(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076898
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】水滴受け具
(51)【国際特許分類】
E06B 9/17 20060101AFI20240530BHJP
【FI】
E06B9/17 U
E06B9/17 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188721
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮田 弘樹
(57)【要約】
【課題】シャッタが開いた状態で、水滴が落下することを抑制することを目的とする。
【解決手段】水滴受け具30は、上下方向に開閉するシートシャッタ20の下端部に、シートシャッタ20の面外方向に回転可能に取り付けられる吊り部32と、吊り部32に吊り下げられ、シートシャッタ20の下端部又は吊り部32に付着した水滴を受ける吊り状態と、吊り部32の回転に伴ってシートシャッタ20の面外方向に移動し、シートシャッタ20の下端部を着地可能にする退避状態と、を有する水滴受け部40と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に開閉するシャッタの下端部に、該シャッタの面外方向に回転可能に取り付けられる吊り部と、
前記吊り部に吊り下げられ、前記シャッタの下端部又は前記吊り部に付着した水滴を受ける吊り状態と、前記吊り部の回転に伴って前記シャッタの面外方向に移動し、前記シャッタの下端部を着地可能にする退避状態と、を有する水滴受け部と、
を備える水滴受け具。
【請求項2】
前記水滴受け部は、
前記シャッタの降下に伴って、着地するとともに前記吊り部を前記シャッタの面外方向一方側に傾倒させることにより、前記吊り状態から前記退避状態に変移し、
前記シャッタの上昇に伴って、前記吊り部によって吊り上げられることにより、前記退避状態から前記吊り状態に変移する、
請求項1に記載の水滴受け具。
【請求項3】
前記吊り部は、前記シャッタの下端部に沿って設けられ、
前記水滴受け部は、前記吊り状態において、前記吊り部における前記シャッタの面外方向一方側の表面を伝う水滴を受ける、
請求項2に記載の水滴受け具。
【請求項4】
前記水滴受け部の前記退避状態において、前記吊り部は、前記シャッタの下端部を下側から覆う、
請求項3に記載の水滴受け具。
【請求項5】
前記水滴受け部は、排水勾配が付けられた排水路を有する、
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の水滴受け具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水滴受け具に関する。
【背景技術】
【0002】
シートシャッタが閉じた状態で、シートシャッタの下端に設けられた外側袋状部が床面と当接し、シートシャッタが開いた状態で、外側袋状部の下端部が略アーチ形状に変形し、外側袋状部に付着した水滴をシートシャッタの両端部へ流す水滴落下防止構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、シートシャッタの下端に取り付けられる断面円弧状のボトムガスケットが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-196140号公報
【特許文献2】特開2011-252325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術では、シートシャッタが開いた状態で、外側袋状部の下端部に付着した水滴が、当該下端部に伝ってシートシャッタの両端部へ流れるため、シートシャッタの下を通過する通過物に水滴が落下することが抑制される。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、外側袋状部の下端部に付着した水滴が、当該下端部を伝ってシートシャッタの両端部へ流れる途中で、落下する可能性がある。
【0007】
本発明は、上記の事実を考慮し、シャッタが開いた状態で、水滴が落下することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の水滴受け具は、上下方向に開閉するシャッタの下端部に、該シャッタの面外方向に回転可能に取り付けられる吊り部と、前記吊り部に吊り下げられ、前記シャッタの下端部又は前記吊り部に付着した水滴を受ける吊り状態と、前記吊り部の回転に伴って前記シャッタの面外方向に移動し、前記シャッタの下端部を着地可能にする退避状態と、を有する水滴受け部と、を備える。
