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特開2024-76859フィルム製品の製造方法、及び、フィルムの打抜き刃
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076859
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】フィルム製品の製造方法、及び、フィルムの打抜き刃
(51)【国際特許分類】
   B26F 1/44 20060101AFI20240530BHJP
   B26F 1/40 20060101ALI20240530BHJP
   B26D 7/18 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
B26F1/44 G
B26F1/40 B
B26F1/44 B
B26D7/18 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188660
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】弁理士法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宗本 順二
【テーマコード(参考)】
3C021
3C060
【Fターム(参考)】
3C021FD03
3C060AA04
3C060AB01
3C060BA03
3C060BB05
3C060BB19
3C060BC04
3C060BD01
3C060BE07
3C060BG03
3C060BG17
3C060BH01
(57)【要約】
【課題】 本発明の目的は、角端部の湾曲が抑制されたフィルム製品をフィルム原反から打ち抜くことである。
【解決手段】 フィルム原反を打抜き刃3で打ち抜いてフィルム製品を製造する方法において、前記打抜き刃3が、平面視で角部51を有する刃板部5と、前記刃板部5で囲われた内側領域に設けられ且つ打ち抜いた前記フィルム製品を前記刃板部5の内側領域から押し出す押出し部材6と、を有し、前記押出し部材6が、前記刃板部5の内側領域のうち少なくとも前記角部51の内側領域に設けられており、前記押出し部材6が、第1層61と、前記第1層61に積層され且つ前記フィルム原反1側に配置された第2層62と、を有し、前記第1層61が、弾性材料から形成され、前記第2層62が、前記第1層61よりも変形しにくい材料から形成されている。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム原反を打抜き刃で打ち抜いてフィルム製品を製造する方法であって、
前記打抜き刃が、平面視で角部を有する刃板部と、前記刃板部で囲われた内側領域に設けられ且つ打ち抜いた前記フィルム製品を前記刃板部の内側領域から押し出す押出し部材と、を有し、
前記押出し部材が、前記刃板部の内側領域のうち少なくとも前記角部の内側領域に設けられており、
前記押出し部材が、第1層と、前記第1層に積層され且つ前記フィルム原反側に配置された第2層と、を有し、
前記第1層が、弾性材料から形成され、前記第2層が、前記第1層よりも変形しにくい材料から形成されている、フィルム製品の製造方法。
【請求項2】
前記第2層の厚みが、前記第1層の厚みよりも小さい、請求項1に記載のフィルム製品の製造方法。
【請求項3】
前記第1層が、樹脂発泡体から形成され、前記第2層が、樹脂シートから形成されている、請求項1または2に記載のフィルム製品の製造方法。
【請求項4】
前記刃板部の角部が、平面視で角状又は面取りされた角丸状に形成されている、請求項1または2に記載のフィルム製品の製造方法。
【請求項5】
前記刃板部が、平面視で直線状に延びる第1直線部と、平面視で前記第1直線部とは非平行で直線状に延びる第2直線部と、を有し、
前記角部が、前記第1直線部と前記第2直線部の間に形成されている、請求項1または2に記載のフィルム製品の製造方法。
【請求項6】
前記第1直線部と前記第2直線部との成す角度が、120度以下である、請求項5に記載のフィルム製品の製造方法。
【請求項7】
前記押出し部材の第1層が、前記刃板部の内側領域の全体に亘って設けられ、前記押出し部材の第2層が、前記角部の内側領域に設けられている、請求項1または2に記載のフィルム製品の製造方法。
【請求項8】
フィルム原反からフィルム製品を打ち抜く打抜き刃であって、
角部を有する刃板部と、前記刃板部で囲われた内側領域に設けられ且つ打ち抜いた前記フィルム製品を前記刃板部の内側領域から押し出す押出し部材と、を有し、
前記押出し部材が、前記刃板部の内側領域のうち少なくとも前記角部の内側領域に設けられており、
前記押出し部材が、第1層と、前記第1層に積層され且つ前記フィルム原反側に配置された第2層と、を有し、
前記第1層が、弾性材料から形成され、前記第2層が、前記第1層よりも変形しにくい材料から形成されている、フィルムの打抜き刃。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムを打抜き刃で打ち抜いてフィルム製品を製造する方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
