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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076837
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】センサユニット及びバッテリパック
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20240530BHJP
   H01M 50/242 20210101ALI20240530BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240530BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20240530BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20240530BHJP
   H01M 10/48 20060101ALN20240530BHJP
   H01M 50/273 20210101ALN20240530BHJP
   G01L 1/14 20060101ALN20240530BHJP
【FI】
G01L5/00 F
H01M50/242
H01M50/204 401D
H01M50/293
H01M50/291
H01M10/48 Z
H01M50/273
G01L1/14 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188624
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩一
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕和
【テーマコード(参考)】
2F051
5H030
5H040
【Fターム(参考)】
2F051AA21
2F051AB06
2F051AC07
5H030AA06
5H030AS08
5H030FF51
5H040AA19
5H040AS04
5H040AY05
5H040DD26
(57)【要約】
【課題】複数の検出領域を間隔をおいて配置しても、衝撃の入力位置による検出感度のばらつきを抑制可能とする。
【解決手段】センサユニット10は、左右方向に配列される複数のバッテリセル2aを有するバッテリモジュール2と、バッテリモジュール2の下面側に配置されるアンダー部材5とを含むバッテリパック1において、バッテリモジュール2の下面とアンダー部材5の上面との間に配置されてバッテリモジュール2への衝撃入力を検出する。センサユニット10は、左右方向へ所定間隔をおいて配列される複数の検出領域25を有するセンサシート11と、エラストマで形成されてセンサシート11の下面側に配置される入力伝達シート12と、を備え、入力伝達シート12の上面には、左右方向で隣接する検出領域25の間の間隙部26に対向し、前後方向に延びる第1凹溝31が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平である所定の第1方向に配列される複数のバッテリセルを有するバッテリモジュールと、前記バッテリモジュールの下面側に配置されるアンダー部材とを含むバッテリパックにおいて、前記バッテリモジュールの下面と前記アンダー部材の上面との間に配置されて前記バッテリモジュールへの衝撃入力を検出するセンサユニットであって、
前記第1方向へ所定間隔をおいて配列される複数の検出領域を有するセンサシートと、
エラストマで形成されて前記センサシートの下面側に配置される入力伝達シートと、を備え、
前記入力伝達シートの上面には、前記第1方向で隣接する前記検出領域の間の間隙部に対向し、前記第1方向と水平に直交する第2方向に延びる凹溝が形成されていることを特徴とするセンサユニット。
【請求項2】
各前記検出領域は、上下方向で各前記バッテリセルと重なっていることを特徴とする請求項1に記載のセンサユニット。
【請求項3】
前記凹溝の上面における前記第1方向での開口幅は、対向する前記間隙部の前記第1方向での幅と同等以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセンサユニット。