【0009】
請求項1に係る水滴受け具によれば、吊り部と、水滴受け部とを有する。吊り部は、上下方向に開閉するシャッタの下端部に、当該シャッタの面外方向に回転可能に取り付けられる。水滴受け部は、吊り状態と、退避状態とを有する。
【0010】
ここで、水滴受け部は、例えば、シャッタが閉じられた場合に、吊り状態から退避状態に変移する。つまり、水滴受け部は、シャッタが閉じられた場合に、吊り部の回転に伴ってシャッタの面外方向に移動する。これにより、シャッタの下端部が着地する。したがって、建物内への虫等の侵入が抑制される。
【0011】
一方、水滴受け部は、例えば、シャッタが開かれた場合に、退避状態から吊り状態に変移する。つまり、水滴受け部は、シャッタが開かれた場合に、吊り部に吊り下げられる。これにより、シャッタの下端部又は吊り部に付着した水滴を水滴受け部によって受けることができる。したがって、シャッタが開いた状態で、水滴が落下することを抑制することができる。
【0012】
請求項2に記載の水滴受け具は、請求項1に記載の水滴受け具において、前記水滴受け部は、前記シャッタの降下に伴って、着地するとともに前記吊り部を前記シャッタの面外方向一方側に傾倒させることにより、前記吊り状態から前記退避状態に変移し、前記シャッタの上昇に伴って、前記吊り部によって吊り上げられることにより、前記退避状態から前記吊り状態に変移する。
【0013】
請求項2に係る水滴受け具によれば、水滴受け部は、シャッタの降下に伴って、着地するとともに吊り部をシャッタの面外方向一方側に傾倒させることにより、吊り状態から退避状態に変移する。これにより、シャッタが閉じた状態で、シャッタの下端部が着地する。したがって、建物内への虫等の侵入が抑制される。
【0014】
一方、水滴受け部は、シャッタの上昇に伴って、吊り部によって吊り上げられることにより、退避状態から吊り状態に変移する。これにより、シャッタが開いた状態で、水滴受け部が吊り部に吊り下げられ、シャッタの下端部又は吊り部に付着した水滴を受けることができる。したがって、シャッタが開いた状態で、水滴が落下することを抑制することができる。
【0015】
請求項3に記載の水滴受け具は、請求項2に記載の水滴受け具において、前記吊り部は、前記シャッタの下端部に沿って設けられ、前記水滴受け部は、前記吊り状態において、前記吊り部における前記シャッタの面外方向一方側の表面を伝う水滴を受ける。
【0016】
請求項3に係る水滴受け具によれば、吊り部は、シャッタの下端部に沿って設けられる。また、水滴受け部は、吊り状態において、吊り部におけるシャッタの面外方向一方側の表面を伝う水滴を受ける。
【0017】
ここで、水滴受け部の退避状態では、吊り部がシャッタの面外方向一方側に傾倒し、シャッタの下端部が着地する。そのため、シャッタが閉じた状態では、吊り部よりもシャッタの面外方向一方側においてシャッタの下端部に水が付着し、又は吊り部におけるシャッタの面外方向一方側の表面に水が付着する。そして、シャッタの下端部等に付着した水は、シャッタが開いた状態で、例えば、シャッタの面外方向一方側の表面を伝って水滴受け部に流れ落ちる。したがって、シャッタが開いた状態で、水滴が落下することを効率的に抑制することができる。
【0018】
請求項4に記載の水滴受け具は、請求項3に記載の水滴受け具において、前記水滴受け部の前記退避状態において、前記吊り部は、前記シャッタの下端部を下側から覆う。
【0019】
請求項4に係る水滴受け具によれば、水滴受け部の退避状態において、吊り部は、シャッタの下端部を下側から覆う。これにより、シャッタが閉じられた場合、シャッタの下端部は、吊り部を介して着地する。そのため、シャッタが閉じた状態では、吊り部におけるシャッタの面外方向一方側の表面に水が付着する。したがって、シャッタの下端部の汚損等が抑制される。
【0020】
また、吊り部におけるシャッタの面外方向一方側の表面に付着した水は、シャッタが開いた状態で、当該表面を伝って水滴受け部に流れ落ちる。したがって、シャッタが開いた状態で、水滴が落下することを効率的に抑制することができる。
【0021】
このように本発明では、シャッタの下端部の汚損等を抑制しつつ、シャッタが開いた状態で、水滴が落下することを効率的に抑制することができる。
【0022】
請求項5に記載の水滴受け具は、請求項1~請求項4の何れか1項に記載の水滴受け具において、前記水滴受け部は、排水勾配が付けられた排水路を有する。
【0023】
