(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076828
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】ワークロール開閉装置
(51)【国際特許分類】
B21B 37/26 20060101AFI20240530BHJP
B21B 37/00 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
B21B37/26
B21B37/00 261Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188614
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】間宮 太一
【テーマコード(参考)】
4E124
【Fターム(参考)】
4E124AA20
4E124BB03
4E124BB06
4E124CC01
4E124CC03
4E124EE01
4E124EE11
(57)【要約】
【課題】ストリップの搬送中にワークロール開閉を可能にするワークロール開閉装置を提供する。
【解決手段】実施形態は、前記第1ロール、前記3台以上の圧延機のうち、開閉するワークロールを有する圧延機のワークロール、および、前記圧延機よりも上流のすべてのワークロールの速度基準を、前記開閉するワークロールの開閉に応じて算出された補正値で補正して適用する速度基準補正器と、前記開閉するワークロールを有する圧延機の下流に隣接する圧延機の圧下基準を、前記開閉するワークロールの開閉に応じて算出された補正値で補正して適用する圧下基準補正器と、を備える。前記開閉するワークロールを有する圧延機は、前記3台の圧延機のうちの最終段の圧延機よりも上流に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3台以上の圧延機と、前記3台以上の圧延機の上流に設けられた第1ロールと、前記3台以上の圧延機の下流に設けられた第2ロールと、を有し、ストリップを搬送しながら圧延する圧延設備において、前記3台以上の圧延機のうちのいずれかの圧延機のワークロールを開閉するワークロール開閉装置であって、
前記第1ロール、前記3台以上の圧延機のうち、開閉するワークロールを有する圧延機のワークロール、および、前記圧延機よりも上流のすべてのワークロールの速度基準を、前記開閉するワークロールの開閉に応じて算出された補正値で補正して適用する速度基準補正器と、
前記開閉するワークロールを有する圧延機の下流に隣接する圧延機の圧下基準を、前記開閉するワークロールの開閉に応じて算出された補正値で補正して適用する圧下基準補正器と、
を備え、
前記開閉するワークロールを有する圧延機は、前記3台の圧延機のうちの最終段の圧延機よりも上流に配置されたワークロール開閉装置。
【請求項2】
3台以上の圧延機と、前記3台以上の圧延機の上流に設けられた第1ロールと、前記3台以上の圧延機の下流に設けられた第2ロールと、を有し、ストリップを搬送しながら圧延する圧延設備において、前記3台以上の圧延機のうちのいずれかの圧延機のワークロールを開閉するワークロール開閉装置であって、
前記第1ロール、前記3台以上の圧延機のうち、開閉するワークロールを有する圧延機のワークロール、および、前記圧延機よりも上流のすべてのワークロールの速度基準を、前記開閉するワークロールの開閉に応じて算出された補正値で補正して適用する速度基準補正器と、
前記開閉するワークロールを有する圧延機の下流に隣接する圧延機の圧下基準を、前記開閉するワークロールの開閉に応じて算出された補正値で補正して適用する圧下基準補正器と、
を備え、
前記開閉するワークロールを有する圧延機が前記3台以上の圧延機の最終段の圧延機の場合には、前記第2ロールの速度基準を前記開閉するワークロールの開閉に応じて算出された補正値で補正して適用するワークロール開閉装置。
【請求項3】
3台以上の圧延機と、前記3台以上の圧延機の上流に設けられた第1ロールと、前記3台以上の圧延機の下流に設けられた第2ロールと、を有し、ストリップを搬送しながら圧延する圧延設備において、前記3台以上の圧延機のうちのいずれかの圧延機のワークロールを開閉するワークロール開閉装置であって、
前記第1ロール、前記3台以上の圧延機のうち、開閉するワークロールを有する圧延機のワークロール、および、前記圧延機よりも上流のすべてのワークロールの速度基準を、前記開閉するワークロールの開閉に応じて算出された補正値で補正して適用する速度基準補正器と、
前記開閉するワークロールを有する圧延機の下流に隣接する圧延機の圧下基準を、前記開閉するワークロールの開閉に応じて算出された補正値で補正して適用する圧下基準補正器と、
を備え、
