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特開2024-76969時計部品を支持要素に取り付けるための一体部品
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  • 特開-時計部品を支持要素に取り付けるための一体部品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076969
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】時計部品を支持要素に取り付けるための一体部品
(51)【国際特許分類】
   G04B 17/32 20060101AFI20240530BHJP
【FI】
G04B17/32
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023184166
(22)【出願日】2023-10-26
(31)【優先権主張番号】22209692.7
(32)【優先日】2022-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】599040492
【氏名又は名称】ニヴァロックス-ファー ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ヘルナンデス、 イバン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】取付一体部品時計部品アセンブリと支持要素とのアセンブリを取り付ける作業を容易化/簡素化するとともに、部品の耐用期間を通じて平面内で適切な位置に保持することを保証する保持トルクを有する取付一体部品を提供する。
【解決手段】時計部品2を支持要素3に締結するための取付一体部品1であって、支持要素3を挿入することができる開口部7を含み、取付部品1は、開口部7における支持要素3の弾性クランプを確実にすることに寄与する複数の弾性アーム4を含み、各アーム4は、貫通孔6と接続部分5bとが設けられた接触部分5aを含み、前記接触部分5aは、支持要素3と接触するように意図された軸受エリア13が設けられた受け領域12aを含み、接続部分は、部品1のアーム4のうちの他のアームとの弾性接続を確実にする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計部品(2)を支持要素(3)に締結するための取付一体部品(1)であって、前記支持要素(3)を挿入することができる開口部(7)を含み、前記取付部品(1)は、前記開口部(7)における前記支持要素(3)の弾性クランプを確実にすることに寄与する弾性アーム(4)を含み、各アーム(4)は、貫通孔(6)と接続部分(5b)とが設けられた接触部分(5a)から成り、前記接触部分(5a)は、前記支持要素(3)と接触するように意図された軸受エリア(13)が設けられた受け領域(12a)を含み、前記接続部分は、前記部品(1)の前記アーム(4)のうちの他のアームとの弾性接続を確実にする、取付一体部品(1)。
【請求項2】
各アーム(4)の接触部分(5a)は、この部分(5a)が前記支持要素(3)によって応力を受けたときに前記貫通孔によって画定される可変体積が減少するように構成される、請求項1に記載の取付一体部品(1)。
【請求項3】
各接触部分(5a)は、共に前記貫通孔(6)を取り囲む、2つの横領域(12b)と、前記受け領域(12a)と、外側領域(12c)とを含む、請求項1に記載の取付一体部品(1)。
【請求項4】
前記領域(12a、12b、12c)は、それらが前記支持要素(3)によって応力を受けている時に異なる方法で変形するように構成される、請求項1に記載の取付一体部品(1)。
【請求項5】
各接触部分(5a)は、共に前記貫通孔(6)を取り囲む、2つの横領域(12b)、前記受け領域(12a)及び外側領域(12c)を含み、前記領域(12a、12b、12c)は、これらの領域(12a、12b、12c)が前記受け領域(12a)の軸受エリア(13)から離れるにつれてそれぞれの値が減少する変形係数(Crr、Crl、Cre)を有する、請求項1に記載の取付一体部品(1)。
