(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076896
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】ワインキャビネット
(51)【国際特許分類】
A47B 73/00 20060101AFI20240530BHJP
A47B 81/00 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
A47B73/00 C
A47B81/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188718
(22)【出願日】2022-11-25
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000139643
【氏名又は名称】株式会社綾野製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092875
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 孝治
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 貴大
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 章人
(57)【要約】
【課題】ユニット構造の食器棚の所望の位置に組み合わせて使用することができ、使い勝手が良く、インテリア性の高いワインキャビネットを提供する。
【解決手段】
ユニット構造の食器棚の所望の位置に組み合わせて使用されるワインキャビネットにおいて、当該ワインキャビネットのキャビネット本体の前面側開口部に位置して、上面側にワインボトルホルダーを備えた高さ調節可能なワインボトル棚と、上面側にワインボトルホルダー、下面側にワイングラスホルダーを備えた高さ調節可能なワインボトル棚との2種のワインボトル棚を設け、これら2種のワインボトル棚を上下に組み合わせることによって、大きさの異なるワインボトルと高さの異なるワイングラスを外部から見える状態で適切に収納できるようにした。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニット構造の食器棚の所望の位置に組み合わせて使用されるワインキャビネットであって、当該ワインキャビネットのキャビネット本体の前面側開口部に位置して、上面側にワインボトルホルダーを備えた高さ調節可能なワインボトル棚と、上面側にワインボトルホルダー、下面側にワイングラスホルダーを備えた高さ調節可能なワインボトル棚との2種のワインボトル棚を設け、これら2種のワインボトル棚を上下に組み合わせることによって、大きさの異なるワインボトルと高さの異なるワイングラスを外部から見える状態で適切に収納できるようにしたことを特徴とするワインキャビネット。
【請求項2】
上記2種のワインボトル棚の上下に位置して、戸棚構造のワイン用具収納部と引き出し構造のワイン用品収納部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のワインキャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ユニット構造の食器棚に組み合わせて使用されるワインキャビネットの構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の食器棚には、限られたキッチンスペースにおいて、無駄なく多様な収納機能を実現することが求められている。このような観点から、たとえば上部側に食器および調理家電機器収納キャビネット及びその他のサイドキャビネット、下部側に各種引き出しタイプの収納キャビネット及びスライドテーブルを備えた電気炊飯器収納キャビネットを設け、それら上下2組のキャビネット部分をカウンター構造の天板(カウンター天板)を介して一体に連結したユニット構造の食器棚が提案されている(たとえば特許文献1の
図1を参照)。
【0003】
このような構成の食器棚によると、まとまったキッチンスペースにおいて、食器や調理家電機器、その他の性質や種類、用途、形状や大きさ、重さなどの異なる各種キッチンアイテムを所望に収納することができる。また、上部側及び下部側の各種収納キャビネットは、それぞれ独立したユニット構造になっているので、自由な組み合わせ(プランニング)が可能であり、部屋の間取りや用途に応じたレイアウト、使い勝手の良いキャビネット位置の設定が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、最近では、ワインの愛飲家が増えており、一般家庭でも各種のワインが普通に消費されるようになっている。