前記開閉するワークロールを有する圧延機が前記3台以上の圧延機の最終段の圧延機の場合には、前記第2ロールの張力基準を前記開閉するワークロールの開閉に応じて算出された補正値で補正して適用するワークロール開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、圧延機のワークロールを開閉するワークロール開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷間圧延設備は、1台ないし複数台の圧延機を有し、ストリップを圧延機に対して正方向あるいは逆方向に通しながら圧延する。冷間圧延設備の中でも、圧延機の入側にストリップを溶接する溶接機と、ストリップをため込むルーパーを有する連続冷間圧延設備は、ストリップの搬送を止めることなく、連続的に圧延することで、稼働率を高めている。
【0003】
圧延機のワークロールは、圧延することでロール表面の粗度が落ちる。これにより、ワークロール間隙の潤滑状態、圧延荷重が変動することで、所望の板厚や形状品質を得ることができなくなる。さらに、ワークロール間隙の潤滑状態等の変動が進むと、圧延状態を継続することも困難となる。このため、圧延機のワークロールは、定期的に交換する必要があり、この交換のためにストリップを停止する必要がある。このようなワークロール交換は、連続冷間圧延設備の稼働率を下げる要因となり、交換に必要な時間を短くすることが望まれる。
【0004】
また、連続冷間圧延設備においては、ストリップを連続的に圧延するために、圧延機の入側でストリップを溶接する。生産スケジュールによっては、板厚や板幅の異なるストリップを溶接することもあり得る。先行するストリップと後行するストリップの板厚や板幅の差が大きい場合には、溶接点が圧延機を通過する際に圧延しながら通すことができない。そのため、ストリップを一旦止めて、ワークロールを開放し、溶接点を通過させた後に、ワークロールを締め込むワークロール開閉作業が必要となる。このように、ストリップを停止させるワークロール開閉作業は、連続冷間圧延設備の稼働率を低下させる原因となる。
【0005】
連続冷間圧延機において、稼働率および製品品質の向上するために、ストリップを極力停止させないことが望まれる。そのためには、ストリップ搬送状態においてワークロールを開閉する技術が必要となる。
【0006】
圧延状態においては、ワークロール下のストリップは塑性変形状態となっている。この状態から、ワークロールを開放すると、ストリップに及ぼす荷重が低減していき、弾性変形状態となる。ここからさらにワークロールを開放していき、非接触状態までワークロールを開放する。ストリップが圧延状態にあるとき、ストリップ圧延機の入側から出側にかけて、板厚が圧下される分ストリップの速度が上がる。一方で、ワークロールを開放して、弾性変形状態となったとき、圧下率がゼロとなるので、入側から出側にかけて、速度が上がらない。圧延状態から、ワークロールを開放して、塑性変形状態から弾性変形状態に遷移するとき、圧延機の入側および出側でストリップの搬送速度が急変する。
【0007】
この速度急変により、開放された圧延機のワークロールの周速と、ストリップの搬送速度が不一致となると、スリップが発生する。これは、ストリップあるいはワークロールにスリップ疵を生じるのみならず、板破断に至り操業継続が困難となる。さらに、ストリップの速度変動は、圧延機入側および出側のストリップの張力を変動させる。これにより、上流および下流の圧延機における荷重や板厚が変動するなどの影響を及ぼす。
【0008】
特許文献1、2では、ストリップを搬送しながら、圧延機のワークロールの開閉を行う方法が提案されている。特許文献1、2では、ワークロールを開放あるいは締め込む際に、塑性変形から弾性変形に遷移するときの張力変動を抑制する目的で、ワークロールを開放する上流または下流の隣接する圧延機のワークロール、あるいは搬送ロール、あるいは巻き取りロールの速度基準あるいはトルク基準を補正している。
【0009】
特許文献1、2の方法は、隣接するロールの速度あるいはトルク基準を補正しているのみであり、さらに上流の圧延機や下流の圧延機、あるいは、搬送ロール、巻き取りロールの速度基準、トルク基準、圧延機の圧下開度基準を補正していない。連続冷間圧延機は、ストリップにより、複数の圧延機、搬送ロール、巻き取りロールが結合しており、隣接するロールの補正のみでは張力変動の伝搬を十分に抑制することができない。また、特許文献1、2の方法では、上流または下流に圧延機がある場合、上流または下流の圧延機のワークロールを開閉することによる張力補正は考慮されていない。また、特許文献1、2
の方法では、張力変動により生じる圧延荷重および板厚の変動については、張力変動を抑制することで間接的に補償されているのみである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2013-039621号公報
