(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076953
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】PVD装置を動作させる方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/34 20060101AFI20240530BHJP
C23C 14/02 20060101ALI20240530BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
C23C14/34 R
C23C14/02 B
H01L21/88 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023134643
(22)【出願日】2023-08-22
(31)【優先権主張番号】2217714.1
(32)【優先日】2022-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】512221197
【氏名又は名称】エスピーティーエス テクノロジーズ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スコット ヘイモア
(72)【発明者】
【氏名】トニー ウィルビー
(72)【発明者】
【氏名】スティーブ バージェス
【テーマコード(参考)】
4K029
5F033
【Fターム(参考)】
4K029AA24
4K029BA17
4K029CA05
4K029CA13
4K029DA08
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4K029JA01
5F033HH11
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(57)【要約】
【課題】システムの生産性を低下させることなく接触抵抗をさらに低減することができる加工方法を提供する。
【解決手段】方法は、基板支持体と、ターゲットと、基板支持体にRFバイアスを印加するためのRFバイアス信号供給部と、ターゲットに電気信号を供給するための電気信号供給部とを有するチャンバを備えるPVD装置を提供するステップと、導電性フィーチャを有する半導体基板を基板支持体上に配置するステップと、不活性ガスをチャンバ内に導入し、RFバイアスを基板支持体に印加し、電気信号をターゲットに供給することによって洗浄ステップを実行するステップと、RFバイアスを基板支持体に印加しないこと、または洗浄ステップ中に基板支持体に印加されるRFバイアスよりも小さいRFバイアスを印加すること、および電気信号をターゲットに供給することによって堆積ステップを実行するステップを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成された導電性フィーチャに対して洗浄ステップおよび堆積ステップを実行するためにPVD装置を動作させる方法であって、
基板支持体と、ターゲットと、前記基板支持体にRFバイアスを印加するためのRFバイアス信号供給部と、前記ターゲットに電気信号を供給するための電気信号供給部とを有するチャンバを備えるPVD装置を提供するステップと、
前記導電性フィーチャを有する前記半導体基板を前記基板支持体上に配置するステップと、
少なくとも1つの不活性ガスを前記チャンバ内に導入し、前記RFバイアスを前記基板支持体に印加し、関連する電力を有する電気信号を前記ターゲットに供給することによって前記洗浄ステップを実行するステップであって、前記RFバイアスおよび前記電力は、前記ターゲットが同時にスパッタリングされている間に主に不活性ガスのイオンでエッチングすることによって前記導電性フィーチャから材料を除去するのに充分である、ステップと
前記RFバイアスを前記基板支持体に印加しないこと、または前記洗浄ステップ中に前記基板支持体に印加される前記RFバイアスよりも小さいRFバイアスを印加すること、および前記関連する電力を有する電気信号を前記ターゲットに供給することによって前記堆積ステップを実行するステップであって、前記RFバイアスおよび前記電力は、存在する場合、PVDによって前記導電性フィーチャ上に導電性堆積材料を堆積させるのに充分である、ステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記基板支持体が、前記洗浄ステップ中に第1の位置にあり、前記堆積ステップ中に第2の位置にあり、前記第2の位置が、前記第1の位置よりも前記ターゲットに近い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