大面積のフィルムから所定の平面視形状のフィルムを得る方法として、前記大面積のフィルムを打抜き刃を用いて打ち抜くことが行なわれている。
本明細書において、打ち抜く前の大きなフィルムを「フィルム原反」といい、フィルム原反を打抜き刃で打ち抜いて得られる、フィルム原反よりも面積の小さいフィルムを「フィルム製品」という。
フィルム原反を打ち抜いて得られたフィルム製品は、必要に応じて、端面処理や表面処理などの各種処理が行われた後、最終的な製品として出荷される。
【発明の概要】
【0003】
ところで、フィルム原反を打抜き刃で打ち抜いた後、打抜き刃の内側にフィルム製品が嵌まったままとなり、打抜き刃と共にフィルム製品が作業台上から離れる場合がある。このような事態を防止する方策として、打抜き刃の内側に、スポンジのような発泡体からなる押出し部材を設けることが考えられる。かかる押出し部材を設けることにより、打抜き刃をフィルム原反から離す際に、当該打抜き刃にて打ち抜かれたフィルム製品が押出し部材によって押さえられるので、フィルム製品が打抜き刃に追従することを防止できる。
しかしながら、前記押出し部材を設けた場合、フィルム製品の端部が反り返るように湾曲するおそれがある。特に、打抜き刃が平面視で角部を有する形状である場合、その角部に対応するフィルム製品の角端部が湾曲し易い傾向にある。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、打ち抜いたフィルム製品が打抜き刃に追従することを防止でき、角端部の湾曲が抑制されたフィルム製品を得ることができるフィルム製品の製造方法及び打抜き刃を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、打抜き刃の内側に発泡体(押出し部材)を設け且つフィルム原反を打ち抜くと、端部が湾曲したフィルム製品が生じ得る原因について鋭意研究した。図17(a)に示すように、打抜き刃300をフィルム原反100に押し当てた際に、発泡体600が圧縮され、その際に生じた応力によってフィルム製品の端部に強い力が作用する。特に、同図(b)に示すように、圧縮された発泡体600に生じる応力(応力を白抜き矢印で示す)は、打抜き刃の角部に集中するので、角端部を有するフィルム製品を製造する際には、その角端部が湾曲したフィルム製品が得られる蓋然性が高くなる。かかる知見の下、本発明を完成した。
【0006】
本発明の第1の態様に係るフィルム製品の製造方法は、フィルム原反を打抜き刃で打ち抜いてフィルム製品を製造する方法であって、前記打抜き刃が、平面視で角部を有する刃板部と、前記刃板部で囲われた内側領域に設けられ且つ打ち抜いた前記フィルム製品を前記刃板部の内側領域から押し出す押出し部材と、を有し、前記押出し部材が、前記刃板部の内側領域のうち少なくとも前記角部の内側領域に設けられており、前記押出し部材が、第1層と、前記第1層に積層され且つ前記フィルム原反側に配置された第2層と、を有し、前記第1層が、弾性材料から形成され、前記第2層が、前記第1層よりも変形しにくい材料から形成されている。
【0007】
本発明の第2の態様に係るフィルム製品の製造方法は、前記第1の態様の製造方法において、前記第2層の厚みが、前記第1層の厚みよりも小さい。
本発明の第3の態様に係るフィルム製品の製造方法は、前記第1又は第2の態様の製造方法において、前記第1層が、樹脂発泡体から形成され、前記第2層が、樹脂シートから形成されている。
本発明の第4の態様に係るフィルム製品の製造方法は、前記第1乃至第3のいずれかの態様の製造方法において、前記刃板部の角部が、平面視で角状又は面取りされた角丸状に形成されている。
本発明の第5の態様に係るフィルム製品の製造方法は、前記第1乃至第4のいずれかの態様の製造方法において、前記刃板部が、平面視で直線状に延びる第1直線部と、平面視で前記第1直線部とは非平行で直線状に延びる第2直線部と、を有し、前記角部が、前記第1直線部と前記第2直線部の間に形成されている。
本発明の第6の態様に係るフィルム製品の製造方法は、前記第5の態様の製造方法において、前記第1直線部と前記第2直線部との成す角度が、120度以下である。
本発明の第7の態様に係るフィルム製品の製造方法は、前記第1乃至第6のいずれかの態様の製造方法において、前記押出し部材の第1層が、前記刃板部の内側領域の全体に亘って設けられ、前記押出し部材の第2層が、前記角部の内側領域に設けられている。
【0008】
本発明の別の局面によれば、フィルムの打抜き刃を提供する。
