(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076830
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体及び衛生マスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20240530BHJP
【FI】
A41D13/11 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188617
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】391033344
【氏名又は名称】百瀬 淑
(71)【出願人】
【識別番号】522462247
【氏名又は名称】大竹 素子
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188765
【弁理士】
【氏名又は名称】赤座 泰輔
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(71)【出願人】
【識別番号】522462258
【氏名又は名称】大竹 琉月
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188765
【弁理士】
【氏名又は名称】赤座 泰輔
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 淑
(72)【発明者】
【氏名】大竹 素子
(72)【発明者】
【氏名】大竹 琉月
(57)【要約】
【課題】抗菌抗ウイルス効果を発揮することができ、かつ、再利用することができる衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体を提供すること。
【解決手段】衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1は、放射性物質焼成体粒子が結合材で固化されたものであり、衛生マスク2の表面に市販の両面テープ3を用いて貼り付けて使用される。均一な放射線量を発揮することができるように、放射性物質焼成体粒子は、放射性物質粒子を粉砕し、一定の放射線量を発する量に調整し、合計が一定の重量となる量のセラミックス原材料粉末を加えて、これらを撹拌した後に焼成させたものを粉砕したものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性物質粒子と結合材とを含有して、固化されたことを特徴とする衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体。
【請求項2】
前記結合材がポルトランドセメント( JIS R 5210:2019 )であることを特徴とする請求項1に記載の衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体。
【請求項3】
前記放射性物質粒子がモナズ石粉砕粒子であることを特徴とする請求項1に記載の衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体。
【請求項4】
ブラックシリカ(黒鉛珪石)を含有することを特徴とする請求項1に記載の衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体。
【請求項5】
接した位置での時間当たりの放射線量が0.1~1.0μSv/hであることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体。
【請求項6】
請求項5に記載の衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体を備えることを特徴とする衛生マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菌やウイルスを不活性化させる衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体と、衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体が取り付けられた衛生マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、菌やウイルスを不活性化させる衛生マスクとして、衛生マスクを構成する不織布に、抗菌抗ウイルス効果を発揮する放射線発生物質が塗布された、衛生マスクが、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された衛生マスクは、抗菌抗ウイルス効果を発揮する放射線発生物質が衛生マスクを構成する不織布に塗布されている。しかし、不織布に対する塗布量には限界があるため、十分に抗菌抗ウイルス効果を発揮することができないという課題があった。また、放射線発生物質が不織布に塗布されているため、抗菌抗ウイルス効果を発揮する放射線発生物質は、再利用することができないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記にかんがみて、抗菌抗ウイルス効果を発揮することができ、かつ、再利用することができる衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体は、放射性物質粒子と結合材とを含有して、固化されたことを特徴とする。
【0007】