【請求項6】
前記貫通孔(6)は、各アーム(4)の前記接触部分(5a)の本体全体の20%から80%を占める、請求項1に記載の取付一体部品(1)。
【請求項7】
前記アーム(4)は、それらの接続部分(5b)の一端で互いに連結される、請求項1に記載の取付一体部品(1)。
【請求項8】
前記接続部分(5b)は、二重の弾性変形を受けるように構成される、請求項1に記載の取付一体部品(1)。
【請求項9】
前記接触部分(5a)と前記接続部分(5b)とが連続して交互に前記取付部品(1)に配置される、請求項1に記載の取付一体部品(1)。
【請求項10】
それは前記時計部品(2)との取付点(11)を含む、請求項1に記載の取付一体部品(1)。
【請求項11】
それはヒゲゼンマイなどの前記時計部品(2)をバランスシャフトなどの支持要素(3)に締結するためのコレットである、請求項1に記載の取付一体部品(1)。
【請求項12】
それはシリコンベースの材料で作られる、請求項1に記載の取付一体部品(1)。
【請求項13】
請求項1に記載の取付部品(1)を含む、時計(100)の時計ムーブメント(110)用の取付一体部品時計部品アセンブリ(120)。
【請求項14】
それは一体構造である、請求項13に記載のアセンブリ(120)。
【請求項15】
請求項13に記載の取付一体部品時計部品アセンブリ(120)を含み、前記アセンブリ(120)は支持要素(3)に締結される、時計(100)の時計ムーブメント(110)用のアセンブリ(130)。
【請求項16】
少なくとも1つの請求項15に記載のアセンブリ(130)を含む、時計ムーブメント(110)。
【請求項17】
請求項16に記載の時計ムーブメント(110)を含む、時計(100)。
【請求項18】
請求項15に記載の取付一体部品時計部品アセンブリ(120)の支持要素(3)とのアセンブリ(130)を作る方法であって、
・前記アセンブリ(120)の取付一体部品(1)の開口部(7)に前記支持要素(3)を挿入するステップ(20)であって、各アーム(4)の接触部分(5a)の弾性変形と、前記取付一体部品(1)のこのアーム(4)の接続部分(5b)の二重の弾性変形とを与える、前記取付一体部品(1)の弾性アーム(4)を移動させる段階(22)を備えた、前記取付一体部品(1)を弾性変形させるサブステップ(21)を含むステップ(20)と、
・前記取付部品(1)を前記支持要素(3)に締結するステップ(23)であって、前記支持要素(3)に前記取付部品(1)の半径方向の弾性クランプを行うサブステップ(24)を含むステップ(23)と
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計部品を支持要素に締結するためのコレットなどの取付一体部品に関する。
【0002】
本発明はまた、ヒゲゼンマイとコレットの一体アセンブリなどの取付一体部品時計部品アセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術において、時計ムーブメント内でバランスシャフトにヒゲゼンマイを組み付けるのに関与する、そういうわけで弾性クランプによる、時計コレットなどの取付部品が知られている。
【0004】
とはいえ、このような取付部品は、これらの取付部品が低く制限されたこれらのバランスシャフトへの保持トルクを有するため、このような組み付けを行う際に、複雑で長く費用がかかる取り付け作業を強いるという大きな欠点を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、特に取付一体部品時計部品アセンブリと支持要素とのアセンブリを取り付ける作業を容易化/簡素化するとともに、部品の耐用期間を通じて平面内で適切な位置に保持することを保証するのに十分な保持を確実にしかつその角度位置を保証するために、大きな保持トルクを有する取付一体部品を提供することにより、上記欠点の全部又は一部を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このために、本発明は、時計部品を支持要素に締結するための取付一体部品であって、前記支持要素を挿入することができる開口部を含み、取付部品は開口部における支持要素の弾性クランプを確実にすることに寄与する複数の弾性アームを含み、各アームは貫通孔と接続部分とが設けられた接触部分から成り、前記接触部分は、支持要素と接触するように意図された軸受エリアが設けられた受け領域を含み、前記接続部分は、部品の前記アームのうちの他のアームとの弾性接続を確実にする、取付一体部品に関する。