板支持体の前記第1の位置は、100mmより大きい半導体基板間隔に対する前記ターゲットに対応する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基板支持体の前記第2の位置は、75mm未満の半導体基板間隔に対する前記ターゲットに対応する、請求項2または請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記堆積ステップ中に使用される前記ターゲットへの電力が、前記洗浄ステップ中に使用される電力よりも大きい、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記ターゲットに供給される電気信号はDC電気信号である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記洗浄ステップ中に使用される前記ターゲットへの電力が500W未満である、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記堆積ステップ中に使用される前記ターゲットへの電力が、1000W超である、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記洗浄ステップ中に前記基板支持体に印加されるRFバイアスが、前記半導体基板に印加されるDCバイアスをもたらし、前記DCバイアスが、70Vよりも大きい、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記洗浄ステップ中に前記基板支持体に印加されるRFバイアスまたはその欠如が、前記半導体基板に印加されるDCバイアスをもたらし、前記DCバイアスが25V未満である、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記不活性ガスがアルゴンである、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記導電性フィーチャから除去される前記材料が、前記導電性フィーチャが形成される材料の酸化物である、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記導電性フィーチャがアルミニウムから形成され、前記導電性フィーチャから除去される材料が酸化アルミニウムである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記アルミニウムの導電性フィーチャは、前記半導体基板用のボンドパッドである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記導電性フィーチャがアルミニウム合金から形成され、前記導電性フィーチャから除去される材料が酸化物である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記導電性フィーチャが銅から形成され、前記銅導電性フィーチャから除去される前記材料が、チタン、タンタル、チタンの窒化物またはタンタルの窒化物のうちの1つまたは複数である、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記導電性フィーチャ上に堆積される前記導電性堆積材料がチタンである、請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記導電性フィーチャ上への前記導電性堆積材料の堆積が、アンダーバンプメタライゼーション(UBM)プロセスの一部である、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法に従って半導体基板上に形成された導電性フィーチャに対して洗浄ステップおよび堆積ステップを実行するためのPVD装置であって、
基板支持体を有するチャンバと、
ターゲットと、
前記基板支持体にRFバイアスを印加するためのRFバイアス信号供給部と、
前記ターゲットに電気信号を供給するための電気信号供給部と、
請求項1に記載の方法に従ってPVD装置の動作を制御するように構成されるコントローラと、
を備えるPVD装置。
【請求項20】
