(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076900
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
G03G 9/08 20060101AFI20240530BHJP
G03G 9/087 20060101ALI20240530BHJP
G03G 9/097 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
G03G9/08
G03G9/087 331
G03G9/097 365
G03G9/087 325
G03G9/097 375
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188723
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石塚 大輔
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 絵理奈
(72)【発明者】
【氏名】古田 努
(72)【発明者】
【氏名】中島 大輔
【テーマコード(参考)】
2H500
【Fターム(参考)】
2H500AA01
2H500AA08
2H500CA03
2H500CA06
2H500CA24
2H500CB12
2H500EA11A
2H500EA33B
2H500EA37B
2H500EA39B
2H500EA42B
2H500EA44B
2H500EA52D
(57)【要約】
【課題】画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成する静電荷像現像用トナーを提供する。
【解決手段】静電荷像現像用トナーは、非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含む結着樹脂を含有するトナー粒子であって、要件(1)及び要件(2)を満足するトナー粒子を含む。要件(1):熱過程(1)にて示差走査熱量測定を行ったとき、再昇温の期間の温度30℃以上70℃以下の領域における発熱ピークの合計発熱量が0.5J/g超である。要件(2):熱過程(2)にて示差走査熱量測定を行ったとき、再昇温の期間の温度30℃以上70℃以下の領域における発熱ピークの合計発熱量が0.5J/g以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含む結着樹脂を含有するトナー粒子であって、下記の要件(1)及び要件(2)を満足するトナー粒子を含む、
静電荷像現像用トナー。
要件(1):下記の熱過程(1)にて示差走査熱量測定を行ったとき、再昇温の期間の温度30℃以上70℃以下の領域における発熱ピークの合計発熱量が0.5J/g超である。
要件(2):下記の熱過程(2)にて示差走査熱量測定を行ったとき、再昇温の期間の温度30℃以上70℃以下の領域における発熱ピークの合計発熱量が0.5J/g以下である。
熱過程(1):速度10℃/分で0℃から150℃まで昇温し、次いで速度50℃/分で150℃から0℃まで降温し、次いで速度10℃/分で0℃から150℃まで再昇温する。
熱過程(2):速度10℃/分で0℃から150℃まで昇温し、次いで速度1℃/分で150℃から0℃まで降温し、次いで速度10℃/分で0℃から150℃まで再昇温する。
【請求項2】
前記要件(1)における前記発熱ピークの合計発熱量が2.0J/g以上15.0J/g以下である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
前記トナー粒子に含まれる前記非晶性樹脂の質量割合をWaとし、前記結晶性樹脂の質量割合をWcとし、Wc/(Wa+Wc)=W1としたとき、0.15≦W1≦0.50である、
請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項4】
前記トナー粒子のテトラヒドロフラン可溶分に含まれる分子量5000以下の樹脂に含まれる前記非晶性樹脂の質量割合をWaLとし、前記結晶性樹脂の質量割合をWcLとし、WcL/(WaL+WcL)=W2としたとき、0.1≦W2/W1≦0.8である、
請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項5】
前記非晶性樹脂が非晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記非晶性ポリエステル樹脂が、下記の式(1)で表される単位を有する非晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記非晶性ポリエステル樹脂のうち分子量5000以下の非晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める前記式(1)で表される単位の質量割合をRL1とし、前記非晶性ポリエステル樹脂のうち分子量50000以上の非晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める前記式(1)で表される単位の質量割合をRH1としたとき、0.1≦RL1/RH1≦0.8である、
請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【化1】
式(1)においてnは4以上12以下の整数である。
【請求項6】
前記非晶性樹脂が非晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記結晶性樹脂が結晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記非晶性ポリエステル樹脂が、脂肪族ジカルボン酸単位を有する非晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記結晶性ポリエステル樹脂が、脂肪族ジカルボン酸単位を有する結晶性ポリエステル樹脂を含む、
請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項7】
前記非晶性樹脂が非晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記結晶性樹脂が結晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記非晶性ポリエステル樹脂が、式(1)で表される単位を有する非晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記結晶性ポリエステル樹脂が、式(2)で表される単位を有する結晶性ポリエステル樹脂を含む、
請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【化2】
式(1)においてnは4以上12以下の整数である。
式(2)においてmは4以上12以下の整数である。
【請求項8】
前記非晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める前記式(1)で表される単位の質量割合が1質量%以上30質量%以下であり、
前記結晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める前記式(2)で表される単位の質量割合が60質量%以上100質量%以下である、
請求項7に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項9】
前記非晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める前記式(1)で表される単位の質量割合をR1とし、前記結晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める前記式(2)で表される単位の質量割合をR2としたとき、0.01≦R1/R2≦0.40である、
請求項7に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項10】
前記トナー粒子がさらに架橋樹脂粒子を含有し、
前記トナー粒子に占める前記架橋樹脂粒子の質量割合が1質量%以上30質量%以下である、
請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項11】
前記トナー粒子がさらに離型剤を含有し、
前記結晶性樹脂が結晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記トナー粒子に含まれる前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量をWcpとし、前記離型剤の含有量をWwとしたとき、1.5≦Wcp/Ww≦5.0である、
請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項12】
前記トナー粒子に外添された無機粒子をさらに含み、
前記無機粒子の平均粒径が50nm以上300nm以下である、
請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項13】
請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
【請求項14】
請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
【請求項15】
請求項13に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【請求項16】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項13に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項17】
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項13に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、少なくとも重合性単量体と結着樹脂、ワックス(D)および着色剤を含有するトナー組成物を水相中で直接的に重合して得られる画像形成用トナーにおいて、結着樹脂のうち少なくとも1種類が結晶性高分子(A)であり、トナーのDSC曲線の第2の昇温過程に結着樹脂のガラス転移点付近に少なくとも1つの発熱ピークを有する画像形成用トナーが開示されている。
【0003】
特許文献2には、結着樹脂として非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とを含有し、1回目の昇温、-10℃/分での冷却、および2回目の昇温の過程を経る示差走査熱量測定による、1回目の昇温において少なくとも非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とが相溶した樹脂に由来する吸熱ピーク(1)が存在し且つ1回目の昇温の際に強度が0.1J/g以上の発熱ピークが存在せず、2回目の昇温の際に、吸熱ピーク(1)より5℃以上15℃以下低い温度範囲に少なくとも1つの発熱ピーク(2)が存在する静電荷像現像トナーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-104193号公報
【特許文献2】特開2014-186278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成する静電荷像現像用トナーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段には、下記の態様が含まれる。
【0007】
<1>
非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含む結着樹脂を含有するトナー粒子であって、下記の要件(1)及び要件(2)を満足するトナー粒子を含む、
静電荷像現像用トナー。
要件(1):下記の熱過程(1)にて示差走査熱量測定を行ったとき、再昇温の期間の温度30℃以上70℃以下の領域における発熱ピークの合計発熱量が0.5J/g超である。
要件(2):下記の熱過程(2)にて示差走査熱量測定を行ったとき、再昇温の期間の温度30℃以上70℃以下の領域における発熱ピークの合計発熱量が0.5J/g以下である。
熱過程(1):速度10℃/分で0℃から150℃まで昇温し、次いで速度50℃/分で150℃から0℃まで降温し、次いで速度10℃/分で0℃から150℃まで再昇温する。
熱過程(2):速度10℃/分で0℃から150℃まで昇温し、次いで速度1℃/分で150℃から0℃まで降温し、次いで速度10℃/分で0℃から150℃まで再昇温する。
<2>
前記要件(1)における前記発熱ピークの合計発熱量が2.0J/g以上15.0J/g以下である、<1>に記載の静電荷像現像用トナー。
<3>
前記トナー粒子に含まれる前記非晶性樹脂の質量割合をWaとし、前記結晶性樹脂の質量割合をWcとし、Wc/(Wa+Wc)=W1としたとき、0.15≦W1≦0.50である、
<1>又は<2>に記載の静電荷像現像用トナー。
<4>
前記トナー粒子のテトラヒドロフラン可溶分に含まれる分子量5000以下の樹脂に含まれる前記非晶性樹脂の質量割合をWaLとし、前記結晶性樹脂の質量割合をWcLとし、WcL/(WaL+WcL)=W2としたとき、0.1≦W2/W1≦0.8である、
<3>に記載の静電荷像現像用トナー。
<5>
前記非晶性樹脂が非晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記非晶性ポリエステル樹脂が、式(1)で表される単位を有する非晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記非晶性ポリエステル樹脂のうち分子量5000以下の非晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める式(1)で表される単位の質量割合をRL1とし、前記非晶性ポリエステル樹脂のうち分子量50000以上の非晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める式(1)で表される単位の質量割合をRH1としたとき、0.1≦RL1/RH1≦0.8である、
<1>~<4>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
<6>
前記非晶性樹脂が非晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記結晶性樹脂が結晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記非晶性ポリエステル樹脂が、脂肪族ジカルボン酸単位を有する非晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記結晶性ポリエステル樹脂が、脂肪族ジカルボン酸単位を有する結晶性ポリエステル樹脂を含む、
<1>~<5>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
<7>
前記非晶性樹脂が非晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記結晶性樹脂が結晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記非晶性ポリエステル樹脂が、式(1)で表される単位を有する非晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記結晶性ポリエステル樹脂が、式(2)で表される単位を有する結晶性ポリエステル樹脂を含む、
<1>~<6>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
<8>
前記非晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める式(1)で表される単位の質量割合が1質量%以上30質量%以下であり、
前記結晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める式(2)で表される単位の質量割合が60質量%以上100質量%以下である、
<7>に記載の静電荷像現像用トナー。
<9>
前記非晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める式(1)で表される単位の質量割合をR1とし、前記結晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める式(2)で表される単位の質量割合をR2としたとき、0.01≦R1/R2≦0.40である、
<7>又は<8>に記載の静電荷像現像用トナー。
<10>
前記トナー粒子がさらに架橋樹脂粒子を含有し、
前記トナー粒子に占める前記架橋樹脂粒子の質量割合が1質量%以上30質量%以下である、
<1>~<9>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
<11>
前記トナー粒子がさらに離型剤を含有し、
前記結晶性樹脂が結晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記トナー粒子に含まれる前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量をWcpとし、前記離型剤の含有量をWwとしたとき、1.5≦Wcp/Ww≦5.0である、
<1>~<10>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
<12>
前記トナー粒子に外添された無機粒子をさらに含み、
前記無機粒子の平均粒径が50nm以上300nm以下である、
<1>~<11>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
【0008】
<13>
<1>~<12>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
<14>
<1>~<12>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
<15>
<13>に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
<16>
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
<13>に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
<17>
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
<13>に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
【発明の効果】
【0009】
<1>、<6>、<7>又は<12>に係る発明によれば、要件(1)及び要件(2)の一方又は両方を満足しないトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーに比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成する静電荷像現像用トナーが提供される。
<2>に係る発明によれば、要件(1)における発熱ピークの合計発熱量が2.0J/g未満又は15.0J/g超である場合に比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成する静電荷像現像用トナーが提供される。
<3>に係る発明によれば、W1が0.15未満又は0.50超である場合に比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成する静電荷像現像用トナーが提供される。
<4>に係る発明によれば、W2/W1が0.1未満又は0.8超である場合に比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成する静電荷像現像用トナーが提供される。
<5>に係る発明によれば、RL1/RH1が0.1未満又は0.8超である場合に比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成する静電荷像現像用トナーが提供される。
<8>に係る発明によれば、非晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める式(1)で表される単位の質量割合が1質量%未満又は30質量%超である場合または結晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める式(2)で表される単位の質量割合が60質量%未満又は100質量%超である場合に比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成する静電荷像現像用トナーが提供される。
<9>に係る発明によれば、R1/R2が0.01未満又は0.40超である場合に比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成する静電荷像現像用トナーが提供される。
<10>に係る発明によれば、トナー粒子に占める架橋樹脂粒子の質量割合が1質量%未満又は30質量%超である場合に比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成する静電荷像現像用トナーが提供される。
<11>に係る発明によれば、Wcp/Wwが1.5未満又は5.0超である場合に比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成する静電荷像現像用トナーが提供される。
【0010】
<13>に係る発明によれば、要件(1)及び要件(2)の一方又は両方を満足しないトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤に比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成する静電荷像現像剤が提供される。
<14>に係る発明によれば、要件(1)及び要件(2)の一方又は両方を満足しないトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーを収容するトナーカートリッジに比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成するトナーカートリッジが提供される。
<15>に係る発明によれば、要件(1)及び要件(2)の一方又は両方を満足しないトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤を収容するプロセスカートリッジに比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成するプロセスカートリッジが提供される。
<16>に係る発明によれば、要件(1)及び要件(2)の一方又は両方を満足しないトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤を収容する画像形成装置に比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成する画像形成装置が提供される。
