(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007693
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】力布の固定構造およびこれを備えた車両用シート
(51)【国際特許分類】
B60R 21/207 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
B60R21/207
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108933
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 聖吾
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054AA07
3D054AA21
3D054DD15
3D054FF17
(57)【要約】
【課題】力布を取り付ける際の作業性を向上させることができ、また、コスト低減にも寄与しうる力布の固定構造およびこれを備えた車両用シートを提供する。
【解決手段】エアバッグ装置を備えた車両用シートにおける力布10,20の固定構造であって、車両用シートのシートフレーム102に固定されるエアバッグモジュールと、シートフレーム102とともにエアバッグモジュールを取り囲み、膨張するエアバッグをシート表面のエアバッグ出口に案内する第1力布10および第2力布20と、第1力布10のエアバッグ出口側とは反対側の第1端部10tに設けられた被係合部11と、第2力布20のエアバッグ出口側とは反対側の第2端部20tに設けられた、被係合部11を差し込み可能な差込口23を含み、差し込み後に姿勢を変えた被係合部11を係合させる係合部22と、を備える固定構造である。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアバッグ装置を備えた車両用シートにおける力布の固定構造であって、
前記車両用シートのシートフレームに固定されるエアバッグモジュールと、
前記シートフレームとともに前記エアバッグモジュールを取り囲み、膨張するエアバッグをシート表面のエアバッグ出口に案内する第1力布および第2力布と、
前記第1力布の前記エアバッグ出口側とは反対側の第1端部に設けられた被係合部と、
前記第2力布の前記エアバッグ出口側とは反対側の第2端部に設けられた、前記被係合部を差し込み可能な差込口を含み、差し込み後に姿勢を変えた前記被係合部を係合させる係合部と、
を備える、力布の固定構造。
【請求項2】
前記被係合部は、剛性を有する被差込部材を含む、請求項1に記載の力布の固定構造。
【請求項3】
前記被差込部材は略矩形である、請求項2に記載に記載の力布の固定構造。
【請求項4】
前記被差込部材は、前記第1力布に対しT字形となる状態で前記第1端部に取り付けられている、請求項3に記載に記載の力布の固定構造。
【請求項5】
前記係合部の前記差込口はスリット状に形成されている、請求項1に記載の力布の固定構造。
【請求項6】
前記差込口は、前記第2力布の幅方向に延びるように形成されている、請求項5に記載の力布の固定構造。
【請求項7】
前記差込口の周囲が補強縫いされている、請求項5に記載の力布の固定構造。
【請求項8】
前記被係合部を前記係合部に係合させた状態で前記第1端部と前記第2端部の少なくとも一方を前記シートフレームに固定する固定部材をさらに含む、請求項1に記載の力布の固定構造。
【請求項9】
前記被係合部に、前記固定部材が係止する被固定部が設けられている、請求項8に記載の力布の固定構造。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の力布の固定構造を備えた車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力布の固定構造およびこれを備えた車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シートにおいて、車両が衝突等した際、エアバッグモジュールのガス発生手段を作動させて乗員の上体とサイドドアとの間にサイドエアバッグを膨張、展開させるサイドエアバッグ装置が利用されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このようなサイドエアバッグ装置はシート内部のドア側もしくは車両中央側の側部に配置されていて、エアバッグモジュールが作動した場合に、内部に収納されているエアバッグが膨張し、シートパッドやトリムカバー(シートカバー)を破ってシート外部へ飛び出すように構成されている。エアバッグモジュールが適切に機能するには、シートの所定部位に設けられているエアバッグ出口からエアバッグが飛び出すことが必要である。そこで、エアバッグがエアバッグ出口106’から確実に飛び出るようにするべく、エアバッグモジュールとエアバッグ出口106’とを繋ぎ、膨張するエアバッグをエアバッグ出口106’に案内する力布10’,20’がシート内部に設けられている(