前記コントローラは、前記基板支持体を、前記洗浄ステップ中の第1の位置と、前記堆積ステップ中の第2の位置とに維持するように構成され、前記第2の位置は、前記第1の位置よりも前記ターゲットに近い、請求項19に記載のPVD装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PVD(Physical Vapor Deposition)装置を動作させる方法に関し、特に、半導体基板上に形成された導電性フィーチャから材料を除去するためにクリーニングモードでPVD装置を動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高度なパッケージング技術は、半導体製造プロセスの極めて重要な部分であり、デバイスの小型化を推進する上で重要な役割を果たす。デバイスのサイズが縮小し続け、接点の密度が増加するにつれて、バックエンドオブライン(BEOL)処理は、デバイスのサイズが縮小し続け、接点の密度が増加するという要望に起因して、注目を集めている。BEOL処理の改善は、デバイス効率の増大への潜在的な経路を表す。
【0003】
BEOL処理の重要な態様は、バンプ形成前のアルミニウムパッドとチタンアンダーバンプメタライゼーション(UBM)層との間の界面におけるウェハのパッケージング側の低抵抗コンタクトの生成である。
【0004】
Ti-Cuコンタクト層を堆積する前に、ウェハをパターニングする必要がある。このプロセスの結果、アルミニウムパッドは大気に曝され、したがって酸化される。この電気抵抗酸化物層は、良好な電気的接触が形成されるように、Ti層の堆積の前に除去されなければならない。酸化物層の除去は、予備洗浄(スパッタエッチング)モジュール内でAlパッドをスパッタエッチングすることによって達成され、その後、ウェハは真空下で物理気相堆積(PVD)チャンバに移送され、そこでTiの堆積が実行される。
【0005】
図1は、UBMメタライゼーションプロセスを実行するために使用されるタイプの従来のPVDクラスタツールを示す概略図である。ウェハは、カセットまたはフロントオープンユニファイドポッド(FOUP)に装填され、処理のために真空カセットエレベータ(VCE)または機器フロントエンドモジュール(EFEM)1に置かれる。ウェハは、真空下で動作する搬送モジュール2に入るために、スロットバルブまたはロードロックを通して移送される。典型的な金属接触用途では、ウェハは予熱ステーション3で脱気され、そこで揮発性材料がウェハから除去され、ウェハは必要な温度に近づけられる。次いで、ウェハは、スパッタエッチング(前洗浄)モジュール4に移動され、そこで、Arおよび/またはHeなどの不活性ガスを使用してウェハをスパッタ洗浄するためにプラズマが使用される。この工程では、AlOxが開放アルミニウムボンドパッドから除去される。スパッタ洗浄ステップが完了すると、チャンバはベース圧力に戻り、ウェハ5はPVD堆積モジュール7に移送される。搬送モジュール内のウェハの移動は、真空ロボット6の使用によって達成される。当技術分野でよく理解されているように、ウェハ上へのPVD堆積は、典型的には、低圧(典型的には約1~100mTorr)でArなどの不活性ガスの存在下でターゲットに負のDC電圧を印加して、ターゲット材料をウェハ表面上にスパッタすることによって達成される。しかしながら、当業者は、基本的なPVD方法論の他の周知の変形を用いてスパッタリングを達成できることを理解するであろう。市販の製造ツールは、いくつかの予熱モジュール、スパッタエッチングモジュール(予備洗浄モジュール)、およびPVD堆積モジュールを有することができる。予備洗浄されたアルミニウム表面は非常に反応性が高いので、任意の酸素含有ガスへの曝露は、急速にAlボンドパッド上のAlOx層の再成長をもたらす。標準的な先行技術のプロセスシーケンスでは、脱ガスステップの後に予備洗浄スパッタエッチングステップが続く。次いで、チタン接着/バリア層のPVD堆積に続いて、銅シード層のPVD堆積を行う。典型的には、予備洗浄スパッタエッチングステップの終了とチタンPVD堆積ステップの開始との間に30秒かかる可能性があることが分かっている。
【0006】
アルミニウムボンドパッドのパターニングは、典型的には、ポリイミドマスクなどの有機ポリマーマスクを使用して達成される。残念ながら、これは重大な問題を引き起こす。より具体的には、予備洗浄モジュールにおいてウェハをエッチングする行為は、薄い酸化物層をAlパッドから除去するだけでなく、パターニングされた有機ポリマーマスク層における破壊を引き起こし、これは、COなどの酸化種を予備洗浄(エッチング)モジュールに放出する。このプロセスは、パッシベーション層22上のアルミニウムボンドパッド20を示す