【特許文献2】特開2014-058001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の実施形態では、ストリップの搬送中にワークロール開閉を可能にするワークロール開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施形態は、3台以上の圧延機と、前記3台以上の圧延機の上流に設けられた第1ロールと、前記3台以上の圧延機の下流に設けられた第2ロールと、を有し、ストリップを搬送しながら圧延する圧延設備において、前記3台以上の圧延機のうちのいずれかの圧延機のワークロールを開閉するワークロール開閉装置である。このワークロール開閉装置は、前記第1ロール、前記3台以上の圧延機のうち、開閉するワークロールを有する圧延機のワークロール、および、前記圧延機よりも上流のすべてのワークロールの速度基準を、前記開閉するワークロールの開閉に応じて算出された補正値で補正して適用する速度基準補正器と、前記開閉するワークロールを有する圧延機の下流に隣接する圧延機の圧下基準を、前記開閉するワークロールの開閉に応じて算出された補正値で補正して適用する圧下基準補正器と、を備える。前記開閉するワークロールを有する圧延機は、前記3台の圧延機のうちの最終段の圧延機よりも上流に配置される。
【発明の効果】
【0013】
実施形態によれば、ストリップの搬送中にワークロール開閉を可能にするワークロール開閉装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係るワークロール開閉装置を例示する模式的なブロック図である。
【
図2】実施形態に係るワークロール開閉装置を例示する模式的なブロック図である。
【
図3】実施形態に係るワークロール開閉装置を例示する模式的なブロック図である。
【
図4】実施形態の変形例に係るワークロール開閉装置を例示する模式的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0016】
図1は、実施形態に係るワークロール開閉装置を例示する模式的なブロック図である。
図1には、実施形態に係るワークロール開閉装置10のほか、ワークロール開閉装置10が用いられる圧延設備100の構成が模式的に示されている。
まず、
図1の圧延設備100の構成について説明する。
【0017】
図1に示すように、実施形態に係るワークロール開閉装置10は、圧延設備100に適用される。圧延設備100は、複数の圧延機2a~2eを有している。この例では、5段の圧延機2a~2eが示されている。ストリップ1は、搬送ロール(第1ロール)3a、3bによって、1段目の圧延機2aに搬送される。最終段の圧延機2eで圧延され排出されたストリップ1は、巻取ロール(第2ロール)4に巻き取られる。
【0018】
圧延機2a~2eは、上側のワークロール2wa1~2we1および下側のワークロール2wa2~2we2をそれぞれ有している。ストリップ1は、上下のワークロールに噛み込まれることによって、所望の厚さに圧延される。
【0019】
圧延機2a~2eは、モータ5a~5eでそれぞれ駆動される。搬送ロール3a、3bは、モータ6a、6bでそれぞれ駆動される。巻取ロール4は、モータ9(
図3)で駆動される。
【0020】
モータ5a~5eは、速度制御器20a~20eによって、それぞれ制御される。モータ6a、6bは、速度制御器22a、22bによって、それぞれ制御される。モータ9は、トルク制御器40によって制御される。速度制御器20a~20eおよび速度制御器22a、22bには、図示しない主幹制御装置からそれぞれのための速度基準が供給される。また、トルク制御器40には、主幹制御装置から張力基準が供給される。
【0021】
各モータには、図示しない速度検出器が設けられており、速度検出器は、各モータの速度を検出して速度制御器20a~20e、22a、22bにそれぞれ出力する。速度制御器20a~20e、22a、22bは、供給された速度基準に追従するようにモータを駆動する。トルク制御器40の場合には、巻取ロール4の入側に設けられた張力計8fによって検出されたストリップ1の張力が、主幹制御装置から供給される張力基準に追従するように、モータ9を駆動する。
【0022】
圧延機2a~2eには、圧下装置7a~7eがそれぞれ設けられている。圧下装置7a~7eは、圧下装置7a~7eは、図示しないロール位置測定器およびロール荷重測定器がそれぞれ設けられており、上下のワークロールの位置およびワークロールにかかるロール荷重を検出して出力する。
【0023】
圧下装置7a~7eには、圧下制御器30a~30eがそれぞれ接続されている。圧下制御器30a~30eには、主幹制御装置から圧下基準がそれぞれ供給される。圧下制御器30a~30eは、供給された圧下基準にもとづいて、ワークロールの位置およびワークロールに係る荷重を演算し、圧下装置7a~7eにそれぞれ出力する。圧下装置7a~7eは、圧下基準にもとづいて算出された位置および荷重に追従するように、ワークロール間のギャップを設定する。
【0024】