<17>に係る発明によれば、要件(1)及び要件(2)の一方又は両方を満足しないトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤を用いる画像形成方法に比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成する画像形成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係る画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示の実施形態について説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、実施形態の範囲を制限するものではない。
【0013】
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0014】
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
【0015】
本開示において実施形態を図面を参照して説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
【0016】
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。本開示において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
【0017】
本開示において、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルのいずれをも含む表現であり、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートのいずれをも含む表現である。
【0018】
本開示において、「静電荷像現像用トナー」を「トナー」ともいい、「静電荷像現像剤」を「現像剤」ともいい、「静電荷像現像用キャリア」を「キャリア」ともいう。
【0019】
本開示において「ホットラミネート加工」とは、記録媒体にラミネートフィルムを積層し、熱と圧力とを印加して、記録媒体の一部又は全部をラミネートフィルムで覆う加工を意味する。ホットラミネート加工は、記録媒体の片面に施してもよく、記録媒体の両面に施してもよい。
ラミネートフィルムは、記録媒体上の画像の視認を妨げない観点から、透明であることが好ましい。ラミネートフィルムの材質は、限定されない。ラミネートフィルムの材質として、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
ホットラミネート加工の際に記録媒体及びラミネートフィルムに印加される温度は、60℃以上160℃以下が好ましく、70℃以上150℃以下がより好ましく、80℃以上140℃以下が更に好ましい。
【0020】
<静電荷像現像用トナー>
本実施形態に係るトナーは、非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含む結着樹脂を含有するトナー粒子であって、下記の要件(1)及び要件(2)を満足するトナー粒子を含む。
【0021】
要件(1):熱過程(1)にて示差走査熱量測定を行ったとき、再昇温の期間の温度30℃以上70℃以下の領域における発熱ピークの合計発熱量が0.5J/g超である。
要件(2):熱過程(2)にて示差走査熱量測定を行ったとき、再昇温の期間の温度30℃以上70℃以下の領域における発熱ピークの合計発熱量が0.5J/g以下である。
【0022】
熱過程(1):速度10℃/分で0℃から150℃まで昇温し、次いで速度50℃/分で150℃から0℃まで降温し、次いで速度10℃/分で0℃から150℃まで再昇温する。
熱過程(2):速度10℃/分で0℃から150℃まで昇温し、次いで速度1℃/分で150℃から0℃まで降温し、次いで速度10℃/分で0℃から150℃まで再昇温する。
【0023】
本実施形態におけるトナー粒子は、熱過程(1)にて示差走査熱量測定を行ったとき、再昇温の期間の温度30℃以上70℃以下の領域に、少なくとも1個の発熱ピークが観察される。
本実施形態におけるトナー粒子は、熱過程(2)にて示差走査熱量測定を行ったとき、再昇温の期間の温度30℃以上70℃以下の領域に、発熱ピークが観察されてもよく観察されなくてもよい。
【0024】
熱過程(1)と熱過程(2)とは、150℃から0℃まで降温する速度が互いに異なる。
熱過程(1)は、150℃から0℃まで降温する速度が50℃/分であり、比較的速い。つまり熱過程(1)は、トナーを加熱し、急冷し、再加熱する。
熱過程(2)は、150℃から0℃まで降温する速度が1℃/分であり、比較的遅い。つまり熱過程(2)は、トナーを加熱し、徐冷し、再加熱する。
熱過程(1)は、記録媒体へのトナー画像の定着(加熱と急冷)と、画像を形成した記録媒体に対するホットラミネート加工(再加熱)とを模した熱過程である。
熱過程(2)は、ラミネート加工物を温度変化のある環境に置くこと(加熱と徐冷と再加熱)を模した熱過程である。
【0025】
非晶性樹脂と結晶性樹脂とを含むトナー粒子には、示差走査熱量測定を行ったとき、再加熱する過程において発熱が観察されるトナー粒子と観察されないトナー粒子とがある。発熱は結晶性樹脂の結晶化による。発熱が観察されるか否かは主に、トナー粒子に含まれる非晶性樹脂と結晶性樹脂の組合せによる。
要件(1)を満足するトナー粒子は、急冷後の再加熱において、結晶性樹脂が結晶化するトナー粒子である。
要件(2)を満足するトナー粒子は、徐冷後の再加熱において、結晶性樹脂が結晶化しないトナー粒子である。
【0026】
トナーで画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を、温度の上昇下降が繰り返される環境(例えば、室内の窓際、直射日光の当たる車両の内部)に置くと、ラミネートフィルムの接着力が低下することがある。この現象は、結晶性樹脂を含有し比較的低温で定着するトナーで画像形成した場合に発生しやすい。
本実施形態に係るトナーは、要件(1)及び要件(2)の両方を満足することによって上記の現象を抑制する。その理由は下記のとおり推測される。
【0027】
要件(1)を満足することは、ホットラミネート加工の際に結晶性樹脂が結晶化することを意味する。換言すると、要件(1)を満足しないことは、ホットラミネート加工の際に結晶性樹脂が結晶化しないことを意味する。ホットラミネート加工の際に結晶性樹脂が結晶化しないと、画像が記録媒体にしみ込みやすく、画像とラミネートフィルムの接着が不十分となる。この現象は、要件(1)を満足することによって抑制される。
なお、ホットラミネート加工の際に結晶化した結晶性樹脂は、ホットラミネート加工の後期において熱及び圧力によって溶融し、画像とラミネートフィルムの界面で広がり、冷却後、画像とラミネートフィルムの界面において両者を接着させると推測される。
一方、要件(2)を満足することは、温度の上昇下降が繰り返される環境(例えば、室内の窓際、直射日光の当たる車両の内部)においては結晶性樹脂が結晶化せず、画像の体積変化が起こりにくいことを意味する。その結果として、画像とラミネートフィルムの接着が維持される。
要件(1)を満足しない場合は、ホットラミネート加工時の画像とラミネートフィルムの接着が不十分であり、要件(2)を満足しない場合は、ホットラミネート加工後に接着力が低下する。本実施形態に係るトナーは、要件(1)及び要件(2)の両方を満足することによって、ホットラミネート加工時の画像とラミネートフィルムの接着が十分であり、ラミネート加工物を温度変化のある環境に置いたときラミネートフィルムの接着力が低下しにくい。
【0028】
温度30℃以上70℃以下の領域に発熱ピークを得るには、結晶性樹脂の融解温度を50℃以上90℃以下とすることが好ましい。一般的に、再昇温中の結晶化(発熱)は結晶性樹脂の融解温度よりも10℃~30℃程度低い温度で発生するため、結晶性樹脂の融解温度を調整することで発熱ピーク温度を調整することができる。結晶性樹脂の融解温度は、55℃以上88℃以下がより好ましく、60℃以上85℃以下が更に好ましい。
【0029】
要件(1)に係る発熱ピークの合計発熱量は、0.5J/g超であり、0.5J/g超20.0J/g以下であることが好ましく、2.0J/g以上15.0J/g以下であることがより好ましく、3.0J/g以上12.0J/g以下であることが更に好ましい。
【0030】
要件(2)に係る発熱ピークの合計発熱量は、0.5J/g以下であり、0.0J/g以上0.5J/g以下であることが好ましく、0.0J/g以上0.4J/g以下であることがより好ましく、0.0J/g以上0.3J/g以下であることが更に好ましい。
【0031】
要件(1)に係る発熱ピークの合計発熱量と、要件(2)に係る発熱ピークの合計発熱量との差分は、0.5J/g以上20.0J/g以下であることが好ましく、2.0J/g以上15.0J/g以下であることがより好ましく、3.0J/g以上12.0J/g以下であることが更に好ましい。
【0032】
要件(1)及び要件(2)に係る示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry, DSC)は、下記のとおり行う。
8.0mg±0.5mgのトナー粒子をアルミニウム製サンプルパンに入れ、示差走査熱量測定装置にセットする。窒素雰囲気下、熱過程(1)又は熱過程(2)を行い、トナー粒子の熱分析を行う。
発熱ピークは、2回目の昇温時(再昇温時)のDSC曲線において、30℃から70℃の範囲で、発熱が最大となる温度である。発熱量は以下のようにして求める。まず、2回目の昇温時(再昇温時)のDSC曲線において、低温領域のベースラインを高温側に延長した直線とDSC曲線の交点を求める。このとき、交点が70℃より大きい又は交点が存在しない場合は、発熱量は0J/gと算出する。70℃以下に交点が存在する場合には、DSC曲線とベースラインで囲まれる面積を算出することで、発熱量を求める。
トナーが外添剤を有する場合、界面活性剤を含む水中にトナーを分散させ、超音波処理を行って外添剤を除去し、乾燥させ、トナー粒子を得る。
【0033】
要件(1)及び要件(2)を両方満足させることは、急冷した場合と徐冷した場合とで、非晶性樹脂中の結晶性樹脂の存在状態に差異が出るよう制御する必要がある。すなわち、非晶性樹脂中の高分子量の成分と結晶性樹脂が近接していると、再昇温時に結晶化ピークが出現しやすいのに対し、非晶性樹脂中の低分子量の成分と結晶性樹脂が近接していると、再昇温時に結晶化ピークが出現しにくいと推測される。したがって、トナー粒子の冷却速度に応じ、非晶性樹脂中の結晶性樹脂の存在状態を変えるには、急冷させた場合には、高分子量成分に近接した状態を維持するようにし、徐冷させた場合は、結晶性樹脂が非晶性樹脂の低分子量成分に近接した状態を形成するように分散状態を制御することが必要となる。実際には、トナー粒子の冷却時には、非晶性樹脂中の高分子量成分が先に硬化していくため、徐冷時には低分子量成分と結晶性樹脂が近接した状態が形成されやすいと推測される。したがって、急冷時に低分子量成分と結晶性樹脂が近接しないような制御が重要であり、トナー粒子の段階で非晶性樹脂の高分子量成分と結晶性樹脂が近接した状態を形成したり、非晶性樹脂の高分子量成分と結晶性樹脂の親和性を高めたりすることにより上記を達成することができる。トナー粒子の段階で非晶性樹脂の高分子量成分と結晶性樹脂が近接した状態を形成するには、例えば、結晶性樹脂と高分子量の非晶性樹脂で粒子を形成した後、低分子量の非晶性樹脂で被覆することによりトナー内部で高分子量成分を偏在させる方法、低分子量の非晶性樹脂のみを含むトナー粒子と、高分子量の非晶性樹脂と結晶性樹脂とを含むトナー粒子を混合して使用する方法、結晶性樹脂の一部と高分子量非晶性樹脂の一部を化学的に結合させる方法等が挙げられる。また、非晶性樹脂の高分子量成分と結晶性樹脂の親和性を高めるには、低分子量成分と高分子量成分の単量体の種類及び/又は比率を変更することで、調整することが可能である。高架橋粒子を加えることで結晶性樹脂の分子運動を阻害することによる調整も可能である。
【0034】
従来、結着樹脂の結晶化を制御するために結晶核剤又は結晶化制御剤を内部に含有するトナー粒子があるが、結晶核剤又は結晶化制御剤を内部に含有するトナー粒子は、熱過程(2)の再加熱の間にも結晶化しやすい。すなわち、結晶核剤又は結晶化制御剤を内部に含有するトナー粒子は、要件(2)を満足しない傾向がある。本実施形態におけるトナー粒子は結晶核剤又は結晶化制御剤を内部に含有しないことが好ましい。
【0035】
以下、本実施形態に係るトナーの成分、構造及び製造方法を説明する。
【0036】
[トナー粒子]
トナー粒子は、少なくとも結着樹脂を含有する。トナー粒子は、着色剤と離型剤とその他添加剤とを含有していてもよい。
【0037】
-結着樹脂-
結着樹脂は、非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含有する。
非晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、明確な吸熱ピークを示さず、階段状の吸熱変化を示す樹脂をいう。結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを示す樹脂をいう。
具体的には、非晶性樹脂とは、半値幅が10℃を超える樹脂、又は明確な吸熱ピークが認められない樹脂を意味し、結晶性樹脂とは、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃以下である樹脂を意味する。
【0038】
結着樹脂の含有量は、トナー粒子全体に対して、40質量%以上98質量%以下が好ましく、50質量%以上95質量%以下がより好ましく、60質量%以上92質量%以下が更に好ましい。
【0039】
-非晶性樹脂-
非晶性樹脂としては、非晶性ポリエステル樹脂、非晶性ビニル樹脂(例えばスチレンアクリル樹脂等)、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、非晶性ポリエステル樹脂、非晶性ビニル樹脂(中でもスチレンアクリル樹脂)が好ましく、非晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
【0040】
・非晶性ポリエステル樹脂
非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。非晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよく、合成品を使用してもよい。
【0041】
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造を形成しうる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。これらの中でも、多価アルコールとしては、芳香族ジオール、脂環式ジオールが好ましく、芳香族ジオールがより好ましい。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造を形成しうる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上70℃以下がより好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K 7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
【0044】
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上1000000以下が好ましく、7000以上500000以下がより好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上100000以下が好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC-8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM-M(15cm)を使用し、溶媒にテトラヒドロフランを用いる。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
【0045】
非晶性ポリエステル樹脂は、公知の製造方法により得られる。具体的には、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下とし、必要に応じて反応系内を減圧し、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる方法により得られる。
原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と重縮合させるとよい。
【0046】
非晶性ポリエステル樹脂の形態例として、脂肪族ジカルボン酸単位を有する非晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸単位は1種でもよく2種以上でもよい。
【0047】
脂肪族ジカルボン酸単位を与える脂肪族ジカルボン酸は、脂肪族飽和ジカルボン酸及び脂肪族不飽和ジカルボン酸のいずれでもよく、脂肪族飽和ジカルボン酸が好ましい。
脂肪族飽和ジカルボン酸として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の直鎖状のジカルボン酸;メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、2,2-ジメチルコハク酸、2,3-ジメチルコハク酸、テトラメチルコハク酸の分岐状のジカルボン酸;が挙げられる。
脂肪族不飽和ジカルボン酸として、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸等が挙げられる。
【0048】
非晶性ポリエステル樹脂の形態例として、式(1)で表される単位を有する非晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。式(1)で表される単位は1種でもよく2種以上でもよい。
【0049】
【0050】
式(1)においてnは4以上12以下の整数である。nは、4以上11以下の整数であることが好ましく、4以上10以下の整数であることがより好ましく、4以上8以下の整数であることが更に好ましい。
【0051】
非晶性ポリエステル樹脂のうち分子量5000以下の非晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める式(1)で表される単位の質量割合をRL1とし、非晶性ポリエステル樹脂のうち分子量50000以上の非晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める式(1)で表される単位の質量割合をRH1としたとき、0.1≦RL1/RH1≦0.8であることが好ましい。これは、非晶性ポリエステル中の低分子量(分子量5000以下)成分よりも高分子量成分中(分子量50000以上)に、式(1)の単位が多く含まれることを意味している。このことにより、結晶性ポリエステルと非晶性ポリエステルの高分子量成分との親和性が高まり、狙いの構造を得ることができると推測される。
【0052】
RL1/RH1が0.1以上であると、ホットラミネート加工時の画像とラミネートフィルムの接着力が十分な状態となる。
RL1/RH1が0.8以下であると、ホットラミネート加工後の接着力低下が起こりにくい。
上記の観点から、0.15≦RL1/RH1≦0.75であることがより好ましく、0.2≦RL1/RH1≦0.7であることが更に好ましい。
【0053】
-結晶性樹脂-
結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ビニル樹脂(例えば、ポリアルキレン樹脂、長鎖アルキル(メタ)アクリレート樹脂等)などが挙げられる。トナーの機械的強度及び低温定着性の観点から、結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
【0054】
・結晶性ポリエステル樹脂
結晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合体が挙げられる。結晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよく、合成品を使用してもよい。
【0055】
結晶性ポリエステル樹脂は、結晶構造を容易に形成する観点から、芳香環を有する重合性単量体よりも直鎖状脂肪族の重合性単量体を用いた重縮合体が好ましい。
【0056】
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸等の二塩基酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造を形成しうる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価のカルボン酸としては、例えば、芳香族カルボン酸(例えば1,2,3-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸としては、ジカルボン酸と共に、スルホン酸基を有するジカルボン酸、エチレン性二重結合を有するジカルボン酸を併用してもよい。
多価カルボン酸は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0057】
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えば主鎖部分の炭素数が7以上20以下である直鎖型脂肪族ジオール)が挙げられる。脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,14-エイコサンデカンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、脂肪族ジオールとしては、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオールが好ましい。
多価アルコールは、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造を形成しうる3価以上のアルコールを併用してもよい。3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
多価アルコールは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0058】
多価アルコールは脂肪族ジオールを含むことが好ましい。多価アルコールに占める脂肪族ジオールの割合は、80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。
【0059】
結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、50℃以上90℃以下が好ましく、55℃以上88℃以下がより好ましく、60℃以上85℃以下が更に好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
【0060】
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6000以上35000以下が好ましい。
【0061】
結晶性ポリエステル樹脂の形態例として、脂肪族ジカルボン酸単位を有する結晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸単位は1種でもよく2種以上でもよい。
【0062】