【0007】
他の実施形態において、
・各アームの接触部分は、この部分が支持要素によって応力を受けたときに貫通孔によって画定される可変容積が減少するように構成される。
・各接触部分は、共に貫通孔を取り囲む、2つの横領域、受け領域及び外側領域を含む。
・前記領域は、それらが支持要素によって応力を受けている時に異なる方法で変形するように構成される。
・前記領域は、これらの領域が受け領域の軸受エリアから離れるにつれてそれぞれの値が減少する変形係数を有する。
・貫通孔は、各アームの接触部分の本体全体の20%から80%を占める。
・アームは、それらの接続部分の一端で互いに連結される。
・接続部分は、二重の弾性変形を受けるように構成される。
・接触部分と接続部分とが連続して交互に取付部品に配置される。
・取付一体部品は、時計部品との取付点を含む。
・取付一体部品は、ヒゲゼンマイなどの時計部品をバランスシャフトなどの支持要素に締結するためのコレットである。
・取付一体部品は、シリコンベースの材料で作られる。
【0008】
本発明はまた、このような取付部品を含む時計の時計ムーブメント用の取付一体部品時計部品アセンブリに関する。
【0009】
有利には、アセンブリは一体構造(モノリシック)である。
【0010】
本発明はまた、前記取付一体部品時計部品アセンブリを含む、時計の時計ムーブメント用のアセンブリであって、前記アセンブリは支持要素に締結されるアセンブリに関する。
【0011】
本発明はまた、少なくとも1つのこのようなアセンブリを含む時計ムーブメントに関する。
【0012】
本発明はまた、このような時計ムーブメントを含む時計に関する。
【0013】
本発明はまた、取付一体部品時計部品アセンブリの支持要素とのこのような組み立てを行う方法であって、
・前記アセンブリの取付一体部品の開口部に支持要素を挿入するステップであって、各アームの接触部分の弾性変形と、取付一体部品のこのアームの接続部分の二重の弾性変形とを与える、取付一体部品の弾性アームを移動させる段階を備えた、取付一体部品を弾性変形させるサブステップ含むステップと、
・取付部品を支持要素に締結するステップであって、支持要素に対する取付部品の半径方向の弾性クランプを行うサブステップを含むステップと
を含む方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
他の特殊性及び利点は、添付の図面を参照して、例示的かつ非限定的な目的で行われる以下の説明から明らかになるであろう。
図1】本発明の実施形態による、時計部品を支持要素に取り付けるための一体部品の正面図である。
図2】本発明の実施形態による、支持要素に締結された取付一体部品時計部品アセンブリを含む少なくとも1つのアセンブリが設けられた時計ムーブメントを含む時計を示す。
図3】取付一体部品時計部品アセンブリの支持要素とのこのような組み立てを行う方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1及び図2は、時計部品2の支持要素3への締結、取り付け、組み付けを確実にすることを可能にする、時計部品2の取付一体部品1の実施形態を示す。例えば、この取付一体部品1は、ヒゲゼンマイなどの時計部品2とバランスシャフトなどの支持要素3との締結に寄与するコレットであり得る。
【0016】
この実施形態において、取付部品1とも呼ばれるこの取付一体部品1は、図2で見ることができ、時計100の時計ムーブメント110に配置されるように意図された取付部品時計部品アセンブリ120に含まれ得る。このようなアセンブリ120は一体構造であり、いわゆる「壊れやすい」材料、好ましくは微細加工可能な材料で作られ得る。このような材料は、シリコン、石英、コランダム又はセラミックを含むことができる。