請求項5に係る水滴受け具によれば、水滴受け部は、排水勾配が付けられた排水路を有する。この排水路によって、水滴受け部で受けた水滴を効率的に回収することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、シャッタが開いた状態で、水滴が落下することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第一実施形態に係るシャッタ装置を室内側から見た正面図である。
【
図2】第一実施形態に係るシャッタ装置を室内側から見た正面図である。
【
図3】(A)は、第一実施形態に係る水滴受け具の吊り状態を示す
図2の3A-3A線断面図であり、(B)は、第一実施形態に係る水滴受け具の水滴受け部が着地した状態を示す
図3(A)に対応する断面図である。
【
図4】(A)は、第一実施形態に係る水滴受け具の水滴受け部の退避状態を示す
図3(A)に対応する断面図であり、(B)は、第一実施形態に係る水滴受け具の水滴受け部の吊り状態を示す
図3(A)に対応する断面図である。
【
図5】(A)は、第二実施形態に係る水滴受け具の吊り状態を示す
図3(A)に対応する断面図であり、(B)は、第二実施形態に係る水滴受け具の水滴受け部が着地した状態を示す
図3(A)に対応する断面図である。
【
図6】(A)は、第二実施形態に係る水滴受け具の水滴受け部の退避状態を示す
図3(A)に対応する断面図であり、(B)は、第二実施形態に係る水滴受け具の水滴受け部の吊り状態を示す
図3(A)に対応する断面図である。
【
図7】(A)は、第一実施形態の変形例に係る水滴受け具の吊り状態を示す
図3(A)に対応する断面図であり、(B)は、第一実施形態の変形例に係る水滴受け具の水滴受け部が着地した状態を示す
図3(A)に対応する断面図である。
【
図8】(A)は、第一実施形態の変形例に係る水滴受け具の水滴受け部の退避状態を示す
図3(A)に対応する断面図であり、(B)は、第一実施形態の変形例に係る水滴受け具の水滴受け部の吊り状態を示す
図3(A)に対応する断面図である。
【
図9】(A)は、第一実施形態の変形例に係る水滴受け具の水滴受け部が着地した状態を示す
図3(A)に対応する断面図であり、(B)は、第一実施形態の変形例に係る水滴受け具の水滴受け部の退避状態を示す
図3(A)に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第一実施形態)
先ず、第一実施形態について説明する。
【0027】
(シートシャッタ装置)
図1及び
図2には、一例として、シャッタ装置10が示されている。シャッタ装置10は、左右一対のガイドボックス12と、シャッタケース14と、シートシャッタ20とを備えている。なお、シートシャッタ20は、シャッタの一例である。
【0028】
左右一対のガイドボックス12は、建物等の開口16の左右両側に柱状に配置されている。この一対のガイドボックス12の上端部には、シャッタケース14が掛け渡されている。シャッタケース14の内部には、シートシャッタ20が収納される。また、シャッタケース14の内部には、シートシャッタ20を巻き上げ、又は巻き下げる図示しない開閉装置が収容されている。
【0029】
シートシャッタ(シャッタカーテン)20は、例えば、樹脂等によってシート状に形成されている。このシートシャッタ20は、前述した開閉装置によって巻き上げられ、又は巻き下げられることにより、左右一対のガイドボックス12に沿って上下方向に移動する。これにより、左右一対のガイドボックス12の間の開口16が上下方向に開閉される。
【0030】
なお、左右一対のガイドボックス12は、シートシャッタ20の面外方向の移動を、完全に拘束せず、所定範囲内で許容している。また、
図1には、シートシャッタ20によって開口16が閉じられた状態が示されている。一方、
図2には、シートシャッタ20によって開口16の下部が開けられた状態が示されている。
【0031】
シートシャッタ20の上下方向の中間部には、複数の中間筒状部22が設けられている。複数の中間筒状部22は、シートシャッタ20の幅方向に延びるとともに、上下方向に間隔を空けて配置されている。これらの中間筒状部22の内部には、左右一対のガイドボックス12に亘る図示しない骨材が収納されている。
【0032】
なお、中間筒状部22は、必要に応じて設ければ良く、適宜省略可能である。
【0033】
図3(A)に示されるように、シートシャッタ20の下端部には、下端側筒状部24が設けられている。下端側筒状部24は、シートシャッタ20の下端側を折り返すことにより、シートシャッタ20の幅方向に延びる筒状(中空状)に形成されている。
