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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076949
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/04 20060101AFI20240530BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20240530BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20240530BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20240530BHJP
   C11D 1/10 20060101ALI20240530BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20240530BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240530BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20240530BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20240530BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20240530BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20240530BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
C11D17/04
C11D3/37
C11D3/20
C11D1/29
C11D1/10
A61K8/02
A61K8/37
A61K8/39
A61K8/44
A61K8/46
A61K8/81
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089160
(22)【出願日】2023-05-30
(31)【優先権主張番号】P 2022188579
(32)【優先日】2022-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳原 志穂美
(72)【発明者】
【氏名】北辻 早希
(72)【発明者】
【氏名】浅川 源
(72)【発明者】
【氏名】舛井 喬
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC122
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC401
4C083AC402
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC781
4C083AC782
4C083AD131
4C083AD132
4C083CC22
4C083CC23
4C083DD08
4C083EE07
4H003AB03
4H003AB08
4H003AB31
4H003AD04
4H003BA21
4H003DA02
4H003EA21
4H003EB05
4H003EB06
4H003EB08
4H003EB30
4H003ED02
4H003FA20
4H003FA21
4H003FA30
(57)【要約】
【課題】フォーマーから吐出した泡がきめ細かく一定の形状を保ち、洗浄後半でも濃密な白い泡が増加して洗浄性が良好で、かつすすぎ性もよい洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)イオン性界面活性剤、
(B)アルキルグリセリルエーテル、及び
(C)カチオン電荷密度4.5meq/g以下かつ分子量50万以下のカチオン性基を有するポリマー
を含有し、成分(B)と成分(C)の含有量比(B/C)が1.5以上である洗浄剤組成物であって、泡吐出容器に充填され、泡として吐出される洗浄剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)イオン性界面活性剤、
(B)アルキルグリセリルエーテル、及び
(C)カチオン電荷密度4.5meq/g以下かつ分子量50万以下のカチオン性基を有するポリマー
を含有し、成分(B)と成分(C)の含有量比(B/C)が1.5以上である洗浄剤組成物であって、泡吐出容器に充填され、泡として吐出される洗浄剤組成物。
【請求項2】
皮膚洗浄剤組成物である請求項1記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
洗浄剤組成物の30℃における粘度が20mPa・s以下である請求項1又は2記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
成分(C)が、カチオン電荷密度4.5meq/g以下かつ分子量50万以下のジアリル4級アンモニウム塩重合物又はジアリル4級アンモニウム/アクリルアミド共重合物である請求項1~3のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
成分(C)の含有量が、0.015質量%以上である請求項1~4のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項6】
成分(B)の含有量が、0.4質量%以上である請求項1~5のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項7】
成分(A)が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩、N-アシル化アミノ酸又はその塩から選ばれる1種以上を含む請求項1~6のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項8】
成分(A)が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩と、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩、及びN-アシル化アミノ酸又はその塩から選ばれる1種以上とを含む請求項1~7のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項9】