【0006】
しかし、これまでのところ、上記のようなユニット構造の食器棚にワインボトルを収納セットできるようにしたものは見当たらず、一般には別途専用のワインラックを使用するか、又は上述の食器棚における引き出しキャビネットの内の収納スペースの深い引き出しを利用し、複数本のワインボトルを上下方向に立てた状態で収納するようにしているのが実情である。
【0007】
しかし、専用のワインラックを使用する場合には、食器棚とは別に余計な場所を取り、間取り状況によっては設置することができない場合も多い。また、食器棚における引き出しキャビネットを利用して収納するようにした場合には、収納しているワインボトル自体を見ることができない。また収納状態の安定性が悪く、倒れやすい問題もある。さらに、ワイングラスや必要なワイン用品とのセットで収納することができず、使い勝手が悪い問題がある。
【0008】
この出願の発明は、このような問題を解決するためになされたもので、ユニット構造の食器棚の所望の位置に組み合わせて使用することができるワインキャビネットとして、上面側にワインボトルホルダーを備えた高さ調節可能なワインボトル棚と、上面側にワインボトルホルダー、下面側にワイングラスホルダーを備えた高さ調節可能なワインボトル棚などの2種のワインボトル棚を設けたワインキャビネットを構成し、同ワインキャビネットを上記ユニット構造の食器棚の所望の位置に任意に組み合わせて設置することにより、上記従来の問題を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、上記の課題を解決するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0010】
(1)請求項1の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、ユニット構造の食器棚の所望の位置に組み合わせて使用されるワインキャビネットであって、当該ワインキャビネットのキャビネット本体の前面側開口部に位置して、上面側にワインボトルホルダーを備えた高さ調節可能なワインボトル棚と、上面側にワインボトルホルダー、下面側にワイングラスホルダーを備えた高さ調節可能なワインボトル棚との2種のワインボトル棚を設け、これら2種のワインボトル棚を上下に組み合わせることによって、大きさの異なるワインボトルと高さの異なるワイングラスを外部から見える状態で適切に収納できるようにしたことを特徴としている。
【0011】
このような構成のワインキャビネットによると、上面側にワインボトルホルダーを備えた高さ調節可能なワインボトル棚と、上面側にワインボトルホルダー、下面側にワイングラスホルダーを備えた高さ調節可能なワインボトル棚との2種のワインボトル棚が、ユニット構造の食器棚の所望の位置に組み合わせて使用されるワインキャビネットのキャビネット本体の前面側開口部に位置して外部から見える状態で上下複数段に設けられる。
【0012】
この結果、同構成のワインキャビネットでは、ボデー部の径の異なる複数本のワインボトルと高さの異なる複数個のワイングラスを適切な寸法関係に調節しながら、上下複数段にセット状態でコンパクトに収納することができ、しかも同収納状態を外部から明確に見ることができる。
【0013】
略水平な状態で整然と配列された複数本のワインボトルと整然と吊り下げられた複数個の透明感の高いワイングラスが外部から見ることができる状態で上下複数段にセットされている場合、ワインキャビネットそのもののインテリア性を有効に向上させることができる。また当該ワインキャビネットが組み合わされた食器棚自体のデザイン性も向上する。
【0014】
(2)請求項2の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求項1の発明の課題解決手段におけるワインキャビネットの構成において、上記2種のワインボトル棚の上下に位置して、戸棚構造のワイン用具収納部と引き出し構造のワイン用品収納部が設けられていることを特徴としている。
【0015】
したがって、この発明の課題解決手段では、上記2種のワインボトル棚によるワインボトル保持機能、ワインボトル保持機能及びワイングラス保持機能に加えて、戸棚構造のワイン用具収納部によるワイン用具収納機能、引き出し構造のワイン用品収納部によるワイン用品収納機能が実現される。
【0016】
戸棚構造のワイン用具収納部の扉には、たとえばプッシュラッチ機構を備えた上開き構造のフラップ扉が採用され、たとえばワインクーラーなどの比較的大型のワイン用具が収納される。
