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特開2024-76950エステル及び/又はセラミドを含む唇用化粧料組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076950
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】エステル及び/又はセラミドを含む唇用化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/63 20060101AFI20240530BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20240530BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20240530BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20240530BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
A61K8/63
A61K8/04
A61Q1/04
A61K8/92
A61K8/37
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023089916
(22)【出願日】2023-05-31
(31)【優先権主張番号】10-2022-0160297
(32)【優先日】2022-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0068659
(32)【優先日】2023-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0069358
(32)【優先日】2023-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】506213681
【氏名又は名称】アモーレパシフィック コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
【住所又は居所原語表記】100, Hangang-daero, Yongsan-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム, キョン ジン
(72)【発明者】
【氏名】ユ, ジェウォン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC022
4C083AC032
4C083AC072
4C083AC212
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC341
4C083AC342
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC391
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC582
4C083AC641
4C083AC642
4C083AD152
4C083AD392
4C083AD491
4C083AD492
4C083AD532
4C083AD632
4C083AD662
4C083BB11
4C083CC05
4C083CC13
4C083DD11
4C083DD39
4C083EE01
4C083EE11
(57)【要約】
【課題】含水と遮蔽がともに可能であり、保湿力に優れた唇用化粧料組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、動物性原料であるラノリンを排除し、且つ高含量のセラミドを安定化して、保湿持続とともに唇の角質改善が可能な唇用化粧料組成物に関し、ラノリン類似物を含むことで、含水能と遮蔽力を併せ持つことができ、且つラノリンよりも優れた効果を示しながらも、動物実験抜き(cruelty-free)の基調に符合することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部と第2部のうちの1つ以上を含む、唇用化粧料組成物であって、
前記第1部は、
炭素数10以上の脂肪酸とステロールとのエステル化合物である第1エステル;
炭素数10以上の脂肪酸と炭素数10以上の脂肪酸アルコールとのエステル化合物、又はこれを含むロウ、油又はバターである第2エステル;及び
炭素数10以上の脂肪酸と炭素数3~8の分岐鎖アルコールとのエステル化合物、又は炭素数10以上の脂肪酸とポリアルコールとのエステル化合物である第3エステル;を含み、
前記第2部は、
セラミド;及び
炭素数14~22の脂肪酸;を含む、唇用化粧料組成物。
【請求項2】
前記第1エステルの炭素数10以上の脂肪酸は、直鎖、分岐鎖、飽和、不飽和又は-OHを有する脂肪酸であり、ステロールは、コレステロール又はフィトステロールであり、
前記第2エステルの炭素数10以上の脂肪酸は、直鎖、分岐鎖、飽和、不飽和、又は-OHを有する脂肪酸であり、
前記第3エステルの炭素数10以上の脂肪酸は、-OHを有する脂肪酸である、請求項1に記載の唇用化粧料組成物。
【請求項3】
前記第1エステルは、C10-40のヒドロキシアルキル酸コレステロールエステル、
C10-40のイソアルキル酸コレステロールエステル、
C10-40のイソアルキル酸フィトステロールエステル、
クランベアビシニカ種子油フィトステロールエステル、
マカダミアテルニフォリア種子油フィトステロールエステル、
ヒドロキシステアリン酸コレステリル、
イソステアリン酸コレステリル、
マカダミア酸コレステリル、
ステアリン酸コレステリル、
ホホバ油/マカダミア種子油フィトステリルエステルズ、
カノラ油脂肪酸フィトステリル、
ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、
イソステアリン酸フィトステリル、
マカダミア酸フィトステリル、
オレイン酸フィトステリル、
米ぬか油脂肪酸フィトステリル、
リシノール酸フィトステリル、
ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル、
ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、及び
ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)からなる群より選択される1種以上であり、
前記第2エステルは、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、
ヤシ脂肪酸デシル、
ミリスチン酸ミリスチル、
ステアリン酸セチル、
ホホバ脂、
ホホバエステル、
ヒドロキシステアリン酸(ヘキシルドデシル/オクチルデシル)、
ヒドロキシステアリン酸イソデシル、
ヒドロキシステアリン酸イソステアリル、
ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、
コメヌカロウ、
水添ヒマシ油、
カルナウバロウ、
ヒマワリ種子ロウ、
キャンデリラロウ、
水添ホホバ油、
ウルシ果皮ロウ、
水添コメヌカ油、
水添オリーブ油ステアリルエステルズ、
水添野菜油、
水添オリーブ油デシルエステルズ、
アストロカリウムムルムル種子脂、
カカオ脂、
水添ココグリセリル、及び
マンゴー種子脂からなる群より選択される1種以上であり、
前記第3エステルは、ポリヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、
ポリヒドロキシステアリン酸イソオクチル、
ステアリン酸グリセリル、
ステアリン酸プロパンジオール、
ヒドロキシステアリン酸グリセリル、
(ヒドロキシステアリン酸/オレイン酸)グリセリルエステルズ、
ヒドロキシステアリン酸プロピレングリコール、及び
ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシルからなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の唇用化粧料組成物。
【請求項4】
前記第1部の全重量を基準として、
第1エステル20~55重量%;
第2エステル10~40重量%;及び
第3エステル10~40重量%;を含む、請求項1に記載の唇用化粧料組成物。
【請求項5】
前記セラミドは、天然セラミド及び疑似セラミドからなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の唇用化粧料組成物。
【請求項6】
前記セラミドは、唇用化粧料組成物の全重量を基準に0.001~5.0重量%である、請求項1に記載の唇用化粧料組成物。
【請求項7】
前記炭素数14~22の脂肪酸は、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、及びベヘン酸からなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の唇用化粧料組成物。
【請求項8】
前記セラミドと炭素数14~22の脂肪酸との重量比は、1:5~20:1である、請求項1に記載の唇用化粧料組成物。
【請求項9】
前記第2部は、コレステロール;をさらに含む、請求項1に記載の唇用化粧料組成物。
【請求項10】
前記炭素数14~22の脂肪酸とコレステロールとの重量比は、1:10~10:1である、請求項9に記載の唇用化粧料組成物。
【請求項11】
前記第1部と第2部との重量比は、1:5~5:1である、請求項1に記載の唇用化粧料組成物。
【請求項12】
当該唇用化粧料組成物は、油分散剤形である、請求項1に記載の唇用化粧料組成物。
【請求項13】
当該唇用化粧料組成物は、唇の保湿用である、請求項1に記載の唇用化粧料組成物。
【請求項14】
当該唇用化粧料組成物は、唇の角質管理用である、請求項1に記載の唇用化粧料組成物。
【請求項15】
リップスティック、リップグロス、リップティント又はリップクリーム剤形である、請求項1に記載の唇用化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書には、エステル及び/又はセラミドを含む唇用化粧料組成物が開示される。
【背景技術】
【0002】
保湿は大きく遮蔽と湿潤からアプローチする。そして、遮蔽は高分子やオイルから、湿潤はポリオールなどからアプローチすることができる。
【0003】
しかし、普遍的なスティックタイプの組成物、すなわち無水剤形や油分散化粧料組成物の場合、遮蔽のみを図る場合がほとんどであり、乳化をする場合は遮蔽力が急減する傾向がある。
【0004】
そこで、含水能のあるペースト、すなわち含水と遮蔽がともにできる有用性物質があれば、水分量をより豊富に且つ長持ちできることを期待し得る。含水と遮蔽がともにできる代表的な物質は「ラノリン」であって、羊毛から抽出する成分であるため長い間用いられてきた成分である。しかしながら、最近の動物実験抜き(cruelty-free)の基調に従い、動物実験の排除だけでなく、動物性成分を化粧品から排除しているため、その代替剤が必要である。
【0005】
一方、唇の角質ケアは、ほとんどの場合、唇の角質を浸した後にウェットティッシュなどで押し出して剥がす美容法で行うのが一般的であるが、このようなケアではしばしば唇の角質がちぎれながら傷ができる場合が生じ得る。
【0006】
一般的に健康な角質を持つ唇の場合、角質の多い唇に比べてセラミドプロファイル(profile)が異なり、これを克服するためにセラミドが含まれた化粧品組成物が唇の角質管理に役立つことがある。しかしながら、大半の唇用化粧料組成物は、セラミドの析出のためppm単位で安定化する場合がほとんどであった。