脂肪族ジカルボン酸単位を与える脂肪族ジカルボン酸は、脂肪族飽和ジカルボン酸及び脂肪族不飽和ジカルボン酸のいずれでもよく、脂肪族飽和ジカルボン酸が好ましい。
脂肪族飽和ジカルボン酸として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の直鎖状のジカルボン酸;メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、2,2-ジメチルコハク酸、2,3-ジメチルコハク酸、テトラメチルコハク酸の分岐状のジカルボン酸;が挙げられる。
脂肪族不飽和ジカルボン酸として、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸等が挙げられる。
【0063】
結晶性ポリエステル樹脂の形態例として、式(2)で表される単位を有する結晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。式(2)で表される単位は1種でもよく2種以上でもよい。
【0064】
【0065】
式(2)においてmは4以上12以下の整数である。mは、5以上12以下の整数であることが好ましく、6以上11以下の整数であることがより好ましく、8以上10以下の整数であることが更に好ましい。
【0066】
-非晶性樹脂と結晶性樹脂との関係-
トナー粒子に含まれる非晶性樹脂と結晶性樹脂とは、要件(1)及び要件(2)を両方満足させる観点から、下記の形態であることが好ましい。
【0067】
非晶性樹脂と結晶性樹脂の相溶性の観点から、非晶性樹脂が非晶性ポリエステル樹脂を含み、且つ、結晶性樹脂が結晶性ポリエステル樹脂を含むことが好ましい。
非晶性樹脂と結晶性樹脂の相溶性の観点から、非晶性ポリエステル樹脂が脂肪族ジカルボン酸単位を有する非晶性ポリエステル樹脂を含み、且つ、結晶性ポリエステル樹脂が脂肪族ジカルボン酸単位を有する結晶性ポリエステル樹脂を含むことがより好ましい。
非晶性樹脂と結晶性樹脂の相溶性の観点から、非晶性ポリエステル樹脂が式(1)で表される単位を有する非晶性ポリエステル樹脂を含み、且つ、結晶性ポリエステル樹脂が式(2)で表される単位を有する結晶性ポリエステル樹脂を含むことが更に好ましい。
【0068】
上記の形態において、非晶性ポリエステル樹脂が式(1)で表される単位を有する非晶性ポリエステル樹脂を含み、且つ、結晶性ポリエステル樹脂が式(2)で表される単位を有する結晶性ポリエステル樹脂を含むとき、式(1)におけるnと式(2)におけるmとは、異なる整数であることが好ましい。すなわち、式(1)で表される単位と式(2)で表される単位とは、異なる単位であることが好ましい。
【0069】
非晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める式(1)で表される単位の質量割合は、非晶性樹脂と結晶性樹脂の相溶性の観点から、1質量%以上30質量%以下が好ましく、1.5質量%以上25質量%以下がより好ましく、2質量%以上20質量%以下が更に好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める式(2)で表される単位の質量割合は、非晶性樹脂と結晶性樹脂の相溶性の観点から、60質量%以上100質量%以下が好ましく、70質量%以上100質量%以下がより好ましく、80質量%以上100質量%以下が更に好ましい。
【0070】
トナー粒子に含まれる非晶性樹脂の質量割合をWaとし、結晶性樹脂の質量割合をWcとし、Wc/(Wa+Wc)=W1としたとき、0.15≦W1≦0.50であることが好ましい。
W1が0.15以上であると、ホットラミネート加工時の画像とラミネートフィルムの接着力が十分な状態となる。
W1が0.50以下であると、ホットラミネート加工後の接着力低下が起こりにくい。
上記の観点から、0.17≦W1≦0.45であることがより好ましく、0.18≦W1≦0.40であることが更に好ましい。
【0071】
さらに、トナー粒子のテトラヒドロフラン可溶分に含まれる分子量5000以下の樹脂に含まれる非晶性樹脂の質量割合をWaLとし、結晶性樹脂の質量割合をWcLとし、WcL/(WaL+WcL)=W2としたとき、0.1≦W2/W1≦0.8であることが好ましい。これは、結晶性樹脂の分子量分布と非晶性樹脂の分子量分布を比較した際に、非晶性樹脂のほうが相対的に分子量5000以下の成分が多いことを意味している。すなわち、非晶性樹脂の低分子量(分子量5000以下)を調整することにより、徐冷した際に結晶性樹脂と非晶性樹脂の低分子量成分が近接した状態を形成することができると推測される。
【0072】
W2/W1が0.1以上であると、ホットラミネート加工後の接着力低下が起こりにくい。
W2/W1が0.8以下であると、ホットラミネート加工時の画像とラミネートフィルムの接着力が十分な状態となる。
上記の観点から、0.15≦W2/W1≦0.75であることがより好ましく、0.2≦W2/W1≦0.7であることが更に好ましい。
【0073】
トナー粒子に含まれる非晶性ポリエステル樹脂の質量割合をWapとし、結晶性ポリエステル樹脂の質量割合をWcpとし、Wcp/(Wap+Wcp)=W1pとしたとき、0.15≦W1p≦0.50であることが好ましい。
W1pが0.15以上であると、ホットラミネート加工時の画像とラミネートフィルムの接着力が十分な状態となる。
W1pが0.50以下であると、ホットラミネート加工後の接着力低下が起こりにくい。
上記の観点から、0.17≦W1p≦0.45であることがより好ましく、0.18≦W1p≦0.40であることが更に好ましい。
【0074】
さらに、トナー粒子のテトラヒドロフラン可溶分に含まれる分子量5000以下の樹脂に含まれる非晶性ポリエステル樹脂の質量割合をWapLとし、結晶性ポリエステル樹脂の質量割合をWcpLとし、WcpL/(WapL+WcpL)=W2pとしたとき、0.1≦W2p/W1p≦0.8であることが好ましい。
W2p/W1pが0.1以上であると、ホットラミネート加工後の接着力低下が起こりにくい。
W2p/W1pが0.8以下であると、ホットラミネート加工時の画像とラミネートフィルムの接着力が十分な状態となる。
上記の観点から、0.15≦W2p/W1p≦0.75であることがより好ましく、0.2≦W2p/W1p≦0.7であることが更に好ましい。
【0075】
非晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める式(1)で表される単位の質量割合をR1とし、結晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める式(2)で表される単位の質量割合をR2としたとき、0.01≦R1/R2≦0.40であることが好ましい。
R1/R2が0.01以上であると、ホットラミネート加工後の接着力低下が起こりにくい。
R1/R2が0.40以下であると、ホットラミネート加工時の画像とラミネートフィルムの接着力が十分な状態となる。
上記の観点から、0.03≦R1/R2≦0.35であることがより好ましく、0.05≦R1/R2≦0.30であることが更に好ましい。
【0076】
トナー粒子のテトラヒドロフラン(THF)可溶分に含まれる樹脂の分子量測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。
東ソー株式会社製「HLC-8120GPC、SC-8020、6.0mmID×15cm」を2本用い、THFを溶離液に用い、RI検出器を用いる。検量線は、東ソー株式会社製「Polystyrene標準試料TSK standard」:「A-500」、「F-1」、「F-10」、「F-80」、「F-380」、「A-2500」、「F-4」、「F-40」、「F-128」、「F-700」の10サンプルから作製する。
試料は、THF1gにトナー粒子0.5mgを添加し、超音波を印加して、トナー粒子のTHF可溶分を溶解させ調製する。試料注入量10μl、流速0.6ml/min、測定温度40℃でGPCを行う。
【0077】
外添剤を含むトナーからトナー粒子を得る方法として、下記の方法が挙げられる。
ポリオキシアルキレン分岐アルキルエーテル型非イオン界面活性剤(商品名:ノイゲンXL-140、第一工業製薬)0.2質量%水溶液に10質量%となるようにトナーを添加し、30℃以下の温度を保ちながら超音波振動(周波数20kHz、出力30W)を60分間作用させることで外添剤をトナー粒子から遊離させる。トナー粒子及び外添剤が分散した分散液からトナー粒子を濾別し洗浄し、トナー粒子を得る。
【0078】
-樹脂粒子-
トナー粒子は樹脂粒子を含有してもよい。
樹脂粒子を構成する樹脂としては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、スチレン系樹脂(ポリスチレン、αポリメチルスチレン等)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリロニトリル等)、スチレン(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂及びこれらの共重合樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0079】
樹脂粒子を構成する樹脂としては、ポリオレフィン、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン(メタ)アクリル樹脂などのビニル系樹脂が好ましく、スチレン(メタ)アクリル樹脂がより好ましい。すなわち、樹脂粒子は、ビニル系樹脂粒子であることが好ましく、スチレン(メタ)アクリル樹脂粒子であることがより好ましい。
【0080】
樹脂粒子は、結晶性樹脂の分子運動を制御する観点から、架橋樹脂粒子であることが好ましい。トナー中に架橋樹脂粒子が存在することで急冷時に結晶性樹脂が非晶性樹脂の低分子量成分へと移動しにくくなり、発熱量を調整することができる。
「架橋樹脂粒子」とは、原子間に橋掛構造を有する樹脂を含有する樹脂粒子である。架橋樹脂は、例えば、上記の樹脂の架橋物である。
【0081】
架橋樹脂粒子としては、例えば、イオン結合により架橋された架橋樹脂粒子(イオン架橋樹脂粒子)、共有結合により架橋された架橋樹脂粒子(共有結合架橋樹脂粒子)等が挙げられる。架橋樹脂粒子としては、共有結合により架橋された架橋樹脂粒子が好ましい。
【0082】
樹脂を架橋する架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族の多ビニル化合物;フタル酸ジビニル、イソフタル酸ジビニル、テレフタル酸ジビニル、ホモフタル酸ジビニル、トリメシン酸ジビニル、トリメシン酸トリビニル、ナフタレンジカルボン酸ジビニル、ビフェニルカルボン酸ジビニル等の芳香族多価カルボン酸の多ビニルエステル類;ピリジンジカルボン酸ジビニル等の含窒素芳香族化合物のジビニルエステル類;ピロムチン酸ビニル、フランカルボン酸ビニル、ピロール-2-カルボン酸ビニル、チオフェンカルボン酸ビニル等の不飽和複素環化合物カルボン酸のビニルエステル類;ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート等の直鎖多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2-ヒドロキシ-1、3-ジアクリロキシプロパン等の分枝置換多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類、コハク酸ジビニル、フマル酸ジビニル、マレイン酸ビニル、マレイン酸ジビニル、ジグリコール酸ジビニル、イタコン酸ビニル、イタコン酸ジビニル、アセトンジカルボン酸ジビニル、グルタル酸ジビニル、3,3’-チオジプロピオン酸ジビニル、trans-アコニット酸ジビニル、trans-アコニット酸トリビニル、アジピン酸ジビニル、ピメリン酸ジビニル、スベリン酸ジビニル、アゼライン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、ドデカン二酸ジビニル、ブラシル酸ジビニル等の多価カルボン酸の多ビニルエステル類;などが挙げられる。架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0083】
樹脂を架橋する架橋剤としては、多官能(メタ)アクリレートが好ましく、二官能(メタ)アクリレートがより好ましく、下記の式(A)で表される化合物、式(B)で表される化合物及び式(C)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の二官能(メタ)アクリレートが更に好ましい。すなわち、架橋樹脂は、下記の式(A)で表される化合物、式(B)で表される化合物及び式(C)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の二官能(メタ)アクリレートに由来する架橋構造を有することが好ましい。
【0084】
【0085】
式(A)において、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、nは4以上20以下の整数である。
式(B)において、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、pは2以上4以下の整数であり、qは2以上20以下の整数である。
式(C)において、R5及びR6はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、rは2以上20以下の整数である。
【0086】
式(A)においてnは4以上20以下の整数であり、4以上18以下の整数であることが好ましく、4以上16以下の整数であることがより好ましく、6以上14以下の整数であることが更に好ましい。
架橋点間の距離を適度に長くする観点(つまり架橋密度を適度に低くする観点)から、nが上記の範囲であることが好ましい。
【0087】
式(B)においてpは2以上4以下の整数である。
式(B)においてqは2以上20以下の整数であり、3以上18以下の整数であることが好ましく、3以上16以下の整数であることがより好ましく、4以上14以下の整数であることが更に好ましい。
架橋点間の距離を適度に長くする観点(つまり架橋密度を適度に低くする観点)から、p及びqがそれぞれ上記の範囲であることが好ましい。
【0088】
式(C)においてrは2以上20以下の整数であり、2以上18以下の整数であることが好ましく、3以上16以下の整数であることがより好ましい。
架橋点間の距離を適度に長くする観点(つまり架橋密度を適度に低くする観点)から、rが上記の範囲であることが好ましい。
【0089】
式(A)で表される化合物として、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,16-ヘキサデカンジオール ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0090】
式(B)で表される化合物として、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0091】
式(C)で表される化合物として、例えば、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0092】
架橋樹脂粒子としては、適度な粘弾性を有する観点から、ビニル系樹脂の架橋物で構成された架橋ビニル系樹脂粒子が好ましい。架橋ビニル系樹脂としては、スチレン(メタ)アクリル樹脂の架橋物が好ましい。すなわち、架橋樹脂粒子としては、架橋スチレン(メタ)アクリル樹脂粒子がより好ましい。
【0093】
スチレン(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、下記のスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体をラジカル重合によって重合した樹脂が挙げられる。
【0094】
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルナフタレン;2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-エチルスチレン、3-エチルスチレン、4-エチルスチレン等のアルキル置換スチレン;2-クロロスチレン、3-クロロスチレン、4-クロロスチレン等のハロゲン置換スチレン;4-フルオロスチレン、2,5-ジフルオロスチレン等のフッ素置換スチレン;などが挙げられる。スチレン系単量体としては、スチレン、α-メチルスチレンが好ましい。スチレン系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0095】
(メタ)アクリル酸系単量体としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸n-ラウリル、(メタ)アクリル酸n-テトラデシル、(メタ)アクリル酸n-ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n-オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸イソヘプチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ビフェニル、(メタ)アクリル酸ジフェニルエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルフェニル、(メタ)アクリル酸ターフェニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t-ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸2-カルボキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-カルボキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-カルボキシブチル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。(メタ)アクリル酸系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0096】
(メタ)アクリル酸系単量体としては、(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルが好ましい。(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルにおいて「低級アルキル」とは炭素数1以上5以下を意味し、「低級アルキル」は炭素数2以上4以下が好ましく、炭素数3又は4がより好ましい。
(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル等が挙げられる。中でも(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチルが好ましく、(メタ)アクリル酸n-ブチルが特に好ましい。
【0097】
スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体の重合比(質量基準、スチレン系単量体:(メタ)アクリル酸系単量体)は、5:95~90:10が好ましく、10:90~85:15がより好ましく、20:80~80:20が更に好ましい。
【0098】
架橋スチレン(メタ)アクリル樹脂を構成する架橋剤としては、多官能(メタ)アクリレートが好ましく、二官能(メタ)アクリレートがより好ましく、式(A)で表される化合物及び式(B)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の二官能(メタ)アクリレートが更に好ましい。すなわち、架橋スチレン(メタ)アクリル樹脂は、式(A)で表される化合物及び式(B)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の二官能(メタ)アクリレートに由来する架橋構造を有することが好ましい。
【0099】
架橋樹脂粒子の平均粒径は、50nm以上800nm以下が好ましく、60nm以上500nm以下がより好ましく、65nm以上350nm以下が更に好ましい。
【0100】
架橋樹脂粒子の平均粒径は、下記の方法で測定する。
トナーをエポキシ樹脂に混合して包埋し、エポキシ樹脂を固化する。ウルトラミクロトーム装置により厚さ80nm以上130nm以下の薄片試料を作製する。薄片試料を30℃のデシケータ内で四酸化オスミウムにより3時間染色する。超高分解能電界放出型走査電子顕微鏡(S-4800、日立ハイテクノロジーズ社)にて、染色された薄片試料のSEM画像を得る。染色度合いに起因する濃淡によって各成分を識別する。試料の状態などにより濃淡が判別しにくい場合は、染色時間を調整する。
SEM画像を画像解析ソフトWinRoof(三谷商事株式会社)で解析する。SEM画像内から長径がトナー粒子の体積平均粒径の85%以上であるトナー粒子断面を選択し、架橋樹脂粒子を観察する。架橋樹脂粒子の円相当径を架橋樹脂粒子の粒径とする。複数のトナー粒子における300個の架橋樹脂粒子について粒径測定を行い、その算術平均を平均粒径(nm)とする。トナー粒子の体積平均粒径の測定方法は後述のとおりである。
【0101】
トナー粒子に占める架橋樹脂粒子の質量割合は、1質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
架橋樹脂粒子の質量割合が1質量%以上であると、ホットラミネート加工時の画像とラミネートフィルムの接着力が十分な状態となる。
架橋樹脂粒子の質量割合が30質量%以下であると、ホットラミネート加工後の接着力低下が起こりにくい。
上記の観点から、架橋樹脂粒子の質量割合は、2質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。
【0102】
[着色剤]
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレート等の顔料;アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系等の染料;チタン化合物、シリカ等の無機顔料;が挙げられる。
【0103】
着色剤は、可視光領域に吸収を有する物質に限定されない。着色剤は、例えば、近赤外領域に吸収を有する物質でもよく、蛍光着色剤でもよい。
近赤外領域に吸収を有する着色剤として、アミニウム塩系化合物、ナフタロシアニン系化合物、スクアリリウム系化合物、クロコニウム系化合物等が挙げられる。
蛍光着色剤として、特開2021-127431号公報の段落0027に記載された蛍光着色剤が挙げられる。
【0104】
着色剤は、光輝性を有する着色剤でもよい。光輝性を有する着色剤として、アルミニウム、黄銅、青銅、ニッケル、ステンレス、亜鉛等の金属粉末;酸化チタン又は黄色酸化鉄を被覆した雲母;硫酸バリウム、層状ケイ酸塩、層状アルミニウムのケイ酸塩等の被覆薄片状無機結晶基質;単結晶板状酸化チタン、塩基性炭酸塩、オキシ塩化ビスマス、天然グアニン、薄片状ガラス粉、金属蒸着した薄片状ガラス粉;などが挙げられる。
【0105】
着色剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。
【0106】
本実施形態においてトナー粒子は、着色剤を含有してもよく、着色剤を含有しなくてもよい。本実施形態に係るトナーは、トナー粒子に着色剤を含有しないトナー、いわゆる透明トナーであってもよい。
【0107】
本実施形態においてトナー粒子が着色剤を含有する場合、着色剤の含有量は、トナー粒子全体に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0108】