さらに成分(D)ポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有しないか、又は成分(D)を0.3質量%以下含有する請求項1~8のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄剤、特に皮膚洗浄剤では、洗浄時の泡立ちや、泡の感触が良好であることが求められている。例えば、特許文献1には、界面活性剤及びカチオン性ポリマーを含有する皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物が、優れた起泡性と良好な使用感を有することが記載されている。また、特許文献2及び3には、アニオン界面活性剤及びカチオン性ポリマーに加えてグリセリルエーテルを含有する、泡量及び泡質が良く、かつすすぎ性の良好な皮膚洗浄剤組成物が記載されている。
【0003】
一方、泡吐出容器に充填された皮膚洗浄剤は、泡立てる手間が省けるため、近年、開発が進んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-197420号公報
【特許文献2】特開2008-174502号公報
【特許文献3】特開2012-232940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
泡吐出容器に充填された皮膚洗浄剤は、容器から吐出された泡をそのまま皮膚につけて、手で皮膚上に延ばして使用されるため、フォーマーから吐出した泡がきめ細かく一定の形状を保ち、洗浄後半でも濃密な白い泡が増加して、かつ洗浄性が良好であることが求められるようになってきている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、イオン性界面活性剤及びアルキルグリセリルエーテルに、特定のカチオン電荷密度と特定の分子量を有するカチオン基を有するポリマーを特定量含有し、泡吐出容器に充填され、泡として吐出される洗浄剤とすることにより、吐出した泡がきめ細かく一定の形状を保ち、洗浄後半でも濃密な白い泡が増加して、かつ洗浄性が良好であることを見出した。
【0007】
本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)イオン性界面活性剤、
(B)アルキルグリセリルエーテル、及び
(C)カチオン電荷密度4.5meq/g以下かつ分子量50万以下のカチオン性基を有するポリマー
を含有し、成分(B)と成分(C)の含有量比(B/C)が1.5以上である洗浄剤組成物であって、泡吐出容器に充填され、泡として吐出される洗浄剤組成物に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の洗浄剤組成物は、泡吐出容器から吐出させた泡を皮膚につけた時の泡がきめ細かく一定の形状を保ち、洗浄後半でも濃密な白い泡が増加して、かつ洗浄性が良好である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施態様は、次の成分(A)、(B)及び(C)を含有し、成分(B)と成分(C)の含有量比(B/C)が1.5以上である洗浄剤組成物であって、泡吐出容器に充填され、泡として吐出される洗浄剤組成物である。
(A)イオン性界面活性剤、
(B)アルキルグリセリルエーテル、
(C)カチオン電荷密度4.5meq/g以下かつ分子量50万以下のカチオン性基を有するポリマー。
【0010】
成分(A)のイオン性界面活性剤としては、通常の皮膚洗浄剤に用いられるものであればいずれでも良く、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が好ましく用いられる。このうち、洗浄性能、起泡性の点から、アニオン性界面活性剤を含有するのが好ましい。
アニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩、アルキル硫酸又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸又はその塩、N-アシル化アミノ酸又はその塩、脂肪酸又はその塩、スルホコハク酸アルキルエステル又はその塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル又はその塩、α-オレフィンスルホン酸又はその塩、N-アシルアルキルタウリン又はその塩等が挙げられる。
【0011】
(A1)ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩としては、次の一般式(1)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩が挙げられる。
1O(CH2CH2O)mCH2COOM1 (1)
(式中、R1は炭素数4~22のアルキル基又はアルケニル基を示し、mは平均付加モル数で、0.5~15の数を示し、M1は、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
【0012】
一般式(1)中、R1としては、起泡性及び配合安定性の観点から、炭素数12~16のアルキル基が好ましく、炭素数12~14のアルキル基がより好ましい。また、前記の観点から、エチレンオキシドの平均付加モル数mは、1~10であるのが好ましい。
1としては、水素原子;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;アンモニウム;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン由来のアンモニウム;アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸由来のアンモニウムなどが挙げられる。これらのうち、洗浄性能、起泡性の観点から、ナトリウム、カリウム、トリエタノールアミン及びアルギニンから選択される1種又は2種以上を含むことが好ましく、ナトリウム及びカリウムから選択される1種又は2種を含むことがより好ましい。
【0013】
このようなポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩として、具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸又はその塩、ポリオキシエチレンミリスチルエーテルカルボン酸又はその塩、及びポリオキシエチレンパルミチルエーテルカルボン酸又はその塩から選択される1種又は2種以上を含むことが好ましく、ポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸又はその塩、及びポリオキシエチレンミリスチルエーテルカルボン酸又はその塩から選択される1種又は2種を含むことがより好ましく、ポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸又はその塩を含むことがさらに好ましい。
これらの市販品として、例えば、カオーアキポ RLM-45(花王社製)、カオーアキポ RLM-45NV(花王社製)、カオーアキポ RLM 45CA(花王社製)、カオーアキポ RLM-100(花王社製)、カオーアキポ RLM-100NV(花王社製)、カオーアキポ LM 26C(花王社製)等が挙げられる。
【0014】
(A2)アルキル硫酸若しくはその塩又はポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸若しくはその塩としては、次の一般式(2)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸又はその塩が挙げられる。
2O(CH2CH2O)pSO32 (2)
(式中、R2は炭素数8~22の脂肪族炭化水素基を示し、M2は、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウム及びグルクアンモニウムから選ばれるカチオンを示し、pは平均付加モル数を示し、0~20の数を示す)
【0015】
一般式(2)中、R2としては、泡質、洗浄後半の泡持ちを向上させる観点から、炭素数8~18の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数8~16の脂肪族炭化水素基がより好ましく、炭素数10~16の脂肪族炭化水素基がさらに好ましい。さらには、炭素数8~16のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、炭素数10~16のアルキル基又はアルケニル基がより好ましく、炭素数10~14のアルキル基又はアルケニル基がよりさらに好ましい。
pは、起泡性の観点から、0.5~3.0が好ましく、1.0~2,0がより好ましい。
2としては、泡質、洗浄後半の泡持ちを向上させる観点から、アルカリ金属、アンモニウムが好ましく、ナトリウム及びアンモニウムから選択される1種又は2種を含むことがさらに好ましい。
【0016】
具体的には、ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレン(1)ミリスチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)ミリスチルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレン(1~2)アルキルエーテル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
なお、本発明において、これらの化合物のかっこ内の数値はエチレンオキシドの平均付加モル数を意味する。
また、これらの市販品として、例えば、エマール125HP〔花王社製、ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム〕、エマール125A〔花王社製、ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテル硫酸アンモニウム〕、エマール227〔花王社製、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム〕等が挙げられる。
【0017】
(A3)アシル化アミノ酸又はその塩としては、例えば、一般式(3)
【0018】
【化1】
【0019】
(式中、R3は直鎖又は分岐鎖の炭素数7~21のアルキル基又はアルケニル基を示し、R4は水素原子又は炭素数1~4のアルキル基若しくはアルケニル基を示し、R5は水素原子又は-(CH2q6(R6は水素原子、ヒドロキシル基又は-COOMを示し、qは0~3を示す)を示し、M3は水素原子、アルカリ金属又はアルカノールアミンを示す)
で表されるN-アシルアミノ酸塩が好ましい。
【0020】
式(3)中、R3としては、炭素数6~18のアルキル基が好ましく、炭素数10~16のアルキル基がより好ましい。R4としては、水素原子、炭素数1~4のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましい。R5としては、水素原子、-(CH2q6が好ましい。M3としては、アルカリ金属が好ましい。
【0021】
一般式(3)で表されるN-アシルアミノ酸又はその塩として、具体的には、例えば、N-ココイルグリシン塩、N-ラウロイル-N-メチルグリシン塩等のN-アシルグリシン塩;N-ココイルグルタミン酸塩、N-ラウロイルグルタミン酸塩、N-ミリストイルグルタミン酸塩等のN-アシルグルタミン酸塩;N-ラウロイル-β-アラニン塩、N-ミリストイル-β-アラニン塩等のN-アシルアラニン塩;N-ラウロイルアスパラギン酸塩等のN-アシルアスパラギン酸塩;N-ラウロイルセリン塩等のN-アシルセリン塩が挙げられ、またこれらのナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。
なお、一般式(4)で表わされる化合物には、L体、D体、ラセミ体があるが、本発明においては、これらのいずれをも使用することができる。
これらのうち、N-アシルグルタミン酸塩、N-アシルグリシン塩、N-アシルアスパラギン酸塩が好ましい。
【0022】
(A4)脂肪酸又はその塩としては、炭素数10~22の脂肪酸又はその塩が挙げられる。
炭素数10~22の脂肪酸又はその塩としては、配合安定性及び起泡性の観点から、炭素数10~18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有する脂肪酸を含むものが好ましく、炭素数12~14の直鎖のアルキル基を有する脂肪酸を含むものがより好ましい。