図2に示されている。アルミニウムボンドパッドは、ポリイミド(PI)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)またはベンゾシクロブテン(BCB)マスクなどの有機ポリマーマスク24によってマスクされる。アルゴンイオン26によるスパッタリングは、CO28などの酸化種を生成する。たとえ最も好ましい状況下であっても、予備洗浄(エッチング)モジュールと堆積チャンバとの間でウェハを移送するのにかかる時間(上述のように典型的には約30秒である)は、予備洗浄中にマスクのスパッタエッチングによって放出される酸化種がAl表面と反応するのに充分な時間を超える。この結果、露出したAlパッド上に数秒以内に薄い酸化物層が再成長する。この再成長した酸化物層の厚さを最小化することは、接触抵抗を最小化するのに重要である。
【0007】
UBMに使用される従来のPVDシステムでは、この問題は、ガス状不純物を除去するためのエッチング前のウェハの高温脱ガスを延長することによって、ポリマー破壊を最小限に抑えるためにエッチングプロセス中のウェハ温度を慎重に制御することによって、およびエッチングチャンバと堆積チャンバとの間の移送時間を短縮することによって制御されてきた。しかしながら、これらの手法は、本質的に、ウェハ上の再成長した酸化物層の問題を改善することしかできない。これらのアプローチのいずれも、前洗浄モジュールにおける処理後に再成長した酸化物層を除去することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、システムの生産性を低下させることなく接触抵抗をさらに低減することができる改良された加工方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、その実施形態の少なくともいくつかにおいて、上記の問題、要望および要件に対処する。特に、本発明は、その実施形態の少なくともいくつかにおいて、上述のタイプの再成長した酸化物層を部分的または完全に除去する方法を提供する。本発明はアルミニウムのメタライゼーションにおいて特定の利点を提供するが、本発明はこれらの用途に限定されず、代わりに、PVDによるメタライゼーションの前に金属フィーチャから抵抗層を除去することにおいてより一般的な用途を見出す。
【0011】
本発明の第1の態様によれば、半導体基板上に形成された導電性フィーチャに対して洗浄ステップ及び堆積ステップを実行するためにPVD装置を動作させる方法が提供される。この方法は、
基板支持体と、ターゲットと、基板支持体にRFバイアスを印加するためのRFバイアス信号供給部と、ターゲットに電気信号を供給するための電気信号供給部とを有するチャンバを備えるPVD装置を提供するステップと、
導電性フィーチャを有する半導体基板を基板支持体上に配置するステップと、
少なくとも1つの不活性ガスをチャンバ内に導入し、RFバイアスを基板支持体に印加し、関連する電力を有する電気信号をターゲットに供給することによって洗浄ステップを実行するステップであって、RFバイアスおよび電力は、ターゲットが同時にスパッタリングされている間に主に不活性ガスのイオンでエッチングすることによって導電性フィーチャから材料を除去するのに充分である、ステップと、
RFバイアスを基板支持体に印加しないこと、または洗浄ステップ中に基板支持体に印加されるRFバイアスよりも小さいRFバイアスを印加すること、および関連する電力を有する電気信号をターゲットに供給することによって堆積ステップを実行するステップであって、RFバイアスおよび電力は、存在する場合、PVDによって導電性フィーチャ上に導電性堆積材料を堆積させるのに充分である、ステップを含む。
【0012】
基板支持体は、洗浄ステップ中の第1の位置にあり、堆積ステップ中の第2の位置にあり得、第2の位置は、第1の位置よりもターゲットに近い。基板支持体の第1の位置は、100mmより大きい半導体基板間距離のターゲットに対応することができる。
【0013】
基板支持体の第2の位置は、75mm未満のターゲットと半導体基板との間隔、任意選択で25~70mmの範囲のターゲットと半導体基板との間隔に対応することができる。
【0014】
堆積ステップ中に使用されるターゲットへの電力は、洗浄ステップ中に使用される電力よりも大きくすることができる。
【0015】
ターゲットに供給される電気信号は、DC電気信号とすることができる。代替として、ターゲットに供給される電気信号は、RFまたはパルスDC電気信号であり得る。チタンの堆積などの用途では、DCまたはパルスDCが好ましいが、これは、これらの技術が優れた堆積速度に関連するからである。原則として、ターゲットに供給される電気信号のタイプは、洗浄ステップと堆積ステップとの間で変えることができるが、実際には、単一のタイプの電気信号(例えばDCのみ)を両方のステップで使用する方が一般により便利である。
【0016】
洗浄ステップ中に使用されるターゲットへの電力は、500W未満、任意選択で200W未満とすることができる。
【0017】