[離型剤]
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
【0109】
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
【0110】
離型剤の含有量は、トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0111】
トナー粒子に含まれる結晶性ポリエステル樹脂の含有量をWcpとし、離型剤の含有量をWwとしたとき、1.5≦Wcp/Ww≦5.0であることが好ましい。
Wcp/Wwが1.5以上であると、ホットラミネート加工時の画像とラミネートフィルムの接着力が十分な状態となる。
Wcp/Wwが5.0以下であると、ホットラミネート加工後の接着力低下が起こりにくい。
上記の観点から、1.7≦Wcp/Ww≦4.5であることがより好ましく、1.8≦Wcp/Ww≦4.2であることが更に好ましい。
【0112】
[その他の添加剤]
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の公知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
【0113】
[トナー粒子の特性等]
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂と必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯部と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
【0114】
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)は、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用い、電解液はISOTON-II(ベックマン・コールター社製)を使用して測定される。測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5質量%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。サンプリングする粒子数は50000個である。
【0115】
トナー粒子の平均円形度は、0.94以上1.00以下が好ましく、0.95以上0.98以下がより好ましい。
【0116】
トナー粒子の平均円形度は、(円相当周囲長)/(周囲長)[(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)]により求められる。具体的には、次の方法で測定される値である。
測定対象となるトナー粒子を吸引採取し、扁平な流れを形成させ、瞬時にストロボ発光させることにより静止画像として粒子像を取り込み、その粒子像を画像解析するフロー式粒子像解析装置(シスメックス社製のFPIA-3000)によって求める。平均円形度を求める際のサンプリング数は3500個とする。
トナーが外添剤を有する場合、界面活性剤を含む水中に、測定対象となるトナー(現像剤)を分散させた後、超音波処理を行って外添剤を除去したトナー粒子を得る。
【0117】
[外添剤]
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられる。無機粒子として、SiO2、TiO2、Al2O3、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、Fe2O3、MgO、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O・(TiO2)n、Al2O3・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4等が挙げられる。
【0118】
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量は、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
【0119】
外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
【0120】
外添剤としては無機粒子が好ましい。無機粒子は、ホットラミネート加工の際に、画像に含まれる結晶性樹脂の結晶化を促進する作用を有する。
【0121】
無機粒子の粒径は、画像の表面に存在してホットラミネート加工の際に結晶性樹脂の結晶化を促進する観点から、トナー粒子に埋没しにくく且つ記録媒体に移行しやすい粒径であることが好ましい。この観点から、無機粒子の平均粒径は、50nm以上300nm以下が好ましく、55nm以上250nm以下がより好ましく、60nm以上200nm以下が更に好ましい。無機粒子を2種以上使用する場合には、少なくとも1種の平均粒径が上記の範囲を満足することが好ましい。
【0122】
無機粒子の外添量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上8.0質量部以下が好ましく、0.5質量部以上7.0質量部以下がより好ましく、1.0質量部以上6.0質量部以下が更に好ましい。
【0123】
外添剤としてはシリカ粒子がより好ましい。
シリカ粒子は、乾式シリカでもよく、湿式シリカでもよい。
乾式シリカとしては、シラン化合物を燃焼させて得られる燃焼法シリカ(ヒュームドシリカ);金属ケイ素粉を爆発的に燃焼させて得られる爆燃法シリカ;が挙げられる。
湿式シリカとしては、珪酸ナトリウムと鉱酸との中和反応によって得られる湿式シリカ(アルカリ条件で合成・凝集した沈降法シリカ、酸性条件で合成・凝集したゲル法シリカ粒子);酸性珪酸をアルカリ性にして重合することで得られるコロイダルシリカ;有機シラン化合物(例えばアルコキシシラン)の加水分解によって得られるゾルゲルシリカ;が挙げられる。
シリカ粒子としては、円形度が比較的高い観点から、ゾルゲルシリカが好ましい。
【0124】
シリカ粒子の表面は、疎水化処理が施されていることが好ましい。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、シラザン化合物等が挙げられる。
【0125】
シリカ粒子の粒径は、画像の表面に存在してホットラミネート加工の際に結晶性樹脂の結晶化を促進する観点から、トナー粒子に埋没しにくく且つ記録媒体に移行しやすい粒径であることが好ましい。この観点から、シリカ粒子の平均粒径は、50nm以上300nm以下が好ましく、55nm以上250nm以下がより好ましく、60nm以上200nm以下が更に好ましい。
【0126】
シリカ粒子の外添量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上8.0質量部以下が好ましく、0.5質量部以上7.0質量部以下がより好ましく、1.0質量部以上6.0質量部以下が更に好ましい。
【0127】
[トナーの製造方法]
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に外添剤を外添することで得られる。
【0128】
トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば、凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。これらの製法に制限はなく、公知の製法が採用される。これらの中でも、凝集合一法によりトナー粒子を得ることがよい。
【0129】
具体的には、例えば、トナー粒子を凝集合一法により製造する場合、
非晶性樹脂粒子が分散した非晶性樹脂粒子分散液と、結晶性樹脂粒子が分散した結晶性樹脂粒子分散液と、架橋樹脂粒子が分散した架橋樹脂粒子分散液とを準備する工程(樹脂粒子分散液準備工程)と、
非晶性樹脂粒子分散液と結晶性樹脂粒子分散液と架橋樹脂粒子分散液とを混合した分散液中で(必要に応じて他の粒子分散液を混合した後の分散液中で)、非晶性樹脂粒子と結晶性樹脂粒子と架橋樹脂粒子と(必要に応じて他の粒子と)を凝集させ、凝集粒子を形成する工程(凝集粒子形成工程)と、
凝集粒子が分散した凝集粒子分散液を加熱し、凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を形成する工程(融合・合一工程)と、を経て、トナー粒子を製造する。
【0130】
以下、各工程の詳細について説明する。
以下の説明では、着色剤及び離型剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、着色剤及び離型剤は必要に応じて用いられるものである。無論、着色剤及び離型剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
【0131】
-樹脂粒子分散液準備工程-
非晶性樹脂粒子分散液は、例えば、非晶性樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。結晶性樹脂粒子分散液は、例えば、結晶性樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
【0132】
樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0133】
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。界面活性剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0134】
樹脂粒子分散液において、樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等の一般的な分散方法が挙げられる。樹脂粒子の種類によっては、転相乳化法によって分散媒に樹脂粒子を分散させてもよい。転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて中和したのち、水系媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへ転相を行い、樹脂を水系媒体中に粒子状に分散する方法である。
【0135】
樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.04μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.06μm以上0.6μm以下が更に好ましい。
樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製LA-700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
【0136】
樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の含有量は、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
【0137】
要件(1)及び要件(2)を両方満足させる手段として、非晶性樹脂粒子分散液を2種類以上用意することが好ましい。
例えば、非晶性樹脂の重量平均分子量が互いに異なる2種類の非晶性樹脂粒子分散液、非晶性樹脂を構成する単量体の種類が互いに異なる2種類の非晶性樹脂粒子分散液、樹脂粒子の平均粒径が互いに異なる2種類の非晶性樹脂粒子分散液を用意する。
【0138】
樹脂粒子分散液と同様にして、例えば、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液も調製される。つまり、樹脂粒子分散液における粒子の体積平均粒径、分散媒、分散方法、及び粒子の含有量に関しては、着色剤粒子分散液中に分散する着色剤粒子、及び離型剤粒子分散液中に分散する離型剤粒子についても同様である。
【0139】
架橋樹脂粒子分散液の調製方法としては、例えば、乳化重合法、バンバリーミキサー又はニーダーを用いる溶融混練法、懸濁重合法、噴霧乾燥法などの公知の方法が適用される。中でも、乳化重合法が好ましい。乳化重合は複数回に分けて行うことが好ましい。
【0140】
架橋樹脂粒子分散液の調製方法は、
単量体、架橋剤、界面活性剤及び水を含む乳化液を得る工程(乳化液調製工程)と、
乳化液に重合開始剤を添加し、次いで加熱して単量体を重合する工程(第一乳化重合工程)と、
第一乳化重合工程後の反応溶液に単量体及び架橋剤を含む乳化液を追加し、次いで加熱して単量体を重合する工程(第二乳化重合工程)と、を含むことが好ましい。
【0141】
・乳化液調製工程
単量体、架橋剤、界面活性剤及び水を乳化機により乳化することで乳化液を得ることが好ましい。乳化機としては、例えば、プロペラ型、アンカー型、パドル型又はタービン型の攪拌羽根を備えた回転式攪拌機、スタティックミキサー等の静止型混合機、ホモジナイザー、クレアミックス等のローター・ステーター型乳化機、磨砕機能を備えたミル型乳化機、マントンゴーリン式圧力乳化機等の高圧乳化機、高圧下でキャビテーションを発生させる高圧ノズル型乳化機、マイクロフルイダイザー等の高圧下で液同士を衝突させることによりせん断力を与える高圧衝突型乳化機、超音波でキャビテーションを発生させる超音波乳化機、細孔を通して均一乳化を行う膜乳化機等が例示される。
【0142】
単量体としてはスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体を用いることが好ましい。架橋剤としては、多官能(メタ)アクリレートが好ましく、二官能(メタ)アクリレートがより好ましく、式(A)で表される化合物及び式(B)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の二官能(メタ)アクリレートが更に好ましい。
【0143】
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。これらの中でも、アニオン界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0144】
乳化液は連鎖移動剤を含んでいてもよい。連鎖移動剤としては、例えば、チオール成分を有する化合物が挙げられる。具体的には、ヘキシルメルカプタン、ヘプチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類が好ましい。
【0145】
・第一乳化重合工程
乳化液に重合開始剤を添加し、次いで加熱して単量体を重合する工程である。
重合開始剤としては、過硫酸アンモニウムを用いることが好ましい。
【0146】
単量体を重合する際、重合開始剤を含んだ乳化液(反応溶液)を攪拌機により攪拌することが好ましい。攪拌機としては、プロペラ型、アンカー型、パドル型、又はタービン型の攪拌羽根を備えた回転式攪拌機が挙げられる。
【0147】
・第二乳化重合工程
第一乳化重合工程後の反応溶液に単量体を含む乳化液を追加し、次いで加熱することで単量体を重合する工程である。追加する乳化液は、単量体、界面活性剤及び水を乳化機により乳化して得ることが好ましい。重合する際、第一乳化重合工程と同様に反応溶液を攪拌することが好ましい。
【0148】
-凝集粒子形成工程-
非晶性樹脂粒子分散液と、結晶性樹脂粒子分散液と、架橋樹脂粒子分散液と、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液とを混合する。そして、混合分散液中で、非晶性樹脂粒子と結晶性樹脂粒子と架橋樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ、目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ凝集粒子を形成する。
【0149】
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpH2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、非晶性樹脂粒子のガラス転移温度に近い温度(具体的には、例えば、非晶性樹脂粒子のガラス転移温度-30℃以上ガラス転移温度-10℃以下)に加熱し、混合分散液に分散している粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する。凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpH2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、加熱を行ってもよい。
【0150】
非晶性樹脂粒子分散液を2種類以上用いる場合、例えば、これらの混合順及び/又は混合量比を調整することで、要件(1)及び要件(2)を満足させることができる。
【0151】
凝集剤を添加する際における混合分散液の温度を調整することで、得られるトナー粒子における架橋樹脂粒子の分散状態を制御してもよい。例えば、混合分散液の温度を低くすることで、架橋樹脂粒子の分散性が良好となる。混合分散液の温度としては、例えば、5℃以上40℃以下の範囲が挙げられる。
【0152】
凝集剤を添加した後の攪拌速度を調整することで、得られるトナー粒子における架橋樹脂粒子の分散状態を制御してもよい。例えば、凝集剤を添加した後の攪拌速度を速くすることで、架橋樹脂粒子の分散性が良好となる。
【0153】
凝集剤としては、例えば、混合分散液に含まれる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。凝集剤として金属錯体を用いた場合には、界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
凝集剤と共に、該凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
【0154】
無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩;ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体;などが挙げられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸;イミノ二酸酢(IDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のアミノカルボン酸;などが挙げられる。
キレート剤の添加量は、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
【0155】
-融合・合一工程-
次に、凝集粒子が分散した凝集粒子分散液を、例えば、非晶性樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば非晶性樹脂粒子のガラス転移温度より10℃から30℃高い温度)に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
【0156】
以上の工程を経て、トナー粒子が得られる。
凝集粒子分散液を得た後、凝集粒子分散液に非晶性樹脂粒子分散液を混合し、凝集粒子の表面に非晶性樹脂粒子を付着するように凝集させて、第2凝集粒子を形成する工程と、第2凝集粒子が分散した第2凝集粒子分散液を加熱し、第2凝集粒子を融合・合一して、コア・シェル構造のトナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
【0157】
第2凝集粒子を形成する工程において非晶性樹脂粒子分散液を2種類以上用いる場合、例えば、これらの混合順及び/又は混合量比を調整することで、要件(1)及び要件(2)を満足させることができる。
【0158】
融合・合一工程終了後、分散液中のトナー粒子に、公知の洗浄工程、固液分離工程、及び乾燥工程を施して乾燥した状態のトナー粒子を得る。洗浄工程は、帯電性の観点から、イオン交換水による置換洗浄を充分に施すことがよい。固液分離工程は、生産性の観点から、吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。乾燥工程は、生産性の観点から、凍結乾燥、気流乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
【0159】
そして、本実施形態に係るトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等によって行うことがよい。必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
【0160】
<静電荷像現像剤>
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーを少なくとも含む。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアとを混合した二成分現像剤であってもよい。
【0161】
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散して配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;などが挙げられる。
磁性粉分散型キャリア及び樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、この表面を樹脂で被覆したキャリアであってもよい。
【0162】
磁性粉としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属;フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物;などが挙げられる。
【0163】
被覆用の樹脂及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、スチレンアクリル酸エステル共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。被覆用の樹脂及びマトリックス樹脂には、導電性粒子等、その他添加剤を含ませてもよい。導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
【0164】
芯材の表面を樹脂で被覆するには、被覆用の樹脂、及び各種添加剤(必要に応じて使用する)を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する樹脂の種類や、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法;被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法;芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法;ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、その後に溶剤を除去するニーダーコーター法;等が挙げられる。
【0165】
二成分現像剤におけるトナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
【0166】
<画像形成装置、画像形成方法>
本実施形態に係る画像形成装置及び画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を備える。そして、静電荷像現像剤として、本実施形態に係る静電荷像現像剤が適用される。
【0167】