【0034】
下端側筒状部24は、シートシャッタ20の下端部を構成しており、シートシャッタ20によって開口16(
図2参照)を閉じた状態で、その下端側が床等の着地面Gに着地される。なお、下端側筒状部24には、後述する水滴受け具30が取り付けられている。
【0035】
下端側筒状部24には、錘部材26が収納されている。錘部材26は、一例として、樹脂や金属等によって、シートシャッタ20の幅方向に延びる円筒状に形成されている。また、錘部材26は、シートシャッタ20の幅方向の一端側から他端側に亘っている。この錘部材26によって、シートシャッタ20を閉じる際のシートシャッタ20の降下速度が上がるとともに、シートシャッタ20の下端側筒状部24が着地面Gに着地した状態で、シートシャッタ20が安定し易くなる。
【0036】
(水滴受け具)
シートシャッタ20の下端側筒状部24には、水滴受け具30が設けられている。水滴受け具30は、シートシャッタ20の下端側筒状部24に付着した水滴を受けるものであり、当該下端側筒状部24に沿って設けられている。
【0037】
水滴受け具30は、樹脂や金属等によって形成された吊り部32及び水滴受け部40を有している。水滴受け部40は、
図3(A)に示されるように、シートシャッタ20が開けられた状態で、吊り部32に吊り下げられる吊り状態と、
図3(B)に示されるように、シートシャッタ20が閉じられた状態で、吊り部32の回転に伴ってシートシャッタ20の面外方向に移動する退避状態とを有している。
【0038】
吊り部32は、板状に形成されており、下端側筒状部24に沿って設けられており、シートシャッタ20の幅方向の一端側から他端側に亘っている。また、水滴受け部40の吊り状態において、吊り部32の上端部32Uは、下端側筒状部24の下端部に、シートシャッタ20の面外方向に回転可能に取り付けられている。つまり、水滴受け部40の吊り状態において、吊り部32は、上端部32Uを支点として、シートシャッタ20の面外方向に搖動可能とされている。
【0039】
なお、吊り部32の上端部32Uは、例えば、下端側筒状部24の下端部に接着剤等によって接合される。また、
図3(A)に示される矢印X1は、シートシャッタ20の面外方向一方側(室内側)を示し、矢印X2は、シートシャッタ20の面外方向他方側(室外側)を示している。
【0040】
吊り部32の下端部には、水滴受け部40が設けられている。水滴受け部40は、一対の張出し部40A,40Bと、錘部42とを有している。一対の張出し部40A,40Bは、吊り部32の下端部に沿って設けられており、シートシャッタ20の幅方向の一端側から他端側に亘っている。
【0041】
一対の張出し部40A,40Bは、吊り状態において、吊り部32の下端部からシートシャッタ20の面外方向両側へそれぞれ張り出している。また、一対の張出し部40A,40Bは、吊り状態において、シートシャッタ20を幅方向から見て、下方へ向けて凸状に湾曲している。
【0042】
一対の張出し部40A,40Bのうち、一方(室内側)の張出し部40Aの張出し方向の先端部40Eには、錘部42が設けられている。錘部42は、一方の張出し部40Aの先端部40Eに沿って設けられており、シートシャッタ20の幅方向の一端側から他端側に亘っている。
【0043】
錘部42は、水滴受け部40の吊り状態において、一方の張出し部40Aの先端部40Eから上方へ壁状に延出している。また、錘部42は、水滴受け部40の吊り状態において、吊り部32に対して室内側に配置されており、吊り部32とシートシャッタ20の面外方向に対向している。これらの錘部42、一方の張出し部40A、及び吊り部32によって、水滴を受ける排水路44が形成されている。
【0044】
図2に示されるように、排水路44は、シートシャッタ20の幅方向の中央部から両端側へ向けてそれぞれ下る排水勾配を有している。これにより、排水路44で受けた水滴を、シートシャッタ20の幅方向の両端側において回収可能とされている。
【0045】
なお、排水路44は、シートシャッタ20の幅方向の中央部から両端側へ向けてそれぞれ下る排水勾配に限らず、例えば、シートシャッタ20の幅方向の一端側から他端側へ向けて下る排水勾配を有しても良い。また、排水路44には、必ずしも排水勾配を付ける必要はなく、排水路44は略水平でも良い。
【0046】
図3(A)に示されるように、一方の張出し部40Aの先端部40Eには、前述したように、錘部42が設けられている。そのため、水滴受け部40の吊り状態において、一方の張出し部40Aの先端部40Eが、水滴受け部40の最下端に位置するとともに、吊り部32の上端部32Uの直下に位置している。これにより、シートシャッタ20を閉じる際に、一方の張出し部40Aの先端部40Eから着地面Gに着地するとともに、当該先端部40Eを中心として吊り部32が室内側に傾倒する。