【0017】
本発明の状況において、この取付部品1は、50から150μmの間に含まれる厚さを有する。好ましくは、このような厚さは100μm程度である。
【0018】
このアセンブリ120の一変形例において、取付部品1のみをこのようないわゆる「壊れやすい」材料で作ることができ、時計部品2はその結果、別の材料で製造されることに留意すべきである。
【0019】
このアセンブリ120は、例えば弾性クランプによって支持要素3に締結されることによって、時計ムーブメント110用のアセンブリ130の一部とすることができる。このアセンブリ130は、時計製造業での利用のために想定されたものであることに留意すべきである。とはいえ、本発明は、航空機、宝飾品、又は自動車産業などの他の分野でも完全に実施することができる。
【0020】
このような取付部品1は、図1で見ることができる互いに平行な第1の平面P1及び第2の平面P2にそれぞれ含まれる、好ましくは平坦な上面及び下面10を含む。
【0021】
この取付部品1は、外周壁9a及び内周壁9bを含む。外周壁9aは、この取付部品1の輪郭の境界を外面的に定める面を含む。この外周壁は、この取付部品1に本質的に六角形の形状を与える。内周壁9bに関しては、この取付部品1の開口部7の境界を定める面を有する。この開口部7は、取付部品1内に配置されるように意図された支持要素3の一端の接続部分の体積よりも小さい容積を取付部品1内に画定する。この接続部分は円形の断面を有し、支持要素3の周壁8上に形成された接触部分の全部又は一部を含むことに留意すべきである。
【0022】
後で分かるように、この内周壁9bは、支持要素3に接触するように意図された軸受エリア13を含む。
【0023】
図1を参照すると、取付部品1は、複数の弾性アーム4、本明細書では3つのアーム4を含む。この部品の各アーム4は、変形した後にその元の形状を取り戻すように構成される。言い換えれば、各弾性アーム4は可逆的に変形可能である。
【0024】
このようなアーム4は、2つの部分5a、5b、すなわち、支持要素との接触部分5aと呼ばれる第1の部分と、取付部品1の他のアーム4との弾性接続部分5bと呼ばれる第2の部分とによって形成される。
【0025】
各アーム4の接触部分5aは、2つの横領域12bと、受け領域12aと、外側領域12cとによって形成される。これらの領域12a~12cは共に、この部分5aの貫通孔6の周縁の境界を定める。
【0026】
この構成において、受け領域12aは、この接触部分5aの2つの横領域12bに接続された状態で、取付部品1の内周壁9bと貫通孔6の周縁の一部との間に含まれる。この受け領域12aには、各弾性アーム4の軸受エリア13を含む内面14が設けられる。この内面14は、アーム4のこの接触部分5aに含まれる内周壁9bの一部によって形成される。この構成において、軸受エリア13は、
・内面14の2つの中空又は凹状の部分の間に配置された丸みを帯びた又は凸状の面、又は
・平面状の又は本質的に平面状の面
を有することができる。
【0027】
この軸受エリア13は、2つの接触エリアが含まれる実質的に中空又は実質的に凹状の部分を含む。これら2つの接触エリアは、支持要素3の対応する凸状接触部分と協働することができる。このような接触エリアは、取付部品1の厚さの実質的に全体又は一部にわたって延在した状態で、この軸受エリア13の面に画定される/含まれる。また、これらの接触エリアは平坦であり、それぞれが全面的に又は部分的に平面状の面を含む。軸受エリア13において、2つの接触エリアは、共に鈍角を形成する異なる平面にそれぞれ含まれる。これらの2つの接触エリアは、互いに間隔を置いて配置されることによって分離される。言い換えれば、軸受エリア13は、2つの接触エリアの接続エリアを含む。好ましくは、この接続エリアは、丸みを帯びた形状を有する。
【0028】
