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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076895
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】食器棚
(51)【国際特許分類】
   A47B 77/04 20060101AFI20240530BHJP
   A47B 81/04 20060101ALI20240530BHJP
   A47B 97/00 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
A47B77/04 Z
A47B81/04 A
A47B97/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188717
(22)【出願日】2022-11-25
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000139643
【氏名又は名称】株式会社綾野製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092875
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 孝治
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 貴大
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 章人
【テーマコード(参考)】
3B260
【Fターム(参考)】
3B260EC00
(57)【要約】
【課題】上部側左右複数の収納キャビネットと下部側左右複数の収納キャビネットをカウンター構造の天板を介して上下に連結し、部屋コーナー部の左側又は右側の側壁面に隣接する状態で設置するユニット構造の食器棚において、隣接する側壁面とキャビネット本体との間に十分な電源コードの配線間隔を確保しながら、当該隙間を正面から見えないようにする。
【解決手段】
側壁面側に位置する上下各収納キャビネットの扉を横開き構造の開閉扉とし、それぞれ側壁面と反対側に開かれるように構成すると共に、それら各側壁面側収納キャビネットの開閉扉の幅を当該収納キャビネットのキャビネット本体の幅よりも所定寸法大きくし、同開閉扉を閉じた時に当該開閉扉の側壁面側端部が上記キャビネット本体の側壁面側端部よりも側壁面側に所定寸法オーバーハングするようにし、当該側壁面側収納キャビネットのキャビネット本体と側壁面との間の正面から見える間隔を小さくした。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部側左右複数の収納キャビネットと下部側左右複数の収納キャビネットとをカウンター構造の天板を介して上下に連結一体化し、
部屋コーナー部の左側又は右側の側壁面に隣接する状態で設置されるユニット構造の食器棚であって、
上記カウンター構造の天板の上下に位置する左右複数の収納キャビネットの内、側壁面側に位置する上下各収納キャビネットの扉を横開き構造の開閉扉とし、
それぞれ側壁面と反対側に開かれるように構成すると共に、
それら各側壁面側収納キャビネットの開閉扉の幅を当該収納キャビネットのキャビネット本体の幅よりも所定寸法大きくし、
同開閉扉を閉じた時に当該開閉扉の側壁面側端部が上記キャビネット本体の側壁面側端部よりも側壁面側に所定寸法オーバーハングするようにし、
同オーバーハング部分で側壁面との間の隙間を覆うことにより、当該側壁面側収納キャビネットのキャビネット本体と側壁面との間に有効な配線間隔を確保しながら、当該側壁面側収納キャビネットのキャビネット本体と側壁面との間の正面から見える間隔を小さくした、
ことを特徴とする食器棚。
【請求項2】
側壁面側に位置する上下各収納キャビネットのキャビネット本体の前後方向の寸法を、非側壁面側に位置する上下各収納キャビネットのキャビネット本体の前後方向の寸法よりも所定寸法小さくし、側壁面側に位置する上下各収納キャビネットのキャビネット本体背面と部屋後壁面との間に側壁面側と同様の有効な配線間隔を確保した、
ことを特徴とする請求項1記載の食器棚。
【請求項3】
カウンター構造の天板の側壁面側端部を側壁面側上下各収納キャビネットのキャビネット本体の側壁面側外面よりも所定寸法側壁面側に延設し、
同天板の側壁面側延設端部に合わせて上記側壁面側上下各収納キャビネットの各開閉扉の側壁面側オーバーハング端部を対応させた、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の発明の食器棚。
【請求項4】
側壁面側と反対側に開かれる各開閉扉は、それぞれ最大開放角150度程度まで開放されるように構成した、
ことを特徴とする請求項1,2又は3記載の食器棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ユニット構造の食器棚の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の食器棚には、限られたキッチンスペース、ダイニングスペースにおいて、無駄なく多様な収納機能を実現することが求められている。このような観点から、たとえば上部側に食器および調理家電機器収納キャビネット及びその他の収納キャビネット、下部側に各種引き出しタイプの収納キャビネット及びスライドテーブルを備えた電気炊飯器収納キャビネットを設け、それら上下2組のキャビネット部分をカウンター構造の天板を介して一体に連結したユニット構造の食器棚が提案されている(たとえば特許文献1の図1及び図2の構成を参照)。
【0003】
このようなユニット構造の食器棚の場合、さらに上記カウンター構造の天板の左右方向の長さを長くすることにより、上記上下各収納キャビネットの一側に必要なサイドキャビネット(サイドボックス)が設けられるケースが多い。
【0004】
このような構成の食器棚によると、まとまったキッチンスペース、ダイニングスペースにおいて、食器や調理家電機器、その他の性質や種類、用途、形状や大きさ、重さなどの異なる各種キッチンアイテムを確実に収納することができる。また、上部側及び下部側の各種収納キャビネットは、それぞれ独立したユニット構造になっているので、自由な組み合わせ(プランニング)が可能であり、部屋の間取りや用途に応じたレイアウトで、使い勝手の良いキャビネット位置の設定が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5680781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記構成の食器棚は、その左右両面側のいずれか一方側を部屋コーナー部の右側又は左側の壁面に隣接する状態で設置するのが一般的である(いわゆる左置き又は右置きタイプ)。そして、同状態において、対応する壁面側の電源コンセントに対して、上記調理家電機器設置スペースに設置された各種調理家電機器又は内部電源コンセントからの電源コードを延設し、電源プラグを介して必要な電源を得るようにしている。
【0007】
この点に関し、最近では、キッチン周りで使用される調理家電製品の種類も多くなり、また消費電力も大きくなっている。そのため専用の電源コンセントも必要となり、部屋コーナー部の壁面における電源コンセントの数(側壁面側及び後壁面側)や口数、食器棚における内部電源コンセントの数や口数、また側板や背板に設けられる配線孔の数も多くなる傾向にある。
【0008】
一方、当該食器棚の設置は、たとえば上記側部側の上下各サイドキャビネットの側板面とそれらを連結しているカウンター天板の端部面を各々上下に連続する同一面状にそろえ、部屋コーナー部の床面側にある電源コンセント(プラグ受け筐体部分)や電源コンセントに差し込まれた電源プラグ(コードコネクタ部分)の高さ、幅木の突出寸法、上記電源コンセントから上下各サイドキャビネット内への電源コードの配線スペースなどを考慮し、かつ、上記各面が隣接する部屋の壁面に接触して幅木や壁面のクロスなどを損傷しないように所定の間隔を開けて設置するようにしている。この間隔は、上記のように壁面側電源コンセントの数や口数が増え、配線される電源コードの本数が増えると、より大きくなる。
【0009】
このため、当該食器棚を部屋コーナー部の隣接する壁面に近接する壁ピタ状態で設置することができず、壁面との間に相当に大きな間隔(隙間)を開けたラフな状態で設置せざるを得ず、左右幅方向のフィット感(壁ピタ感)に欠ける設置状態となっている。
【0010】
本来、ユニット構造の食器棚は、収納用途の異なる各ユニットについて豊富なサイズバリエーションを準備し、設置されるキッチンスペースに応じて、高さ、幅、奥行のそれぞれを適切にフィットさせ、限られた収納空間の有効な活用を図ると共に、ユーザー固有の使い勝手を向上させ、さらには、よりインテリア性を高くする点に設計上の意図がある。
【0011】
それにもかかわらず、壁面との間に大きなスペースを開けたラフな状態で、しかも当該スペース部分に、複数又は複数口の電源コンセント、それら複数又は複数口の電源コンセントに差し込まれた複数の電源プラグ、同複数の電源プラグから上下各キャビネット内へ延びる多くの電源コードが露出しているというのでは、本来の設計上の意図が実現されない。
【0012】
しかし、一方で上述のように電源コンセントの設置個数又は口数は多くなる傾向にあり、実用的には上下各キャビネットのキャビネット本体と部屋の壁面との間には十分な配線間隔があることが求められる。また、配線間隔が広い方が設置時又は設置後の配線作業も楽である。この十分な配線間隔の確保と当該配線間隔の縮小による壁ピタ感の実現は、相互に両立しにくい問題であった。
【0013】
この出願の発明は、このような問題を解決するためになされたもので、上記同様のユニット構造の食器棚において、カウンター構造の天板の上下に位置する複数の収納キャビネットの内の側壁面側に位置する上下各収納キャビネットの扉を横開き構造の開閉扉とし、それぞれ側壁面と反対側に開かれるように構成すると共に、それら各開閉扉の幅を当該収納キャビネットのキャビネット本体の幅よりも所定寸法大きくすることによって、各開閉扉を閉じた時に当該開閉扉の側壁面側端部が上記キャビネット本体の側壁面側端部よりも側壁面側に所定寸法オーバーハングするようにし、同オーバーハング部分で側壁面との間の隙間を覆うことにより、キャビネット本体と側壁面との間に有効な配線間隔を確保しながら、当該側壁面側収納キャビネットのキャビネット本体と側壁面との間の正面から見える間隔を小さくした食器棚を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願発明は、上記の課題を解決するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0015】
