(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076899
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】シートシャッタ水滴落下抑制構造
(51)【国際特許分類】
E06B 9/17 20060101AFI20240530BHJP
E06B 9/13 20060101ALI20240530BHJP
E06B 7/26 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
E06B9/17 U
E06B9/17 Q
E06B9/17 Z
E06B9/13 B
E06B7/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188722
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮田 弘樹
【テーマコード(参考)】
2E036
【Fターム(参考)】
2E036RA02
2E036RB01
2E036RC02
2E036SA05
2E036TA07
(57)【要約】
【課題】シートシャッタの下端部に取り付けられたクッション材の吸水効率を高めることを目的とする。
【解決手段】シートシャッタ水滴落下抑制構造は、上下方向に開閉するシートシャッタ20と、シートシャッタ20の下端部の下側に設けられ、下端部に沿って延びるクッション材30と、シートシャッタ20の下端部に設けられ、シートシャッタ20が閉じた状態で、クッション材30を介して着地面Gに着地する錘部材26と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に開閉するシートシャッタと、
前記シートシャッタの下端部の下側に設けられ、前記下端部に沿って延びるクッション材と、
前記シートシャッタの下端部に設けられ、該シートシャッタが閉じた状態で、前記クッション材を介して着地面に着地する錘部材と、
を備えるシートシャッタ水滴落下抑制構造。
【請求項2】
前記シートシャッタは、該シートシャッタの下端部に沿って延びる筒状部を有し、
前記クッション材は、前記筒状部の下面に設けられ、
前記錘部材は、前記筒状部の内部に配置される、
請求項1に記載のシートシャッタ水滴落下抑制構造。
【請求項3】
前記クッション材は、前記シートシャッタの幅方向の一端側から他端側へ向けて下る排水勾配、又は前記シートシャッタの幅方向の中央側から両端側へ向けてそれぞれ下る排水勾配を有する、
請求項1又は請求項2に記載のシートシャッタ水滴落下抑制構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートシャッタ水滴落下抑制構造に関する。
【背景技術】
【0002】
金属製シャッタの底部に取り付けられ、当該底部と床面との隙間を埋める発泡体が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された技術では、金属製シャッタが閉じた状態で、金属製シャッタの重量によって発泡体を圧縮させる。これにより、金属製シャッタが開けられた場合に、膨張する発泡体によって床面の水が吸収されるため、金属製シャッタの底部から水滴が落下することが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シートシャッタの下端部に、着地面の水を吸収するクッション材を取り付けることが考えられる。
【0005】
しかしながら、シートシャッタは、金属製シャッタよりも軽量であるため、シートシャッタが閉じた状態で、クッション材が圧縮し難く、クッション材の吸水効率が低下する可能性がある。
【0006】
本発明は、上記の事実を考慮し、シートシャッタの下端部に取り付けられたクッション材の吸水効率を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のシートシャッタ水滴落下抑制構造は、上下方向に開閉するシートシャッタと、前記シートシャッタの下端部の下側に設けられ、前記下端部に沿って延びるクッション材と、前記シートシャッタの下端部に設けられ、該シートシャッタが閉じた状態で、前記クッション材を介して着地面に着地する錘部材と、を備える。
【0008】
請求項1に係るシートシャッタ水滴落下抑制構造によれば、シートシャッタは、上下方向に開閉する。このシートシャッタの下端部の下側には、当該下端部に沿って延びるクッション材が設けられる。また、シートシャッタの下端部には、錘部材が設けられる。
【0009】
ここで、錘部材は、シートシャッタが閉じた状態で、クッション材を介して着地面に着地する。これにより、錘部材の重量によってクッション材が圧縮される。一方、シートシャッタが開けられた場合、圧縮されていたクッション材が復元する。このクッション材の復元に伴って着地面上の水がクッション材に吸収される。したがって、本発明では、クッション材の吸水効率を高めることができる。
【0010】
請求項2に記載のシートシャッタ水滴落下抑制構造は、請求項1に記載のシートシャッタ水滴落下抑制構造において、前記シートシャッタは、該シートシャッタの下端部に沿って延びる筒状部を有し、前記クッション材は、前記筒状部の下面に設けられ、前記錘部材は、前記筒状部の内部に配置される。
【0011】