図10~
図12参照)。力布10’,20’は、典型的にはエアバッグモジュール202’とシートパッド104’との間に配置され、力布10’,20’の端部は、固定部材300’を介してシートフレーム102’に固定される。
【0004】
かかる力布10’,20’を固定するための構造の代表的なものに、袋構造(いわゆる袋タイプ)と板金構造(いわゆる板金タイプ)とがある。袋構造は、2枚の力布10’,20’のそれぞれの端部をシートフレーム102’に固定して袋状にしてからシートパッド104’やエアバッグモジュール202’を取り付けるというもので、部品点数が少なく低コストではあるが、シートパッド104’を押し広げるようにしながら袋状にした力布10’,20’の間にエアバッグモジュール202’を設置するといった場合の作業がかなり煩雑であり、作業性に劣る。この点、板金構造は、先にエアバッグモジュール202’をシートフレーム102’に固定してから力布10’,20’を被せ、力布10’,20’の端部に設けられた板金310’,320’をリベット303’やボルトで固定するというもので、エアバッグモジュール202’の設置という点からすればきわめて作業性に優れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のごとき利点を有する板金構造は、板金構造自体の重量や板金取付時の作業性といった点においてなお改善の余地が認められる。すなわち、2枚の力布10’,20’の端部それぞれに板金310’,320’を設けた構造とすると重量が嵩みやすく、コスト高となりやすくもある。また、2つの板金310’,320’を片手で押さえながらリベット303’を打つといった実際の取付作業は決して簡単なものではない。
【0007】
そこで、本発明は、力布を取り付ける際の作業性を向上させることができ、また、コスト低減にも寄与しうる力布の固定構造およびこれを備えた車両用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、エアバッグ装置を備えた車両用シートにおける力布の固定構造であって、
車両用シートのシートフレームに固定されるエアバッグモジュールと、
シートフレームとともにエアバッグモジュールを取り囲み、膨張するエアバッグをシート表面のエアバッグ出口に案内する第1力布および第2力布と、
第1力布のエアバッグ出口側とは反対側の第1端部に設けられた被係合部と、
第2力布のエアバッグ出口側とは反対側の第2端部に設けられた、被係合部を差し込み可能な差込口を含み、差し込み後に姿勢を変えた被係合部を係合させる係合部と、
を備える、力布の固定構造である。
【0009】
上記のごとき固定構造によれば、第1力布の被係合部を第2力布の係合部の差込口に差し込み姿勢を変えるという、衣服のボタンを留めるのにも似た簡単な操作をするだけで力布どうしを係合した状態とすることができる。また、このように力布どうしを係合した状態を維持したままこれらをシートフレームに固定することができる。したがって、2つの板金を片手で押さえながらリベットを打つといった従来の作業に比べて力布を取り付ける際の作業がしやすく、作業性が大きく向上する。しかも、このような構成の固定構造であれば係合部や被係合部が板金でなくてもよいから、金属材料を減らしてそのぶん軽量化や低コスト化を図ることが可能でもある。
【0010】
上記のごとき態様の力布の固定構造における被係合部は、剛性を有する被差込部材を含むものであってもよい。
【0011】
上記のごとき態様の力布の固定構造において、被差込部材は略矩形であってもよい。
【0012】
上記のごとき態様の力布の固定構造において、被差込部材は、第1力布に対しT字形となる状態で第1端部に取り付けられていてもよい。
【0013】
上記のごとき態様の力布の固定構造において、係合部の差込口はスリット状に形成されていてもよい。
【0014】
上記のごとき態様の力布の固定構造において、差込口は、第2力布の幅方向に延びるように形成されていてもよい。