(1)請求項1の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上部側左右複数の収納キャビネットと下部側左右複数の収納キャビネットとをカウンター構造の天板を介して上下に連結一体化し、部屋コーナー部の左側又は右側の壁面に隣接する状態で設置されるユニット構造の食器棚であって、
上記カウンター構造の天板の上下に位置する左右複数の収納キャビネットの内、側壁面側に位置する上下各収納キャビネットの扉を横開き構造の開閉扉とし、それぞれ側壁面と反対側に開かれるように構成すると共に、それら各側壁面側収納キャビネットの開閉扉の幅を当該収納キャビネットのキャビネット本体の幅よりも所定寸法大きくし、同開閉扉を閉じた時に当該開閉扉の側壁面側端部が上記キャビネット本体の側壁面側端部よりも壁面側に所定寸法オーバーハングするようにし、同オーバーハング部分で側壁面との間の隙間を覆うことにより、当該側壁面側収納キャビネットのキャビネット本体と側壁面との間に有効な配線間隔を確保しながら、当該側壁面側収納キャビネットのキャビネット本体と側壁面との間の正面から見える間隔を小さくしたことを特徴としている。
【0016】
このような構成によると、側壁面側収納キャビネットのキャビネット本体と側壁面との間の間隔を実質的に大きくすることができる一方、当該側壁面側収納キャビネットの前面側における開閉扉と側壁面との間の間隔を十分に小さくすることができる。
【0017】
そのため、上記側壁面側上下各収納キャビネットのキャビネット本体と部屋側壁面との間に、当該側壁面側電源コンセントの筐体高さ及び同電源コンセントに差し込まれた電源プラグのコードコネクタ部分の高さに応じた十分に大きい配線空間を形成することができ、電源コンセントに対する電源プラグの差し込みが容易になると共に、当該側壁面側電源コンセントから上記上下各収納キャビネットのキャビネット本体内に引き込む複数本の電源コードを必要な本数分ゆったりと配線することができる。したがって、各収納キャビネット本体内の各種家電製品への電源コードの接続、その他内部電源コンセントへの電源コードの接続を含めた多くの本数の電源コードの配線が可能となる。また、それらの各作業も楽になる。
【0018】
他方、それでいながら、当該収納キャビネットの前面側開閉扉の開放側端部と対応する部屋側壁面との間の間隔を十分に小さくすることができる。
【0019】
その結果、当該収納キャビネットのキャビネット本体と部屋側壁面との間の間隔を実質的に大きくし、電源プラグの寸法を含めて多くの本数の電源コードを配線できるようにしたにも関わらず、それら各電源コードや電源プラグは、正面側からは殆ど見えなくなり、壁ピタ感が向上して、非常に見栄えの良いものとなる。
【0020】
また、側壁面側収納キャビネットの開閉扉は、それぞれ部屋側壁面と反対側に開かれるように構成されているので、開閉扉の開閉が容易であり、側壁面側に開ける場合と異なって、十分に広く開けることができる。そのため、各種収納アイテムの収納、取り出し、操作も容易になる。
【0021】
(2)請求項2の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求項1の発明の課題解決手段において、側壁面側に位置する上下各収納キャビネットのキャビネット本体の前後方向の寸法を、非側壁面側に位置する上下各収納キャビネットのキャビネット本体の前後方向の寸法よりも所定寸法小さくし、側壁面側に位置する上下各収納キャビネットのキャビネット本体背面と部屋後壁面との間に側壁面側と同様の有効な配線間隔を確保したことを特徴としている。
【0022】
最近では、キッチン周りで使用される調理家電製品の種類が多くなり、また電子レンジなど、消費電力の大きいものも増えている。そのため、専用の電源コンセントも必要となり、部屋コーナー部の壁面における電源コンセントの数(側壁面側及び後壁面側)や口数、食器棚における内部電源コンセントの数や口数、側板や背板に設けられる配線孔の数も多くなる傾向にある。
【0023】
また、最近の住宅では、オーナーの希望により、希望の場所に通常の仕様よりも多い個数、多い口数の電源コンセントが設置されているケースも多い。そして、それが食器棚設置予定の場所であることも多い。
【0024】
この発明の課題解決手段は、そのようなケースに適切に対応できるように構成されており、部屋側壁面側の電源コンセントに対応した配線空間だけでなく、部屋後壁面側の電源コンセントに対応した配線空間も確保できるようにしている。そして、それら各配線空間に対応してキャビネット本体の側板又は背板には、それぞれ必要な個数の配線孔が必要な位置に設けられる。
【0025】
外部から見えず、強度的にも問題がない、キャビネット本体の背面側背板部分の配線孔は、それらの全部または一部が必要に応じて背板のないオープン口により形成される。
【0026】
そして、それにより、後壁面側の電源コンセントの上下左右設置位置の相違(後壁面側の電源コンセントは、床面側だけでなく壁面上下方向の中間位置に設けられていることも多い)や個数、口数の多寡にも柔軟に対応して配線することができるようにする。
【0027】
一方、以上の構成では、非側壁面側に位置する上下各収納キャビネットのキャビネット本体の前後方向の寸法は、側壁面側に位置する上下各収納キャビネットのキャビネット本体の前後方向の寸法よりも所定寸法大きく構成されている。
【0028】
したがって、設置後における非側壁面側に位置する上下各収納キャビネットのキャビネット本体と部屋後壁面との間の間隔は小さく、側壁面側に位置する上下各収納キャビネットのキャビネット本体の部屋後壁面側に電源コンセントに対応した配線空間を形成したとしても、同配線空間は非側壁面側からは見ることができない。そのため、見栄えの問題は生じない。
【0029】
(3)請求項3の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求項1又は2の発明の課題解決手段において、カウンター構造の天板の側壁面側端部を側壁面側上下各収納キャビネットのキャビネット本体の側壁面側外面よりも所定寸法側壁面側に延設し、同天板の側壁面側延設端部に合わせて上記側壁面側上下各収納キャビネットの各開閉扉の側壁面側オーバーハング端部を対応させた構成としている。
【0030】
このような構成によると、カウンター構造の天板の側壁面側端部、その上下に位置する側壁面側各収納キャビネットの側壁面側端部がそれぞれ上端側から下端まで同一面状態に連続することになり、食器棚全体として、より統一感のあるデザインが実現される。したがって、壁ピタ感が一層向上する。
【0031】
また、このような構成の場合、上下方向中間部における側壁面側への凸部である、側壁面側に延設されたカウンター構造の天板の端部を基準として、同端部と側壁面との間の寸法を測定し、壁面保護に必要な所定の間隔を開けて設置すればよいので、天板端部と側壁面との間の寸法の測定、食器棚の設置作業が楽になる。
【0032】
(4)請求項4の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求項1,2又は3の発明の課題解決手段において、側壁面側と反対側に開かれる各開閉扉は、それぞれ最大開放角150度程度まで開放されるように構成されている。
【0033】
したがって、この発明の課題解決手段によれば、上記請求項1,2又は3の発明の課題解決手段の構成を採用した場合において、各開閉扉そのものの開閉が容易であることはもちろん、各開閉扉を開放した状態において、当該各開閉扉の存在に制約されることなく(各開閉扉がない場合と同様の状態で)、側壁面側電源コンセント又は後壁面側電源コンセントから側壁面側上下各収納キャビネット内への電源コードの引き込み及び同上下各収納キャビネット内での電源コードの配線作業を容易に行うことができるようになる。
【0034】
そのため、それらの各作業の作業効率が大きく向上し、設置作業の容易な食器棚を実現することができる。また、各種収納アイテムの収納、取り出しがより容易になる。
【発明の効果】
【0035】
以上の結果、この出願の発明によると、食器棚設置コーナー部の隣接する側壁面と同側壁面側収納キャビネットのキャビネット本体との間に側壁面保護のために必要な間隔、側壁面側電源コンセントからキャビネット本体側への電源コードの引き込み、引き回しに必要な十分な間隔を確保しながら、同部分を側壁面側収納キャビネットの前面側開閉扉の側壁面側端部によって有効にカバーすることができる。
【0036】
したがって、従来のような見苦しさがなくなり、インテリア性が大きく向上する。また、側壁面側電源コンセントの設置個数や口数を増やすことができ、最近の家電製品種類の増加、消費電力の増大に有効に対応することができる。
【0037】
しかも、それらの作用は、上記側壁面側収納キャビネット前面の開閉扉を側壁面と反対側に開くように取り付け、同開閉扉の側壁面側端部を上記側壁面側収納キャビネット本体の側壁面側端部よりも所定幅オーバーハングさせるだけで実現することができるから、構成は簡単で、コストもかからない。
【0038】
そのため、上記側壁面側収納キャビネットの開閉扉の取付位置を左右逆にするだけで、左置き、右置き何れのタイプの食器棚にも容易に対応することができる。
【0039】
また、そのようにした場合において、上記側壁面側の上下各収納キャビネットのキャビネット本体背面と部屋後壁面との間に上記側壁面側と同様の配線間隔を形成すると、さらに部屋後壁面側電源コンセントからキャビネット本体内への電源コードの引き込み、引き回しに必要な十分な間隔を確保しながら、同部分を前後方向の寸法が大きい非側壁面側の収納キャビネットによって見えないようにカバーすることができる。
【0040】