【0017】
他方、引き出し構造のワイン用品収納部には、たとえばワインオープナー、ワインストッパーなどの比較的小さいワイン用品(ワイングッズ)が収納される。
【0018】
このような構成によると、ワインキャビネット部分にワインボトル、ワイングラス、ワインの飲用及び保存に必要な用具、用品の全てを集約させて収納することができるので、非常に利便性が高くなる。
【発明の効果】
【0019】
以上の結果、この出願の発明によると、上述した従来の問題の全てを解決することができ、ワインキャビネット自体の利便性に加えて、ユニット構造の食器棚自体の多機能化、さらなる利便性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】この出願の発明の実施の形態に係るワインキャビネット2を組み合わせた状態におけるユニット構造の食器棚の全体構成を示す正面図である。
【
図2】同ユニット構造の食器棚の全体構成を示すワインキャビネット2へのワインボトル28及びワイングラス32非収納状態における斜視図である。
【
図3】同ユニット構造の食器棚の全体構成を示すワインキャビネット2へのワインボトル28及びワイングラス32収納状態における斜視図である。
【
図4】この出願の発明の実施の形態に係るワインキャビネット2のワインボトル28及びワイングラス32非収納状態における斜視図である。
【
図5】同ワインキャビネット2のワインボトル28及びワイングラス32非収納状態における左右方向中央部での断面図(左右方向中央部で前後に切断し、その左側面側を見た図)である。
【
図6】同ワインキャビネット2の第2の棚板25bの上面側の構成を示す斜視図である。
【
図7】同ワインキャビネット2の第3の棚板25cの下面側の構成を示す斜視図である。
【
図8】同ワインキャビネット2の第2~第4の棚板25b~25cの相互に共通な棚板本体部分(及び第4の棚板25d)の上面側の構成を示す斜視図である。
【
図9】同ワインキャビネット2の、上面側ワインボトルホルダー部29部分にワインボトル28をセットした状態における第2の棚板25bの構成を示す斜視図である。
【
図10】同ワインキャビネット2の、上面側ワインボトルホルダー29部分にワインボトル28をセットし、かつ下面側ワイングラスホルダー31部分にワイングラス32を吊り下げた状態における第3の棚板25cの構成を示す斜視図である。
【
図11】同ワインキャビネット2における第2の棚板25bの上面側ワインボトルホルダー29部分に仏ボルドー産ワインのワインボトル28Aをセットした状態(実線)と仏ブルゴーニュ産ワインのワインボトル28Bをセットした状態(2点鎖線)における各ボトルの保持状態を対比して示す説明図である。
【
図12】同ワインキャビネット2における第2の棚板25bの上面側ワインボトルホルダー29部分に仏ボルドー産ワインのワインボトル28Aをセットした状態(実線)と仏シャンパーニュ産のワインボトル28Cをセットした状態(2点鎖線)における各ボトルの保持状態を対比して示す示す説明図である。
【
図13】同ワインキャビネット2の第2のワイン棚25bの上面側にワインボトル28、第3のワイン棚25cの上面側にワインボトル28及び下面側にワイングラス32を収納した状態におけるワインキャビネット2単体の構成を示す斜視図である。
【
図14】同ワインキャビネット2の第2の棚25bの上面側にワインボトル28、第3の棚25cの上面側にワインボトル28、さらに第4の棚25dの上面側にもワインボトル28を収納した、この出願の変形例に係るワインキャビネット2単体の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本願発明の実施の形態に係る、ユニット構造の食器棚に組み合わせて使用されるワインキャビネットの構成および作用について、詳細に説明する。
【0022】
以下に述べる本願発明の実施の形態においては、食器棚(キッチンキャビネット)として、たとえば
図1~
図3に示されるようなユニット構造の食器棚が採用されている。このユニット構造の食器棚は、大きく分けて上キャビネット部Aと下キャビネット部Bの上下2段、2組のキャビネット部分よりなっており、これら上下2組のキャビネット部分をカウンター部Cを介して上下に連結一体化して構成されている。
【0023】
上キャビネット部Aには、左側に食器および調理家電機器収納キャビネット1、右側に本願発明の実施の形態に係るワインキャビネット2が設けられている。これら食器および調理家電機器収納キャビネット1及びワインキャビネット2は、それぞれ独立したユニット構造のキャビネット(箱体)により構成されている。