本発明の衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体によれば、放射性物質粒子を含有しているため、放射性物質粒子が発する放射線により抗菌抗ウイルス効果を発揮することができる。また、衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体は、固化体であり、衛生マスクに脱着が可能であるため、再利用することができる。
【0008】
ここで、上記衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体において、前記結合材がポルトランドセメント( JIS R 5210:2019 )である構成とすることができる。
【0009】
これによれば、ポルトランドセメントのアルカリ成分が、口臭の原因となる菌類を浮かすことができる。これにより、抗菌効果を発揮することができる。
【0010】
また、上記衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体において、前記放射性物質粒子がモナズ石粉砕粒子である構成とすることができる。
【0011】
これによれば、抗菌抗ウイルス効果を発揮することができる。
【0012】
また、上記衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体において、ブラックシリカ(黒鉛珪石)を含有する構成とすることができる。
【0013】
これによれば、ブラックシリカの有する抗菌効果により、抗菌効果を発揮することができる。
【0014】
また、上記衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体において、接した位置での時間当たりの放射線量が0.1~1.0μSv/hであるものとすることができる。
【0015】
これによれば、時間当たりの放射線量(線量当量率)が0.1~1.0μSv/hであることにより、人体への影響を抑制しつつ、抗菌抗ウイルス効果を発揮することができる。
【0016】
ここで、本発明の衛生マスクは、上記の衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体を備える構成とすることができる。
【0017】
これによれば、衛生マスクの使用者の口腔の衛生を保つことができるとともに、口臭の低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体によれば、抗菌抗ウイルス効果を発揮することができ、かつ、再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態の衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体が備えられた衛生マスクの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体の実施形態について説明する。実施形態の衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1は、放射性物質粒子が結合材で固化されたものであり、
図1に示すように、衛生マスク2に取り付けられて使用される。
【0021】
放射性物質粒子とは、微弱な放射線を発生する物質である放射性元素を含有する天然鉱石又はその粉砕物である。放射性元素を含有する天然鉱石として、特に限定されることなく使用することができるが、別の実施形態として、半減期の長い、トリウム鉱石、カリウム鉱石を使用することができる。トリウム鉱石としては、モナズ石(モナザイト)、トール石などがある。カリウム鉱石としては、カリ岩塩がある。さらに別の実施形態として、トリウム鉱石、特にモナズ石とすることができる。
【0022】
これら放射性物質粒子は、ガンマ線を発するものであり、ガンマ線は、衛生マスク2周辺の空気中の水分子に作用して、水素ラジカル(・H)とヒドロキシルラジカル(・OH)を発生させる。放射性物質粒子の発したガンマ線によって発生した水素ラジカルは、有機化合物の原子間の結合を切断する特性を有し、有機化合物を低分子化させて新たな低分子有機化合物へと変化させる。つまり、水素ラジカルによって、臭いの元となる有機化合物は臭いの少ない新たな低分子有機化合物へと変化させられるため、水素ラジカルを発生させる放射性物質粒子は、消臭効果を発揮する。また、放射性物質粒子の発したガンマ線によって発生したヒドロキシルラジカルはその一部が過酸化水素(H2O2)となり、ヒドロキシルラジカルと過酸化水素は、菌やウイルスを不活性化する特性を有し、抗菌効果を発揮する。つまり、水素ラジカルとヒドロキシルラジカルを発生させる放射性物質粒子は、消臭効果と抗菌効果を発揮する。
【0023】
放射性物質粒子として使用可能なトリウム鉱石とカリウム鉱石は、天然鉱石であるため、時間当たりの放射線量にばらつきがある。実施形態の衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1では、消臭効果と抗菌効果を均一に発揮することができるように、単位重量・時間当たりの放射線量を揃えて使用する。具体的には、天然鉱石を粉砕し、一定の時間当たりの放射線量を発する量を取り分け、合計が一定の重量となる量のセラミックス原材料粉末を加えて、これらを撹拌した後に焼成させて、放射性物質焼成体とする。放射性物質焼成体は、さらに粉砕して、放射性物質焼成体粒子とし、衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1の原材料として使用される。放射性物質焼成体粒子は、放射性物質粒子としての天然鉱石が放射線量を揃えられて混合されているため、均一な重量・時間当たりの放射線量を発揮するものとなる。なお、セラミックス原材料としては、汎用のアルミナ、ジルコニア、チタン酸バリウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを適度に混合して使用することができる。