また、上記側壁面側収納キャビネットの開閉扉は、側壁面と反対側に150度程度の大きな開放角で開放される構成となっている。したがって、壁際に位置する側壁面側収納キャビネットの側板部及び背面部内外の電源コードの配線作業に際し、十分にキャビネット本体内に体を入れて作業をすることができ、開口部左右の作業スペースにも余裕ができるので、作業が楽になる。そのため、設置性も向上する。さらに、設置後における各種収納アイテムの収納、取り出しも容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】この出願の発明の実施の形態に係るカウンター部の上下一側にサイドキャビネットを設けたユニット構造の食器棚の構成を示す上下各サイドキャビネットの開閉扉を閉めた状態の正面図である。
図2】同ユニット構造の食器棚の構成を示す上下各サイドキャビネットの開閉扉を閉めた状態の斜視図である。
図3】同ユニット構造の食器棚の構成を示す上下各サイドキャビネットの開閉扉を開けた状態の斜視図である。
図4】同ユニット構造の食器棚の構成を示す上下各サイドキャビネットの開閉扉を開けた状態の正面図である。
図5】同ユニット構造の食器棚の構成を示す上下各サイドキャビネットの開閉扉を閉めた状態の左側面図である。
図6】同ユニット構造の食器棚の構成を示す上下各サイドキャビネットの開閉扉を閉めた状態の断面図(図1のA-A線断面図)である。
図7】同ユニット構造の食器棚を部屋コーナー部の左隅に設置した時の左側壁面及び同左側壁面の下部に設けられた壁面側電源コンセントと上下各サイドキャビネット(開閉扉)及びカウンター天板との関係を示す上下各サイドキャビネットの開閉扉を取り外した状態の正面図である(取り外した開閉扉の閉状態を2点鎖線で示している)。
図8】同ユニット構造の食器棚を図7と同様に部屋コーナー部の左隅に設置した時の背面側壁面及び同背面側壁面の上下方向中間部に設けられた壁面側電源コンセントと上下各サイドキャビネット及びカウンター天板との関係を示す上下各サイドキャビネットの開閉扉を閉じた状態の断面図(図1のA-Aに対応)である。この断面図は、基本的には図6の断面図に対応したものであるが、図7では、特に壁面側電源コンセントとの配線状態を示すために、図6における上部側サイドキャビネットの下部側第4,第5の2枚の棚板を取り外して、収納空間を広くし、ミキサー等の比較的大きい調理機器を収納した状態を示している。
図9】同ユニット構造の食器棚における上下各サイドキャビネットの上部側キャビネットの構成を示す扉閉状態の斜視図である。
図10】同ユニット構造の食器棚における上下各サイドキャビネットの上部側サイドキャビネットの構成を示す扉開状態の斜視図である。
図11】同ユニット構造の食器棚におけるカウンター構造の天板の構成を示す右端側切り欠き状態の斜視図である。
図12】同ユニット構造の食器棚における上下各サイドキャビネットの下部側サイドキャビネットの構成を示す扉閉状態の斜視図である。
図13】同ユニット構造の食器棚における上下各サイドキャビネットの下部側サイドキャビネットの構成を示す扉開状態の斜視図である。
図14】同ユニット構造の食器棚を部屋コーナー部の左隅に設置した時の上下各サイドキャビネット部分における、左側壁面及び同左側壁面の下部に設けられた壁面側電源コンセント、背面側壁面及び同背面側壁面の中間部に設けられた壁面側電源コンセントと、上下各サイドキャビネット、上下各サイドキャビネットの扉、カウンター天板との位置及び寸法関係を示す上下各サイドキャビネットの扉を最大開放角まで開放した状態の正面図である。
図15】同ユニット構造の食器棚の上端に上置きキャビネットを設けた構成例を示す同食器棚の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本願発明の実施の形態に係る食器棚の構成および作用について、詳細に説明する。
【0043】
本願発明の実施の形態においては、食器棚として、たとえば図1図8に示されるように、収納目的(収納用途)に応じて個々に独立した複数の収納キャビネットの組み合わせよりなるユニット構造の食器棚が採用されている。このユニット構造の食器棚は、上方側から下方側に大きく分けて、上キャビネット部A、カウンター部B、下キャビネット部Cの3組の構成部分よりなっており、これら3組の構成部分のうち、食器棚本体部分を構成する上キャビネット部Aと下キャビネット部Cをカウンター部Bを介して連結ボルトで上下に連結一体化して構成されている。
【0044】
上キャビネット部Aは、この実施の形態の場合、左側に上部側サイドキャビネット(上部側サイドボックス)1、右側に食器および調理家電機器収納キャビネット2の2組のキャビネットを並設して構成されている。これら上部側サイドキャビネット1、食器および調理家電機器収納キャビネット2は、それぞれ独立したユニット構造のキャビネットとして構成されている。
【0045】
上部側サイドキャビネット1は、たとえば図9及び図10に示されるように、本体天板11a及び化粧天板11b、左右一対の側板12,12、上半分の背板13、底板14よりなる上下に長い箱型筐体内の空間を、上下方向の中間部に位置して固定された第3の棚板15cによって上下2つの空間部に仕切り、上方側の空間部に所定の寸法ピッチで高さ調節が可能な第1、第2の棚板15a、15b、下方側の空間部に所定の寸法ピッチで高さ調節が可能な第4、第5の棚板15d、15eを設け、全体として、それら第1~第5の5枚の棚板15a~15eを介して第1~第6の6つの収納空間を形成している。そして、その開口部前面には、横開き構造、被せタイプの第1及び第2の上下2枚の開閉扉16A,16Bが設けられている。
【0046】
この実施の形態の場合、図7図14に示すように、当該食器棚を部屋コーナー部の左側に位置して設置することを前提として構成されており(いわゆる左置き)、そのために上記第1及び第2の開閉扉16A,16Bは、それぞれその右側の端部を上記右側の側板12の前端部に対して、上下各2組のスライド丁番17,17、17,17を用いて被せ構造(アウトセット)で取り付けている。これら上下各2組のスライド丁番17,17、17,17は、上記開口部前面に対して、それぞれ最大155度の開放角で開放される広角型のものが採用されている(図14のθ1、θ2を参照)。第1の開閉扉16Aは、本体天板11a部分から第1、第2、第3の棚板15a~15c部分に対応し、また第2の開閉扉16Bは、第3の棚板15c部分から第4、第5の棚板15c、15d、底板14部分に対応している。
【0047】
第1、第2の開閉扉16A、16Bは、それぞれ地震発生時において相互に係合し、第1、第2の開閉扉16A、16Bを自動的に閉状態にロックする耐震ラッチ18a,18a、第1、第2の開閉扉16A、16Bの開放操作を容易にするプッシュラッチ18bを備え、ワンプッシュすることにより開放することができる構成とされている。また、上下各2組のスライド丁番17,17、17,17は、それぞれキャッチバネを備えたものにより構成されていて、第1、第2の開閉扉16A,16Bが所定の閉じ角位置まで手動で閉じられると、その後はキャッチバネの付勢力が作用して自動的に閉じられるようになっている。
【0048】
この実施の形態の場合、上記第1の開閉扉16Aが対応する、本体天板11b部分から第1、第2、第3の棚板15a~15cまでの筐体部(上半分)の背面には上記のように背板13が設けられているが、上記第2の開閉扉16Bが対応する、第3の棚板15c部分から第4、第5の棚板15d、15e、底板14cまでの筐体部(下半分)の背面には背板13が設けられておらず、そのまま後方に開放されている(いわゆるオープン構成/図6図8を参照)。
【0049】
他方、上記第1の開閉扉16Aが対応する、本体天板11b部分から第1、第2、第3の棚板15a~15cまでの筐体部の背面の背板13と左側の側板12には、それぞれ第2の棚板15bと第3の棚板15cとの間に位置して、背面側外方に開口された配線孔19aと側面側外方に開口された配線孔19bの2組の配線孔が設けられている。これらの配線孔19a及び19bは、第2の棚板15bと第3の棚板15cとの間の収納スペースに携帯電話用の充電器その他の各種電気機器が収納された時に背面壁側電源コンセント92及び側面壁側電源コンセント91との間で電源コードを通す配線孔として使用される(図7及び図8を参照)。
【0050】
また、上記第2の開閉扉16Bが対応する、第3の棚板15c部分から第4、第5の棚板15d、15e、底板14までの筐体部の左側の側板12には、第5の棚板15eと底板14との間に位置して側面側外方に開口された配線孔19b(1組)が設けられている。この配線孔19bは、たとえば第4、第5の棚板15d、15eを取り外して上下方向の間隔を大きくした第3の棚板15cと底板14との間の収納スペースに、上下方向の背丈が高いミキサー等の調理家電機器30が収納された時に、たとえば側面壁側電源コンセント91(下方)との間で電源コードを通す配線孔として使用される。
【0051】
もちろん、この第3の棚板15cと底板14との間の収納スペース部分は背板がなく、背面側はそのまま後方側背面壁9dに開放されている(オープン構成)。したがって、同背面壁9d側に電源コンセント92がある場合には、当該ミキサー等の調理家電機器30は、その電源プラグ30aを背面側の電源コンセント92に挿入し、背面側の広い開口部を電源コード30bを通す配線口として利用する(図7及び図8を参照)。
【0052】
そして、この実施の形態の場合、たとえば図7及び図9に示すように、上記第1の開閉扉16A及び第2の開閉扉16Bの幅は、それぞれキャビネット本体の幅(左右一対の側板12,12両端間の幅)よりも所定寸法(a-f)だけ大きく形成されており、その右側端部の小口面を上記キャビネット本体の右側の側板12の外側面に合わせて、その内側に上記スライド丁番17,17、17,17を設けて、左側から右側(壁面側から非壁面側)にスライド開放可能に被せ構造にして取り付けている。
【0053】
したがって、図7の仮想線及び図9の実線に示されるように、上記開閉扉16A、16Bを閉じた状態では、当該開閉扉16A、16Bの左側端部(壁面側端部)16a、16aが上記所定寸法(a-f)だけキャビネット本体の左側(壁面側)の側板12の外側面よりも左側にオーバーハング(突出)することになる。これにより、たとえば図7及び図14に示されるように、当該食器棚(上部側サイドキャビネット1)を部屋コーナー部の左側壁面9bに隣接させて設置した場合に、上記各開閉扉16A、16Bの左側端部(壁面側端部)16a、16aの部屋の左側壁面9bとの間の間隔bをキャビネット本体の側板42の外側面との間隔cよりも当該オーバーハング寸法(a-f)だけ狭くすることができる。
【0054】