具体的には、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩及びベヘン酸塩から選択される1種又は2種以上が挙げられ、前記の観点から、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩及びパルミチン酸塩から選ばれる1種又は2種がより好ましい。
これらの塩としては、アルカリ金属及びアンモニウムから選択される1種又は2種以上を含むことが好ましく、アルカリ金属から選択される1種又は2種以上を含むことがより好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がさらに好ましい。
【0023】
成分(A)としては、起泡性、泡質、洗浄後半の泡持ち向上、配合安定性の観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩、N-アシル化アミノ酸又はその塩から選ばれる1種以上を含むのが好ましい。また、起泡性、泡質、皮膚を洗浄したときのすすぎ性、特にすすぎ時のぬるつきを防止する観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩と、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩、及びN-アシル化アミノ酸又はその塩から選ばれる1種以上とを含むのが好ましい。
【0024】
成分(A)のアニオン性界面活性剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、きめの細かい一定の形状を保つ泡を発生させる観点、起泡性、洗浄後半の濃密な白い泡を持続させる観点から、酸換算で、全組成中に4.5質量%以上であるのが好ましく、5質量%以上がより好ましく、5.5質量%以上がさらに好ましく、配合安定性や粘度の観点から、10質量%以下が好ましく、9質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましい。また、成分(A)の含有量は、酸換算で、全組成中に4.5~10質量%であるのが好ましく、5~9質量%がより好ましく、5.5~8質量%がさらに好ましい。
【0025】
成分(A)としては、前記のアニオン性界面活性剤の他に、(A5)両性界面活性剤を含有することができ、濃密な白い泡の発生、増泡感、起泡性、洗浄後半の泡持ちをより向上させることができる。
両性界面活性剤としては、通常の皮膚洗浄剤に用いられるものであればいずれでも良く、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の酢酸ベタイン型界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアミンオキサイド型界面活性剤、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリニウムベタイン型界面活性剤、ラウリン酸アミドプロピルベタイン等のアミドベタイン型界面活性剤、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型界面活性剤などが挙げられる。
【0026】
両性界面活性剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、濃密な白い泡の形成や洗浄後半の泡持ちを向上させる観点から、全組成中に2.5質量%以上であるのが好ましく、3質量%以上がより好ましく、すすぎ性を向上させる観点から、5質量%以下が好ましく、4.5質量%以下がより好ましく、4質量%以下がさらに好ましい。また、両性界面活性剤の含有量は、全組成中に2.5~5質量%であるのが好ましく、3~4.5質量%がより好ましく、3~4質量%がさらに好ましい。
【0027】
本発明において、両性界面活性剤に対するアニオン性界面活性剤の質量割合(アニオン/両性)は、濃密な白い泡や洗浄後半の泡持ちを向上させる観点、起泡性、すすぎ性を向上させる観点から、0.5~2.5であるのが好ましく、10~2.0がより好ましく、1.0~1.8がさらに好ましい。
【0028】
成分(B)のアルキルグリセリルエーテルは、吐出した泡をきめ細かで一定の形状を保つものとし、洗浄後半の泡持続性を向上させるために使用される。アルキルグリセリルエーテルとしては、炭素数4~18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有するものが好ましく、例えばn-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基、2-エチルオクチル基、ラウリル基等の炭素数4~12のアルキル基を有するものが好ましい。
より好ましいものの具体例としては、グリセリンモノ-2-エチルへキシルエーテル、グリセリンモノ-2-エチルオクチルエーテル、グリセリンモノオクチルエーテル、グリセリンモノデシルエーテル等が挙げられる。
【0029】
成分(B)のアルキルグリセリルエーテルは、1種以上を用いることができ、洗浄後半の泡持続性等を向上させる観点から、全組成中に0.4質量%以上含有するのが好ましく、0.5質量%以上含有するのがより好ましく、0.6質量%以上含有するのがさらに好ましく、配合安定性や粘度の観点から、全組成中に8質量%以下含有するのが好ましく、6質量%以下含有するのがより好ましく、5質量%以下含有するのがさらに好ましい。具体的には、成分(B)は、全組成中に0.4質量%以上8質量%以下含有するのが好ましく、0.5質量%以上6質量%以下含有するのがより好ましく、0.6質量%以上5質量%以下含有するのがさらに好ましい。
【0030】
成分(C)は、カチオン電荷密度4.5meq/g以下かつ分子量50万以下のカチオン性基を有するポリマーであり、当該成分(C)を成分(A)及び成分(B)と組み合わせて、泡吐出容器に充填され、泡として吐出される洗浄剤とすることにより、泡吐出容器から吐出した泡がきめ細かく一定の形状を保ち、洗浄後半でも濃密な白い泡が増加するという効果が得られるものである。
成分(C)は、カチオン電荷密度4.5meq/g以下かつ分子量50万以下のカチオン性基を有するポリマーである。ここで、カチオン電荷密度とは、ポリマーを構成するモノマーユニット中のカチオン電荷の当量数(meq/g)をいう。カチオン電荷密度が4.5meq/g以下のポリマーを用いることにより、洗浄後半においても泡が持続するという効果が得られる。また、分子量50万以下のポリマーを用いることにより、吐出容器から吐出させた泡が濃密できめ細かなものとなる。また、成分(C)の分子量は3万以上が好ましい。ここで、分子量は、GPCにより求めた数平均分子量である。