本実施形態に係る画像形成装置では、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、本実施形態に係る静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法(本実施形態に係る画像形成方法)が実施される。
【0168】
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー画像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー画像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー画像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置;等の公知の画像形成装置が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置が中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
【0169】
本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、現像手段を含む部分が、画像形成装置に着脱するカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、現像手段を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
【0170】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。以下の説明においては、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0171】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づく、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジであってもよい。
【0172】
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの上方には、各ユニットを通して中間転写ベルト(中間転写体の一例)20が延設されている。中間転写ベルト20は、駆動ロール22及び支持ロール24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行するようになっている。支持ロール24は、図示しないバネ等により駆動ロール22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ロール22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段の一例)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナーの供給がなされる。
【0173】
第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成及び動作を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。
【0174】
第1のユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ロール(帯電手段の一例)2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段の一例)3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段の一例)4Y、現像したトナー画像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール5Y(一次転写手段の一例)、及び一次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)6Yが順に配置されている。
一次転写ロール5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。各ユニットの一次転写ロール5Y、5M、5C、5Kには、一次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各一次転写ロールに印加する転写バイアスの値を変える。
【0175】
以下、第1のユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。
まず、動作に先立って、帯電ロール2Yによって感光体1Yの表面が-600V乃至-800Vの電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(例えば20℃における体積抵抗率1×10-6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂の抵抗)であるが、レーザ光線が照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3からレーザ光線3Yを照射する。それにより、イエローの画像パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
【0176】
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転する。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによってトナー画像として現像され可視化される。
【0177】
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体の一例)上に保持されている。感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー画像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー画像が予め定められた一次転写位置へ搬送される。
【0178】
感光体1Y上のイエロートナー画像が一次転写位置へ搬送されると、一次転写ロール5Yに一次転写バイアスが印加され、感光体1Yから一次転写ロール5Yに向う静電気力がトナー画像に作用し、感光体1Y上のトナー画像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と逆極性の(+)極性であり、第1のユニット10Yでは制御部(図示せず)によって例えば+10μAに制御されている。
感光体1Y上に残留したトナーは感光体クリーニング装置6Yで除去されて回収される。
【0179】
第2のユニット10M以降の一次転写ロール5M、5C、5Kに印加される一次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエローのトナー画像が転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー画像が重ねられて多重転写される。
【0180】
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー画像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と、中間転写ベルトの内面に接する支持ロール24と、中間転写ベルト20の像保持面側に配置された二次転写ロール(二次転写手段の一例)26とから構成された二次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体の一例)Pが供給機構を介して二次転写ロール26と中間転写ベルト20とが接触した隙間に予め定められたタイミングで給紙され、二次転写バイアスが支持ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と同極性の(-)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー画像に作用し、中間転写ベルト20上のトナー画像が記録紙P上に転写される。この際の二次転写バイアスは二次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0181】
この後、記録紙Pは定着装置(定着手段の一例)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれ、トナー画像が記録紙P上へ定着され、定着画像が形成される。
【0182】
トナー画像を転写する記録紙Pとしては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙が挙げられる。記録媒体としては、記録紙P以外にも、OHPシート等も挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録紙Pの表面も平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
【0183】
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
【0184】
<プロセスカートリッジ、トナーカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
【0185】
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、上記構成に限られず、現像手段と、その他、必要に応じて、例えば、像保持体、帯電手段、静電荷像形成手段、及び転写手段等のその他手段から選択される少なくとも一つと、を備える構成であってもよい。
【0186】
以下、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示すが、これに限定されるわけではない。以下の説明においては、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0187】
図2は、本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
図2に示すプロセスカートリッジ200は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、感光体107(像保持体の一例)と、感光体107の周囲に備えられた帯電ロール108(帯電手段の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
図2中、109は露光装置(静電荷像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
【0188】
次に、本実施形態に係るトナーカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るトナーカートリッジは、本実施形態に係るトナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。トナーカートリッジは、画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための補給用のトナーを収容するものである。
【0189】
図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kが着脱される構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。トナーカートリッジ内に収容されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。
【実施例0190】
以下、実施例により発明の実施形態を詳細に説明するが、発明の実施形態は、これら実施例に限定されるものではない。
以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
合成、処理、製造などは、特に断りのない限り、室温(25℃±3℃)で行った。
【0191】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-1)の調製]
・テレフタル酸 :49モル部
・アジピン酸 : 1モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を190℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を240℃まで上げ、240℃を維持して3時間脱水縮合反応を継続した後、反応物(1-1)を冷却した。
反応物(1-1)を溶融状態のまま、キャビトロンCD1010(ユーロテック社製)に毎分100gの速度で移送した。同時に、別途用意した0.37%アンモニア水溶液を、熱交換器で120℃に加熱しながら、毎分0.1リットルの速度でキャビトロンCD1010に移送した。回転子の回転速度60Hz、圧力5kg/cm2の条件でキャビトロンCD1010を運転し、樹脂粒子分散液を得た。樹脂粒子分散液にイオン交換水を加え、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-1)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-1)における樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は14000であった。
【0192】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-2)の調製]
・テレフタル酸 :21モル部
・イソフタル酸 :25モル部
・アジピン酸 : 4モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を190℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を240℃まで上げ、240℃を維持して2.5時間脱水縮合反応を継続した後、反応物(1-2)を冷却した。
反応物(1-2)を用いて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-1)の調製と同様にして、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-2)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-2)における樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は9000であった。
【0193】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-3)の調製]
・テレフタル酸 :48モル部
・セバシン酸 : 2モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を190℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を240℃まで上げ、240℃を維持して3時間脱水縮合反応を継続した後、反応物(1-3)を冷却した。
反応物(1-3)を用いて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-1)の調製と同様にして、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-3)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-3)における樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は11000であった。
【0194】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-4)の調製]
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-1)の調製において、脱水縮合反応の温度を240℃から230℃に変更した以外は同様にして、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-4)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-4)における樹脂粒子の体積平均粒径は150nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は7800であった。
【0195】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-5)の調製]
・テレフタル酸 :48モル部
・セバシン酸 : 1モル部
・無水トリメリット酸 : 1モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を190℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を240℃まで上げ、240℃を維持して3.5時間脱水縮合反応を継続した後、反応物(1-5)を冷却した。
反応物(1-5)を用いて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-1)の調製と同様にして、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-5)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-5)における樹脂粒子の体積平均粒径は170nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は18500であった。
【0196】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-6)の調製]
・テレフタル酸 :30モル部
・イソフタル酸 :19.5モル部
・スベリン酸 : 0.5モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を190℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を240℃まで上げ、240℃を維持して3時間脱水縮合反応を継続した後、反応物(1-6)を冷却した。
反応物(1-6)を用いて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-1)の調製と同様にして、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-6)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-6)における樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は13000であった。
【0197】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-7)の調製]
・テレフタル酸 :45モル部
・スベリン酸 : 5モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を190℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を240℃まで上げ、240℃を維持して3時間脱水縮合反応を継続した後、反応物(1-7)を冷却した。
反応物(1-7)を用いて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-1)の調製と同様にして、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-7)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-7)における樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は13000であった。
【0198】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-8)の調製]
・テレフタル酸 :30モル部
・イソフタル酸 :20モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:40モル部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 :10モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を190℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を240℃まで上げ、240℃を維持して3時間脱水縮合反応を継続した後、反応物(1-8)を冷却した。
反応物(1-8)を用いて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-1)の調製と同様にして、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-8)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-8)における樹脂粒子の体積平均粒径は150nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は10600であった。
【0199】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-9)の調製]
・テレフタル酸 :49モル部
・グルタル酸 : 1モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を190℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を240℃まで上げ、240℃を維持して3.5時間脱水縮合反応を継続した後、反応物(1-9)を冷却した。
反応物(1-9)を用いて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-1)の調製と同様にして、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-9)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-9)における樹脂粒子の体積平均粒径は165nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は14500であった。
【0200】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-10)の調製]
・テレフタル酸 :49モル部
・ヘキサデカン二酸 : 1モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を190℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を240℃まで上げ、240℃を維持して3時間脱水縮合反応を継続した後、反応物(1-10)を冷却した。