堆積ステップ中に使用されるターゲットへの電力は、1000W超、任意選択で2000~8000Wの範囲、任意選択で3000~5000Wの範囲とすることができる。
【0018】
洗浄ステップ中に基板支持体に印加されるRFバイアスは、半導体サブステートに印加されるDCバイアスをもたらすことができる。DCバイアスは、70Vより大きくてもよく、任意選択で250Vより大きくてもよく、任意選択で250~500Vの範囲内であってもよい。例えば、金属基板支持体を使用する装置では、測定は、基板支持体の上面と接地(例えば、チャンバの壁)との間の電圧計および測定回路を使用して行われてもよい。PVD装置の大部分はこのタイプのものである。静電チャック(ESC)などの基板支持体には、金属プローブを用いることができる。
【0019】
堆積ステップ中に基板支持体に印加されるRFバイアスまたはその欠如は、半導体サブステートに印加されるDCバイアスをもたらすことができ、DCバイアスは、25V未満であり、随意に、10~20Vの範囲内である。
【0020】
洗浄ステップ中に基板支持体に印加されるRFバイアスは、400~700Wの範囲の電力とすることができる。RFバイアスが堆積ステップ中に基板支持体に印加される場合、それは低電力であり、典型的には50W未満の電力である。堆積ステップ中に基板支持体に印加されるRFバイアスは、50W未満の電力であり得る。堆積ステップ中に基板支持体にRFバイアスを印加しないことが可能である。
【0021】
洗浄ステップ中に使用される不活性ガスは、アルゴンであり得る。あるいは、不活性ガスは、ヘリウム、ネオンまたはキセノンであり得る。典型的には、少なくとも1つの不活性ガスが、堆積ステップ中にチャンバ内に導入される。便宜上、洗浄ステップおよび堆積ステップ中に同じ不活性ガスまたは複数のガスが使用される。しかしながら、原則として、洗浄ステップおよび堆積ステップのために、代わりに異なる不活性ガスを使用することが可能である。不活性ガスは、洗浄ステップおよび堆積ステップの一方または両方の間に50~200sccmの範囲の流量でチャンバに導入することができる。
【0022】
導電性フィーチャから除去される材料は、そうでなければ導電性フィーチャへの接触抵抗を低減する抵抗層とすることができる。
【0023】
導電性フィーチャから除去される材料は、導電性フィーチャが形成される材料の酸化物とすることができる。導電性フィーチャはアルミニウムから形成することができる。導電性フィーチャから除去される材料は、酸化アルミニウムとすることができる。アルミニウム導電性フィーチャは、半導体基板のためのボンドパッドとすることができる。
【0024】
導電性フィーチャは、アルミニウム合金、任意選択でAl/Si、Al/CuまたはAl/Si/Cuから形成することができる。導電性フィーチャから除去される材料は、酸化物とすることができる。
【0025】
導電性フィーチャは銅から形成することができる。銅導電性フィーチャは、ダマシン相互接続の構成要素であり得る。銅導電性フィーチャから除去される材料は、チタン、タンタル、チタンの窒化物、又はタンタルの窒化物のうちの1つ以上とすることができる。
【0026】
導電性フィーチャ上に堆積される導電性堆積材料はチタンとすることができる。あるいは、PVDによって導電性フィーチャ上に堆積される導電性堆積材料は、クロム、TiW、銅、タンタル、ニッケル又はパラジウムとすることができる。
【0027】
導電性フィーチャ上への導電性堆積材料の堆積は、アンダーバンプメタライゼーション(UBM)プロセスの一部とすることができる。
【0028】
半導体基板は、シリコンウェハなどのシリコン基板とすることができる。
【0029】
半導体基板は、1つ以上の集積回路の形態であり得る。
【0030】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様に従って半導体基板上に形成された導電性フィーチャに対して洗浄ステップおよび堆積ステップを実行するためのPVD装置が提供され、PVD装置は、
基板支持体を有するチャンバと、
ターゲットと、
基板支持体にRFバイアスを印加するためのRFバイアス信号供給部と、
ターゲットに電気信号を供給するための電気信号供給部と、
本発明の第1の態様によるPVD装置の動作を制御するように構成されたコントローラを含む。
【0031】
コントローラは、洗浄ステップ中に第1の位置に、堆積ステップ中に第2の位置に基板支持体を維持するように構成することができ、第2の位置は、第1の位置よりもターゲットに近い。
【0032】
一般に、マグネトロンアセンブリは、当業者によく知られているように、ターゲットの後ろに配置される。
【0033】