【0024】
結合材とは、放射性物質粒子を固化させるバインダであり、結合材として、無機結合材と有機結合材を使用することができる。無機結合材としては、ポルトランドセメント( JIS R 5210:2019 )、石膏プラスター( JIS A 6904:2006 )、粘土(陶土粘土)、などを使用することができる。粘土は、放射性物質粒子と混錬した後に、焼結させることにより、放射性物質粒子を固化させることができる。別の実施形態として、ポルトランドセメント、石膏プラスターを使用することができる。これらのアルカリ成分が、口臭の原因となる菌類を浮かすことができ、抗菌効果を発揮することができるためである。有機結合材としては、エポキシ樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、デンプン、セルロース、などを使用することができる。別の実施形態として、エポキシ樹脂を使用することができる。耐放射線性に優れるためである。
【0025】
衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1には、必要に応じて、その他添加剤として、ブラックシリカ(黒鉛珪石)、磁性体粒子、着色顔料、体質顔料を含有させることができる。
【0026】
ブラックシリカ(黒鉛珪石)とは、北海道上ノ国町で産出される鉱物であり、珪藻類の堆積に黒鉛が混入されたものと推測されている。ブラックシリカは、マイナスイオンと遠赤外線を発し、マイナスイオンによって抗菌効果を発揮するとともに、遠赤外線によって衛生マスク2の装着部を温める。
【0027】
磁性体粒子とは、磁石の粒子であり、磁気によって衛生マスク2の装着部の人体の血行の促進を図ることができる。磁性体粒子の磁石として、ネオジム磁石(NdFeB)、サマリウム・コバルト磁石(SmCo)など磁力の強い磁石を使用することができる。
【0028】
着色顔料とは、特定の波長の光を反射する材料であり、衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1に色彩を与える原材料である。着色顔料は、付与する色彩に応じた汎用の顔料を使用することができる。着色顔料の例として、白;酸化チタン(アナターゼ)、酸化チタン(ルチル)、黒;カーボンブラック、赤;ベンガラ、キナクリドン、青;コバルトブルー、フタロシアニンブルー、黄;ニッケルチタンイエロー、モノアゾイエロー、などを使用することができる。着色顔料の中でも、酸化チタン(アナターゼ)は、光触媒効果により有機物を分解する能力を有しているため、抗菌抗ウイルス効果を発揮することができる。
【0029】
体質顔料は、結合材と共に衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1を形成するものであり、炭酸カルシウム、珪砂、タルク、硫酸バリウムなどを使用することができる。体質顔料を用いることにより、衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1の製造コストを下げることができる。
【0030】
次に、実施形態の衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1の製造方法について述べる。実施形態の衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1は、放射性物質粒子として放射性物質焼成体粒子を含有する。このため、先ずは、放射性物質焼成体の製造方法について述べる。なお、実施形態において、放射線量を測定する際の測定距離(試料表面とセンサとの距離)は、特に定めない限り、0mmとする。
【0031】
放射性物質焼成体の製造方法は、一定の時間当たりの放射線量(例えば、約10μSv/h)を発する量の天然鉱石の粉砕物に、合計が一定の重量(例えば、約1kg)となる量のセラミックス原材料粉末を加えて、これらを撹拌した後に焼成させて、放射性物質焼成体とした。天然鉱石の粉砕物は、天然鉱石としてのトリウム鉱石やカリウム鉱石を汎用の粉砕機を用いて粉砕することによって得ることができる。放射性物質焼成体は、汎用の粉砕機を用いて粉砕することによって、放射性物質焼成体粒子とし、衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1の原材料となる。
【0032】
衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1の製造方法は、結合材の種類によって異なる。結合材がポルトランドセメント又は石膏プラスターである場合には、結合材と放射性物質焼成体粒子とその他添加剤とを混合し、適宜水を加えてスラリーとして、スラリーを衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1の製品形状となる型枠に流し込み、スラリーを固化させることによって、衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1が形成される。
【0033】