本発明のフィルムの打抜き刃は、フィルム原反からフィルム製品を打ち抜く打抜き刃であって、角部を有する刃板部と、前記刃板部で囲われた内側領域に設けられ且つ打ち抜いた前記フィルム製品を前記刃板部の内側領域から押し出す押出し部材と、を有し、前記押出し部材が、前記刃板部の内側領域のうち少なくとも前記角部の内側領域に設けられており、前記押出し部材が、第1層と、前記第1層に積層され且つ前記フィルム原反側に配置された第2層と、を有し、前記第1層が、弾性材料から形成され、前記第2層が、前記第1層よりも変形しにくい材料から形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の製造方法及び打抜き刃を用いれば、フィルム原反から、角端部の湾曲が抑制されたフィルム製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に用いられるフィルム原反の平面図
図2】1つの例に係るフィルム原反の層構成を示す概略側面図。
図3】他の例に係るフィルム原反の層構成を示す概略側面図。
図4】他の例に係るフィルム原反の層構成を示す概略側面図。
図5】フィルム製品の製造装置を示す概略側面図。
図6】本発明の1つの実施形態に係る打抜き刃(ベース台に設けられた打抜き刃)の平面図。
図7】同打抜き刃の斜視図。
図8図6のVIII-VIII部の拡大平面図。
図9図8のIX-IX線で切断した拡大端面図。
図10図8のX-X線で切断し、中央部を省略した拡大端面図。
図11】打抜き刃の切り刃の様々な形式を示す拡大端面図。
図12】打抜き刃がフィルム原反を打ち抜いたときの状態を示す拡大端面図。
図13】(a)は、他の実施形態に係る打抜き刃の拡大平面図、(b)は、図13(a)のXIIIb-XIIIbで切断した拡大端面図。
図14】(a)は、更なる他の実施形態に係る打抜き刃(ベース台に設けられた打抜き刃)の斜視図、(b)は、同打抜き刃の拡大平面図。
図15】更なる他の実施形態に係る打抜き刃の拡大平面図。
図16】更なる他の実施形態に係る打抜き刃(ベース台に設けられた打抜き刃)の平面図。
図17】(a)は、フィルム製品の角端部が湾曲する原因を説明するための参考拡大端面図、(b)は、同平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において、「平面視」は、対象物の面に対して鉛直方向から見ることをいい、「平面視形状」及び「平面図」は、対象物の面に対して鉛直方向から見たときの対象物の形状及び図面をいう。
また、本明細書において、「略」という表現は、本発明の技術分野で許容される範囲を含むことを意味する。さらに、本明細書において、「下限値X以上上限値Y以下」で表される数値範囲が別個に複数記載されている場合、任意の下限値と任意の上限値を選択し、「任意の下限値以上任意の上限値以下」を設定できるものとする。
【0012】
[フィルム原反]
フィルム原反1は、平面視形状の観点では、フィルム製品よりも十分に大きい面積のフィルムである。フィルム原反1は、図1(a)に示すような長尺帯状でもよく、同図(b)に示すような、大判の枚葉状でもよい。なお、前記長尺帯状は、長手方向の長さが幅方向よりも十分に長い平面視略長方形状をいう。
層構成の観点では、フィルム原反1の層構成は、単層でもよく、或いは、複層でもよい。
フィルム原反1が複層フィルムである場合、その層数は、2以上であり、その上限は特にないが、一般的には10以下である。
フィルム原反1の厚みは、特に限定されず、例えば、50μm以上500μm以下である。
【0013】
図2乃至図4は、フィルム原反1の層構成を例示している。
図2に示すフィルム原反1は、例えば、3層の複層フィルムである。前記複層フィルムは、紙面上側から順に、第1構成層11と、第2構成層12と、第3構成層13と、を有する。
図3に示すフィルム原反1は、5層の複層フィルムである。前記複層フィルムは、紙面上側から順に、第4構成層14と、第5構成層15と、第6構成層16と、第7構成層17と、第8構成層18と、を有する。
図4に示すフィルム原反1は、単層フィルムである。前記単層フィルムは、第9構成層19を有する。
前記単層フィルム及び複層フィルムをそれぞれ構成する層は、特に限定されず、光学機能フィルムや表面保護フィルムなどの光学フィルム;はく離ライナーなどの光学フィルム以外のフィルム;粘着剤層;オーバーコート層などの任意の適切な層;などが挙げられる。
【0014】
幾つかの例を挙げると、例えば、1つの例のフィルム原反1は、図2に示す第1構成層11が表面保護フィルムで、第2構成層12が粘着剤層で、第3構成層13が光学機能フィルムである。他の例のフィルム原反1は、図2に示す第1構成層11及び第3構成層13がそれぞれはく離ライナーで、第2構成層12が粘着剤層である。他の例のフィルム原反1は、図2に示す第1構成層11が光学フィルム以外のフィルムで、第2構成層12が粘着剤層で、第3構成層13がはく離ライナーである。
また、他の例のフィルム原反1は、図3に示す第4構成層14が表面保護フィルムで、第5構成層15が粘着剤層で、第6構成層16が光学機能フィルムで、第7構成層17が粘着剤層で、第8構成層18がはく離ライナーである。他の例のフィルム原反1は、図3に示す第4構成層14が表面保護フィルムで、第5構成層15が粘着剤層で、第6構成層16が光学機能フィルムで、第7構成層17が粘着剤層で、第8構成層18が表面保護フィルムである。
また、他の例のフィルム原反1は、図4に示す第9構成層19が光学フィルムである。