【0007】
したがって、保湿成分に優れるともに、セラミドの高含量且つ安定化が可能な組成物の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004-131457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一側面において、含水と遮蔽がともに可能であり、保湿力に優れた唇用化粧料組成物を提供することを目的とする。
【0010】
本発明の一側面において、高濃度のセラミドを含みながらも安定化した唇用化粧料組成物を提供することを目的とする。
【0011】
本発明の一側面において、ラノリン類似物とセラミドの高含量且つ安定化により、優れた保湿持続力と角質ケアが可能な唇用化粧料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一側面において、本明細書は、第1部と第2部のうちの1つ以上を含む唇用化粧料組成物であって、
前記第1部は、
炭素数10以上の脂肪酸とステロールとのエステル化合物である第1エステル;
炭素数10以上の脂肪酸と炭素数10以上の脂肪酸アルコールとのエステル化合物、又はそれを含むロウ、油又はバターである第2エステル;及び
炭素数10以上の脂肪酸と炭素数3~8の分岐鎖アルコールとのエステル化合物、又は炭素数10以上の脂肪酸とポリアルコールとのエステル化合物である第3エステル;を含み、
前記第2部は、
セラミド;及び
炭素数14~22の脂肪酸;を含む、唇用化粧料組成物を提供する。
【発明の効果】
【0013】
一側面において、本明細書に開示される唇用化粧料組成物は、ラノリン類似物を含み、含水能と遮蔽力を併せ持つことができる。
【0014】
他の一側面において、本明細書に開示された唇用化粧料組成物は、高含量のセラミドを安定化して、唇の角質ケアをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施例に係る組成物の保湿持続力を測定した結果を示す図である。
図2】本発明の一実施例に係る組成物の使用3時間後の水分量の変化率を水分測定器(corneometer)で測定して、市販製品と比較した結果を示したものである。
図3a】本発明の一実施例に従い製造された唇用組成物のスティック型の外観析出画像を示したものである。
図3b】本発明の一実施例に従い製造された唇用組成物のスティック型の外観析出画像を示したものである。
図3c】本発明の一実施例に従い製造された唇用組成物のスティック型の外観析出画像を示したものである。
図3d】本発明の一実施例に従い製造された唇用組成物のスティック型の外観析出画像を示したものである。
図4】本発明の一実施例に係る唇の角質観察結果である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、下記の実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。なお、下記の実施例は、本発明の理解を助けるために例示の目的のみで提供されたものであり、本発明の範疇及び範囲がこれに限定されるものではない。
【0017】
唇用化粧料組成物
本発明の例示的な具現例において、第1部及び第2部のうちの1つ以上を含む唇用化粧料組成物であって、前記第1部は、炭素数10以上の脂肪酸とステロールとのエステル化合物である第1エステル;炭素数10以上の脂肪酸と炭素数10以上の脂肪酸アルコールとのエステル化合物、又はこれを含むロウ、油又はバターである第2エステル;及び炭素数10以上の脂肪酸と炭素数3~8の分岐鎖アルコールとのエステル化合物、又は炭素数10以上の脂肪酸とポリアルコールとのエステル化合物である第3エステル;を含み、前記第2部は、セラミド;及び炭素数14~22の脂肪酸;を含む、唇用化粧料組成物を提供する。
【0018】
本発明の他の例示的な具現例において、第1部及び第2部のうちの1つ以上を含む組成物であって、前記第1部は、炭素数10以上の脂肪酸とステロールとのエステル化合物である第1エステル;炭素数10以上の脂肪酸と炭素数10以上の脂肪酸アルコールとのエステル化合物、又はそれを含むロウ、油又はバターである第2エステル;及び炭素数10以上の脂肪酸と炭素数3~8の分岐鎖アルコールとのエステル化合物、又は炭素数10以上の脂肪酸とポリアルコールとのエステル化合物である第3エステル;を含み、前記第2部は、セラミド;及び炭素数14~22の脂肪酸;を含む、唇の角質ケア用化粧料組成物を製造するための、第1部及び第2部のうちの1つ以上を含む組成物の用途を提供する。
【0019】
第1部において、ラノリンは羊毛から抽出した成分であって、含水能と遮蔽力を併せ持つという特徴がある。しかしながら、保湿に有利な特性を持つラノリンは動物性原料であるため、当業界の動物実験抜き(cruelty-free)の基調に従い、その使用が控えられている。このため、含水能を有する様々な原料が導入されてきたが、その保湿持続効果はラノリンに及ぶものではなかった。
【0020】
そこで、本開示では、非動物性に該当する成分を組み合わせて、ラノリンよりも優れた効果を示しながらも、動物実験抜き(cruelty-free)の基調に符合することができる唇用化粧料組成物を開示する。
【0021】
第2部において、唇の角質を浸してウェットティッシュなどで剥がす美容法では、しばしば唇の角質がちぎれて傷ができる場合が多い。したがって、健康な唇のセラミドプロファイルが、角質の多い(損傷した)唇と異なる点に着目して、逆に本開示のようにセラミドを安定化した組成物を用いてセラミドプロファイル(profile)を正常化すれば、唇の角質を傷つけながら剥がす必要がなく、角質のコンディションが健康なものに変わることが望まれ得る。
【0022】