【0024】
食器および調理家電機器収納キャビネット1は、天板(下部側の本体天板と上部側の化粧天板の2枚の天板)11と、側板12,12と、背板13よりなる左右方向に長い箱型筐体内の空間を中板14を介して上下2つの空間に仕切り、上部側に食器棚15、下部側に左右に広い調理家電機器設置スペース16を設けて構成されている。
【0025】
食器棚15の内側は左右方向中間部で2室に仕切られ、それら各室には所定の寸法ピッチで高さ調節が可能な複数枚の棚板が設けられていると共に(図示省略)、前側には右又は左方向にスライド可能な引き戸15a,15aが設けられている。調理家電機器設置スペース16には、左右両側板12,12の内側に位置して、電子レンジ、ミキサー、トースターなどの調理家電機器に対応した耐熱性のある電源コンセント16a,16aが設けられている。
【0026】
ワインキャビネット2は、たとえば
図4及び
図5に示されるように、天板(下部側の本体天板と上部側の化粧天板の2枚の天板)21と、側板22,22と、背板23と、底板24とからなり、前面側が開放された上下方向に長い箱型筐体内の空間を第1~第4の棚板25a~25dを介して上下5つの多段空間に仕切り、第1段目部分にワイン用具収納スペース26a、第2段目部分に第1のワインボトル収納スペース26b、第3段目部分に第2のワインボトル収納スペース26c、第4段目部分にワイングラス収納スペース26d、第5段目部分にワイン用品収納部として機能する引き出し設置スペース26eを設けて構成されている。
【0027】
第1段目部分のワイン用具収納スペース26aの前面側開口部には、上開き型フラップ構造の扉(プッシュラッチ構造の扉)27が設けられていて、ワイン用具収納スペース26a部分は戸棚構造に形成されている。上記扉27は、この実施の形態の場合、たとえば透明部材(又は半透明部材)により構成されているが、上記扉27は、必要に応じて非透明部材によっても構成される。このワイン用具収納スペース26aを形成する第1の棚25aは、基本的に可動性のない固定棚として構成されている。この戸棚構造のワイン用具収納スペース26aには、たとえばワインクーラーなどのワイン用具が収納される。
【0028】
一方、第2及び第3の棚板25b、25cの上面側には、たとえば
図6~
図10に示すように、それぞれ3本のワインボトル28,28,28を保持する3組のワインボトルホルダー(ラック金具)29,29,29が設けられている。これら3組のワインボトルホルダー29,29,29は、それぞれ当該ワインボトル28,28,28のシール部側ネック部28aを支持するネック部支持金具29aとボトム部側ボデー部28bを支持するボデー部支持金具29bとの前後一対の支持金具により構成されている。
【0029】
ネック部28aを支持するネック部支持金具29aは、全体としてM型の形状を成し、その中間部には外径の小さいネック部28aが安定した状態に落とし込まれ、左右に移動しにくいV字型の凹部が設けられている。他方、ボデー部28bを支持するボデー部支持金具29bも、全体として略M型の形状を成しているが、その中間部は外径の大きいボデー部28bが安定した状態に保持される円弧型の凹部に形成されている。
【0030】
これらネック部28aを支持するネック部支持金具29aおよびボデー部28bを支持するボデー部支持金具29bの高さ寸法は、たとえば
図11及び
図12に示されるように、それぞれネック部28aおよびボデー部28bの外径差に応じ、各ワインボトル28,28,28がそれぞれボトル全体として略水平な状態に保持されるような高低差に設定されている。
【0031】
もちろん、ワインボトルの大きさは、産地やワインの種類に応じて異なり、決して一定ではない。たとえば代表的なフランスワインのワインボトルを見ると、ボルドー産でボデー直径76mm、高さ300mm、ブルゴーニュ産でボデー直径83mm、高さ300mm、シャンパーニュ産でボデー直径89mm、高さ320mmといった具合である。しかし、総じて見ると、それほど大きな差はなく、ボデー部の直径差は7mm~13mm、高さの差は20mm程度である。また、ネック部28aの直径は、殆ど変わらない。
【0032】
したがって、たとえばボデー部28bの直径差が7mmあるボルドー産のワインボトル(直径76mm)28Aとブルゴーニュ産のワインボトル(直径83mm)28Bを、上記本実施形態のネック部支持金具29aおよびボデー部支持金具29bよりなるワインボトルホルダー29で支持した場合、
図11の実線と2点鎖線のような状態となり、殆ど変わらない水平状態に支持することができる。
【0033】