本明細書において「備える(comprising)」または「含む(including)」および同様の用語に言及するときはいつでも、本発明はまた、「からなる(consisting)」および「本質的にからなる(consisting essentially)」などのより限定的な用語を含むと理解される。
【0034】
以上、本発明を説明したが、本発明は、上記または以下の説明、図面または特許請求の範囲に記載の特徴の任意の発明的組み合わせにまで及ぶ。例えば、本発明の第1の態様に関連して開示された任意の特徴は、本発明の第2の態様に関連して開示された任意の特徴と組み合わせることができ、逆もまた同様である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】従来技術のPVDクラスタツールの概略図である。
【
図2】アルゴンイオンエッチング洗浄中のポリイミド誘電体マスク内のAlパッド開口部の概略図である。
【
図3】(a)洗浄工程中および(b)PVD堆積中の本発明のPVD装置の概略図である。
【
図4】(a)Ti堆積のための従来技術のプロセスシーケンス、および(b)本発明によるTi堆積のための簡略化されたプロセスシーケンスを示す。
【
図5】ターゲットが給電されていない洗浄ステップ中の時間の割合に対する堆積Tiの抵抗率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
ここで、添付の図面を参照して、単に例として本発明の実施形態を説明する。
【0037】
図3(a)および(b)は、半導体基板上に形成された導電性フィーチャから材料を除去するために洗浄モードで動作することができる本発明のPVD装置を示す。装置は、プラテンなどの基板支持体31とターゲット32とを備えるチャンバ30を備える。導電性フィーチャが形成された半導体基板33は、基板支持体31上に位置決めされる。必要に応じて、RF電源34は、半導体基板33上にDCバイアスを生成する基板支持体31にRF電力を供給する。ターゲット32には、直流電源(図示せず)を用いて直流電力が供給される。DC電源は、PVD堆積中にプラズマを生成および維持するためにも使用されるが、PVD堆積前に実行される洗浄ステップ中にも役割を果たす。
図3(a)および(b)におけるチャンバ30の左側に示される間隙は、シャッタのための入口スロットに対応する。しかしながら、シャッタは、本発明による装置の動作のために必要とされない。実際、シャッタなどの追加のハードウェアが必要とされないことが利点である。装置は、所望のプロセスガス(単数または複数)(この例ではアルゴン)をチャンバ30に導入するための適切なガス入口システム(図示せず)をさらに備える。本発明の方法を実行するように装置を制御するように構成されたコントローラ35が設けられる。
【0038】
本発明は、PVD堆積工程と直前の洗浄工程との間の露光時間を短縮するプロセスを含む。これは、PVD堆積を実行するために使用されるPVD装置において直前の洗浄ステップを実行することによって達成される。すなわち、PVD装置は2つのモードで動作し、クリーニング工程を行う第1のモードと、成膜工程を行う第2のモードと、を有する。本発明者らは、プロセス全体が良好な結果をもたらすために、および装置が洗浄ステップと堆積ステップとの間で迅速に切り替えることができるために、洗浄ステップおよび堆積ステップを極めて慎重に実行しなければならないことを見出した。開放Alコンタクトパッドを有する有機誘電体マスクを有するウェハ半導体基板の洗浄及び堆積プロセスを以下に説明する。ウェハは、真空下で、2つのモードで動作可能なPVD装置に移送される。
図3(a)は、第1のモードにおけるPVD装置の動作を示す。第1のモードでは、DC電源がターゲット32にDC電力を供給してターゲットをスパッタする。また、RF電源34は、半導体基板33にDCバイアスを発生させる基板支持体31にRF電力を供給する。その結果、ウェハとターゲットの両方から材料が正味除去される。
図3(b)は、第2のモードにおけるPVD装置の動作を示す。第2のモードでは、半導体基板33に印加されるDCバイアスはないか、または非常に低い。しかし、ターゲット32に供給される直流電力は増加する。PVD堆積は、ターゲットからの堆積速度が増加するにつれて起こる。
【0039】