このため、部屋の左側壁面9bの下部に設けられている壁面側電源コンセント91から、上記側面側配線孔19b,19b、背面側配線孔19a,19aを通して収納されている家電機器に接続される側方側の電源コード(配線)が隠れて見えにくくなる(図7の仮想線を参照)。
【0055】
上記サイドキャビネット1の各開閉扉16A,16Aの左側端部(側壁面9b側端部)16a,16aを上記キャビネット本体の側壁面9b側端部(側壁面9b側の側板12の外面)よりも側壁面9b側に所定寸法(a-f)オーバーハングさせるに際しては、たとえば図1図3図7図14に示すように、後述するカウンター天板3の側壁面9b側端部3aをサイドキャビネット1のキャビネット本体の側壁面9b側端部(側壁面9b側の側板12の外面)よりも所定寸法a(たとえばa=30mm)だけ側壁面9b側に延ばし、該カウンター天板3の延設された側壁面9b側端部3aに合わせて上記サイドキャビネット1の各開閉扉16A,16Aの左側端部(側壁面9b側オーバーハング端部)16a,16aを対応させた構成とする。この場合において、上記サイドキャビネット1の上部側化粧天板11bの左側端部(側壁面9b側端部)11cもカウンター天板3の同側壁面9b側端部3aと同様に同じ寸法aだけ側壁面9b側に延ばす。
【0056】
このような構成にすると、上記サイドキャビネット1の上記第1、第2の各開閉扉16A,16Aの左側端部(側壁面9b側端部)16a,16a、上部側化粧天板11b及び下部側カウンター天板3それぞれの壁面側延設端部がそれぞれ上端側から下端まで略同一面状態に連続することになり、後述するように、下部側のサイドキャビネット4の開閉扉46も同様に構成されることから、本実施の形態の食器棚全体として、より統一感のあるデザインが実現される。したがって、壁ピタ感が有効に向上する(図1及び図7の構成を参照)。
【0057】
なお、この実施の形態の場合、図2及び図14に示されるように、実際には、上記化粧天板11b及びカウンター天板3それぞれの側壁面側延設端部11c、3aより上記開閉扉16A,16Aの左側端部(側壁面9b側端部)16a,16aの位置は、微小寸法f(たとえばf=3.5mm程度)内側にあり、完全に上下同一の連続面を形成しているわけではないが、食器棚全体の大きな上下寸法に比べて、f=3.5mmは極めて小さく、図1から明らかなように、その差は殆ど分からない。
【0058】
上記寸法fは、上記カウンター天板3の上部側に位置して並設される複数のキャビネット1,2をそれぞれ組み合わせた時にそれぞれの幅寸法との関係で、それらの何れか両端側のものがカウンター天板3の端部3aより突出しないように調整する調整寸法(調整間隔)である。したがって、上記開閉扉16A,16Bの左側端部(側壁面9b側端部)16a,16aのオーバーハング寸法を(a-f)と表現しているが、同オーバーハング寸法(a-f)は、30mm-3.5mm=26.5mmであり、図7及び図14のように設置された上部側サイドキャビネット1の側壁面9b側の側板12の外面と隣接する部屋の壁面9bとの間隔c(たとえばc=50mm)を半分以上(26.5/50=53%)有効にカバーすることができる。なお、上記調整寸法(調整間隔)fは、当該左置き設置状態におけるカウンター天板3の右側端部(非側壁面側端部)3cでも同様に設定されるが、右側の場合は、後述する食器および調理家電機器収納キャビネット2の右側の側板22の外面との間での設定になる(図14を参照)。
【0059】
カウンター天板3の部屋側壁面9b側端部3aと側壁面9bとの間及びカウンター天板3の後端面3bと部屋後壁面9cとの間の間隔b(たとえばb=20mm)は、少なくともカウンター天板3の下方側から上方側及びカウンター天板3の上方側から下方側に電源コードを配線することができ、かつ部屋の側壁面9b側及び部屋の後壁面9c側各下部の幅木9e,9eの高さ(突出寸法)を含めて、カウンター天板3の側壁面9b側端部3a,後壁面9c側端部3bを同側壁面9b,後壁面9cに当接させないための安全(壁面保護)を考慮した最低限必要な離間寸法であり、開閉扉16A,16B側においても、同開閉扉16A,16Bの端部16a,16aを部屋の側壁面9bに当てることなく、スムーズな開閉を実現するために必要な寸法である。
【0060】
上記構成によれば、そのような条件をキープしながら、確実に開閉扉16A,16Bの左側端部(側壁面9b側端部)16a,16aと側壁面9bとの間隔(図7図14のb+fを参照)を、キャビネット本体(側壁面9b側の側板12の外面)と側壁面9bとの間隔(配線スペースc)に比べて十分に小さくすることができる(半分以下の47%に縮小可能)。
【0061】
これにより、上部側サイドキャビネット1のキャビネット本体(側壁面9b側の側板12の外面)と部屋側壁面9bとの間における実質的な隙間c(c=b+a)、つまり電源コードの配線及び壁面9b保護のための最低離間寸法b及び複数本の電源プラグ、電源コードの有効な配線間隔aを確保しながら、しかも開閉扉16A,16Bの左側端部(側壁面9b側端部)16a,16aと側壁面9bとの間隔(隙間)b+fを可及的に小さくした壁ピタ感のある設置が可能となる。
【0062】
ところで、このように、電源コードの配線、部屋の壁面保護のために最低離間寸法bが必要なこと、及び複数本の電源コード配線のために電源プラグのコードコネクタ部分の寸法を考慮した有効な配線間隔aが必要なことは、見栄えの問題を除いて、基本的には電源コンセント92のある後壁面9c側でも同様である。
【0063】
そこで、上記カウンター天板3の後壁面9c側端部3b及び化粧天板11bの後壁面9c側端部11cを、それぞれ上記サイドキャビネット1の左右一対の側板12,12の後端面及び背板13の背面よりも上記同様の寸法a(a=30mm)だけ部屋の後壁面9c側に左右幅方向の全体に亘って均等に伸ばし、それによってサイドキャビネット1の背面側及び後述する食器及び調理家電機器収納キャビネット2の背面側共に複数本の電源コード配線のために有効な配線間隔c(c=b+a=50mm)を確保すると共に、同カウンター天板3の後壁面9c側端部3b及び化粧天板11bの後壁面9c側端部11cとの間で部屋の壁面保護のために必要な最低離間寸法bを確保するように構成することが考えられる。
【0064】
しかし、そのようにした場合、右側の側面から見た場合に、当該広くした配線間隔c(c=b+a=50mm)がそのまま見えることになり、側壁面9b側における従来と同様の問題が発生する。
【0065】
そのため、この実施の形態では、たとえば図6図8図14に示すように、カウンター天板3の後壁面9c側端部3b及び化粧天板11bの後壁面9c側端部11cを、それぞれ上記サイドキャビネット1の左右一対の側板12,12の後端面及び背板13の背面よりも上記寸法aだけ部屋の後壁面9c側に延設するのではなく、逆に上記サイドキャビネット1の左右一対の側板12,12の後端面及び背板13の背面をカウンター天板3の後壁面9c側端部3b及び化粧天板11bの後壁面9c側端部11cよりも上記寸法aだけ前方側に縮小し、それによって少なくとも上記サイドキャビネット1の後壁面9c側において、上記側壁面9b側と同様の配線間隔c(c=b+a=50mm)を確保するようにしている。他方、食器及び調理家電機器収納キャビネット2の後壁面9c側では、その側板22,22の後端面及び背板23の背面がカウンター天板3の後壁面9c側端部3b及び化粧天板11bの後壁面9c側端部11cと同一面に位置するように構成されている。
【0066】
これによって、少なくともサイドキャビネット1の後壁面9c側では、多数本の電源コード配線のための有効な配線間隔を確保すると共に、食器及び調理家電機器収納キャビネット2の後壁面9c側では、その右側の側板22によって、後壁面9cとの間の隙間を部屋の壁面保護のために必要な最低離間寸法bのみとし、サイドキャビネット1の後壁面9c側における多数本の電源コードが見えないようにしている。
【0067】
このような構成を採用すると、後壁面9cと上記サイドキャビネット1のキャビネット本体背面との間に、上記電源コードの配線及び壁面保護のための最低離間寸法bに加えて、複数本の電源コードの電源プラグのコードコネクタ部分の寸法を考慮した有効な配線間隔aが形成されるので、後壁面9cと上記サイドキャビネット1のキャビネット本体背面との間の間隔cが寸法aだけ拡大され、上記電源コードの配線及び壁面保護のための最低離間寸法bに複数本の電源コードの電源プラグのコードコネクタ部分の寸法を考慮した配線間隔aを加えた十分に広い間隔c(c=b+a)の空間全体を電源コードの配線空間として利用することができるようになる。その結果、背面側においても、より多くの本数の電源コードの配線が可能となり、隣接する食器及び調理家電機器収納キャビネット2側における内部電源コンセントの増設、口数の増加も容易になる。
【0068】
さらに、以上のような構成によると、部屋コーナー部への食器棚の設置に際して、カウンター天板3の側壁面9b側端部3a及び後壁面9c側端部3bと部屋コーナー部の側壁面9b及び後壁面9c間の寸法を測り、同部分の寸法が上述した壁面保護に必要な離間寸法b,bになるように設置すれば足りるので、壁面保護に必要な離間寸法b,bの測定及び設置作業が容易になる。
【0069】
以上の関係は、後述する下部側サイドキャビネット4のキャビネット本体及び開閉扉46の壁面側端部46a等と壁面9b,9cとの関係においても全く同様である。
【0070】
<変形例>
ところで、上記のように、サイドキャビネット1の左右一対の側板12,12の後端面及び背板13の背面をカウンター天板3の後壁面9c側端部3b及び化粧天板11bの後壁面9c側端部11cよりも上記寸法aだけ前方側に縮小し、それによって上記サイドキャビネット1の後壁面9c側において、上記側壁面9b側と同様の配線間隔c(c=b+a=50mm)を確保するようにすると、上記サイドキャビネット1の奥行き寸法が小さくなり、収容容積が縮小される。
【0071】
また、非側壁面側に位置する食器及び調理家電機器収納キャビネット2の内部電源コンセント26a,26bへの電源コードは、当該食器及び調理家電機器収納キャビネット2の背板23の背面と部屋後壁面9cとの間の間隔b(b=20mm)を利用して配線することになるが、同間隔b(b=20mm)は、上述したサイドキャビネット1背面側の配線間隔c(c=b+a=50mm)に比べて極めて狭く、配線しにくい。
【0072】