これは、たとえばボデー部28bの直径差が13mmあるボルドー産のワインボトル(直径76mm)28Aとシャンパーニュ産(スパークリング)のワインボトル(直径89mm)28Cを、上記本実施形態のネック部支持金具29aおよびボデー部支持金具29bよりなるワインボトルホルダー29で支持した場合、ボトル高さの差が20mmあるために、シール部トップが少し前側に突出するが、ボデー部28bは
図12の実線と2点鎖線のような状態となり、やはり殆ど変わらない水平状態に支持することができる。したがって、種類の異なるワインボトルを3本左右に並べて収納したとしても違和感なく整然とした状態で収納することができる。
【0034】
この発明の実施の形態の場合、上記ネック部28aを支持するネック部支持金具29aおよびボデー部28bを支持するボデー部支持金具29bの各々は、いずれも断面円形の曲げ加工の容易な金属ロッド材(鉄系金属又はアルミ材など)を用いて個々のものをM型に形成し、それらの各下端を取付用のフラットな1枚の金属プレート30a、30bに予め固定して置き、それら各金属プレート30a、30bを介して一体に第2及び第3の棚板25b、25cの上面に雄ネジで取り付けるようにしている。したがって、前後各3組ずつ、合計6個の支持金具があるが、それらの各々を個別に第2の棚板25b、第3の棚板25dに取り付けるのに比べて、その取付は極めて容易である。また、それら相互の左右および前後各方向の間隔も確実に正確に維持される。したがって、各ワインボトル28,28,28の保持状態も安定したものとなる。
【0035】
この実施の形態の場合、上記棚板本体上面側の3組のワインボトルホルダー29,29,29を利用したワインボトル28,28,28の保持は、上記第2の棚板25bの場合だけでなく、上記第3の棚板(第3段目の棚板)25cの場合にも全く同様にして実現される。
【0036】
一方、そのようにして上面側左右方向に3組のワインボトルホルダー29,29,29が設けられた第3の棚板25cの場合、その棚板本体の下面側には、たとえば
図7に示すように、さらに左右方向に3組(3スロット)の吊り下げ式のワイングラスホルダー31,31,31が設けられる。これら3組(3スロット)のワイングラスホルダー31,31,31は、それぞれ側面視略コの字形状の2本の金属ロッド材31a,31aを所定の間隔を置いて平行に配設してなり、それら2本の金属ロッド材31a,31aの間(スロット)に複数個(図示の例では前後2個)のワイングラス32,32を吊り下げ状態で支持するようになっている。
【0037】
すなわち、このワイングラスホルダー31によるワイングラス32の吊り下げ状態での支持は、
図10に示すように、ワイングラス32の下部側円形のプレート部32aを上方に、上部側球形のボール部32cを下方にした状態で、それらの間の径の小さいステム部32b部分を2本の金属ロッド材31a,31a間のスロットに通し、2本の金属ロッド材31a,31aの上部面側に大径のプレート部32aを係止することによって実現される。2本の金属ロッド材31a,31aの間は、前端側で逆八の字状に広く形成されており、ワイングラス32の収納及び取り出しが容易なように構成されている。
【0038】
これらワイングラス32を吊り下げ支持する左右3組の2本の金属ロッド材31a,31a、31a,31a、31a,31aの前端側及び後端側の各々は、それぞれ共通な1枚のフラットな金属製の取付プレート33a(前端側),33b(後端側)に固定一体化されており、同前端側及び後端側の各取付プレート33a,33bを介して第3の棚板25cの下面に雄ネジにより取り付けられる(
図7及び
図10参照)。このように取付プレート33a,33bを用いて取り付けるようにすると、左右3組の2本の金属ロッド材31a,31a、31a,31a、31a,31aを個別に第3の棚板25cに取り付ける場合に比べて、取付作業が容易になり、また取付精度が向上する。
【0039】
また、このようなワイングラスホルダー31による吊り下げ式のワイングラス収納構造を採用すると、上面側にワインボトルホルダー29を有する第3の棚板25c下方側のスペースを有効に活用し、ワインボトル32,32,32との上下ワンセットの形でワイングラス32,32、32,32、32,32をコンパクトに収納することができる。
【0040】
さらに、上記第4段目の第4の棚板25d下部の引き出し設置スペース26eには、ワイン用品収納部として機能する引き出し34が設けられている。第4の棚板25dは、第4の棚機能だけでなく、この引き出し34上面の天板としての機能をも果たしている。このワイン用品収納部として機能する引き出し34には、たとえばワインオープナー、ワインストッパー、サーモメーター、デキャンティングポアラーなどの各種ワイングッズが収納される。
