐体180と、を備える。また、把持装置2は、ベアリング161、ベアリング162、ベアリング163及びベアリング164と、ベアリング165、ベアリング166、ベアリング167及びベアリング168と、を備える。把持装置2の各要素について詳細を説明する。
【0056】
なお、第1爪部11及び第2爪部12と、ウォームギア20と、モータ70とについては、把持装置1の説明を参照することとして、ここでは説明を省略する。
【0057】
[斜歯ギア131及び斜歯ギア132]
斜歯ギア131及び斜歯ギア132のそれぞれは、ウォームギア20とかみあって回転する。
【0058】
斜歯ギア131は、シャフト133を中心に回転する。シャフト133は、筐体180の中央部180bにおける凸部180b1及び凸部180b2の間に、ベアリング165及びベアリング168を介して取り付けられる。
【0059】
シャフト133はベアリング165及びベアリング168を介して筐体180に取り付けられることにより、筐体180に対して回転可能になっている。斜歯ギア131は、シャフト133に取り付けられることにより、シャフト133を中心に回転できる。
【0060】
斜歯ギア132は、シャフト134を中心に回転する。シャフト134は、筐体180の中央部180bにおける凸部180b1及び凸部180b2の間に、ベアリング166及びベアリング167を介して取り付けられる。
【0061】
シャフト134はベアリング166及びベアリング167を介して筐体180に取り付けられることにより、筐体180に対して回転可能になっている。斜歯ギア132は、シャフト134に取り付けられることにより、シャフト134を中心に回転できる。
【0062】
[移動部140及び移動部150]
移動部140は、第1爪部11をX軸方向に沿って移動させる。移動部140は、第1爪部11と連動して移動する。移動部150は、第2爪部12をX軸方向に沿って移動させる。移動部150は、第2爪部12と連動して移動する。
【0063】
移動部150は、移動部140と同じ構造を有することから、移動部140について説明を行い、移動部150については移動部140の説明を参照することとして、ここでは詳細な説明を省略する。なお、移動部150は、移動部140を、Z軸方向において向きを逆にした状態で使用される。
【0064】
図15は、第2実施形態に係る把持装置の一例である把持装置2が備える移動部140の斜視図である。なお、
図15は、移動部140に第1爪部11が取り付けられた状態の図である。
【0065】
移動部140は、縦板部141と、横板部142と、を有する。縦板部141は、板部141aと、取付部141bと、を有する。板部141aは、X軸方向及びY軸方向に延び、Z軸方向に厚みを有する薄板状の形状を有する。取付部141bは、板部141aの上側に設けられる。取付部141bは、横板部142と接続する。なお、板部141aと取付部141bは、一体に形成される。
【0066】
縦板部141は、板部141aに、X軸方向に延び、ベアリング161が挿入される挿入部141h1と、X軸方向に延び、ベアリング162が挿入される挿入部141h2と、を有する。ベアリング161は、X軸方向に沿って相対的に移動可能に挿入部141h1に挿入される。また、ベアリング162は、X軸方向に沿って相対的に移動可能に挿入部141h2に挿入される。
【0067】
挿入部141h1及び挿入部141h2のそれぞれは、厚み方向に板部141aを貫通する貫通孔である。
【0068】
縦板部141が、挿入部141h1及び挿入部141h2を有する。ベアリング161が挿入部141h1に、ベアリング162が挿入部141h2に、それぞれ挿入されることにより、縦板部141がX軸方向に沿って移動する。すなわち、移動部140とベアリング161及びベアリング162とは直動ガイドとして機能する。把持装置2は、縦板部141の厚さ方向に、追加の部材、例えば、レール、を備えることなく、移動部140をX軸方向に沿って移動させることができることから、直動ガイドを小型にできる。
【0069】
横板部142は、上側の面に第1爪部11を固定する。また、横板部142は、下側の面に、斜歯ギア131とかみあう斜歯ラック142aを有する。
【0070】
なお、上記において、移動部140について説明したが、移動部150についても同様である。移動部150は、縦板部151と、横板部152と、を有する。縦板部151は、X軸方向に延び、ベアリング163が挿入される挿入部151h1と、X軸方向に延び、ベアリング164が挿入される挿入部151h2と、を有する。ベアリング163は、X軸方向に沿って相対的に移動可能に挿入部151h1に挿入される。また、ベアリング164は、X軸方向に沿って対的に移動可能に挿入部151h2に挿入される。
【0071】
[ベアリング161、ベアリング162、ベアリング163及びベアリング164]
ベアリング161、ベアリング162、ベアリング163及びベアリング164のそれぞれは、それぞれが挿入される貫通孔との摩擦を低減する。ベアリング161、ベアリング162、ベアリング163及びベアリング164のそれぞれは、内輪と、外輪と、内輪と外輪との間に設けられた複数の転動体と、を備える。
【0072】
ベアリング161及びベアリング164のそれぞれの内輪は、シャフト133に固定される。ベアリング161の外輪は、挿入部141h1に挿入される。ベアリング161の外輪における外径は、挿入部141h1における貫通孔のY軸方向に沿う長さと略等しくなっている。ベアリング164の外輪は、挿入部151h2に挿入される。ベアリング164の外輪における外径は、挿入部151h2における貫通孔のY軸方向に沿う長さと略等しくなっている。ベアリング162及びベアリング163のそれぞれの内輪は、シャフト134に固定される。ベアリング162の外輪は、挿入部141h2に挿入される。ベアリング162の外輪における外径は、挿入部141h2における貫通孔のY軸方向に沿う長さと略等しくなっている。ベアリング163の外輪は、挿入部151h1に挿入される。ベアリング163の外輪における外径は、挿入部151h1における貫通孔のY軸方向に沿う長さと略等しくなっている。