結合材が粘土(陶土粘土)である場合には、結合材と放射性物質焼成体粒子とその他添加剤とを混合したもの、又は、これに水を加えてスラリーとしたものを、型枠に流し込み固化させたものを焼成させることにより、衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1が形成される。
【0034】
結合材が有機結合材である場合には、結合材と放射性物質焼成体粒子とその他添加剤とを混合したものを、型枠に流し込み、固化させることによって、衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1が形成される。
【0035】
実施形態の衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1は、接した位置での時間当たりの放射線量(線量当量率)が0.1~1.0μSv/hであるものとすることができる。これによれば、人体への影響を抑制しつつ、抗菌抗ウイルス効果を発揮することができる。時間当たりの放射線量が0.1μSv/h未満である場合には、抗菌抗ウイルス効果を十分に発揮することができないおそれがある。一方、時間当たりの放射線量が1.0μSv/hを超えると、人体へ影響を及ぼすおそれがある。別の実施形態として、時間当たりの放射線量は0.2~0.5μSv/hとすることができる。衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1の時間当たりの放射線量の調整は、放射性物質焼成体粒子の含有量の調整、衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1の全体量の調整、などによって行なうことができる。
【0036】
衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1は、
図1に示すように、衛生マスク2の表面に市販の両面テープ3を用いて貼り付けて使用する。実施形態の衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1によれば、放射性物質粒子を含有しているため、放射性物質粒子が発する放射線により抗菌抗ウイルス効果と消臭効果を発揮することができ、衛生マスクの使用者の口腔の衛生を保つことができるとともに、口臭の低減を図ることができる。また、衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1は、固化体であり、衛生マスク2に脱着が可能であるため、再利用することができる。
【実施例0037】
<放射性物質焼成体粒子>
先ずは、放射性物質粒子を含有する放射性物質焼成体を作成した。放射性物質焼成体は、衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1に含有させる放射性物質粒子を含有するものである。放射性物質焼成体は、以下の配合の粉体混合物を1150℃で焼結させることにより得た。
【0038】
<粉体混合物の配合>
モナズ石(モナザイト)粉砕物 212g(10.156μSv/h)
セラミックス原材料粉末 788g
得られた放射性物質焼成体1kgの放射線量は、4.565μSv/hであった。放射性物質焼成体は、粉砕機で粉砕させて、実施例で使用する放射性物質焼成体粒子(平均粒子径(メジアン径d50):1.0μm)とした。なお、セラミックス原材料粉末は、Al2O3、ZrO2、Si3N4、AlN、SiCなどの粉末の混合物である。
【0039】
<衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体>
表1は、実施例の衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1に使用する原材料の規格である。これら原材料を用いて実施例の衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1を作成した。表2~4は、実施例の衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1の配合及び固化条件などを記載したものである。
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【表4】
実施例の衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1は、放射性物質粒子が発する放射線により抗菌抗ウイルス効果と消臭効果を発揮するものであるが、数値として比較ができるように、実施例の試験体について、放射線量、水素ラジカル発生量を測定し、さらに、抗菌性試験を行った。放射線量、水素ラジカル発生量、抗菌性試験の方法について、以下に記載する。なお、これら試験結果は、表2~4に記載した。
【0044】
<放射線量>
放射線量は、衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1からの距離を定めて放射線測定器( Radiation Survey Meter PA-100 (株式会社堀場製作所製))を用いて時間当たりの放射線量(μSv/h)を測定した。
【0045】
<水素ラジカル発生量>
水素ラジカル発生量は、衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1からの距離を定めてイオンカウンタ( Air Ion Counter IC-1000 ( Alpha Lab Inc.製))を用いて水素ラジカル発生量(個/cc))を測定した。