【0047】
なお、本実施形態では、一対の張出し部40A,40Bのうち、他方(室外側)の張出し部40Bが、水滴受け部40の吊り状態において、一方の張出し部40Aの先端部40Eの位置を調整する錘として機能する。この他方の張出し部40Bは、必要に応じて設ければ良く、適宜省略可能である。
【0048】
(水滴受け具の動作)
次に、本実施形態に係る水滴受け具30の動作を説明しつつ、本実施形態の効果について説明する。
【0049】
図3(A)には、途中まで開けられた状態のシートシャッタ20が示されている。この状態では、シートシャッタ20の下端側筒状部24に取り付けられた水滴受け具30の水滴受け部40が吊り状態とされている。なお、図示を省略するが、シートシャッタ20の全開状態においても、水滴受け部40は吊り状態とされる。
【0050】
この状態から、シートシャッタ20が降下すると、
図3(B)に示されるように、先ず、水滴受け部40における一方の張出し部40Aの先端部40Eが着地面Gに着地する。この状態から、シートシャッタ20がさらに降下すると、
図4(A)に示されるように、水滴受け部40が退避状態に変移する。
【0051】
具体的には、本実施形態では、左右一対のガイドボックス12(
図1参照)によって、シートシャッタ20の面外方向の移動が許容されている。そのため、シートシャッタ20が降下すると、
図3(B)に矢印R1で示されるように、吊り部32が、一方の張出し部40Aの先端部40Eを中心としてシートシャッタ20の室内側(矢印X1側)へ傾倒する。
【0052】
換言すると、吊り部32が、上端部32Uを中心として、下端側筒状部24に対してシートシャッタ20の室外側(矢印X2側)へ回転する。この吊り部32の傾倒(回転)に伴って、水滴受け部40が、下端側筒状部24に対してシートシャッタ20の室外側へ移動する。つまり、水滴受け部40が退避状態に変移される。
【0053】
これにより、
図4(A)に示されるように、シートシャッタ20の下端側筒状部24の下端側が着地面Gに着地し、シートシャッタ20が隙間なく閉じられる。したがって、建物内への虫等の侵入が抑制される。
【0054】
ここで、下端側筒状部24の下端側が着地面Gに着地すると、当該下端側筒状部24に雨水等が付着する可能性がある。そして、下端側筒状部24に雨水等が付着した状態でシートシャッタ20が開かれると、下端側筒状部24に付着した雨水等が水滴となって、シートシャッタ20の下を通過する通過物に落下する可能性がある。
【0055】
これに対して本実施形態では、シートシャッタ20が閉じられた状態で、吊り部32の上端部32U、又は当該上端部32Uよりも室内側の下端側筒状部24に雨水等が付着する。この状態から、シートシャッタ20が上昇して開かれると、
図4(B)に示されるように、水滴受け部40が退避状態から吊り状態に変移する。
【0056】
具体的には、シートシャッタ20が上昇すると、
図4(A)に矢印R2で示されるように、先ず、吊り部32が、一方の張出し部40Aの先端部40Eを中心としてシートシャッタ20室外側へ起き上がる。換言すると、吊り部32が、上端部32Uを中心として、シートシャッタ20の下端側筒状部24に対して室内側へ回転する。この吊り部32の起き上がり(回転)に伴って、水滴受け部40が、下端側筒状部24に対して室内側へ移動する。
【0057】
この状態から、シートシャッタ20がさらに上昇すると、
図4(B)に示されるように、吊り部32によって水滴受け部40が吊り上げられる。つまり、水滴受け部40が吊り状態に変移される。
【0058】
これにより、吊り部32の上端部32U、又は当該上端部32Uよりも室内側の下端側筒状部24に付着した雨水W等が、吊り部32の室内側の表面32Sを伝って水滴受け部40の排水路44に流れ落ちる。したがって、シートシャッタ20が開いた状態で、下端側筒状部24等に付着した水が、シートシャッタ20の下を通過する通過物に落下することを抑制することができる。
【0059】
また、
図4(A)に示されるように、水滴受け部40の退避状態では、前述したように、水滴受け部40が下端側筒状部24に対して室外側に配置される。この退避状態では、水滴受け部40が傾くため、排水路44に溜まった水が室外に排水される。したがって、室内に排水が流入することが抑制される。
【0060】
また、