モータで駆動されるロールの間には、張力計8a~8fが設けられている。張力計8aは、搬送ロール3aと圧延機2aとの間で圧延機2aの入側でストリップ1の張力を計測するように設けられている。張力計8bは、圧延機2aと圧延機2bとの間でストリップ1の張力を計測するように設けられている。張力計8cは、圧延機2bと圧延機2cとの間でストリップ1の張力を計測するように設けられている。張力計8dは、圧延機2cと圧延機2dとの間でストリップ1の張力を計測するように設けられている。張力計8eは、圧延機2dと圧延機2eとの間でストリップ1の張力を計測するように設けられている。張力計8fは、圧延機2eと巻取ロール4との間でストリップ1の張力を計測するように設けられている。
【0025】
ワークロール開閉装置10の構成および動作について説明する。
図1に示すように、実施形態に係るワークロール開閉装置10は、設定計算装置12と、速度基準補正器14cと、圧下基準補正器16dと、ワークロール開放・締込指令器18cと、を備える。
【0026】
図1には、3段目の圧延機2cのワークロール2wc1、2wc2を開閉する例が示されている。ワークロール開放・締込指令器18cは、3段目の圧延機2cのための圧下制御器30cに接続されている。圧下基準補正器16dは、3段目の圧延機2cの下流に隣接する圧延機2dのための圧下制御器30dに接続されている。速度基準補正器14aは、3段目の圧延機2cを駆動するモータ5cのおよびこれより上流のすべての圧延機2a、2bをそれぞれ駆動するモータ5a、5bの速度制御器20a、20bのために設けられている。速度基準補正器14cは、3段目の圧延機2cの上流に配置されている搬送ロール3a、3bを駆動するモータ6a、6bの速度制御器22a、22bのためにも設けられている。
【0027】
実施形態に係るワークロール開閉装置10では、すべての圧延機2a~2eのそれぞれを開閉することがある。そのため、ワークロール開放・締込指令器は、圧延機ごとに設けられている。速度基準補正器も、圧延機ごとにそれぞれ設けられている。圧下基準補正器は、開閉する圧延機の下流に隣接する圧延機ごとに設けられている。
図1では、図示の煩雑さを回避するために、上流側に隣り合う圧延機が存在し、かつ、下流側に圧延機が存在する場合の例として、3段目の圧延機2cを開閉する場合を図示している。
【0028】
なお、
図2には、1段目の圧延機2aを開閉する場合の例を図示しており、
図3には、最終段の圧延機2eを開閉する場合の例を図示している。設定計算装置12は、すべての圧延機2a~2eに共通して適用される。これらの各構成要素は、上述の例に限らず、たとえば、ワークロール開放・締込指令器、速度基準補正器および圧下基準補正器のそれぞれは、すべての速度制御器、圧下制御器およびトルク制御器に共通して適用されるようにしてももちろんよい。
【0029】
図1に戻って、説明を続ける。
設定計算装置12は、速度基準補正器14cおよび圧下基準補正器16dに接続されている。設定計算装置12は、たとえば、図示しない上位計算機に接続され、上位計算機が有する製品に関するパラメータを取得する。製品に関するパラメータは、たとえば、ストリップの材料特性や鋼材厚さ、材質、エマルジョン潤滑油の濃度等である。設定計算装置12は、これらの製品に関する材料パラメータを用いて、上下降伏点、ワークロール開閉時の設定板厚等を算出して速度基準補正器14cおよび圧下基準補正器16dにそれぞれ出力する。また、設定計算装置12は、圧延設備100の機械パラメータに関する情報を有している。機械パラメータは、圧延機のロール径や回転駆動系のGD
2等である。設定計算装置12は、これらの機械パラメータを速度基準補正器14cおよび圧下基準補正器16dにそれぞれ出力する。
【0030】
ワークロール開放・締込指令器18cは、たとえばストリップの溶接部のトラッキング情報にもとづいて、ワークロール2wc1、2wc2の開閉のタイミングを判定する。ワークロール2wc1、2wc2を開放する場合には、溶接部がワークロール2wc1、2wc2に到達する前に、ストリップ1と非接触状態となるようにワークロール2wc1、2wc2を開放する。ワークロール2wc1、2wc2の締込を行う場合には、溶接部がワークロール2wc1、2wc2の位置を通過した後に、ワークロール2wc1、2wc2にストリップ1が接触するように締込を行う。
【0031】
ワークロール開放・締込指令器18cは、圧下制御器30cを介して、ワークロール2wc1、2wc2の位置およびロール荷重の実測値を取得する。ワークロール開放・締込指令器18cは、取得したワークロール2wc1、2wc2の位置およびロール荷重の実測値を速度基準補正器14cおよび圧下基準補正器16dにそれぞれ出力する。
【0032】
速度基準補正器14cおよび圧下基準補正器16dは、圧延機2cの出側に設けられた張力計8dによって検出されたストリップ1の張力の値を取得する。
【0033】