そこで、上記上部側サイドキャビネット1のキャビネット本体の前後方向の寸法はそのままにして、上記カウンター天板3の後壁面9c側端部3b及び化粧天板11bの後壁面9c側端部11cを、それぞれ上記サイドキャビネット1の左右一対の側板12,12の後端面及び背板13の背面よりも上記同様の寸法a(a=30mm)だけ部屋の後壁面9c側に左右幅方向の全体に亘って均等に伸ばし、それによってサイドキャビネット1の背面側及び後述する食器及び調理家電機器収納キャビネット2の背面側共に複数本の電源コード配線のために有効な配線間隔c(c=b+a=50mm)を確保する。
【0073】
他方、食器及び調理家電機器収納キャビネット2の右側(非壁面側)の側板22の前後方向の寸法を上記カウンター天板3の後方への延出寸法aだけ部屋の後壁面9c側に大きくする。
【0074】
このようにすると、同延出した右側の側板22の後壁面9c側端部によって、上記開閉扉16A,16Bと同様のオーバーハング端部が形成され、同オーバーハング端部によって、上部側サイドキャビネット1の背面側及び食器及び調理家電機器収納キャビネット2の背面側に各々形成した上記電源コード配線のための有効な配線間隔c(c=b+a=50mm)を見えないようにカバーすることができる。
【0075】
このような構成の場合、上部側サイドキャビネット1の収容容積を縮小しなくて済むだけでなく、上部側サイドキャビネット1の背面側に加えて、食器及び調理家電機器収納キャビネット2の背面側にも有効な配線空間を形成することができるので、食器及び調理家電機器収納キャビネット2側の内部電源コンセント26a,26bに対する電源コードの配線が容易になる。
【0076】
この構成は、後述する下部側サイドキャビネット4側でも同様に構成することができる。
【0077】
一方、食器および調理家電機器収納キャビネット2は、本体天板21a及び化粧天板21bと、左右一対の側板22,22と、背板23よりなる左右方向に長い箱型筐体内の空間を中板24を介して上下2つの空間に仕切り、上部側に食器棚25、下部側に調理家電機器設置スペース26を設けて構成されている。
【0078】
食器棚25の内側は左右方向中間部で2室に仕切られ、それら各室には所定の寸法ピッチで高さ調節が可能な複数枚の棚板が設けられていると共に(内部の構造は見えないため図示を省略)、前側には右又は左方向にスライド可能な引き戸25a,25bが設けられている。調理家電機器設置スペース26には、左右一対の側板22,22の内側面下部奥に位置して電子レンジ、トースターなどの調理家電機器に対応した耐熱性の内部電源コンセント26a,26bが設けられている。また、この実施の形態の場合、上記調理家電機器設置スペース26の背面側には、その開口部全体を覆う背板23に加えて、同背板23の下端部前面側に位置して所定の上下幅の補強板23aが設けられている。そして、その左右両端には、それら内部電源コンセント26a,26bに対応した配線孔26c,26dが設けられている。
【0079】
したがって、たとえば図7に示すように、上記上部側サイドキャビネット1背面側の電源コンセント92の別の差込口に対して、当該調理家電機器設置スペース26の内部電源コンセント26aから配線孔26cを介して背面側に電源コード30dを延ばし、その先端側の電源プラグ30cを差し込めば、当該内部電源コンセント26aに電源を供給することができる。
【0080】
他方側(右側)の内部電源コンセント26bの場合にも同様であり、内部電源コンセント26bから配線孔26dを介して背面側に同様の電源コードを延ばし、その先端側の電源プラグを後面壁9c側の電源コンセント92に差し込めば、当該内部電源コンセント26bに電源を供給することができる(その場合、後面壁9c側の電源コンセント92の口数を3口にする)。
【0081】
カウンター部Bは、図11及び図14に示すような、上記上キャビネット部Aの下面及び下キャビネット部Cの上面全体に十分に対応する前後方向の幅Wと左右方向の長さ(符号省略)を有するカウンター構造の天板3(以下、カウンター天板という)により構成されている。このカウンター天板3は、十分な板厚を有し、当該食器棚におけるカウンターテーブル及び上記食器および調理家電機器収納キャビネット2の底板としての機能も兼ねている。
【0082】
他方、カウンター天板3下方側の上記下キャビネット部Cは、左側に下部側サイドキャビネット(下部側サイドボックス)4、中央に引き出しキャビネット5、右側に調理家電機器キャビネット6の収納形態の異なる3組の収納キャビネットが並設一体化されている。これら下部側サイドキャビネット4、引き出しキャビネット5、調理家電機器キャビネット6は、それぞれ独立したユニット構造のキャビネットとして構成されている。
【0083】
下部側サイドキャビネット4は、たとえば図12及び図13に示されるように、天板41、左右一対の側板42,42、背板43よりなる上下に長い箱型筐体内の空間を所定の寸法ピッチで高さ調節が可能な第1~第2の2枚の棚板45a,45bを介して第1~第3の3つの収納空間に仕切り、その開口部前面には横開き型の開閉扉46が設けられている。この下部側サイドキャビネット4の場合、上述の上部側サイドキャビネット1と異なって底板がなく、下面側は部屋の床面9c側に開放されている。したがって、必要に応じて、上記第1~第2の2枚の棚板45a,45bを取り外すことによって、電気掃除機等の比較的上下寸法の大きいものも収納できるようになっている。
【0084】
ところで、先にも述べたように、この実施の形態の場合、図7に示すように、当該食器棚を部屋コーナー部の左側に位置して設置することを前提として構成されており、そのために上記開閉扉46は、その右側の端部を上記右側の側板42の前端部内側に対して、上中下3組のスライド丁番17,17,17を用いてアウトセット状態で取り付けられている。これら上中下3組のスライド丁番17,17,17は、上記開口部前面に対して、それぞれ最大開放角155度の開放角で開放される広角型のものが採用されている(図14を参照)。この開閉扉46は、上述の上部側サイドキャビネット1の開閉扉16A、16Bと同様にプッシュラッチ18bを備えて構成されている。そして、同様にワンプッシュ方式で開閉される。但し、耐震ラッチ18a,18aは設けられていない。
【0085】
筐体部背面の背板43と左側の側板42には、天板41と第2の棚板45aとの間及び第2の棚板45bと下面側床面9cとの間に位置して、それぞれ背面側外方に開口された配線孔19aと側面側外方に開口された配線孔19bの2組の配線孔が設けられている。これらの配線孔19a及び19bは、上記のように電気掃除機等の電気機器が収納された時に背面壁側電源コンセント92及び側面壁側電源コンセント91との間で電源コードを通す配線孔として使用される。
【0086】
そして、この実施の形態の場合、たとえば図12及び図13に示すように、上記開閉扉46の幅は、キャビネット本体の幅(左右一対の側板42,42両端間の幅)よりも所定寸法(a-f)だけ大きく形成されており、その右側端部の小口面を上記キャビネット本体の右側の側板42の外側面に合わせて、その内側に上記3組のスライド丁番17,17,17を設けて、左側から右側にスライド開放可能に被せ構造にして取り付けている。
【0087】
したがって、図12に示されるように、上記開閉扉46を閉じた状態では、当該開閉扉46の左側端部46aが所定寸法(a-f)だけキャビネット本体の左側の側板42の外側面よりも左側にオーバーハング(突出)することになる。これにより、図14に示されるように、当該下部側サイドキャビネット4における開閉扉46左側端部46aの部屋の左側壁面9bとの間の間隔bを側板42の外面との間隔cよりも当該オーバーハング寸法(a-f)だけ狭くすることができる。
【0088】
このため、上記上部側サイドキャビネット1の場合と同様に、部屋の左側壁面9bの下部に設けられた壁面側電源コンセント91から側面側配線孔19b、19b、背面側配線孔19a,19aを通して収納機器に接続される側方側の電源コード(配線)が隠れて見えにくくなる(図7の仮想線を参照)。
【0089】
上記下部側サイドキャビネット46の開閉扉46の左側端部(壁面側端部)46aを上記キャビネット本体の壁面側端部よりも側壁面9b側に所定寸法(a-f)オーバーハングさせるに際しては、たとえば図1図3図7図14に示すように、上記カウンター天板3の側壁面側端部3aを当該サイドキャビネット4のキャビネット本体の側壁面側外面よりも所定寸法a(たとえばa=30mm)だけ側壁面9b側に延ばし、同カウンター天板3の壁面側延設端部3aに合わせて当該サイドキャビネット4の開閉扉46の左側端部(壁面側オーバーハング端部)46aを対応させた構成とする。
【0090】
このような構成にすると、当該下部側サイドキャビネット46の開閉扉46の左側端部(側壁面9b側端部)46a、カウンター天板3の側壁面9b側端部3a、上部側サイドキャビネット1の第1、第2の開閉扉16A,16Bの左側端部(側壁面9b側端部)16a,16a、上部側サイドキャビネット1の化粧天板11b、それぞれの側壁面9b側延設端部がそれぞれ上端側から下端まで略同一面状態に連続することになり、食器棚全体として、より統一感のあるデザインが実現される。したがって、壁ピタ感が一層向上する(図1及び図7の構成を参照)。
【0091】
なお、この場合にも、上部側サイドキャビネット1の場合と同様に、上記開閉扉46の左側端部(側壁面9b側端部)46aを上記キャビネット本体の側壁面9b側端部よりも側壁面9b側に所定寸法(a-f)オーバーハングさせるに際しては、カウンター天板3の側壁面9b側端部3aをキャビネット本体の側壁面9b側外面よりも所定寸法a(たとえばa=30mm)だけ側壁面9b側に延ばし、同延設したカウンター天板3の側壁面9b側端部3aに合わせて開閉扉46の左側端部(側壁面9b側オーバーハング端部)46aを対応させた構成とする。
【0092】
しかし、図2及び図14に示されるように、実際には、上記開閉扉46の左側端部(側壁面9b側端部)46aの位置は、カウンター天板3の側壁面9b側端部3aよりも微小寸法f(たとえばf=3.5mm程度)内側にあり、完全に同一の連続面を形成しているわけではないが、食器棚全体の大きな上下寸法に比べて、f=3.5mmは極めて小さく、図1から明らかなように、その差は殆ど分からない。
【0093】