請求項2に係るシートシャッタ水滴落下抑制構造によれば、シートシャッタは、筒状部を有する。この筒状部の下面に、クッション材が設けられる。また、筒状部の内部に錘部材が配置される。これにより、錘部材が水に濡れることが抑制される。したがって、錘部材の腐食等が抑制される。
【0012】
請求項3に記載のシートシャッタ水滴落下抑制構造は、請求項1又は請求項2に記載のシートシャッタ水滴落下抑制構造において、前記クッション材は、前記シートシャッタの幅方向の一端側から他端側へ向けて下る排水勾配、又は前記シートシャッタの幅方向の中央側から両端側へ向けてそれぞれ下る排水勾配を有する。
【0013】
請求項3に係るシートシャッタ水滴落下抑制構造によれば、クッション材は、シートシャッタの幅方向の一端側から他端側へ向けて下る排水勾配、又はシートシャッタの幅方向の中央側から両端側へ向けてそれぞれ下る排水勾配を有する。これにより、クッション材に給水された水滴を、シートシャッタの他端側等において、効率的に回収することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、シートシャッタの下端部に取り付けられたクッション材の吸水効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態に係るシャッタ装置を室内側から見た正面図である。
【
図2】一実施形態に係るシャッタ装置を室内側から見た正面図である。
【
図5】シートシャッタが上昇し、非圧縮状態のクッション材が復元した状態を示す
図4に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、一実施形態について説明する。
【0017】
(シャッタ装置)
図1及び
図2には、一例として、シャッタ装置10が示されている。シャッタ装置10は、左右一対のガイドボックス12と、シャッタケース14と、シートシャッタ20とを備えている。なお、シートシャッタ20は、シャッタの一例である。
【0018】
左右一対のガイドボックス12は、建物等の開口16の左右両側に柱状に配置されている。この一対のガイドボックス12の上端部には、シャッタケース14が掛け渡されている。シャッタケース14の内部には、シートシャッタ20が収納される。また、シャッタケース14の内部には、シートシャッタ20を巻き上げ、又は巻き下げる図示しない開閉装置が収容されている。
【0019】
シートシャッタ(シャッタカーテン)20は、例えば、樹脂等によってシート状に形成されている。このシートシャッタ20は、前述した開閉装置によって巻き上げられ、又は巻き下げられることにより、左右一対のガイドボックス12に沿って上下方向に移動する。これにより、左右一対のガイドボックス12の間の開口16が上下方向に開閉される。
【0020】
なお、
図1には、シートシャッタ20によって開口16が閉じられた状態が示されている。一方、
図2には、シートシャッタ20によって開口16の下部が開けられた状態が示されている。
【0021】
シートシャッタ20の上下方向の中間部には、複数の中間筒状部22が設けられている。複数の中間筒状部22は、シートシャッタ20の幅方向に延びるとともに、上下方向に間隔を空けて配置されている。これらの中間筒状部22の内部には、左右一対のガイドボックス12に亘る図示しない骨材が収納されている。
【0022】
なお、中間筒状部22は、必要に応じて設ければ良く、適宜省略可能である。
【0023】
図3に示されるように、シートシャッタ20の下端部には、下端側筒状部24が設けられている。下端側筒状部24は、シートシャッタ20の下端側を折り返すことにより、シートシャッタ20の幅方向に延びる筒状(中空状)に形成されている。
【0024】
なお、
図3、
図4、及び
図5に示される矢印X1は、シートシャッタ20の面外方向一方側(室内側)を示し、矢印X2は、シートシャッタ20の面外方向他方側(室外側)を示している。
【0025】
下端側筒状部24は、シートシャッタ20の下端部を構成しており、シートシャッタ20によって開口16(
図2参照)を閉じた状態で、その下面が、後述するクッション材30を介して床等の着地面Gに着地される。なお、下端側筒状部24は、筒状部の一例である。
【0026】
下端側筒状部24には、錘部材26が収納されている。錘部材26は、一例として、樹脂や金属等によって、シートシャッタ20の幅方向に延びる円筒状に形成されている。また、錘部材26は、シートシャッタ20の幅方向の一端側から他端側に亘っている。この錘部材26によって、シートシャッタ20を閉じる際のシートシャッタ20の降下速度が上がるとともに、シートシャッタ20の下端側筒状部24が着地面Gに着地した状態で、シートシャッタ20が安定し易くなる。
【0027】
(クッション材)
シートシャッタ20の下端側筒状部24の下面には、クッション材30が設けられている。クッション材30は、着地面G上の雨水等を吸収して保持する部材であり、当該下端側筒状部24の下面に沿って設けられている。
【0028】
クッション材30は、例えば、ウレタンスポンジやポリエステルスポンジ等によって形成されている。このクッション材30は、吸水性を有している。具体的には、クッション材30は、圧縮状態から復元(膨張)する際に、周囲の水等を吸収する。また、クッション材30は、非圧縮状態(復元状態)で、吸収した水等を保持可能とされている。
【0029】