速度基準補正器14cは、材料パラメータ、機械パラメータ、検出された張力値、ワークロール2wc1、2wc2の位置およびロール荷重の実測値にもとづいて、速度基準補正値を演算する。速度基準補正値は、開閉するワークロール、その上流側すべてのワークロールおよびすべての搬送ロールをそれぞれ駆動するモータについての速度基準値から減算される。搬送ロール3a、3bおよび各段のワークロールのためのモータの速度基準は、上流から下流に向かって次第に増大するように設定されている。そのため、開閉するワークロールの上流の各ロールを駆動するモータのための速度基準補正値は、上流から下流に向かって、次第に大きくなるように設定される。たとえば、各モータのための速度基準補正値は、速度基準値に対して一定の比率を乗じた値を減算することによって、設定される。
【0034】
圧下基準補正器16dは、材料パラメータ、機械パラメータ、検出された張力値、ワークロール2wc1、2wc2の位置およびロール荷重の実測値にもとづいて、圧下基準補正値を演算する。圧下基準補正器16dは、開閉するワークロールの下流側であって開閉するワークロールに隣り合うワークロールのための圧下基準値に、算出した圧下基準補正値を加算して、圧下制御器30dに出力する。
【0035】
なお、速度基準補正器14cおよび圧下基準補正器16dによる、それぞれの補正値の演算には、たとえばあらかじめ設定されたモデルが用いられる。モデルは、実際の圧延工程でストリップを搬送し、圧延することによって取得されたデータを用いることによって、設定される。モデルの設定には、実際の工程に加え、あるいは実際の工程に代えて、シミュレーション技術等を利用することができる。
【0036】
このように、速度基準補正器14cは、開閉するワークロール2wc1、2wc2を駆動するモータ5eおよびその上流のすべてのロールを駆動するモータ6a、6b、5a、5bの速度基準を小さくなるように補正して速度制御器22a、22b、20a、20bにそれぞれ出力する。そして、圧下基準補正器16dは、開閉するワークロール2wc1、2wc2の下流に隣り合うワークロール2wd1、2wd2のための圧下基準を増大するように補正して、圧下制御器30dに出力する。
【0037】
速度基準補正器14cおよび圧下基準補正器16dは、ワークロール2wc1、2wc2の位置およびロール荷重によって、速度基準補正値および圧下基準補正値を逐次算出する。そのため、実施形態に係るワークロール開閉装置10は、速度急変によるストリップ1とロールとのスリップを防止することができる。
【0038】
速度基準補正器14cは、開閉するワークロール2wc1、2wc2を駆動するモータの速度基準およびその上流に配置されたすべてのロールを駆動するモータの速度基準の補正値を演算して、速度制御器に出力する。そのため、開閉する圧延機を駆動するモータおよびそれよりも上流のロールを駆動するすべてのモータの速度を揃えることができる。上流側に配置されたロールを駆動するモータの速度を低減することによって、張力の低下を抑制することができる。
【0039】
また、圧下基準補正器16dは、開閉する圧延機2cの下流に隣接する圧延機2dの圧下量を増大するように、圧下基準補正値を圧下制御器30dに出力する。そのため、圧延機2cのワークロール2wc1、2wc2の開放による次段以降の圧下量が不足することが防止され、ワークロール2wc1、2wc2の開閉による板厚変動を抑制することができる。
【0040】
上述では、複数の圧延機のうち、前後に他の圧延機が配置された圧延機のワークロールを開閉する場合のうち、3段目の圧延機2cのワークロールを開閉する場合について説明したが、2段目の圧延機2bおよび4段目の圧延機2dについても同様である。すなわち、速度基準補正器は、開閉するワークロールを駆動するモータおよびその上流のすべてのモータの速度基準補正値を演算して、速度基準補正値をこれらのモータのための速度制御器に出力する。圧下基準補正器は、開閉するワークロールの下流に隣接する圧延機のための圧下基準補正値を演算して、圧下基準補正値を開閉するワークロールの下流に隣接する圧延機のための圧下制御器に出力する。これによって、上述した3段目の圧延機2cのワークロールを開閉する場合と同様に、2段目、4段目の圧延機2b、2dのワークロールを開閉することができる。
【0041】
次に、1段目に配置された圧延機2aのワークロール2wa1、2wa2を開閉する場合の構成および動作について説明する。
図2は、実施形態に係るワークロール開閉装置を例示する模式的なブロック図である。
図2に示すように、実施形態に係るワークロール開閉装置10は、設定計算装置12と、速度基準補正器14aと、圧下基準補正器16bと、ワークロール開放・締込指令器18aと、を備える。
【0042】