【0041】
ところで、この実施の形態の場合、上記第2、第3、第4の棚25b、25c、25dは、棚板本体としては
図8に示す全く同一の構成の共通のものが使用されており、当該棚板本体の上面側にワインボトルホルダー29,29,29のみを取り付ければ、上記第2の棚板25c(
図9参照)になり、当該棚板本体の上面側にワインボトルホルダー29,29,29、下面側にワイングラスホルダー31,31,31を取り付ければ、上記第3の棚板25c(
図10参照)になる。また、ワインボトルホルダー29,29,29もワイングラスホルダー31,31,31も取り付けなければ、上記第4の棚板25d(
図8の構成そのまま)になる。
【0042】
すなわち、
図8の構成の棚板本体(25b~25eの符号で示す)は、拡張ダボとして、その上面側前後3カ所に上記ワインボトルホルダー29,29,29固定用の金属プレート30a、30bをネジ止めするためのネジダボ(雌)36a,36a,36a、36b,36b,36bが設けられている一方(
図4、
図5、
図8参照)、下面側前後3カ所に上記ワイングラスホルダー31,31,31固定用の取付プレート33a、33bをネジ止めするためのネジダボ(雌)39a,39a,39a、39b,39b,39bが設けられている(
図4、
図5参照)。そして、上記ネジダボ(雌)36a,36a,36a、36b,36b,36bに対して、
図6のように所定の雄ネジを介してワインボトルホルダー29,29,29固定用の金属プレート30a、30bがネジ止めされる。また、上記ネジダボ(雌)39a,39a,39a、39b,39b,39bに対して、
図7のように所定の雄ネジを介してワイングラスホルダー31,31,31固定用の取付プレート33a、33bがネジ止めされる。
【0043】
他方、キャビネット本体の左右両側板22,22の内側前後には、同棚板本体(25a~25e)の上下方向の固定位置を調節できる上下方向に複数のネジダボ(雌)38a,38a・・、38b,38b・・が所定のピッチで設けられている。また、上記
図8の棚板本体(25a~25e)の下面側左右両端の前後には、それら前後のネジダボ(雌)38a,38a・・、38b,38b・・の何れかに螺合固定したダボ(図示省略)に係合して前後の位置を固定する係合溝(ダボジャクリ)37a,37a、37b,37bが設けられている。
【0044】
したがって、第2~第4の各棚(棚板本体)25b、25c、25dは、それぞれ可動棚として、収納するワインボトル28,28,28、28,28,28の外径、吊り下げるワイングラス32,32、32,32、32,32の高さに応じて、各棚25b、25c、25dの上下方向の固定位置を適切に調整した上で所望の高さに固定することができる。
【0045】
しかも、上記第2、第3、第4の棚板25b、25c、25d上部側各収納スペース26b,26c,26dの前面は前方に完全に開放されているので、それら第2、第3の棚25b、25cにより上下2段に収納され、水平な状態で整然と配列された複数本のワインボトル28,28,28、28,28,28と同ワインボトル28,28,28、28,28,28と上下3セットの形で、左右3列状態で整然と吊り下げられた透明感の高いワイングラス32,32、32,32、32,32を確実に見える化することができ、ワインキャビネットとしてのインテリア性を有効に向上させることができる。
【0046】
その場合において、複数本のワインボトル28,28,28、28,28,28を水平に支持し、ワインボトルラックとして機能する上記ワインボトルホルダー29,29,29、29,29,29は、それぞれ径の小さい金属ロッド材よりなる前端側ネック部支持金具29a及び後端側ボデー部支持金具29bで形成されているために、たとえば
図1から明らかなように、正面から見た時にもそれ自体は殆ど目立たず、ワインボトル28,28,28、28,28,28の形状や色、ラベルの表示が良く分かるようになる。
【0047】
さらに、それらの構成を前提として、それらの上段側には比較的広い戸棚構造のワイン用具収納スペース26aが設けられており、また、同下段側には各種ワイン用品収納用の引き出し34が設けられている。
【0048】
このような構成によると、上記ワインクーラー等の収納部として機能する戸棚構造のワイン用具収納スペース26aと合わせて、ワインキャビネット部分にワインボトル、ワイングラス、ワインの飲用及び保存に必要な用具・用品の全てを集約させて収納することができるようになり、非常に利便性が高くなる。
【0049】
