(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076862
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】設計ユーザ端末とプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/13 20200101AFI20240530BHJP
G06F 30/20 20200101ALI20240530BHJP
E04B 1/18 20060101ALI20240530BHJP
G06F 111/04 20200101ALN20240530BHJP
G06F 119/14 20200101ALN20240530BHJP
【FI】
G06F30/13
G06F30/20
E04B1/18 A ESW
G06F111:04
G06F119:14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188663
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 緑
(72)【発明者】
【氏名】山村 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】工藤 文康
(72)【発明者】
【氏名】伊波 咲子
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 咲季
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA04
5B146BA02
5B146DC05
5B146DE13
5B146DJ02
(57)【要約】
【課題】物件に応じた概算見積もりを高い精度で行うことを可能にしたBIM意匠モデルを設計することのできる、設計ユーザ端末とプログラムを提供すること。
【解決手段】システム建築に含まれる建物のBIM意匠モデルを設計する、設計ユーザ端末10であり、外周に位置する外柱61と外梁62とを備えている外周モデル65を作成する外周モデル作成部22と、中柱66の要否に関する配置ルールと、大梁71の長さと負担幅に応じた仕様を記憶する記憶部32と、中柱66の配置の要否と、中柱の配置位置と数が配置ルールを充足するか否かを判定する判定部23と、大梁71をその長さと負担幅に応じた仕様に設定する大梁設定部25と、ブレース68の数と仕様を設定するブレース設定部24と、大梁71に直交する小梁72、外柱61と小梁72を繋ぐ小屋つなぎ梁73及び水平ブレース75を設定する小梁等設定部26とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システム建築に含まれる建物のBIM意匠モデルを設計する、設計ユーザ端末であって、
前記建物の平面寸法と高さ寸法を備え、外周に位置する外柱と、隣接する該外柱同士を繋ぐ外梁とを備えている外周モデルを作成する、外周モデル作成部と、
前記外周モデルの内部に配置される中柱の要否に関する配置ルールと、大梁の長さと負担幅に応じた仕様を少なくとも記憶する、記憶部と、
前記中柱の配置の要否と、該中柱が配置された際の配置位置と数が前記配置ルールを充足するか否かを判定する、判定部と、
前記外柱と前記中柱を繋ぐ大梁を、その長さと負担幅に応じた仕様に設定する、大梁設定部と、
前記外周モデルに組み込まれるブレースの数と仕様を設定する、ブレース設定部と、
前記大梁に直交する小梁、前記外柱と該小梁を繋ぐ小屋つなぎ梁、及び水平ブレースを設定する、小梁等設定部とを有することを特徴とする、設計ユーザ端末。
【請求項2】
前記ブレース設定部は、
前記建物の規模に応じて、前記ブレースの数と仕様を設定する、もしくは、
前記建物の規模に応じた建物重量と設計震度により算定される地震時水平力と、基準風速に応じた風時水平力のうち、大きな水平力に基づいて前記ブレースの数と仕様を設定することを特徴とする、請求項1に記載の設計ユーザ端末。
【請求項3】
前記建物の屋根は折板屋根であり、
前記記憶部には、小梁の長さに応じた仕様がさらに記憶されており、
前記小梁等設定部では、前記折板屋根を構成する折板の仕様と積雪荷重に応じた該小梁のピッチと、該小梁の長さとに基づいて、所定仕様の小梁が所定ピッチで自動設定されることを特徴とする、請求項2に記載の設計ユーザ端末。
【請求項4】
前記外柱の下と、前記中柱がある場合はさらに該中柱の下に対して、それぞれ基礎を設定する、基礎設定部と、
前記小梁の下に配置される天吊材を、所定のピッチで設定する、天吊材設定部とをさらに有することを特徴とする、請求項3に記載の設計ユーザ端末。
【請求項5】
システム建築に含まれる建物のBIM意匠モデルを設計するコンピュータに、以下の処理を実行させるプログラムであって、
前記建物の平面寸法と高さ寸法を備え、外周に位置する外柱と、隣接する該外柱同士を繋ぐ外梁とを備えている外周モデルを作成し、
前記外周モデルの内部に配置される中柱の要否に関する配置ルールと、大梁の長さと負担幅に応じた仕様を少なくとも記憶し、
前記中柱の配置の要否と、該中柱が配置された際の配置位置と数が前記配置ルールを充足するか否かを判定し、
前記外柱と前記中柱を繋ぐ大梁を、その長さと負担幅に応じた仕様に設定し、
前記外周モデルに組み込まれるブレースの数と仕様を設定し、