図2に示されるように、水滴受け部40の排水路44は、シートシャッタ20の幅方向の中央部から両端側へ向けて下る排水勾配を有している。これにより、排水路44で受けた水滴を、シートシャッタ20の幅方向の両端側において効率的に回収することができる。
【0061】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。なお、第二実施形態において、第一実施形態と同じ構成の部材等には、同符号を付して説明を適宜省略する。
【0062】
(水滴受け具)
図5(A)には、第二実施形態に係る水滴受け具50が示されている。水滴受け具50は、シートシャッタ20の下端側筒状部24に取り付けられている。水滴受け具50は、下端側筒状部24に沿って設けられている。
【0063】
水滴受け具50は、樹脂や金属等によって形成された吊り部52及び水滴受け部54を有している。水滴受け部54は、
図5(A)に示されるように、シートシャッタ20が開けられた状態で、吊り部52に吊り下げられる吊り状態と、
図5(B)に示されるように、シートシャッタ20が閉じられた状態で、吊り部52の回転に伴ってシートシャッタ20の面外方向に移動する退避状態とを有している。
【0064】
吊り部52は、板状に形成されており、下端側筒状部24に沿って配置されている。また、水滴受け部54の吊り状態において、吊り部52の上下方向の中間部52Mは、下端側筒状部24の室内側の側部に、シートシャッタ20の面外方向に回転可能に取り付けられている。つまり、吊り部52は、水滴受け部54の吊り状態において、中間部52Mを支点として、シートシャッタ20の面外方向に搖動可能とされている。
【0065】
また、
図6(A)に示されるように、吊り部52は、中間部52Mを中心として、その下端部が室外側へ向かうように回転した状態で、下端側筒状部24を下側から覆うように構成されている。これにより、シートシャッタ20が閉じられた状態で、下端側筒状部24は、吊り部52を介して着地面Gに着地される。
【0066】
なお、吊り部52の中間部52Mは、例えば、下端側筒状部24の室内側の側面に部分的に面接触された状態で接着剤等によって接合される。
【0067】
吊り部52の下端部には、水滴受け部54が設けられている。
図5(A)に示されるように、水滴受け部54は、吊り状態において、シートシャッタ20を幅方向から見て、室内側が開口した断面C字形状を成している。この水滴受け部54の内部には、水滴を受ける排水路56が形成されている。
【0068】
水滴受け部54は、水滴受け部54の吊り状態において、吊り部52の中間部52Mよりも下側で、かつ、室外側に配置されている。これにより、シートシャッタ20を閉じる際に、水滴受け部54の下端部54Lから着地面Gに着地するとともに、当該下端部54Lを中心として吊り部52が室内側に傾倒する。
【0069】
図示を省略するが、排水路56は、シートシャッタ20の幅方向の中央部から両端側へ向けてそれぞれ下る排水勾配を有している。なお、排水路56は、シートシャッタ20の幅方向の中央部から両端側へ向けてそれぞれ下る排水勾配に限らず、例えば、シートシャッタ20の幅方向の一端側から他端側へ向けて下る排水勾配を有しても良い。また、排水路56には、必ずしも排水勾配を付ける必要はなく、排水路56は略水平でも良い。
【0070】
(水滴受け具の動作)
次に、本実施形態に係る水滴受け具50の動作を説明しつつ、本実施形態の効果について説明する。
【0071】
図5(A)には、途中まで開けられた状態のシートシャッタ20が示されている。この状態では、シートシャッタ20の下端側筒状部24に取り付けられた水滴受け具50の水滴受け部54が吊り状態とされている。なお、図示を省略するが、シートシャッタ20の全開状態においても、水滴受け具50は吊り状態とされる。
【0072】
この状態から、シートシャッタ20が降下すると、
図5(B)に示されるように、先ず、水滴受け部54の下端部54Lが着地面Gに着地する。この状態から、シートシャッタ20がさらに降下すると、
図6(A)に示されるように、水滴受け部54が退避状態に変移する。
【0073】
具体的には、
図5(B)に矢印R1で示されるように、吊り部52が、水滴受け部54の下端部54Lを中心としてシートシャッタ20の室内側(矢印X1側)へ傾倒する。換言すると、吊り部52が、中間部52Mを中心として、その下端部が室外側(矢印X2側)へ向かうように回転する。この吊り部52の傾倒(回転)に伴って、水滴受け部54が、下端側筒状部24に対してシートシャッタ20の室外側へ移動する。つまり、水滴受け部54が退避状態に変移される。
【0074】
これにより、