上記寸法fは、上記カウンター天板3の下部側に位置して並設される複数のキャビネット4,5,6をそれぞれ組み合わせた時にそれぞれの幅寸法との関係で、それらの何れか両端側のものがカウンター天板3の端部3aより突出しないように調整する調整寸法(調整間隔)である。したがって、上記開閉扉46の左側端部(側壁面9b側端部)46aのオーバーハング寸法を(a-f)と表現しているが、同オーバーハング寸法(a-f)は、30mm-3.5mm=26.5mmであり、図7及び図14のように、設置された下部側サイドキャビネット4の側板42の外面と隣接する部屋の側壁面9bとの間隔c(たとえばc=50mm)を半分以上(53%)有効にカバーすることができる。なお、上記調整寸法(調整間隔)fは、当該左置き設置状態におけるカウンター天板3の右側端部3cでも同様に設定されているが、右側の場合は、後述する調理家電機器収納キャビネット6の右側側板62の外面との間での設定になる(図14の食器棚及調理家電機器設置キャビネット2との関係を参照)。
【0094】
サイドキャビネット4の側板42の外面及び後端面と部屋の側壁面9b,後壁面9cとの間の間隔b(たとえばb=20mm)は、電源コードの配線に必要であり、かつ床面側幅木9eの高さ(突出寸法)を含めて、カウンター天板3の端部3a,3bを側壁面9b,後壁面9cに当接させないための安全を考慮した最低限必要な離間寸法であり、開閉扉46側においても、同開閉扉46の端部46aを部屋の側壁面9bに当てることなく、スムーズな開閉を実現するために必要な寸法である。
【0095】
上記構成によれば、そのような条件をキープしながら、確実に開閉扉46の左側端部(側壁面9b側端部)46aと側壁面9bとの隙間b+fをキャビネット本体(左側の側板42の外面)と側壁面9bとの隙間cよりも小さくすることができる。これにより、キャビネット本体(左側の側板42の外面)と側壁面9bとの隙間c、つまり電源コードの配線スペースを有効に確保しながら、しかも開閉扉46の左側端部(側壁面9b側端部)46aと側壁面9bとの隙間を可及的に小さくした壁ピタ感のある設置が可能となる。
【0096】
ところで、このように、電源コードの配線及び部屋の壁面保護のために最低離間寸法bが必要なこと及び複数本の電源コード配線のために当該電源コードの電源プラグ部分におけるコードコネクタの寸法を考慮した十分な配線間隔aが必要なことは、見栄えの問題を除いて、基本的には後壁面9c側でも同様である。
【0097】
そこで、上記カウンター天板3の後壁面9c側端部3bを、上記下部側サイドキャビネット4の左右一対の側板42,42の後端面及び背板43の背面よりも上記同様の寸法a(a=30mm)だけ部屋の後壁面9c側に左右幅方向の全体に亘って均等に伸ばし、それによって当該サイドキャビネット4の背面側及び後述する引き出しキャビネット5、調理家電機器収納キャビネット6の背面側共に複数本の電源コード配線のために当該電源コードの電源プラグ部分におけるコードコネクタの寸法を考慮した十分な配線間隔c(c=b+a=50mm)を確保すると共に、同カウンター天板3の後壁面9c側端部3bとの間で電源コードの配線及び部屋の壁面保護のために必要な最低離間寸法bを確保するように構成することが考えられる。
【0098】
しかし、そのようにした場合、右側の側面から見た場合に、当該広くした配線間隔c(c=b+a=50mm)がそのまま見えることになり、側壁面9b側における従来と同様の問題が発生する。
【0099】
そのため、この実施の形態では、たとえば図6図8図14に示すように、カウンター天板3の後壁面9c側端部3bを、上記サイドキャビネット4の左右一対の側板42,42の後端面及び背板43の背面よりも上記寸法aだけ部屋の後壁面9c側に延設するのではなく、逆に上記サイドキャビネット4の左右一対の側板42,42の後端面及び背板43の背面をカウンター天板3の後壁面9c側端部3bよりも上記寸法aだけ前方側に縮小し、それによって少なくとも上記サイドキャビネット4の後壁面9c側において、上記側壁面9b側と同様の電源プラグにおけるコードコネクタ部分の寸法を考慮した十分な配線間隔c(c=b+a=50mm)を確保するようにしている。
【0100】
他方、後述する引き出しキャビネット5、調理家電機器収納キャビネット6の後壁面9c側では、その側板52,52の後端面及び背板53の背面がカウンター天板3の後壁面9c側端部3bと同一面に位置するように構成されている。
【0101】
これによって、少なくともサイドキャビネット4の後壁面9c側では、多数本の電源コード配線のための有効な配線間隔を確保すると共に、後述する引き出しキャビネット5及び調理家電機器収納キャビネット6の後壁面9c側では、それぞれの背面及び調理家電機器収納キャビネット6の右側の側板62によって、後壁面9cとの間の隙間を少なくとも電源コードを通すことができ、かつ部屋の壁面保護のために必要な最低離間寸法bのみとし、サイドキャビネット4の後壁面9c側における多数本の電源コードが見えないようにしている。
【0102】
このような構成を採用すると、少なくとも部屋の後壁面9cと上記サイドキャビネット4のキャビネット本体背面との間に、上記電源コードの挿通及び壁面保護のための最低離間寸法bに加えて、電源プラグのコードコネクタ部分の寸法を考慮した複数本の電源コードの有効な配線間隔aが形成されるので、後壁面9cと上記サイドキャビネット4のキャビネット本体背面との間の間隔cが同寸法aだけ拡大され、上記電源コードの挿通及び部屋の壁面保護のための最低離間寸法bに同複数本の電源コードの有効な配線間隔aを加えた十分に大きい間隔c(c=b+a)の空間全体を電源コードの配線空間として利用することができるようになる。
【0103】
その結果、背面側においても、より多くの本数の電源コードの配線が可能となり、隣接する調理家電機器収納キャビネット6側における内部電源コンセントの増設、口数の増加も容易になる。
【0104】
さらに、以上のような構成によると、部屋コーナー部への食器棚の設置に際して、カウンター天板3の側壁面9b側端部3a及び後壁面9c側端部3bと部屋コーナー部の側壁面9b及び後壁面9c間の寸法を測り、同部分の寸法が上述した壁面保護に必要な離間寸法b,bになるように設置すれば足りるので、壁面保護に必要な離間寸法b,bの測定及び設置作業が容易になる。
【0105】
<変形例>
ところで、上記のように、サイドキャビネット4の左右一対の側板42,42の後端面及び背板43の背面をカウンター天板3の後壁面9c側端部3bよりも上記寸法aだけ前方側に縮小し、それによって上記サイドキャビネット4の後壁面9c側において、上記側壁面9b側と同様の配線間隔c(c=b+a=50mm)を確保するようにすると、上記サイドキャビネット4の奥行き寸法が小さくなり、収容容積が縮小される。
【0106】
また、上記非側壁面側に位置する調理家電機器収納キャビネット6の調理家電機器への電源コードの配線は、側壁面9b側の電源コンセント91を利用する場合には、サイドキャビネット4の背後から、引き出しキャビネット5、調理家電機器収納キャビネット6の各背面と部屋後壁面9cとの間の間隔b(b=20mm)を通すことになり、又後壁面9c側の電源コンセント92を利用する場合には、サイドキャビネット1の背後から、カウンター天板3の後壁面9c側端部3b、引き出しキャビネット5、調理家電機器収納キャビネット6の各背面と部屋後壁面9cとの間の間隔b(b=20mm)を通すことになり、何れの場合にも、上述したサイドキャビネット4本体の背面側の配線間隔c(c=b+a=50mm)に比べて極めて狭く、配線しにくい。
【0107】
そこで、上記下部側サイドキャビネット4のキャビネット本体の前後方向の寸法はそのままにして、上記カウンター天板3の後壁面9c側端部3bを、当該サイドキャビネット4の左右一対の側板42,42の後端面及び背板43の背面よりも上記同様の寸法a(a=30mm)だけ部屋の後壁面9c側に左右幅方向の全体に亘って均等に伸ばし、それによってサイドキャビネット4の背面側及び引き出しキャビネット5、調理家電機器収納キャビネット6の背面側共に複数本の電源コード配線のために有効な配線間隔c(c=b+a=50mm)を確保する。
【0108】
他方、調理家電機器収納キャビネット6の右側の側板62の前後方向の寸法を上記カウンター天板3の後方への延出寸法aだけ部屋の後壁面9c側に大きくする。
【0109】
このようにすると、同延出した右側の側板62の後壁面9c側端部によって、上記開閉扉46と同様のオーバーハング端部が形成され、同オーバーハング端部によって、上記下部側サイドキャビネット4の背面側、引き出しキャビネット5の背面側、調理家電機器収納キャビネット6の背面側に各々形成された上記電源コード配線のための有効な配線間隔c(c=b+a=50mm)を見えないようにカバーすることができる。
【0110】
このような構成の場合、下部側サイドキャビネット4の収容容積を縮小しなくて済むだけでなく、下部側サイドキャビネット4の背面側に加えて、カウンター天板3の後壁面9c側端部、引き出しキャビネット5、調理家電機器収納キャビネット6各々の背面側にも有効な配線空間を形成することができるので、調理家電機器収納キャビネット6内の調理家電機器に対する電源コードの配線が容易になる。
【0111】
次に引き出し出しキャビネット5は、天板51(図示省略)と、側板52,52(図示省略)と、背板53(図示省略)と、台輪54よりなる上下に長い箱型の筐体内空間に、所用の収納物を分類して収納することができる第1~第4の4段構造の引き出し55a~55dを設けて構成されている。
【0112】
調理家電機器キャビネット6は、天板61(図示省略)と、左右一対の側板62,62(図1を参照)と、背板63(図示省略)と、台輪64よりなる上下に長い箱型の筐体内空間の上部に電気炊飯器などの調理家電機器をスライドテーブル65を介して収納し、使用時に引き出すことができるようにした調理家電機器収納スペース66、下部にダストボックスその他の収納用途の引き出し67を設けて構成されている。
【0113】
この実施の形態の場合、たとえば図2図3及び図5図6に示すように、上記上キャビネット部Aにおける2組のキャビネットの前後方向の寸法(奥行き寸法)は、上記下キャビネット部Cにおける3組のキャビネットの前後方向の寸法(奥行き寸法)よりも所定寸法小さく形成されている一方、それらの間に位置するカウンター天板3の前後方向の寸法(図11図14のWを参照)は、上記上キャビネット部Aにおける2組のキャビネットの前後方向の寸法(奥行き寸法)よりも所定寸法dだけ大きく、また下キャビネット部Cにおける3組のキャビネット4,5,6の前後方向の寸法(奥行き寸法)よりも所定寸法eだけ大きく形成されている。
【0114】