反応物(1-10)を用いて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-1)の調製と同様にして、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-10)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-10)における樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は12500であった。
【0201】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-11)の調製]
・テレフタル酸 :49.9モル部
・セバシン酸 : 0.1モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を190℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を235℃まで上げ、235℃を維持して4時間脱水縮合反応を継続した後、反応物(1-11)を冷却した。
反応物(1-11)を用いて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-1)の調製と同様にして、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-11)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-11)における樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は13600であった。
【0202】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-12)の調製]
・テレフタル酸 :41モル部
・スベリン酸 : 9モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を190℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を240℃まで上げ、240℃を維持して3時間脱水縮合反応を継続した後、反応物(1-12)を冷却した。
反応物(1-12)を用いて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-1)の調製と同様にして、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-12)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-12)における樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は12800であった。
【0203】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-13)の調製]
・テレフタル酸 :40モル部
・スベリン酸 :10モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を190℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を240℃まで上げ、240℃を維持して3時間脱水縮合反応を継続した後、反応物(1-13)を冷却した。
反応物(1-13)を用いて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-1)の調製と同様にして、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-13)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-13)における樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は11200であった。
【0204】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-1)の調製]
・テレフタル酸 :38モル部
・アジピン酸 :10モル部
・無水トリメリット酸 : 2モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を190℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を240℃まで上げ、240℃を維持して3時間脱水縮合反応を継続した後、反応物(1-2)を冷却した。
反応物(1-2)を溶融状態のまま、キャビトロンCD1010(ユーロテック社製)に毎分100gの速度で移送した。同時に、別途用意した0.37%アンモニア水溶液を、熱交換器で120℃に加熱しながら、毎分0.1リットルの速度でキャビトロンCD1010に移送した。回転子の回転速度60Hz、圧力5kg/cm2の条件でキャビトロンCD1010を運転し、樹脂粒子分散液を得た。樹脂粒子分散液にイオン交換水を加え、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-1)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-1)における樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は65000であった。
【0205】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-2)の調製]
・テレフタル酸 :29モル部
・イソフタル酸 : 4モル部
・アジピン酸 :15モル部
・無水トリメリット酸 : 2モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を190℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を240℃まで上げ、240℃を維持して3時間脱水縮合反応を継続した後、反応物(2-2)を冷却した。
反応物(2-2)を用いて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-1)の調製と同様にして、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-2)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-2)における樹脂粒子の体積平均粒径は170nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は71000であった。
【0206】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-3)の調製]
・テレフタル酸 :36モル部
・セバシン酸 :12モル部
・無水トリメリット酸 : 2モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を190℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を240℃まで上げ、240℃を維持して3時間脱水縮合反応を継続した後、反応物(2-3)を冷却した。
反応物(2-3)を用いて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-1)の調製と同様にして、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-3)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-2)における樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は62000であった。
【0207】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-4)の調製]
・テレフタル酸 :26モル部
・イソフタル酸 :10モル部
・スベリン酸 :11モル部
・無水トリメリット酸 : 3モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を190℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を240℃まで上げ、240℃を維持して3.5時間脱水縮合反応を継続した後、反応物(2-4)を冷却した。
反応物(2-4)を用いて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-1)の調製と同様にして、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-4)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-4)における樹脂粒子の体積平均粒径は165nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は78000であった。
【0208】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-5)の調製]
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-4)の調製において、脱水縮合反応の温度を240℃から235℃に変更した以外は同様にして、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-5)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-5)における樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は71000であった。
【0209】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-6)の調製]
・テレフタル酸 :40モル部
・スベリン酸 : 8モル部
・無水トリメリット酸 : 2モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を190℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を240℃まで上げ、240℃を維持して3時間脱水縮合反応を継続した後、反応物(2-6)を冷却した。
反応物(2-6)を用いて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-1)の調製と同様にして、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-6)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-6)における樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は54000であった。
【0210】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-7)の調製]
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-6)の調製において、脱水縮合反応の温度を240℃から235℃に変更した以外は同様にして、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-7)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-7)における樹脂粒子の体積平均粒径は150nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は48000であった。
【0211】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-8)の調製]
・テレフタル酸 :38モル部
・イソフタル酸 :10モル部
・無水トリメリット酸 : 2モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を190℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を240℃まで上げ、240℃を維持して3時間脱水縮合反応を継続した後、反応物(2-8)を冷却した。
反応物(2-8)を用いて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-1)の調製と同様にして、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-8)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-8)における樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は64000であった。
【0212】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-9)の調製]
・テレフタル酸 :38モル部
・グルタル酸 :10モル部
・無水トリメリット酸 : 2モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を190℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を240℃まで上げ、240℃を維持して3時間脱水縮合反応を継続した後、反応物(2-9)を冷却した。
反応物(2-9)を用いて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-1)の調製と同様にして、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-9)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-9)における樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は59000であった。
【0213】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-10)の調製]
・テレフタル酸 :38モル部
・ヘキサデカン二酸 :10モル部
・無水トリメリット酸 : 2モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を190℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を240℃まで上げ、240℃を維持して3時間脱水縮合反応を継続した後、反応物(2-10)を冷却した。
反応物(2-10)を用いて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-1)の調製と同様にして、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-10)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-10)における樹脂粒子の体積平均粒径は150nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は51000であった。
【0214】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-11)の調製]
・テレフタル酸 :47.5モル部
・セバシン酸 : 0.5モル部
・無水トリメリット酸 : 2モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を190℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を240℃まで上げ、240℃を維持して3時間脱水縮合反応を継続した後、反応物(2-11)を冷却した。
反応物(2-11)を用いて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-1)の調製と同様にして、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-11)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-11)における樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は66000であった。
【0215】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-12)の調製]
・テレフタル酸 :47モル部
・セバシン酸 : 1モル部
・無水トリメリット酸 : 2モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を190℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を240℃まで上げ、240℃を維持して3時間脱水縮合反応を継続した後、反応物(2-12)を冷却した。
反応物(2-12)を用いて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-1)の調製と同様にして、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-12)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-12)における樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は60000であった。
【0216】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-13)の調製]
・テレフタル酸 :31モル部
・セバシン酸 :17モル部
・無水トリメリット酸 : 2モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を190℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を240℃まで上げ、240℃を維持して3.5時間脱水縮合反応を継続した後、反応物(2-13)を冷却した。
反応物(2-13)を用いて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-1)の調製と同様にして、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-13)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-13)における樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は69000であった。
【0217】
[非晶性スチレンアクリル樹脂分散液(A)の調製]
・スチレン :75質量部
・アクリル酸n-ブチル :24質量部
・β-カルボキシエチルアクリレート: 1質量部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌を行った。上記材料100部に対してアニオン界面活性剤(ダウ・ケミカル社製ダウファックス2a1)1.5部及びイオン交換水48.5部の混合溶液を混合容器に加え、攪拌し、乳化液(1)を得た。
攪拌装置及び窒素導入管を備えた反応容器に、アニオン界面活性剤(ダウ・ケミカル社製ダウファックス)2部及びイオン交換水90部を添加し、攪拌を行った。乳化液(1)を5部加え、さらに濃度10%過硫酸アンモニウム水溶液1部を添加した。反応容器内を窒素置換し、反応溶液を攪拌しながらオイルバスで加熱し、反応溶液の温度を80℃とし、30分間攪拌した。さらに反応容器に乳化液(1)を145部添加し、反応溶液の温度を80℃に保ちつつ3時間攪拌した。次いで、室温に冷却して、分散液にイオン交換水を加え、固形分量20%の非晶性スチレンアクリル樹脂粒子分散液(A)を得た。非晶性スチレンアクリル樹脂粒子分散液(A)における樹脂粒子の体積平均粒径は200nmであり、非晶性スチレンアクリル樹脂の重量平均分子量は18000であった。
【0218】
[非晶性スチレンアクリル樹脂分散液(B)の調製]
・スチレン :71.8質量部
・アクリル酸n-ブチル :27質量部
・1,6-ヘキサンジオールジアクリレート: 0.2質量部
・β-カルボキシエチルアクリレート : 1質量部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌を行った。上記材料100部に対してアニオン界面活性剤(ダウ・ケミカル社製ダウファックス2a1)1.5部及びイオン交換水48.5部の混合溶液を混合容器に加え、攪拌し、乳化液(1)を得た。
攪拌装置及び窒素導入管を備えた反応容器に、アニオン界面活性剤(ダウ・ケミカル社製ダウファックス)2部及びイオン交換水90部を添加し、攪拌を行った。乳化液(1)を5部加え、さらに濃度10%過硫酸アンモニウム水溶液1部を添加した。反応容器内を窒素置換し、反応溶液を攪拌しながらオイルバスで加熱し、反応溶液の温度を80℃とし、30分間攪拌した。さらに反応容器に乳化液(1)を145部添加し、反応溶液の温度を80℃に保ちつつ3時間攪拌した。次いで、室温に冷却して、分散液にイオン交換水を加え、固形分量20%の非晶性スチレンアクリル樹脂粒子分散液(B)を得た。非晶性スチレンアクリル樹脂粒子分散液(B)における樹脂粒子の体積平均粒径は200nmであり、非晶性スチレンアクリル樹脂の重量平均分子量は61000であった。
【0219】
[結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)の調製]
・1,10-ドデカン二酸 :50モル部
・1,6-ヘキサンジオール:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を160℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド0.8部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を180℃まで上げ、180℃を維持して5時間攪拌し、かつ、還流して反応を進行させた。次いで、減圧下(3kPa)において230℃まで徐々に温度を上げ、230℃を維持して2時間攪拌を行った。次いで、反応物を冷却した。冷却後、固液分離を行い、固形物を乾燥させ、結晶性ポリエステル樹脂(1)を得た。
【0220】
・結晶性ポリエステル樹脂(1):100部
・メチルエチルケトン : 40部
・イソプロパノール : 30部
・10%アンモニア水溶液 : 6部