【0015】
上記のごとき態様の力布の固定構造において、差込口の周囲が補強縫いされていてもよい。
【0016】
上記のごとき態様の力布の固定構造は、被係合部を係合部に係合させた状態で第1端部と第2端部の少なくとも一方をシートフレームに固定する固定部材をさらに含んでいてもよい。
【0017】
上記のごとき態様の力布の固定構造における被係合部に、固定部材が係止する被固定部が設けられていてもよい。
【0018】
本発明の一態様である車両用シートは、上記のごとき力布の固定構造を備えたものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、力布を取り付ける際の作業性を向上させることができ、また、コスト低減にも寄与しうる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】サイドエアバッグ装置を搭載した車両用シートの一例を示す斜視図である。
【
図3】
図2中において破線で丸く囲む部分を拡大して示す図である。
【
図5】車両用シートの内部における力布の固定構造の一例を示す図である。
【
図6】被係合部が設けられた第1力布の第1端部の付近と係合部が設けられた第2力布の第2端部の付近とを概略的に示す図である。
【
図7】第1力布の第1端部の被係合部と第2力布の第2端部の係合部とを係合させた状態を概略的に示す平面図である。
【
図8】被差込部材の例を示す第1力布の第1端部の周辺を概略的に示す図である。
【
図9】被係合部を係合部に係合させた状態で第1端部と第2端部の少なくとも一方をシートフレームに固定する固定部材の一例を概略的に示す平面図である。
【
図10】従来の力布の固定構造の一例を参考として示す平面図である。
【
図11】従来の力布の一例を参考として示す図である。
【
図12】車両用シートの内部における従来の力布の固定構造の一例を参考として示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について詳細に説明する(
図1~
図9参照)。
【0022】
本発明に係る力布の固定構造1は、エアバッグ装置200を備えた車両用シート100において力布を当該車両用シート100内に固定するための構造である(
図1、
図5等参照)。以下では、まず、エアバッグ装置200を備えた車両用シート100について説明し、その後、力布の固定構造1について説明する。
【0023】
<エアバッグ装置を備えた車両用シート>
車両用シート100は、例えば自動車等の車両に設置されるシートであり、着座した乗員の臀部や大腿部を支持するシートクッション120と、乗員の腰部や背部を支持するシートバック130と、乗員の頭部を支持するヘッドレスト140と、エアバッグモジュール202とを備える(
図1参照)。
【0024】
シートバック130は、当該シートバック130の骨格を形成するシートフレーム102を内蔵している(
図5等参照)。特に詳しく示してはいないが、シートフレーム102は、シート幅方向に間隔をあけて配置されシート上下方向に延びる一対のバックサイドフレームと、バックサイドフレームの上端部どうしを連結するアッパーフレーム(図示省略)とを含む構成であってもよい。本実施形態では、これらのうちバックサイドフレームの部分に符号102を付した形でシートフレームを図示している(
図5参照)。シートフレーム102は、ウレタンフォーム等の比較的軟質な樹脂発泡材からなるシートパッド104によって覆われ、さらに皮革、織布、不織布等の表皮材からなるトリムカバー108によって覆われている。
【0025】
エアバッグモジュール202は、シートフレーム102のバックサイドフレームに固定された状態でシートパッド104およびトリムカバー108によって覆われ、シートバック130内に内蔵されている(
図5参照)。本実施形態のエアバッグモジュール202は、エアバッグ204(
図1参照)と、エアバッグ204を膨張させるインフレーター206とを有する。 エアバッグモジュール202が作動した場合、エアバッグ204は、シートバック130およびヘッドレスト140の側方に展開し、車両用シート100に着座した乗員の衝突(例えば、当該車両用シート100に隣設されている他のシートに着座した同乗者との衝突、あるいは当該車両のドア等との衝突)を防止する。
【0026】
トリムカバー108のうちエアバッグ出口106となる部分には、容易に破断する破断部109が設けられている(
図2、