【0031】
このような特性を有するポリマーとしては、(C1)カチオン化セルロース誘導体;(C2)カチオン化グアーガム誘導体;(C3)ジアリル4級アンモニウム塩重合物又はジアリル4級アンモニウム/アクリルアミド共重合物などであって、カチオン電荷密度4.5meq/g以下かつ分子量50万以下のカチオン性基を有するポリマーが挙げられる。
【0032】
(C1)カチオン化セルロース誘導体としては、次の一般式(VI)で表わされるものが好ましい。
【0033】
【化2】
【0034】
(式中、Aはアンヒドログルコース単位の残基を示し、aは50~20000の整数であり、各R21は、それぞれ次の一般式(VII)で表わされる置換基を示す。)
【0035】
【化3】
【0036】
(式中、R’及びR’’は炭素数2又は3のアルキレン基、bは0~10の整数、cは0~3の整数、dは0~10の整数、R’’’は炭素数1~3のアルキレン又はヒドロキシアルキレン基、R22、R23及びR24は同じか又は異なっており、炭素数10までのアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示すか、又は式中の窒素原子を含んで複素環を形成してもよく、X1は陰イオン(塩素、臭素、沃素、硫酸、スルホン酸、メチル硫酸、リン酸、硝酸等)を示す。)
【0037】
カチオン化セルロース誘導体のカチオン置換度は、0.01~1、すなわちアンヒドログルコース単位あたりのcの平均値は、0.01~1であるのが好ましく、0.02~0.5がより好ましい。また、b+dの合計は平均1~3が好ましい。例えば、R22、R23及びR24としては全てCH3基、又は2つがCH3基等の短鎖アルキル基であり、残り1つが炭素数10~20の長鎖アルキル基であるものが好ましい。ここで用いるカチオン化セルロース誘導体の分子量は、約10万~50万であるのが好ましい。
これらの市販品としては、カチナールHC-100(東邦化学工業社製)、ポリマーJR-400(ダウケミカル社製)等が挙げられる。
【0038】
(C2)カチオン化グアーガム誘導体としては、次の一般式(VIII)で表わされるものが好ましい。
【0039】
【化4】
【0040】
(式中、Dはグアーガム残基、R25はアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基、R26、R27及びR28は同じか又は異なっており、炭素数10以下のアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示すか、又は式中の窒素原子を含んで複素環を形成してもよく、X3は陰イオン(塩素、臭素、沃素、硫酸、スルホン酸、メチル硫酸、リン酸、硫酸等)、fは正の整数を示す。)
【0041】
カチオン化グアーガム誘導体のカチオン置換度は、0.01~1であるのが好ましく、0.02~0.5個のカチオン基が糖ユニットに導入されたものがより好ましい。この型のカチオン性ポリマーは、特公昭58-35640号公報、特公昭60-46158号公報、特開昭58-53996号公報中に記載されている。また、市販品としては、ローディア社(Rhodia Inc.)から商標名ジャガー(Jaguar)で市販されており、ジャガーC-13C、ジャガーC-17等が挙げられる。
【0042】
(C3)ジアリル4級アンモニウム塩重合物又はジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物としては、次の一般式(IX)又は(X)で表わされるものが好ましい。
【0043】
【化5】
【0044】
【化6】
【0045】
(式(IX)及び(X)中、R33及びR34は同じか又は異なっており、水素、アルキル基(炭素数1~18)、アリール基、ヒドロキシアルキル基、アミドアルキル基、シアノアルキル基、アルコキシアルキル基、又はカルボアルコキシアルキル基、R35、R36、R37及びR38は同じか又は異なっており、水素原子、低級アルキル基(炭素数1~3)、又はフェニル基、X4は陰イオン(塩素、臭素、沃素、硫酸、スルホン酸、メチル硫酸、硫酸など)、gは1~50の整数、hは0~50の整数、iは150~8000の整数を示す。)
【0046】
(C3)ジアリル4級アンモニウム塩重合物又はジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物の分子量は、約3万~50万であるのが好ましく、10万~50万がより好ましい。
市販品としては、マツモト交商より商標名マーコートで市販されており、マーコート3940、マーコート740等が挙げられる。
【0047】
成分(C)としては、泡吐出容器から吐出させた泡がきめ細かく、洗浄後半でも濃密な白い泡が増加するという効果が得られる観点から、(C3)ジアリル4級アンモニウム塩重合物又はジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物が好ましい。さらに市販品としては、前記のマーコート3940、マーコート740等が好ましい。
【0048】
成分(C)のポリマーは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、泡吐出容器から吐出させた泡がきめ細かく、洗浄後半でも濃密な白い泡が増加するという観点から、全組成中に、0.015質量%以上であるのが好ましく、0.018質量%以上がより好ましく、0.02質量%以上がさらに好ましく、同様の観点から、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下がさらに好ましい。また、成分(C)の含有量は、全組成中に0.015~3質量%であるのが好ましく、0.018~2質量%がより好ましく、0.02~1.5質量%がさらに好ましい。
【0049】
本発明において、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)は、泡吐出容器から吐出させた泡がきめ細かく、洗浄後半でも濃密な白い泡が増加するという観点、泡吐出容器からの吐出性及び起泡性の観点から、1.5以上であるのが好ましく、1.7以上がより好ましく、5以上がさらに好ましく、洗浄後半でも濃密な白い泡が増加するという観点から、150以下が好ましく、100以下がより好ましく、80以下がさらに好ましく、60以下がさらに好ましく、30以下がさらに好ましい。また、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)は、1.5~150であるのが好ましく、1.7~100がより好ましく、5~80がさらに好ましく、5~60がさらに好ましく、5~30がさらに好ましい。