ワークロール開放・締込指令器18aは、1段目の圧延機2aのための圧下制御器30aに接続されている。速度基準補正器14aは、開閉するワークロール2wa1、2wa2を駆動するモータ5aのための速度制御器20aに接続されている。また、速度基準補正器14aは、搬送ロール3a、3bを駆動するモータ6a、6bのための速度制御器22a、22bに接続されている。圧下基準補正器16bは、開閉するワークロール2wa1、2wa2を有する圧延機2aの下流に隣接する圧延機2bのための圧下制御器30bに接続されている。
【0043】
設定計算装置12は、速度基準補正器14aおよび圧下基準補正器16bに接続されている。設定計算装置12は、上位計算機から製品に関する材料パラメータを取得し、材料パラメータおよびあらかじめ設定された機械パラメータを用いて、上下降伏点、ワークロール開閉時の設定板厚等を算出して、速度基準補正器14aおよび圧下基準補正器16bにそれぞれ出力する。また、設定計算装置12は、圧延設備100の機械パラメータの情報を有しており、これらの機械パラメータを速度基準補正器14cおよび圧下基準補正器16bにそれぞれ出力する。
【0044】
図1の例の場合と同様に、ワークロール開放・締込指令器18aは、たとえばストリップ1の溶接部のトラッキング情報にもとづいて、ワークロール2wa1、2wa2の開閉のタイミングを判定する。ワークロール開放・締込指令器18aは、圧下制御器30aを介して、ワークロール2wa1、2wa2の位置およびロール荷重の実測値を取得する。ワークロール開放・締込指令器18aは、取得したワークロール2wa1、2wa2の位置およびロール荷重の実測値を速度基準補正器14aおよび圧下基準補正器16bにそれぞれ出力する。
【0045】
速度基準補正器14aおよび圧下基準補正器16bは、圧延機2aの出側に設けられた張力計8bによって検出されたストリップ1の張力の値を取得する。
【0046】
速度基準補正器14aは、材料パラメータ、機械パラメータ、検出された張力値、ワークロール2wa1、2wa2の位置およびロール荷重の実測値にもとづいて、速度基準補正値を演算する。速度基準補正値は、開閉するワークロール、その上流側すべての搬送ロールをそれぞれ駆動するモータについての速度基準値から減算して算出される。たとえば、各モータのための速度基準補正値は、速度基準値に対して一定の比率を乗じた値を減算することによって、設定される。
【0047】
圧下基準補正器16bは、材料パラメータ、機械パラメータ、検出された張力値、ワークロール2wa1、2wa2の位置およびロール荷重の実測値にもとづいて、圧下基準補正値を演算する。圧下基準補正器16bは、開閉するワークロールの下流側であって開閉するワークロールに隣り合うワークロールのための圧下基準値に補正値を加算して算出された圧下基準補正値を圧下制御器30bに出力する。
【0048】
このようにして、ワークロール開閉装置10は、1段目の圧延機2aのワークロール2wa1、2wa2の開閉に応じて、搬送ロール3a、3bのモータのための速度基準を逐次補正する。また、ワークロール開閉装置10は、1段目の圧延機2aの下流に隣接する圧延機2bの圧下量を逐次補正する。これらによって、ワークロール2wa1、2wa2の開閉の前後において、速度の急変を防止し、ストリップ1の張力を一定に維持することができる。また、下流に隣接する圧延機2bの圧下量を増大させることによって、ワークロール2wa1、2wa2の開閉による板厚の変動を抑制することができる。
【0049】
次に、最終段の圧延機2eのワークロール2we1、2we2を開閉する場合の構成および動作について説明する。
図3は、実施形態に係るワークロール開閉装置を例示する模式的なブロック図である。
図3に示すように、実施形態に係るワークロール開閉装置10は、設定計算装置12と、速度基準補正器14eと、張力基準補正器19と、ワークロール開放・締込指令器18eと、を備える。
【0050】
最終段の圧延機2eのワークロール2we1、2we2を開閉する場合には、速度基準補正器14eは、開閉する圧延機2eのワークロール2we1、2we2を駆動するモータ5e、その上流すべての搬送ロール3a、3bおよびワークロールを駆動するモータ6a、6b、5a~5dの速度基準を補正する。この例では、開閉するワークロール2we1、2we2を有する圧延機2eの下流には、他の圧延機は存在しない。そのため、張力基準補正器19は、巻取ロール4を駆動するモータ9のトルク制御器40にストリップ1の張力を増大するように、張力基準の補正値をトルク制御器40に出力する。
【0051】
図1の例の場合と同様に、ワークロール開放・締込指令器18eは、たとえばストリップ1の溶接部のトラッキング情報にもとづいて、ワークロール2we1、2we2の開閉のタイミングを判定する。ワークロール開放・締込指令器18eは、圧下制御器30eを介して、ワークロール2we1、2we2の位置およびロール荷重の実測値を取得する。ワークロール開放・締込指令器18eは、取得したワークロール2we1、2we2の位置およびロール荷重の実測値を速度基準補正器14eおよび張力基準補正器19にそれぞれ出力する。
【0052】