【請求項4】
前記センサシートは、絶縁層と、前記絶縁層の上下に配置され、前記検出領域を形成する少なくとも一対の電極層と、を含んでなり、
前記入力伝達シートの弾性率は、前記絶縁層の弾性率よりも大きく設定され、
前記凹溝の深さは、前記絶縁層の厚みよりも大きく設定され、
前記入力伝達シートにおける前記凹溝の形成部分の残部の厚みは、前記絶縁層の厚みよりも大きく設定されていることを特徴とする請求項3に記載のセンサユニット。
【請求項5】
各前記検出領域は、非検出領域である空隙部をそれぞれ有し、前記入力伝達シートの上面には、各前記空隙部にそれぞれ対向する凹部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のセンサユニット。
【請求項6】
前記バッテリモジュールの下面に取り付けられて、前記アンダー部材の上面との間に隙間が生じる状態で配置されていることを特徴とする請求項1に記載のセンサユニット。
【請求項7】
前記バッテリモジュールの下面及び前記アンダー部材の上面に接触した状態で配置されていることを特徴とする請求項1に記載のセンサユニット。
【請求項8】
水平である所定の第1方向に配列される複数のバッテリセルを有するバッテリモジュールと、
前記バッテリモジュールの下面側に配置されるアンダー部材と、
前記バッテリモジュールの下面と前記アンダー部材の上面との間に配置されて前記バッテリモジュールへの衝撃入力を検出するセンサユニットと、を含むバッテリパックであって、
前記センサユニットは、
前記第1方向へ所定間隔をおいて配列される複数の検出領域を有するセンサシートと、
エラストマで形成されて前記センサシートの下面側に配置される入力伝達シートと、を備え、
前記入力伝達シートの上面には、前記第1方向で隣接する前記検出領域の間の間隙部に対向し、前記第1方向と水平に直交する第2方向に延びる凹溝が形成されており、
前記アンダー部材は、導電性を有して接地されていることを特徴とするバッテリパック。
【請求項9】
前記バッテリモジュールの上面側に、導電性を有するアッパー部材が備えられて、前記アッパー部材が接地されていることを特徴とする請求項8に記載のバッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動車等の移動体に用いられるバッテリパックの変形を検出するためのセンサユニットと、当該センサユニットを備えたバッテリパックとに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車では、ハイブリッド式や全電気式といった電動化が進み、各装置の駆動電源として、リチウムイオン電池等を用いたバッテリパックが搭載されている。このバッテリパックは、複数のバッテリセルを有するバッテリモジュールを有し、自動車のフレームの上側或いはフレームの下側に設置される。
バッテリパックがフレームの下側に設置される場合、路面との接触や飛び石等による衝撃から保護するために、バッテリパックの下面はアンダー部材で覆われる。
しかし、リチウムイオン電池は外部からの衝撃に弱く、変形等により爆発や火災の危険があり、路面からの衝撃によりアンダー部材が変形するとバッテリパックに衝撃入力が加わる。よって、バッテリパックへの衝撃入力をアンダー部材の変形を検出することで監視するセンサが用いられている。このセンサとして、例えば特許文献1には、バッテリパックの下面とアンダー部材との間に、冷却剤が通過する複数の冷却導管を配置し、路面からの衝撃により冷却導管が変形した際の冷却剤の流速又は圧力等を監視することでバッテリパックの損傷を検出するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5858123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシステムは、バッテリパックとアンダー部材との間に、冷却剤が通過する冷却導管を介在させるため、熱交換器やコンプレッサ等の供給システムが新たに必要となる。よって、厚みや重量が大きくなってコストアップに繋がる。