【0046】
<抗菌性試験>
抗菌性試験は、菌種(枯草菌又は大腸菌)をブイヨン培地で24時間培養した試験菌液0.1mlを普通寒天培地に播種して、培地中央に試験体を置き、48時間培養後に、ハロー(発育阻止帯)の幅を測定した。なお、抗菌性試験は、実施例10で行った。
【0047】
(実施例1)
実施例1は、放射性物質焼成体粒子を普通ポルトランドセメントで固化したものであり、放射性物質粒子が発する放射線により抗菌抗ウイルス効果と消臭効果を発揮することができるとともに、普通ポルトランドセメントのアルカリ成分が口臭の原因となる菌類を浮かすことができ抗菌効果を高めることができる。
【0048】
(実施例2)
実施例2は、放射性物質焼成体粒子を焼石膏で固化したものであり、放射性物質粒子が発する放射線により抗菌抗ウイルス効果と消臭効果を発揮することができる。
【0049】
(実施例3)
実施例3は、放射性物質焼成体粒子とネオジム磁石を普通ポルトランドセメントで固化したものであり、放射性物質粒子が発する放射線により抗菌抗ウイルス効果と消臭効果を発揮することができ、普通ポルトランドセメントのアルカリ成分が抗菌効果を高め、ネオジム磁石の磁気により、装着者の血行を促進することができる。
【0050】
(実施例4)
実施例4は、放射性物質焼成体粒子とブラックシリカを普通ポルトランドセメントで固化したものであり、放射性物質粒子が発する放射線により抗菌抗ウイルス効果と消臭効果を発揮することができ、普通ポルトランドセメントとブラックシリカが抗菌効果を高めることができる。
【0051】
(実施例5)
実施例5は、放射性物質焼成体粒子をエポキシ樹脂で固化したものであり、放射性物質粒子が発する放射線により抗菌抗ウイルス効果と消臭効果を発揮することができる。
【0052】
(実施例6)
実施例6は、放射性物質焼成体粒子を陶土粘土で焼結させたものであり、放射性物質粒子が発する放射線により抗菌抗ウイルス効果と消臭効果を発揮することができる。
【0053】
(実施例7~9)
実施例7~9は、実施例1~6から固化体寸法と測定条件を変更した。実施例7は、放射性物質焼成体粒子をエポキシ樹脂で固化したものであり、放射性物質粒子が発する放射線により抗菌抗ウイルス効果と消臭効果を発揮することができる。実施例8は、放射性物質焼成体粒子と陶土粘土を混錬水でスラリーとして、型枠内で固化させたものを焼結させたものであり、放射性物質粒子が発する放射線により抗菌抗ウイルス効果と消臭効果を発揮することができる。実施例9は、実施例8から焼結温度を上げたものであり、実施例8同様に、放射性物質粒子が発する放射線により抗菌抗ウイルス効果と消臭効果を発揮することができる。
【0054】
(実施例10)
実施例10は、実施例1と同じ配合の衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1について抗菌性試験を行ったものである。抗菌性試験では、枯草菌と大腸菌について、ハロー(発育阻止帯)の発生が確認でき、衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1は、放射性物質粒子が発する放射線により抗菌抗ウイルス効果を発揮することが確認できた。
【0055】
(その他実施形態)
実施形態の衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1は、以下のような形態であってもその実施をすることができる。実施形態の衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1では、放射性物質焼成体粒子を結合材で固化したものであるが、さらに着色塗料でコーティングさせたものとすることができる。これにより、衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1の外観上の美感を高めることができる。また、着色塗料の顔料に、酸化チタン(アナターゼ)を用いることにより、抗菌抗ウイルス効果を高めることができる。また、実施形態の衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1では、その形状を長方体又は円筒形としたが、
図1に示すハート形など自由な形状とすることができる。
【0056】
(その他の技術的思想)
以上のように構成された実施形態の衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体1から把握されるその他の技術的思想について、以下に記載する。
【0057】
上記衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体において、磁性体粒子を含有する構成とすることができる。
【0058】
これによれば、磁気によって衛生マスクの装着部の人体の血行の促進を図ることができる。
【0059】
上記衛生マスク用抗菌抗ウイルス固化体の製造方法であって、
一定の放射線量を発する量の天然鉱石の粉砕物に、合計が一定の重量となる量のセラミックス原材料粉末を加えて、これらを撹拌した後に焼成させる、放射性物質焼成工程と、
該放射性物質焼成工程で形成された放射性物質焼成体を粉砕する粉砕工程と、
該粉砕工程で生成された放射性物質焼成体粒子と、前記結合材とを、混合して固化する固化工程と、からなる構成とすることができる。
【0060】
これによれば、放射性物質焼成体粒子が放射性物質粒子としての天然鉱石が放射線量を揃えられて混合されているため、均一な放射線量を発揮するものとすることができる。