速度基準補正器14eおよび張力基準補正器19は、圧延機2eの出側に設けられた張力計8fによって検出されたストリップ1の張力の値を取得する。
【0053】
速度基準補正器14eは、材料パラメータ、機械パラメータ、検出された張力値、ワークロール2we1、2we2の位置およびロール荷重の実測値にもとづいて、速度基準補正値を逐次演算する。速度基準補正器14eは、算出した速度基準補正値を、開閉するワークロール、その上流側すべての搬送ロールをそれぞれ駆動するモータのための速度制御器22a、22b、20a~20eに出力する。たとえば、各モータのための速度基準補正値は、速度基準値に対して一定の比率を乗じた値を減算することによって、設定される。
【0054】
張力基準補正器19は、材料パラメータ、機械パラメータ、検出された張力値、ワークロール2we1、2we2の位置およびロール荷重の実測値にもとづいて、張力基準補正値を逐次演算する。張力基準補正器19は、開閉するワークロールの下流側の巻取ロール4を駆動するモータ9の張力基準に張力補正値を加算して、トルク制御器40に出力する。
【0055】
このように、速度基準補正器14eは、開閉するワークロール2we1、2we2の上流すべてのロールを駆動するモータ6a、6b、5a~5eの速度基準を小さくなるように補正して速度制御器22a、22b、20a~20eにそれぞれ出力する。そして、張力基準補正器19は、開閉するワークロール2we1、2we2の下流の巻取ロール4を駆動するモータ9の張力基準を張力を増大するように補正してトルク制御器40に出力する。これらによって、ワークロール2we1、2we2の開閉前後において、速度急変を防止し、圧延機2dと巻取ロール4との間の張力を一定に維持することができる。
【0056】
(変形例)
図4は、実施形態の変形例に係るワークロール開閉装置を例示する模式的なブロック図である。
最終段の圧延機2eの下流に配置されたロールは、トルク制御されたモータによって駆動される場合に限らず、速度制御されたモータによって駆動される場合もある。
図4の例では、最終段の圧延機2eの下流には、ブライドルロール(第2ロール)4a、4bをモータ6c、6dで駆動する場合の例が示されている。モータ6c、6dは、速度制御器22c、22dでそれぞれ速度制御される。
【0057】
図4に示すように、変形例に係るワークロール開閉装置10aは、圧延設備100aに適用される。圧延設備100aは、
図1~
図3に示した圧延設備100と同様に、搬送ロール4a、4bおよび複数の圧延機2a~2eを有している。圧延設備100aは、最終段の圧延機2eの下流にさらに、搬送ロール4a、4bを有している。搬送ロール4a、4bを駆動するモータ6c、6dは、速度制御器22c、22dでそれぞれ速度制御される。
【0058】
速度制御器22c、22dには、主幹制御装置から速度基準が供給される。モータ6c、6dのための速度制御器22c、22dは、図示しない速度検出器によって検出されたモータ6c、6dの速度が、速度基準に追従するようにモータ6c、6dをそれぞれ速度制御する。
【0059】
ワークロール開閉装置10aは、設定計算装置12と、速度基準補正器14e、19aと、ワークロール開放・締込指令器18eと、を備える。最終段の圧延機2eのワークロール2we1、2we2を開閉する場合には、
図3に示した例と同様に、速度基準補正器14eは、圧延機2eの上流すべての搬送ロール3a、3bおよびワークロールを駆動するモータ6a、6b、5a~5eの速度基準を減速するように補正する。開閉する圧延機2eの下流の搬送ロール4a、4bを駆動するモータ6c、6dのための速度制御器22c、22dには、ストリップ1の張力を維持するため、速度基準を増大するように補正した速度基準補正値を出力する。
【0060】
ワークロール開放・締込指令器18eは、
図3の例の場合と同様に、たとえばストリップ1の溶接部のトラッキング情報にもとづいて、ワークロール2we1、2we2の開閉のタイミングを判定する。ワークロール開放・締込指令器18eは、圧下制御器30eを介して、ワークロール2we1、2we2の位置およびロール荷重の実測値を取得する。ワークロール開放・締込指令器18eは、取得したワークロール2we1、2we2の位置およびロール荷重の実測値を速度基準補正器14e、19aにそれぞれ出力する。
【0061】
速度基準補正器14eは、
図3の例の場合と同様に、材料パラメータ、機械パラメータ、検出された張力値、ワークロール2we1、2we2の位置およびロール荷重の実測値にもとづいて、速度基準補正値を逐次演算する。速度基準補正器14eは、算出した速度基準補正値を、開閉するワークロール、その上流側すべての搬送ロールをそれぞれ駆動するモータのための速度制御器22a、22b、20a~20eに出力する。たとえば、各モータのための速度基準補正値は、速度基準値に対して一定の比率を乗じた値を減算することによって、設定される。
【0062】