前記大梁に直交する小梁、前記外柱と該小梁を繋ぐ小屋つなぎ梁、及び水平ブレースを設定することを特徴とする、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計ユーザ端末とプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
建築設計においては、敷地の条件や周辺環境を勘案しながら建物(建築物)の配置を決定し、内外観や間取り構成、装飾等を設計する意匠設計がまず行われる。この意匠設計では、一般に普及しているCAD(Computer-aided design)を用いることにより、二次元図面は勿論のこと、パースを含む三次元図面が作成される。この意匠設計により設計された建物に対して、積雪や地震等に対する安全性能を満たすような主架構を構成する柱や梁等を設定する構造設計が意匠設計に次いで行われる。さらに、この構造設計の後に、実際に適用され、工場にて生産される各部材がモデルに反映された、生産モデルを作成する、生産設計が行われる。
【0003】
昨今、上記する建物の設計において、BIM(Building Information Modeling)モデルを用いて、デザイナーや設計者等の間で建物に関する情報を共有化することが行われている。ここで、BIMモデルとは、建物を構成する構成要素(オブジェクトとも言い、梁や柱、壁等を含む)に関する、仮想の三次元空間における形状に関する情報や、材質、寸法、配設位置等に関する情報(これらをまとめて、「仕様情報」とする)を有する三次元モデルである。このBIMモデルを用いて、三次元モデルを様々な角度から見た三次元図面が作成できる他、三次元図面を様々に切断したり、様々な角度から見た平面図(伏図を含む)や立面図(軸組図を含む)といった二次元図面を作成できる。すなわち、三次元モデルを構成する各構成要素は、種々の仕様情報を内包しており、この仕様情報は、変更や修正、追加が可能であり、変更や追加等の履歴を残すこともできる。
【0004】
ところで、設計対象の建物のうち、骨組みや屋根、外壁等の納まりが標準化されることにより、構成部材の生産プロセスがシステム化されている建物は、一般に「システム建築」と称されている。例えば、工場や物流倉庫、ドラッグストアやコンビニエンスストア等の物販店舗等がシステム建築の一例として挙げられる。
【0005】
ここで、特許文献1には、上記するBIMを用いた情報管理システムが提案されている。具体的には、ユーザが利用する情報処理端末と、情報処理端末とネットワークを介して通信可能に接続されるサーバ装置とを有する情報管理システムである。このサーバ装置は、オブジェクトの形状情報と仕様情報をオブジェクトに関連付けて記憶し、オブジェクトとこれに関する作業項目とを関連付けた作業情報と、作業項目とこれに関する資源項目とを関連付けた資源情報とを記憶する記憶部と、形状情報、仕様情報、作業情報、資源情報に基づいて情報処理端末を利用するユーザの要求する情報を取得する制御部と、取得したユーザの要求する情報を要求元の情報処理端末に送信する通信部とを備えている。また、情報処理端末は、ネットワークを介してサーバ装置から受信した、情報処理端末を利用するユーザの要求する情報に基づいて、情報処理端末を利用するユーザに対して所定画面を表示する表示部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の情報管理システムによれば、建物に関する情報を適切に管理し、ユーザに必要な情報を簡単に取得させることができる。ところで、上記するシステム建築に関するBIM意匠モデルの設計においては、建物の平面寸法と高さ寸法が設定され、建物の外周には所定寸法の複数の外装材が配置され、屋根には所定勾配の折板屋根が配置されたBIM意匠モデルが作成される。このBIM意匠モデルにより、建物の外観を直接イメージすることが可能になる。
【0008】
さらに、作成されたBIM意匠モデルの構造や規模を同程度の規模の過去の建物実績等に照らして、坪当たりの鉄骨重量から建物全体の鉄骨重量を算定し、建物の概算見積もりが行われる。設計初期のBIM意匠モデルの作成段階における概算見積もりは、予算との対比や、顧客へのプレゼン等に供される資料となることから、極めて重要である。
【0009】
しかしながら、過去の実績に照らした鉄骨重量に基づく概算見積もりであることから、必ずしもその精度が高いとは言えず、また、各部材の納まりが標準化されているシステム建築建物であっても、物件ごとに、柱や梁(大梁や小梁)、鉛直ブレース、小屋つなぎ梁や水平ブレースといった構造部材の仕様が異なり得ることから、物件に応じた概算見積もりを高い精度で行うことを可能にしたBIM意匠モデルを設計する、設計ユーザ端末が望まれる。
【0010】
本発明は上記する課題に鑑みてなされたものであり、物件に応じた概算見積もりを高い精度で行うことを可能にしたBIM意匠モデルを設計することのできる、設計ユーザ端末とプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成すべく、本発明による設計ユーザ端末の一態様は、
システム建築に含まれる建物のBIM意匠モデルを設計する、設計ユーザ端末であって、
前記建物の平面寸法と高さ寸法を備え、外周に位置する外柱と、隣接する該外柱同士を繋ぐ外梁とを備えている外周モデルを作成する、外周モデル作成部と、
前記外周モデルの内部に配置される中柱の要否に関する配置ルールと、大梁の長さと負担幅に応じた仕様を少なくとも記憶する、記憶部と、