図6(A)に示されるように、シートシャッタ20の下端側筒状部24の下端側が、吊り部52を介して着地面Gに隙間なく着地し、シートシャッタ20が閉じられる。したがって、建物内への虫等の侵入が抑制される。
【0075】
また、水滴受け部54の退避状態では、吊り部52は、シートシャッタ20の下端側筒状部24を下側から覆う。これにより、シートシャッタ20が閉じられた場合、前述したように、シートシャッタ20の下端側筒状部24は、吊り部52を介して着地面Gに着地する。そのため、シートシャッタが閉じた状態では、吊り部52におけるシャッタの室内側の表面52Sに水が付着する。したがって、シートシャッタ20の下端側筒状部24の汚損等が抑制される。
【0076】
次に、シートシャッタ20が上昇して開かれると、
図6(B)に示されるように、水滴受け部54が退避状態から吊り状態に変移する。
【0077】
具体的には、シートシャッタ20が上昇すると、先ず、
図6(A)に矢印R2で示されるように、吊り部52が、水滴受け部54の下端部54Lを中心としてシートシャッタ20の室外側へ起き上がる。換言すると、吊り部52が、中間部52Mを中心として、下端部52Lが室内側へ向かうように回転する。この吊り部52の起き上がり(回転)に伴って、水滴受け部54が、下端側筒状部24に対して室内側へ移動する。
【0078】
この状態から、シートシャッタ20がさらに上昇すると、
図6(B)に示されるように、吊り部52によって水滴受け部54が吊り上げられる。つまり、水滴受け部54が吊り状態に変移される。
【0079】
これにより、吊り部52の室内側の表面52Sに付着した雨水W等が、吊り部52の室内側の表面52Sを伝って水滴受け部54の排水路56に流れ落ちる。したがって、シートシャッタ20が開いた状態で、吊り部52の室内側の表面52Sに付着した水が、シートシャッタ20の下を通過する通過物に落下することを抑制することができる。
【0080】
このように本実施形態では、シートシャッタ20の下端側筒状部24の汚損等を抑制しつつ、シートシャッタ20が開いた状態で、水滴が落下することを効率的に抑制することができる。
【0081】
また、水滴受け部54の排水路56は、シートシャッタ20の幅方向の中央部から両端側へ向けて下る排水勾配を有している。これにより、排水路56で受けた水滴を、シートシャッタ20の幅方向の両端側において効率的に回収することができる。
【0082】
また、
図6(A)に示されるように、水滴受け部54の退避状態では、前述したように、水滴受け部54が下端側筒状部24に対して室外側に配置される。この退避状態では、水滴受け部54が傾くため、排水路56に溜まった水が室外に排水される。したがって、室内に排水が流入することが抑制される。
【0083】
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。なお、以下では、上記第一実施形態を例に各種の変形例について説明するが、これらの変形例は上記第二実施形態にも適宜適用可能である。
【0084】
図7(A)及び
図7(B)に示される変形例では、水滴受け部40の吊り状態において、吊り部32の上下方向の中間部にヒンジ部34が設けられている。ヒンジ部34は、シートシャッタ20の幅方向に延びる回転軸部34Aを有している。これにより、水滴受け部40の吊り状態において、矢印Pで示されるように、吊り部32の下部が、回転軸部34Aを中心として吊り部32の上部に対して室内側へ回転可能とされている。
【0085】
なお、ヒンジ部34には、水滴受け部40の吊り状態において、吊り部32の下部が、回転軸部34Aを中心として吊り部32の上部に対して室外側(矢印X2側)へ向かう回転を制限する図示しないストッパ機構が設けられている。
【0086】
ここで、
図8(A)及び
図8(B)に示されるように、シートシャッタ20が上昇して開かれると、水滴受け部40が退避状態から吊り状態に変移する。この際、吊り部32が上端部32Uを中心として室内側へ大きく回転すると、例えば、水滴受け部40に溜まった水が落下する可能性がある。
【0087】
これに対して本変形例では、吊り部32にヒンジ部34が設けられている。これにより、水滴受け部40が退避状態から吊り状態に変移する際に、
図8(B)に矢印Pで示されるように、ヒンジ部34の下部が、回転軸部34Aを中心として吊り部32の上部に対して室内側へ回動する。これにより、水滴受け部40の揺れが小さくなる。したがって、水滴受け部40に溜まった水の落下を抑制することができる。
【0088】