そして、それによりカウンター部Bのカウンター天板3は、上キャビネット部Aよりも所定寸法d、下キャビネット部Cよりも所定寸法eだけ前側に突出している。これにより、いわゆるピアノ型構造の食器棚に形成され、カウンター部C部分における調理作業が容易で、設置された調理家電機器などが使用しやすい構成となっている。
【0115】
<この発明の実施の形態に係るカウンター天板3の上下に位置する左右複数のキャビネットの内の側壁面9b側に位置する上下各サイドキャビネット1及び4の特徴>
この発明の実施の形態の場合、上記カウンター天板3の上下に位置する左右複数のキャビネットの内、側壁面9b側に位置する上下の各サイドキャビネット1、4は、それぞれその扉を横開き構造の開閉扉とし、それぞれ側壁面9bと反対側に開かれるように構成すると共に、それら各側壁面9b側サイドキャビネット1、4の開閉扉16A,16A、46の幅を当該サイドキャビネット1、4のキャビネット本体の幅よりも所定寸法大きくし、同開閉扉16A,16A、46を閉じた時に当該開閉扉16A,16A、46の側壁面9b側端部16a,16a、46aが上記キャビネット本体の壁面側端部よりも壁面側に所定寸法オーバーハングするようにし、同オーバーハング部分で側壁面9bとの間の隙間を覆うことにより、当該側壁面9b側サイドキャビネット1、4のキャビネット本体と側壁面9bとの間の正面から見える間隔を小さくしたことを特徴としている。
【0116】
このような構成によると、側壁面9b側サイドキャビネット1、4のキャビネット本体と側壁面9bとの間の間隔を実質的に大きくすることができる一方、当該側壁面9b側サイドキャビネット1、4の前面側における開閉扉16A,16A、46と側壁面9bとの間の間隔を十分に小さくすることができる。
【0117】
そのため、上記側壁面9b側上下各サイドキャビネット1、4のキャビネット本体と側壁面9bとの間に、当該側壁面9b側電源コンセント91の筐体高さ及び同電源コンセント91に差し込まれた電源プラグのコードコネクタ部分の高さに応じた十分に大きい配線空間を形成することができ、同電源コンセント91に対する電源プラグの差し込みが容易になると共に、当該側壁面9b側電源コンセント91から同キャビネット本体内に引き込む複数の電源コードを必要な本数分ゆったりと配線することができる。したがって、上下各サイドキャビネット1,4のキャビネット本体内の各種家電製品への電源コード、隣接するキャビネット2の内部電源コンセント26a,26bへの電源コード,隣接するキャビネット6への電源コードを含めた多くの本数の電源コードの配線が可能となる。
【0118】
他方、それでいながら、当該サイドキャビネット1、4の前面側開閉扉16A,16A、46と側壁面9bとの間の間隔を十分に小さくすることができる。
【0119】
そのため、当該サイドキャビネット1、4のキャビネット本体と側壁面9bとの間の間隔を実質的に大きくし、多くの本数の電源コードを配線できるようにしたにも関わらず、それら各電源コードや電源プラグは、正面側からは殆ど見えなくなり、壁ピタ感が向上して、非常に見栄えの良いものとなる。
【0120】
また、側壁面9b側サイドキャビネット1、4の開閉扉16A,16A、46は、それぞれ側壁面9b側と反対側に開かれるように構成されているので、開閉扉16A,16A、46の開閉が容易であり、側壁面9b側に開ける場合と異なって、十分に広く開けることができる。そのため、各種収納アイテムの収納、取り出しも容易になる。
【0121】
また、上記のように側壁面9b側サイドキャビネット1、4の各開閉扉16A,16A、46の壁面側端部16a,16a、46aを上記キャビネット本体の壁面側端部よりも側壁面9b側に所定寸法オーバーハングさせるに際しては、たとえば図1図3図7に示すように、上記カウンター天板3の側壁面9b側端部3aを側壁面9b側上下各サイドキャビネット1、4のキャビネット本体の側壁面側外面よりも所定寸法側壁面9b側に延ばし、同カウンター天板3の側壁面9b側延設端部3aに合わせて上記側壁面9b側上下各サイドキャビネット1、4の各開閉扉16A,16A、46の側壁面側端部(オーバーハング端部)16a,16a、46aを対応させた構成とする。
【0122】
このような構成にすると、カウンター天板3の延設された側壁面9b側端部3a、その上下に位置する側壁面9b側各サイドキャビネット1、4の側壁面9b側端部(オーバーハング端部)16a,16a、46aがそれぞれ上端側から下端まで略同一面状態に連続することになり、食器棚全体として、より統一感のあるデザインが実現される。したがって、壁ピタ感が一層向上する。
【0123】
また、この発明の実施の形態では、上記側壁面9b側に位置する上下各サイドキャビネット1、4のキャビネット本体の前後方向の寸法を、非壁面側に位置する食器及び調理家電機器収納キャビネット2及び引き出しキャビネット5、調理家電機器収納キャビネット6各々のキャビネット本体の前後方向の寸法よりも所定寸法小さくし、当該側壁面9b側に位置する上下各サイドキャビネット1、4のキャビネット本体背面と部屋後壁面9cとの間に側壁面9b側と同様の有効な配線間隔を確保している。
【0124】
最近では、キッチン周りで使用される調理家電製品の種類が多くなり、また電子レンジなど、消費電力の大きいものも増えている。そのため、専用の電源コンセントも必要となり、部屋コーナー部の壁面における電源コンセントの数(側壁面側及び後壁面側)や口数、食器棚における内部電源コンセントの数や口数、側板や背板に設けられる配線孔の数も多くなる傾向にある。
【0125】
また、最近の住宅では、オーナーの希望により、希望の場所に通常の仕様よりも多い個数、多い口数の電源コンセントが設置されているケースも多い。そして、それが食器棚設置予定の場所であることも多い。
【0126】
同構成は、そのようなケースに適切に対応できるように構成されており、部屋側壁面9b側の電源コンセント91に対応した配線空間だけでなく、部屋後壁面9c側の電源コンセント92に対応した配線空間も有効に確保できるようにしている。そして、それら各配線空間に対応してキャビネット本体の側板12、42又は背板13、43に、上述のように、それぞれ必要な個数の配線孔19a、19a・・、19b、19b・・が必要な位置に設けられる。
【0127】
外部から見えず、強度的にも問題がない、キャビネット本体の背面側背板13、43部分の配線孔は、それらの全部または一部が必要に応じて背板のないオープン口により形成される。以上の構成では、一例として、上部側サイドキャビネット1の背板13の下半分部分がオープン口に形成されている。
【0128】
そして、それにより、部屋後壁面3c側の電源コンセント92の設置位置の相違や個数、口数の多寡にも柔軟に対応して配線することができるようにする。
【0129】
一方、以上の構成では、そのようにした場合において、非側壁面側(右側)に位置する調理家電機器収納キャビネット2及び引き出しキャビネット5、調理家電機器収納キャビネット6各々のキャビネット本体の前後方向の寸法
は、当該側壁面9b側に位置する上下各サイドキャビネット1、4のキャビネット本体の前後方向の寸法よりも所定寸法大きく構成されている。
【0130】
したがって、設置後における非側壁面側に位置する調理家電機器収納キャビネット2及び引き出しキャビネット5、調理家電機器収納キャビネット6のキャビネット本体と部屋後壁面9cとの間の間隔は小さく、側壁面9b側に位置する上下サイドキャビネット1、4のキャビネット本体の部屋後壁面9c側に電源コンセント92に対応した配線空間を形成したとしても、同配線空間は非側壁面側からは見ることができない。そのため、見栄えの問題は生じない。
【0131】
また、この発明の実施の形態の場合、上記側壁面9b側と反対側に開かれる各開閉扉16A,16A、46は、たとえば図3図14に示されるように、それぞれ最大開放角θ1,θ2=155度程度まで開放されるように構成されている。
【0132】
したがって、開閉扉16A,16A、46の開閉が容易であることはもちろん、各開閉扉16A,16A、46を開放した状態において、各開閉扉16A,16A、46の存在に制約されることなく、上下各サイドキャビネット1、4内への電源コードの引き込み及び上下各サイドキャビネット1、4内での電源コードの配線作業を容易に行うことができるようになる。
【0133】
そのため、それらの各作業の作業効率が大きく向上し、設置作業の容易な食器棚を実現することができる。また、各種収納アイテムの収納、取り出しが一層容易になる。
【0134】
以上の結果、この出願の発明の実施の形態に係る壁面側サイドキャビネットの構成によると、設置コーナー部の隣接する壁面とサイドキャビネットのキャビネット本体との間に壁面等保護のために必要な間隔、壁面側電源コンセントからキャビネット本体側への電源コードの引き込み、引き回しに必要な十分な間隔を確保しながら、同部分をサイドキャビネットの前面側開閉扉の壁面側端部によって有効にカバーすることができる。
【0135】
したがって、従来のような見苦しさがなくなり、インテリア性が大きく向上する。また、壁面側電源コンセントの設置個数や口数を増やすことができ、最近の家電製品種類の増加、消費電力の増大に有効に対応することができる。
【0136】
しかも、それらの作用は、上記壁面側サイドキャビネット前面の開閉扉を壁面と反対側に開くように取り付け、同開閉扉の壁面側端部を上記壁面側サイドキャビネット本体の壁面側端部よりも所定幅オーバーハングさせるだけで実現することができるから、構成は簡単で、コストもかからない。
【0137】
そのため、上記壁面側サイドキャビネットの開閉扉の取付位置を左右逆にするだけで、左置き、右置き何れのタイプの食器棚にも容易に対応することができる。
【0138】
また、上記壁面側サイドキャビネットの開閉扉は、壁面と反対側に155度程度(150度±α)の大きな開放角で開放される構成となっている。したがって、壁際に位置するサイドキャビネットの側板部及び背面部内外の電源コードの配線作業に際し、十分に体を寄せて作業をすることができ、左右の作業スペースに余裕ができるので、作業が楽になる。
【0139】
そのため、設置性も向上する。さらに、設置後における各種収納アイテムの収納、取り出しも容易になる。
【0140】
<上置きキャビネットの設置>
この出願の発明の実施の形態における上記ユニット構造の食器棚は、図1図8に示すように、上方側から下方側に大きく分けて、上キャビネット部A、カウンター部B、下キャビネット部Cの3組の構成部分により構成されている。そして、一般的には、この3組の構成でも十分に用途に応じた収納が可能である。
【0141】