【0050】
本発明の洗浄剤組成物は、さらに、成分(D)ポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有することができる。成分(D)は、本発明洗浄剤組成物を用いて皮膚を洗浄したときのすすぎ性、特にすすぎ時のぬるつきを防止するために、含有しないか又は含有する場合その含有量は0.3質量%以下とすることが好ましい。
【0051】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル(D)としては、具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンパルミチルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル等が挙げられる。
このうち、本発明においては、HLB4~20のポリオキシエチレンアルキルエーテルが用いられ、HLB6~18のポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく、HLB8~18のポリオキシエチレンアルキルエーテルがより好ましい。本明細書において、HLB(親水性-親油性のバランス〈Hydrophilic-Lypophilic Balance〉)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、次のグリフィン(Griffin)の式により求められるものである。
【0052】
HLB=20×(界面活性剤分子中の親水基部の分子量/界面活性剤の分子量)
【0053】
市販品として、例えば、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル(エマルゲン102(HLB6.4)、花王社製)、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル(エマルゲン103(HLB8.3)、花王社製)、イソステアリン酸ポリグリセリル(コスモール 41v(HLB8)、日清オイリオグループ社製)ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル(エマルゲン105(HLB10)、花王社製)、ポリオキシエチレン(21)ラウリルエーテル(エマルゲン121-G(HLB16.6)、花王社製)、ポリオキシエチレン(20)2-ヘキシルデシルエーテル(エマルゲン1620G(HLB14)、花王社製)、ポリオキシエチレン(16)ウリルエーテル( エマルゲン116(HLB15.8)、花王社製)、ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル(エマルゲン109P(HLB13.6)、花王社製)、ポリオキシエチレン(20)オクチルドデシルエーテル(エマルゲン2020G(HLB13)、花王社製)等を好適に用いることができる。成分(D)は、1種又は2種以上を用いることができる。
【0054】
成分(D)の含有量は、すすぎ時の感触、特にぬるつきを抑制する観点から、全組成中に、0又は0.3質量%以下とするのが好ましい。また、すすぎ時の感触、特にぬるつきを抑制する観点から、好ましくは0.25質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下とするのが好ましい。
【0055】
本発明の洗浄剤組成物は、さらに、(E)多価アルコールを含有することができ、泡吐出容器から吐出させた泡を皮膚につけた時の泡がきめ細かく一定の形状を保つようにし、増泡感、起泡性をより向上させることができる。
多価アルコールとしては、通常の皮膚洗浄剤に用いられるもので、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の2価アルコール;グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン、トリメチルプロパノール等の3価以上のアルコール;エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グルコース、マンノース、ガラクトース、ショ糖、フルクトース、マルトース、マルチトール、キシリトール、イノシトール、ソルビタン、ソルビトール等の糖又は糖アルコールなどが挙げられる。
これらのうち、泡吐出容器から吐出させた泡を皮膚につけた時の泡がきめ細かく一定の形状を保つようにする観点から、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールが好ましい。
【0056】
成分(E)の多価アルコールは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、泡吐出容器から吐出させた泡がきめ細かく一定の形状を保つようにする観点から、全組成中に1質量%以上であるのが好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。また、多価アルコールの含有量は、全組成中に1~30質量%であるのが好ましく、2~25質量%がより好ましく、3~20質量%がさらに好ましい。
【0057】
本発明の洗浄剤組成物は、前記成分を水に溶解させた液体の形態であるのが好ましい。水の含有量は、前記成分(A)~(C)及び必要に応じて含有させる他の成分の残部であり、低温安定性及び吐出性の観点から、全組成中に40質量%以上であるのが好ましく、45質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、90質量%以下が好ましく、87質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましい。また、水の含有量は、全組成中に、40~90質量%であるのが好ましく、45~87質量%がより好ましく、50~85質量%がさらに好ましい。
【0058】