前記中柱の配置の要否と、該中柱が配置された際の配置位置と数が前記配置ルールを充足するか否かを判定する、判定部と、
前記外柱と前記中柱を繋ぐ大梁を、その長さと負担幅に応じた仕様に設定する、大梁設定部と、
前記外周モデルに組み込まれるブレースの数と仕様を設定する、ブレース設定部と、
前記大梁に直交する小梁、前記外柱と該小梁を繋ぐ小屋つなぎ梁、及び水平ブレースを設定する、小梁等設定部とを有することを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、外柱と外梁を備える外周モデルを形成し、配置ルールに基づいて中柱を設定し、長さと負担幅に応じた仕様で大梁を設定し、ブレースの数と仕様を設定し、さらに、小梁と小屋つなぎ梁と水平ブレースを設定することにより、これら各部材の鉄骨重量を算定することで高精度の概算見積もりを行うことができる。
【0013】
ここで、設定される各部材は、構造計算を行う前に仮に設定される部材であることから、「仮部材」や「仮構造部材」と称することができる。仮部材(仮構造部材)であっても、例えば、外柱や外梁、中柱等の各部材は、建物の規模等から過去の実績に基づいてその仕様がおよそ設定できることから、例えば構造設計担当者によるBIM構造モデル作成の際に設定される部材(本部材という)と仕様が大きく乖離することはない。その上で、仮部材にて構成された仮部材配置モデル(BIM意匠モデル)に基づいて建物全体の鉄骨重量を算定することから、上記する従来の方法のように、過去実績における坪当たりの鉄骨重量から建物全体の鉄骨重量を算定する方法に比べて、格段に高い精度の鉄骨重量となる。
【0014】
中柱の配置の要否等を判定する際に参照される「配置ルール」においては、例えば、積雪深さ、対向する外柱間の距離(水勾配に平行な外柱間距離や、水勾配に直交する外柱間距離)等に応じて中柱の要否が規定される。外柱間の距離が長く、その間に中柱が必要と判定された場合は、外柱間の任意の位置に中柱を配置することにより、屋根の水勾配に平行な方向にある外柱と中柱との間の距離(例えば第1距離)と、水勾配に直交する方向にある外柱と中柱との間の距離(例えば第2距離)の双方が、配置ルール内に規定されている距離閾値内にあるか否かが判定される。
【0015】
また、システム建築では、壁の厚みを極力小さくするべく、外壁下地である胴縁を柱面内に配置している。そして、このような配置を実現するべく、外梁を柱間の短尺な梁とし、さらに胴縁を溝形鋼等によって形成し、柱面内における屋内側に偏心配置するようにしている。このように、外梁が外柱同士を繋ぐ短尺な梁であることから、外周モデルを形成する外柱と外梁による架構は不安定となり得るため、大梁に接続される小梁と外柱を、小屋つなぎ梁にて接続することによって、三次元的な構造において外柱及び外梁の構造安定性を保証することが可能になる。
【0016】
本態様の設計ユーザ端末には、意匠設計担当者の有するパーソナルコンピュータやタブレット等が含まれる。
【0017】
また、本発明による設計ユーザ端末の他の態様において、
前記ブレース設定部は、
前記建物の規模に応じて、前記ブレースの数と仕様を設定する、もしくは、
前記建物の規模に応じた建物重量と設計震度により算定される地震時水平力と、基準風速に応じた風時水平力のうち、大きな水平力に基づいて前記ブレースの数と仕様を設定することを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、ブレース(鉛直ブレース)の設定が、建物の規模に応じて数と仕様を設定する、もしくは、建物の規模に応じた建物重量と設計震度により算定される地震時水平力と、基準風速に応じた風時水平力のうちの大きな水平力に基づいて数と仕様を設定することにより、高い精度でブレースの数と仕様を設定することができる。ここで、例えば、平面視矩形のシステム建築建物においては、水勾配に平行な一対の外周面と、水勾配に直交する一対の外周面にそれぞれ、ブレースが配置される。意匠設計担当者は、各外周面における、出入り口開口や窓開口等に干渉しない位置に、設定された数のブレースを配置する。
【0019】
また、本発明による設計ユーザ端末の他の態様において、
前記建物の屋根は折板屋根であり、
前記記憶部には、小梁の長さに応じた仕様がさらに記憶されており、
前記小梁等設定部では、前記折板屋根を構成する折板の仕様と積雪荷重に応じた該小梁のピッチと、該小梁の長さとに基づいて、所定仕様の小梁が所定ピッチで自動設定されることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、折板屋根を構成する折板の仕様と積雪荷重に応じた小梁のピッチと長さとに基づいて、所定仕様の小梁が所定ピッチで自動設定されることにより、高い精度で小梁の数と仕様を設定することができる。
【0021】
また、本発明による設計ユーザ端末の他の態様において、
前記外柱の下と、前記中柱がある場合はさらに該中柱の下に対して、それぞれ基礎を設定する、基礎設定部と、
前記小梁の下に配置される天吊材を、所定のピッチで設定する、天吊材設定部とをさらに有することを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、外柱の下と中柱の下にそれぞれ基礎を設定するとともに、小梁の下に天吊材を所定のピッチで設定することにより、外柱や中柱、外梁、大梁、小梁、折板屋根に加えて、基礎や天吊材を含む、システム建築建物を構成する主たる鉄骨部材が設定されることから、より一層高精度の概算見積もりを行うことが可能になる。