第1のクリーニングモードでは、ターゲットに電力が供給されている間、高DCバイアス(Vdc)がウェハに印加される。これは、ウェハのエッチング速度が、洗浄モードに対応するウェハ表面上への堆積速度よりも大きいことを保証する。次いで、これらの条件は、部分的にウェハ上のDCバイアスを低減することによって、ネット堆積プロセスに瞬時に変更することができる。基板支持体をターゲットに向かって移動させ、ターゲットへの電力を増加させることによって、洗浄ステップと堆積ステップとの間の切り替えを改善することができることが見出されている。基板支持体が、最適な堆積速度および均一性のために選択された最終プロセス位置に到達すると、ターゲットへのDC電力を増加させることができ、バイアスが必要とされるかまたは完全にオフに切り替えられる場合、ウェハ上のDCバイアスをより低い値に低減することができる。原則として、パルスDCまたはRF等の他の技法が、負の電位をターゲットに提供するために使用され得る。洗浄ステップ中にターゲットに電力を印加することによって、ターゲットは、ウェハからエッチングされたあらゆる潜在的な汚染物質から同時にクリーニングされる。さらなる利点は、堆積が始まる前に、シャッタなどのハードウェアが展開されるのを待つ必要がないこと、またはターゲットストライクプロセスの安定化が生じるのを待つ必要がないことである。さらに、洗浄ステップ中にターゲットに電力を供給することは、エッチング副生成物がチャンバの壁に付着するペースト効果を提供すると考えられる。
【0040】
より詳細な12ステップのプロセスシーケンスを以下に提供する。プロセスシーケンスは、300mmウェハ用に構成されたTiバリア/付着堆積チャンバに関するが、シーケンスまたはその適応バージョンは、他のシナリオに関連し得ることが理解されるであろう。プロセスシーケンスの動作は、コントローラ35を使用して制御することができる。
1. ウェハはチャンバ内に取り扱われる
2. プラテンは、エッチングプロセス高さまで移動する
3. ガスをチャンバ内に導入する
4. 非常に低い(<0.5kW)DC電力でのターゲットストライクおよびステップ1のプロセスタイマが開始される
5. BKM(100~600W)RF電力でのプラテンストライクシーケンス
6. プラテンRF電力はオフになる
7. ステップ1の処理タイマーは停止する
8. プラテンは堆積プロセス高さに移動し、DC電力ランプをステップ2電力に目標とする
9. ステップ2のプロセスタイマが開始する
10. プロセスタイマは終了し、ガス流は停止する
11. プラテンはホーム位置に戻る
12. ウェハはチャンバから取り出される
【0041】
別のチャンバ(別個のエッチングチャンバ)内でAlボンドパッドを予備洗浄した後のTi堆積のための標準的な従来技術のプロセスシーケンスを
図4(a)に示す。予備洗浄の後、ウェハは、ロボットによって真空下でエッチングチャンバからPVDモジュールに搬送され、ウェハ支持体上に置かれる。プラテンアセンブリを堆積高さまで上昇させる。この高さは、プロセス要件に依存するが、典型的には2~6cmである。Arなどのガスがチャンバ内に導入されるときにチャンバはプロセス圧力にされ、DC電力(典型的には4~20kW)が、その背後に回転マグネトロンアセンブリを有するTiターゲットに印加されるときにTiスパッタリングステップが開始される。必要な膜厚に達したら、ターゲットへのDC電力を取り除き、Arガスの流れを停止する。次いで、プラテン/ウェハ支持体は、ハンドリング高さまで下げられ、真空ロボットは、プラテンからウェハを取り出し、ウェハを次のプロセスステーションに移動させる。前述のように、これらの従来技術のプロセスは、ウェハがチャンバ内に取り扱われるのに要する時間(典型的には約40秒)において、酸化物界面が表面上に再成長するという重大な欠点を有する。
【0042】
比較を容易にするために、本発明のPVDモジュールを使用するTi堆積のための簡略化されたプロセスシーケンスを
図4(b)に示す。PVDモジュールのプラテン上でウェハを処理した後、モジュールは、Ar+イオンを用いたスパッタエッチングによってインサイチュ(その場)でAlボンドパッドの予備洗浄を達成するために第1のモードで動作する。続いて、PVDモジュールを第2のモードで動作させてTiを堆積させる。必要とされる厚さのTiがウェハ上に堆積されると、目標電力およびガス流をオフにし、プラテンをハンドリング高さまで下げる。最後に、真空ロボットによってウェハをPVDモジュールから取り出す。スパッタエッチング位置から堆積位置への非常に短い移動時間により、ポリマー破壊から生じ得る酸化物再成長の量が大幅に低減される。さらに、インサイチュ前洗浄プロセスは、従来のプロセスシーケンスに対して約30~40秒を節約する。
【0043】
試験は、回転マグネトロンと、長いスロー間隔(約165mmのターゲット対ウェハ間隔)を有するTiターゲットと、550W、13.56MHzのRF電源を有するRF駆動ウェハ支持体とを使用して、脱ガスモジュール、予備洗浄チャンバ、及びPVDチャンバを有する出願人の単一ウェハ300mmのSigma TM PVDツールを使用して実施した。ターゲットはDC電源によって給電された。ウェハ支持体は、抵抗加熱および冷却システムによって温度制御され、Z方向の約110mmの移動に適応することができる(すなわち、ウェハとターゲットとの間のギャップを減少させる)。チャンバは金属製であり、典型的にはAlまたはAl合金を用いて構成され、電気的に接地されている。