そこで、シート状のセンサをバッテリパックとアンダー部材との間に介在させれば、コンパクト化及び軽量化が達成できる。このセンサとして、例えば、絶縁層を挟んで一対の電極層を設けてなる静電容量型センサが挙げられる。この静電容量型センサをバッテリパックとアンダー部材との間に配置すれば、アンダー部材に外力が作用した際の静電容量の変化から衝撃入力を検出することができる。
しかし、静電容量型センサは、検出が必要な領域をカバーするため複数並べて配置する場合がある。この場合、センサの数を増やすとコストアップに繋がるため、隣接するセンサ同士の間隔を大きくとるのが望ましいが、センサ間の間隙部(非検出領域)で衝撃入力があった際の感度が低下してしまい、衝撃の入力位置によって検出感度にばらつきが生じるという問題がある。特に静電容量型センサは、電極層同士の距離と電極層の面積との比率が検出感度に大きく影響するため、検出感度を調整するために電極層の面積を適切に設定する必要がある。よって、間隙部を小さくするために検出領域となるセンサの面積を大きくするにも限界がある。
【0005】
そこで、本開示は、複数の検出領域を間隔をおいて配置しても、衝撃の入力位置による検出感度のばらつきを抑制することができるセンサユニット及びバッテリパックを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の第1の構成は、水平である所定の第1方向に配列される複数のバッテリセルを有するバッテリモジュールと、バッテリモジュールの下面側に配置されるアンダー部材とを含むバッテリパックにおいて、バッテリモジュールの下面とアンダー部材の上面との間に配置されてバッテリモジュールへの衝撃入力を検出するセンサユニットであって、
第1方向へ所定間隔をおいて配列される複数の検出領域を有するセンサシートと、
エラストマで形成されて前記センサシートの下面側に配置される入力伝達シートと、を備え、
入力伝達シートの上面には、第1方向で隣接する検出領域の間の間隙部に対向し、第1方向と水平に直交する第2方向に延びる凹溝が形成されていることを特徴とする。
第1の構成の別の態様は、上記構成において、各検出領域は、上下方向で各バッテリセルと重なっていることを特徴とする。
第1の構成の別の態様は、上記構成において、凹溝の上面における第1方向での開口幅は、対向する間隙部の第1方向での幅と同等以上であることを特徴とする。
第1の構成の別の態様は、上記構成において、センサシートは、絶縁層と、絶縁層の上下に配置され、検出領域を形成する少なくとも一対の電極層と、を含んでなり、
入力伝達シートの弾性率は、絶縁層の弾性率よりも大きく設定され、
凹溝の深さは、絶縁層の厚みよりも大きく設定され、
入力伝達シートにおける凹溝の形成部分の残部の厚みは、絶縁層の厚みよりも大きく設定されていることを特徴とする。
第1の構成の別の態様は、上記構成において、各検出領域は、非検出領域である空隙部をそれぞれ有し、入力伝達シートの上面には、各空隙部にそれぞれ対向する凹部が形成されていることを特徴とする。
第1の構成の別の態様は、上記構成において、センサユニットは、バッテリモジュールの下面に取り付けられて、アンダー部材の上面との間に隙間が生じる状態で配置されていることを特徴とする。
第1の構成の別の態様は、上記構成において、センサユニットは、バッテリモジュールの下面及びアンダー部材の上面に接触した状態で配置されていることを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の第2の構成は、水平である所定の第1方向に配列される複数のバッテリセルを有するバッテリモジュールと、
バッテリモジュールの下面側に配置されるアンダー部材と、
バッテリモジュールの下面とアンダー部材の上面との間に配置されてバッテリモジュールへの衝撃入力を検出するセンサユニットと、を含むバッテリパックであって、
センサユニットは、
第1方向へ所定間隔をおいて配列される複数の検出領域を有するセンサシートと、
エラストマで形成されてセンサシートの下面側に配置される入力伝達シートと、を備え、
入力伝達シートの上面には、第1方向で隣接する検出領域の間の間隙部に対向し、第1方向と水平に直交する第2方向に延びる凹溝が形成されており、
アンダー部材は、導電性を有して接地されていることを特徴とする。
第2の構成の別の態様は、上記構成において、バッテリモジュールの上面側に、導電性を有するアッパー部材が備えられて、アッパー部材が接地されていることを特徴とする。