図3等参照)。破断部109は、複数の表皮材が、エアバッグモジュール202の作動時に容易に破断する状態で縫合された部分で構成されている。シートパッド104には、エアバッグモジュール202から破断部109に通じるスリット105が設けられている(
図5参照)。
【0027】
なお、特に図示してはいないが、車両には、当該車両の衝突を検知する加速度センサと、加速度センサから出力される信号に基づいてインフレーター206の作動の要否を判断するECU(Electronic Control Unit)とが搭載されている。ECUから所定の信号が送信されるとインフレーター206が作動してガスを発生させ、エアバッグ204を膨張させる。膨張したエアバッグ204は、スリット105を通して破断部109に達し、膨張圧により当該破断部109を破断させてシートバック130の外部に飛び出す。
【0028】
車両用シート100は、膨張するエアバッグ204を破断部109に案内する力布を備える。本実施形態の車両用シート100は、力布として、第1力布10および第2力布20を備えている(
図2、
図3等参照)。これら第1力布10および第2力布20は伸縮性に乏しい材料、例えばポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維を用いた織布、不織布などで構成されている。第1力布10と第2力布20それぞれのエアバッグ出口106側の端部10a、20aは、トリムカバー108を形成する表皮材と破断部109にて共縫いされており、スリット105を通してエアバッグモジュール202まで引き込まれている(
図2、
図3、
図5参照)。エアバッグモジュール202まで引き込まれた第1力布10と第2力布20は、シートフレーム102ごとエアバッグモジュール202を取り囲むように、当該エアバッグモジュール202の両側に分岐する(
図5参照)。これら第1力布10と第2力布20それぞれのエアバッグ出口106側とは反対側の端部(本明細書ではそれぞれを第1端部、第2端部といい、符号10t、20tで示す)は、力布の固定構造1によってシートフレーム102に固定される。
【0029】
<力布の固定構造>
本実施形態における力布の固定構造1は、エアバッグモジュール202、第1力布10および第2力布20、第1力布10の第1端部10tに設けられた被係合部11、第2力布20の第2端部20tに設けられた係合部22などを備えている(
図4~
図9等参照)。
【0030】
被係合部11は、第2力布20の係合部22に係合するように設けられているもので、例えば、衣服のボタンを留めるのにも似た操作で係合させることができるように構成されていてもよい。本実施形態では、剛性を有する部材からなる被差込部材12を第1力布10の第1端部10tに設け、被係合部11として機能させることとしている(
図4、
図6等参照)。被差込部材12は金属製の薄板などといった剛性を有する部材であることが望ましい。本実施形態では剛性を有する樹脂製の芯材を採用し、これを第1端部10tに固定して被差込部材12としている。固定の手法は特に限定されるものではなく、一例として本実施形態では固定用糸を縫い付けて被差込部材12を第1力布10に固定している(
図6等参照)。なお、いずれの手法であっても、被差込部材12は、係合部22に引っかかる部分(被係止部13)が構成されるように第1力布10に固定されており、例えば係合部22に差し込まれることでボタンのごとく係合した場合には、被差込部材12のうち側方に広がるフランジ状の部分が被係止部13として機能し、係合部22の表面に係止して抜け止めとなる(
図7参照)。このような被係止部13が構成される限りは被差込部材12のどの位置を第1力布10に固定してもよく、例えば被差込部材12の中央付近を第1力布10に対してT字形となるように固定してもよいし、被差込部材12の半分程度を第1力布10に固着してもよい(
図7参照)。
【0031】
被差込部材12の形状もまた特に限定されるものではない。一例として本実施形態では、矩形状の芯材を被差込部材12として採用している(
図6参照)。被差込部材12がこのような略矩形状あるいはこれに似た形状であってある程度の大きさを有している場合には、力布(第1力布10、第2力布20)に作用するテンションが大きくなって係合部22の形が変わったとしても(例えば後述するようなスリット状の差込口23が設けられている場合に当該差込口23が広がったとしても)、係合部22から被差込部材12がはずれにくい(抜けにくい)。
【0032】
係合部22は、第2力布20の第2端部20tに、被係合部11が係合するように設けられているもので(