速度基準補正器19aは、材料パラメータ、機械パラメータ、検出された張力値、ワークロール2we1、2we2の位置およびロール荷重の実測値にもとづいて、速度基準補正値を逐次演算する。速度基準補正器19aは、材料パラメータ、機械パラメータ、検出された張力値、ワークロール2we1、2we2の位置およびロール荷重の実測値にもとづいて、速度制御器22c、22dのための速度基準補正値を逐次演算して、速度制御器22c、22dにそれぞれ出力する。
【0063】
実施形態に係るワークロール開閉装置10および変形例に係るワークロール開閉装置10aは、たとえば、1台または複数台のコンピュータ装置により実現される。上述した設定計算装置、速度基準補正器、圧下基準補正器およびワークロール開放・締込指令器の一部分あるいは全部は、コンピュータ装置のための1つまたは複数のプログラムを実行することによって実現される。図示しない主幹制御装置は、たとえばプログラマブルロジックコントローラ(PLC)であり、ワークロール開閉装置10、10aを構成する一部または全部の要素は、このPLCのプログラムによって実現されてもよい。
【0064】
実施形態に係るワークロール開閉装置10の効果について説明する。
実施形態に係るワークロール開閉装置10は、ワークロール開放・締込指令器と、速度基準補正器と、圧下基準補正器と、を備える。ワークロール開放・締込指令器および速度基準補正器によって、複数の圧延機のうち開閉するワークロールを駆動するモータおよびその上流に配置されたロールを駆動するすべてのモータのための速度基準補正値を逐次演算して速度制御器に逐次出力する。また、ワークロール開放・締込指令器および圧下基準補正器によって、開閉するワークロールを有する圧延機の下流に隣接する圧延機のための圧下基準補正値を逐次演算し、圧下制御器に逐次出力する。これらによって、複数の圧延機のうち、上流および下流に圧延機が配置されたすべての圧延機のワークロールの開閉により、速度急変を抑制し、ストリップの張力を維持することができる。
【0065】
実施形態に係るワークロール開閉装置10のワークロール開放・締込指令器および速度基準補正器は、もっとも上流に配置された圧延機のさらに上流に配置された搬送ロールを駆動するモータのために逐次算出された速度基準補正値をそれらモータのための速度制御器に逐次出力する。また、ワークロール開放・締込指令器および圧下基準補正器によって、開閉するワークロールを有する圧延機の下流に隣接する圧延機のために逐次算出された圧下基準補正値を圧下制御器に逐次出力する。これらによって、もっとも上流に配置された圧延機のワークロールを開閉する場合においても、速度急変を抑制し、ストリップの張力を維持することができる。
【0066】
実施形態に係るワークロール開閉装置10のワークロール開放・締込指令器および張力基準補正器は、もっとも下流に配置された圧延機のさらに下流に配置されたロールを駆動するモータのための張力基準補正値をトルク制御器に出力する。そのため、もっとも下流の圧延機のワークロールを開閉する場合であっても、速度急変を抑制し、ストリップの張力を維持することができる。
【0067】
実施形態に係るワークロール開閉装置10のワークロール開放・締込指令器および圧下基準補正器は、開閉するワークロールを有する圧延機の下流に隣接する圧延機のための圧下基準補正値を圧下制御器に出力する。そのため、複数の圧延機のワークロールのうち、最終段の圧延機のワークロールを開閉する場合を除き、ワークロールの開閉による板厚の変動を抑制することができる。
【0068】
実施形態の変形例に係るワークロール開閉装置10aでは、ワークロール開放・締込指令器および速度基準補正器は、もっとも下流に配置された圧延機のさらに下流に配置されたロールを駆動するモータのための速度基準補正値をそのモータのための速度制御器に出力する。そのため、もっとも下流の圧延機のワークロールを開閉する場合であっても、速度急変を抑制し、ストリップの張力を維持することができる。
【0069】
上述の具体例では、5段の圧延機の場合について説明したが、圧延機の段数は、これに限らず、3段以上であればよい。
【0070】
このようにして、ストリップの搬送中にワークロール開閉を可能にするワークロール開閉装置を実現することができる。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1…ストリップ、2a~2e…圧延機、2wa1~2we2…ワークロール、3a、3b、4a、4b…搬送ロール、4…巻取ロール、5a~5e、6a~6d、9…モータ、7a~7e…圧下装置、8a~8f…張力計、10、10a…ワークロール開閉装置、12…設定計算装置、14a、14c、14e、19a…速度基準補正器、16b、16d…圧下基準補正器、18a、18c、18e…ワークロール開放・締込指令器、20a~20e、22a~22d…速度制御器、30a~30e…圧下制御器、40…トルク制御器、100、100a…圧延設備