【0015】
前記光学フィルムには、例えば、光学機能フィルム、表面保護フィルムなどが含まれる。前記光学機能フィルムとしては、偏光フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルム、光拡散フィルム、輝度向上フィルム、光反射フィルム、保護フィルムなどが挙げられる。前記偏光フィルムは、特定の1つの方向に振動する光(偏光)を透過し、それ以外の方向に振動する光を遮断する性質を有するフィルムである。位相差フィルムは、光学異方性を示すフィルムであり、代表的には、例えば、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂などの延伸フィルムなどが挙げられる。前記光学機能フィルムは、前記偏光フィルムや位相差フィルムなどから選ばれる1種のみから構成されていてもよく、或いは、前記偏光フィルムや位相差フィルムなどから選ばれる2種以上が無色透明な粘着剤又は接着剤を介して積層接着されているものでもよい。
【0016】
前記表面保護フィルムとしては、例えば略等方性の無色透明なフィルムなどが挙げられる。前記略等方性の無色透明なフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリスチレンなどのスチレン系樹脂;ポリエチレン、環状若しくはノルボルネン構造を有するポリオレフィンなどのオレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ナイロン6などのアミド系樹脂;イミド系樹脂;スルホン系樹脂;ビニルアルコール系樹脂;塩化ビニリデン系樹脂;ビニルブチラール系樹脂;アリレート系樹脂;ポリオキシメチレン系樹脂;などを主たる樹脂成分とする樹脂フィルムを用いることができる。
【0017】
前記はく離ライナーは、粘着剤層の粘着力を隠蔽するためのフィルムである。はく離ライナーは、粘着剤層に対するはく離性を有し、通常、使用時に剥離される。はく離ライナーは、特に限定されないが、通常、光学機能フィルム以外のフィルムが用いられる。
【0018】
前記粘着剤層は、常温で粘着性を有し、その粘着性が長期間持続するものである。粘着剤層は、公知の粘着剤によって構成される。前記粘着剤は、無色透明であり、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤などが挙げられる。
【0019】
[フィルム製品の製造装置]
図5は、フィルム製品9の製造装置Aの概略を表している。
製造装置Aは、長尺帯状のフィルム原反1を打抜き刃で打ち抜いて複数のフィルム製品を得る装置である。
図5を参照して、製造装置Aは、フィルム原反1を打抜き処理部Cへ搬送する搬送部Bと、フィルム原反1からフィルム製品を打ち抜く打抜き処理部Cと、打ち抜き後に生じる抜き滓を除去する抜き滓除去部Dと、フィルム製品9を回収する製品回収部Eと、を有する。前記打抜き処理部Cには、本発明の打抜き刃が用いられている。
【0020】
搬送部Bは、ロール状に巻かれたフィルム原反1を巻出し部21から巻き出し、打抜き処理部Cへと搬送する。
打抜き処理部Cは、作業台22と、前記作業台22に対して出退する打抜き刃3と、を有し、必要に応じて、刃受けシート23をさらに有する。
前記打抜き刃3は、先端が鋭利に形成された刃板部5と、刃板部5で囲われた内側領域に設けられた押出し部材6と、を有する。打抜き刃3は、ベース台4に固定されている。ベース台4は、例えば、平板状である。ベース台4はフィルム原反1の表面に対して鉛直方向に移動可能である。図5の太矢印は、打抜き刃3を含むベース台4の動作を表している。ベース台4に取り付けられた打抜き刃3は、太矢印で示すように、作業台22の方向へ押し出され且つ作業台22から離され、この往復運動を繰り返す。作業台22上に搬送されるフィルム原反1に対して、打抜き刃3を押し出すことにより、刃板部5の平面視形状に沿ってフィルム原反1を打ち抜くことができる。つまり、刃板部5の平面視形状と同形状のフィルム製品9が形成される。また、打ち抜いた後、打抜き刃3をフィルム原反1から離すと、作業台22上に、打ち抜き後のフィルム原反1(フィルム製品9と抜き滓91)が現われる。なお、打抜き刃3の具体的な構成については、後で説明する。
【0021】
前記作業台22は、前記打抜き刃3の刃先に対向して配置されている。作業台22は、例えば、強度に優れた鋼板や樹脂板などが用いられる。作業台22は、製造装置Aのフレームなどに固定されている。作業台22上には、刃受けシート23が存在する。刃受けシート23は、打抜き刃3の刃先を受けるシートである。フィルム原反1を貫通し且つフィルム原反1の裏面側に出た打抜き刃3の刃先が、刃受けシート23に食い込むことにより、フィルム原反1が確実に切断されると共に、前記打抜き刃3の刃先が劣化することを防止できる。