なお、本開示において、「水平」は、厳密な水平を含むが、下方からの衝撃入力を感度よく検出できれば足りる趣旨から、厳密な水平からの多少の誤差(傾斜)は許容する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の第1の構成のセンサユニットによれば、入力伝達シートの凹溝により間隙部への衝撃入力が回避される。よって、複数の検出領域を間隔をおいて配置しても、衝撃の入力位置による検出感度のばらつきを抑制することができる。
第1の構成の別の態様によれば、上記効果に加えて、各検出領域は、上下方向で各バッテリセルと重なっているので、各バッテリセルごとの衝撃入力を精度良く検出可能となる。
第1の構成の別の態様によれば、上記効果に加えて,凹溝の上面における第1方向での開口幅は、対向する間隙部の第1方向での幅と同等以上であるので、衝撃入力を検出領域へ確実に伝達することができる。
第1の構成の別の態様によれば、上記効果に加えて、センサシートは、絶縁層と一対の電極層とを含んでなり、入力伝達シートの弾性率は、絶縁層の弾性率よりも大きく設定され、凹溝の深さは、絶縁層の厚みよりも大きく設定され、入力伝達シートにおける凹溝の形成部分の残部の厚みは、絶縁層の厚みよりも大きく設定されているので、凹部を形成しても入力伝達シートから各検出領域への衝撃入力の伝達のムラを抑えることができる。
第1の構成の別の態様によれば、上記効果に加えて、各検出領域は、非検出領域である空隙部をそれぞれ有し、入力伝達シートの上面には、各空隙部にそれぞれ対向する凹部が形成されているので、衝撃入力を検出しない空隙部への衝撃入力を回避することができる。
第1の構成の別の態様によれば、上記効果に加えて、センサユニットは、バッテリモジュールの下面に取り付けられて、アンダー部材の上面との間に隙間が生じる状態で配置されているので、アンダー部材の変形に伴うバッテリセルへの過度な衝撃入力を抑制することができる。
第1の構成の別の態様によれば、上記効果に加えて、センサユニットは、バッテリモジュールの下面及びアンダー部材の上面に接触した状態で配置されているので、アンダー部材の変形による衝撃入力をより確実に検出できる。
第2の構成のバッテリパックによれば、上記センサユニットに係る効果に加えて、アンダー部材の接地により、センサユニットへの浮遊容量の影響を低減し、安定動作させることができる。
第2の構成の別の態様によれば、上記効果に加えて、導電性を有するアッパー部材も接地されているので、安定動作性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】バッテリパックの正面図である。
図2】センサユニットの上方からの斜視図である。
図3】センサユニットの分解斜視図である。
図4】センサユニットの長手方向断面における第1凹溝部分の拡大図である。
図5】センサユニットの長手方向断面における第2凹溝部分の拡大図である。
図6】センサユニットにおける衝撃入力の伝達状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、バッテリパックの一例を示す正面図である。なお、説明の便宜上、図1の上側を上、左側を左として上下方向及び左右方向を規定する。
バッテリパック1は、自動車のフレームの下面に設置されている。バッテリパック1は、バッテリモジュール2と、バッテリモジュール2を収容するケース3と、センサユニット10とを備えている。
バッテリモジュール2は、左右方向に配列される複数のバッテリセル2a,2a・・を有している。
ケース3は、バッテリモジュール2を上方から保持して下面が開口するアッパー部材4と、アッパー部材4に下方から組み付けられて開口を閉塞するアンダー部材5とを備えている。アッパー部材4及びアンダー部材5は、何れも導電性材料で形成されて接地がなされている。
センサユニット10は、ケース3内でバッテリモジュール2の下面に取り付けられている。この状態でセンサユニット10の下面とアンダー部材5の上面との間には、隙間が形成されている。
【0011】
センサユニット10は、図2及び図3に示すように、上側のセンサシート11と、下側の入力伝達シート12とを含んでなる。センサシート11と入力伝達シート12とは、何れも左右方向に延びる平面視帯板状となっている。