一具現例において、前記第1エステルの炭素数10以上の脂肪酸は、直鎖、分岐鎖、飽和、不飽和又は-OHを有する脂肪酸であってよく、ステロールは、コレステロール又はフィトステロールであってよく、前記第2エステルの炭素数10以上の脂肪酸は、直鎖、分岐鎖、飽和、不飽和又は-OHを有する脂肪酸であってよく、前記第3エステルの炭素数10以上の脂肪酸は、-OHを有する脂肪酸であってよい。
【0023】
一具現例において、前記第1エステルの炭素数10以上の脂肪酸は、炭素数10以上~80の脂肪酸であってよい。
【0024】
一具現例において、前記第2エステルの炭素数10以上の脂肪酸は、炭素数10~80の脂肪酸であってよい。
【0025】
一具現例において、前記第1エステルは、C10-40のヒドロキシアルキル酸コレステロールエステル、
C10-40のイソアルキル酸コレステロールエステル、
C10-40のイソアルキル酸フィトステロールエステル、
クランベアビシニカ種子油フィトステロールエステル、
マカダミアテルニフォリア種子油フィトステロールエステル、
ヒドロキシステアリン酸コレステリル、
イソステアリン酸コレステリル、
マカダミア酸コレステリル、
ステアリン酸コレステリル、
ホホバ油/マカダミア種子油フィトステリルエステルズ、
カノラ油脂肪酸フィトステリル、
ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、
イソステアリン酸フィトステリル、
マカダミア酸フィトステリル、
オレイン酸フィトステリル、
米ぬか油脂肪酸フィトステリル、
リシノール酸フィトステリル、
ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル、
ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、及び
ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)からなる群より選択される1種以上であってよく、
前記第2エステルは、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、
ヤシ脂肪酸デシル、
ミリスチン酸ミリスチル、
ステアリン酸セチル、
ホホバ脂、
ホホバエステル、
ヒドロキシステアリン酸(ヘキシルドデシル/オクチルデシル)、
ヒドロキシステアリン酸イソデシル、
ヒドロキシステアリン酸イソステアリル、
ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、
コメヌカロウ、
水添ヒマシ油、
カルナウバロウ、
ヒマワリ種子ロウ、
キャンデリラロウ、
水添ホホバ油、
ウルシ果皮ロウ、
水添コメヌカ油、
水添オリーブ油ステアリルエステルズ、
水添野菜油、
水添オリーブ油デシルエステルズ、
アストロカリウムムルムル種子脂、
カカオ脂、
水添ココグリセリル、及び
マンゴー種子脂からなる群より選択される1種以上であってよく、
前記第3エステルは、ポリヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、
ポリヒドロキシステアリン酸イソオクチル、
ヒドロキシステアリン酸グリセリル、
ステアリン酸グリセリル、
ステアリン酸プロパンジオール、
(ヒドロキシステアリン酸/オレイン酸)グリセリルエステルズ、
ヒドロキシステアリン酸プロピレングリコール、及び
ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシルからなる群より選択される1種以上であってよい。
【0026】
一具現例において、前記第1部の全重量を基準として、第1エステル20~55重量%;第2エステル10~40重量%;及び第3エステル10~40重量%を含んでよい。
【0027】
一方、唇用化粧料組成物は、セラミドの析出のためppm単位で安定化する場合がほとんどであり、一般的に油分散剤形である物質を安定化するためには、剤形自体の流動度を下げることが有利であり、通常は、室温で流動性のない固体を過剰に入れたり、分子量の大きい高分子を入れたりして安定化することができる。しかし、セラミドの場合、結晶性が非常に高く、それなりのワックス類を入れて流動性を抑制するとしても、セラミド同士が固まってすぐに結晶を形成する。
【0028】
したがって、本開示では、セラミドを安定化するために、一般のワックス類ではない脂肪酸、特にC14~C22の脂肪酸、すなわちミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、及びベヘン酸などを一緒に含めてセラミドを高含量で含んでよい。
【0029】
一具現例において、前記セラミドは、天然セラミド及び疑似セラミドからなる群より選択される1種以上であってよい。
【0030】
前記天然セラミドは、細胞間脂質から確認できる総計12種(セラミド1、セラミド2、セラミド3、セラミド4、セラミド5、セラミド6、セラミド7、セラミド8、セラミド9、セラミド10、セラミド11、セラミドEodSなどを含んでよい。前記疑似セラミドは、ヒドロキシプロピルビスラウラミドMEA、ヒドロキシプロピルビスパルミタミドMEA、ヒドロキシプロピルビスステアラミドMEA(HYDROXYPROPYL BISLAURAMIDE MEA、HYDROXYPROPYL BISPALMITAMIDE MEA、Hydroxypropyl Bisstearamide MEA)などを含むが、これらに限定されず、その他、天然セラミドの構造である二重鎖ラメラ構造を有し得る化合物をいずれも総称する。
【0031】
一具現例において、前記セラミドは、唇用化粧料組成物の全重量を基準に0.001~5.0重量%であってよい。例えば、前記セラミドの含量は、唇用化粧料組成物の全重量を基準に0.001重量%以上、0.01重量%以上、0.1重量%以上、0.2重量%以上、0.3重量%以上、0.4重量%以上、0.5重量%以上、1重量%以上、1.5重量%以上、2重量%以上、2.5重量%以上であってもよく、5重量%以下、4.5重量%以下、4重量%以下、3.5重量%以下、3重量%以下、2.5重量%以下、2重量%以下、1.5重量%以下、1重量%以下であってもよい。