詳細には、これらの接触エリアは、支持要素3の円筒形状を考慮した場合に平面凸型又は平面円筒型の接触形態に従って接触部分と協働するように意図される。この構成において、各接触エリアの平面状の面は、支持要素3の対応する凸形状の接触部分と協働する。本明細書で指摘すべきは、各接触部分10のこの凸形状は、その向かい側にこの部分10が配置される、対応する各接触エリアの平面状の面に対して割り当てられることである。各接触エリアのこの平面状の面は、支持要素3の直径に接する平面を形成することに留意すべきである。言い換えれば、平面状の面は支持要素の直径に対して垂直であり、したがって半径に対して垂直である。
【0029】
この構成において、取付部品1の各軸受エリア13に2つの平坦な接触エリアが存在することにより、この取付部品1と支持要素3との間の機械的結合を行う際にこの取付部品1と支持要素3との間の接触圧力を実現することが可能になり、一方そういうわけで、この取付部品1と支持要素3との組み立て及び/又は締結の際にこれらの接触エリア及び支持要素3の対応する接触部分における応力の強度が大幅に低減される。この応力は、破壊/裂け目又は亀裂の出現により取付部品1に損傷を与える可能性が高い。
【0030】
この構成において、各接触部分5aの内面8にこの軸受エリア13が存在することにより、取付部品1と支持要素3との間に機械的結合を形成する際に取付部品1と支持要素3との間の接触圧力を実現することが可能になり、一方そういうわけで、この取付部品1と支持要素3との組み立て及び/又は締結の際にこの軸受エリア13と支持要素3の対応する接触部分おける応力の強度が大幅に低減される。この応力は破壊/裂け目又は亀裂の出現により前記取付部品に損傷を与える可能性が高い。
【0031】
したがって、見てきたように、これらの接触部分5aはただ取付部品1の支持要素3との軸受エリア13だけを含み、軸受エリア13はこれらの接触部分5aの内面の全部又は一部に画定することができる。図1を参照すると、これらの軸受エリアは、数が3つであり、時計ムーブメント110において時計部品2、例えばヒゲゼンマイの正確なセンタリングの実現に寄与することができる。
【0032】
各接触部分5aはまた外側領域12cを含む。この領域12cは、2つの横領域12bにも接続された状態で、取付部品1の外周壁9aと貫通孔6の周縁の一部との間に含まれる。
【0033】
この接触部分5aはまた、それぞれが弾性接続部分5bの一端と外周壁9aの一部と貫通孔6の周縁の一部との間に含まれる2つの横領域12bを含む。これらの2つの横領域12bは、受け領域12aと外側領域12cとを互いに接続することに留意すべきである。
【0034】
したがって、この取付部品1において、各アーム4の接触部分5aは、この取付部品1の厚み全体にわたって画定される、空洞とも呼ばれる貫通孔6を含む。この貫通孔6は、取付部品1の上面と下面10の両方に開口している。また、この貫通孔6は、一端が接触部分5aの上面に開口し、他端がこの部分5aの下面10に開口しているとも言える。この孔6は、回転軸Aの方向に従って、そういうわけで上面から下面10に向かって、又はその逆方向に延びる。言い換えれば、この貫通孔6は、これらの2つの面を互いに接続する。この貫通孔6は、空き容積又は中身のない容積を画定する。したがって、この容積は、可変容積又は設定可能な容積に相当することが理解されるべきである。この容積は、この孔6の周壁によって境界を定められた開いたエンクロージャを含む。このような貫通孔6は、アーム4の接触部分5aの本体の約20%から80%を占める。好ましくは、この貫通孔6はこの本体の30%を占める。
【0035】
これらの条件下では、各接触部分5aは、この接触部分5aが支持要素3によって応力を受けたときにこの貫通孔によって画定される容積を変化させるように構成されることに留意すべきである。
【0036】
前述したように、各アーム4はさらに、接触部分5aと、弾性接続部分5bとで構成される。この接続部分5bは、各アーム4、特にこれらのアーム4の接触部分5aを互いに接続することを可能にする。この接続部分5bは細長い形状を有し、したがって接触部分5aを互いに接続する。言い換えれば、この接続部分5bは、2つの接触部分5aの間を長手方向に延びる。
【0037】
各アーム4の接続部分5bは、弾性アーム4の本体全体にわたって一定又はほぼ一定の断面を有するが、このアーム4の接触部分5aの断面は一定/可変ではない。