センサシート11は、第1電極層シート13と、絶縁層シート14と、第2電極層シート15とを上から順に厚み方向に重ねて一体化してなる。
第1電極層シート13は、樹脂製(例えばエラストマ)で平面視帯板状の第1弾性シート16の下面に、平面視が四角形状となる複数の第1電極層17,17・・を、左右方向に所定間隔をおいて形成したものである。各第1電極層17の中央には、第1弾性シート16の短手方向(前後方向)に延びる空隙部18がそれぞれ形成されている。第1弾性シート16の左右方向の略中央には、各第1電極層17の配線を引き出す第1配線部19が設けられている。
絶縁層シート14は、第1弾性シート16と同じ樹脂製で、第1配線部19を除いた同じ外形で平面視帯板状に形成されている。
【0012】
第2電極層シート15も、第1弾性シート16と同じ樹脂で平面視帯板状に形成される第2弾性シート20を備えている。第2弾性シート20の上面には、左右方向に延びる帯板状の第2電極層21が形成されている。第2電極層21の短手方向の幅は、第1電極層17の短手方向の幅よりやや大きくなっている。第2電極層21の長手方向の長さも、全ての第1電極層17,17・・に亘る長さよりやや大きくなっている。第2弾性シート20の左右方向の略中央には、第2電極層21の配線を引き出す第2配線部22が設けられている。
こうして第1電極層シート13と絶縁層シート14と第2電極層シート15とが重なった状態では、上下方向で各第1電極層17と第2電極層21とが重なり、図2に示すように、左右方向にそれぞれ間隙部26をおいて隣接する複数の検出領域25,25・・が形成される。
【0013】
入力伝達シート12は、エラストマからなる平面視帯板状で、左右方向の長さは、センサシート11と略同じとなっている。入力伝達シート12の短手方向の長さは、センサシート11の短手方向の長さよりも短くなっている。入力伝達シート12の弾性率は、センサシート11の絶縁層シート14の弾性率よりも大きく設定されている。
入力伝達シート12の上面には、長手方向(左右方向)に延びる肉厚部30が形成されている。肉厚部30の短手方向の幅は、検出領域25の短手方向の幅よりも大きく形成され、長手方向の長さは、全ての検出領域25に亘る長さよりも大きく形成されている。
【0014】
肉厚部30の上面には、複数の第1凹溝31,31・・と、複数の第2凹溝32,32・・とが形成されている。各第1凹溝31は、肉厚部30の短手方向に貫通形成されて上面が開口している。各第1凹溝31は、検出領域25,25の間の各間隙部26とそれぞれ対向している。図4に示すように、各第1凹溝31の上面の開口幅W1は、間隙部26の幅W2よりも大きく形成されている。各第1凹溝31は、上面の開口から下方へ向かうに従って幅が狭くなるテーパ状で、最深部は曲面となっている。各第1凹溝31の深さD1は、絶縁層シート14の厚みDよりも大きくなっている。また、第1凹溝31の最深部で形成される入力伝達シート12の残部33の厚みD2は、絶縁層シート14の厚みDよりも大きくなっている。
こうして肉厚部30の上部には、各第1凹溝31によって仕切られて各検出領域25にそれぞれ対向する複数の入力伝達部34,34・・が上向きに突出形成される。
【0015】
各第2凹溝32は、各入力伝達部34の上面中央に形成されている。各第2凹溝32は、入力伝達シート12の短手方向に貫通形成されて上面が開口している。各第2凹溝32は、図5に示すように、対向する第1電極層17の空隙部18に対向している。各第2凹溝32の上面の開口幅W3は、空隙部18の幅W4よりも大きく形成されている。各第2凹溝32も、上面の開口から下方へ向かうに従って幅が小さくなるテーパ状で、最深部は曲面となっている。但し、各第2凹溝32の深さは、第1凹溝31の深さよりも小さくなっている。
【0016】
以上の如く構成されたバッテリパック1では、センサユニット10の第1配線部19及び第2配線部22が図示しないコントローラに接続されている。コントローラは、例えば、第1、第2配線部19,22を介して第1、第2電極層17,21間に電圧を印加し、各検出領域25での第1、第2電極層17,21間の位相差に基づいて静電容量を検出する。但し、静電容量の検出は他の方法であってもよい。