【0023】
また、本発明によるプログラムの一態様は、
システム建築に含まれる建物のBIM意匠モデルを設計するコンピュータに、以下の処理を実行させるプログラムであって、
前記建物の平面寸法と高さ寸法を備え、外周に位置する外柱と、隣接する該外柱同士を繋ぐ外梁とを備えている外周モデルを作成し、
前記外周モデルの内部に配置される中柱の要否に関する配置ルールと、大梁の長さと負担幅に応じた仕様を少なくとも記憶し、
前記中柱の配置の要否と、該中柱が配置された際の配置位置と数が前記配置ルールを充足するか否かを判定し、
前記外柱と前記中柱を繋ぐ大梁を、その長さと負担幅に応じた仕様に設定し、
前記外周モデルに組み込まれるブレースの数と仕様を設定し、
前記大梁に直交する小梁、前記外柱と該小梁を繋ぐ小屋つなぎ梁、及び水平ブレースを設定することを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、パーソナルコンピュータ等にインストールもしくはダウンロードされたプログラムにより、外柱と外梁を備える外周モデルを形成し、配置ルールに基づいて中柱を設定し、長さと負担幅に応じた仕様で大梁を設定し、ブレースの数と仕様を設定し、さらに、小梁と小屋つなぎ梁と水平ブレースを設定することにより、これら各部材の鉄骨重量を算定することで高精度の概算見積もりを行うことができる。
【発明の効果】
【0025】
以上の説明から理解できるように、本発明による設計ユーザ端末とプログラムによれば、物件に応じた概算見積もりを高い精度で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施形態に係る設計ユーザ端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る設計ユーザ端末の機能構成の一例を示す図である。
【
図3】設計ユーザ端末の表示画面における表示例を示す図である。
【
図4】設計ユーザ端末の表示画面における表示例を示す図である。
【
図5】設計ユーザ端末の表示画面における表示例を示す図である。
【
図6】設計ユーザ端末の表示画面における表示例を示す図である。
【
図7】設計ユーザ端末の表示画面における表示例を示す図である。
【
図8】設計ユーザ端末の表示画面における表示例を示す図である。
【
図9】設計ユーザ端末の表示画面における表示例を示す図である。
【
図10】設計ユーザ端末の表示画面における表示例を示す図である。
【
図11】設計ユーザ端末の表示画面における表示例を示す図である。
【
図12】設計ユーザ端末の表示画面における表示例を示す図である。
【
図13】設計ユーザ端末の表示画面における表示例を示す図である。
【
図14】設計ユーザ端末の表示画面における表示例を示す図である。
【
図15】設計ユーザ端末の表示画面における表示例を示す図である。
【
図16】設計ユーザ端末の表示画面における表示例を示す図である。
【
図17】設計ユーザ端末の表示画面における表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施形態に係る設計ユーザ端末の一例について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0028】
[実施形態に係る設計ユーザ端末]
図1乃至
図17を参照して、実施形態に係る設計ユーザ端末の一例について説明する。ここで、
図1は、実施形態に係る設計ユーザ端末のハードウェア構成の一例を示す図であり、
図2は、設計ユーザ端末の機能構成の一例を示す図である。また、
図3乃至
図17は、設計ユーザ端末の表示画面における表示例を示す図である。
【0029】
設計ユーザ端末10は、意匠設計担当者が利用するユーザ端末であり、意匠設計担当者が、特にシステム建築に含まれる建物のBIM意匠モデルを設計し、作成するためのユーザ端末である。
【0030】
図示を省略するが、設計ユーザ端末にはその他、構造設計担当者が利用する設計ユーザ端末や、工場にて生産される各部材がモデルに反映された、BIM生産モデルを作成する生産設計担当者が利用する設計ユーザ端末が存在する。さらに、積算ユーザ端末、施工計画ユーザ端末、実施工ユーザ端末(いずれも図示せず)等、様々なユーザ端末がある。
【0031】
このような各種の設計ユーザ端末(ユーザ端末)は、ネットワークを介して共有サーバに接続され、各設計ユーザ端末にて作成されたBIMモデル(BIM意匠モデル、BIM構造モデル、BIM生産モデル等)は都度共有サーバに送信及び格納され、アクセス権限が付与されているユーザ端末が共有サーバにアクセス可能な設計支援システムが構築されてよい。この設計支援システムには、一つのハウスメーカー等の会社内部のみで情報共有がなされるクローズドネットワークを有する形態の他、外部機関(生産設計、設備設計、施工計画等の段階で協同して作業を行う資機材供給メーカー等の有する資機材供給メーカー等)との間においても情報共有が可能な、オープンネットワークを有する形態が含まれる。また、共有サーバには、データ保管の他にも、各種のアプリケーションソフトウェアを複数のユーザが共有できるクラウドサーバが適用され得る。
【0032】
実施形態に係る設計ユーザ端末10は、システム建築に含まれる建物の企画段階等において、意匠設計担当者が意匠設計ユーザ端末として使用し、BIM意匠モデルを設計及び作成するユーザ端末である。企画段階では、三次元モデリングされた建物の画像データ(BIM意匠モデル)を見ることにより、当該建物の外観やレイアウトデザイン等について直接イメージすることができる。