次に、上記第一実施形態では、シートシャッタ20の下端部に水滴受け具30が取り付けられている。しかし、水滴受け具30は、シートシャッタ20に限らず、上下方向に開閉する金属製のシャッタ(重量シャッタ)に取り付けられても良い。
【0089】
例えば、
図9(A)に示される変形例では、シャッタ装置60の金属製シャッタ62の下端部に、水滴受け具30が取り付けられている。金属製シャッタ62の下端部は、一例として、断面矩形状の下端側筒状部64に形成されている。この下端側筒状部64の室外側の側面64Sに、ヒンジ部66を介して吊り部32の上端部32Uが取り付けられている。なお、金属製シャッタ62は、シャッタの一例である。
【0090】
ヒンジ部66は、シートシャッタ20の幅方向に延びる回転軸部66Aを有している。これにより、下端側筒状部64の側面64Sに、ヒンジ部66を介して吊り部32の上端部32Uが金属製シャッタ62の面外方向に回転可能に取り付けられている。
【0091】
また、水滴受け部40の一方の張出し部40Aの下面には、キャスタ70が取り付けられている。キャスタ70は、金属製シャッタ62の幅方向に延びる回転軸72を有し、一方の張出し部40Aの先端側の下面に取り付けられている。
【0092】
キャスタ70は、一方の張出し部40Aの下面から下方へ突出するとともに、回転軸72がシートシャッタ20よりも室外側に位置している。これにより、シートシャッタ20を閉じる際に、キャスタ70から着地面Gに着地するとともに、キャスタ70が着地面G上を室外側へ向けて走行する。
【0093】
ここで、
図9(A)に示されるように、金属製シャッタ62が降下すると、先ず、キャスタ70が着地面Gに着地する。この状態から、シートシャッタ20がさらに降下すると、水滴受け部40が退避状態に変移する。
【0094】
具体的には、本変形例では、一対のガイドボックス12によって、金属製シャッタ62の面外方向の移動が拘束されている。そのため、シートシャッタ20が降下すると、
図9(A)に矢印Tで示されるように、キャスタ70が着地面G上を室外側へ向けて走行し、吊り部32がシートシャッタ20の室内側(矢印X2側)へ傾倒する。
【0095】
換言すると、吊り部32が、上端部32Uを中心として、下端側筒状部64に対してシートシャッタ20の室外側(矢印X2側)へ回転する。この吊り部32の傾倒(回転)に伴って、
図9(B)に示されるように、水滴受け部40が下端側筒状部64に対してシートシャッタ20の室外側へ移動する。つまり、水滴受け部40が退避状態に変移される。
【0096】
これにより、シートシャッタ20の下端側筒状部64の下端側が着地面Gに着地し、シートシャッタ20が隙間なく閉じられる。したがって、建物内への虫等の侵入が抑制される。
【0097】
一方、シートシャッタ20が上昇して開かれると、キャスタ70が着地面G上を室内側(矢印)へ向けて走行する。これにより、水滴受け部40が退避状態から吊り状態に変移する。
【0098】
このように水滴受け部40にキャスタ70を設けることにより、水滴受け部40を吊り状態から退避状態にスムーズに変移させることができる。
【0099】
なお、キャスタ70は、必要に応じて設ければ良く、適宜省略可能である。キャスタ70が省略された場合、例えば、金属製シャッタ62が閉じられた場合に、水滴受け部40が着地面G上を室外側へ向けてスライドすることにより、吊り状態から退避状態に変移するように構成される。
【0100】
また、上記第一実施形態では、水滴受け部40が、退避状態において、下端側筒状部24に対してシートシャッタ20の室外側へ移動する。しかし、例えば、
図4(A)において、水滴受け部40を左右反転させ、退避状態において、水滴受け部40が下端側筒状部24に対してシートシャッタ20の室内側へ移動するようにしても良い。
【0101】
また、上記第一実施形態では、シートシャッタ20の下端部に下端側筒状部24及び錘部材26が設けられている。しかし、下端側筒状部24及び錘部材26が、必要に応じて設ければ良く、適宜省略可能である。
【0102】
また、上記第一実施形態に係る水滴受け具30は、既存のシートシャッタ20に取り付けても良い。
【0103】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0104】
20 シートシャッタ(シャッタ)
24 下端側筒状部(シャッタの下端部)
30 水滴受け具
32 吊り部
32S 表面(シャッタの面外方向一方側の表面)
40 水滴受け部
44 排水路
50 水滴受け具
52 吊り部
52S 表面(シャッタの面外方向一方側の表面)
54 水滴受け部
56 排水路
62 金属製シャッタ(シャッタ)
64 下端側筒状部(シャッタの下端部)