しかし、家庭によっては、もっと多くの収納スペースが欲しいということもある。また、上記の構造では、図7及び図8のように、天井面9aとの間に空間が残り、設置後のフィット感に欠けるということもある。本来、上記ユニット構造の食器棚は、収納用途の異なる各ユニットについて豊富なサイズバリエーションを準備し、設置されるキッチンスペースに応じて、高さ、幅、奥行のそれぞれを適切にフィットさせ、限られた収納空間の有効な活用を図ると共に、ユーザー固有の使い勝手を向上させる点に特徴がある。
【0142】
そこで、上記上部側キャビネット部Aの上部には、たとえば図15に示すように、左右両方向に亘って第1、第2の大きさの異なる2組の上置きキャビネット8A,8Bよりなる上置きキャビネット部Dを設けて、さらに収容容積を増大させると共に図7及び図8の天井面9aとの間の空間を埋めて高さ方向のフィット感(天ピタ感)を向上させる構成も所望に採用されるようになっている。
【0143】
この場合、第1、第2の2組の上置きキャビネット8A,8Bの筐体本体も、図示はしていないが、それぞれ上記上部側サイドキャビネット1の場合と同様に、天板、左右一対の側板、底板、背板(これらは見えないため符号を省略)、横開き型の開閉扉86、87、88、89で構成されている。そして、左側の側壁面9b側に位置する第1の上置きキャビネット8Aの開閉扉86は、上述した上部側サイドキャビネット1の第1、第2の開閉扉16A,16Bと同様の右開き構成で、その左右方向の幅も同一の寸法に構成している。
【0144】
そして、それにより、その側壁面9b側の端部86aを上記上部側サイドキャビネット1の開閉扉16A、16Bの側壁面9b側端部16a、16a及び下部側サイドキャビネット4の開閉扉46の左側の端部46aと同様にカウンター天板3の側壁面9b側延設端部3aに合わせて上下の位置を揃えたものとしている。
【0145】
しかし、この側壁面9b側第1の上置きキャビネット8Aの場合には、上述した上部側サイドキャビネット1及び下部側サイドキャビネット4のような対応する電源コンセント91,92がなく、通常この位置で調理家電製品を使用可能な状態で収納するということは想定できない。したがって、この第1の上置きキャビネット8Aと側壁面9bとの間に電源コードの配線スペースを設ける必要もない。
【0146】
そこで、この第1の上置きキャビネット8Aの場合には、上記のように開閉扉86の幅を広くするだけでなく、そのキャビネット本体の幅も当該開閉扉86の幅と同一のものとして、収容容積を拡大している。つまり、開閉扉86の壁面側端部86a部分にキャビネット本体との関係におけるオーバーハング部(a-f)は設けられていない。また、同キャビネット本体の前後方向の寸法も、できるだけ上記上部側サイドキャビネット1の化粧天板11bの前後方向の寸法に近いものとして(化粧天板11bが前側に9mm長い程度)、前後方向の寸法においても有効に収容容積を拡大するようにしている。つまり、第1の上置きキャビネット8Aの場合には、背面側に上述した上部側サイドキャビネット1のような電源コードの配線スペースは設けられていない。その結果、第1の上置きキャビネット8Aの後端面はカウンター天板3の後端部3bと一致することになる。
【0147】
他方、右側の非側壁面側に位置する第2の上置きキャビネット8Bは、天板、左右一対の側板、底板、背板よりなる横方向に長い筐体内を1枚の縦型の仕切り板により仕切ることによって、単一の筐体内に左から右に第1、第2の2組の収納室を形成している(図示省略)。これら第1、第2の2組の収納室の内、左側の第1の収納室は、左右に長く第2の収納室の略2倍の広さに形成されていて、横開き型の第1、第2の左右2組の開閉扉87、88が設けられている。第1の開閉扉87は、第1の収納室の中央部を境に右側から左側、第2の開閉扉88は、同第1の収納室の中央部を境に左側から右側に開かれるようになっている。
【0148】
他方、右側の第2の収納室は、第1の収納室の略1/2の広さのものに形成されていて、横開き型の第3の開閉扉89が設けられている。この第3の開閉扉89は、第2の収納室の左側から右側に開かれるようになっている。
【0149】
これら第1及び第2、第3の各開閉扉87~89も、上記上部側及び下部側各サイドキャビネット1、4の場合と同様にスライド丁番を用いて第1、第2の各収納室の前面側に取り付けられている。第1、第2の各収納室内の構造は、棚板構造、その他の所望の構造に形成される。
【0150】
この第2の上置きキャビネット8Bの前後方向の寸法は、上記第1の上置きキャビネット8Aの前後方向の寸法と同一であり、その右側の側板外面部分と上記食器及び調理家電機器収納キャビネット2上端の化粧天板21bの右側端部との間には、上記食器及び調理家電機器収納キャビネット2の右側の側板22の外面のカウンター天板3の右側端部3cとの間と同様の調整寸法fが設けられている。
【0151】
このようにすると、それぞれ容積の広い第1、第2の2組の上置きキャビネット8A、8Bを設けて、より有効に収納空間を増大させることができると共に、図7及び図8の天井面9aとの間の空間を埋めて、高さ方向のフィット感(天ピタ感)を適切に実現することができる。
【0152】
<部屋の右コーナー部への設置>
以上の構成の食器棚は、上記上部側サイドキャビネット1及び下部側サイドキャビネット4をそれぞれ食器及び調理家電機器収納キャビネット2の右側及び調理家電機器収納キャビネット6の右側に設け、カウンター天板3の右側端部3cをそれに対応して上述の場合と同様に所定寸法aだけ右側に寄せることにより、部屋の右側のコーナー部に設置することもできる。
【0153】
その場合、上記上部側サイドキャビネット1の第1、第2の開閉扉16A、16B及び下部側サイドキャビネット4の開閉扉46をそれぞれ上記とは逆の左開き構造とし、右側の壁面と反対側に開くようにスライド丁番17,17、17,17、17,17,17を用いて左側の側板12、42に取り付ける。そして、それら各開閉扉16A、16B、46の右側の端部16a,16a,46a(図示省略)が各々のキャビネット本体の右側の側板12、42の側方に上記同様の寸法だけオーバーハングするようにする。
【0154】
すると、それら各開閉扉16A、16B、46の右側の端部16a,16a,46a(図示省略)のオーバーハング部分によって、右側の壁面下部の電源コンセント91(図示省略)から上記上部側サイドキャビネット1及び下部側サイドキャビネット4右側部の配線孔19b、19b(図示省略)に延びる電源コードが覆われ、正面側から見た時に殆ど見えなくなる。したがって、電源コンセントや配線孔が多い場合にも非常に見栄えが良くなる。
【0155】
そして、この場合にも、各開閉扉16A、16B、46は、右開きの場合と同様に最大開放角θ1,θ2=155度のスライド丁番を用いて取り付けられている。したがって、図14のように殆ど扉がない場合と同様の状態まで大きく開放される。したがって、上記上部側サイドキャビネット1及び下部側サイドキャビネット4を設置した後において、右側部の配線孔19b、19b(図示省略)を利用して電源コード(配線)を取り回す配線作業の際にも、作業者が各サイドキャビネット1、4の前面側開口部に十分に体を寄せることができ、キャビネット内に自由に手を入れて作業を行うことができる(壁面と扉による拘束を受けない)。
【0156】
その結果、狭い部屋コーナー部における電源コードの配線作業が著しく容易になる。また、設置時における右側の側壁面(符号省略)及び後壁面9cとカウンター天板3の右側壁面側端部3c,後壁面9c側端部3b、開閉扉16A,16B、46の右側端部16a,16a、46aとの寸法関係は、上記左側コーナー部への設置の場合と全く同様であり、カウンター天板3の右側壁面側端部3c及び後壁面9c側端部3bと右側側壁面及び後壁面9cとの間には壁面を傷めることのない適切な間隔b、開閉扉16A,16B、46端部16a,16a、46aと右側壁面との間隔(b+f)も、並設される上下各キャビネット2、5,6の寸法との関係を考慮した上で、壁面を保護し、かつ開閉にも十分な間隔(b+f)に設定される。
【0157】
<その他のキャビネットの組み合わせ>
上記図1図8の食器棚の構成では、カウンター天板3の左右方向の長さについて、複数のサイズのものが容易されている。そして、上記図1図8のものより長さの長いカウンター天板3を用いることにより、上記図1図8の食器棚のたとえば右側上部に、上記食器及び調理家電機器収納キャビネット2ト同じ高さのワインキャビネット、右側下部に上記調理家電機器収納キャビネット6と同じ高さの所定の収納キャビネットを設ける構成も必要に応じて採用される。
【0158】
また、その場合において、図15と同様の上置きキャビネットを設けることもできる。
【符号の説明】
【0159】
Aは上キャビネット部、Bはカウンター部、Cは下キャビネット部、Dは上置きキャビネット部、1は上部側サイドキャビネット、2は食器及び調理家電機器収納キャビネット、3はカウンター天板、3aはカウンター天板3の部屋側壁面9b側端部、3bはカウンター天板3の部屋後壁面9c側端部、4は下部側サイドキャビネット、5は引き出しキャビット、6は調理家電機器収納キャビネット、8Aは第1の上置きキャビネット、8Bは第2の上置きキャビネット、11aは上部側サイドキャビネット1の本体天板、11bは上部側サイドキャビネット1の化粧天板、12は上部側サイドキャビネット1の側板、13は上部側サイドキャビネット1の背板、14は上部側サイドキャビネット1の底板、15aは上部側サイドキャビネット1の第1の棚板、15bは上部側サイドキャビネット1の第2の棚板、15cは上部側サイドキャビネット1の第3の棚板、15dは上部側サイドキャビネット1の第4の棚板、15eは上部側サイドキャビネット1の第5の棚板、16Aは上部側サイドキャビネット1の第1の開閉扉、16Bは上部側サイドキャビネット1の第2の開閉扉、16aは同第1、第2の各開閉扉16A、16Bの側壁面9b側端部(オーバーハング端部)、17はスライド丁番、19aは背板側配線孔、19bは側板側配線孔、41は下部側サイドキャビネット4の本体天板、42は下部側サイドキャビネット4の側板、43は下部側サイドキャビネット4の背板、45aは下部側サイドキャビネット4の第1の棚板、45bは下部側サイドキャビネット4の第2の棚板、46は下部側サイドキャビネット4の開閉扉、46aは同開閉扉46の側壁面9b側端部(オーバーハング端部)である。
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