刃受けシート23としては、打抜き刃3の刃先を受け入れることができる柔軟性を有し、さらに、前記刃先が進入しても破断しない程度の強度及び厚みを有するシートが用いられる。刃受けシート23は、作業台22上に配置されている。図示例の刃受けシート23は、例えば、エンドレス状である。なお、刃受けシート23は、長尺帯状であってもよい(図示せず)。長尺帯状の刃受けシートは、ロール状に巻かれた状態で繰り出され、作業台22上に搬送された後、巻き取られる。
【0022】
抜き滓除去部Dは、打抜き処理部Cにてフィルム原反1の面内に形成されたフィルム製品9の周りに残存する抜き滓91を除去する。
抜き滓除去部Dは、前記打ち抜き後のフィルム原反1を押さえる押さえロール24と、前記押さえロール24を支点にして反転させた抜き滓91を回収する回収ロール25と、を有する。
製品回収部Eは、前記抜き滓除去部Dにおいて抜き滓を除去することによって得られるフィルム製品9を回収する。図5において、フィルム原反1、フィルム製品9、抜き滓91の進行方向を細矢印で示している。
なお、図5では、長尺帯状のフィルム原反1を打ち抜いてフィルム製品9を製造する装置を例示したが、これに限定されず、大判の枚葉状のフィルム原反1を打ち抜いてフィルム製品を製造してもよい(図示せず)。
【0023】
[打抜き刃]
図6は、ベース台4を含む打抜き刃3の平面図(刃先側からベース台4の面に対して鉛直方向から見た図)であり、図7は、刃先側から見たベース台4を含む打抜き刃3の一部省略参考斜視図であり、図8は、1つの打抜き刃3の拡大平面図である。図9及び図10は、打抜き刃3の拡大端面図である。図10においては、構造の異ならない中央部を省略している。なお、端面図は、切断面のみの形状を表し、切断面より奥側の形状を表していない図である。
【0024】
図6及び図7に示すように、打抜き刃3は、1つのベース台4に複数並んで設けられている。複数の打抜き刃3は、互いに一定間隔を開けてベース台4に設けられている。図示例では、1つのベース台4に8つの打抜き刃3が設けられている場合を例示しているが、打抜き刃3の数はこれに限定されるわけではない。例えば、1つのベース台4に2つの打抜き刃3が設けられていてもよい(図示せず)。また、1つのベース台4に1つの打抜き刃3が設けられていてもよい(図示せず)。
【0025】
図6乃至図10を参照して、打抜き刃3は、平面視で環状を成す刃板部5と、前記刃板部5で囲われた領域(刃板部5の内側領域)に設けられた押出し部材6と、を有する。平面視で環状を成す刃板部5とは、平面視で刃先によって描かれる線画がその内側に閉じられた領域を形成していることをいう。
刃板部5としては、トムソン刃、腐食刃(エッジング刃)、彫刻刃などを用いることができる。なお、各端面図では、刃板部5とベース台4とが別々の部材のように表されているが、刃板部5がベース台4に一体成形されていてもよい(図示せず)。例えば、刃板部5が腐食刃などからなる場合は、刃板部5がベース台4と一体的に成形される。なお、各端面図では、刃板部5の基端部がベース台4の面に接した状態で固定されているように表されているが、刃板部5の基端部がベース台4に埋め込まれることによって刃板部5がベース台4に固定されていてもよい(図示せず)。刃板部5がトムソン刃などからなる場合、その基端部がベース台4に埋め込まれる場合が多い。
また、刃板部5の刃高(刃高は、刃板部5の基端から先端までの長さ)は、特に限定されず、適宜設定できる。例えば、トムソン刃からなる刃板部5の刃高は、例えば、3mm以上15mm以下であり、腐食刃からなる刃板部5の刃高は、0.5mm以上5mm以下である。
【0026】
図9及び図10を参照して、刃板部5は、ベース台4に固定(又は一体成形)された基端部5aと、前記基端部5aからベース台4の面に対して略鉛方向に立ち上がった板本体5bと、前記板本体5bの先端に形成された刃先5cと、を有する。
板本体5bの中途部から先端にかけて、切り刃5d(切り刃5dは、刃板部5の側方において傾斜状に形成された面を指す)が形成されている。図示例の刃板部5は、所定の角度の切り刃5d(一段タイプの切り刃)が形成されているが、例えば、図11(a)に示すように、異なる角度の切り刃5d(二段タイプの切り刃)が形成されていてもよい。また、図示例の刃板部5は、切り刃5dが内側及び外側に形成されている両刃タイプであるが、例えば、図11(b)に示すように、切り刃5dが一方側のみ形成されている片刃タイプであってもよい。片刃タイプの切り刃5dを有する打抜き刃3は、図11(b)に示すように、その切り刃5dを内側(押出し部材6側)に向けていてもよく、或いは、特に図示しないが、切り刃5dを反対側(外側)に向けていてもよい。また、特に図示しないが、刃板部5の基端部5aから先端に亘って、切り刃5dが形成されている打抜き刃3を用いてもよい。
【0027】
刃板部5は、平面視で角部51を有する。角部51は、刃板部5の全体的な平面視形状を俯瞰したときに、部分的に異形状となっている部分をいう。前記部分的に異形状となっている部分としては、部分的に外側に出張っている部分などが挙げられる。概念的には、角部51は、刃板部5の一部分であって、刃板部5の全体的な平面視形状の中の異形状となっている部分である。