【0038】
この接続部分5bは、「ねじり弾性変形」と呼ばれる第1の変形と、「引張変形」又は「伸張弾性変形」と呼ばれる第2の変形との二重変形を実現するように構成される。
【0039】
この第1の変形中、各アーム4の接続部分5bは、その両端が接続された移動する接触部分5aによって、その両端が同じ回転方向B4に従って駆動される。接続部分5bの本体の一部、本明細書ではこの部分5bの端部のみが、ねじれ変形可能であることに気付くであろう。詳細には、このような第1の変形は、取付部品1の開口部5への支持要素3の挿入を改善するのに寄与し、一方、取付部品1の支持要素3との組み立ての際にこの部品1の破壊及び/又はこの部品1の亀裂の出現を回避するのに寄与する。
【0040】
第2の変形中、各アーム4の接続部分5bは、その両端が接続された移動する接触部分5aによって、その両端が長手方向B3に従って反対方向に引っ張られる。詳細には、このような第2の変形は、取付部品1に大量の弾性エネルギーを蓄えるのに寄与する。
【0041】
これらのアーム4の接続部分5bの第1及び第2の弾性変形は、同時にもしくは実質的に同時に又は連続的にもしくは実質的に連続的に行われ得ることに留意すべきである。第1及び第2の変形が同時に行われる場合、これは半径方向の拡張を伴うトロイダルねじり変形と呼ばれることに留意すべきである。
【0042】
前述したように、取付部品1は、複数の弾性アーム4、特に本明細書で説明する実施形態では3つの弾性アーム4を含む。言い換えれば、この取付部品1は、その対応する接触部分において前記支持要素3と接触するように意図された軸受エリア13を含む3つの受け領域12aを含む。これらの軸受エリア13は、この取付部品1の開口部7の周縁にわたって配置される。これらの受けエリア12aのそれぞれ、したがって軸受エリア13のそれぞれは、取付部品1の本体の回転軸Aに対する半径方向の移動を行うように構成され、一方、前記接触部分5aが支持要素3によって応力を受けたときに貫通孔6によって画定される容積、この本体の厚さの減少を引き起こす。
【0043】
また、各接触部分5aにおいて、2つの横領域12b、受け領域12a及び外側領域12cは、貫通孔6の境をなし/貫通孔6を取り囲み/貫通孔6の境界を定める。より具体的には、これらの領域12a~12cは、前記部品1の開口部7への支持要素3の挿入によってそれらが応力を受けている時に異なる方法で変形するように構成される。実際には、各接触部分5aについて、これらの領域12a~12cのそれぞれが変形係数Crr、Crl、Creを有し、この領域12a、12b、12cが受け領域12aの軸受エリア13から離れるにつれて変形係数Crr、Crl、Creの値が減少する。言い換えれば、受け領域12aの変形平均係数Crrとも呼ばれる変形係数Crrは、高い値すなわち2つの横領域12bの係数Crlの値及び外側領域12cの係数Creの値よりも高い値を有する。また、2つの横領域12bの係数Crlは、外側領域12cの係数Creよりも高い類似の値又は実質的に類似の値を有する。言い換えれば、これらの領域12a、12b、12cのこれらの変形平均係数Crr、Crl及びCreの関係は、次の数式によって定義することができる。
rr>Crl>Cre
【0044】
これらの領域12a、12b、12cの変形は、それぞれの領域の回転軸Aに対する半径方向の移動を引き起こすことに留意すべきである。当然ながら、これらの半径方向の移動の振幅/強度は、これらの領域12a、12b、12cの平均変形係数Crr、Crl、Creによって決まる。
【0045】
この構成において、取付部品1の弾性又は可撓性は、接触部分5a及び接続部分5bの変形の組み合わせによって、より具体的にはこの部品1の軸受エリアに力Fを加えたときのこれらの変形の強度と比較して定められる。
【0046】
取付部品1のアーム4の貫通孔6は、接触部分5aの移動を抑制するように、特にこの移動を低減するように構成され、これらの部分5aが、接続部分5bと協働することによって、支持要素3上で取付部品1を駆動する際に可能な限り多くの弾性エネルギーを蓄え、ひいてはこの部品1の支持要素3に対する保持を高めることができるようにすることに留意すべきである。