【0032】
一具現例において、前記炭素数14~22の脂肪酸は、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、及びベヘン酸からなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0033】
一具現例において、前記セラミドと炭素数14~22の脂肪酸との重量比は、1:5~20:1であってもよい。例えば、前記重量比は、1:5~20:1、1:5~15:1、1:5~10:1、1:5~5:1、1:4~4:1、1:3~3:1、又は1:2~2:1であってもよい。セラミドと脂肪酸との重量比が20:1を超えて、例えば、30:1である場合、脂肪酸が不足して後でセラミドが析出するなど安定化しないことがある。
【0034】
一具現例において、前記第2部は、コレステロール;をさらに含んでよい。本開示において、コレステロールを第2部にさらに含むことで組成物全体をさらに安定化することができる。
【0035】
一具現例において、前記炭素数14~22の脂肪酸とコレステロールとの重量比は、1:10~10:1であってよい。例えば、前記重量比は、1:10~10:1、1:9~9:1、1:8~8:1、1:7~7:1、1:6~6:1、1:5~5:1、1:4~4:1、1:3~3:1、又は1:2~2:1であってもよい。
【0036】
例えば、脂肪酸とコレステロールとの重量比が1:10未満でコレステロールが1:11といったように過剰に含まれる場合、剤形をゲル化させすぎ、コレステロール特有の臭いが発生することがある。また、脂肪酸とコレステロールとの重量比が10:1超で脂肪酸が11:1といったように過剰に含まれる場合、析出の問題が解決しないことがある。
【0037】
一具現例において、前記第1部と第2部との重量比は、1:5~5:1であってよい。例えば、前記重量比は、1:5~5:1、1:4~4:1、1:3~3:1、又は1:2~2:1であってもよい。
【0038】
一具現例において、前記唇用化粧料組成物の場合、化粧料組成物は化粧品学的又は皮膚科学的に許容可能な媒体又は基剤を含有してよい。これは局所適用に適合したあらゆる剤形で、例えば、溶液、ゲル、固体、練り無水生成物、水相に油相を分散させて得たエマルジョン、懸濁液、マイクロエマルジョン、マイクロカプセル、微細顆粒球若しくはイオン型(リポソーム)及び非イオン型の小胞分散剤の形態で、又はクリーム、スキン、ローション、パウダー、軟膏、スプレー若しくはコンシールスティックの形態で提供されてよい。これらの組成物は、当該分野の通常的な方法に従い製造されてよい。本発明に係る組成物は、泡沫(foam)の形態で、又は圧縮された推進剤をさらに含有したエアロゾル組成物の形態でも用いられてよい。
【0039】
本発明の一実施例に係る前記化粧料組成物は、その剤形において特に限定されるものではなく、例えば、柔軟化粧水、収斂化粧水、栄養化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、アイクリーム、アイエッセンス、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、前記化粧料組成物を含むクレンジングティッシュ、パック、パウダー、ボディローション、ボディクリーム、ボディオイル及びボディエッセンスなどの化粧品に剤形化されてよい。
【0040】
本発明の剤形がペースト、クリーム又はゲルである場合には、担体成分として、動物繊維、植物繊維、ロウ、パラフィン、澱粉、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルク、又は酸化亜鉛などが用いられてよい。
【0041】
本発明の剤形がパウダー又はスプレーである場合には、担体成分として、ラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケート、又はポリアミドパウダーが用いられてよく、特に、スプレーである場合には、さらにクロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタン、又はジメチルエーテルといった推進体を含んでよい。
【0042】
本発明の剤形が溶液又は乳濁液である場合には、担体成分として、溶媒、溶媒和剤、又は乳濁化剤が用いられてよく、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール、又はソルビタンの脂肪酸エステルが挙げられる。
【0043】
本発明の剤形が懸濁液である場合には、担体成分として、水、エタノール、又はプロピレングリコールといった液状希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル、及びポリオキシエチレンソルビタンエステルといった懸濁剤、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガー、又はトラガカントなどが用いられてよい。
【0044】
本発明の剤形が界面活性剤含有クレンジングである場合には、担体成分として、脂肪族アルコールスルフェート、脂肪族アルコールエーテルスルフェート、スルホコハク酸モノエステル、イセチオネート、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルスルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、リノリン誘導体、又はエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどが用いられてよい。
【0045】
本発明の一実施例に係る唇用化粧料組成物には、機能性添加物及び一般的な化粧料組成物に含まれる成分がさらに含まれてよい。前記機能性添加物としては、水溶性ビタミン、油溶性ビタミン、高分子ペプチド、高分子多糖、スフィンゴ脂質、及び海藻エキスからなる群より選択された成分を含んでよい。