【0033】
ここで、システム建築に含まれる建物には、物流倉庫、ドラッグストアやコンビニエンスストア等の物販店舗等が含まれる。
【0034】
図1に示すように、設計ユーザ端末10は、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)やワークステーション(WS:Work Station)、タブレット等の情報処理装置からなり、いずれもコンピュータにより構成される。
【0035】
設計ユーザ端末10を構成するコンピュータは、接続バス16により相互に接続されているCPU(Central Processing Unit)11、主記憶装置12、補助記憶装置13、通信IF(interface)14、及び入出力IF15を備えている。主記憶装置12と補助記憶装置13は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体である。尚、上記の構成要素はそれぞれ個別に設けられてもよいし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。
【0036】
CPU11は、MPU(Microprocessor)やプロセッサとも呼ばれ、CPU11は、単一のプロセッサであってもよいし、マルチプロセッサであってもよい。CPU11は、コンピュータからなる設計ユーザ端末10等の全体の制御を行う中央演算処理装置である。CPU11は、例えば、補助記憶装置13に記憶されたプログラムを主記憶装置12の作業領域にて実行可能に展開し、プログラムの実行を通じて周辺機器の制御を行うことにより、所定の目的に合致した機能を提供する。
【0037】
主記憶装置12は、CPU11が実行するコンピュータプログラムや、CPU11が処理するデータ等を記憶する。主記憶装置12は、例えば、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。補助記憶装置13は、各種のプログラム及び各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納し、外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶装置13には、例えば、OS(Operating System)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。OSは、例えば、通信IF14を介して接続される外部装置等とのデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含む。外部装置等には、例えば、ネットワークに接続するパーソナルコンピュータ(PC)、ワークステーション(WS)、サーバ、携帯端末等の情報処理装置や外部記憶装置等が含まれる。
【0038】
補助記憶装置13は、例えば、主記憶装置12を補助する記憶領域として使用され、CPU11が実行するコンピュータプログラムや、CPU11が処理するデータ等を記憶する。補助記憶装置13は、不揮発性半導体メモリ(フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM))を含むシリコンディスク、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)装置、ソリッドステートドライブ装置等である。また、補助記憶装置13として、CDドライブ装置、DVDドライブ装置、BDドライブ装置といった着脱可能な記録媒体の駆動装置が例示される。着脱可能な記録媒体として、CD、DVD、BD、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)メモリカード等が例示される。
【0039】
通信IF14は、設計ユーザ端末10等が接続するネットワークとのインターフェイスである。通信IF14は、ネットワークを介して、共有サーバに接続され、意匠設計の際に利用する様々なアプリケーションソフトウェアをダウンロードしたり、他の意匠設計担当者が作成し、共有サーバに格納されているBIM意匠モデルを参照として受信する。
【0040】
入出力IF15は、設計ユーザ端末10に接続する機器との間でデータの入出力を行うインターフェイスである。入出力IF15には、例えば、キーボード、タッチパネルやマウス等のポインティングデバイス、マイクロフォン等の入力デバイス等が接続する。設計ユーザ端末10は、入出力IF15を介し、入力デバイスを操作する操作者からの操作指示等を受け付ける。
【0041】
また、入出力IF15には、例えば、液晶パネル(LCD:Liquid Crystal Display)や有機ELパネル(EL:Electroluminescence)等の表示デバイス、プリンタ、スピーカ等の出力デバイスが接続する。設計ユーザ端末10は、入出力IF15を介し、CPU11により処理されるデータや情報、主記憶装置12、補助記憶装置13に記憶されるデータや情報を出力する。
【0042】