よって、路面からの衝撃によりアンダー部材5が上方へ変形すると、その真上に位置する入力伝達シート12に当接して入力伝達部34に衝撃が入力される。このとき、図6に示すように、衝撃の入力位置が、実線矢印Aのように第1凹溝31及び第2凹溝32のない位置であると、その衝撃は、点線矢印aのように入力伝達部34を介してセンサシート11の検出領域25に伝わり、コントローラによって静電容量が検出される。コントローラは、静電容量の検出値を予め設定された閾値と比較して、バッテリモジュール2のバッテリセル2aへの衝撃が許容範囲であるか否かを判別する。
【0017】
一方、衝撃の入力位置が、実線矢印Bのように間隙部26と対応する残部33の位置であると、その衝撃は、点線矢印bのように第1凹溝31を境にして左右の入力伝達部34,34に分散し、それぞれ隣接する検出領域25,25に伝わり、コントローラによって静電容量がそれぞれ検出される。コントローラは、検出値の合計値を予め設定された閾値と比較して、バッテリモジュール2のバッテリセル2aへの衝撃が許容範囲であるか否かを判別することになる。
なお、衝撃の入力位置が、実線矢印Cのように第2凹溝32の位置である場合、その衝撃は、点線矢印cのように入力伝達部34内で第2凹溝32を境にして左右に分散して検出領域25に伝わり、コントローラによって静電容量が検出されることになる。
【0018】
このように、上記形態のセンサユニット10は、左右方向(第1方向の一例)に配列される複数のバッテリセル2aを有するバッテリモジュール2と、バッテリモジュール2の下面側に配置されるアンダー部材5とを含むバッテリパック1において、バッテリモジュール2の下面とアンダー部材5の上面との間に配置されてバッテリモジュール2への衝撃入力を検出する。
そして、センサユニット10は、左右方向へ所定間隔をおいて配列される複数の検出領域25を有するセンサシート11と、エラストマで形成されてセンサシート11の下面側に配置される入力伝達シート12と、を備え、入力伝達シート12の上面には、左右方向で隣接する検出領域25の間の間隙部26に対向し、前後方向(第2方向の一例)に延びる第1凹溝31(凹溝の一例)が形成されている。
この構成によれば、入力伝達シート12の第1凹溝31により間隙部26への衝撃入力が回避される。よって、複数の検出領域25を間隔をおいて配置しても、衝撃の入力位置による検出感度のばらつきを抑制することができる。
【0019】
各検出領域25は、上下方向で各バッテリセル2aと重なっている。
よって、各バッテリセル2aごとの衝撃入力を精度良く検出可能となる。
第1凹溝31の上面における左右方向での開口幅は、対向する間隙部26の左右方向での幅よりも大きくなっている。
よって、衝撃入力を検出領域25へ確実に伝達することができる。
センサシート11は、絶縁層シート14(絶縁層の一例)と、絶縁層シート14の上下に配置され、検出領域25を形成する第1電極層17及び第2電極層21(一対の電極層の一例)と、を含んでなり、入力伝達シート12の弾性率は、絶縁層シート14の弾性率よりも大きく設定され、第1凹溝31の深さは、絶縁層シート14の厚みよりも大きく設定され、入力伝達シート12における第1凹溝31の形成部分の残部33の厚みは、絶縁層シート14の厚みよりも大きく設定されている。
よって、第1凹溝31を形成しても入力伝達シート12から各検出領域25への衝撃入力の伝達のムラを抑えることができる。
【0020】
各検出領域25は、非検出領域である空隙部18をそれぞれ有し、入力伝達シート12の上面には、各空隙部18にそれぞれ対向する第2凹溝32(凹部の一例)が形成されている。
よって、衝撃入力を検出しない空隙部18への衝撃入力を回避することができる。
センサユニット10は、バッテリモジュール2の下面に取り付けられて、アンダー部材5の上面との間に隙間が生じる状態で配置されている。
よって、アンダー部材5の変形に伴うバッテリセル2aへの過度な衝撃入力を抑制することができる。
【0021】
また、上記形態のバッテリパック1は、左右方向に配列される複数のバッテリセル2aを有するバッテリモジュール2と、バッテリモジュール2の下面側に配置されるアンダー部材5と、バッテリモジュール2の下面とアンダー部材5の上面との間に配置されてバッテリモジュール2への衝撃入力を検出するセンサユニット10と、を含む。