【0046】
本発明に係る唇用化粧料組成物には、さらに、前記機能性添加物とともに、必要に応じて、一般的な化粧料組成物に含まれる成分を配合してもよい。その他に含まれる配合成分としては、油脂成分、保湿剤、エモリエント剤、界面活性剤、有機及び無機顔料、有機粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、植物抽出物、pH調整剤、アルコール、色素、香料、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、精製水などが挙げられる。
【0047】
本発明の実施例に係る化粧料組成物は、リップスティック、リップグロス、リップティント又はリップクリーム剤形などの様々な剤形の化粧料に適用されてよいが、これらに限定されない。
【0048】
一具現例において、前記唇用化粧料組成物は、油分散剤形であってよい。本開示では、油分散剤形でも、セラミドを安定化して唇の角質を管理することができる。
【0049】
一具現例において、前記唇用化粧料組成物は、唇の保湿用であってよい。
【0050】
一具現例において、前記唇用化粧料組成物は、唇の角質管理用であってよい。
【0051】
一具現例において、前記唇用化粧料組成物は、リップスティック、リップグロス、リップティント又はリップバーム剤形であってよい。
【0052】
実施例
<実験方法>
下記の実施例又は実験例で用いられた機器名は以下のとおりである。
1.経時的な「水分量」を測定した装備
- モデル名:Moisture Checker MY-808S
- 製造元:Scalar
*測定方法:絶対的な水分量の測定後にその変化量を測定(plot)
【0053】
2.「使用3時間後の変化率」を測定した装備
- モデル名:Corneometer CM825 WL
- 製造元:C+K.ドイツ
*含量計算法:[試料塗布部位(Tdi-Td0)/Td0×100]-[無処置部位(Ntdi-Ntd0)/Ntd0×100]
Tdi:試料塗布部位の、i時間後の水分量測定値の平均値
Td0:試料塗布部位の、塗布前の水分量測定値の平均値
Ntdi:無処置(未塗布)部位の、i時間後の水分量測定値の平均値
Ntd0:無処置(未塗布)部位の、塗布前の水分量測定値の平均
【0054】
<実験例1> ラノリン類似物の保湿持続力テスト
下記の表1~3に表すように、ラノリンの主要構成成分系列を参考して、ラノリン類似物である第1部に含まれ得る第1~第3エステルを組み合わせた。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
前記したような表1~3の第1エステル~第3エステルに基づいて下記の表4のようにラノリン類似物である試料1~3を製造し、市販中のラノリン誘導体である試料4及び5と共に保湿力持続実験を行った。下記表4の成分はいずれもスティック剤形の唇用化粧料剤形を作製する通常の方法にてワックスとオイルなどが含まれる全ての成分を一度に秤量した後、ワックス融点以上の温度で製造し、均一に混合した。
【0059】
【表4】
【0060】
図1のグラフを参照すると、ラノリンの類似物である剤形(試料1~3)が市販中のラノリン誘導体である試料4、5よりも優れた保湿持続力(3時間)を示すことを確認することができた。
【0061】
また、通常、剤形の粘度、硬度が高くなるほど保湿持続力は向上する傾向にある。しかし、本開示の実施例によれば、試料1に比べて試料2、3のほうがより柔らかいゲル状態であるが、実際の保湿持続力は試料1に比べて優れた結果を示した。つまり、性状に比べて保湿持続力に優れた組み合わせを見出すことができた。
【0062】
また、このような類似物の組み合わせを選択して無水剤形、特にスティック剤形の組成物を調製する場合、延展性を阻害することなく優れた保湿持続力を示すことが確認できた。
【0063】
使用3時間後の変化率を示した図2を参照すると、市販中のラノリン誘導体(試料4、5)だけでなく、ラノリンをターゲットにして(ラノリン誘導体を含む)市販中の市販製品1及び2に比べても、統計的に有意且つ優れた保湿持続力を示すことを確認することができた。
【0064】
<実験例2> セラミドの安定化
下記の表5に表すように、セラミドを入れていない、又はセラミドだけを入れた、又はセラミドと共にこれを安定化することができる種々の原料を入れてなる試料を製造した。これらの試料は油分散スティック内でセラミドを安定化するためにテストした組成物の処方である。つまり、セラミドの他にも、ロウ、油、ペーストなどの通常的に油分散スティック剤形中に入る原料を含んで製造した。
【0065】
【表5】
【0066】
図3a~3dを参照すると、セラミドが安定化していない場合、スティックの外観に白色の粒が析出することを確認することができた。
【0067】
図3aは、試料7に関するものであって、セラミドが含まれていないため析出現象が発生しておらず、図3bは、試料10に関するものであって、セラミドを含んでいるものの、安定化していてセラミド結晶が析出していないことを確認することができる。
【0068】
また、試料11~15の場合においてもセラミドの析出が見られないことを確認することができ、試料8及び試料16~20の場合においては、様々な安定化のための手立てが適用されたものの、図3c及び図3dに示すように外観上への析出を目視にて確認することができた。すなわち、脂肪酸を適正の割合で含むか、コレステロールを共に含む場合、セラミドが安定化して析出が見られないのに対し、高い溶解度を有するオイル、安定化ペースト、ゲル化剤又は不定形ワックスなどの安定化手段を用いてもセラミドの析出が発生することが分かる。
【0069】
また、試料9のように脂肪酸が十分でない場合、長期保管時にセラミドの析出が発生することがあり、その場合、図3c及び図3dに示すように白色の粒が析出することを確認することができる。