前述のように、角部51は、刃板部5の一部分であるので、刃板部5は、角部51と、角部以外の部分52と、からなる。以下、角部以外の部分を「非角部52」という。前記角部51は、1つの非角部52ともう1つの非角部52の間に存在する。
前記角部51は、平面視で角状であってもよく、又は、平面視で面取された角丸状であってもよい。また、前記非角部52は、平面視で直線状であってもよく、平面視で曲線状であってもよい。
例えば、前記角部51は、平面視で直線状に延びる2つの非角部52の間に形成されていてもよい。また、前記角部51は、平面視で直線状の2つの非角部52であって非平行に延びる2つの非角部52の間に形成されていてもよい。例えば、前記角部51は、平面視で曲線状に延びる2つの非角部52の間に形成されていてもよい。また、例えば、前記角部51は、平面視で曲線状の2つの非角部52であって曲率半径の異なる2つの曲線状の非角部52の間に形成されていてもよい。
【0028】
図8を参照して、打抜き刃3の角部51の一方端Xは、1つの非角部52に連続し、前記角部51の反対端Yは、もう1つの非角部52に連続している。打抜き刃3の刃板部5は、通常、その全体が一体的に成形されるので、角部51と非角部52との境界(角部51の一方端Xと反対端Y)は、実際上明示されない。しかし、上述のように、概念的には、角部51と非角部52とを分けて考えることができ、ここでは、角部51の一方端X及び反対端Yを観念するものとする。
図8に示すように、1つの例では、刃板部5の角部51は、平面視で直線状の2つの非角部52であって非平行に延びる2つの非角部52の間に形成されている。以下、直線状に延びる非角部52を「直線部」といい、2つの直線状に延びる非角部52を「第1直線部521」及び「第2直線部522」という。
前記第1直線部521と第2直線部522は、平面視で平行でなく、その第1直線部521と第2直線部522の成す角度は、例えば、120度以下である。この第1及び第2直線部521,522の間に存在する角部51が鋭角であるほど、打ち抜き時にフィルム製品の角端部が歪に湾曲し易くなるが、本発明の方法によればそれを抑制できる。このため、第1直線部521と第2直線部522の成す角度が100度以下、さらに、90度以下でも前記角端部の湾曲抑制効果を奏する。なお、第1直線部521と第2直線部522の成す角度の下限は、理論上、0度を超えるが、フィルム製品の平面視形状などを考慮すると、一般には、前記角度は、20度以上であり、さらに30度以上である。前記第1直線部521と第2直線部522の成す角度は、概念上、平面視で、第1直線部521の延長線と第2直線部522の延長線の成す角度(内角)をいう。
【0029】
図示例の打抜き刃3は、その平面視形状が長方形状(又は正方形状)となるように形成されている。従って、図示例の角部51は、平面視で、前記角度が90度である第1直線部521と第2直線部522の間に形成されている。また、打抜き刃3の平面視形状が長方形状(又は正方形状)であるため、1つの打抜き刃3に、4つの角部51が存在する。
平面視で2つの直線が交差することで形成される角部51と第1直線部521及び第2直線部522との境界(角部51の一方端Xと反対端Y)は、実際上明示されない。しかし、上述のように、概念的には、角部51と第1直線部521及び第2直線部522とを分けて考えることができる。
前記角部51の頂点Zから前記角部51の一方端Xまでの直線長さ、及び、前記角部51の頂点Zから前記角部51の反対端Yまでの直線長さは、刃板部5の平面視形状の大きさに応じて適宜設定されるので、特に限定されないが、例えば、5mm以上30mm以下である。
【0030】
前記刃板部5で囲われる内側領域には、押出し部材6が設けられている。押出し部材6は、打ち抜き後に、フィルム製品を刃板部5の内側領域から押し出すように作用する部材である。押出し部材6は、刃板部5の内側領域のうち少なくとも角部51の内側領域に設けられており、好ましくは、刃板部5の内側領域全体に設けられている。角部51の内側領域は、平面視で、角部51の一方端Xと反対端Yを結んだ線と、角部51と、から画成される領域をいう。
【0031】
押出し部材6は、弾性材料から形成された第1層61と、第1層61に積層された第2層62と、を有する。第1層61と第2層62の積層順序は、刃板部5を基準にすると、第1層61が基端部5a側であり、第2層62が刃先5c側である。打ち抜き時を基準にすると、第2層62は、第1層61よりもフィルム原反1側に配置されている。
【0032】
押出し部材6の第1層61は、その表面61aが刃板部5の刃先5cと略同じ高さ位置、又は、刃先5cよりも少し突出する高さ位置となるように設けられている。第1層61に積層された第2層62は、その表面62aが刃板部5の刃先5cよりも突出している。押出し部材6が刃板部5の刃先5cと略同じ高さ位置又はそれよりも出張っていることにより、フィルム製品を確実に押し出すことができる。
【0033】
第1層61と第2層62は、同面積であってもよく、或いは、第2層62が第1層61よりも小面積であってもよい。第2層62が小面積である場合、第1層61の表面61aの一部分に第2層62が積層され、第1層61の表面61aの残部が露出している。