【0044】
ウェハのAr+スパッタエッチングを維持しながら、ターゲットからの非常に低い電力のスパッタリングの両方を達成することができた。選択されたターゲットから基板までの距離は、洗浄ステップ中の堆積速度をもたらし、この堆積速度は、ウェハ表面上への金属の非常に低い堆積速度をもたらすほどに充分に低く、一方、バイアス(Vdc)は、ウェハ表面に到達するよりも多くの材料が除去されることを確実にするほどに充分に高い。基板とウェハとの間隔は、プラズマ密度を変更するためにマグネトロン設計に変更を加えることによって、またはターゲット材料の正味の除去およびターゲットに到達するウェハからの汚染物質の除去を達成するためにプラズマを維持するための他の手段によって減少させることができる。
【0045】
300mmウェハのエッチング洗浄および堆積ステップの典型的であるが非限定的なプロセス条件を、それぞれ表1および表2に示す。
【表1】
例示的なエッチング洗浄条件
【表2】
例示的なエッチング洗浄条件
【0046】
洗浄ステップ中に生成される有機誘電体からの副生成物によるターゲット汚染は、堆積されたTi膜の抵抗率に強く影響を及ぼし得ることが見出された。300mmのポリイミドコーティングされたウェハを用いて試験を実施して、ターゲットプラズマを開始するためにターゲットにDCを印加する際の遅延の関数として100nmのTi膜の抵抗率の感度を調査した。結果を
図5および表3に示す。抵抗率の値は、4点プローブによって決定される。
【0047】
結果は、清浄なターゲット表面の保存のために、洗浄ステップ中にターゲットも電力供給されることが不可欠であることを示している。
【表3】
ターゲット電力対抵抗率(μΩ.cm)を伴わないエッチング洗浄プロセス
【0048】
表2から分かるように、比較的少量のエッチングのみのプラズマ(7秒)を有するプロセスでも、膜抵抗率の11%の増加が観察された。したがって、堆積中にターゲットプラズマを維持することは、洗浄/堆積プロセス間の瞬間的な切り替えを可能にすると同時に、膜抵抗率が、予備洗浄が別個のチャンバ内で実行される従来のプロセスを使用して達成される膜抵抗率に適合することを可能にするという二重の利点を有する。
【0049】
本発明は、HVM(high volume manufacturing)に容易に組み込むことができる。これは、初期スパッタエッチングステップがクラスタツール上の専用スパッタエッチングモジュール内で実行され、次いで最終予備洗浄が生産性の理由で堆積モジュール内で実行されるプロセスシーケンスを使用して、クラスタツール内で行うことができる。しかしながら、完全な予備洗浄および堆積ステップの両方のために堆積モジュールを使用することも実用的である。このようにして、予備洗浄モジュールの使用を全く回避することが可能である。
【0050】
本発明による装置は、新しいものとして製造することができる。しかし、適切なコントローラを提供することによって、または既存のコントローラを再プログラムすることによってなど、既存のPVD装置を改造するか、または他の方法で適合させることが可能である。
【0051】
本発明は、チタンのPVD堆積の前にアルミニウムフィーチャから酸化アルミニウムを除去することに関連して例示されているが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。例えば、Al/Si、Al/CuまたはAl/Si/CuなどのAl合金もまた、それらがすべて主にAlベースであり、酸化を受けやすいので、本発明に従って処理することができる。しかしながら、本発明は、接触抵抗を低減するために抵抗層の除去が望まれるメタライゼーション用途などの他の用途に、これよりも広く容易に適用することができることに留意されたい。例えば、本発明は、ダマシン相互接続などの銅上への堆積を伴う金属化用途に適用することができる。原則として、本発明は、クロム、TiW、銅、ニッケル又はパラジウムなどのPVDによって堆積させることができる任意の材料を堆積させるために使用することができる。本発明を実施する方法は、上で提供された開示に基づいて当業者によって容易に適合され得る。例えば、ヘリウム、ネオンまたはキセノンなどのアルゴン以外の別の不活性ガスを使用することができる。また、洗浄ステップと堆積ステップとの間で基板支持体を移動させる必要はない。
【符号の説明】
【0052】
30 チャンバ、31 基板支持体、32 ターゲット、33 半導体基板、34 RF電源。