そして、センサユニット10は、左右方向へ所定間隔をおいて配列される複数の検出領域25を有するセンサシート11と、エラストマで形成されてセンサシート11の下面側に配置される入力伝達シート12と、を備え、入力伝達シート12の上面には、左右方向で隣接する検出領域25の間の間隙部26に対向し、前後方向に延びる第2凹溝32が形成されており、アンダー部材5は、導電性を有して接地されている。
この構成によれば、センサユニット10により、バッテリモジュール2への衝撃入力をばらつきなく検出可能となる。また、アンダー部材5の接地により、センサユニット10への浮遊容量の影響を低減し、安定動作させることができる。
バッテリモジュール2の上面側に、導電性を有するアッパー部材4が備えられて、アッパー部材4も接地されているので、安定動作性能が高まる。
【0022】
以下、本開示の変更例について説明する。
入力伝達シートの凹溝の形状は、上記形態の第1凹溝のようなテーパ状に限定しない。凹溝は、例えば、U字状や半円状等としてもよい。凹溝の深さも適宜変更できる。但し、絶縁層の厚みが1mmの場合、凹溝の深さは、1mm~7mmの間で形成し、残部の厚みは、2mm~3mmの間で形成するのが望ましい。
入力伝達シートの弾性率は、絶縁層の弾性率と同じであってもよいし、各凹溝の深さ及び残部の厚みは、絶縁層の厚みと同じであってもよい。
上記形態では、第1凹溝の上面の開口幅を間隙部の幅よりも大きく形成しているが、凹溝の上面の開口幅は、間隙部の幅と等しくしてもよい。
【0023】
入力伝達シートの凹部の形状は、上記形態の第2凹溝のような溝形状に限定しない。凹部は、例えば、入力伝達シートの短手方向に貫通しない凹部としてもよい。この場合、凹部の形状は、空隙部の形状に合わせて平面視長円形や平面視楕円形等にすることができる。凹部の深さも適宜変更できる。
上記形態では、第2凹溝の上面の開口幅を空隙部の幅よりも大きく形成しているが、凹部の上面の開口幅は、空隙部の幅と等しくしてもよい。
凹部は、検出領域に空隙部がなければ省略することができる。
【0024】
上記形態では、第1電極層シートに複数の第1電極層を並設し、第2電極層シートに、各第1電極層に跨がって重なる1つの第2電極層を設けて複数の検出領域を形成しているが、これを逆にして、第2電極層シートに複数の第2電極層を並設し、第1電極層シートに、各第2電極層に跨がって重なる1つの第1電極層を設けて複数の検出領域を形成してもよい。第1、第2電極層シートにそれぞれ複数の第1、第2電極層を並設して複数の検出領域を形成してもよい。
検出領域の数は、上記形態に限らず、適宜増減可能である。検出領域の形状や間隙部の幅も適宜変更できる。
上記形態では、センサユニットを、バッテリモジュールの下面でアンダー部材の上面との間に隙間が生じる状態で配置しているが、センサユニットは、バッテリモジュールの下面及びアンダー部材の上面に接触した状態で配置してもよい。この場合、アンダー部材の変形による衝撃入力をより確実に検出できる。
【0025】
バッテリパックにおいて、上記形態ではアッパー部材とアンダー部材とを共に導電性として接地しているが、アッパー部材とアンダー部材との何れか一方のみを導電性として接地してもよい。
上記形態では、バッテリセルの並び方向を左右方向としてセンサユニットの向きも左右方向としているが、これらの方向は、水平方向であれば前後方向等の他の方向であってもよい。
バッテリモジュールは、複数あってもよい。
バッテリパックは、自動車に限らず、電動カート、自動二輪車、電動車椅子、セニアカー等の他の移動体にも適用可能である。
【符号の説明】
【0026】
1・・バッテリパック、2・・バッテリモジュール、2a・・バッテリセル、3・・ケース、4・・アッパー部材、5・・アンダー部材、10・・センサユニット、11・・センサシート、12・・入力伝達シート、13・・第1電極層シート、14・・絶縁層シート、15・・第2電極層シート、16・・第1弾性シート、17・・第1電極層、18・・空隙部、19・・第1配線部、20・・第2弾性シート、21・・第2電極層、22・・第2配線部、25・・検出領域、26・・間隙部、30・・肉厚部、31・・第1凹溝、32・・第2凹溝、33・・残部、34・・入力伝達部、D・・絶縁層シートの厚み、D1・・第1凹溝の深さ、D2・・残部の厚み、W1・・第1凹溝の開口幅、W2・・間隙部の幅、W3・・第2凹溝の開口幅、W4・・空隙部の幅。
図1
図2
図3
図4
図5
図6