本発明の洗浄剤組成物は、前記成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で通常の洗浄剤組成物に用いられる成分を使用することができる。例えば、前記以外の界面活性剤;エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類;ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール等の芳香族アルコール類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類;糖(誘導体)やアミノ酸(誘導体)、動植物(タンパク質)誘導体、動植物抽出物等の保湿成分;ポリオキシアルキレン変性シリコーン等のシリコーン誘導体;硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム等の無機又は有機塩類;酸やアルカリ等のpH調整剤;グリチルレチン酸、グリチルリチン酸及びこれらの誘導体などの抗炎症剤;イソプロピルメチルフェノール等の殺菌剤;防腐剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、アニオン性高分子、非イオン性高分子、両性高分子、香料、増粘剤、ビタミン類、天然色素、タール色素等の着色剤などが挙げられる。
【0059】
本発明の洗浄剤組成物のpHは特に限定されないが、皮膚の洗浄に用いることを考慮すると、5~9が好ましい。本発明において、pHは、液体洗浄剤組成物(原液)100mLをビーカーに充填し、30℃の恒温槽内にて30℃に調整した後に、pH測定用電極を1分間浸して測定される。
【0060】
本発明の洗浄剤組成物は、液体状のものであり、一定の形状を保つ泡の形成性や吐出性を確保する観点から、30℃における粘度が、2~20mPa・sであるのが好ましく、3~16mPa・sがより好ましく、3~15mPa・sがさらに好ましい。
本発明において、粘度は、30℃にてブルックフィールド型粘度計(東機産業、TVB-10)により、ローターはNo.1、回転数60r/minで回転し、回転開始から60秒後における粘度を測定する。
【0061】
本発明の洗浄剤組成物は、泡吐出容器(フォーマー容器)に充填され、泡吐出容器から泡として吐出されるのが好ましい。
洗浄剤組成物は、泡吐出用組成物であり、泡吐出容器から泡として吐出されることで、皮膚につけた時の泡がきめ細かく一定の形状を保ち、洗浄後半でも濃密な白い泡が増加して洗浄性が良好な気泡組成物が生成される。洗浄剤組成物は、泡吐出容器とともに、皮膚洗浄剤を構成することができる。
泡吐出容器から吐出される際の空気と組成物の体積比(空気/組成物)は、泡の厚み、泡の白さ、起泡性をより向上させる観点から、10/1以上であるのが好ましく、12/1以上であるのがより好ましく、13/1以上がさらに好ましい。
【0062】
本発明で用いる泡吐出容器は、例えば、容器、フォーマー機構、吐出口を有し、圧縮ガス等の噴射剤が不要の常圧容器であるのが好ましい。
容器に組成物を貯留し、フォーマー機構は気液混合部と泡微細化部を有し、液体から泡を生成し、吐出口から泡を吐出するものであってよい。
気液混合部とは、泡吐出容器の外部又は内部から輸送される空気と、本体内部やタンク等の部材に格納されることによって内容物として容器に充填されてなる液体の洗浄剤組成物とが流入し、混合する領域である。また、泡微細化部とは、特定の形状を呈する流路や多孔質部材等を吐出口までの流路に備えることにより、空気と洗浄剤組成物との混合による泡を微細化する領域又は部材である。そして吐出口とは、空気と洗浄剤組成物との混合により生成され、泡微細化部により微細化された泡を外部に排出する部材である。
【0063】
すなわち、これら泡吐出容器が備える気液混合部、泡微細化部、及び吐出口は、必要に応じてチューブやノズル等の部材を介し、この順に直接的又は間接的に連係してなる。そして、付加される手動又は電動の動力に応じ、泡吐出容器の本体内部やタンク等の部材に液体として充填されてなる洗浄剤組成物が気液混合部から泡微細化部へ、次いで泡微細化部から吐出口へと経由し、空気を包埋した微細な泡状となった洗浄剤組成物が吐出口から外部へと吐出され、皮膚に適用することができる。
【0064】
本発明で用いる泡吐出容器は、高い発泡倍率で泡を吐出させつつ、良好な泡質を確保する観点から、かかる容器が有する吐出口から内容物を吐出する機構において、空気と洗浄剤組成物との体積比(空気/組成物)は、10/1以上が好ましく、12/1以上がより好ましく、13/1以上がさらに好ましい。
なお、空気と洗浄剤組成物との体積比(空気/組成物)とは、25℃での値を意味する。
空気と洗浄剤組成物とを上記体積比(空気/組成物)で吐出口から内容物を吐出する機構としては、例えば、空気と皮膚洗浄剤組成物とが上記体積比(空気/組成物)で混合可能な気液混合部を有することが挙げられる。
【0065】
泡吐出容器の具体的な形態としては、必要に応じてチューブやノズル等の部材を介しながら、気液混合部から空気と洗浄剤組成物とを上記質量比で排出し、好ましくは泡微細化部を経由した後、吐出口から外部へと内容物を吐出する機構を有していればよく、スクイズタイプの容器、手動ポンプタイプの容器、電動ポンプタイプの容器等が挙げられる。
【0066】
スクイズタイプの容器とは、スクイズ容器ともいい、変形可能な容器本体に位置する胴部に、外部から手動による押圧力を付加することにより、すなわち胴部をスクイズ変形させることにより、ヘッドスペース内から圧送される空気と内容物の液体とを気液混合部において混合して泡を形成させ、次いで泡微細化部において泡を微細化させ、かかる泡を吐出口から吐出させるものである。具体的には、例えば、特開平7-215353号公報に記載されている容器等が挙げられる。
【0067】
ポンプタイプの容器とは、ポンプ容器ともいい、吐出口を有する泡吐出器に備えられたポンプヘッドを押圧することにより、容器内部又は外部から圧送される空気と内容物の液体とを気液混合部において混合して泡状とし、泡微細化部において泡を微細化させ、かかる泡を吐出口から吐出させるものである。すなわち、かかるポンプタイプの容器は、容器内部又は外部から空気を流入させるための空気用シリンダと内容物の液体の流路となる液用シリンダとを備え、各々のシリンダ内部でピストンが摺動する機構を有している。そして、ポンプヘッドの押圧によってこれらのピストンが駆動し、空気及び内容物の液体を気液混合部へと送出してかかる気液混合部において混合し、次いで泡微細化部において泡を形成させ、かかる泡を吐出口から吐出させるものである。ポンプヘッドの押圧が手動による、いわゆる手動ポンプタイプの容器と、ポンプヘッドの押圧や空気及び内容物の部材間における輸送等が電動による、いわゆる電動ポンプタイプの容器とに大別され、いずれも用いることができる。具体的には、例えば、特開2009-202122号公報に記載の手動ポンプタイプの容器や、特開2006-212086号公報、及び特開2013-212244号公報に記載の電動ポンプタイプの容器等が挙げられる。