図2に示すように、設計ユーザ端末10は、CPU11によるプログラムの実行により、少なくとも、取得部21、外周モデル作成部22、判定部23、ブレース設定部24、大梁設定部25、小梁等設定部26、基礎設定部27、天吊材設定部28、描画部29、表示部31、及び記憶部32の各種機能を提供する。尚、上記処理機能の少なくとも一部が、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等によって提供されてもよく、同様に、上記処理機能の少なくとも一部が、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、数値演算プロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用LSI(large scale integration)やその他のデジタル回路等であってもよい。
【0043】
取得部21は、意匠設計担当者による入力データを取得し、記憶部32に記憶(格納)するとともに、共有サーバに格納されているアプリケーションソフトウェアや参照となる他の意匠設計担当者の作成したBIM意匠モデルを受信する。さらに、取得部21は、意匠設計担当者が作成したBIM意匠モデルを共有サーバに送信する。
【0044】
ここで、
図3には、BIM意匠モデルの初期段階で作成される、外観意匠モデル50を示している。記憶部32には、BIMソフトウェアとして、Autodesk Revit(登録商標)(Autodesk社製)が、インストールもしくはダウンロードされており、意匠設計の際に起動される。
【0045】
記憶部32にはさらに、建物の構造躯体と用途を含む、複数種の構造・用途に関する構造・用途データと、各構造・用途に固有の単数もしくは複数の外装材に関する外装材データと、折板屋根を形成する例えば一種の折板に関する折板データが記憶されている。
【0046】
意匠設計担当者は、構造・用途ごとに設定されている商品種のうちのいずれか一種を選定する。ここで、商品種には、例えば鉄骨造の構造躯体種として、平屋建てや2階建て、単材梁使用構造や、トラス梁使用構造等が構造に含まれる。また、物流倉庫や物販店舗等が用途に含まれる。また、「商品」には、「フレスト」、「コンフォルト」、「リード」、「リードフリー」といった、大和ハウス工業株式会社により開発され、商品化されている商品が含まれる。
【0047】
意匠設計担当者は、商品の中から、設計対象のシステム建築建物の構造・用途に好適な商品を選択し、さらに、商品固有の外装材(標準仕様の外装材のメーカー、品番等)の中から外装材を選択する。さらに、外装材の下方にある腰壁の有無を選択する。このように、商品,外装材,及び腰壁の有無を選択した後、建物の平面寸法と高さ寸法を含む、建物情報を設定することにより、例えば、
図3に示すように、物販店舗等に関する意匠設計の初期段階におけるBIM意匠モデル50が、描画部29によって描画され、表示部31の有する液晶ディスプレイ等の表示画面に表示される、
【0048】
図3の右側に示すBIM意匠モデル50は、平面視略矩形のX方向とY方向に沿う、複数の外装材51により形成される外壁52と、外装材51の下方にある腰壁53と、所定の水勾配を備え、水下以外の3辺に鉢巻庇56を備えた折板屋根55とを有する。
【0049】
図3の左側に示すように、BIM意匠モデル50は、平面視矩形であって、X方向とY方向にそれぞれ、相互に直交する複数の通り芯を有しており、各通り芯と外壁52との格点54に、以下で説明する外柱が配設されるようになっている。また、外壁52の内部においては、各通り芯により形成される複数の格点54が中柱の設置位置となっており、意匠設計担当者は、必要に応じていずれかの格点54に中柱を配置する。
【0050】
表示部31は、表示画面において、
図4に示すように、BIM意匠モデルの作成に供される複数のアドインツールを表示するが、その中で、仮部材配置モデルの作成においては、「見積概算用仮構造部材41」なるアドインツールを押下し、複数の選択メニューを順次選択し、各選択画面において要求される選択や入力を行うことにより、仮部材配置モデルを作成する。
【0051】
図4に示すように、この選択メニューには、外柱(選択メニューにおける「外周柱」)と外梁(選択メニューにおける「軒桁」や「妻桁」)の設定、中柱の配置、スパンと負担幅評価、ブレース配置、梁配置(自動)、妻鉢巻庇母屋作成、概算数量算出等が設定されている。
【0052】
まず、外周柱と軒桁・妻桁の選択メニューを選択することにより、外周モデル作成部22が起動し、
図3の左図で示す外壁52と各通り芯との格点54に対して外柱を設定する。
図5には、所定高さの外柱61が各格点54に設定された状態を斜視図として表示画面31に示している。
【0053】
間隔を置いて隣接する外柱61の上部同士は、短尺な外梁62により接続される。すなわち、外梁62は外柱61の厚みの範囲内に設置され、外柱61の外側(室内側もしくは屋外側)に配設されない。
【0054】
複数の外柱61と、各外柱61の上部同士を繋ぐ外梁62とにより、外周モデル65が作成される。図示例の外周モデル65では、平面視矩形の1辺において、庇トラス63により形成される庇が付加されている。
【0055】
また、外周モデル65が作成されることにより、
図2に示す基礎設定部27が起動して、外柱61の下に外柱下基礎57が自動作成される。システム建築建物では、例えば外柱61が2m程度のスパンで配設されることから、各外柱61に対応する外柱下基礎は、経済性と施工性の観点から、独立基礎とせず、連続した布基礎として形成される。
【0056】
外周モデル65が作成された後、次に、
図4に示すアドインツール41において、中柱配置を選択することにより、