図4等参照)、例えばボタン孔のように構成されていてもよい。本実施形態の係合部22は、被係合部11を差し込み可能なスリット状の差込口23を含んでいて(
図6参照)、当該差込口23に差し込まれた後の被係合部11の被差込部材12の姿勢(向き)を変えることであたかもボタン式のように被係合部11を係合させることができるように構成されている(
図7参照)。差込口23の具体的な形状等が限定されることはなく、一例として本実施形態の差込口23は第2力布20の幅方向に延びるように形成されているが(
図6参照)、係合部22としての被係合部11を係合させるという機能を発揮しうるものである限りは他の態様となっていてもよい。また、引き裂きなどが生じないように差込口23が補強されていてもよい。本実施形態では、差込口23の周囲(符号23pで示す)を補強糸で補強縫い(図中では補強縫いの部分を符号24で示す)して強度を向上させている(
図6等参照)。
【0033】
本実施形態のごとき力布の固定構造1によれば、第1力布10の被係合部11を第2力布20の係合部22の差込口23に差し込み姿勢を変えるという、衣服のボタンを留めるのにも似た簡単な操作をするだけで力布どうしを係合した状態とすることができる(
図7参照)。また、被係合部11や係合部22に板金を使わない(あるいは使っても少量とする)ことで軽量化や低コスト化を図ることができる。
【0034】
上記のごとき力布の固定構造1は、係合させた被係合部11と係合部22の高さ(位置)を力布(第1力布10、第2力布20)の張力等によって維持することができる場合もあるが、必要に応じてこれらを固定するための固定部材やこれによって固定するための被固定部などを含むものであってもよい。力布の固定構造1の別の実施形態例を示しながら固定部材や被固定部の具体例を説明する(
図8、
図9参照)。
【0035】
本実施形態の固定構造1における被係合部11の被差込部材12はベルトのバックルのような形状であり、2つのスリット状の細孔12a、12bに通した第1力布10を折り返し縫い付けて輪状とし、細孔12a、12bの間のバー12cがこの輪状の部分に引っ掛かるように構成されている(
図8、
図9参照)。この被差込部材12には被固定部16が設けられており、当該被固定部16の孔に通して係止させた固定部材30を利用してシートフレーム102に固定することができるようになっている。固定部材30の具体例はリベットやボルト等であるが特に限定されることはない。なお、上記は固定部材30や被固定部16の一例にすぎず、要は、被係合部11を係合部22に係合させた状態で第1端部10tと第2端部20tの少なくとも一方をシートフレーム102に固定することができればよいのであって、この観点からすれば被固定部が被差込部材12ではなく係合部22に設けられていてもよいことはいうまでもない。
【0036】
上記のごとき被固定部16を備えた力布の固定構造1によれば、力布(第1力布10と第2力布20)どうしを係合した状態を維持したままこれらをシートフレーム102に固定することが可能となるから、2つの板金を片手で押さえながらリベットを打つといった従来の作業に比べて力布を取り付ける際の作業がしやすく、作業性が大きく向上する。
【0037】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、エアバッグ装置を備えた車両用シートにおける力布の固定構造に適用して好適である。
【符号の説明】
【0039】
1…力布の固定構造
10…第1力布(力布)
10a…第1力布のエアバッグ出口側の端部
10t…第1端部(第1力布のエアバッグ出口側とは反対側の端部)
11…被係合部
12…被差込部材
12a、12b…細孔
12c…バー
13…被係止部
14…固定糸
16…被固定部
20…第2力布(力布)
20a…第2力布のエアバッグ出口側の端部
20t…第2端部(第2力布のエアバッグ出口側とは反対側の端部)
22…係合部
23…差込口
(23p…差込口の周囲)
24…補強縫いの部分
30…リベット(固定部材)
100…車両用シート
102,102’…シートフレーム
104…シートパッド
105…スリット
106,106’…エアバッグ出口
108…トリムカバー
109…破断部
120…シートクッション
130…シートバック
140…ヘッドレスト
200…エアバッグ装置
202,202’…エアバッグモジュール
204…エアバッグ
206…インフレーター
300’…固定部材
303’…リベット
310’…板金
320’…板金