他方、上記カウンター部C下部側の下キャビネット部Bには、左側に引出ユニット4、中央に調理家電機器収納ユニット5、右側に横開き型収納ユニット6が設けられている。これら引出ユニット4、調理家電機器収納ユニット5、横開き型収納ユニット6も、それぞれ独立したユニット構造のキャビネットにより構成されている。
【0050】
引出ユニット4は、天板41(
図1~
図3では見えないため図示を省略)と、側板42,42(
図1~
図3では見えないため図示を省略)と、背板43(
図1~
図3では見えないため図示を省略)と、台輪44よりなる箱型の筐体内空間に、所用の収納物を分類して収納することができる第1~第4の4段構造の引き出し45a~45dを設けて構成されている。
【0051】
調理家電機器収納ユニット5は、天板51(
図1~
図3では見えないため図示を省略)と、側板52,52(
図1を参照)と、背板53(
図1~
図3では見えないため図示を省略)と、台輪54よりなる箱型の筐体内空間の上部に電気炊飯器などの調理家電機器をスライドテーブル55を介して収納し、使用時に引き出すことができるようにした調理家電機器収納スペース56、下部にダストボックスその他の収納用途の収納スペースが深い引き出し57を設けて構成されている。
【0052】
横開き型収納ユニット6は、天板61(
図1~
図3では見えないため図示を省略)と、側板62,62(左側の側板62は見えないため図示を省略)と、背板63(
図2において破線で図示)と、台輪64よりなる箱型の筐体よりなり、その前面側開口部には左側から右側に開く横開き構造の扉66が上下2個のスライド丁番(内側に有り、見えないため図示を省略)を介して取り付けられている。この横開き型収納ユニット6内には、たとえば高さ調節の可能な上下2段の可動棚が設けられている。
【0053】
この実施の形態の場合、
図2及び
図3に示すように、上記下キャビネット部Bの前後方向の奥行き寸法は、上記上キャビネット部Aの前後方向の奥行き寸法よりも所定寸法以上大きく形成されており(いわゆるピアノ型に形成)、基本的にカウンター部Cのカウンター天板もそれに対応した大きさのものとなっているが、カウンター部Cの方は下キャビネット部Bの前後方向の奥行き寸法よりも更に所定寸法大きい奥行き寸法に形成され、下キャビネット部Bよりも所定寸法前側に突出している。これにより、カウンター部C部分における調理作業が容易で、設置された調理家電機器などが使用しやすい構成となっている。
【0054】
<変形例>
この出願の発明の実施の形態の場合、上述したように、第2~第4の3種類の棚板25b~25dは、
図8に示したように、棚板本体の構成としては全く共通のものが使用されており、各拡張ダボ(ネジダボ)の設置により、ワインボトルホルダー29、ワイングラスホルダー31を取り付けるか、取り付けないか、また何れを取り付けるかによって、自由に第2~第4の棚板25b~25dの構成を実現できるようになっている。
【0055】
したがって、より多くの本数のワインボトル28を収納したい場合には、第3の棚板25c下面へのワイングラス32の吊り下げを止めて、
図14に示すように、第4の棚板25dの上面にワインボトルホルダー29を設けて、ワインボトル28の収納本数を増やすこともできる。
【0056】
また、この場合において、第2、第3の棚板25b、25cのダボによる固定位置(設置位置)をアップし、第4の棚板25d上に最近多くなっているハーフボトルのワインを収納するようにすると、ワイングラス32の吊り下げも可能とすることができる。
【0057】
<サイドキャビネットなどの追加>
この発明の実施の形態では、上記食器棚の構成において、さらにカウンター部Cのカウンター天板の長さを長くすることにより、上記食器及び調理家電機器収納キャビネット1の左側に上部側サイドキャビネット、上記引き出しキャビネット4の左側に下部側サイドキャビネットを設けた構成も採用される。
【0058】
また、上記上部側キャビネット部Aの上部に上置きキャビネットを設けた構成も採用される。
【符号の説明】
【0059】
Aは上キャビネット部、Bは下キャビネット部、Cはカウンター部、1は食器及び調理家電収納キャビネット、2はワインキャビネット、4は引き出しユニット、5は調理家電機器収納ユニット、6は横開き型収納ユニット、25a~25dは第1~第4の棚板、26aはワイン用具収納スペース、26bは第1のワインボトル収納スペース、26cは第2のワインボトル収納スペース、26dはワイングラス収納スペース、26eは引き出し設置スペース、28はワインボトル、29はワインボトルホルダー、31はワイングラスホルダー、32はワイングラス、34は引き出しである。