【0047】
このような弾性アーム4の構成は、取付部品1が、従来の取付部品1に比べて同じクランプに対してより多くの弾性エネルギーを蓄えることを可能にする。この部品1に蓄えられるこのような量の弾性エネルギーはその結果、取付部品時計部品アセンブリ120のこの支持要素3とのアセンブリ130において、支持要素3に対する取付部品1のより大きな保持トルクを得ることを可能にする。補足的に、このような取付部品1の構成は、従来技術の取付部品の弾性エネルギー比よりも6倍から8倍大きい弾性エネルギー比を蓄えることを可能にすることに留意すべきである。
【0048】
また、取付部品1における弾性アーム4の配置は、クランプによる挿入中に各弾性アーム4を変形させることを可能にし、取付部品1全体の変形を組み付けが行われる支持要素3の接続部分の幾何学的形状に適応させることを可能にすることに気付くであろう。
【0049】
図3を参照すると、本発明はまた、取付一体部品時計部品アセンブリ120の支持要素3との組み立て130を行う方法に関する。この方法は、支持要素3を取付部品1の開口部7に挿入するステップ20を含む。このステップ20中、支持要素3の端部は、この支持要素3の接続部分をこの開口部7に画定された容積に挿入することに備えて、取付部品1の下面10に画定された開口部7の入口にセットされる。このステップ20は、支持要素3の接続部分の周壁8の接触部分が弾性アーム4の軸受エリア13に接触力Fを加えることによって生じる、取付部品1の、特に前記開口部7を有するこの取付部品1の中央エリアの弾性変形のサブステップ21を含む。したがって、中央エリアのこの弾性変形は、取付部品1の下面10、特にこの下面10の取付部品1の中央エリアに含まれる部分の変形を引き起こし、この変形は本質的に凹状の形状を特徴とする。言い換えれば、取付部品1の中央エリアが変形すると、この下面10はもはや平面状ではなくなり、完全に第2の平面P2に含まれなくなる。
【0050】
前に説明したように、取付部品1のこの弾性変形は、支持要素3の周壁8の接触部分が弾性アーム4の軸受エリア13に接触力Fを加えることによって生じる。このような変形のサブステップ21は、弾性アーム4に加えられた接触力Fの作用によって弾性アーム4、特に接触部分5aを移動させる段階22を含む。弾性アーム4のこのような移動は、支持要素3と取付部品に共通の回転軸Aに対する半径方向B1と、この軸Aに一致する方向B2との間に含まれる方向に従って行われる。この方向B2は方向B1に対して垂直であり、下面10から上面に向かって定められる方向に従って配向されることに留意すべきである。好ましくは、接触力Fは、前記軸受エリア13に対して垂直又は実質的に垂直である。変形のサブステップの実施に関連して、各弾性アーム4は、その接触部分5aの変形及びその接続部分5bの二重変形という三重の変形を受けることに留意すべきである。この三重の弾性変形は、同時に又は連続的に行われる。
【0051】
その後、この方法は、取付部品1を補強要素3に締結するステップ23を含む。特に半径方向の弾性クランプによるこのような締結するステップ23は、支持要素3に対する取付部品1の半径方向の弾性クランプを行うサブステップ24を含む。したがって、このような応力状態において、取付部品1は、特に弾性クランプによる最適な固定を可能にする相当な保持トルクを取付部品1に与えるのに寄与する、大量の弾性エネルギーを蓄えることが理解されるべきである。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-01-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計部品(2)を支持要素(3)に締結するための取付一体部品(1)であって、前記取付一体部品(1)は、前記支持要素(3)を挿入することができる開口部(7)を含み、前記取付一体部品(1)は、前記開口部(7)における前記支持要素(3)の弾性クランプを確実にすることに寄与する複数の弾性アーム(4)を含み、各弾性アーム(4)は、貫通孔(6)が設けられた接触部分(5a)と接続部分(5b)とから成り、前記接触部分(5a)は、前記支持要素(3)と接触するように意図された軸受エリア(13)が設けられた受け領域(12a)を含み、前記接続部分は、前記取付一体部品(1)の前記弾性アーム(4)のうちの他の弾性アームとの弾性接続を確実にする、取付一体部品(1)。