図2に示す判定部23が起動する。判定部23は、中柱の配置の要否と、中柱が配置された際の配置位置と数が配置ルールを充足するか否かを判定する。
【0057】
ここで、
図6は、「配置ルール」を説明する表示画面を示す図である。中柱の設置の要否に関しては、システム建築建物の設計条件の1つである、積雪深さ(積雪荷重)が影響する。図示例の配置ルールは、積雪深さが30cmの地域において建設されるシステム建築建物の設計に用いられる配置ルールである。
【0058】
図6において、「○」は配置ルールを充足していることを示し、「×」は配置ルールを充足せず、従って中柱を配置して柱間隔を短くすることを要することを示している。この配置ルールは、水勾配に平行な方向と直交する方向の各柱間隔に関し、配設される大梁や小梁が過度な変形をせず、許容応力度を充足する柱間隔を設定するものである。
【0059】
この配置ルールに関するデータは、記憶部32に格納されている。判定部23が中柱の要否等を判定する際は、記憶部32に格納されている配置ルールを都度参照し、判定を実行する。
【0060】
例えば、
図6の上表に示す配置ルールでは、建物の全体の平面寸法に関し、水勾配に平行な方向の柱間隔が14m以下、水勾配に直交する方向の柱間隔が6m以下である場合は、中柱66(
図6下を参照)が不要になる。
【0061】
一方、例えば、建物の全体の平面寸法に関し、水勾配に平行な方向の柱間隔が14m以下、水勾配に直交する方向の柱間隔が8m以上である場合は、中柱の配置が必要になる。
【0062】
図7と
図8は、配置ルールを充足するための中柱の配置フローを説明する図である。尚、各図において、上下左右の通り芯間のスパン長(外柱間のスパン長)は2mである。
【0063】
図7では、まず、表示画面31において、平面視矩形の外壁52の内部における複数の格点54のうち、任意の格点54を中柱設定位置54Aに設定する。
【0064】
この中柱設定位置54Aの設定により、ここに配置される中柱66が、左右の外壁52までの長さ、上下の外壁52までの長さが算定され、
図7の左図に示すように、各長さ(左8m、右17m、上10m、下10m)が表示される。
【0065】
このうち、中柱66の右上領域は、水勾配の方向の長さが10m、水勾配に直交する方向の長さが17mであることから、
図6に示す配置ルールを参照すると、水勾配に直交する方向の長さ:17mが配置ルールの規定範囲外となることから、配置ルールを充足しないこととなり、判定「×」とされる。このことは、中柱66の右下領域も同様である。
【0066】
一方、中柱66の左上領域と左下領域はいずれも、水勾配の方向の長さが10m、水勾配に直交する方向の長さが8mであることから、
図6に示す配置ルールを参照すると、配置ルールを充足することとなり、判定「○」とされる。
【0067】
この判定結果を踏まえ、意匠設計担当者は、次に、
図8に示すように、中柱設定位置54Aの右側側方に、別途の中柱設定位置54Bを設定する。このように別途の中柱66を中柱設定位置54Bに設定することにより、中柱設定位置54Aの右側の長さは、外壁52までの長さでなく、中柱設定位置54Bまでの長さとなり、
図7に示す17mから10mとなる。従って、
図6に示す配置ルールを参照すると、中柱設定位置54Bに配置される中柱66は上下左右のいずれの方向に対しても、配置ルールを充足することになる。
【0068】
尚、
図8の左図に示す中柱の判定結果は、中柱設定位置54Bに配置される中柱66に関する判定結果であるが、この中柱66も、上下左右のいずれの方向に対しても配置ルールを充足することになるため、4方向の判定結果が「○」と判定される。
【0069】
すなわち、
図8に示す2つの格点54A,54Bにそれぞれ中柱66を配置することにより、配置ルールを充足した中柱66の配置構成となる。
【0070】
図9には、表示画面31において、配置ルールを充足した中柱66が外周モデル65の内部に配設されている状態のモデル図が表示されている。次に、
図4に示すアドインツール41において、スパンと負担幅評価を選択することにより、
図10に示すように、小梁の最大スパン:10m、大梁の最大スパン:10m、及び大梁の最大負担幅:9mが自動算定される。すなわち、
図9において、大梁は水勾配の方向であるY方向に配設されること、小梁は大梁に直交する方向に配設されることから、2本の中柱66の配置位置が設定されることにより、大梁と小梁の各最大スパンが自動的に算定される。
【0071】
次に、
図4に示すアドインツール41において、ブレース配置を選択することにより、
図2に示すブレース設定部24が起動し、X方向とY方向における外柱61間に架け渡されるブレース(鉛直ブレース)の本数を算定する。
【0072】
ブレース設定部24では、建物の規模に応じてブレースの数と仕様を設定する。その他、建物の規模に応じた建物重量と設計震度により算定される地震時水平力と、基準風速に応じた風時水平力のうち、大きな水平力に基づいてブレースの数と仕様を設定する。
【0073】
図3に示す建物形状が設定された段階で、
図11に示す平面寸法入力部47のうち、「小梁最大スパン」、「大梁最大スパン」、及び「大梁の最大負担幅」以外の項目は自動入力される。
【0074】
意匠設計担当者が、設計条件入力部46と平面寸法入力部47の各部において、自動入力される項目以外の項目に関する情報を入力すると、ブレース設定部24によって、ブレース数算定結果表示部48に示すように、X方向とY方向における外柱61間に架け渡されるブレースの本数が、地震時水平力と風時水平力のうちの大きな水平力に基づいて設定される。