クッション材30は、断面がシートシャッタ20の面外方向(矢印X1,X2方向)に延びる楕円形状とされている。このクッション材30は、下端側筒状部24の下面に接着剤等によって接合されている。
【0030】
なお、クッション材30の断面は、楕円形状に限らず、例えば、台形状や矩形状等でも良い。
【0031】
クッション材30は、前述した錘部材26の下側に配置されている。これにより、
図4に示されるように、シートシャッタ20が閉じた状態で、錘部材26がクッション材30を介して着地面Gに着地される。つまり、シートシャッタ20が閉じた状態では、クッション材30の上面30Uにおけるシートシャッタ20の面外方向の中央部上に錘部材26が載置される。この結果、錘部材26の重量によって、クッション材30が圧縮される。
【0032】
図2に示されるように、クッション材30は、シートシャッタ20の幅方向の中央部から両端側へ向けてそれぞれ下る排水勾配を有している。これにより、クッション材30に保持された雨水等を、シートシャッタ20の幅方向の両端側において回収可能とされている。
【0033】
なお、クッション材30は、シートシャッタ20の幅方向の中央部から両端側へ向けてそれぞれ下る排水勾配に限らず、例えば、シートシャッタ20の幅方向の一端側から他端側へ向けて下る排水勾配を有しても良い。また、クッション材30には、必ずしも排水勾配を付ける必要はなく、クッション材30は略水平でも良い。
【0034】
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0035】
図3には、途中まで開けられた状態のシートシャッタ20が示されている。この状態では、シートシャッタ20の下端側筒状部24に取り付けられたクッション材30は、非圧縮状態とされる。
【0036】
この状態から、シートシャッタ20が降下すると、
図4に示されるように、下端側筒状部24の内部に収納された錘部材26が、クッション材30を介して着地面Gに着地する。これにより、シートシャッタ20が隙間なく閉じられる。したがって、建物内への虫等の侵入が抑制される。
【0037】
ここで、比較例として、例えば、下端側筒状部24の下面が着地面Gに着地すると、当該下端側筒状部24に雨水等が付着する可能性がある。そして、下端側筒状部24の下面に雨水等が付着した状態でシートシャッタ20が開かれると、下端側筒状部24の下面に付着した雨水等が水滴となって、シートシャッタ20の下を通過する通過物に落下する可能性がある。
【0038】
これに対して本実施形態では、前述したように、下端側筒状部24の下面にクッション材30が設けられている。これにより、下端側筒状部24の下面に雨水等が付着することが抑制される。
【0039】
また、下端側筒状部24の内部に収納された錘部材26は、クッション材30を介して着地面Gに着地する。これにより、錘部材26の重量によってクッション材30が圧縮される。この状態で、
図5に示されるように、シートシャッタ20が上昇すると、圧縮されていたクッション材30が復元(膨張)する。このクッション材30の復元に伴って、矢印Wで示されるように、着地面G上の雨水等がクッション材30に吸収される。
【0040】
具体的には、クッション材30の圧縮状態では、クッション材30の内部の多数の小胞が圧縮されて小さくなっている。このクッション材30が錘部材26の上昇に伴って復元(膨張)すると、クッション材30の内部の小胞が急激に圧縮前の大きさに戻る。この際、クッション材30の内部の小胞に、雨水等を吸収される。したがって、本実施形態では、クッション材の吸水効率を高めることができる。
【0041】
次に、シートシャッタ20がさらに上昇すると、非圧縮状態のクッション材30が下端側筒状部24によって吊り上げられる。
【0042】
ここで、クッション材30は、非圧縮状態で、吸収した雨水等を保持可能とされている。これにより、シートシャッタ20が開いた状態で、下端側筒状部24等に付着した水が、シートシャッタ20の下を通過する通過物に落下することを抑制することができる。
【0043】
また、
図2に示されるように、クッション材30は、シートシャッタ20の幅方向の中央部から両端側へ向けて下る排水勾配を有している。これにより、クッション材30に保持された雨水等を、シートシャッタ20の幅方向の両端側において効率的に回収することができる。
【0044】
また、本実施形態では、錘部材26が下端側筒状部24に収納されている。これにより、錘部材26が、雨水等に濡れることが抑制される。したがって、錘部材26の腐食等が抑制される。
【0045】
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0046】
上記実施形態では、錘部材26が下端側筒状部24の内部に収納されている。しかし、錘部材26は、例えば、下端側筒状部24の下面に取り付けられても良い。
【0047】
また、上記実施形態では、シートシャッタ20の下端部に下端側筒状部24が設けられている。しかし、下端側筒状部24が、必要に応じて設ければ良く、適宜省略可能である。
【0048】
また、上記実施形態に係るクッション材30は、既存のシートシャッタ20に取り付けても良い。
【0049】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0050】
20 シートシャッタ
24 下端側筒状部(筒状部)
26 錘部材
30 クッション材
G 着地面