【請求項2】
弾性アーム(4)の接触部分(5a)は、この接触部分(5a)が前記支持要素(3)によって応力を受けたときに前記貫通孔によって画定される可変体積が減少するように構成される、請求項1に記載の取付一体部品(1)。
【請求項3】
各接触部分(5a)は、共に前記貫通孔(6)を取り囲む、2つの横領域(12b)と、前記受け領域(12a)と、外側領域(12c)とを含む、請求項1に記載の取付一体部品(1)。
【請求項4】
前記領域(12a、12b、12c)は、前記領域(12a、12b、12c)が前記支持要素(3)によって応力を受けている時に異なる方法で変形するように構成される、請求項1に記載の取付一体部品(1)。
【請求項5】
各接触部分(5a)は、共に前記貫通孔(6)を取り囲む、2つの横領域(12b)、前記受け領域(12a)及び外側領域(12c)を含み、前記領域(12a、12b、12c)は、これらの領域(12a、12b、12c)が前記受け領域(12a)の軸受エリア(13)から離れるにつれてそれぞれの値が減少する変形係数(Crr、Crl、Cre)を有する、請求項1に記載の取付一体部品(1)。
【請求項6】
前記貫通孔(6)は、各弾性アーム(4)の前記接触部分(5a)の本体全体の20%から80%を占める、請求項1に記載の取付一体部品(1)。
【請求項7】
前記弾性アーム(4)は、前記弾性アーム(4)の接続部分(5b)の一端で互いに連結される、請求項1に記載の取付一体部品(1)。
【請求項8】
前記接続部分(5b)は、二重の弾性変形を受けるように構成される、請求項1に記載の取付一体部品(1)。
【請求項9】
前記接触部分(5a)と前記接続部分(5b)とが連続して交互に前記取付一体部品(1)に配置される、請求項1に記載の取付一体部品(1)。
【請求項10】
前記取付一体部品(1)は前記時計部品(2)との取付点(11)を含む、請求項1に記載の取付一体部品(1)。
【請求項11】
前記取付一体部品(1)はヒゲゼンマイなどの前記時計部品(2)をバランスシャフトなどの支持要素(3)に締結するためのコレットである、請求項1に記載の取付一体部品(1)。
【請求項12】
前記取付一体部品(1)はシリコンベースの材料で作られる、請求項1に記載の取付一体部品(1)。
【請求項13】
請求項1に記載の取付一体部品(1)を含む、時計(100)の時計ムーブメント(110)用の取付一体部品時計部品アセンブリ(120)。
【請求項14】
前記取付一体部品時計部品アセンブリ(120)は一体構造である、請求項13に記載の取付一体部品時計部品アセンブリ(120)。
【請求項15】
請求項13に記載の取付一体部品時計部品アセンブリ(120)を含み、前記取付一体部品時計部品アセンブリ(120)は支持要素(3)に締結される、時計(100)の時計ムーブメント(110)用のアセンブリ(130)。
【請求項16】
少なくとも1つの請求項15に記載のアセンブリ(130)を含む、時計ムーブメント(110)。
【請求項17】
請求項16に記載の時計ムーブメント(110)を含む、時計(100)。
【請求項18】
請求項15に記載のアセンブリ(130)を作る方法であって、
・前記取付一体部品時計部品アセンブリ(120)の取付一体部品(1)の開口部(7)に前記支持要素(3)を挿入するステップ(20)であって、各弾性アーム(4)の接触部分(5a)の弾性変形と、前記取付一体部品(1)のこの弾性アーム(4)の接続部分(5b)の二重の弾性変形とを与える、前記取付一体部品(1)の弾性アーム(4)を移動させる段階(22)を備えた、前記取付一体部品(1)を弾性変形させるサブステップ(21)を含むステップ(20)と、
・前記取付一体部品(1)を前記支持要素(3)に締結するステップ(23)であって、前記支持要素(3)に前記取付一体部品(1)の半径方向の弾性クランプを行うサブステップ(24)を含むステップ(23)と
を含む方法。
【外国語明細書】