【0068】
これら泡吐出容器の具体的な形態のなかでも、高い発泡倍率を安定して確保する観点、良質な泡の形成を確保する観点、及び容器における操作の容易性の観点から、手動ポンプタイプの容器、電動ポンプタイプの容器が好ましい。
【0069】
さらに、本発明で用いる泡吐出容器は、内容物が吐出口を経由する際に良好に泡状の組成物を形成する観点、形成された泡が良好な泡質を有し、使用感等を高める等の観点から、泡微細化部内にメッシュや複数の小孔を設けた多孔質部材を備えるのが好ましい。かかるメッシュの目開きは、16~180μm(#510~#90)であるのが好ましく、容器の使い勝手と得られる泡質を考慮すると、40~80μm(#330~#180)がより好ましい。
【0070】
本発明の洗浄剤組成物は、皮膚洗浄用として用いられる、皮膚洗浄剤組成物であるのが好ましい。例えば、ハンドソープ、洗顔料、ボディーソープとして好適に用いることができる。本発明の洗浄剤組成物は、一般的な皮膚洗浄方法によって皮膚を洗浄するために用いることができる。例えば、泡吐出容器から吐出させた泡を手に取り、水で希釈せずにそのまま皮膚に直接適用し、泡立てて洗浄した後、シャワー等の温水を利用してすすぐことにより使用することができる。
また、洗浄方法としては、手で洗う方法、コットンやナイロン等の化学繊維から成るスポンジ、タオル、たわし等を含む洗浄用具を使って洗う方法がある。皮膚への刺激を低減する観点からは、直接手にとって手で洗う方法が好ましい。
【実施例0071】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0072】
実施例1~21、比較例1~7
表1~表3に示す組成の皮膚洗浄剤組成物を製造した。表中の各成分の数値は組成物中の有効分(純分)の質量%を表す。
得られた各皮膚洗浄剤組成物について、泡吐出容器から吐出したときの泡の状態、水で手を濡らして1回プッシュして泡吐出容器から泡を手のひらに吐出させ、20回手のひらをすり合わせたときの泡の量(洗浄後半の泡の量)、泡の白さ(洗浄後半の泡の白さ)、すすぎ時の感触を、専門パネラー3名が評価した。
結果を表1~表3に併せて示す。
なお、泡吐出容器として、泡微細化部にメッシュ2枚(#200/目開き77μm)を備え、気液混合部における体積比(空気/組成物)が13/1であるポンプフォーマー容器(吉野工業社製)に各洗浄剤組成物を充填した。
【0073】
(製造方法)
水に各成分を混合して、溶解し、乳酸、リンゴ酸、水酸化カリウム液にて、皮膚洗浄剤組成物のpHが表記載の値となるよう調整して、皮膚洗浄剤組成物を製造した。得られた皮膚洗浄剤組成物を、泡吐出容器に充填した。
【0074】
(評価方法)
(1)フォーマーから吐出したときの泡の状態:
吐出容器から手のひらに泡を吐出させ、泡がきめ細かく一定の形状を保つかどうかを、以下の基準で評価した。結果を、3名の平均点で示した。
5:きめ細かく(泡の中に大きな気泡が存在しない)、一定の形状を保っている
4:きめがやや細かく(泡の中に1~5個の大きな気泡が存在する)、一定の形状を保っている
3:きめがやや粗く(泡の中に6~10個の大きな気泡が存在する)、一定の形状を保っている
2:きめがやや粗く(泡の中に10個以上の大きな気泡が存在する)、一定の形状を保っている
1:きめが粗く、一定の形状を保っていない
【0075】
(2)水で手を濡らして1プッシュ泡を取り、20回手のひらをすり合わせた時の泡の量(洗浄後半の泡の量)
吐出容器から吐出させた泡を1プッシュ手にとって、20回手のひらをすり合わせて、泡をすべて集めとって、液量計(Kartell社製、円錐型)にて泡の嵩を測った。結果を3名の平均値(mL)で示した。
【0076】
(3)すすぎ時の感触:
吐出容器から吐出させた泡を1プッシュ手にとって、20回手のひらをすり合わせ、水ですすいだ際のすすぎ時の感触を、以下の基準で評価した。結果を3名の平均点で示した。なお、平均点の小数点第1位を四捨五入した値が、3以上であればすすぎ時のぬるつきが抑制され、2以下であればすすぎ時のぬるつきが抑制されていないと評価できる。
5:すすぎ時、かなりぬるつかない
4:すすぎ時、ぬるつかない
3:すすぎ時、ややぬるつかない
2:すすぎ時、ややぬるつく
1:すすぎ時、ぬるつく
【0077】
(4)水で手を濡らして1プッシュとって、20回手のひらをすり合わせたときの泡の白さ:
吐出容器から吐出させた泡を1プッシュ手にとって、20回手のひらをすり合わせた際に感じる泡の白さを、以下の基準で評価した。結果を3名の平均点で示した。
5:泡がかなり白いと感じる
4:泡が白いと感じる
3:泡がやや白いと感じる
2:泡がやや白いと感じない
1:泡が白いと感じない
【0078】
表1及び表2より、本発明の皮膚洗浄剤組成物は、泡吐出容器から吐出させた泡を皮膚につけた時の泡がきめ細かく一定の形状を保ち、洗浄後半でも濃密な白い泡が増加して洗浄性が良好であった。
一方、表3の皮膚洗浄剤組成物は、泡を皮膚につけた時の泡がきめ細かくなく、又は一定の形状を保っておらず、洗浄後半に泡が増加せず、洗浄性も不十分であった。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
処方例1:ハンドソープ
o-シメン-5-オール 0.1(質量%)
ラウレス硫酸アンモニウム 6.0(質量%)
ラウレス-6カルボン酸 2.0(質量%)
エチルヘキシルグリセリン 1.0(質量%)
プロピレングリコール 6.0(質量%)
ポリクオタニウム-10(*1) 0.01(質量%)
ポリクオタニウム-39(*2) 0.05(質量%)
PEG-150 1.00(質量%)
水酸化ナトリウム 適量(ハンドソープがpH6.0となる量)
乳酸 適量(ハンドソープがpH6.0となる量)
安息香酸ナトリウム 0.3(質量%)
EDTA-2Na 0.2(質量%)
香料 0.1(質量%)
精製水 バランス
合計 100(質量%)
【0083】
(*1)カチセロ M-80(花王社製)
(*2)MERQUAT 3940(Lubrizol社製)