【0070】
<実験例3> ラノリン類似物及びセラミド安定化組成物による角質管理
下記の表6に表すように、ラノリン類似物とセラミドを含まない唇用化粧料組成物と、これらの両方を含む唇用化粧料組成物のサンプルを用いて、唇への塗布後の角質管理の有無を観察した。
【0071】
【表6】
【0072】
表6の試料21の唇用化粧料組成物と試料22の唇用化粧料組成物を唇に塗布後の結果を図4に示した。
【0073】
具体的には、n=10、30代の女性10名に対してテストを行い、左・右の唇にそれぞれの試験製品と試料21及び22を3回往復塗布し、3日以上使用させた。
【0074】
図4中の画像は、その差が最も顕著に現れた一人の画像である。
【0075】
図4中の点線の右側は、試料21の唇用化粧料組成物を塗布した結果であり、点線の左側は、試料22の本発明の一実施例に係る唇用化粧料組成物を塗布した結果である。
【0076】
図4を参照すると、ラノリン類似物とセラミドが含まれた組成物は、角質コンディションが正常化して傷がないのに対し、ラノリン類似物とセラミドを含まない組成物の場合、角質がちぎれるように除去されて微細な傷ができることが分かった。
【0077】
<実験例4> 30時間保湿持続力テスト
前記ラノリン類似物と安定化したセラミドを含む唇用化粧料組成物(以下、試験製品)を調製し、該調製した唇用化粧料組成物を満20~39歳の女性33名に適用し、使用前に比べての経時的な保湿持続力を測定した。
【0078】
まず、テストのための唇用化粧料組成物の全成分は下記の通りである。
ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物、ジパルミトイルヒドロキシプロリン、ジフェニルジメチコン、月見草オイル、レモン果皮オイル、リナロール、リモネン、セラミドNP、センテッドゼラニウム花オイル、スクワラン、ステアリン酸、シトラール、シトロネロール、エチルヘキシルヒドロキシステアリン酸エチル、(オレイン酸/リノール酸/リノレン酸)ポリグリセリズ、ゲラニオール、カナウバロウ、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、コレステロール、イソステアリン酸コレステリル、トコフェロール、パルミチン酸、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ポリヒドロキシステアリン酸、フィトステロール、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、水添ロジン、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、ヒマワリ種子ロウ、ホホバエステル、及び色素。
【0079】
測定方法及び結果は下記の通りである。
1)試験対象者:20~39歳の成人女性(n=33、平均30.424±5.712)
2)試験期間:使用前、使用直後、使用8時間後、使用24時間後、使用30時間後
3)試験試料:MHRL22004
4)試験部位:左前膊部
5)試験項目:30時間保湿持続力
6)結果要約
【0080】
*30時間保湿持続力(A.U.)
i)試験製品の使用部位
-使用前に比べて、使用直後53.517%、使用8時間後36.226%、使用24時間後21.005%、使用30時間後14.904%と有意に増加(p<0.05)した。
-使用直後に比べて、使用8時間後11.263%、使用24時間後21.178%、使用30時間後25.152%と有意に減少(p<0.05)した。
【0081】
ii)無塗布部位
-使用前に比べて、使用直後、使用8時間後、使用24時間後、使用30時間後の段階で有意な変化が現れなかった。
-使用直後に比べて、使用直後、使用8時間後、使用24時間後、使用30時間後の段階で有意な変化が現れなかった。
【0082】
iii)Group*time
-試験製品の使用部位は、無塗布部位に比べて、使用前に対して使用直後、使用8時間後、使用24時間後、使用30時間後に有意な差(p<0.05)が現れた。
-使用直後に比べて、使用8時間後、使用24時間後、使用30時間後に有意な差(p<0.05)が現れた。
【0083】
*自己採点(Index 0~10、0~4:否定、5:中立、6~10:肯定)
【0084】
1.30時間保湿持続力
- 使用前に比べて、使用直後98.463%、使用8時間後53.426%と有意に増加(p<0.05)し、使用24時間後、使用30時間後には有意な変化がなかった。使用直後に比べて、使用8時間後22.693%、使用24時間後38.469%、使用30時間後44.232%と有意に減少(p<0.05)した。
- 使用前平均3.970点、使用直後平均7.879点、使用8時間後平均6.091点、使用24時間後平均4.848点、使用30時間後平均4.394点と認知した。
- 使用前に比べて、使用直後39.090%、使用8時間後21.210%の改善差が現れた。
- 試験を終了した33名の試験対象者が試験製品を使用中に副作用の報告はなかった。
【0085】
実験の結果、30時間以上の保湿持続力を示すことを確認することができた。試験製品の使用部位は、無塗布部位に比べて、使用前に対して使用直後、使用8時間後、使用24時間後、使用30時間後に有意な差(p<0.05)が現れた。
【0086】
前記したような実験例3及び4から分かるように、本発明の一実施例に係る唇用化粧料組成物は、保湿と角質ケアの両方で優れた効果を奏することを確認することができた。
【0087】
具体例
具体例1:第1部及び第2部のうちの1つ以上を含む唇用化粧料組成物であって、
前記第1部は、
炭素数10以上の脂肪酸とステロールとのエステル化合物である第1エステル;
炭素数10以上の脂肪酸と炭素数10以上の脂肪酸アルコールとのエステル化合物、又はこれを含むロウ、油又はバターである第2エステル;及び