コンデンサー、温度計、水滴下装置及びアンカー翼を備えたジャケット付き反応槽に上記の材料を投入し、水循環式恒温槽にて液温を80℃に維持しながら、100rpmで攪拌混合しつつ樹脂を溶解させた。次いで、水循環式恒温槽を50℃に設定し、50℃に保温されたイオン交換水を10部/分の速度で合計400部滴下し転相させて、乳化液を得た。得られた乳化液576部とイオン交換水500部とをナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーターにセットした。ナスフラスコを回転させながら60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した。溶剤回収量が750部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して分散液を得た。分散液にイオン交換水を加えて、固形分量20%の結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)を得た。結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)における樹脂粒子の体積平均粒径は180nmであり、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は32000であった。
【0221】
[結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2)の調製]
・セバシン酸 :50モル部
・1,6-ヘキサンジオール:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を160℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド0.8部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を180℃まで上げ、180℃を維持して5時間攪拌し、かつ、還流して反応を進行させた。次いで、減圧下(3kPa)において230℃まで徐々に温度を上げ、230℃を維持して2時間攪拌を行った。次いで、反応物を冷却した。冷却後、固液分離を行い、固形物を乾燥させ、結晶性ポリエステル樹脂(2)を得た。
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)の調製において、結晶性ポリエステル樹脂(1)を結晶性ポリエステル樹脂(2)に変更した以外は同様にして、固形分量20%の結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2)を得た。結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2)における樹脂粒子の体積平均粒径は150nmであり、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は22000であった。
【0222】
[結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(3)の調製]
・セバシン酸 :50モル部
・1,9-ノナンジオール :50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を160℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド0.8部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を180℃まで上げ、180℃を維持して5時間攪拌し、かつ、還流して反応を進行させた。次いで、減圧下(3kPa)において230℃まで徐々に温度を上げ、230℃を維持して2時間攪拌を行った。次いで、反応物を冷却した。冷却後、固液分離を行い、固形物を乾燥させ、結晶性ポリエステル樹脂(3)を得た。
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)の調製において、結晶性ポリエステル樹脂(1)を結晶性ポリエステル樹脂(3)に変更した以外は同様にして、固形分量20%の結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(3)を得た。結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(3)における樹脂粒子の体積平均粒径は170nmであり、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は39000であった。
【0223】
[結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(4)の調製]
・1,10-ドデカン二酸 :50モル部
・1,6-ヘキサンジオール:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を160℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド0.8部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を180℃まで上げ、180℃を維持して5時間攪拌し、かつ、還流して反応を進行させた。次いで、減圧下(3kPa)において220℃まで徐々に温度を上げ、220℃を維持して2.5時間攪拌を行った。次いで、反応物を冷却した。冷却後、固液分離を行い、固形物を乾燥させ、結晶性ポリエステル樹脂(4)を得た。
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)の調製において、結晶性ポリエステル樹脂(1)を結晶性ポリエステル樹脂(4)に変更した以外は同様にして、固形分量20%の結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(4)を得た。結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(4)における樹脂粒子の体積平均粒径は140nmであり、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は17000であった。
【0224】
[結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(5)の調製]
・1,10-ドデカン二酸 :50モル部
・1,6-ヘキサンジオール:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を160℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド0.8部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を180℃まで上げ、180℃を維持して5時間攪拌し、かつ、還流して反応を進行させた。次いで、減圧下(3kPa)において225℃まで徐々に温度を上げ、225℃を維持して2時間攪拌を行った。次いで、反応物を冷却した。冷却後、固液分離を行い、固形物を乾燥させ、結晶性ポリエステル樹脂(5)を得た。
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)の調製において、結晶性ポリエステル樹脂(1)を結晶性ポリエステル樹脂(5)に変更した以外は同様にして、固形分量20%の結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(5)を得た。結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(5)における樹脂粒子の体積平均粒径は150nmであり、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は19000であった。
【0225】
[結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(6)の調製]
・1,10-ドデカン二酸 :50モル部
・1,6-ヘキサンジオール:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を160℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド0.8部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を180℃まで上げ、180℃を維持して5時間攪拌し、かつ、還流して反応を進行させた。次いで、減圧下(3kPa)において230℃まで徐々に温度を上げ、230℃を維持して3.5時間攪拌を行った。次いで、反応物を冷却した。冷却後、固液分離を行い、固形物を乾燥させ、結晶性ポリエステル樹脂(6)を得た。
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)の調製において、結晶性ポリエステル樹脂(1)を結晶性ポリエステル樹脂(6)に変更した以外は同様にして、固形分量20%の結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(6)を得た。結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(6)における樹脂粒子の体積平均粒径は180nmであり、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は52000であった。
【0226】
[結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(7)の調製]
・1,10-ドデカン二酸 :50モル部
・1,6-ヘキサンジオール:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を160℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド0.8部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を180℃まで上げ、180℃を維持して5時間攪拌し、かつ、還流して反応を進行させた。次いで、減圧下(3kPa)において235℃まで徐々に温度を上げ、235℃を維持して2.5時間攪拌を行った。次いで、反応物を冷却した。冷却後、固液分離を行い、固形物を乾燥させ、結晶性ポリエステル樹脂(7)を得た。
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)の調製において、結晶性ポリエステル樹脂(1)を結晶性ポリエステル樹脂(7)に変更した以外は同様にして、固形分量20%の結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(7)を得た。結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(7)における樹脂粒子の体積平均粒径は190nmであり、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は55000であった。
【0227】
[結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(8)の調製]
・テレフタル酸 :50モル部
・1,9-ノナンジオール:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を160℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド0.8部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を180℃まで上げ、180℃を維持して5時間攪拌し、かつ、還流して反応を進行させた。次いで、減圧下(3kPa)において230℃まで徐々に温度を上げ、230℃を維持して2時間攪拌を行った。次いで、反応物を冷却した。冷却後、固液分離を行い、固形物を乾燥させ、結晶性ポリエステル樹脂(8)を得た。
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)の調製において、結晶性ポリエステル樹脂(1)を結晶性ポリエステル樹脂(8)に変更した以外は同様にして、固形分量20%の結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(8)を得た。結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(8)における樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであり、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は26000であった。
【0228】
[結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(9)の調製]
・グルタル酸 :50モル部
・1,6-ヘキサンジオール:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を160℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド0.8部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を180℃まで上げ、180℃を維持して5時間攪拌し、かつ、還流して反応を進行させた。次いで、減圧下(3kPa)において230℃まで徐々に温度を上げ、230℃を維持して2時間攪拌を行った。次いで、反応物を冷却した。冷却後、固液分離を行い、固形物を乾燥させ、結晶性ポリエステル樹脂(9)を得た。
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)の調製において、結晶性ポリエステル樹脂(1)を結晶性ポリエステル樹脂(9)に変更した以外は同様にして、固形分量20%の結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(9)を得た。結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(9)における樹脂粒子の体積平均粒径は170nmであり、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は26000であった。
【0229】
[結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(10)の調製]
・ヘキサデカン二酸 :50モル部
・1,6-ヘキサンジオール:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を160℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド0.8部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を180℃まで上げ、180℃を維持して5時間攪拌し、かつ、還流して反応を進行させた。次いで、減圧下(3kPa)において230℃まで徐々に温度を上げ、230℃を維持して2時間攪拌を行った。次いで、反応物を冷却した。冷却後、固液分離を行い、固形物を乾燥させ、結晶性ポリエステル樹脂(10)を得た。
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)の調製において、結晶性ポリエステル樹脂(1)を結晶性ポリエステル樹脂(10)に変更した以外は同様にして、固形分量20%の結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(10)を得た。結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(10)における樹脂粒子の体積平均粒径は175nmであり、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は28000であった。
【0230】
[結晶性ビニル樹脂粒子分散液(A)の調製]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、および窒素吹き込み管を備えた反応容器に、トルエン500部を仕込み、別のガラス製ビーカーに、トルエン350部、ベヘニルアクリレート 150部、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)7.5部を仕込み、20℃で撹拌、混合して単量体溶液を調製し、滴下ロートに仕込んだ。反応容器の気相部の窒素置換を行った後に密閉下80℃で2時間かけて単量体溶液を滴下し、滴下終了から2時間、85℃で熟成した後、トルエンを130℃で3時間減圧除去して、結晶性ビニル樹脂(A)を得た
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)の調製において、結晶性ポリエステル樹脂(1)を結晶性ビニル樹脂(A)に変更した以外は同様にして、固形分量20%の結晶性ビニル樹脂粒子分散液(A)を得た。結晶性ビニル樹脂粒子分散液(A)における樹脂粒子の体積平均粒径は190nmであり、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は48000であった。
【0231】
[架橋樹脂粒子分散液(1)の調製]
・スチレン :50質量部
・アクリル酸n-ブチル :48質量部
・テトラエチレングリコールジアクリレート: 2質量部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌を行った。上記材料100部に対してアニオン界面活性剤(ダウ・ケミカル社製ダウファックス2a1)1.5部及びイオン交換水48.5部の混合溶液を混合容器に加え、攪拌し、乳化液(1)を得た。
【0232】
攪拌装置及び窒素導入管を備えた反応容器に、アニオン界面活性剤(ダウ・ケミカル社製ダウファックス)2部及びイオン交換水90部を添加し、攪拌を行った。乳化液(1)を3部加え、さらに濃度10%過硫酸アンモニウム水溶液3部を添加した。反応容器内を窒素置換し、反応溶液を攪拌しながらオイルバスで加熱し、反応溶液の温度を70℃とし、反応溶液の温度を保ちつつ50分間攪拌した。次いで、反応容器に乳化液(1)を145部添加し、反応溶液を攪拌しながらオイルバスで加熱し、反応溶液の温度を75℃とした。反応溶液の温度を保ちつつ3時間攪拌した後、室温に冷却して、分散液にイオン交換水を加え、固形分量20%の架橋樹脂粒子分散液(1)を得た。架橋樹脂粒子分散液(1)における樹脂粒子の体積平均粒径は140nmであった。
【0233】
[架橋樹脂粒子分散液(2)の調製]
・スチレン :50質量部
・アクリル酸n-ブチル :48質量部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 2質量部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌を行った。上記材料100部に対してアニオン界面活性剤(ダウ・ケミカル社製ダウファックス2a1)1.5部及びイオン交換水48.5部の混合溶液を混合容器に加え、攪拌し、乳化液(2)を得た。
架橋樹脂粒子分散液(1)の調製において、乳化液(1)を乳化液(2)に変更した以外は同様にして、固形分量20%の架橋樹脂粒子分散液(2)を得た。架橋樹脂粒子分散液(2)における樹脂粒子の体積平均粒径は150nmであった。
【0234】
[架橋樹脂粒子分散液(3)の調製]
・スチレン :50質量部
・アクリル酸n-ブチル :48質量部
・トリエチレングリコールジメタクリレート: 2質量部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌を行った。上記材料100部に対してアニオン界面活性剤(ダウ・ケミカル社製ダウファックス2a1)1.5部及びイオン交換水48.5部の混合溶液を混合容器に加え、攪拌し、乳化液(3)を得た。
架橋樹脂粒子分散液(1)の調製において、乳化液(1)を乳化液(3)に変更した以外は同様にして、固形分量20%の架橋樹脂粒子分散液(3)を得た。架橋樹脂粒子分散液(3)における樹脂粒子の体積平均粒径は150nmであった。
【0235】
[着色剤粒子分散液の調製]
・C.I.Pigment Blue 15:3(大日精化工業): 70部
・アニオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬) : 5部
・イオン交換水 :200部
上記の材料を混合し、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)を用いて10分間分散した。分散液にイオン交換水を加え、固形分量20%の着色剤粒子分散液(1)を得た。着色剤粒子分散液(1)における着色剤粒子の体積平均粒径は170nmであった。
【0236】
[離型剤粒子分散液の調製]
・フィッシャートロプシュワックス(融点90℃、商品名FNP0090、日本精蝋)
: 50部
・アニオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬) : 1部
・イオン交換水 :150部
上記の材料を混合して95℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)を用いて分散した。さらにマントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で分散処理し、分散液にイオン交換水を加え、固形分量20%の離型剤粒子分散液(1)を得た。離型剤粒子分散液(1)における離型剤粒子の体積平均粒径は180nmであった。
【0237】
<実施例1>
[トナー粒子(1)の製造]
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-1)(固形分量20%):20部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-1)(固形分量20%):20部
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)(固形分量20%) :18部
・架橋樹脂粒子分散液(1)(固形分量20%) : 5部
・着色剤粒子分散液(1)(固形分量20%) : 6部
・離型剤粒子分散液(1)(固形分量20%) : 6部
・アニオン性界面活性剤(ペレックスSS-L、花王) :0.3部
・イオン交換水 :50部
温度計、pH計及び攪拌機を備えた反応容器に上記の材料を入れ、マントルヒーターで外部から温度30℃に加温し、回転数150rpmで攪拌しながら30分間保持した。次いで、0.3N硝酸水溶液を添加しpHを3.0に調整した後、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)で分散しながら3%ポリ塩化アルミニウム水溶液を添加した。次いで、攪拌しながら0.2℃/分で45℃まで昇温し30分間保持した。次いで、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-1)(固形分量20%)12.5部と非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-1)(固形分量20%)12.5部を追加し1時間保持した。次いで、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8.5に調整し15分間保持した後、攪拌を継続しながら1℃/分で85℃まで加熱し、85℃を保ったまま5時間保持した。次いで、冷却、固液分離、固形物の洗浄及び乾燥を順次行い、体積平均粒径4.8μmのトナー粒子(1)を得た。
【0238】
[トナー及び現像剤の製造]
トナー粒子100部と、疎水化処理したゾルゲルシリカ粒子(平均粒径130nm)1.6部とを、へンシェルミキサーで混合しトナー(1)を得た。トナー(1)8部と下記のキャリア100部とを混合して現像剤(1)を得た。