【0073】
[筐体180]
筐体180は、内部に、モータ70を保持する。筐体180は、上部180aと、中央部180bと、下部180cと、を備える。
【0074】
筐体180は、シャフト133及びシャフト134を保持する。筐体180における中央部180bは、上側の面から上側に突出する凸部180b1を備える。また、中央部180bは、上側の面から、凸部180b1より後側に離れて設けられ、上側に突出する凸部180b2を備える。
【0075】
シャフト133は、凸部180b1と凸部180b2との間に設けられる。シャフト133の前側は、ベアリング165を介して、凸部180b1に取り付けられる。また、シャフト133の後側は、ベアリング168を介して、凸部180b2に取り付けられる。シャフト133は、ベアリング165を介して凸部180b1に取り付けられ、ベアリング168を介して凸部180b2に取り付けられることにより、シャフト133は筐体180に対して回転可能になっている。
【0076】
シャフト134は、凸部180b1と凸部180b2との間に設けられる。シャフト134の前側は、ベアリング166を介して、凸部180b1に取り付けられる。また、シャフト134の後側は、ベアリング167を介して、凸部180b2に取り付けられる。シャフト134は、ベアリング166を介して凸部180b1に取り付けられ、ベアリング167を介して凸部180b2に取り付けられることにより、シャフト134は筐体180に対して回転可能になっている。
【0077】
ベアリング165及びベアリング166は、凸部180b1における前側に外れないように、板バネにより抑えられる。ベアリング167及びベアリング168は、凸部180b2における後側に外れないように、板バネにより抑えられる。
【0078】
なお、把持装置2は、移動部140及び移動部150と、筐体180における凸部180b1及び凸部180b2との間に減摩部材を備えてもよい。減摩部材は、移動部140及び移動部150と、筐体180との間の摩擦を低減する。減摩部材は、低摩擦材料により形成される。減摩部材は、例えば、フッ素系樹脂、より具体的な例では、ポリテトラフルオロエチレン、により形成される。
【0079】
<まとめ>
第2実施形態に係る把持装置によれば、把持装置を低背化できる。第2実施形態に係る把持装置によれば、ウォームギアと、斜歯ギアと、斜歯ラックとにより、爪部を移動させることにより、高さを低くすることができる。より具体的には、移動部に設けられた縦板部が挿入部を有することで、挿入部に挿入されたベアリングがX軸方向に沿って相対的に移動可能になる。したがって、ウォームギア、斜歯ギア、挿入部及びベアリングがいずれもY軸方向で略同一の高さになるように、把持装置が構成される。このように、移動部等の爪部を移動させる部分が高さを低くできるので、把持装置を低背化できる。
【0080】
また、第2実施形態に係る把持装置によれば、移動部がベアリングを挿入する挿入部を備えることによって、厚み方向(Z軸方向)に直動機構を備えることができる。直動機構を厚み方向(Z軸方向)に備えることにより、高さ方向(Y軸方向)に直動機構が不要となり、把持装置をより低背化できる。
【0081】
なお、X軸方向が第1方向の一例、Y軸方向が第1方向と交差する第2方向の一例、Z軸方向が第3方向の一例、である。例えば、ベアリング161が第1ガイド部材及び第1ベアリングの一例、ベアリング162が第2ガイド部材及び第2ベアリングの一例、移動部140が第1移動部の一例、縦板部141が第1縦板部の一例、挿入部141h1が第1挿入部の一例、挿入部141h2が第2挿入部の一例、である。挿入部141h1の貫通孔が第1貫通孔の一例、挿入部141h2の貫通孔が第2貫通孔の一例、移動部150が第2移動部の一例、である。シャフト133が第1シャフトの一例、シャフト134が第2シャフトの一例、である。
【0082】
≪変形例≫
以上、把持装置を実施形態により説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
【0083】
例えば、第1実施形態における挿入部41h1、挿入部41h2は連結した1つの挿入部として構成されても良い。同様に、第2実施形態における挿入部141h1、挿入部141h2は連結した1つの挿入部として構成されても良い。
【0084】
第1実施形態に係る把持装置及び第2実施形態に係る把持装置は、第1ガイド部材及び第2ガイド部材のそれぞれにベアリングを用いていたが、第1ガイド部材及び第2ガイド部材のそれぞれは、ベアリングに限らない。第1ガイド部材は、第1挿入部に第1方向に沿って相対的に移動可能に挿入される部材であればよい。第1ガイド部材は、例えば、第1シャフトに固定される円板状の部材でもよい。第2ガイド部材についても同様である。
【符号の説明】
【0085】
1、2 把持装置
11 第1爪部
12 第2爪部
20 ウォームギア
31、32、131、132 斜歯ギア
33、34、133、134 シャフト
40、50、140、150 移動部
41、51、141、151 縦板部
41a、141a 板部
41b、141b 取付部
41h1、51h1、141h1、151h1 挿入部
41h2、51h2、141h2、151h2 挿入部
42、52、142、152 横板部
42a、142a 斜歯ラック
61、62、63、64、161、162、163、164 ベアリング
70 モータ
71 回転軸
80、180 筐体
81、82 固定部