炭素数10以上の脂肪酸と炭素数3~8の分岐鎖アルコールとのエステル化合物、又は炭素数10以上の脂肪酸とポリアルコールとのエステル化合物である第3エステル;を含み、
前記第2部は、
セラミド;及び
炭素数14~22の脂肪酸;を含む、唇用化粧料組成物。
【0088】
具体例2:前記第1エステルの炭素数10以上の脂肪酸は、直鎖、分岐鎖、飽和、不飽和又は-OHを有する脂肪酸であり、ステロールは、コレステロール又はフィトステロールであり、
前記第2エステルの炭素数10以上の脂肪酸は、直鎖、分岐鎖、飽和、不飽和、又は-OHを有する脂肪酸であり、
前記第3エステルの炭素数10以上の脂肪酸は、-OHを有する脂肪酸である、具体例1に記載の唇用化粧料組成物。
【0089】
具体例3:前記第1エステルは、C10-40のヒドロキシアルキル酸コレステロールエステル、
C10-40のイソアルキル酸コレステロールエステル、
C10-40のイソアルキル酸フィトステロールエステル、
クランベアビシニカ種子油フィトステロールエステル、
マカダミアテルニフォリア種子油フィトステロールエステル、
ヒドロキシステアリン酸コレステリル、
イソステアリン酸コレステリル、
マカダミア酸コレステリル、
ステアリン酸コレステリル、
ホホバ油/マカダミア種子油フィトステリルエステルズ、
カノラ油脂肪酸フィトステリル、
ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、
イソステアリン酸フィトステリル、
マカダミア酸フィトステリル、
オレイン酸フィトステリル、
米ぬか油脂肪酸フィトステリル、
リシノール酸フィトステリル、
ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル、
ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、及び
ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)からなる群より選択される1種以上であり、
前記第2エステルは、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、
ヤシ脂肪酸デシル
ミリスチン酸ミリスチル、
ステアリン酸セチル
ホホバ脂、
ホホバエステル、
ヒドロキシステアリン酸(ヘキシルドデシル/オクチルデシル)、
ヒドロキシステアリン酸イソデシル、
ヒドロキシステアリン酸イソステアリル、
ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、
コメヌカロウ、
水添ヒマシ油、
カルナウバロウ、
ヒマワリ種子ロウ、
キャンデリラロウ、
水添ホホバ油、
ウルシ果皮ロウ、
水添コメヌカ油、
水添オリーブ油ステアリルエステルズ、
水添野菜油、
水添オリーブ油デシルエステルズ、
アストロカリウムムルムル種子脂、
カカオ脂、
水添ココグリセリル、及び
マンゴー種子脂からなる群より選択される1種以上であり、
前記第3エステルは、ポリヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、
ポリヒドロキシステアリン酸イソオクチル、
ステアリン酸グリセリル、
ステアリン酸プロパンジオール、
ヒドロキシステアリン酸グリセリル、
(ヒドロキシステアリン酸/オレイン酸)グリセリルエステルズ、
ヒドロキシステアリン酸プロピレングリコール、及び
ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシルからなる群より選択される1種以上である、具体例1又は2に記載の唇用化粧料組成物。
【0090】
具体例4:前記第1部の全重量を基準として、
第1エステル20~55重量%;
第2エステル10~40重量%;及び
第3エステル10~40重量%;を含む、具体例1~3のいずれかに記載の唇用化粧料組成物。
【0091】
具体例5:前記セラミドは、天然セラミド及び疑似セラミドからなる群より選択される1種以上である、具体例1~4のいずれかに記載の唇用化粧料組成物。
【0092】
具体例6:前記セラミドは、唇用化粧料組成物の全重量を基準に0.001~5.0重量%である、具体例1~5のいずれかに記載の唇用化粧料組成物。
【0093】
具体例7:前記炭素数14~22の脂肪酸は、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、及びベヘン酸からなる群より選択される1種以上である、具体例1~6のいずれかに記載の唇用化粧料組成物。
【0094】
具体例8:前記セラミドと炭素数14~22の脂肪酸との重量比は、1:5~20:1である、 具体例1~7のいずれかに記載の唇用化粧料組成物。
【0095】
具体例9:前記第2部は、コレステロール;をさらに含む、具体例1~8のいずれかに記載の唇用化粧料組成物。
【0096】
具体例10:前記炭素数14~22の脂肪酸とコレステロールとの重量比は、1:10~10:1である、具体例1~9のいずれかに記載の唇用化粧料組成物。
【0097】
具体例11:前記第1部と第2部との重量比は、1:5~5:1である、具体例1~10のいずれかに記載の唇用化粧料組成物。
【0098】
具体例12:当該唇用化粧料組成物は、油分散剤形である、具体例1~11のいずれかに記載の唇用化粧料組成物。
【0099】
具体例13:当該唇用化粧料組成物は、唇の保湿用である、具体例1~12のいずれかに記載の唇用化粧料組成物。
【0100】
具体例14:当該唇用化粧料組成物は、唇の角質ケア用である、具体例1~13のいずれかに記載の唇用化粧料組成物。
【0101】
具体例15:リップスティック、リップグロス、リップティント又はリップクリーム剤形である、具体例1~14のいずれかに記載の唇用化粧料組成物。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図4
【外国語明細書】