図6乃至図8において、便宜上、第2層62の表面62aに、細線で表された網掛けを付している(以下、他の図において、細線の網掛けが付されている部分は、第2層62の表面62aである)。
なお、第2層62の表面62aは、打ち抜き時にフィルム原反1に接触する面である。第1層61の表面61aは、第2層62が積層接着されている面であり、上述のように、第1層61の表面61aが部分的に露出している場合には、その第1層61の露出した面も打ち抜き時にフィルム原反1に接触する面となる。外力が加わっていない状態では、第1層61の表面61a及び第2層62の表面62aは、いずれも平坦状である。
【0034】
前記第1層61及び第2層62は、刃板部5の内側領域のうち少なくとも角部51の内側領域に設けられる。例えば、図6乃至図10に示すように、第1層61は、刃板部5で囲われた内側領域の全体に設けられている。例えば、図6乃至図9に示すように、第2層62は、刃板部5の角部51の内側領域のみに設けられている。
【0035】
押出し部材6の側面は、刃板部5の内面に沿っている。従って、第1層61及び第2層62の側面は、刃板部5の角部51の内面に沿っている。
押出し部材6の側面は、刃板部5の内面に接し又は近接しているが、刃板部5の内面には接着されていない。押出し部材6は、任意の接着手段(例えば、接着剤、粘着剤、両面粘着テープなど)を介してベース台4に接着固定されている。なお、押出し部材6の側面が刃板部5の内面に強く接することにより、押出し部材6が刃板部5から脱落しなければ、前記接着手段を用いずに、押出し部材6を刃板部5の内側領域に嵌め入れるだけでもよい。
第1層61と第2層62は、任意の接着手段(例えば、接着剤、粘着剤、両面粘着テープなど)を介して積層接着されている。積層接着された第1層61と第2層62は、打ち抜き作業時に引き剥がれることはない。
【0036】
第1層61は、打ち抜き時に圧力が加わるとその厚み方向に容易に変形(圧縮)され、圧力が解除されると元に戻る弾性を有している。第1層61は、打ち抜き後にフィルム製品を押し出す作用を担う。第1層61は、代表的には、樹脂発泡体、ゴム、エラストマーなどから形成される。容易に変形し得ることから、第1層61は樹脂発泡体から形成されていることが好ましい。前記樹脂発泡体は、特に限定されず、オレフィン系樹脂発泡体、ウレタン系樹脂発泡体、ゴム発泡体、エラストマー発泡体などが挙げられる。第1層61は市販の発泡体から形成することもできる。その市販品としては、例えば、東レ社製の商品名「トーレペフ」(ポリエチレンフォーム)などが挙げられる。
【0037】
第2層62は、前記第1層61よりも変形しにくい形成材料から形成されている。かかる第2層62は、打ち抜き時に圧力が加わっても容易に変形し難くなる。このような第2層62は、打ち抜き時にフィルム製品の角端部の湾曲を抑制する作用を担う。第2層62は、弾性材料から形成されていてもよく、塑性材料から形成されていてもよい。例えば、第2層62は、樹脂シートなどから形成される。前記樹脂シートの材質は特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィン、ポリエチレンを含む共重合ポリマーなどのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系、ポリアミド系、ポリスチレン系などが挙げられる。
【0038】
具体的な数値を例示すると、第1層61の弾性率は、例えば、10kPa以上10MPa以下であり、好ましくは、100kPa以上5MPa以下である。第2層62の弾性率は、例えば、1GPa以上10GPa以下であり、好ましくは、2GPa以上8GPa以下である。
前記弾性率は、JIS K 7127に準拠して、オートグラフを用いて測定される値である。
【0039】
第2層62の厚みは、第1層61の厚みよりも小さい。例えば、第1層61の厚みと第2層62の厚みの比(第2層62の厚み/第1層61の厚み)は、例えば、1/100以上1/2以下であり、好ましくは1/10以上1/5以下である。前記厚みの比の範囲により、押出し部材6によってフィルム製品を適切に押し出すことができ且つフィルム製品の角端部の湾曲を抑制できる。
具体的な数値を例示すると、第1層61の厚みは、例えば、0.7mm以上であり、好ましくは1.2mm以上である。第1層61の厚みの上限は特にないが、ベース台4に押出し部材6(第2層62)を取り付ける場合には、第1層61の厚みは、刃板部5の刃高を考慮して、当該刃高+0.2mm以下である。
第2層62の具体的な厚みは、特に限定されないが、例えば、20μm以上300μm以下であり、好ましくは50μm以上250μm以下である。
【0040】
[フィルム製品の製造方法]
本発明のフィルム製品の製造方法は、上記打抜き刃3を用いてフィルム原反1を打ち抜くことを特徴とする。
例えば、本発明の方法は、上記製造装置Aを用いて実施できる。