【0239】
・フェライト粒子(平均粒径50μm) :100部
・トルエン : 14部
・スチレン/メチルメタクリレート共重合体(共重合比15/85): 3部
・カーボンブラック :0.2部
フェライト粒子を除く上記成分をサンドミルにて分散して分散液を調製し、この分散液をフェライト粒子とともに真空脱気型ニーダに入れ、攪拌しながら減圧し乾燥させることによりキャリアを得た。
【0240】
<実施例2~44>
表1-1等に記載した材料を用いて、実施例1と同様にしてトナー(2)~(44)及び現像剤(2)~(44)を作製した。
【0241】
<比較例1>
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-14)の調製]
・テレフタル酸 :43モル部
・ドデセニルコハク酸 : 7モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を190℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を240℃まで上げ、240℃を維持して3時間脱水縮合反応を継続した後、反応物を冷却した。
反応物を溶融状態のまま、キャビトロンCD1010(ユーロテック社製)に毎分100gの速度で移送した。同時に、別途用意した0.37%アンモニア水溶液を、熱交換器で120℃に加熱しながら、毎分0.1リットルの速度でキャビトロンCD1010に移送した。回転子の回転速度60Hz、圧力5kg/cm2の条件でキャビトロンCD1010を運転し、樹脂粒子分散液を得た。樹脂粒子分散液にイオン交換水を加え、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-14)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-14)における樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は14000であった。
【0242】
[非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-14)の調製]
・テレフタル酸 :44モル部
・ドデセニルコハク酸 : 5モル部
・無水トリメリット酸 : 1モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を190℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を240℃まで上げ、240℃を維持して3時間脱水縮合反応を継続した後、反応物を冷却した。
反応物を溶融状態のまま、キャビトロンCD1010(ユーロテック社製)に毎分100gの速度で移送した。同時に、別途用意した0.37%アンモニア水溶液を、熱交換器で120℃に加熱しながら、毎分0.1リットルの速度でキャビトロンCD1010に移送した。回転子の回転速度60Hz、圧力5kg/cm2の条件でキャビトロンCD1010を運転し、樹脂粒子分散液を得た。樹脂粒子分散液にイオン交換水を加え、固形分量20%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-14)を得た。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-14)における樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであり、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は65000であった。
【0243】
[トナー粒子(41)の製造]
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-14)(固形分量20%):20部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-14)(固形分量20%):20部
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)(固形分量20%) :18部
・着色剤粒子分散液(1)(固形分量20%) : 6部
・離型剤粒子分散液(1)(固形分量20%) : 6部
・アニオン性界面活性剤(ペレックスSS-L、花王) :0.3部
・イオン交換水 :50部
温度計、pH計及び攪拌機を備えた反応容器に上記の材料を入れ、マントルヒーターで外部から温度30℃に加温し、回転数150rpmで攪拌しながら30分間保持した。次いで、0.3N硝酸水溶液を添加しpHを3.0に調整した後、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)で分散しながら3%ポリ塩化アルミニウム水溶液を添加した。次いで、攪拌しながら0.2℃/分で45℃まで昇温し30分間保持した。次いで、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-14)(固形分量20%)15部と非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-14)(固形分量20%)15部を追加し1時間保持した。次いで、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8.5に調整し15分間保持した後、攪拌を継続しながら1℃/分で85℃まで加熱し、85℃を保ったまま5時間保持した。次いで、冷却、固液分離、固形物の洗浄及び乾燥を順次行い、体積平均粒径4.8μmのトナー粒子(41)を得た。
【0244】
[トナー及び現像剤の製造]
トナー粒子(41)を用いて、実施例1と同様にしてトナー(45)及び現像剤(45)を製造した。
【0245】
<比較例2>
[ソルビタン酸ステアレート分散液の調製]
・ソルビタンモノステアレート(富士フイルム和光純薬): 50部
・アニオン性界面活性剤(ペレックスSS-H、花王) : 1部
・イオン交換水 :150部
上記の材料を混合して80℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)を用いて分散した。さらにマントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で分散処理し、分散液にイオン交換水を加え、固形分量20%のソルビタン酸ステアレート分散液を得た。ソルビタン酸ステアレート分散液(1)におけるソルビタン酸ステアレート粒子の体積平均粒径は280nmであった。
【0246】
[トナー粒子(42)の製造]
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-14)(固形分量20%):20部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-14)(固形分量20%):20部
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)(固形分量20%) :18部
・着色剤粒子分散液(1)(固形分量20%) : 6部
・離型剤粒子分散液(1)(固形分量20%) : 6部
・アニオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬) :0.3部
・イオン交換水 :50部
温度計、pH計及び攪拌機を備えた反応容器に上記の材料を入れ、マントルヒーターで外部から温度30℃に加温し、回転数150rpmで攪拌しながら30分間保持した。次いで、0.3N硝酸水溶液を添加しpHを3.0に調整した後、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)で分散しながら3%ポリ塩化アルミニウム水溶液を添加した。次いで、ソルビタン酸ステアレート分散液0.5部を添加した。次いで、攪拌しながら0.2℃/分で45℃まで昇温し30分間保持した。次いで、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1-14)(固形分量20%)14.5部と非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2-14)(固形分量20%)15部を追加し1時間保持した。次いで、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8.5に調整し15分間保持した後、攪拌を継続しながら1℃/分で85℃まで加熱し、85℃を保ったまま5時間保持した。次いで、冷却、固液分離、固形物の洗浄及び乾燥を順次行い、体積平均粒径4.8μmのトナー粒子(42)を得た。
【0247】
[トナー及び現像剤の製造]
トナー粒子(42)を用いて、実施例1と同様にしてトナー(46)及び現像剤(46)を製造した。
【0248】
<性能評価>
電子写真方式の画像形成装置の現像器に各実施例又は各比較例の現像剤を入れた。コート紙(OSコートW、坪量127g/m2、富士フイルムビジネスイノベーション株式会社)に、トナー載り量12g/m2の全面ベタ画像(ただし紙の外縁に2mmの余白あり)を形成した。
ラミネート装置(PLB―R2A32、ナカバヤシ株式会社)及びラミネートフィルム(LPR-A4E2-15、ナカバヤシ株式会社)を用いて、画像を形成したコート紙をホットラミネート加工した。ホットラミネート加工の際にコート紙及びラミネートフィルムに印加される温度を110℃以上140℃以下の範囲に設定した。
【0249】
[評価1]
ラミネート加工物を温度25℃の環境に24時間静置した。次いで、剥離試験機(ストログラフVG、株式会社東洋精機製作所)にラミネート加工物の先端部を固定し、90度剥離試験を行った。ラミネートフィルムの剥離に要する力(N)を測定し、最大値を下記のとおり分類した。
A:2.0N以上
B:2.0N未満、1.5N以上
C:1.5N未満、1.0N以上
D:1.0N未満
【0250】
[評価2]
30℃から速度1℃/分で75℃まで昇温し、75℃に120分間保持し、75℃から速度1℃/分で30℃まで降温する熱サイクルを、ラミネート加工物に5回施した。次いで、剥離試験機(ストログラフVG、株式会社東洋精機製作所)にラミネート加工物の先端部を固定し、90度剥離試験を行った。ラミネートフィルムの剥離に要する力(N)を測定し、最大値を下記のとおり分類した。
A:2.0N以上
B:2.0N未満、1.5N以上
C:1.5N未満、1.0N以上
D:1.0N未満
【0251】
表1-1等にトナー製造の材料を示し、表2-1等にトナーの物性及び評価結果を示す。
【0252】
【0253】
【0254】
【0255】
【0256】
【0257】
【0258】
【0259】
【0260】
本開示の静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法には、下記の態様が含まれる。
【0261】
(((1)))
非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含む結着樹脂を含有するトナー粒子であって、下記の要件(1)及び要件(2)を満足するトナー粒子を含む、
静電荷像現像用トナー。
要件(1):下記の熱過程(1)にて示差走査熱量測定を行ったとき、再昇温の期間の温度30℃以上70℃以下の領域における発熱ピークの合計発熱量が0.5J/g超である。
要件(2):下記の熱過程(2)にて示差走査熱量測定を行ったとき、再昇温の期間の温度30℃以上70℃以下の領域における発熱ピークの合計発熱量が0.5J/g以下である。
熱過程(1):速度10℃/分で0℃から150℃まで昇温し、次いで速度50℃/分で150℃から0℃まで降温し、次いで速度10℃/分で0℃から150℃まで再昇温する。
熱過程(2):速度10℃/分で0℃から150℃まで昇温し、次いで速度1℃/分で150℃から0℃まで降温し、次いで速度10℃/分で0℃から150℃まで再昇温する。
(((2)))
前記要件(1)における前記発熱ピークの合計発熱量が2.0J/g以上15.0J/g以下である、(((1)))に記載の静電荷像現像用トナー。
(((3)))
前記トナー粒子に含まれる前記非晶性樹脂の質量割合をWaとし、前記結晶性樹脂の質量割合をWcとし、Wc/(Wa+Wc)=W1としたとき、0.15≦W1≦0.50である、
(((1)))又は(((2)))に記載の静電荷像現像用トナー。
(((4)))
前記トナー粒子のテトラヒドロフラン可溶分に含まれる分子量5000以下の樹脂に含まれる前記非晶性樹脂の質量割合をWaLとし、前記結晶性樹脂の質量割合をWcLとし、WcL/(WaL+WcL)=W2としたとき、0.1≦W2/W1≦0.8である、
(((3)))に記載の静電荷像現像用トナー。
(((5)))
前記非晶性樹脂が非晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記非晶性ポリエステル樹脂が、式(1)で表される単位を有する非晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記非晶性ポリエステル樹脂のうち分子量5000以下の非晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める式(1)で表される単位の質量割合をRL1とし、前記非晶性ポリエステル樹脂のうち分子量50000以上の非晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める式(1)で表される単位の質量割合をRH1としたとき、0.1≦RL1/RH1≦0.8である、
(((1)))~(((4)))のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(((6)))
前記非晶性樹脂が非晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記結晶性樹脂が結晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記非晶性ポリエステル樹脂が、脂肪族ジカルボン酸単位を有する非晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記結晶性ポリエステル樹脂が、脂肪族ジカルボン酸単位を有する結晶性ポリエステル樹脂を含む、
(((1)))~(((5)))のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(((7)))
前記非晶性樹脂が非晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記結晶性樹脂が結晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記非晶性ポリエステル樹脂が、式(1)で表される単位を有する非晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記結晶性ポリエステル樹脂が、式(2)で表される単位を有する結晶性ポリエステル樹脂を含む、
(((1)))~(((6)))のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(((8)))
前記非晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める式(1)で表される単位の質量割合が1質量%以上30質量%以下であり、
前記結晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める式(2)で表される単位の質量割合が60質量%以上100質量%以下である、
(((7)))に記載の静電荷像現像用トナー。
(((9)))
前記非晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める式(1)で表される単位の質量割合をR1とし、前記結晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める式(2)で表される単位の質量割合をR2としたとき、0.01≦R1/R2≦0.40である、
(((7)))又は(((8)))に記載の静電荷像現像用トナー。
(((10)))
前記トナー粒子がさらに架橋樹脂粒子を含有し、
前記トナー粒子に占める前記架橋樹脂粒子の質量割合が1質量%以上30質量%以下である、
(((1)))~(((9)))のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(((11)))
前記トナー粒子がさらに離型剤を含有し、
前記結晶性樹脂が結晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記トナー粒子に含まれる前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量をWcpとし、前記離型剤の含有量をWwとしたとき、1.5≦Wcp/Ww≦5.0である、
(((1)))~(((10)))のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(((12)))
前記トナー粒子に外添された無機粒子をさらに含み、
前記無機粒子の平均粒径が50nm以上300nm以下である、
(((1)))~(((11)))のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
【0262】
(((13)))
(((1)))~(((12)))のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
(((14)))
(((1)))~(((12)))のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
(((15)))
(((13)))に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
(((16)))
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
(((13)))に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
(((17)))
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
(((13)))に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
【0263】
(((1)))、(((6)))、(((7)))又は(((12)))に係る発明によれば、要件(1)及び要件(2)の一方又は両方を満足しないトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーに比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成する静電荷像現像用トナーが提供される。
(((2)))に係る発明によれば、要件(1)における発熱ピークの合計発熱量が2.0J/g未満又は15.0J/g超である場合に比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成する静電荷像現像用トナーが提供される。
(((3)))に係る発明によれば、W1が0.15未満又は0.50超である場合に比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成する静電荷像現像用トナーが提供される。
(((4)))に係る発明によれば、W2/W1が0.1未満又は0.8超である場合に比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成する静電荷像現像用トナーが提供される。
(((5)))に係る発明によれば、RL1/RH1が0.1未満又は0.8超である場合に比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成する静電荷像現像用トナーが提供される。
(((8)))に係る発明によれば、非晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める式(1)で表される単位の質量割合が1質量%未満又は30質量%超である場合または結晶性ポリエステル樹脂全体の全ジカルボン酸単位に占める式(2)で表される単位の質量割合が60質量%未満又は100質量%超である場合に比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成する静電荷像現像用トナーが提供される。
(((9)))に係る発明によれば、R1/R2が0.01未満又は0.40超である場合に比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成する静電荷像現像用トナーが提供される。
(((10)))に係る発明によれば、トナー粒子に占める架橋樹脂粒子の質量割合が1質量%未満又は30質量%超である場合に比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成する静電荷像現像用トナーが提供される。
(((11)))に係る発明によれば、Wcp/Wwが1.5未満又は5.0超である場合に比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成する静電荷像現像用トナーが提供される。
【0264】
(((13)))に係る発明によれば、要件(1)及び要件(2)の一方又は両方を満足しないトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤に比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成する静電荷像現像剤が提供される。
(((14)))に係る発明によれば、要件(1)及び要件(2)の一方又は両方を満足しないトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーを収容するトナーカートリッジに比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成するトナーカートリッジが提供される。
(((15)))に係る発明によれば、要件(1)及び要件(2)の一方又は両方を満足しないトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤を収容するプロセスカートリッジに比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成するプロセスカートリッジが提供される。
(((16)))に係る発明によれば、要件(1)及び要件(2)の一方又は両方を満足しないトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤を収容する画像形成装置に比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成する画像形成装置が提供される。
(((17)))に係る発明によれば、要件(1)及び要件(2)の一方又は両方を満足しないトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤を用いる画像形成方法に比べて、画像を形成しホットラミネート加工した記録媒体を温度変化のある環境に置いたときにラミネートフィルムの接着力が低下しにくい画像を形成する画像形成方法が提供される。