【0075】
次に、上記するように中柱66を配置し、スパンと負担幅評価を行うことにより、平面寸法入力部47における、「小梁最大スパン」、「大梁最大スパン」、及び「大梁の最大負担幅」が自動入力される。
【0076】
図12に示すように、意匠設計担当者は、X方向とY方向の外壁52において、算定された数のブレースをブレース配置位置49に設定する。ここで、各方向には、いずれも8枚のブレースの設置が要求されているため、各方向に沿う2辺において、等分の4枚のブレースを配置するようにブレース配置位置49を設定する。
【0077】
この設定においては、出入り口開口や窓開口等を回避した位置が選定される必要があることから、意匠設計担当者の直接入力によりブレース配置位置49の設定を行う。
【0078】
図13には、表示画面31において、X方向とY方向の各ブレース配置位置49にブレース68が設置されている状態のモデル図が表示されている。図示例では、2本の外柱61の間の高さ方向の中間位置に横桟67が設けられ、横桟67の上下にクロス状のブレース68が配設されることにより、
図12に示す1箇所のブレース配置位置49におけるブレースが形成されている。
【0079】
次に、
図4に示すアドインツール41において、梁配置を選択することにより、
図2に示す大梁設定部25が起動し、外柱61と中柱66を繋ぐ大梁を、その長さと負担幅に応じた仕様に設定する。
【0080】
ここで、大梁には、その長さの応じた仕様であって、適用可能な仕様に関する大梁仕様情報データが記憶部32に記憶されており、長さに応じた仕様の大梁が自動的に選定されてもよいし、意匠設計担当者が記憶部32から選定してもよい。
【0081】
図14には、表示画面31において、2本の中柱66と、それぞれの水勾配の水上側と水下側の各外柱61とを繋ぐ2本の大梁71が設置されている状態のモデル図が表示されている。また、基礎設定部27がさらに起動し、
図14に示すように、中柱66の下には、独立基礎である中柱下基礎58がモデル化される。
【0082】
次に、大梁設定部25に続いて
図2に示す小梁等設定部26が起動し、大梁71と外柱61を繋ぐ小梁や、小梁と外柱61を繋ぐ小屋つなぎ梁、小梁と小屋つなぎ梁、外梁62等で形成される平面格子内に配設される水平ブレースが設定される。
【0083】
小梁等設定部26では、折板屋根を構成する折板の仕様と積雪荷重に応じた小梁のピッチと、小梁の長さとに基づいて、所定仕様の小梁が所定ピッチで自動設定される。
【0084】
図15には、表示画面31において、各大梁71と外柱61とを繋ぐ複数の小梁72が設置されている状態のモデル図が表示されている。尚、複数の小梁72は、所定長さのものが所定ピッチにて自動配置される。
【0085】
さらに、
図16には、表示画面31において、複数の小屋つなぎ梁73と、複数の水平ブレース75が設置されている状態のモデル図が表示されている。
【0086】
次に、小梁等設定部26に続いて
図2に示す天吊材設定部28が起動し、小梁72の下に配置される天吊材を、所定のピッチで自動設定する。
【0087】
図17には、表示画面31において、複数の天吊材77が設置されることにより形成される、仮部材配置モデル80が表示されている。表示画面31において、仮部材配置モデル80であるBIM意匠モデルは、様々な角度から表示することができ、様々な角度から視認することができる。
【0088】
仮部材配置モデル80が作成された後、
図4に示すアドインツール41にある概算数量算出を選択することにより、作成された仮部材配置モデル80に基づいて各仮部材の鉄骨重量の総計である概算数量が算出され、この算出結果に基づいて積算対象であるシステム建築建物の概算見積もりが算出される。
【0089】
設計ユーザ端末10によれば、外柱61と外梁62を備える外周モデル65を形成し、配置ルールに基づいて中柱66を設定し、長さと負担幅に応じた仕様で大梁71を設定し、ブレース68の数と仕様を設定し、さらに、小梁72と小屋つなぎ梁73と水平ブレース75を設定することにより、これら各部材の鉄骨重量を算定することで高精度の概算見積もりを効率的に行うことが可能になる。
【0090】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0091】
10:設計ユーザ端末
21:取得部
22:外周モデル作成部
23:判定部
24:ブレース設定部
25:大梁設定部
26:小梁等設定部
27:基礎設定部
28:天吊材設定部
29:描画部
31:表示部(表示画面)
32:記憶部
41:仮構造部材アドインツール(アドインツール)
42:配置ルール画面
43:配置ルール充足可否画面
46:設計条件入力部
47:平面寸法入力部
48:ブレース数算定結果表示部
49:ブレース配置位置
50:外観意匠モデル(BIM意匠モデル)
51:外装材(外壁パネル)
52:外壁
53:腰壁
54:格点
54A,54B:中柱設定位置(格点)
55:折板屋根
56:鉢巻庇
57:外柱下基礎(布基礎)
58:中柱下基礎(独立基礎)
61:外柱
62:外梁
63:庇トラス
65:外周モデル
66:中柱
67:横桟
68:ブレース(鉛直ブレース)
71:大梁
72:小梁
73:小屋つなぎ梁
75:水平ブレース
77:天吊材
80:BIM意匠モデル(仮部材配置モデル)