図5を参照して、搬送部Bにてフィルム原反1を打抜き処理部Cへ搬送する。作業台22上に送られたフィルム原反1に対して、打抜き刃3を下降させ、打抜き刃3によってフィルム原反1を打ち抜く。打ち抜かれたフィルム原反1は、複数のフィルム製品9と当該フィルム製品9の周辺の抜き滓91とに区画される。次に、打抜き刃3を上昇させることにより、作業台22上に、複数のフィルム製品9と抜き滓91が現れる。その後、抜き滓除去部Dにおいて、抜き滓91を除去する。得られたフィルム製品9は、製品回収部Eにおいて回収される。
得られたフィルム製品9は、必要に応じて、端面処理や表面処理などの各種処理が行われた後、最終的な製品として出荷される。
【0041】
本発明の方法によって得られたフィルム製品9は、角端部を含む端部の湾曲が抑制されているので、前記端面処理を行わなくても、最終的な製品として出荷可能である。前記端面処理は、フィルム製品9の角端部を含む端部を僅かに削り取る処理が含まれる。なお、端面処理を行わない場合でも、端面処理以外の処理(表面処理など)を適宜行ってもよい。
【0042】
本発明の打抜き刃3は、刃板部5の内側領域に押出し部材6が設けられているので、打抜き刃3をフィルム原反1から離す際に、フィルム製品が押出し部材6によって押さえられる。このため、フィルム製品が打抜き刃3に追従することを防止できる。
さらに、本発明の方法によれば、角端部の湾曲が抑制されたフィルム製品を得ることができる。さらに、フィルム原反が複層フィルムである場合、層間の浮き上がり(端部の層間はく離)が抑制されたフィルム製品を得ることができる。
図12は、本発明の打抜き刃3がフィルム原反1を打ち抜いたときの状態を示す拡大端面図である。本発明の打抜き刃3は、押出し部材6が第1層61よりも変形しにくい第2層62を有し、その押出し部材6が少なくとも刃板部5の角部51の内側領域に設けられている。かかる打抜き刃3をフィルム原反1に押し当てた際には、図12に示すように、第1層61が圧縮変形する一方で、第2層62は、実質的に変形しない。つまり、圧縮された第1層61は、厚み方向に大きく変形するが、第2層62は実質的に変形せず、第2層62の表面は平坦状である。このため、第1層61に生じた応力が刃板部5の角部51に集中しても、平坦状の第2層62がフィルム製品9の角端部を押さえるため、フィルム製品の角端部の湾曲を抑制できる。
【0043】
[他の実施形態]
以下、本発明の他の実施形態を説明するが、その説明に於いては、主として上述の実施形態と異なる構成及び効果について説明し、同様の構成などについては、用語又は符号をそのまま援用し、その構成の説明を省略する場合がある。
【0044】
上記実施形態では、第2層62が角部51の内側領域のみに設けられているが、第2層62は、前記角部51の内側領域を超える範囲にまで設けられていてもよい。例えば、図13は、第2層62が刃板部5で囲われた内側領域の全体に設けられている場合を例示している。この場合、第1層61と第2層62は、平面視で同形同大である。なお、図13においては、構造の異ならない中央部を省略している。
【0045】
また、上記実施形態では、平面視で角状の角部51を有する刃板部5を図示したが、例えば、図14に示すように、刃板部5の角部51は、面取された角丸状であってもよい。図14に示す角丸状の角部51は、非平行に延びる第1直線部521と第2直線部522の間に形成されている。角丸状の角部51の一方端X及び反対端Yは、平面視で曲線と直線の境界に相当する。
【0046】
また、上記実施形態では、平面視形状が長方形状(又は正方形状)の刃板部5を有する打抜き刃3を例示したが、例えば、図15に示すように、平面視形状が略円形状(又は略楕円形状)の刃板部5を有する打抜き刃3であってもよい。この例の刃板部5は、部分的に径外方向に突出した角部51が形成されている。従って、図15に示す角部51は、平面視で曲線状に延びる2つの非角部52の間に形成されている。
その他図示しないが、打抜き刃3の刃板部5の平面視形状は、長方形や正方形などの四角形状や略円形状又は略楕円形状に限られず、製造する製品形状に合わせて適宜設計されるものである。
【0047】
さらに、上記実施形態において、1つのベース台4に複数の打抜き刃3が設けられる場合、各打抜き刃3は互いに一定間隔を開けて設けられているが、例えば、図16に示すように、複数の打抜き刃3が、間隔を開けずにベース台4に設けられていてもよい。この場合。隣り合う打抜き刃3は、隣り合う刃板部5が共有される。
【0048】
また、上記実施形態では、平板状のベース台4(プレス式のベース台4)に打抜き刃3が設けられているが、円柱状(又は円筒状)のベース台4の周面に、押出し部材6を含む打抜き刃3が設けられていてもよい(図示せず)。このような円柱状(又は円筒状)のベース台4の周面に打抜き刃3が設けられている切断部材は、ロータリーダイやダイロールとも呼ばれる。
【符号の説明】
【0049】
1 フィルム原反
3 打抜き刃
5 刃板部
51 刃板部の角部
52 刃板部の非角部
521 刃板部の第1直線部
522 刃板部の第2直線部
6 押出し部材
61 押出し部材の第1層
62 押出し部材の第2層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17